JP2011085776A - 偏光分離デバイス、光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに偏光方向が異なる光束の分離特性に優れた偏光分離デバイスを実現する。
【解決手段】 光束LBa及び光束LBbがそれぞれ入射角を変化させながら入射するビーム分離面と該ビーム分離面を透過した光束LBaに対する反射防止膜とが透明基板上に設けられたビームスプリッタ1610と、ビームスプリッタ1610を透過した光束の光路上に配置され、光束LBaを透過させる偏光子1611と、ビームスプリッタ1610で反射された光束の光路上に配置され、光束LBbを透過させる偏光子1612とを備えている。そして、有効入射角範囲内にある少なくとも1つの入射位置で、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さくなるように設定されている。
【選択図】図8
【解決手段】 光束LBa及び光束LBbがそれぞれ入射角を変化させながら入射するビーム分離面と該ビーム分離面を透過した光束LBaに対する反射防止膜とが透明基板上に設けられたビームスプリッタ1610と、ビームスプリッタ1610を透過した光束の光路上に配置され、光束LBaを透過させる偏光子1611と、ビームスプリッタ1610で反射された光束の光路上に配置され、光束LBbを透過させる偏光子1612とを備えている。そして、有効入射角範囲内にある少なくとも1つの入射位置で、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さくなるように設定されている。
【選択図】図8
Description
本発明は、偏光分離デバイス、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、偏光方向が異なる光を分離する偏光分離デバイス、該偏光分離デバイスを用いた光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
電子写真の画像記録では、レーザを用いた画像形成装置が広く用いられている。この場合、画像形成装置は光走査装置を備え、感光性を有するドラムの軸方向に偏向器(例えば、ポリゴンミラー)を用いてレーザ光を走査しつつ、ドラムを回転させ、ドラムの表面に潜像を形成する方法が一般的である。
近年、画像形成装置において、カラー化、高速化が進み、感光性を有するドラムを複数(通常は4つ)有するタンデム方式の画像形成装置が普及してきている。
タンデム方式ではドラム数の増加に伴い画像形成装置が大型化する傾向にあり、光走査装置を含め小型化が求められている。小型化のためには、偏向器から各ドラムに向かう走査光の複数の光路を重ね合わせることが有効である。
例えば、特許文献1には、互いに直角を成す方向に直線偏光され、記録すべき信号によって輝度変調されたレーザ光を放射する2つのレーザ光源と、これらレーザ光源から放射される2つのレーザ光を合成する偏光光合成手段と、この合成されたレーザ光を主走査方向に偏向する偏向手段と、この偏向手段により偏向された合成レーザ光を走査記録面で別々のスポットに分離する偏光光分離手段とを具える記録装置が開示されている。
また、特許文献2には、単一のレーザ光源と、光源からのレーザ光の2つの偏光光にそれぞれ異なる情報を与える情報制御手段と、情報制御手段からの情報に基づいて偏光量を制御する偏光制御手段と、偏光制御された光を所定の照射面に走査照射するための走査手段と、走査された光を偏光状態に応じて2つの光に分光する分離手段と、走査手段からの光を分離手段に入射する入射角に応じてレーザ光を旋光制御する旋光制御手段とを有する光走査装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている記録装置では、偏光光分離手段を透過すべき偏光の電界ベクトルが、偏光分離面の入射面と平行にならない場合があり、この場合には、偏光光分離手段を透過すべき光の一部が偏光光分離手段で反射されてしまうという不都合があった。
また、特許文献2に開示されている光走査装置では、旋光制御手段として磁気光学素子を用いる場合に、高コスト化を招くという不都合があった。また、旋光制御に伴って消費電力が増加し、発熱を生じるという不都合があった。さらに、旋光角が温度等の環境で変化しやすく、性能を安定的に管理するのが困難であった。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、互いに偏光方向が異なる光束の分離特性に優れた偏光分離デバイスを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高コスト化及び大型化を招くことなく、ゴースト光の発生を安定して抑制することができる光走査装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、高コスト化を招くことなく、小型で、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
