JP5723169B2 - ステータの製造方法及びステータの製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分割コア構造を有するステータの製造方法及び製造装置に関するものである。
従来、ブラシレスモータのステータは、環状部及び該環状部から径方向内側に突出する複数のティース部を有するステータコアと、各ティース部にそれぞれ巻線が巻装されてなるコイルとを備え、このステータ(ステータコア)がモータケース内に圧入固定又は焼き嵌めされるようになっている。このようなステータのステータコアとしては、例えば、特許文献1に示すように、環状部を周方向に分割した形状の分割環状部とその分割環状部から突出する上記ティース部とをそれぞれ有する複数の分割コアからなり、分割環状部が環状とされる前にティース部に巻線を巻装することでその巻装作業を容易にしたものがある。
特開2009−183058号公報
しかしながら、上記のような分割コアによりステータコアを構成するものでは、各分割コアを環状に配置して固定しなければならないため、複数のティース部を一体的に成形したステータコアに比べ、ステータコア(ステータ)の真円度の低下等を招きやすいといった問題が生じる。ステータコアの真円度が低下すると、ステータコアとロータマグネットとの間のエアギャップが不均一となり易く、ロストルクやコギングトルクが増大してしまう。また、ステータコアの真円度が低下すると、ステータコアをモータケースに嵌め込む際に、ステータコアやモータケースが削れてしまったり、ステータコアがモータケースに食い込んでしまったりする、所謂かしりが生じるという問題がある。
そこで、上記特許文献1に示される方法では、モータケース内に径方向に隙間を有してステータコアが挿入配置され、その後、ステータコアの配置位置と対応するモータケースの外周面にリング部材が圧入又は焼嵌め固定される。そして、そのリング部材の固定によるモータケースの内径収縮にて、該モータケースの内周面にステータコアが固定されるようになっている。これにより、ステータコアをモータケースに嵌め込む際の前記かしりの発生を抑制しつつも、ステータコアをモータケース内に固定することができるようになっている。しかしながら、このような方法では、リング部材が必要であるため、部品点数が増加するという問題があり、この点においてなお、改善の余地があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、部品点数の増加を抑えつつも、ステータコアの真円度を向上させることが可能なステータの製造方法及びステータの製造装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、環状部と該環状部から径方向内側に突出する複数のティース部とを有するステータコアがモータケースの内周面に固定され、前記ステータコアは、前記環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部毎に設けられる前記ティース部とからなる分割コアが周方向に複数並列されて構成されたステータの製造方法であって、溶接用芯金の外周面に前記ティース部の径方向内側端部を当接させつつ該芯金の周りに前記分割コアを環状に配置した後、周方向に隣り合う前記分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間を溶接する溶接工程と、前記溶接工程後、環状に配置された前記分割コアから前記溶接用芯金を引き抜く引き抜き工程と、前記引き抜き工程後、環状に配置された前記各分割コアからなる前記ステータコアの径を前記ステータコアの内周に挿入された調整用芯金にて調整する調整工程と、前記調整工程後、前記ステータコアを前記モータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する固定工程とを備えたことを特徴とする。
この発明では、溶接工程において周方向に隣り合う分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間が溶接されることで、ステータコアの径の調整が許容された状態で各分割コア間が連結される。このため、引き抜き工程後の調整工程において、ステータコアをモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定するのに適切な寸法にステータコアの径を調整することが可能となる。これにより、真円度の高いステータコアを製造可能となるため、ステータコアをモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する際に、ステータコアやモータケースが削れてしまったり、ステータコアがモータケースに食い込んでしまったりする、所謂かしりの発生を抑えることができる。また、このかしりの発生が抑えられることで、モータケースに組み込まれたステータコアの寸法不良の発生を抑えることができる。このように本発明では、モータケースの外周面に設けられるリング部材等を必要としないため、部品点数の増加を抑えつつも、ステータコアの真円度を向上させることが可能となる。
