本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
この発明の実施の形態による研磨用組成物COMP1は、下記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するビニルアルコール系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の水溶性高分子と、砥粒と、アルカリとを含む。
そして、研磨用組成物COMP1は、シリコンの研磨に用いられる。
水溶性高分子は、例えば、変成PVA(ポリビニルアルコール)からなる。
砥粒としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、コロイダルアルミナ、ヒュームドアルミナおよびセリアなどが挙げられ、コロイダルシリカまたはヒュームドシリカが特に好ましい。
アルカリは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、および水酸化テトラメチルアンモニウムの1種または2種からなる。
研磨用組成物COMP1は、上記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するビニルアルコール系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の水溶性高分子、砥粒およびアルカリを適宜混合して水を加えることによって作製される。また、研磨用組成物COMP1は、上記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するビニルアルコール系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の水溶性高分子、砥粒およびアルカリを、順次、水に混合することによって作製される。そして、これらの成分を混合する手段としては、モノジナイザー、および超音波等、研磨用組成物の技術分野において常用される手段が用いられる。
研磨用組成物COMP1は、アルカリを含む結果、pHが10〜11の範囲に設定される。
この発明の実施の形態においては、研磨用組成物COMP1は、キレート剤を更に含んでいてもよい。
キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA: Ethylene Diamine Tetraacetic Acid)、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA: Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA: Diethylene Triamine Pentaacetic Acid)、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸(NTA: Nitrilo Triacetic Acid)、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、トリエチレントリアミン5酢酸(TTHA: Triethylene Triamine Pentaacetic Acid)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA: Hydroxyethyl Imino Diacetic Acid)、ジヒドロキシエチルグリセリン(DHEG: Dihydroxy Ethyl Glycine)、エチレングリコールビス2アミノエチルエーテル四酢酸(EGTA: Ethylene Glycol bis(2-aminoethylether) Tetraacetic Acid)、および1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA:1,2-Cyclohezane Diamine Tetraacetic Acid)等からなる。
また、有機ホスホン酸系キレート剤には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸などが含まれる。
更に、酸性のキレート剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、酸性リン酸エステル塩、ホスホン酸塩、無機酸塩、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール部分エステル、カルボン酸アミド等が挙げられる。
カルボン酸塩のカルボン酸としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、イソデカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ウンデセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等の脂肪族一塩基酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、アルケニルコハク酸等の脂肪族二塩基酸;サリチル酸、アルキルサリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族カルボン酸;ダイマー酸、トリマー酸、ナフテン酸、9(又は10)−(4−ヒドロキシフェニル)オクタデカン酸等が挙げられる。
