JP2012048092A - 光学素子、光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

光学素子、光走査装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光の光路を折り畳むことができる光学素子を提供する。
【解決手段】 偏光ビームスプリッタ2107、及び2つのミラー素子(2107、2107)を有している。そして、各ミラー素子は、入射光の偏光方向を90°回転して反射する機能を有している。偏光ビームスプリッタ2107は、偏光方向がZ軸方向の光束を透過させ、偏光方向がY軸方向の光束を反射する特性を有し、X軸方向に対して45°傾斜して配置されている。2つのミラー素子(2107、2107)は、偏光ビームスプリッタ2107を挟んで、Z軸方向に対向して、ミラー面間隔Hで配置されている。この場合、偏光方向がY軸方向の光束が入射されると、該光束に2Hの光路長が付加されて射出される。
【選択図】図14

Description

本発明は、光学素子、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、光の光路を折り畳むことができる光学素子、該光学素子を有する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
光走査装置は、従来から、光プリンタやデジタル複写機、光プロッタ等の画像形成装置に関連して広く知られている。そして、画像形成装置の普及に伴って、高安定化、高精細化、高速化とともに、少部品数化、及び小型化も強く求められている。
また、近年、複数の色画像を重ね合わせる多色画像形成装置が開発されている。特に、多色画像形成装置を実現する形態として、複数の走査光学系が、各色に対応する複数の感光体に光スポットを形成するタンデム方式が多く用いられている。
複数の感光体に光スポットを形成する場合、光走査装置にはそれぞれの感光体に対応した走査光学系が搭載されることになる。例えば、1つの筐体に全ての走査光学系を収納すると、ミラー等の導光素子を多数用いてそれぞれの感光体へ光束を導く必要が生じる。従って、光走査装置内では複数の光学素子が複雑に入り組んでおり、光学素子間の干渉を避ける必要から小型化には限界があった。
上記小型化の限界を克服する方法として、互いに偏光状態を異ならせた2つの光束を、走査光学系内に設けられた偏光光束分割素子(偏光分離素子)で分割してそれぞれの感光体へ導光するという方法が考えられた(例えば、特許文献1〜7参照)。
この方法は、光走査装置のサイズを光偏向器の回転軸方向に小型化(薄型化)し、且つ走査光学系内の光学素子を共用することで部品点数を低減させるのに効果的であった。
しかしながら、「書込幅に応じて決まる光路長」という原始的な走査光学系独特の小型化阻害要因が残るため、上記方法を適用したとしてもある程度の光路長は確保せねばならず、折返しミラーの設置や光路の多段化は避けることができなかった。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、光の光路を折り畳むことができる光学素子を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、走査精度を低下させることなく、小型化を図ることができる光走査装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、画像品質を低下させることなく、小型化を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
本発明は、第1の観点からすると、入射光の偏光方向によって透過及び反射特性が異なり、第1の方向に対して傾斜した少なくとも1つの光学面と;前記第1の方向に直交する第2の方向に関して、前記少なくとも1つの光学面の一側に配置され、少なくとも1つの反射面を含み、前記少なくとも1つの光学面を介した前記入射光の偏光方向を90°回転して反射する第1反射部と;前記第2の方向に関して、前記少なくとも1つの光学面の他側に配置され、少なくとも1つの反射面を含み、前記少なくとも1つの光学面を介した前記入射光の偏光方向を90°回転して反射する第2反射部と;を有する光学素子である。
これによれば、光の光路を折り畳むことができる。
本発明は、第2の観点からすると、複数の被走査面を主走査方向に光走査する光走査装置であって、互いに波長が異なる第1の光束と第2の光束を射出する照明系と;前記照明系からの前記第1の光束及び前記第2の光束を偏向する光偏向器と;前記光偏向器で偏向された前記第1の光束及び前記第2の光束を対応する被走査面に導く走査光学系と;を備え、該走査光学系は、前記光偏向器に近い順に配置された、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ、本発明の光学素子、1/4波長板、及びダイクロイックミラーを含む光走査装置である。
これによれば、走査光学系が本発明の光学素子を含んでいるため、結果として、走査精度を低下させることなく、小型化を図ることができる。
本発明は、第3の観点からすると、複数の像担持体と;前記複数の像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を用いて光走査する本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、画像品質を低下させることなく、小型化を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。 図1における光走査装置の概略構成を示す図(その1)である。 図2における入射光学系を説明するための図である。 図1における光走査装置の概略構成を示す図(その2)である。 光合成素子2205Aを説明するための図である。 光合成素子2205Bを説明するための図である。 ダイクロイック偏光ビームスプリッタの特性を説明するための図である。 折り畳み光学素子を説明するための図(その1)である。 折り畳み光学素子を説明するための図(その2)である。 折り畳み光学素子の偏光ビームスプリッタを説明するための図である。 折り畳み光学素子の偏光ビームスプリッタの特性を説明するための図である。 図12(A)及び図12(B)は、それぞれ折り畳み光学素子のミラー素子を説明するための図である。 折り畳み光学素子における2つのミラー素子のミラー面間隔Hを説明するための図である。 光束LBaに対する折り畳み光学素子の作用を説明するための図である。 光束LBbに対する折り畳み光学素子の作用を説明するための図である。 ダイクロイックミラーの特性を説明するための図である。 折り畳み光学素子から射出された光束LBaの光路を説明するための図である。 折り畳み光学素子から射出された光束LBbの光路を説明するための図である。 