この発明では、調整工程においてステータコアの内周に挿入された調整用芯金にて該ステータコアの径が調整されるため、ステータコアの真円度を好適に調整することが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のステータの製造方法において、前記固定工程において、前記調整用芯金が前記ステータコアの内周に挿入された状態で前記ステータコアを前記モータケースに圧入固定又は焼嵌め固定し、その後、前記調整用芯金を前記ステータコアから取り除くことを特徴とする。
この発明では、調整用芯金が前記ステータコアの内周に挿入された状態で、該ステータコアがモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定され、その固定後に調整用芯金がステータコアから取り除かれる。このため、調整用芯金をステータコアから取り除いた後にステータコアをモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する場合と比較して、ステータコアの真円度を向上させることができる。
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載のステータの製造方法において、前記ティース部の径方向内側端部と当接する前記調整用芯金の外周面の径が拡縮可能に構成されたことを特徴とする。
この発明では、調整用芯金をティース部の径方向内側端部との間に隙間を空けて挿入した後、該調整用芯金の外周面を拡径させることでステータコアの径を調整することが可能となる。これにより、ステータコアの真円度をより好適に調整することが可能となる。
請求項に記載の発明は、環状部と該環状部から径方向内側に突出する複数のティース部とを有するステータコアがモータケースの内周面に固定され、前記ステータコアは、前記環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部毎に設けられる前記ティース部とからなる分割コアが周方向に複数並列されて構成されたステータの製造装置であって、環状に配置された前記分割コアの内周に配置され、その分割コアの環状状態を維持させるための溶接用芯金を備え、前記溶接用芯金の外径は、周方向に隣り合う前記分割環状部同士の間に間隙を生じさせることが可能な寸法に設定され、周方向に隣り合う前記分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間を溶接した後の前記ステータコアの径を前記ステータコアの内周に挿入し調整する調整用芯金を備えたことを特徴とする。
この発明では、溶接用芯金の周りに分割コアを環状に配置した後、周方向に隣り合う分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間を溶接することが可能となる。これにより、ステータコアの径の調整が許容された状態で各分割コア間を連結することが可能となり、ステータコアをモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定するのに適切な寸法にステータコアの径を調整することが可能となる。これにより、真円度の高いステータコアを製造可能となるため、ステータコアをモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する際に、ステータコアやモータケースが削れてしまったり、ステータコアがモータケースに食い込んでしまったりする、所謂かしりの発生を抑えることができる。また、このかしりの発生が抑えられることで、モータケースに組み込まれたステータコアの寸法不良の発生を抑えることができる。このように本発明では、モータケースの外周面に設けられるリング部材等を必要としないため、部品点数の増加を抑えつつも、ステータコアの真円度を向上させることが可能となる。
また、ステータコアの内周に挿入された調整用芯金にて該ステータコアの径が調整されるため、ステータコアの真円度を好適に調整することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、環状部と該環状部から径方向内側に突出する複数のティース部とを有するステータコアがモータケースの内周面に固定され、前記ステータコアは、前記環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部毎に設けられる前記ティース部とからなる分割コアが周方向に複数並列されて構成されたステータの製造方法であって、溶接用芯金の外周面に前記ティース部の径方向内側端部を当接させつつ該芯金の周りに前記分割コアを環状に配置した後、周方向に隣り合う前記分割環状部同士を接触させることなく該分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間を溶接する溶接工程と、前記溶接工程後、環状に配置された前記分割コアから前記溶接用芯金を引き抜く引き抜き工程と、前記引き抜き工程後、環状に配置された前記各分割コアからなる前記ステータコアの径を調整する調整工程と、前記調整工程後、前記ステータコアを前記モータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する固定工程とを備えたことを特徴とする。