スルホン酸塩のスルホン酸としては、例えば、石油スルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
酸性リン酸エステル塩の酸性リン酸エステルとしては、例えば、オクタノールの(モノ又はジ)リン酸エステル、ラウリルアルコールの(モノ又はジ)リン酸エステル、オレイルアルコールの(モノ又はジ)リン酸エステル、ブチルアルコールエトキシレートの(モノ又はジ)リン酸エステル、オレイルアルコールエトキシレートの(モノ又はジ)リン酸エステル等が挙げられる。
ホスホン酸塩のホスホン酸としては、例えば、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等が挙げられる。また、無機酸としては、例えば、(ポリ)リン酸、ケイ酸、ホウ酸等が挙げられる。
更に、キレート剤は、上述したものの置換体および誘導体からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物からなる。
そして、キレート剤は、研磨対象物であるシリコンウェーハが金属に汚染されるのを防止する。
更に、この発明の実施の形態においては、研磨用組成物COMP1は、非イオン性界面活性剤を更に含んでいてもよい。
非イオン性界面活性剤は、例えば、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンからなる。
また、この発明の実施の形態による研磨用組成物は、研磨用組成物COMP2であってもよい。
研磨用組成物COMP2は、研磨用組成物COMP1から砥粒を削除したものである。
研磨用組成物COMP2は、上記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するビニルアルコール系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の水溶性高分子およびアルカリを適宜混合して水を加えることによって作製される。また、研磨用組成物COMP2は、上記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するビニルアルコール系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の水溶性高分子およびアルカリを、順次、水に混合することによって作製される。そして、これらの成分を混合する手段としては、モノジナイザー、および超音波等、研磨用組成物の技術分野において常用される手段が用いられる。
研磨用組成物COMP2は、アルカリを含む結果、pHが10〜11の範囲に設定される。
この発明の実施の形態においては、研磨用組成物COMP2は、上述したキレート剤を更に含んでいてもよい。
また、この発明の実施の形態においては、研磨用組成物COMP2は、非イオン性界面活性剤を更に含んでいてもよい。
非イオン性界面活性剤は、例えば、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンからなる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
実施例1〜3および比較例1〜5における研磨用組成物の成分を表1に示す。
実施例1の研磨用組成物Sample1は、95.42重量%の水と、3.0重量%のコロイダルシリカ(砥粒)と、1.0重量%のK2CO3と、0.5重量%のKOHと、0.03重量%のG−Polymer(OKS−1028(重合度:600):水溶性高分子)と、0.05重量%のジエチレントリアミン5酢酸(DTPA:キレート剤)とを含む。
ここで、G−Polymerは、変成PVAの具体例であり、日本合成化学工業社の製品である。また、OKS−1028は、G−Polymerの製品型番である。従って、この明細書においては、表記“G−Polymer(AAAAAAAA(重合度:BBB))”のG−Polymerは、変成PVAの具体例としての日本合成化学工業社の製品を表し、AAAAAAAAは、G−Polymerの製品型番を表す(以下、同じ。)
実施例2の研磨用組成物Sample2は、実施例1の研磨用組成物Sample1の水溶性高分子を0.03重量%のG−Polymer(OKS−8049(重合度:450))に代えたものである。
実施例3の研磨用組成物Sample3は、実施例1の研磨用組成物Sample1の水溶性高分子を0.03重量%のG−Polymer(AZF8035W(重合度:300))に代えたものである。
比較例1の研磨用組成物Sample_CP1は、実施例1の研磨用組成物Sample1の水溶性高分子を0.03重量%のG−Polymer(OKS−1009(重合度:1200))に代えたものである。