ダイクロイックミラーで反射された光束LBbに対する折り畳み光学素子の作用を説明するための図である。 折り畳み光学素子から射出された光束LBbの光路を説明するための図である。 ポリゴンミラーの回転中心から結像位置までの光束LBaの光路を説明するための図である。 ポリゴンミラーの回転中心から結像位置までの光束LBbの光路を説明するための図である。 2段光路を説明するための図である。 折り畳み光学素子を用いない1段光路を説明するための図である。 光走査装置の変形例1を説明するための図である。 2個の折り畳み光学素子からなる折り畳み光学系を用いる場合を説明するための図である。 光束LBaに対する図26の折り畳み光学系の作用を説明するための図である。 図26の折り畳み光学系から射出された光束LBaの光路を説明するための図である。 図26の折り畳み光学系を用いたときの、ポリゴンミラーの回転中心から結像位置までの光束LBaの光路を説明するための図である。 光束LBbに対する図26の折り畳み光学系の作用を説明するための図である。 図26の折り畳み光学系から射出された光束LBbの光路を説明するための図である。 ダイクロイックミラーで反射された光束LBbに対する図26の折り畳み光学系の作用を説明するための図である。 図26の折り畳み光学系を用いたときの、ポリゴンミラーの回転中心から結像位置までの光束LBbの光路を説明するための図である。 図26の折り畳み光学系の変形例1を説明するための図である。 図26の折り畳み光学系の変形例2を説明するための図である。 図36(A)及び図36(B)は、それぞれ数値例を説明するための図である。 光走査装置の変形例2を説明するための図(その1)である。 光走査装置の変形例2を説明するための図(その2)である。 折り畳み光学素子の変形例を説明するための図(その1)である。 折り畳み光学素子の変形例を説明するための図(その2)である。 カラープリンタの変形例を説明するための図である。 図42(A)〜図42(C)は、それぞれミラー素子の変形例を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図24に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。また、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。そして、4つの感光体ドラムは、X軸方向に沿って等間隔に配置されている。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、4つの感光体ドラムの−Z側に配置され、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
本明細書では、ある時点で、各感光体ドラムの表面における光スポットが形成される位置を「結像位置」という。そこで、隣接する2つの感光体ドラムにおけるそれぞれの結像位置の間隔(間隔Pという)は、各感光体ドラムの表面を光がそれぞれY軸方向に走査する際の各走査線の間隔と考えても差し支えない。また、該間隔Pは、隣接する2つの感光体ドラムにおける軸間距離としてもとらえることができる。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上の多色のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
この光走査装置2010は、一例として図2〜図4に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの1/2波長板(2202a、2202b、2202c、2202d)、2つの光合成素子(2205A、2205B)、2つの開口板(2203A、2203B)、2つのシリンドリカルレンズ(2204A、2204B)、ポリゴンミラー2104、2つの偏向器側走査レンズ(2105A、2105B)、2つのダイクロイック偏光ビームスプリッタ(2108A、2108B)、2つの折り畳み光学素子(2107A、2107B)、2つの1/4波長板(2301A、2301B)、2つのダイクロイックミラー(2302A、2302B)、2つの折り返しミラー(2109A、2109B)、4つの像面側走査レンズ(2106a、2106b、2106c、2106d)、及び不図示の走査制御装置などを有している。そして、これらは、不図示の光学ハウジングに取り付けられている。
以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200a及び光源2200dは、波長655nmの光束を射出する半導体レーザを有し、光源2200b及び光源2200cは、波長780nmの光束を射出する半導体レーザを有している。そして、各光源は、複数の発光部を有している。なお、各半導体レーザは、端面発光レーザ(LD)であっても良いし、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL)であっても良い。
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れて配置されており、いずれも−Y方向に光束を射出する。光源2200aと光源2200dは、X軸方向に関して対向して配置されており、光源2200aは+X方向に光束を射出し、光源2200dは−X方向に光束を射出する。
以下では、便宜上、光源2200aから射出された光束を「光束LBa」、光源2200bから射出された光束を「光束LBb」、光源2200cから射出された光束を「光束LBc」、光源2200dから射出された光束を「光束LBd」ともいう。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束LBaの光路上に配置され、該光束を略平行光とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束LBbの光路上に配置され、該光束を略平行光とする。
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束LBcの光路上に配置され、該光束を略平行光とする。
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束LBdの光路上に配置され、該光束を略平行光とする。
1/2波長板2202aは、カップリングレンズ2201aを介した光束LBaの光路上に配置され、一例として図5に示されるように、光束LBaを光合成素子2205Aの入射面に対してs偏光とする。
1/2波長板2202bは、カップリングレンズ2201bを介した光束LBbの光路上に配置され、一例として図5に示されるように、光束LBbを光合成素子2205Aの入射面に対してp偏光とする。