本発明は、第1の観点からすると、互いに偏光方向が直交する第1光束及び第2光束を含む光束が、入射角を変化させながら入射するビーム分離面を有する透明基板、及び該透明基板における前記ビーム分離面を透過した光束の出射面に設けられた前記第1光束に対する反射防止膜を有するビームスプリッタと;前記ビームスプリッタを透過した光束の光路上に配置され、前記第1光束を透過させる第1の偏光子と;前記ビームスプリッタで反射された光束の光路上に配置され、前記第2光束を透過させる第2の偏光子と;を備えた偏光分離デバイスであって、前記ビーム分離面と前記反射防止膜をいずれも透過するP偏光成分に対する前記ビームスプリッタの光透過率Tp、S偏光成分に対する前記ビームスプリッタの光透過率Ts、P偏光成分に対する前記ビーム分離面の光透過率Tp’、S偏光成分に対する前記ビーム分離面の光透過率Ts’を用いて、有効入射角範囲内にある少なくとも1つの入射位置P1で、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さいことを特徴とする偏光分離デバイスである。
これによれば、互いに偏光方向が直交する光束の分離特性を従来よりも向上させることが可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、光束により複数の被走査面を走査する光走査装置であって、互いに偏光方向が異なる第1光束と第2光束を含む複数の光束を出力する光源ユニットと;前記光源ユニットからの複数の光束を偏向する偏向器と:本発明の偏光分離デバイスを含み、前記偏向器で偏向された複数の光束を前記偏光分離デバイスで分離し、対応する被走査面上に個別に集光する走査光学系と;を備える光走査装置である。
これによれば、本発明の偏光分離デバイスを用いているため、高コスト化及び大型化を招くことなく、ゴースト光の発生を安定して抑制することが可能となる。
本発明は、第3の観点からすると、複数の像担持体と;前記複数の像担持体を光束により走査する本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、小型で、高品質の画像を形成することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図25に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、トナー濃度検出器2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。ところで、転写ベルト2040上でトナー画像の移動する方向は「副方向」と呼ばれ、該副方向に直交する方向(ここでは、Y軸方向)は「主方向」と呼ばれている。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
トナー濃度検出器2245は、転写ベルト2040の−X側に配置されている。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
この光走査装置2010は、一例として図2及び図3に示されるように、2つの光源ユニット(LU1、LU2)、2つのシリンドリカルレンズ(121、122)、ポリゴンミラー14、2つのfθレンズ(151、152)、2つの偏光分離デバイス(161、162)、2つの反射ミラー(171、172)、複数の折り返しミラー(18a、18b1、18b2、18c1、18c2、18d)、4つのアナモフィックレンズ(19a、19b、19c、19d)及び不図示の走査制御装置を有している。そして、これらは、光学ハウジング2300(図2では図示省略、図3参照)の所定位置に組み付けられている。
光学ハウジング2300には、4つの出射窓(21a、21b、21c、21d)が設けられている。各出射窓には、ガラス製あるいは樹脂製の透明部材が取り付けられている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源ユニットLU1と光源ユニットLU2は、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源ユニットLU1における主走査対応方向を「m1方向」とし、光源ユニットLU2における主走査対応方向を「m2方向」とする。
また、シリンドリカルレンズ121の光軸方向を「w1方向」、シリンドリカルレンズ122の光軸方向を「w2方向」とする。
光源ユニットLU1は、一例として図4に示されるように、2つの光源(10a、10b)、及び2つのコリメートレンズ(11a、11b)を有している。
光源10a及び光源10bは、いずれも同等の半導体レーザを有する光源である。そして、光源10a及び光源10bは、一例として図5に示されるように、それらの半導体レーザから出射される光束の偏光方向が互いに直交するように回路基板上に配置されている。すなわち、2つの光源のうちの一方の光源は他方の光源に対して直交する姿勢で配置されている。ここでは、光源10aからP偏光が出射され、光源10bからS偏光が出射されるものとする。
図4に戻り、コリメートレンズ11aは、光源10aから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10aから出射された光束を光束LBaともいう。
コリメートレンズ11bは、光源10bから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10bから出射された光束を光束LBbともいう。
光源ユニットLU2は、一例として図6に示されるように、2つの光源(10c、10d)、及び2つのコリメートレンズ(11c、11d)を有している。