比較例2の研磨用組成物Sample_CP2は、実施例1の研磨用組成物Sample1の水溶性高分子を0.03重量%のポリビニルアルコール(PVA(重合度:500))に代えたものである。
比較例3の研磨用組成物Sample_CP3は、実施例1の研磨用組成物Sample1の水溶性高分子を0.03重量%のポリビニルアルコール(PVA(重合度:2000))に代えたものである。
比較例4の研磨用組成物Sample_CP4は、実施例1の研磨用組成物Sample1の水溶性高分子を0.03重量%のポリビニルアルコール(PVA(重合度:3500))に代えたものである。
比較例5の研磨用組成物Sample_CP5は、実施例1の研磨用組成物Sample1の水溶性高分子を0.03重量%のHECに代えたものである。
なお、上記の組成は、希釈前の組成であり、研磨時には、希釈して使用される。
(研磨速度評価1)
研磨装置(SPP800S、岡本工作機械製作所製)を用い、研磨パッド(SUBATM400、ニッタ・ハース社製)に実施例1〜3および比較例1〜5の研磨用組成物を600ml/分の割合で供給し、かつ、直径12インチのシリコンウェーハに150(g/cm2)の圧力をかけながら研磨定盤を33rpmの回転速度で回転させ、キャリアを30rpmの回転速度で回転させながら、5分、研磨を行なった。
研磨終了後、研磨によって除去されたシリコンウェーハの厚みの差を厚み測定機(Nanometro 300TT−A、黒田精工株式会社製)を用いてシリコンウェーハの厚みを非接触レーザ変位計を用いて算出した。研磨速度は、単位時間当たりに研磨によって除去されたシリコンウェーハの厚み(μm/分)で評価した。
(LPD評価)
LPDは、ウェーハ表面検査装置(LS6600、日本電子エンジニアリング社製)を用いて、研磨後のウェーハ表面に存在する粒子径が60nm以上のサイズを有する粒子の個数、80nm以上のサイズを有する粒子の個数、および100nm以上のサイズを有する粒子の個数を測定し、ウェーハ1枚当たりの粒子の個数として測定した。
(表面粗さ評価)
表面粗さRaは、非接触表面粗さ測定機(Wyco NT9300、Veeco社製)を用いて、研磨後のウェーハの表面の粗さを測定した。
(スラリー起泡評価)
スラリー20mlを100mlの振とう管に入れ、ストローク量50mmで100回/分の速度で振とうする振とう機にて、1分間、スラリーを振とうさせた。その後、1分間、静置した後の液面からの泡の高さを測定した。
[スラリー起泡判定の基準]
○:0〜5mm
△:6〜20mm
×:21mm以上
(GBIR評価)
GBIR(Global Back−side Ideal Range)は、黒田精工株式会社製 ウェーハ用平坦度検査装置ナノメトロ・300TTによって測定された。
実施例1〜3および比較例1〜5による研磨用組成物COMP1−1〜COMP1−3,COMP_CP1−1〜COMP_CP1−5を用いてシリコンウェーハを研磨したときの100nm以上のLPDを表2に示す。
なお、表2における“○”は、100nm以上のLPDが2000個未満であることを表し、“×”は、100nm以上のLPDが2000個以上であることを表す。
表2に示すように、実施例1〜3による研磨用組成物Sample1〜Sample3を用いてシリコンウェーハを研磨したときの100nm以上のLPDは、それぞれ、1131個,1135個および917個である。そして、LPDは、研磨用組成物Sample〜Sample3に含まれるG−Polymerの重合度が小さくなるに従って低減される。これは、G−Polymerの重合度が小さくなるに従って、一分子当たりの大きさが小さくなり、研磨面に対して分子が緻密に吸着することにより、シリコンウェーハの研磨表面が保護されるためであると考えられる。
一方、比較例1〜5による研磨用組成物Sample_CP1〜Sample_CP5を用いてシリコンウェーハを研磨したときの100nm以上のLPDは、それぞれ、16033個、12603個、17455個、25240個および2368個である。
このように、実施例1〜3による研磨用組成物Sample1〜Sample3を用いてシリコンウェーハを研磨することによって、LPDを低減できる。そして、比較例1の研磨用組成物Sample_CP1は、重合度が1200であるG−Polymer(OKS−1009)を含み、LPDが16033個であるので、1200未満の重合度を有するG−Polymer(OKS−1028,OKS−8049,AZF8035W)を用いたときの1131個,1135個,917個のLPDは、臨界的意義を有する。
実施例2,3および比較例2,3,5による研磨用組成物Sample2,Sample3,Sample_CP2,Sample_CP3,SampleCP5を用いてシリコンウェーハを研磨したときの表面粗さを表3に示す。
なお、表3における添加量は、水溶性高分子の添加量を表す。また、表3における“○”は、水溶性高分子の添加量の増加によって表面粗さが0.3nm以下になることを表し、“△”は、水溶性高分子の添加量の増加によって表面粗さが0.3nm以下にならないことを表し、“×”は、水溶性高分子の添加量の増加によって表面粗さが殆ど減少しないことを表す。
