JP6279593B2 - 研磨用組成物、研磨用組成物の製造方法およびシリコンウェーハ製造方法 - Google Patents

研磨用組成物、研磨用組成物の製造方法およびシリコンウェーハ製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6279593B2
JP6279593B2 JP2015539176A JP2015539176A JP6279593B2 JP 6279593 B2 JP6279593 B2 JP 6279593B2 JP 2015539176 A JP2015539176 A JP 2015539176A JP 2015539176 A JP2015539176 A JP 2015539176A JP 6279593 B2 JP6279593 B2 JP 6279593B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
polishing composition
silicon wafer
protrusions
abrasive grains
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015539176A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2015046090A1 (ja
Inventor
匠学 井出
匠学 井出
高橋 洋介
洋介 高橋
高見 信一郎
信一郎 高見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujimi Inc
Original Assignee
Fujimi Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujimi Inc filed Critical Fujimi Inc
Publication of JPWO2015046090A1 publication Critical patent/JPWO2015046090A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6279593B2 publication Critical patent/JP6279593B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/02002Preparing wafers
    • H01L21/02005Preparing bulk and homogeneous wafers
    • H01L21/02008Multistep processes
    • H01L21/0201Specific process step
    • H01L21/02024Mirror polishing
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24BMACHINES, DEVICES, OR PROCESSES FOR GRINDING OR POLISHING; DRESSING OR CONDITIONING OF ABRADING SURFACES; FEEDING OF GRINDING, POLISHING, OR LAPPING AGENTS
    • B24B37/00Lapping machines or devices; Accessories
    • B24B37/04Lapping machines or devices; Accessories designed for working plane surfaces
    • B24B37/042Lapping machines or devices; Accessories designed for working plane surfaces operating processes therefor
    • B24B37/044Lapping machines or devices; Accessories designed for working plane surfaces operating processes therefor characterised by the composition of the lapping agent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09GPOLISHING COMPOSITIONS; SKI WAXES
    • C09G1/00Polishing compositions
    • C09G1/02Polishing compositions containing abrasives or grinding agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K3/00Materials not provided for elsewhere
    • C09K3/14Anti-slip materials; Abrasives
    • C09K3/1436Composite particles, e.g. coated particles
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K3/00Materials not provided for elsewhere
    • C09K3/14Anti-slip materials; Abrasives
    • C09K3/1454Abrasive powders, suspensions and pastes for polishing
    • C09K3/1463Aqueous liquid suspensions