光源10c及び光源10dは、いずれも同等の半導体レーザを有する光源である。そして、光源10c及び光源10dは、一例として図7に示されるように、それらの半導体レーザから出射される光束の偏光方向が互いに直交するように回路基板上に配置されている。すなわち、2つの光源のうちの一方の光源は他方の光源に対して直交する姿勢で配置されている。ここでは、光源10cからS偏光が出射され、光源10dからP偏光が出射されるものとする。
図6に戻り、コリメートレンズ11cは、光源10cから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10cから出射された光束を光束LBcともいう。
コリメートレンズ11dは、光源10dから出射された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光とする。なお、以下では、光源10dから出射された光束を光束LBdともいう。
図2に戻り、シリンドリカルレンズ121は、光源ユニットLU1からの各光束(LBa、LBb)を、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ122は、光源ユニットLU2からの各光束(LBc、LBd)を、ポリゴンミラー14の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー14は、一例として4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー14は、Z軸方向に平行な軸回りに等速回転し、各シリンドリカルレンズからの光束をXY平面に平行な面内で等角速度的に偏向する。
ここでは、シリンドリカルレンズ121からの光束はポリゴンミラー14の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ122からの光束はポリゴンミラー14の+X側に偏向される。なお、ポリゴンミラー14の偏向反射面で偏向された光束が経時的に形成する光線束面は、「偏向面」と呼ばれている(特開平11−202252参照)。ここでは、偏向面はXY面に平行である。
fθレンズ151は、ポリゴンミラー14の−X側であって、ポリゴンミラー14で偏向されたシリンドリカルレンズ121からの光束の光路上に配置されている。
偏光分離デバイス161は、一例として図8に示されるように、ビームスプリッタ1610、及び2つの偏光子(1611、1612)を有している。
ビームスプリッタ1610は、fθレンズ151の−X側であって、fθレンズ151を介した光束(光束LBaと光束LBb)の光路上に配置されている。このビームスプリッタ1610は、入射する光束を、その偏光方向を維持した状態で、一部を透過させ、残りを反射する。
偏光子1611は、ビームスプリッタ1610の−X側であって、ビームスプリッタ1610を透過した光束の光路上に配置されている。偏光子1612は、ビームスプリッタ1610の−Z側であって、ビームスプリッタ1610で反射された光束の光路上に配置されている。
ビームスプリッタ1610は、一例として図9に示されるように、Y軸方向を長手方向とする板状のビームスプリッタであり、ガラス板あるいは透明樹脂板等の透明な基板の+X側の面にビーム分離面が形成されている。このビーム分離面は、互いに異なる屈折率を有する少なくとも2種類の誘電体膜が積層されている面、すなわち、いわゆる誘電体多層膜面である。ここでは、TaOとSiOとが交互に積層されている。
また、基板の−X側の面(ビーム分離面と反対側の面、裏面)には、反射防止膜がコーティングされている。この反射防止膜は、互いに異なる屈折率を有する少なくとも2種類の誘電体膜が積層された、いわゆる誘電体多層膜である。ここでは、TiOとSiOとが交互に積層されている。これにより、ビーム分離面を透過した光束の一部が基板の−X側の面で反射し、不要な反射光となるのを抑制できる。
ビームスプリッタ1610は、ビーム分離面が偏向面に対して45°傾斜した状態で配置されている。
ビームスプリッタ1610に入射する光束LBaが、図10に示されている。この光束LBaは、偏向角によらず電界ベクトルがZ軸方向に平行な直線偏光である。光束LBaの入射面は、主光線がX軸と平行な場合、すなわち偏向角が0°の場合はZ軸に平行であるが、偏向角の絶対値が大きくなるにつれて、Z軸に対して傾斜するようになる。
そして、偏向角の絶対値が大きくなるにつれて、P偏光成分が減少し、S偏光成分が増加する(特願2009−157665参照)。
以下では、便宜上、偏光方向がZ軸方向に平行な光束を「光束A」といい、この光束Aの偏光方向が入射面となす角をθ1とする。また、偏光方向がZ軸方向に直交する光束を「光束B」といい、この光束Bの偏光方向が入射面となす角をθ2とする。
そして、偏光子1611は、光束Aを透過させ光束Bを遮光するように、その透過軸がZ軸方向に平行に設定されている。
また、偏光子1612は、光束Bを透過させ光束Aを遮光するように、その透過軸がY軸方向に平行に設定されている。
これによれば、偏光分離デバイス161からの光束Aの反射光成分はほぼ遮光されるものの、一部は漏れる可能性がありこれがゴースト光となる。光束Aにおけるゴースト光強度比は、偏光分離デバイスを透過した光束Aの光強度に対する偏光分離デバイスで反射された光束Aの光強度の比率で定義する。