表3に示すように、実施例2,3による研磨用組成物Sample2,Sample3を用いたシリコンウェーハを研磨したとき、表面粗さは、水溶性高分子の添加量の増加に伴って減少し、90ppmの添加量において、それぞれ、0.23nmおよび0.25nmになる。
一方、比較例2,3,5による研磨用組成物Sample_CP2,Sample_CP3,Sample_CP5を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、表面粗さは、水溶性高分子の添加量の増加に伴って0.3nm以下にならない。
従って、実施例2,3による研磨用組成物Sample2,Sample3を用いることによって、表面粗さを低減できる。
実施例2,3および比較例1〜5による研磨用組成物Sample2,Sample3,Sample_CP1〜Sample_CP5を用いてシリコンウェーハを研磨したときの研磨レートを表4に示す。
なお、表4において、“○”は、研磨レートが0.24μm/minであることを表し、“△”は、研磨レートが0.24μm/minよりも1割程度低いことを表し、“×”は、研磨レートが0.24μm/minよりも2割程度低いことを表す。
表4に示すように、実施例2,3および比較例2,3による研磨用組成物Sample2,Sample3,Sample_CP2,Sample_CP3を用いてシリコンウェーハを研磨したときの研磨レートは、0.24μm/minであり、比較例1,4による研磨用組成物Sample_CP1,Sample_CP4を用いてシリコンウェーハを研磨したときの研磨レートは、0.22μm/minであり、比較例5による研磨用組成物Sample_CP5を用いてシリコンウェーハを研磨したときの研磨レートは、0.21μm/minである。
このように、水溶性高分子として重合度が1200未満であるG−Polymerを用いた場合、研磨レートは、0.24μm/minと高い。
実施例2,3および比較例1〜5による研磨用組成物Sample2,Sample3,Sample_CP1〜Sample_CP5を用いてシリコンウェーハを研磨したときのGBIR悪化量を表5に示す。
なお、表5において、“○”は、GBIR悪化量が0.1μm未満であることを表し、 “×”は、GBIR悪化量が0.1μmよりも大きいことを表す。
表5に示すように、実施例2,3および比較例1〜4による研磨用組成物Sample2,Sample3,Sample_CP1〜Sample_CP4を用いてシリコンウェーハを研磨したときのGBIR悪化量は、0.1μm未満である。一方、比較例5による研磨用組成物Sample_CP5を用いてシリコンウェーハを研磨したときのGBIR悪化量は、0.1μmよりも大きい。
従って、水溶性高分子として重合度が1200未満であるG−Polymerを用いることによって、水溶性高分子としてHECを用いた場合よりもシリコンウェーハの表面形状の悪化を抑制できる。
実施例2および比較例2,3,5による研磨用組成物Sample2,Sample_CP2,SampleP_CP3,Sample_CP5の泡立ち高さを表6に示す。
なお、表6における添加量は、水溶性高分子の添加量を表す。また、表6における“○”は、泡立ち高さが5mm未満であることを表し、“×”は、泡立ち高さが5mm以上であることを表す。
表6に示すように、実施例2による研磨用組成物Sample2の泡立ち高さは、1mm以下である。一方、比較例2,3,5による研磨用組成物Sample_CP2,Sample_CP3,Sample_CP5の泡立ち高さは、5mm以上である。
従って、重合度が1200未満であるG−Polymer(OKS−8049)を水溶性高分子として用いることによって、研磨用組成物の泡立ち高さを大きく低減できる。
上述したように、重合度が1200未満であるG−Polymer(OKS−1028,OKS−8049,AZF8035W)を水溶性高分子として用いることによって、100nm以上のLPDを2000個未満に抑制でき、かつ、シリコンウェーハの表面粗さを0.3nm以下に低減できる。
しかし、比較例1〜5による研磨用組成物Sample_CP1〜Sample_CP5は、100nm以上のLPDを2000個未満に抑制すること、および、シリコンウェーハの表面粗さを0.3nm以下に低減することを両立できない。
そして、実施例2による研磨用組成物Sample2は、比較例2,3,5による研磨用組成物Sample_CP2,Sample_CP3,Sample_CP5に比べ、泡立ち高さを大幅に低減できる。
実施例4および比較例6,7による研磨用組成物Sample4,Sample_CP6,Sample_CP7の組成を表7に示す。
実施例4の研磨用組成物Sample4は、98.42重量%の水と、1.0重量%のK2CO3と、0.5重量%のKOHと、0.03重量%のG−Polymer(OKS−8049(重合度:450):水溶性高分子)と、0.05重量%のジエチレントリアミン5酢酸(DTPA:キレート剤)とを含む。即ち、実施例4の研磨用組成物Sample4は、実施例2による研磨用組成物Sample2のコロイダルシリカ(砥粒)を削除したものである。