1/2波長板2202cは、カップリングレンズ2201cを介した光束LBcの光路上に配置され、一例として図6に示されるように、光束LBcを光合成素子2205Bの入射面に対してp偏光とする。
1/2波長板2202dは、カップリングレンズ2201dを介した光束LBdの光路上に配置され、一例として図6に示されるように、光束LBdを光合成素子2205Bの入射面に対してs偏光とする。
光合成素子2205Aは、1/2波長板2202aの+X側であって、かつ1/2波長板2202bの−Y側に配置されている。この光合成素子2205Aは、偏光ビームスプリッタであり、p偏光を透過させ、s偏光を反射する特性を有している。そこで、光合成素子2205Aは、1/2波長板2202aを通過した光束LBaを−Y方向に反射し、1/2波長板2202bを通過した光束LBbを透過させる。これにより、光合成素子2205Aから射出される光束LBaと光束LBbの光路はほぼ同一となる。
光合成素子2205Bは、1/2波長板2202dの−X側であって、かつ1/2波長板2202cの−Y側に配置されている。この光合成素子2205Bは、偏光ビームスプリッタであり、p偏光を透過させ、s偏光を反射する特性を有している。そこで、光合成素子2205Bは、1/2波長板2202dを通過した光束LBdを−Y方向に反射し、1/2波長板2202cを通過した光束LBcを透過させる。これにより、光合成素子2205Bから射出される光束LBcと光束LBdの光路はほぼ同一となる。
なお、図5及び図6では、わかりやすくするため、光合成素子から射出される2つの光束の光路を異ならせて図示している。
各光合成素子は、2つの三角柱プリズムをビーム分離面で接合したキューブ型である。このビーム分離面は、ワイヤグリッド、誘電体多層膜等で構成することができる。なお、各光合成素子は、平行平板の一側の面をビーム分離面としたプレート型であっても良い。
また、ここでは、各光合成素子として、波長655nmの光束を反射し、波長780nmの光束を透過させるダイクロイックミラーを用いても良い。
図3に戻り、開口板2203Aは、開口部を有し、光合成素子2205Aからの光束LBa及び光束LBbを整形する。
開口板2203Bは、開口部を有し、光合成素子2205Bからの光束LBc及び光束LBdを整形する。
シリンドリカル2204Aは、開口板2203Aの開口部を通過した光束LBa及び光束LBbを、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカル2204Bは、開口板2203Bの開口部を通過した光束LBc及び光束LBdを、ポリゴンミラー2104の反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
このように、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)と、4つの1/2波長板(2202a、2202b、2202c、2202d)と、2つの光合成素子(2205A、2205A)と、2つの開口板(2203A、2203A)と、2つのシリンドリカルレンズ(2204A、2204B)とによって、「入射光学系」が構成されている。
図2に戻り、ポリゴンミラー2104は、一例として5面鏡を有し、各鏡がそれぞれ反射面となる。このポリゴンミラー2104は、不図示のモータ機構によってZ軸方向に平行な軸まわりに等速回転し、各シリンドリカルレンズからの光束を偏向する。
シリンドリカルレンズ2204Aからの光束(光束LBa、光束LBb)はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204Bからの光束(光束LBc、光束LBd)はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。なお、ポリゴンミラー2104の偏向反射面で偏向された光束が経時的に形成する光線束面は、「偏向面」と呼ばれている(特開平11−202252号公報参照)。ここでは、偏向面はXY面に平行である。
偏向器側走査レンズ2105Aは、ポリゴンミラー2104の−X側であって、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204Aからの光束(光束LBa、光束LBb)の光路上に配置されている。
偏向器側走査レンズ2105Bは、ポリゴンミラー2104の+X側であって、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204Bからの光束(光束LBc、光束LBd)の光路上に配置されている。
図4に示されるように、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aは、偏向器側走査レンズ2105Aの−X側に配置されている。
ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bは、偏向器側走査レンズ2105Bの+X側に配置されている。
各ダイクロイック偏光ビームスプリッタには、波長780nmの光束(光束LBb、光束LBc)に対しては、偏光方向がZ軸方向の光束を透過させ、偏光方向がY軸方向の光束を反射し、波長655nmの光束(光束LBa、光束LBd)に対しては、偏光方向がZ軸方向の光束を反射し、偏光方向がY軸方向の光束を透過させる特性が付与されている(図7参照)。
そこで、偏向器側走査レンズ2105Aを介した光束LBa及び光束LBbは、いずれもダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aを透過する。また、偏向器側走査レンズ2105Bを介した光束LBc及び光束LBdは、いずれもダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bを透過する。
折り畳み光学素子2107Aは、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aの−X側に配置されている。
折り畳み光学素子2107Bは、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bの+X側に配置されている。
各折り畳み光学素子は、同様な構成の光学素子である。そこで、代表として、折り畳み光学素子2107Aについて説明する。
折り畳み光学素子2107Aは、一例として図8及び図9に示されるように、偏光ビームスプリッタ2107、及び2つのミラー素子(2107、2107)を有している。
偏光ビームスプリッタ2107は、一例として図10に示されるように、基板の一側の面上に光学膜が形成されている。この偏光ビームスプリッタ2107は、波長に関係なく、偏光方向がZ軸方向の光束を透過させ、偏光方向がY軸方向の光束を反射する(図11参照)。すなわち、偏光ビームスプリッタ2107は、入射光の偏光方向によって透過及び反射特性が異なる光学面を有している。