この発明では、溶接工程において周方向に隣り合う分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間が溶接されることで、ステータコアの径の調整が許容された状態で各分割コア間が連結される。このため、引き抜き工程後の調整工程において、ステータコアをモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定するのに適切な寸法にステータコアの径を調整することが可能となる。これにより、真円度の高いステータコアを製造可能となるため、ステータコアをモータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する際に、ステータコアやモータケースが削れてしまったり、ステータコアがモータケースに食い込んでしまったりする、所謂かしりの発生を抑えることができる。また、このかしりの発生が抑えられることで、モータケースに組み込まれたステータコアの寸法不良の発生を抑えることができる。このように本発明では、モータケースの外周面に設けられるリング部材等を必要としないため、部品点数の増加を抑えつつも、ステータコアの真円度を向上させることが可能となる。
従って、上記記載の発明によれば、部品点数の増加を抑えつつも、ステータコアの真円度を向上させることが可能となる。
(a)は本実施形態におけるブラシレスモータの平面図、(b)は図1(a)におけるA−A線断面図。 (a)はステータをホルダ側から見た平面図、(b)は図2(a)におけるB−B線断面図。 溶接用芯金の部分断面図。 調整用芯金の部分断面図。 環状治具を模式的に示す平面図。 溶接工程を説明するための説明図。 調整工程を説明するための説明図。 固定工程を説明するための説明図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
まず、本実施形態のステータの製造方法及び製造装置を説明する前に、その製造方法及び製造装置にて製造されたステータを備えるブラシレスモータについて説明する。
図1(a)(b)及び図2(a)(b)に示すように、ブラシレスモータ1のモータケース2は、有底筒状に形成されるとともに、その内周面2aには略円筒状のステータ3が固定されている。ステータ3の内側には、モータケース2の底部中央に設けられた軸受4を介してロータ5が回転可能に配置されている。また、ロータ5を構成する回転軸6には、円筒状のロータコア7が固定されるとともに、該ロータコア7の外周面には所定角度ごとに異なる極性(N極、S極)に着磁されたマグネット8が固着されている。そして、ステータ3におけるモータケース2の開口部側の端部には、絶縁性を有する合成樹脂材料よりなるホルダ9が固定されるとともに、該ホルダ9は、ステータ3の軸線方向一端側を覆っている。
図2(a)(b)に示すように、ステータ3を構成するステータコア10は、軸方向から見た形状がT字状をなす12個の分割コア11を周方向に連結して円環状に構成されている。各分割コア11は、軸方向から見た形状が円弧状をなす分割環状部12と、該分割環状部12の周方向の中央部から径方向内側に延びるティース部13とから構成されている。各分割コア11は、分割コア11の軸方向となる方向に電磁鋼板を複数枚(例えば数十枚)積層してなるとともに、電磁鋼板同士は軸方向にそれぞれかしめられて一体化されている。本実施形態では、各分割コア11同士は分割環状部12の周方向両端がレーザ溶接されることで固定されている。各分割コア11には、各分割コア11の軸方向の両端面及び周方向の両側面を被覆するボビン14が軸方向の両側から装着されている。そして、ティース部13には、ボビン14の上から巻線15が集中巻きにて複数回巻回されることによりコイル16がそれぞれ巻装されている。
そして、図1(a)に示すように、各コイル16の接続端部16aは、ホルダ9のステータ3と反対側の面まで引き出されて、ホルダ9におけるステータ3と反対側の面に配置された複数(本実施形態では4個)のターミナル17にそれぞれ結線される。このように構成されたブラシレスモータ1では、駆動電源(図示略)から三相の励磁電流が各ターミナル17(本実施形態では、図1(a)における上側に配置された3つ)を介して各コイル16に対して供給されると、各コイル16がそれぞれ励磁されてステータ3に回転磁界が発生し、その回転磁界に基づいてロータ5が回転するようになっている。