比較例6の研磨用組成物Sample_CP6は、実施例4の研磨用組成物Sample4の水溶性高分子を0.03重量%のポリビニルアルコール(PVA(重合度:500))に代えたものである。
比較例7の研磨用組成物Sample_CP7は、実施例4の研磨用組成物Sample4の水溶性高分子を0.03重量%のHECに代えたものである。
このように、実施例4および比較例6,7による研磨用組成物Sample4,Sample_CP6,Sample_CP7は、砥粒を含まない研磨用組成物である。
なお、上記の組成は、希釈前の組成であり、研磨時には、希釈して使用される。
実施例4および比較例6,7による研磨用組成物Sample4,Sample_CP6,Sample_CP7を用いてシリコンウェーハを研磨したときの80nm以上のLPD、100nm以上のLPDおよび研磨レートを表8に示す。
なお、研磨レートは、上述した研磨速度評価1において説明した方法によって評価された。
表8に示すように、実施例4による研磨用組成物Sample4を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、80nm以上のLPDは、48個であり、100nm以上のLPDは、22個であり、研磨レートは、0.05μm/minである。
一方、比較例6による研磨用組成物Sample_CP6を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、80nm以上のLPDおよび100nm以上のLPDは、30000個よりも多く、研磨レートは、0.05μm/minである。また、比較例7による研磨用組成物Sample_CP7を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、80nm以上のLPDは、69個であり、100nm以上のLPDは、22個であり、研磨レートは、0.07μm/minである。
このように、砥粒を含まない研磨用組成物において、水溶性高分子として重合度が1200未満であるG−Polymer(OKS−8049)を用いることによって、水溶性高分子としてPVAまたはHECを用いた場合の研磨レートを維持しながら、LPDを低減できる。
上述したように、実施例1〜4による研磨用組成物Sample1〜Sample4は、重合度が1200未満であるG−Polymerを水溶性高分子として用いた研磨用組成物であり、実施例1〜4による研磨用組成物Sample1〜Sample4を用いてシリコンウェーハを研磨したときのLPDおよび表面粗さを低減できる。そして、水溶性高分子としてのG−Polymerの重合度が1200未満である範囲は、実施例1〜4による研磨用組成物Sample1〜Sample4をシリコンウェーハの二次研磨に用いた場合に好適な範囲である。
実施例5〜8および比較例8〜10による研磨用組成物Sample5〜Sample8,Sample_CP8〜Sample_CP10の組成を表9に示す。
実施例5の研磨用組成物Sample5は、89.25重量%の水と、10.5重量%のコロイダルシリカ(砥粒)と、0.1重量%のNH3と、0.15重量%のG−Polymer(OKS−1083(重合度:1900):水溶性高分子)とを含む。
実施例6の研磨用組成物Sample6は、実施例5の研磨用組成物Sample5のNH3の含有量を0.2重量%に変えたものである。
実施例7の研磨用組成物Sample7は、実施例5の研磨用組成物Sample5のNH3の含有量を0.3重量%に変えたものである。
実施例8の研磨用組成物Sample8は、実施例5の研磨用組成物Sample5のNH3の含有量を0.4重量%に変えたものである。
比較例8の研磨用組成物Sample_CP8は、実施例5の研磨用組成物Sample5のNH3の含有量を0.6重量%に変えたものである。
比較例9の研磨用組成物Sample_CP9は、実施例5の研磨用組成物Sample5のNH3の含有量を0.8重量%に変えたものである。
比較例10の研磨用組成物Sample_CP10は、実施例5の研磨用組成物Sample5のNH3の含有量を1.0重量%に変えたものである。
実施例5〜8による研磨用組成物Sample5〜Sample8は、シリコンウェーハの最終段階の研磨に用いられる研磨用組成物である。
なお、上記の組成は、希釈前の組成であり、研磨特性は、30倍希釈した研磨用組成物を用いて評価された。
(研磨速度評価2)
研磨装置(Strasbaugh)を用い、研磨パッド(Supreme RN−H)に実施例5〜8および比較例8〜10の研磨用組成物を300ml/分の割合で供給し、かつ、直径8インチのシリコンウェーハに100(g/cm2)の圧力をかけながら研磨定盤を115rpmの回転速度で回転させ、キャリアを100rpmの回転速度で回転させながら、5分、研磨を行なった。
研磨終了後、研磨速度評価1において説明した方法によって、研磨速度を評価した。
実施例5〜8および比較例8〜10による研磨用組成物Sample5〜Sample8,Sample_CP8〜Sample_CP10を用いてシリコンウェーハを研磨したときの60nm以上のLPD、Hazeおよび研磨レートを表10に示す。