なお、光学膜は、ワイヤグリッドや誘電体多層膜等によって実現することができる。また、基板は、光学膜の保持が可能で、取付の際に変形しない程度の機械的強度があれば良く、樹脂或いはガラス等で製造することができる。
偏光ビームスプリッタ2107は、光学膜がX軸方向(第1の方向)に対して45°傾斜するように配置されている。
各ミラー素子は、基板の一側の面上にミラー面が形成され、該ミラー面上に1/4波長板と同等の機能を持つ位相差板が設けられており、入射光の偏光方向を90°回転して反射する機能を有している(図12(A)及び図12(B)参照)。ミラー面は、金属蒸着等で実現することができる。また、基板は、ミラー面及び位相差板の保持が可能で、取付の際に変形しない程度の機械的強度があれば良く、樹脂或いはガラス等で製造することができる。なお、ミラー面と位相差板が基板によって挟まれている構成であっても良い。
ここでは、ミラー素子2107は、偏光ビームスプリッタ2107の+Z側に配置され、ミラー素子2107は、偏光ビームスプリッタ2107の−Z側に配置されている。そして、各ミラー素子は、それぞれのミラー面及び位相差板が互いに平行であり、それぞれの位相差板がZ軸方向(第2の方向)に関して対向するように配置されている(図13参照)。なお、Z軸方向に関して、ミラー素子2107のミラー面とミラー素子2107のミラー面との距離(以下では、「ミラー面間距離」ともいう)をH(図13参照)とする。
そこで、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aを透過した光束LBaは、折り畳み光学素子2107Aに入射すると、図14に模式図的に示されるように、光束LBaの偏光方向がY軸方向であるため、偏光ビームスプリッタ2107で+Z方向に反射されミラー素子2107に入射する。
ミラー素子2107に入射した光束LBaは、位相差板を透過し、ミラー面で反射され、再び位相差板を透過して偏光ビームスプリッタ2107に入射する。このとき、光束LBaの偏光方向がX軸方向であるため、光束LBaは、偏光ビームスプリッタ2107を透過しミラー素子2107に入射する。
ミラー素子2107に入射した光束LBaは、位相差板を透過し、ミラー面で反射され、再び位相差板を透過して偏光ビームスプリッタ2107に入射する。このとき、光束LBaの偏光方向がY軸方向であるため、光束LBaは、偏光ビームスプリッタ2107で−X方向に反射され、折り畳み光学素子2107Aから射出される。
なお、折り畳み光学素子の機能を説明するための図では、わかりやすくするため、進行方向の異なる2つの光束の光路は分離して図示するとともに、基板での屈折は無視している。
一方、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aを透過した光束LBbは、折り畳み光学素子2107Aに入射すると、図15に模式図的に示されるように、光束LBaの偏光方向がZ軸方向であるため、偏光ビームスプリッタ2107を透過し、折り畳み光学素子2107Aから射出される。
このように、光束LBaは、折り畳み光学素子2107Aによって上記ミラー面間距離Hの2倍(2H)の光路が付加される。
1/4波長板2301Aは、折り畳み光学素子2107Aの−X側に配置されている。
そして、ダイクロイックミラー2302Aは、1/4波長板2301Aの−X側で、X軸方向に関する感光体ドラム2030aでの結像位置と感光体ドラム2030bでの結像位置との間隔Pを二分する位置に配置されている。また、ダイクロイックミラー2302Aには、偏光方向に関係なく、波長780nmの光束(光束LBb)を反射し、波長655nmの光束(光束LBa)を透過させる特性が付与されている(図16参照)。
そこで、折り畳み光学素子2107Aから射出された光束LBaは、1/4波長板2301A及びダイクロイックミラー2302Aを透過する(図17参照)。
ダイクロイックミラー2302Aの−X側には、折り返しミラー2109Aが配置されている。ダイクロイックミラー2302Aを透過した光束LBaは、折り返しミラー2109Aによって、感光体ドラム2030aに向かう方向(+Z方向)に折り返される。
一方、折り畳み光学素子2107Aから射出された光束LBbは、1/4波長板2301Aを透過し、ダイクロイックミラー2302Aで反射される。ダイクロイックミラー2302Aで反射された光束LBbは、1/4波長板2301Aを透過し、折り畳み光学素子2107Aに入射する(図18参照)。このとき、光束LBbは、1/4波長板2301Aを2回通過するため、1/4波長板2301Aから折り畳み光学素子2107Aに向かうときの光束LBbの偏光方向は、Y軸方向になっている(図18参照)。
再び折り畳み光学素子2107Aに入射した光束LBbは、偏光方向がY軸方向であるため、偏光ビームスプリッタ2107で−Z方向に反射されミラー素子2107に入射する。
ミラー素子2107に入射した光束LBbは、位相差板を透過し、ミラー面で反射され、再び位相差板を透過して偏光ビームスプリッタ2107に入射する。このとき、光束LBbの偏光方向がX軸方向であるため、光束LBbは、偏光ビームスプリッタ2107を透過しミラー素子2107に入射する。
ミラー素子2107に入射した光束LBbは、位相差板を透過し、ミラー面で反射され、再び位相差板を透過して偏光ビームスプリッタ2107に入射する。このとき、光束LBbの偏光方向がY軸方向であるため、光束LBbは、偏光ビームスプリッタ2107で+X方向に反射され、折り畳み光学素子2107Aから射出される。
このように、光束LBbは、折り畳み光学素子2107Aによって上記ミラー面間距離Hの2倍(2H)の光路が付加される。
折り畳み光学素子2107Aで2Hの光路が付加された光束LBbは、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aに入射する。このとき、光束LBbは、偏光方向がY軸方向であるため、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aによって、感光体ドラム2030bに向かう方向(+Z方向)に反射される(図20参照)。
像面側走査レンズ2106aは、折り返しミラー2109Aによって折り返された光束LBaの光路上に配置されている(図21参照)。
そして、像面側走査レンズ2106aを介した光束LBaは、感光体ドラム2030aの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
像面側走査レンズ2106bは、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aで反射された光束LBbの光路上に配置されている(図22参照)。