[ステータの製造方法]
次に、ブラシレスモータ1に備えられる上記のステータ3を製造する製造方法について図3〜図8に従って説明する。
本実施形態のステータ3の製造装置は、図3に示す溶接用芯金21と、図4に示す調整用芯金31と、図5に示す環状治具41とを有する。
まず、分割コア11を環状化してステータコア10を成形するための溶接用芯金21について説明する。図3に示すように、溶接用芯金21はシャフト22を備える。シャフト22は、軸方向下側部分が同一径をなす円柱部22aで構成されるとともに、軸方向上側部分には、軸方向上側端部に向かうにつれて縮径する略円錐形状をなすテーパ部22bが形成されている。
シャフト22の円柱部22aは、軸方向に並ぶベース部23aとホルダ部23bを貫通するとともに、該円柱部22aには、ホルダ部23bを貫通するバネ23cが外挿されている。バネ23cの上端はホルダ部23bの下面と接しているとともに、バネ23cの下端はシャフト22の下端部に固着されたバネストッパ24aと接している。バネストッパ24aは、固定ナット24bによって共締めされることによってシャフト22の下端に固着されている。これにより、バネ23cはシャフト22を下側に付勢するようになっている。
溶接用芯金21のテーパ部22bの外周には、周方向に並ぶ3個の拡縮部25aから構成される分割コア配置部25が設けられている。各拡縮部25aの内周面は、軸方向下側に向かうにつれて拡径するテーパ面25bとなっており、該テーパ面25bはシャフト22のテーパ部22bと接触している。これにより、シャフト22が軸方向上方にスライドされると、各拡縮部25aはテーパ部22bと摺接しつつ拡径し、反対にシャフト22が軸方向下方にスライドされると、各拡縮部25aはテーパ部22bと摺接しつつ縮径するようになっている。このように、各拡縮部25aからなる分割コア配置部25の外径D1が拡縮可能となっている。
シャフト22の上端には、各拡縮部25aと係合可能なキャップ26が設けられている。また、ホルダ部23bの上面には、各拡縮部25aと係合可能な位置決め部27が設けられている。キャップ26と位置決め部27は、分割コア配置部25の外径D1を決定するためのものである。尚、位置決め部27の外周面には、ステータコア10を軸方向に位置決めするための軸方向位置決め部28が設けられている。
図4に示す調整用芯金31は、上記の溶接用芯金21と略同様の構成であるが、モータケース2を軸方向に位置決めするためのケース位置決め部32がベース部23aに設けられている点で溶接用芯金21とは異なっている。尚、この調整用芯金31において、溶接用芯金21と同様の構成に関しては同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5に示す環状治具41は、後述する溶接工程において環状に配置された各分割コア11を外周側から押圧保持するためのものである。環状治具41は、略円筒状をなすとともに、その径が拡縮可能に構成されている。また、環状治具41には、径方向に貫通する複数のスリット41aが周方向等間隔に形成されている。
次に、ステータ3の製造方法について詳述する。
まず、ティース部13にコイル16が巻装された状態の各分割コア11を略環状にするとともに、その各分割コア11の内周側に溶接用芯金21の分割コア配置部25が挿入される。このとき、分割コア11は、溶接用芯金21の軸方向位置決め部28と軸方向に当接して位置決めされるようになっている。また、このとき、分割コア配置部25の外径D1は、各分割コア11の内周側への挿入を容易にすべく縮径されている。その後、分割コア配置部25を拡径させて、その外周面を各分割コア11のティース部13の先端部13a(径方向内側端部)に当接させるとともに、分割コア配置部25の外径D1を、ステータコア10の内径規格上限よりも若干大きい径で固定する。このとき、図6において分割環状部12の右側の周方向端部を第1端部12aとし、左側の周方向端部を第2端部12bとして、周方向に隣り合う分割環状部12同士の第1端部12aと第2端部12bとの間に間隙Sがそれぞれ形成される。
その後、環状治具41を分割コア11の外周に配置し、この環状治具41にて各分割コア11を径方向内側に加圧する。尚、環状治具41は周方向に亘って均一な力で分割コア11を加圧可能となっている。そして、この加圧状態で、環状治具41の各スリット41aを介して周方向に隣り合う分割環状部12同士の第1端部12aと第2端部12bとの間をそれぞれレーザ溶接する(溶接工程)。このレーザ溶接によって、第1端部12aと第2端部12bとはその外周側部分のレーザ溶接部12cで溶接される。また、レーザ溶接後においても、隣り合う分割環状部12の第1端部12aと第2端部12bとの間の間隙Sは維持される。
次に、環状に配置された分割コア11(ステータコア10)から溶接用芯金21を軸方向に引き抜く(引き抜き工程)。ここで、隣り合う分割環状部12の第1端部12aと第2端部12bとの間に間隙Sが形成されているため、溶接用芯金21を引き抜いた時にステータコア10が縮径(又は縮径に伴って変形)する現象が生じる。