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Description

本発明は、シリコンウェーハを研磨するための研磨用組成物およびその製造方法に関する。また、上記研磨用組成物を使用してシリコンウェーハを製造する方法に関する。本出願は、2013年9月26日に出願された日本国特許出願2013−200641号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
半導体製品の構成要素等として用いられるシリコンウェーハの表面は、一般に、ラッピング工程(粗研磨工程)とポリシング工程(精密研磨工程)とを経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備ポリシング工程(予備研磨工程)とファイナルポリシング工程(最終研磨工程)とを含む。上記ポリシング工程における研磨方法として、水、砥粒および研磨促進剤を含む研磨用組成物を用いるケミカルメカニカルポリシング(CMP)法が知られている。研磨用組成物に関する技術文献として特許文献1および2が挙げられる。
日本国特許出願公開2008−53415号公報 日本国特許出願公開2013−121631号公報
近年、シリコンウェーハ等の半導体基板その他の基板について、より高品位の表面が要求されるようになってきている。特に、生産性やコスト等への配慮から、ポリシング工程に要するトータルの研磨時間(合計研磨時間)を延ばすことなく、より高品位の表面を得ることが望まれている。そのための一手法として、ポリシング工程に含まれる研磨工程のうちファイナルポリシング工程より上流のいずれかの研磨工程について、当該研磨工程により到達し得る表面品質を同等またはそれ以上に維持しつつ、該研磨工程における研磨レートを向上させることができれば有益である。このことによって、より下流の研磨工程(例えばファイナルポリシング工程)に費やし得る時間が長くなり、研磨対象物をより平滑性の高い表面に磨き上げ得るためである。
しかし、一般に研磨後の表面品質と研磨レートとは相反する関係にあり、研磨レートを向上させようとすると表面品質は低下する傾向にある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、表面品質への影響を抑えつつ研磨レートを向上させ得る研磨用組成物を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、そのような研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを製造する方法を提供することである。
この明細書によると、シリコンウェーハを研磨するための研磨用組成物が提供される。その研磨用組成物は、複数の突起を表面に有するシリカ粒子(以下「突起付きシリカ粒子」ともいう。)を砥粒として含む。上記研磨用組成物は、さらにアンモニアおよびアンモニウム塩からなる群から選択される無機塩基性化合物(A)を含有する。このような組成の研磨用組成物を用いた研磨によると、下流の研磨工程のために、より効率よく高品質の表面を供給することができる。したがって、上記研磨用組成物は、例えばポリシング工程に含まれる複数の研磨工程のうちファイナルポリシング工程より上流のいずれかの研磨工程に適用されて、最終的に得られるシリコンウェーハの表面品位の向上に有意に寄与し得る。
上記突起付きシリカ粒子は、研磨用組成物中に含まれる突起付きシリカ粒子のうちその体積平均粒子径よりも粒子径の大きな突起付きシリカ粒子について、該突起付きシリカ粒子の突起の高さをそれぞれ同じ突起の基部における幅で除することにより得られる値(以下「突起度」ともいう。)の平均が0.245以上であることが好ましい。上記突起度の平均(以下「平均突起度」ともいう。)が0.245以上である突起付きシリカ粒子によると、研磨レートを向上させる効果が好適に発揮され得る。
上記研磨用組成物は、さらに水溶性ポリマーを含んでもよい。水溶性ポリマーを含む研磨用組成物によると、より高品質の表面が提供され得る。これにより、研磨レートを向上させつつ、表面品質の低下を効果的に抑制することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様において、上記研磨用組成物に含まれる上記水溶性ポリマーの量は、上記砥粒1kgにつき5g〜50gとすることができる。このような組成において、突起付きシリカ粒子および無機塩基性化合物(A)と水溶性ポリマーとを組み合わせて含むことによる効果が好適に発揮され得る。
ところで、近年のシリコンウェーハの製造方法には、上述したポリシング工程のなかに、シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨工程と、その後に該シリコンウェーハの片面をより精密に研磨する片面研磨工程とが含まれることが多い。両面研磨工程は、1次研磨工程と称されることもあり、一般にシリコンウェーハを両面研磨装置にセットして行われる。両面研磨後のシリコンウェーハは、洗浄、乾燥、および必要に応じてエッジ研磨等の加工を行った後、片面研磨装置にセットして片面研磨工程に供される。片面研磨工程のなかには2以上の研磨工程が含まれ得る。それら2以上の研磨工程は、典型的には、ファイナルポリシング工程と、ファイナルポリシングに先立って行われる2次研磨工程とを含む。2次研磨工程は、さらに複数の研磨工程に分けて行われることもある。
ここに開示される研磨用組成物は、上記片面研磨工程のうち最初の研磨工程(すなわち、最初の2次研磨工程)に使用されることが好ましい。上記研磨用組成物が最初の2次研磨工程に使用されることにより、該研磨用組成物が突起付きシリカ粒子と無機塩基性化合物(A)とを組み合わせて含むことによる効果が特によく発揮され得る。