そして、像面側走査レンズ2106bを介した光束LBbは、感光体ドラム2030bの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
本実施形態では、ポリゴンミラー2104の回転中心から感光体ドラム2030aの表面までの光束LBaの光路長Lkは、次の(1)式で示される。
Lk=3P/2+2H+L ……(1)
また、ポリゴンミラー2104の回転中心から感光体ドラム2030bの表面までの光束LBbの光路長Lyは、次の(2)式で示される。
Ly=3P/2+2H+L ……(2)
図4に戻り、1/4波長板2301Bは、折り畳み光学素子2107Bの+X側に配置されている。
そして、ダイクロイックミラー2302Bは、1/4波長板2301Bの+X側で、X軸方向に関する感光体ドラム2030cでの結像位置と感光体ドラム2030dでの結像位置との間隔Pを二分する位置に配置されている。また、ダイクロイックミラー2302Bには、偏光方向に関係なく、波長780nmの光束(光束LBc)を反射し、波長655nmの光束(光束LBd)を透過させる特性が付与されている。
そこで、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bを透過した光束LBcは、偏光方向がZ軸方向であるため、光路が付与されることなく折り畳み光学素子2107Bを通過し、1/4波長板2301Bを介してダイクロイックミラー2302Bに入射する。
ダイクロイックミラー2302Bに入射した光束LBcは、ダイクロイックミラー2302Bで反射され、1/4波長板2301Bを透過し、折り畳み光学素子2107Bに入射する。このとき、光束LBcは、1/4波長板2301Bを2回通過するため、1/4波長板2301Bから折り畳み光学素子2107Bに向かうときの光束LBcの偏光方向は、Y軸方向になっている。
再び折り畳み光学素子2107Bに入射した光束LBcは、偏光方向がY軸方向であるため、上述した光束LBbと同様に上記2Hの光路が付加されて、折り畳み光学素子2107Bから射出される。
折り畳み光学素子2107Bで2Hの光路が付加された光束LBcは、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bに入射する。このとき、光束LBcは、偏光方向がY軸方向であるため、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bによって、感光体ドラム2030cに向かう方向(+Z方向)に反射される。
一方、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bを透過した光束LBdは、偏光方向がY軸方向であるため、上述した光束LBaと同様に上記2Hの光路が付加されて、折り畳み光学素子2107Bから射出される。
折り畳み光学素子2107Bから射出された光束LBdは、1/4波長板2301B及びダイクロイックミラー2302Bを透過する。
ダイクロイックミラー2302Bの+X側には、折り返しミラー2109Bが配置されている。ダイクロイックミラー2302Bを透過した光束LBdは、折り返しミラー2109Bによって、感光体ドラム2030dに向かう方向(+Z方向)に折り返される。
像面側走査レンズ2106cは、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bで反射された光束LBcの光路上に配置されている。
そして、像面側走査レンズ2106cを介した光束LBcは、感光体ドラム2030cの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
像面側走査レンズ2106dは、折り返しミラー2109Bによって折り返された光束LBdの光路上に配置されている。
そして、像面側走査レンズ2106dを介した光束LBdは、感光体ドラム2030dの表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
ポリゴンミラー2104の回転中心から感光体ドラム2030cの表面までの光束LBcの光路長Lcは、次の(3)式で示される。
Lc=3P/2+2H+L ……(3)
また、ポリゴンミラー2104の回転中心から感光体ドラム2030dの表面までの光束LBdの光路長Lmは、次の(4)式で示される。
Lm=3P/2+2H+L ……(4)
各偏向器前走査レンズは、ガラス製である。この場合は、各偏向器前走査レンズでの複屈折が低減されるため、以降の偏光分離部材での分離特性を劣化させることがない。
図23には、比較例として、いわゆる2段光路の走査光学系が示されている。この場合、ポリゴンミラーの回転中心から感光体ドラム2030cへ向かう光束の光路長L1は、次の(5)式で示される。
L1=(P/2)+2×aP+L+D ……(5)
2段光路の場合、a>1/2とすることができるので、2a=(1+α)(0<α<1)とおくと、上記(5)式は、次の(6)式のように書ける。
L1=(P/2)+(1+α)P+L+D=(3P/2)+L+αP+D ……(6)
上記(6)式から、α及びDの値に応じて光路長を自由に調整できることがわかるが、光走査装置の厚さはDの値によって支配される。従って、上記(6)式は、「光走査装置を厚くすれば長い光路長が得られる」という当然の結果を述べているに過ぎない。
図24には、折り畳み光学素子を用いないで、いわゆる1段光路の走査光学系を構成する場合が示されている。この場合は、各光束の光路長は、3P/2+Lであり、これを上回ることができない。そこで、「3P/2+L」は、1段光路の限界と呼ぶことができる。また、この場合の光路長は、PとLという光走査装置とは関係のないパラメータのみを含んでいる。従って、光走査装置以外での制約条件で一意に光路長が決まってしまう。
本実施形態では、折り畳み光学素子を用いることにより、上記1段光路における光路長の限界「3P/2+L」に対して、光走査装置の大きさを変えることなく、2Hの光路長を付与できていることがわかる。すなわち、本実施形態では、走査光学系にとって避けることのできない「走査幅に規定され長くなってしまう光路長」のコンパクト化を実現している。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置2010では、各折り畳み光学素子によって、本発明の光学素子が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係る折り畳み光学素子によると、偏光ビームスプリッタ2107、及び2つのミラー素子(2107、2107)を有している。そして、各ミラー素子は、入射光の偏光方向を90°回転して反射する機能を有している。