次に、ステータコア10の内径を調整する調整工程を行う。この調整工程では、まず、ステータコア10の内周側に調整用芯金31の分割コア配置部25を挿入する。その後、図7に示すように、分割コア配置部25を拡径してティース部13の先端部13aに当接させるとともに、分割コア配置部25の外径D2を所定の大きさ(溶接用芯金21の外径D1及び内径規格上限よりも小さい値)まで拡径することでステータコア10を外周側に押し広げてその内径を調整する。このとき、ステータコア10の外径も拡大するが、その拡大量を最小限に抑えつつ内径の真円度が向上するように調整する。
その後、図8に示すように、ステータコア10の内周に調整用芯金31の分割コア配置部25が挿入されて内外径が適正に調整された状態のまま、ステータ3の軸とモータケース2の軸を合わせてステータコア10をモータケース2に焼嵌め固定する(固定工程)。このとき、モータケース2は、調整用芯金31のケース位置決め部32と軸方向に当接して位置決めされるようになっている。焼嵌め固定した後、ステータコア10から調整用芯金31を軸方向に取り除く。
次に、本実施形態の作用について説明する。
溶接工程において、隣り合う分割環状部12間に間隙Sを持たせた状態でその各分割環状部12間を溶接するため、その後のステータコア10の径の調整が許容される。そして、調整工程でステータコア10の外径の拡大量を最小限に抑えつつ内径の真円度が向上するように調整するため、その後の固定工程において、ステータコア10の外周面10aとモータケース2の内周面2aとの間のクリアランスZが周方向全体に亘って最大限確保されるようになっている。このため、ステータコア10をモータケース2に焼嵌め固定する際に、ステータコア10やモータケース2が削れてしまったり、ステータコア10がモータケース2に食い込んでしまったりする、所謂かしりの発生が抑えられ、その結果、かしりによって生じるステータコア10の寸法不良の発生が抑えられるようになっている。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)本実施形態では、溶接用芯金21(分割コア配置部25)の外周面にティース部13の先端部13aを当接させつつ該溶接用芯金21の周りに分割コア11を環状に配置した後、周方向に隣り合う分割環状部12同士の間に間隙Sを持たせた状態で該各分割環状部12間が溶接される。これにより、ステータコア10の径の調整が許容された状態で各分割コア11間が連結される。このため、ステータコア10から溶接用芯金21を引き抜いた後の調整工程において、ステータコア10をモータケース2に焼嵌め固定するのに適切な寸法にステータコア10の径を調整することが可能となる。これにより、真円度の高いステータコア10を製造可能となるため、ステータコア10をモータケース2に焼嵌め固定する際に、ステータコア10やモータケース2が削れてしまったり、ステータコア10がモータケース2に食い込んでしまったりする、所謂かしりの発生を抑えることができる。その結果、このかしりによって生じるステータコア10の寸法不良の発生を抑えることができる。このように本発明では、モータケース2の外周面に設けられるリング部材等を必要としないため、部品点数の増加を抑えつつも、ステータコア10の真円度を向上させることが可能となる。
(2)本実施形態では、調整工程においてステータコア10の内周に挿入された調整用芯金31にて該ステータコア10の径が調整されるため、ステータコア10の真円度を好適に調整することが可能となる。
(3)本実施形態では、調整用芯金31がステータコア10の内周に挿入された状態で、該ステータコア10がモータケース2に焼嵌め固定され、その固定後に調整用芯金31がステータコア10から取り除かれる。このため、調整用芯金31をステータコア10から取り除いた後にステータコア10をモータケース2に焼嵌め固定する場合と比較して、ステータコア10の真円度を向上させることができる。
(4)本実施形態では、ティース部13の先端部13aと当接する調整用芯金31(分割コア配置部25)の外周面の径が拡縮可能に構成される。このため、調整用芯金31をティース部13の先端部13aとの間に隙間を空けて挿入した後、該調整用芯金31の外周面を拡径させることでステータコア10の径を調整することが可能となる。これにより、ステータコア10の真円度をより好適に調整することが可能となる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ステータコア10をモータケース2に焼嵌め固定した後に調整用芯金31をステータコア10から取り除いたが、調整用芯金31をステータコア10から取り除いた後に該ステータコア10をモータケース2に固定してもよい。
・上記実施形態では、固定工程において、ステータコア10をモータケース2に焼嵌め固定したが、これに特に限定されるものではなく、圧入固定としてもよい。