実施例5〜8による研磨用組成物Sample5〜Sample8を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、60nm以上のLPDは、それぞれ、344個、199個、273個、および290個であり、Hazeは、それぞれ、104,102,107,113であり、研磨レートは、それぞれ、17(nm/min),20(nm/min),23(nm/min),24(nm/min)である。
一方、比較例8〜10による研磨用組成物Sample_CP8〜Sample_CP10を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、60nm以上のLPDは、それぞれ、731個、1996個、および637個であり、Hazeは、それぞれ、126,136,136であり、研磨レートは、それぞれ、28(nm/min),29(nm/min),31(nm/min)である。
このように、実施例5〜8による研磨用組成物Sample5〜Sample8を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、研磨レートの大きな低下を防止して、60nm以上のLPDを0.455倍〜0.099倍に低減できるとともに、Hazeを0.89〜0.75倍に低減できる。
実施例9〜14および比較例11,12による研磨用組成物Sample9〜Sample14,Sample_CP11,Sample_CP12の組成を表11に示す。
実施例9による研磨用組成物Sample9は、88.85重量%の水と、10.5重量%のコロイダルシリカ(砥粒)と、0.4重量%のNH3と、0.25重量%のG−Polymer(OKS−1083(重合度:1900):水溶性高分子)とを含む。
実施例10による研磨用組成物Sample10は、実施例9による研磨用組成物Sample9に、0.1重量%のN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンを追加したものである。
実施例11による研磨用組成物Sample11は、実施例10による研磨用組成物Sample10のN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を0.2重量%に変えたものである。
実施例12による研磨用組成物Sample12は、実施例10による研磨用組成物Sample10のN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を0.3重量%に変えたものである。
実施例13による研磨用組成物Sample13は、実施例10による研磨用組成物Sample10のN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を0.4重量%に変えたものである。
実施例14による研磨用組成物Sample14は、実施例10による研磨用組成物Sample10のN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を0.5重量%に変えたものである。
比較例11による研磨用組成物Sample_CP11は、実施例10による研磨用組成物Sample10のN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を0.75重量%に変えたものである。
比較例12による研磨用組成物Sample_CP12は、実施例10による研磨用組成物Sample10のN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を1.0重量%に変えたものである。
実施例9〜14および比較例11,12による研磨用組成物Sample10〜Sample15,Sample_CP11,Sample_CP12を用いてシリコンウェーハを研磨したときの60nm以上のLPD、Hazeおよび研磨レートを表12に示す。
なお、研磨レートは、上述した研磨速度評価2において説明した方法によって評価された。
表12に示すように、実施例10〜15による研磨用組成物Sample10〜Sample15を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、60nm以上のLPDは、それぞれ、139個、79個、83個、96個、112個および208個であり、Hazeは、それぞれ、113,113,112,112,111,112であり、研磨レートは、それぞれ、21(nm/min),21(nm/min),16(nm/min),18(nm/min),11(nm/min),9(nm/min)である。
一方、比較例11,12による研磨用組成物Sample_CP11,Sample_CP12を用いてシリコンウェーハを研磨したとき、60nm以上のLPDは、それぞれ、722個、および1366個であり、Hazeは、それぞれ、126,116であり、研磨レートは、それぞれ、9(nm/min),6(nm/min)である。