偏光ビームスプリッタ2107は、偏光方向がZ軸方向の光束を透過させ、偏光方向がY軸方向の光束を反射する特性を有し、X軸方向に対して45°傾斜して配置されている。2つのミラー素子(2107、2107)は、偏光ビームスプリッタ2107を挟んで、Z軸方向に対向して、ミラー面間隔Hで配置されている。
この場合、偏光方向がY軸方向の光束が折り畳み光学素子に入射されると、該光束に2Hの光路が付加されて射出される。すなわち、光の光路を折り畳むことができる。
そして、本実施形態に係る光走査装置2010によると、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、入射光学系、ポリゴンミラー2104、2つの偏向器側走査レンズ(2105A、2105B)、2つのダイクロイック偏光ビームスプリッタ(2108A、2108B)、2つの折り畳み光学素子(2107A、2107B)、2つの1/4波長板(2301A、2301B)、2つのダイクロイックミラー(2302A、2302B)、2つの折り返しミラー(2109A、2109B)、4つの像面側走査レンズ(2106a、2106b、2106c、2106d)などを有している。
この場合は、1段光路において、ポリゴンミラー2104の回転中心から感光体ドラム表面までの各光束の光路長を「3P/2+2H+L」とすることができる。
従って、走査精度を低下させることなく、小型化を図ることができる。
また、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、画像品質を低下させることなく、小型化を図ることができる。
また、本実施形態によると、光走査装置及び画像形成装置を小型化することができるため、光走査装置及び画像形成装置の生産に関わる材料の使用量を減らすことができ、その結果として資源採掘量及びプラスチックゴミ排出量に関して環境負荷の増大を抑制することが可能となる。
ところで、感光体ドラムと光走査装置を隔てた空間には、各色に対して現像、帯電、感光体ドラムのクリーニング、トナーや廃棄トナーの貯蔵、などを行う作像ユニットが収納されるのが一般的である。そこで、画像形成装置自体のサイズがそのままでいい場合には、光走査装置の薄型化が実現されれば、画像形成装置の内部において作像ユニットに許される空間が広くなる。そこで、トナー貯蔵部分を大きくすることができ、ユーザによるトナーの補給回数を従来よりも少なくすることができる。また、露光、現像、クリーニングといった作用を繰返し受ける感光体ドラムのサイズを大きくすることができ、耐久性の向上を見込むことができる。このように、光走査装置の薄型化によって、ユーザが、頻繁なメンテナンスや頻繁な補給トナー調達に煩わされなくなり、「使いやすさの向上」を実現することができる。
なお、上記実施形態では、ダイクロイック偏光ビームスプリッタと1/4波長板との間に1つの折り畳み光学素子が設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ダイクロイック偏光ビームスプリッタと1/4波長板との間に複数の折り畳み光学素子が設けられても良い。
例えば、図25に示されるように、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aと1/4波長板2301Aとの間に2つの折り畳み光学素子(2107A1、2107A2)が設けられ、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Bと1/4波長板2301Bとの間に2つの折り畳み光学素子(2107B1、2107B2)が設けられても良い。
ここでは、2つの折り畳み光学素子は、互いにX軸方向に隣接して配置されている(図26参照)。
この場合、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aを透過した光束LBaは、図27に示されるように、折り畳み光学素子2107A1に入射すると、2Hの光路長が付加されて折り畳み光学素子2107A1から射出され、折り畳み光学素子2107A2に入射する。
折り畳み光学素子2107A2に入射した光束LBaは、2Hの光路長が付加されて折り畳み光学素子2107A2から射出される(図28参照)。
折り畳み光学素子2107A2から射出された光束LBaは、1/4波長板2301A及びダイクロイックミラー2302Aを透過し、折り返しミラー2109Aによって、感光体ドラム2030aに向かう方向(+Z方向)に折り返される。
このときの、ポリゴンミラー2104の回転中心から感光体ドラム2030aの表面までの光束LBaの光路長Lkは、次の(7)式で示される(図29参照)。
Lk=3P/2+4H+L ……(7)
一方、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aを透過した光束LBbは、図30に示されるように、折り畳み光学素子2107A1に入射すると、光路が付加されることなく折り畳み光学素子2107A1から射出され、折り畳み光学素子2107A2に入射する。
折り畳み光学素子2107A2に入射した光束LBbは、光路が付加されることなく折り畳み光学素子2107A2から射出される。
折り畳み光学素子2107A2から射出された光束LBaは、1/4波長板2301Aを透過し、ダイクロイックミラー2302Aで反射され、1/4波長板2301Aを透過して、再び折り畳み光学素子2107A2に入射する(図31参照)。
ダイクロイックミラー2302Aで反射された光束LBbは、図32に示されるように、折り畳み光学素子2107A2に入射すると、2Hの光路長が付加されて折り畳み光学素子2107A2から射出され、折り畳み光学素子2107A1に入射する。
折り畳み光学素子2107A1に入射した光束LBbは、2Hの光路長が付加されて折り畳み光学素子2107A1から射出される。
折り畳み光学素子2107A1から射出された光束LBbは、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ2108Aによって、感光体ドラム2030bに向かう方向(+Z方向)に反射される。
このときの、ポリゴンミラー2104の回転中心から感光体ドラム2030bの表面までの光束LBbの光路長Lyは、次の(8)式で示される(図33参照)。
Ly=3P/2+4H+L ……(8)
このように、ダイクロイック偏光ビームスプリッタと1/4波長板との間に2つの折り畳み光学素子が設けられていると、光束に4Hの光路長を付加することができる。すなわち、折り畳み光学素子が1つの場合よりも、長い光路をコンパクトに折り畳むことができる。