同様に、偏光分離デバイス161からの光束Bの透過光成分はほぼ遮光されるものの、一部は漏れる可能性がありこれがゴースト光となる。光束Bにおけるゴースト光強度比は、偏光分離デバイスで反射された光束Bの光強度に対する偏光分離デバイスを透過した光束Bの光強度の比率で定義する。
ところで、実際の光走査装置では、偏向角の範囲は−40°〜+40°程度が一般的であり、本実施形態でも−40°〜+40°の偏向角範囲を有効範囲としている。なお、入射光に対する偏光分離デバイスの作用に関して、偏向角範囲が−40°〜0°の場合と偏向角範囲が0°〜+40°の場合は、互いに対称関係にあるので、以下では、便宜上、偏向角範囲が0°〜+40°の場合について説明する。
偏光方向がZ軸方向に平行であるとき、入射面と偏光方向とのなす角θ1は、偏向角が0°のときに0°、偏向角が+40°のときに32.7°である。
一方、偏光方向がZ軸方向に直交するとき、入射面と偏光方向とのなす角θ2は、偏向角が0°のときに90°、偏向角が+40°のときに57.2°である。
また、ビームスプリッタ1610への光束の入射角は、偏向角が0°のときに45.0°、偏向角が+40°のときに57.2°である。そこで、例えば、感光体ドラムの表面を光走査する際の偏向角が0°〜+40°の範囲では、偏光分離デバイス161における有効入射角範囲は45.0°〜57.2°である。
図11には、ビームスプリッタ1610における、P偏光成分に対するビーム分離面の光透過率Tp’及びS偏光成分に対するビーム分離面の光透過率Ts’と偏向角との関係が示されている。0°〜40°の偏向角範囲内では、Ts’がTp’よりも大きな値をとっている。ここでは、Tp’とTs’とが一致していないため、ビーム分離面を透過した光の偏光方向は回転することになる。この偏光方向の回転(偏光回転)は、光束A及び光束Bいずれの場合も偏向角が0°以外の入射位置で発生する。
ところで、P偏光成分に対するビーム分離面の光透過率Tp’は、P偏光をビームスプリッタ1610に照射したときの反射光強度から、P偏光成分に対するビーム分離面の反射率Rp’を求め、次の(1)式を用いて算出することができる。
Tp’+Rp’=1 ……(1)
同様に、S偏光成分に対するビーム分離面の光透過率Ts’は、S偏光をビームスプリッタ1610に照射したときの反射光強度から、S偏光成分に対するビーム分離面の反射率Rs’を求め、次の(2)式を用いて算出することができる。
Ts’+Rs’=1 ……(2)
ビーム分離面を透過した光束Aは、上記偏光回転によって、一部の光が偏光子1611を透過できず、光利用効率が低下する。逆に、光束Bは、上記偏光回転によって一部の光が偏光子1611を透過し、この光がゴースト光となる。
図12には、ビームスプリッタ1610における、P偏光成分に対する反射防止膜の光透過率Tp”及びS偏光成分に対する反射防止膜の光透過率Ts”と偏向角との関係が示されている。ここではTp”、Ts”ともに高い値を示しているが、その大小関係は、Ts’とTp’の関係とは反対に、Tp”がTs”より大きな値となっている。
図13には、ビーム分離面と反射防止膜をいずれも透過するP偏光成分に対するビームスプリッタ1610の光透過率Tp、及びS偏光成分に対するビームスプリッタ1610の光透過率Tsと偏向角との関係が示されている。実質的には、Tp=Tp’×Tp”、Ts=Ts’×Ts”、の関係がある。
図14には、TsとTpとの差の絶対値|Ts−Tp|、及びTs’とTp’との差の絶対値|Ts’−Tp’|と偏向角との関係が示されている。|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|よりも小さくなっていることがわかる。図14におけるP1は、角度θ1が32.7°に対応する位置であり、有効入射角範囲内で角度θ1が45°に最も近い位置である。
図15には、ビームスプリッタ1610にビーム分離面のみ形成し、反射防止膜を形成しないと仮定したときの、Ts’及びTp’に基づくゴースト光強度比と偏向角との関係が示されている。
図16には、ビームスプリッタ1610にビーム分離面と反射防止膜とがともに存在するときの、Ts及びTpに基づくゴースト光強度比と偏向角との関係が示されている。
図15と図16を比較すると、特に偏向角が大きいときに、反射防止膜が存在するほうが、ゴースト光が低くなっていることがわかる。これは、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さいことによる(特願2009−157665参照)。
さらに、有効入射角範囲内で、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さく、その差が大きい入射位置は、θ1が45°または45°に最も近い位置である。
従って、有効入射角範囲内で、入射位置におけるθ1が45°または45°に最も近いときに、最も効率的にゴースト光を低減できるといえる。
図17には、ビームスプリッタ1610のビーム分離面で付与されるP偏光成分とS偏光成分との位相差δ(ts’,tp’)と偏向角との関係が示されている。なお、位相差は、最も近い2πの整数倍の値からの差で示されている。
ここでは、位相差が0ではないので、入射光にP偏光成分とS偏光成分が混在する場合、ビーム分離面を透過した光は楕円偏光化されることになる。この楕円偏光化は、光束A及び光束Bのいずれの場合も、偏向角が0°以外の入射光で発生する。