この明細書によると、また、シリコンウェーハを研磨するための研磨用組成物を製造する方法が提供される。その方法は、複数の突起を表面に有するシリカ粒子を含む砥粒と、アンモニアおよびアンモニウム塩からなる群から選択される無機塩基性化合物(A)と、を含む研磨用組成物を調製することを特徴とする。かかる方法によると、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を好適に製造することができる。
この明細書によると、また、シリコンウェーハを製造する方法が提供される。その方法は、シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨工程と、上記両面研磨工程を経たシリコンウェーハの片面をより精密に研磨する片面研磨工程とを包含する。上記片面研磨工程は2以上の研磨工程を含み、それらのうち最初の研磨工程では、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を用いて研磨を行う。かかるシリコンウェーハ製造方法によると、片面研磨工程のうち最初の研磨工程において上記研磨用組成物を用いることにより、下流の研磨工程のために、より効率よく高品質の表面を供給することができる。このことによって、最終的に、より表面品位の高いシリコンウェーハが製造され得る。
複数の突起を表面に有するシリカ粒子の外形を投影した輪郭線を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<砥粒>
ここに開示される研磨用組成物は、複数の突起を表面に有するシリカ粒子(突起付きシリカ粒子)を砥粒として含む。このような突起付きシリカ粒子は、表面に複数の突起を有しない形状のシリカ粒子に比べて、研磨対象物の表面に対してより高い機械的研磨作用を発揮し得る。ここで、球状のシリカ粒子やピーナッツ型のシリカ粒子は、表面に複数の突起を有しない形状のシリカ粒子の概念に包含される典型例である。
突起付きシリカ粒子における突起の数は、1粒子当たりの平均で、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。ここでいう突起とは、シリカ粒子の粒子径に比べて、充分に小さい高さおよび幅を有するものである。より具体的には、図1に示すシリカ粒子の輪郭線のうち、点Aから点Cを経由して点Bに至る部分の長さが、該輪郭線に内接する最大の円(最大内接円)の円周長さの4分の1を超えないような突起を指す。
なお、図1において、上記点Aおよび点Bは上記輪郭線における突起の基点を示し、点Cは突起の頂点を示している。ここに開示される技術における突起付きシリカ粒子について、突起の幅とは、突起の基部における幅のことをいい、図1においては点Aと点Bの間の距離として表される。また、突起の高さとは、突起の基部と、その基部から最も離れた突起の部位との間の距離のことをいい、図1においては直線ABと直交する線分CDの長さとして表される。
ここに開示される技術において、突起付きシリカ粒子の平均突起度は特に限定されない。例えば、平均突起度が0.170以上の突起付きシリカ粒子を用いることができる。平均突起度は、0.200以上であることが好ましく、0.220以上であることがより好ましく、0.245以上(例えば0.255以上)であることがさらに好ましい。突起付きシリカ砥粒の平均突起度が大きくなると、突起の形状が鋭くなる傾向にある。このことによって、研磨レートを向上させる効果がよりよく発揮され得る。
平均突起度の上限は特に制限されない。製造容易性や強度の観点から、通常、平均突起度が0.5以下の突起付きシリカ粒子を好ましく採用し得る。より高い表面品質を得る観点から、上記平均突起度は、0.4以下であることが好ましく、0.37以下(例えば0.35以下)であることがより好ましい。
この明細書において平均突起度とは、研磨用組成物に含まれる突起付きシリカ粒子のうち該突起付きシリカ粒子の体積平均粒子径よりも大きい粒子径を有する突起付きシリカ粒子において、表面に有している突起の高さをHとし、その突起の基部における幅をWとしたとき、H/Wで表わされる値(突起度)の平均値のことをいう。上記突起付きシリカ粒子の各突起の高さHおよびその基部における幅Wは、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて、突起付きシリカ粒子の走査型電子顕微鏡像を解析することにより求めることができる。
研磨用組成物に含まれる突起付きシリカ粒子のうち体積平均粒子径よりも粒子径の大きな突起付きシリカ粒子における突起の平均高さは、例えば、3.5nm以上であることが適当であり、好ましくは4.0nm以上である。この突起の平均高さが大きくなるにつれて、研磨レートを向上させる効果が大きくなる傾向にある。上記突起の平均高さの上限は特に制限されない。より高い表面品質を得る観点から、上記突起の平均高さは、通常、10nm以下であることが適当であり、7.0nm以下であることが好ましい。
突起付きシリカ粒子は、例えば以下の方法で製造することができる。すなわち、まず、アンモニア水が触媒として加えられたメタノールと水との混合溶液に、アルコキシシランを連続的に添加して加水分解することにより、コロイダルシリカ粒子を含んだスラリーを得る。得られたスラリーを加熱してメタノールおよびアンモニアを留去する。その後、有機アルカリを触媒としてスラリーに加えてから、70℃以上の温度で再びアルコキシシランを連続的に添加して加水分解することにより、コロイダルシリカ粒子の表面に複数の突起を形成する。ここで使用可能な有機アルカリの具体例としては、トリエタノールアミンなどのアミン化合物や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム化合物が挙げられる。この方法によれば、金属不純物の含有量が1重量ppm以下のコロイダルシリカ粒子(突起付きシリカ粒子)を容易に得ることが可能である。