・上記実施形態では、溶接用芯金21の分割コア配置部25を拡縮可能に構成したが、これに特に限定されるものではなく、拡縮不能としてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) テータの製造方法、又はステータの製造装置を用いて製造されたことを特徴とするステータ。
これにより、部品点数の増加を抑えつつもステータコアの真円度を向上させることが可能となる。
1…ブラシレスモータ、2…モータケース、2a…モータケースの内周面、3…ステータ、10…ステータコア、10a…ステータコアの外周面、11…分割コア、12…分割環状部、13…ティース部、21…溶接用芯金、31…調整用芯金(調整手段)、D1…溶接用芯金の分割コア配置部の外径、D2…調整用芯金の分割コア配置部の外径、S…間隙。

Claims (5)

  1. 環状部と該環状部から径方向内側に突出する複数のティース部とを有するステータコアがモータケースの内周面に固定され、
    前記ステータコアは、前記環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部毎に設けられる前記ティース部とからなる分割コアが周方向に複数並列されて構成されたステータの製造方法であって、
    溶接用芯金の外周面に前記ティース部の径方向内側端部を当接させつつ該芯金の周りに前記分割コアを環状に配置した後、周方向に隣り合う前記分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間を溶接する溶接工程と、
    前記溶接工程後、環状に配置された前記分割コアから前記溶接用芯金を引き抜く引き抜き工程と、
    前記引き抜き工程後、環状に配置された前記各分割コアからなる前記ステータコアの径を前記ステータコアの内周に挿入された調整用芯金にて調整する調整工程と、
    前記調整工程後、前記ステータコアを前記モータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する固定工程と
    を備えたことを特徴とするステータの製造方法。
  2. 請求項に記載のステータの製造方法において、
    前記固定工程において、前記調整用芯金が前記ステータコアの内周に挿入された状態で前記ステータコアを前記モータケースに圧入固定又は焼嵌め固定し、その後、前記調整用芯金を前記ステータコアから取り除くことを特徴とするステータの製造方法。
  3. 請求項又はに記載のステータの製造方法において、
    前記ティース部の径方向内側端部と当接する前記調整用芯金の外周面の径が拡縮可能に構成されたことを特徴とするステータの製造方法。
  4. 環状部と該環状部から径方向内側に突出する複数のティース部とを有するステータコアがモータケースの内周面に固定され、
    前記ステータコアは、前記環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部毎に設けられる前記ティース部とからなる分割コアが周方向に複数並列されて構成されたステータの製造装置であって、
    環状に配置された前記分割コアの内周に配置され、その分割コアの環状状態を維持させるための溶接用芯金を備え、
    前記溶接用芯金の外径は、周方向に隣り合う前記分割環状部同士の間に間隙を生じさせることが可能な寸法に設定され、
    周方向に隣り合う前記分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間を溶接した後の前記ステータコアの径を前記ステータコアの内周に挿入し調整する調整用芯金を備えたことを特徴とするステータの製造装置。
  5. 環状部と該環状部から径方向内側に突出する複数のティース部とを有するステータコアがモータケースの内周面に固定され、
    前記ステータコアは、前記環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部毎に設けられる前記ティース部とからなる分割コアが周方向に複数並列されて構成されたステータの製造方法であって、
    溶接用芯金の外周面に前記ティース部の径方向内側端部を当接させつつ該芯金の周りに前記分割コアを環状に配置した後、周方向に隣り合う前記分割環状部同士を接触させることなく該分割環状部同士の間に間隙を持たせた状態で該各分割環状部間を溶接する溶接工程と、
    前記溶接工程後、環状に配置された前記分割コアから前記溶接用芯金を引き抜く引き抜き工程と、
    前記引き抜き工程後、環状に配置された前記各分割コアからなる前記ステータコアの径を調整する調整工程と、
    前記調整工程後、前記ステータコアを前記モータケースに圧入固定又は焼嵌め固定する固定工程と
    を備えたことを特徴とするステータの製造方法。
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