ビーム分離面を透過した光束Aは、上記楕円偏光化によって、一部の光が偏光子1611を透過できず、光利用効率が低下する。逆に、光束Bは、上記楕円偏光化によって、一部の光が偏光子1611を透過し、この光がゴースト光となる。図17におけるP2は、角度θ1が32.7°に対応する位置であり、有効入射角範囲内で角度θ1が45°に最も近い位置である。
図18には、ビームスプリッタ1610の反射防止膜で付与されるP偏光成分とS偏光成分との位相差δ(ts”,tp”)と偏向角との関係が示されている。δ(ts’,tp’)とδ(ts”,tp”)は符号が逆になっている。
図19には、ビームスプリッタ1610のビーム分離面を透過し、さらに反射防止膜を透過した光に付与される位相差(便宜上、「合成位相差」という)δ(ts,tp)と偏向角との関係が示されている。主軸方向が共通であるので、実質的に、δ(ts,tp)=δ(ts’,tp’)+δ(ts”,tp”)、の関係がある。図19におけるP2は、角度θ1が32.7°に対応する位置であり、有効入射角範囲内で角度θ1が45°に最も近い位置である。
図17と図19とを比較すると、TsとTpとの差の絶対値|Ts−Tp|が、Ts’とTp’との差の絶対値|Ts’−Tp’|より小さいことがわかる。
図20には、ビームスプリッタ1610にビーム分離面のみ形成し、反射防止膜を形成しないと仮定したときの、δ(ts’,tp’)に基づくゴースト光強度比と偏向角との関係が示されている。
図21には、ビームスプリッタ1610にビーム分離面と反射防止膜とがともに存在するときの、δ(ts,tp)に基づくゴースト光強度比と偏向角との関係が示されている。
図20と図21を比較すると、ピーク位置におけるゴースト光強度比の低下、及び偏向角が大きいときのゴースト光強度比の低下が、いずれも反射防止膜が存在する場合に顕著である。これは、|δ(ts,tp)|が|δ(ts’,tp’)|より小さいことによる(特願2009−157665参照)。
さらに、有効入射角範囲内で、|δ(ts,tp)|が|δ(ts’,tp’)|より小さく、その差が大きい入射位置は、θ1が45°または45°に最も近い位置である。
従って、有効入射角範囲内で、入射位置におけるθ1が45°または45°に最も近いときに、最も効率的にゴースト光を低減できるといえる。
実用的な観点からは、感光体ドラムの露光を想定した場合、ゴースト光強度比が1%以下であることが好ましい。ビームスプリッタ1610では、図16及び図21から明らかなように、光走査装置における偏向角をほぼカバーする範囲内で、ゴースト光強度比が1%以下であることを満足している。
ところで、各偏光子としては、ヨウ素あるいは二色性染料で染色された膜を、一軸方向に延伸して得られる一般的な偏光フィルムを使用することができる。ここでは、偏光子1611は、一例として図22に示されるように、偏光フィルム1611aが、ガラス板等の2枚の透明基板(1611b、1611c)で両側から挟み込まれた構造をしている。この場合は、波面収差特性を格段に向上させることができる。なお、より高い消光比が必要なときには、各偏光子として、ワイヤーグリッド偏光子、及び金属分散型偏光フィルム等を用いても良い。そして、偏光子1612は、偏光子1611と同様な構造をしている。
ここでは、一例として図23に示されるように、ビームスプリッタ1610を透過した光束LBaの大部分は、偏光子1611を透過する。一方、ビームスプリッタ1610を透過した光束LBbの大部分は、偏光子1611で遮光される。従って、偏光子1611は、ビームスプリッタ1610を透過した光束から光束LBaのみを選択的に透過させることができる。
また、ビームスプリッタ1610で反射された光束LBbの大部分は、偏光子1612を透過する。一方、ビームスプリッタ1610で反射された光束LBaの大部分は、偏光子1612で遮光される。従って、偏光子1612は、ビームスプリッタ1610で反射された光束から光束LBbのみを選択的に透過させることができる。
ところで、偏光分離デバイス161は、偏光子からの反射光が多く発生するため、この反射光がノイズ光とならないようにすることが望ましい。ここでノイズ光とは、ゴースト光が所定の感光体ドラム以外の別の感光体ドラムに向かう光をさしていたのに対して、ゴースト光を含みさらに別の感光体ドラム以外の方向にも向かう光をも含んだ光のことをいう。
ノイズ光がもたらす不都合として、(1)光源に偏光分離デバイスからの反射光が到達し、光出力の不安定化を招く、(2)所定の受光部材(ここでは、感光体ドラム)以外の受光部材(ここでは、他の感光体ドラム)に、ゴースト光として光が漏れる、の2つがあげられる。(1)の対策として、偏光子から出射される有効光以外の光が光源に戻らないよう、偏光子を入射光に対して傾けて配置することが効果的である。また、(2)に対しては、偏光子から出射される有効光以外の光を遮光する遮光部材を設けるのが好ましい。
本実施形態では、一例として図24に示されるように、偏光子1611はX軸に対して角度α傾斜して配置され、偏光子1612はZ軸に対して角度β傾斜して配置されている。また偏光子1611及び1612からの反射光は、遮光部材711及び遮光部材712で吸収されるようになっている。