なお、アルコキシシランの加水分解によりコロイダルシリカを製造する一般的な方法は、例えば作花済夫の著による「ゾル−ゲル法の科学」の第154〜156頁に記載されている。また、日本国特許出願公開平11−60232号公報には、ケイ酸メチルまたはケイ酸メチルとメタノールの混合物を水、メタノールおよびアンモニアまたはアンモニアとアンモニウム塩からなる混合溶媒中に滴下してケイ酸メチルと水とを反応させることにより製造される繭型コロイダルシリカの開示がある。日本国特許出願公開2001−48520号公報には、アルキルシリケートを酸触媒で加水分解した後、アルカリ触媒を加えて加熱してケイ酸の重合を進行させて粒子成長させることにより製造される細長形状のコロイダルシリカの開示がある。日本国特許出願公開2007−153732号公報には、特定の種類の加水分解触媒を特定の量で使用することにより、易加水分解性オルガノシリケートを原料として多数の小突起を有するコロイダルシリカを製造できることが記載されている。日本国特許出願公開2002−338232号公報には、単分散のコロイダルシリカに凝集剤を添加することにより球状に二次凝集させることの記載がある。日本国特許出願公開平07−118008号公報および国際公開第2007/018069号には、細長などの異形のコロイダルシリカを得るために、ケイ酸ソーダから得られる活性ケイ酸にカルシウム塩またはマグネシウム塩を添加することの開示がある。日本国特許出願公開2001−11433号公報には、ケイ酸ソーダから得られる活性ケイ酸にカルシウム塩を添加することにより数珠状のコロイダルシリカを得ることの開示がある。日本国特許出願公開2008−169102号公報には、シード粒子の表面に微小粒子を生成および成長させることで金平糖のように多数の小突起を有するコロイダルシリカを製造できることが記載されている。本明細書における突起付きシリカ粒子は、これらの文献に記載の方法の1種を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することにより製造することも可能である。
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、突起付きシリカ粒子以外の砥粒を含有してもよい。上記突起付きシリカ粒子以外の砥粒(以下「任意砥粒」ともいう。)は、例えば球状、ピーナッツ型、繭型等のような、表面に複数の突起を有しない形状のシリカ砥粒であり得る。上記任意砥粒は、また、シリカ以外の無機粒子、有機粒子、または有機無機複合粒子であってもよい。無機粒子の具体例としては、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子(ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。)、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。任意砥粒は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
任意砥粒の含有量は、研磨用組成物に含まれる砥粒の全重量のうち、例えば30重量%以下とすることが適当であり、20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下とすることがより好ましい。ここに開示される技術は、任意砥粒の含有量が、研磨用組成物に含まれる砥粒の全重量のうち5重量%以下である態様で好ましく実施され得る。実質的に任意砥粒を含まない研磨用組成物であってもよい。ここで、研磨用組成物が任意砥粒を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には任意砥粒が配合されていないことをいう。
研磨用組成物中の砥粒の平均一次粒子径DP1は特に制限されない。砥粒の平均一次粒子径DP1は、研磨効率等の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上である。また、より平滑性の高い表面が得られやすいという観点から、砥粒の平均一次粒子径DP1は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは40nm以下である。
なお、砥粒の平均一次粒子径DP1は、例えば、BET法により測定される比表面積S(m/g)から平均一次粒子径DP1(nm)=2727/Sの式により算出することができる。砥粒の比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
研磨用組成物中の砥粒の平均二次粒子径DP2は特に限定されないが、研磨効率等の観点から、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは40nm以上である。また、研磨用組成物の沈降安定性(分散安定性)の観点から、砥粒の平均二次粒子径DP2は、300nm以下が適当であり、典型的には200nm以下、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。さらに、表面品質の観点から、砥粒の平均二次粒子径DP2は、90nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、70nm以下(例えば65nm以下)であることがさらに好ましい。
なお、砥粒の平均二次粒子径DP2は、例えば、日機装株式会社製の型式「UPA−UT151」を用いた動的光散乱法により、体積平均粒子径として測定することができる。砥粒の体積平均粒子径は、研磨用組成物中の全砥粒の積算体積の50%に達するまで、動的光散乱法による粒子径の小さい砥粒から順に砥粒の体積を積算したときに最後に積算される砥粒の粒子径に等しい。