このように、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量が0〜0.5重量%の範囲では、60nm以上のLPDは、208個以下であり、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量が0.75重量%以上である場合に比べ、0.29〜0.058倍に低減される。
そして、実施例10による研磨用組成物Sample10は、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンを含まないので、研磨用組成物中におけるN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を0.1重量%〜0.4重量%の範囲に設定することによって、60nm以上のLPDを139個から112個以下に低減でき、研磨用組成物中におけるN,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミンの含有量を0.1重量%〜0.3重量%の範囲に設定することによって、60nm以上のLPDを139個から96個以下に低減できる。
従って、この発明の実施の形態による研磨用組成物においては、非イオン性界面活性剤(N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)エチレンジアミン)の含有量は、0.5重量%以下に設定され、好ましくは、0.1重量%〜0.4重量%の範囲に設定され、更に好ましくは、0.1重量%〜0.3重量%の範囲に設定される。
G−Polymerからなる水溶性高分子と、NH3からなるアルカリと、コロイダルシリカからなる砥粒とを含む研磨用組成物Aと、HECからなる水溶性高分子と、NH3からなるアルカリと、コロイダルシリカからなる砥粒とを含む研磨用組成物Bとについて、フィルタリングの実験を行なった。この場合、研磨用組成物A,Bは、希釈後のスラリーからなり、G−Polymerは、商品名(OKS−1083)からなり、HECの分子量は、100万である。
フィルタリングの実験は、ポンプ(LEV50(株式会社イワキ製))を4000rpmの回転数で回転させて研磨用組成物A,Bをフィルター(0.2μm@10インチ、日本ポール株式会社製)に通したときの希釈後の経過時間と研磨用組成物A,Bの流量との関係を測定することによって行なわれた。
希釈後の経過時間と研磨用組成物A,Bの流量との関係を表13に示す。
表13に示すように、水溶性高分子としてG−Polymerを用いた研磨用組成物Aの流量は、希釈直後において1680ml/minであり、10分の経過時間において2040ml/minであり、20分〜10080分の経過時間において2070ml/minである。
一方、水溶性高分子としてHECを用いた研磨用組成物Bの流量は、希釈直後から0ml/minである。
従って、水溶性高分子としてG−Polymerを用いることによって、希釈時のpH変動による粗大粒子の発生が抑制されていることが解った。
上述したように、G−Polymerからなる水溶性高分子を用いることによってLPDおよび表面粗さを低減できる。これは、次の理由による。
PVAの重合体は、次の式(2)によって表されるポリビニルアルコールと、次の式(3)によって表されるポリ酢酸ビニルとの共重合体である。
一方、G−Polymerは、上記式(2)によって表されるポリビニルアルコールと、次の式(4)によって表される変成PVAとの共重合体であり、式(4)によって表される変成PVAの割合は、数%である。
G−Polymerは、その構造より立体障害を生じやすい部位を有し、結晶化が抑制される。
一方、PVAの重合体は、立体規則性があり、結晶化度が高いポリマーである。それは、PVAの側鎖の水酸基が水素基と大きさが殆ど変わらず、主鎖が結晶の際にジグザク鎖をとるが、水酸基が立体障害となり、その配列形態を変えるほどの影響力を持たない事が理由であると考えられる。
また、PVAは、研磨中等に高速回転で攪拌された際に、分子配向が進み結晶化が起こる。PVAの結晶化が進むと、微小な析出結晶によりシリコンウェーハの研磨表面に傷をつけるだけでなく、水溶状のポリマーの存在割合が減少することでシリコンウェーハの研磨表面を十分に保護することができなくなる。
従って、水溶性高分子としてG−Polymerを用いた場合、LPDおよび表面粗さを低減でき、水溶性高分子としてPVAの重合体を用いた場合、LPDの値が悪化したり、表面粗さが十分に除去されないものと考えられる。
また、アルカリとの反応性において、G−PolymerとPVAおよびHECとの間には、次のような違いがある。
シリコン研磨剤の濡れ剤として一般的に使用されている、セルロース類(HEC)やPVAは、アルカリとの反応性があり、混合するとアルカリイオンに水酸基イオンが引き寄せられ、ポリマー分子の水酸基が脱水縮合され、疎水化し、凝集・析出する。また、ポロキサミン等のポリエーテルポリマーも分子結晶水がアルカリイオンに取られ、水中に溶解・分散することが出来ずに析出する。
一方、G−Polymerは、アルカリとの反応性が低く、同条件でアルカリを添加しても凝集物は観察されない。