図3に戻り、偏光分離デバイス161を透過した光束(ここでは、光束LBa)は、折り返しミラー18a、アナモフィックレンズ19a及び出射窓21aを介して感光体ドラム2030aの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ151と偏光分離デバイス161と折り返しミラー18aとアナモフィックレンズ19aは、「Kステーション」の走査光学系である。
一方、偏光分離デバイス161で−Z方向に反射された光束(ここでは、光束LBb)は、反射ミラー171で−X方向に反射された後、折り返しミラー18b1、折り返しミラー18b2、アナモフィックレンズ19b及び出射窓21bを介して感光体ドラム2030bの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ151と偏光分離デバイス161と反射ミラー171と折り返しミラー18b1と折り返しミラー18b2とアナモフィックレンズ19bは、「Cステーション」の走査光学系である。
すなわち、fθレンズ151と偏光分離デバイス161は、2つの画像形成ステーションで共有されている。
図2に戻り、fθレンズ152は、ポリゴンミラー14の+X側であって、ポリゴンミラー14で偏向されたシリンドリカルレンズ122からの光束の光路上に配置されている。
偏光分離デバイス162は、一例として図25に示されるように、ビームスプリッタ1620、及び2つの偏光子(1621、1622)を有している。
ビームスプリッタ1620は、fθレンズ152の+X側であって、fθレンズ152を介した光束(光束LBcと光束LBd)の光路上に配置されている。このビームスプリッタ1620は、上記ビームスプリッタ1610と同様なビームスプリッタである。
偏光子1621はビームスプリッタ1620の+X側であって、ビームスプリッタ1620を透過した光束の光路上に配置されている。偏光子1622はビームスプリッタ1620の−Z側であって、ビームスプリッタ1620で反射された光束の光路上に配置されている。
偏光子1621は、上記偏光子1611と同様な偏光子であり、偏光子1622は、上記偏光子1612と同様な偏光子である。
そこで、偏光分離デバイス162を透過する光束は、そのほとんどが光束LBdであり、偏光分離デバイス162で反射される光束は、そのほとんどが光束LBcである。
図3に戻り、偏光分離デバイス162で−Z方向に反射された光束(ここでは、光束LBc)は、反射ミラー172で+X方向に反射された後、折り返しミラー18c1、折り返しミラー18c2、アナモフィックレンズ19c及び出射窓21cを介して感光体ドラム2030cの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ152と偏光分離デバイス162と反射ミラー172と折り返しミラー18c1と折り返しミラー18c2とアナモフィックレンズ19cは、「Mステーション」の走査光学系である。
一方、偏光分離デバイス162を透過した光束(ここでは、光束LBd)は、折り返しミラー18d、アナモフィックレンズ19d及び出射窓21dを介して感光体ドラム2030dの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー14の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
このように、fθレンズ152と偏光分離デバイス162と折り返しミラー18dとアナモフィックレンズ19dは、「Yステーション」の走査光学系である。
すなわち、fθレンズ152と偏光分離デバイス162は、2つの画像形成ステーションで共有されている。また、各折り返しミラーは、各画像形成ステーションでの光路長が互いに等しくなるように設けられている。
本実施形態では、fθレンズは、ポリゴンミラーと偏光分離デバイスの間に設けられている。そして、2つの光路が、Z軸方向に関してほぼ重なっているため、fθレンズを2つのステーションで共用化することができる。
前記走査制御装置は、各光源に対応した光源制御回路を有している。そして、光源10a及び光源10bに対応した光源制御回路は、光源ユニットLU1の回路基板上に実装されている。また、光源10c及び光源10dに対応した光源制御回路は、光源ユニットLU2の回路基板上に実装されている。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る偏光分離デバイス161では、ビームスプリッタ1610によって本発明のビームスプリッタが構成され、偏光子1611によって本発明の第1の偏光子が構成され、偏光子1612によって本発明の第2の偏光子が構成されている。また、偏光分離デバイス162では、ビームスプリッタ1620によって本発明のビームスプリッタが構成され、偏光子1621によって本発明の第1の偏光子が構成され、偏光子1622によって本発明の第2の偏光子が構成されている。
そして、偏光分離デバイス161では、光束LBaが第1光束であり、光束LBbが第2光束である。また、偏光分離デバイス162では、光束LBdが第1光束であり、光束LBcが第2光束である。
以上説明したように、本実施形態に係る偏光分離デバイス161によると、光束LBa及び光束LBbがそれぞれ入射角を変化させながら入射するビーム分離面と該ビーム分離面を透過した光束LBaに対する反射防止膜とが透明基板上に設けられたビームスプリッタ1610と、ビームスプリッタ1610を透過した光束の光路上に配置され、光束LBaを透過させる偏光子1611と、ビームスプリッタ1610で反射された光束の光路上に配置され、光束LBbを透過させる偏光子1612とを備えている。