なお、この場合に、一例として図34に示されるように、折り畳み光学素子2107A1のミラー素子2107と折り畳み光学素子2107A2のミラー素子2107とが一体化されていても良い。同様に、折り畳み光学素子2107A1のミラー素子2107と折り畳み光学素子2107A2のミラー素子2107とが一体化されていても良い。これにより、折り畳み光学素子2107A1の偏光ビームスプリッタ2107と折り畳み光学素子2107A2の偏光ビームスプリッタ2107とをX軸方向に関して接近させることが可能となる。2つの偏光ビームスプリッタ2107を接近させると、折り畳み光学素子2107A1と折り畳み光学素子2107A2からなる折り畳み光学系のX軸方向に関するサイズは小さくなるが、折り畳み光学系により付加される光路長(迂回光路長)は4Hのままで変わらない。従って、光路の折り畳み効率(一定の体積内に詰め込まれる光路の長さ)が向上することがわかる。また、ミラー素子の集約化によって、折り畳み光学系の生産効率も向上する。
また、一例として図35に示されるように、折り畳み光学素子2107A1の偏光ビームスプリッタ2107の傾斜方向と折り畳み光学素子2107A2の偏光ビームスプリッタ2107の傾斜方向とが互いに異なっていても良い。
X軸方向に対して傾いた板状の透過光学素子は、厚さがあるために入射する光束を屈折させる。その屈折の度合は画角が高いほど大きくなるため、一般に板状の透過光学素子に走査光が入射すると像面上に走査線の曲がりとして現れる。このような傾いた板状の透過光学素子による走査線曲がりは、逆方向に傾いた別の板状の透過光学素子を追加することで軽減することができる。図35では、2つの板状の偏光ビームスプリッタが、XZ平面内でハの字を為すように配置されている。このような配置にすることにより、本来の折り畳み光学系の機能を損なうことなく、板状の偏光ビームスプリッタで生じる走査線曲がりを相殺することができる。但し、折り畳み光学系の偏光ビームスプリッタ以外にも板状の透過光学素子が存在する場合があるため、折り畳み光学系の偏光ビームスプリッタは上記「ハの字」配置に限られるものではない。
図36(A)には、折り畳み光学系を用いない場合の光路長の数値例が示されている。また、図36(B)には、折り畳み光学系を用いた場合の光路長の数値例が示されている。一般的な光走査装置の走査範囲である約300mmに対して、許容限度内の像面湾曲や走査等速性を確保しようとすると、ポリゴンミラーの回転中心から結像位置までの光路長としては、約280mm以上が必要になる。従って、複数個の折り畳み光学素子を用いることによって、薄型の光走査装置を実現できることがわかる。
なお、図36(A)及び図36(B)には、比較対象として2段光路(D=30)の場合の、ポリゴンミラーの回転中心から結像位置までの光路長が示されている。折り畳み光学素子が2個のときの光路長は、2段光路のときの光路長と同程度であることがわかる。また、2段光路においては、D=30mmであっても、光学素子の大きさが加わるため、光走査装置の厚さは30mmを必ず超えることになる。一方、1段光路の場合は、光走査装置の厚さはHと同程度になるため、2段光路と同等の光路長を確保しながら、光走査装置の厚さを大幅に小さくすることに成功していることがわかる。
また、4Hの光路長を付加する構成の変形例が図37及び図38に示されている。図37における符号2303Aは1/4波長板である。図38における符号2304は偏光ビームスプリッタ、符号2304及び2304はミラー素子である。この場合は、2個の折り畳み光学素子を用いるときよりも、光学膜の枚数が減少し、光利用効率の低下を抑制することができる。すなわち、「光学膜の枚数を減らしつつ光路長を確保する」設計が可能となる。
また、上記実施形態では、折り畳み光学素子が板状部材を組み合わせた構造である場合について説明したが、これに限らず、例えば、図39及び図40に示されるように、2つの三角柱プリズムを組み合わせた構造であっても良い。さらに、三角柱プリズムと板状部材を組み合わせた構造であっても良い。
また、上記実施形態において、例えば、光束LBaと光束LBbの光路長を異ならせる場合には、ダイクロイックミラー2302AのX軸方向に関する位置を調整すれば良い。
また、上記実施形態において、光走査装置2010に代えて、図41に示されるように、感光体ドラム2030aと感光体ドラム2030bを光走査する光走査装置2010Aと、感光体ドラム2030cと感光体ドラム2030dを光走査する光走査装置2010Bとを用いても良い。
また、上記実施形態では、各ダイクロイック偏光ビームスプリッタが、波長655nmの光束(光束LBa、光束LBd)に対しては、偏光方向がZ軸方向の光束を反射し、偏光方向がY軸方向の光束を透過させる特性が付与されている場合について説明したが、偏向器側走査レンズにおいて複屈折性により発生する不要光を考慮する必要がないときは、波長655nmの光束(光束LBa、光束LBd)に対しては、偏光方向に関係なく透過させる特性が付与されていても良い。
また、上記実施形態では、各光源が複数の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態において、前記ポリゴンミラー2104に代えて、ガルバノミラーやマイクロミラーを利用した光偏向器を用いても良い。
また、ミラー素子は、様々な入射角の光束が入射してきた場合においても、等しい偏光回転を与えることができるように、Y軸方向の位置によって、偏光回転特性が異なっていても良い(図42(A)〜図42(C)参照)。これは、ミラー素子の1/4波長板がフィルム状であるとき、Y軸方向に関して厚さを変化させたものや、延伸強度及び延伸方向を場所によって異ならせて製造したもの等で実現できる。
なお、上記折り畳み光学素子は、光ディスク装置において光ピックアップの読み出し光を受光素子に導く光学系に用いることができる。また、偏光子と組み合わせた光アイソレータに用いることができる。
また、上記実施形態では、画像形成装置が4つの感光体ドラムを有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、画像形成装置が2つの感光体ドラムを有していても良い。また、画像形成装置が5つあるいは6つの感光体ドラムを有していても良い。
また、上記実施形態において、感光体ドラムから記録紙へのトナー画像の転写が、感光体ドラムから記録紙へ直接的に行われる直接転写方式であっても良い。
また、上記実施形態では、像担持体がドラム状の場合について説明したが、これに限らず、シート状やベルト状であっても良い。例えば、シート状の光導電性の感光体として酸化亜鉛紙を用いても良い。
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光プロッタやデジタル複写装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で転写対象物としての印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、像担持体としてビームスポットの熱エネルギにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)を用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により可視画像を直接、像担持体に形成することができる。