1%のG−Polymerを含む水溶液、1%のHECを含む水溶液、1%のPVAを含む水溶液、1%のG−Polymerと49%のKOHとを含む水溶液、1%のHECと49%のKOHとを含む水溶液、および1%のPVAと49%のKOHとを含む水溶液について散乱強度を測定した結果を表14に示す。
散乱強度は、大塚電子製のELS−Z2(NDフィルター:0.5%)を用いて測定された。
アルカリ(KOH)を含まない水溶液の場合、散乱強度は、G−Polymer、HECおよびPVAの間で大差がない。
一方、G−Polymerとアルカリ(KOH)とを含む水溶液の散乱強度は、3397cpsであるのに対し、PVAとアルカリ(KOH)とを含む水溶液の散乱強度は、252060と非常に大きい。また、HECとアルカリ(KOH)とを含む水溶液では、KOHを添加した直後に水面で凝集物が生じ、溶液中に分散しなかったため、散乱強度を測定できなかった。
このように、G−Polymerは、アルカリとの反応性が低く、凝集物を生じないことが実験的にも実証されており、PVAおよびHECは、アルカリとの反応性が高く、凝集物を生じることが実験的にも実証されている。
これは、PVAは、水溶液中で配向しており、分子・水酸基同士が近接した状況でアルカリイオンが効率的に脱水するのに対して、G−Polymerは、溶液中で不均一な分布を示すと共に、溶液中での分子間距離が広いことにより脱水縮合が起き難くなっているためである。
また、HECは、材木が原材料であり、パルプからセルロースを取り出し、ケミカル処理でセルロースを分解・ヒドロキシエチル化してゆく工程を経て製造される。概略的には、HECは、大きな塊を粉砕して小さな塊を作り出すことによって製造される。
一方、G−Polymerは、1分子サイズの塊を1つづつ連ねてゆくことによって製造される。
従って、HECは、3次元の立体網目状の構造からなるのに対して、G−Polymerは、直鎖の線状構造からなる。
このように、セルロース類(HEC)も、3次元網目構造体であり、近接した水酸基がアルカリにより脱水凝集し、アルカリ(アンモニア)の添加量が増えると、シリコンウェーハの濡れ性が低下する。
一方、アルカリは、研磨促進作用・pH調整作用(Z電位での凝集安定性向上)があり、研磨には必要な物質であるが、上述したように、ポリマーとの反応性に問題があり、アルカリ自身がシリコンウェーハに吸着してポリマー付着(濡れ性)を低下させたりすることによって、使用できるアルカリ濃度の範囲や品種などが限られるという問題がある。
しかし、G−Polymerを用いた場合、アルカリ(NH3)の含有量が0.4重量%までは、LPDが199〜344個であるので(表9,10参照)、上記問題を解決できる。
上述したように、G−Polymerは、結晶化が抑制されるとともに、アルカリとの反応性が低いために凝集物を生じ難い。一方、PVAおよびHECは、結晶化し易く、アルカリとの反応性が高いために凝集物が生じ易い。
また、G−Polymerは、シリコンウェーハとの濡れ性が良いのに対し、PVAは、シリコンウェーハとの濡れ性が悪い。HECは、シリコンウェーハとの濡れ性が良いが、濡れ性を維持できる好適なpH範囲やアルカリ種が限定されてしまう。
これらの違いに起因して、水溶性高分子としてG−Polymerを用いた場合、シリコンウェーハの研磨面がG−Polymerによって保護され、凝集物によるシリコンウェーハの研磨面へのダメージが低減される。従って、水溶性高分子としてG−Polymerを用いた場合、LPDおよび表面粗さを低減できる。
また、G−Polymerは、1分子サイズの塊を1つずつ連ねた直鎖の線状構造からなるのに対し、HECは、3次元網目構造体からなる。
これらの構造的な違いに起因して、水溶性高分子としてG−Polymerを用いた場合、フィルタリング特性が良いものと考えられる。
このように、G−Polymerとアルカリとを含む研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを研磨した場合、LPDおよび表面粗さを低減できるので、この発明の実施の形態による研磨用組成物は、上記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するビニルアルコール系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の水溶性高分子と、アルカリとを含んでいればよい。
また、G−Polymerとアルカリと砥粒とを含む研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを研磨した場合、研磨レートを高くしてLPDおよび表面粗さを低減できるので(表2〜4参照)、この発明の実施の形態による研磨用組成物は、上記式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するビニルアルコール系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の水溶性高分子と、アルカリと、砥粒とを含んでいればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。