そして、有効入射角範囲内にある少なくとも1つの入射位置で、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さくなるように設定されている。
この場合には、光束LBaと光束LBbの分離特性を従来よりも向上させることができる。
また、本実施形態に係る偏光分離デバイス162によると、光束LBc及び光束LBdがそれぞれ入射角を変化させながら入射するビーム分離面と該ビーム分離面を透過した光束LBaに対する反射防止膜とが透明基板上に設けられたビームスプリッタ1620と、ビームスプリッタ1620を透過した光束の光路上に配置され、光束LBdを透過させる偏光子1621と、ビームスプリッタ1620で反射された光束の光路上に配置され、光束LBcを透過させる偏光子1622とを備えている。
そして、有効入射角範囲内にある少なくとも1つの入射位置で、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さくなるように設定されている。
この場合には、光束LBcと光束LBdの分離特性を従来よりも向上させることができる。
また、偏光子1611は、透過軸方向がZ軸方向となるように配置され、偏光子1612は、透過軸方向がY軸方向となるように配置されている。これにより、偏光子1611での透過率が最大となる直線偏光に対して、偏光子1612での透過率は最小となる。
同様に、偏光子1621は、透過軸方向がZ軸方向となるように配置され、偏光子1622は、透過軸方向がY軸方向となるように配置されている。これにより、偏光子1621での透過率が最大となる直線偏光に対して、偏光子1622での透過率は最小となる。
さらに、各偏光子は、偏光フィルムが2枚の透明基板(1611b、1611c)で両側から挟み込まれた構造をしている。
そして、本実施形態に係る光走査装置2010によると、互いに偏光方向が異なる2つの光束を出力する光源ユニット(LU1、LU2)と、光源ユニットからの各光束を偏向面内で等角速度的に偏向するポリゴンミラー14と、偏光分離デバイス(161、162)を含み、ポリゴンミラー14で偏向された各光束を偏光分離デバイスで分離し、対応する感光体ドラムの表面に個別に集光する走査光学系とを備えている。
この場合は、各偏光分離デバイスにおいて、互いに偏光方向が異なる2つの光束の分離特性が従来よりも向上しているため、ゴースト光の発生を従来よりも低減することができる。そこで、高コスト化及び大型化を招くことなく、ゴースト光の発生を安定的に抑制することが可能である。
また、fθレンズと偏光分離デバイスは、2つの画像形成ステーションで共有されているため、小型化を図ることができる。
また、各光源ユニットでは、2つの光源のうちの一方の光源が他方の光源に対して直交する姿勢で配置されているため、偏光の直交状態を得るための光学素子が不要となり低コスト化を図ることができる。
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、小型で、高品質の画像を描画することが可能となる。
なお、上記実施形態において、各光源ユニットでは、互いに直交する2つの光源を設ける代わりに、1つの光源を設け、該光源の偏光方向を時間的に切り換えても良い。この場合、光源からポリゴンミラー14にいたる光路上に、λ/2の光学的位相差をアクティブに発生させる液晶等を含む光学素子を設けると良い。これにより、光源の個数が減少し、小型化及び低コスト化を図ることができる。
また、上記実施形態では、偏光分離デバイスのビームスプリッタが板状の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、偏光分離デバイスのビームスプリッタが、断面形状が直角二等辺三角形である三角柱状の2つの透明な部材でビーム分離面を挟み込んだキュービック構造であっても良い。但し、上記実施形態のように、基板の片面にビーム分離面を形成した構造のほうが、簡単な工程で製造できる点で有利である。
また、上記実施形態において、偏光分離デバイスのビームスプリッタでの透過光の強度と反射光の強度の差、すなわち|Ts+Tp|と|Rs+Rp|の差についても小さいことが好ましい。これにより、感光体ドラム間での光量補正が容易あるいは不要となる。
また、上記実施形態において、偏光分離デバイスを構成する偏光子を出射窓に取り付けても良い。これにより、出射窓に取り付けられる前記透明部材が不要となり、部品点数を減らすことができる。また、光源から出射され感光体ドラムに向かう光束の光路上に介在する光学素子の数を減らすことができる。さらに、走査光学系内に偏光子が配置される領域を確保する必要がなくなる。
また、上記実施形態において、偏光分離デバイスを構成する偏光子をアナモフィックレンズと一体化させても良い。この場合には、アナモフィックレンズの平面部分に偏光子を設けるのが好ましい。
また、上記実施形態では、偏光分離デバイスを構成するビームスプリッタと偏光子は、その間に他の光学素子を介在させずに配置する場合について説明したが、偏光状態を変化させることがなければ、ビームスプリッタと偏光子の間に他の光学素子を介在させても良い。