要するに、上記光走査装置2010を備えた画像形成装置であれば、結果として高コスト化を招くことなく、小型化を図ることが可能となる。
以上説明したように、本発明の光学素子によれば、光の光路を折り畳むのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、走査精度を低下させることなく、小型化を図るのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、画像品質を低下させることなく、小型化を図るのに適している。
2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a〜2030d…感光体ドラム(像担持体)、2104…ポリゴンミラー(光偏向器)、2105A…偏向器側走査レンズ、2105B…偏向器側走査レンズ、2106a〜2106d…像面側走査レンズ、2107A…折り畳み光学素子(光学素子)、2107B…折り畳み光学素子(光学素子)、2107…偏光ビームスプリッタ、2107…ミラー素子、2107…ミラー素子、2108A…ダイクロイック偏光ビームスプリッタ、2108B…ダイクロイック偏光ビームスプリッタ、2109A…折返しミラー、2109B…折返しミラー、2301A…1/4波長板、2301B…1/4波長板、2302A…ダイクロイックミラー、2302B…ダイクロイックミラー、LBa…光束(第1の光束)、LBb…光束(第2の光束)、LBc…光束(第2の光束)、LBd…光束(第1の光束)。
特開2010‐026440号公報 特開2009‐205098号公報 特開2009‐069178号公報 特開2009‐063615号公報 特開2010‐061114号公報 特開2009‐063739号公報 特開2009‐069399号公報

Claims (14)

  1. 入射光の偏光方向によって透過及び反射特性が異なり、第1の方向に対して傾斜した少なくとも1つの光学面と;
    前記第1の方向に直交する第2の方向に関して、前記少なくとも1つの光学面の一側に配置され、少なくとも1つの反射面を含み、前記少なくとも1つの光学面を介した前記入射光の偏光方向を90°回転して反射する第1反射部と;
    前記第2の方向に関して、前記少なくとも1つの光学面の他側に配置され、少なくとも1つの反射面を含み、前記少なくとも1つの光学面を介した前記入射光の偏光方向を90°回転して反射する第2反射部と;を有する光学素子。
  2. 前記第1反射部及び前記第2反射部は、対向し、互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記第2の方向に関する前記第1反射部と前記第2反射部との間隔は、折り畳まれる光路の長さに応じて設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記少なくとも1つの光学面は、前記第1の方向に沿って配置された複数の光学面であり、
    前記第1反射部及び前記第2反射部は、前記複数の光学面に対応する複数の反射面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
  5. 前記第1反射部における複数の反射面及び前記第2反射部における複数の反射面の少なくともいずれかは、一体化されていることを特徴とする請求項4に記載の光学素子。
  6. 前記第1反射部及び前記第2反射部は、前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれにも直交する第3の方向における前記入射光の入射位置によって偏光回転特性が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子。
  7. 前記少なくとも1つの光学面は、前記第1の方向に対して45°傾斜していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学素子。
  8. 複数の被走査面を主走査方向に光走査する光走査装置であって、
    互いに波長が異なる第1の光束と第2の光束を射出する照明系と;
    前記照明系からの前記第1の光束及び前記第2の光束を偏向する光偏向器と;
    前記光偏向器で偏向された前記第1の光束及び前記第2の光束を対応する被走査面に導く走査光学系と;を備え、
    該走査光学系は、前記光偏向器に近い順に配置された、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子、1/4波長板、及びダイクロイックミラーを含む光走査装置。
  9. 前記走査光学系に入射する前記第1の光束は、第1の波長で第1の偏光方向の光束であり、前記第2の光束は、第2の波長で第2の偏光方向の光束であり、
    前記ダイクロイック偏光ビームスプリッタは、前記第1の波長でかつ前記第1の偏光方向の光束、及び前記第2の波長でかつ前記第2の偏光方向の光束を透過させ、前記第1の波長でかつ前記第2の偏光方向の光束、及び前記第2の波長でかつ前記第1の偏光方向の光束を反射する特性を有することを特徴とする請求項8に記載の光走査装置。
  10. 前記ダイクロイックミラーは、前記第1の波長の光束を透過させ、前記第2の波長の光束を反射する特性を有することを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
  11. 前記照明系は、前記第1の光束を射出する第1の光源と、前記第2の光束を射出する第2の光源と、前記第1の光源からの前記第1の光束と前記第2の光源からの前記第2の光束を略同一の光路に集約して射出する光路合成素子とを含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の光走査装置。
  12. 前記走査光学系は走査レンズを含み、
    該走査レンズには、前記第1の光束及び前記第2の光束がいずれも入射することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の光走査装置。
  13. 前記走査レンズは、ガラス製レンズであることを特徴とする請求項12に記載の光走査装置。
  14. 複数の像担持体と;
    前記複数の像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を用いて光走査する請求項8〜13のいずれか一項に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
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