また、上記実施形態において、一例として図26に示されるように、ポリゴンミラー14とfθレンズとの間に偏光分離デバイスを配置しても良い。但し、光束LBa用のfθレンズ15aと、光束LBb用のfθレンズ15bと、光束LBc用のfθレンズ15cと、光束LBd用のfθレンズ15dが必要となる。この場合には、各fθレンズを光束の偏光状態、光路長、結像位置、走査長に適したレンズ形状とすることができる。
また、上記実施形態では、各光源が1つの発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各光源が複数の半導体レーザを有しても良い。また、各光源が複数の発光部を持つ半導体レーザアレイを有しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として4つの感光体ドラムを有するカラープリンタ2000について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの感光体ドラムを有するプリンタであっても良い。この場合には、1つの光源ユニットが用いられることとなる。
以上説明したように、本発明の偏光分離デバイスによれば、互いに偏光方向が直交する光束の分離特性を従来よりも向上させるのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、高コスト化及び大型化を招くことなく、ゴースト光の発生を安定して抑制するのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高コスト化を招くことなく、小型で、高品質の画像を形成するのに適している。
10a〜10d…光源、14…ポリゴンミラー(偏向器)、151,152…fθレンズ(走査光学系の一部)、161,162…偏光分離デバイス、1610,1620…ビームスプリッタ、1611,1612,1621,1622…偏光子、171,172…反射ミラー(走査光学系の一部)、18a,18b1,18b2,18c1,18c2,18d…折り返しミラー(走査光学系の一部)、19a〜19d…アナモフィックレンズ(走査光学系の一部)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2030a〜2030d…感光体ドラム(像担持体)、2010…光走査装置、LU1…光源ユニット、LU2…光源ユニット。
Claims (7)
- 互いに偏光方向が直交する第1光束及び第2光束を含む光束が、入射角を変化させながら入射するビーム分離面を有する透明基板、及び該透明基板における前記ビーム分離面を透過した光束の出射面に設けられた前記第1光束に対する反射防止膜を有するビームスプリッタと;
前記ビームスプリッタを透過した光束の光路上に配置され、前記第1光束を透過させる第1の偏光子と;
前記ビームスプリッタで反射された光束の光路上に配置され、前記第2光束を透過させる第2の偏光子と;を備えた偏光分離デバイスであって、
前記ビーム分離面と前記反射防止膜をいずれも透過するP偏光成分に対する前記ビームスプリッタの光透過率Tp、S偏光成分に対する前記ビームスプリッタの光透過率Ts、P偏光成分に対する前記ビーム分離面の光透過率Tp’、S偏光成分に対する前記ビーム分離面の光透過率Ts’を用いて、
有効入射角範囲内にある少なくとも1つの入射位置P1で、|Ts−Tp|が|Ts’−Tp’|より小さいことを特徴とする偏光分離デバイス。 - 前記ビーム分離面に入射する際の前記第1光束の入射面と前記第1光束の偏光方向とのなす角度θ1(0°≦θ1≦90°)を用いて、
前記入射位置P1は、前記角度θ1が45°または45°に最も近い位置であることを特徴とする請求項1に記載の偏光分離デバイス - 前記ビーム分離面を透過した光束で発生するS偏光成分とP偏光成分との光学的位相差δ(ts’,tp’)、前記反射防止膜を透過した光束で発生するS偏光成分とP偏光成分の光学的位相差δ(ts”,tp”)、これらの合成位相差δ(ts,tp)を用いて、
有効入射角範囲内にある少なくとも1つの入射位置P2で、|δ(ts,tp)|と|δ(ts,tp)|に最も近い2πの整数倍との差が、|δ(ts’,tp’)|と|δ(ts’,tp’)|に最も近い2πの整数倍との差より小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光分離デバイス。 - 前記入射位置P2は、前記角度θ1が、45°または45°に最も近い位置であることを特徴とする請求項3に記載の偏光分離デバイス。
- 前記反射防止膜は、互いに異なる屈折率を有する少なくとも2種類の誘電体膜が積層されている膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光分離デバイス。
- 光束により複数の被走査面を走査する光走査装置であって、
互いに偏光方向が異なる第1光束と第2光束を含む複数の光束を出射する光源ユニットと;
前記光源ユニットからの複数の光束を偏向する偏向器と:
請求項1〜5のいずれか一項に記載の偏光分離デバイスを含み、前記偏向器で偏向された複数の光束を前記偏光分離デバイスで分離し、対応する被走査面上に個別に集光する走査光学系と;を備える光走査装置。 - 複数の像担持体と;
前記複数の像担持体を光束により走査する請求項6に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
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