研磨用組成物中の砥粒の体積基準95%粒子径(D95値)は、500nm以下であることが好ましく、より好ましくは400nm以下である。砥粒の体積基準95%粒子径が小さくなるにつれて、研磨用組成物の沈降安定性(分散安定性)が向上する傾向にある。また、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面粗さが小さくなりやすくなる傾向にある。砥粒の体積基準95%粒子径は、研磨用組成物中の全砥粒の積算体積の95%に達するまで動的光散乱法による粒子径の小さい砥粒から順に砥粒の体積を積算したときに最後に積算される砥粒の粒子径に等しい。
ここに開示される研磨用組成物に含まれる砥粒は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、銀、鉛などの金属不純物の含有量の各々が1重量ppm以下であることが好ましく、これらの金属不純物の合計含有量が1重量ppm以下であることがより好ましい。金属不純物の含有量は、例えばIC重量分析装置により測定することができる。
<無機塩基性化合物(A)>
ここに開示される研磨用組成物は、アンモニアおよびアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の無機塩基性化合物(A)を含む。上記アンモニウム塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩素酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。無機塩基性化合物(A)として少なくともアンモニアを含む研磨用組成物が好ましい。
特に限定するものではないが、研磨用組成物中に含まれる無機塩基性化合物(A)の量は、該研磨用組成物の砥粒1kg当たり、例えば0.1モル以上とすることができ、通常は0.5モル以上とすることが適当である。より大きな効果を得る観点から、砥粒1kg当たりの無機塩基性化合物(A)の量は、1モル以上とすることが好ましく、2モル以上とすることがより好ましく、3モル以上(典型的には4モル以上、例えば5モル以上)とすることがさらに好ましい。砥粒1kg当たりの無機塩基性化合物(A)の量の上限は特に制限されないが、通常は50モル以下とすることが適当であり、30モル以下とすることが好ましく、20モル以下(例えば10モル以下)とすることがより好ましい。
ここに開示される技術を実施するにあたり、突起付きシリカ砥粒と無機塩基性化合物(A)とを組み合わせて含む研磨用組成物により上述の課題が解決される理由を明らかにする必要はないが、例えば以下のことが考えられる。
すなわち、研磨対象物であるシリコンウェーハの表面は、該シリコンウェーハの酸化により生じた酸化膜によって薄く覆われていることがあり得る。例えば、片面研磨工程のうち最初の研磨工程(すなわち、最初の2次研磨工程)の開始時におけるシリコンウェーハ表面には、両面研磨後の洗浄や、片面研磨工程の開始までの間にシリコンウェーハの表面が空気に直接触れることによる自然酸化等により生じた酸化膜が存在し得る。このように酸化膜で覆われた表面状態にあるシリコンウェーハでは、たとえ1nm程度(例えば0.5nm〜2nm)程度の薄い酸化膜であっても、該酸化膜を研磨除去して本来の研磨対象であるシリコン(典型的には単結晶シリコン)の表面に到達するまでに時間がかかる結果、該酸化膜を除去する時間を含めた全体としての研磨レートが低くなってしまう。一方、KOH等の無機の強塩基を研磨促進剤とする研磨用組成物は、酸化膜に対して高い研磨レートを示し得るが、このような研磨用組成物はシリコンに対する化学的研磨作用が強いため、上述のように、研磨レートを向上させる背反として研磨後の表面品質が低下する傾向にある。
本発明者らは、酸化膜を素早く除去するために専ら化学的研磨作用を利用する技術思想から離れて、シリコンの研磨において高い表面品質を実現し得る研磨促進剤を使用しつつ、酸化膜の除去には主に砥粒の機械的研磨作用を利用することにつき鋭意検討した結果、本発明を完成した。ここに開示される研磨用組成物によると、アンモニアおよびアンモニウム塩からなる群から選択される無機塩基性化合物(A)と突起付きシリカ粒子とを組み合わせて含むことにより、突起付きシリカ粒子の機械的研磨作用を活用して酸化膜を効率よく除去し、かつ無機塩基性化合物(A)の効果により高い表面品質を維持することができる。突起付きシリカ粒子は、また、シリコンの研磨レートの向上にも有効である。これらのことによって、例えば片面研磨工程のうち最初の研磨工程の開始時のように表面が薄い酸化膜で覆われたシリコンウェーハであっても、表面品質を維持しつつ研磨レートを向上させる効果が得られるものと考えられる。
<水>
ここに開示される研磨用組成物は、水を含むことが好ましい。上記研磨用組成物に含まれる水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。使用する水は、研磨用組成物に含有される他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下であることが好ましい。例えば、イオン交換樹脂による不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることができる。
ここに開示される研磨用組成物は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。通常は、研磨用組成物に含まれる溶媒の90体積%以上が水であることが好ましく、95体積%以上(典型的には99〜100体積%)が水であることがより好ましい。
ここに開示される研磨用組成物(典型的にはスラリー状の組成物)は、例えば、その固形分含量(non-volatile content;NV)が0.01重量%〜50重量%であり、残部が水系溶媒(水または水と上記有機溶剤との混合溶媒)である形態、または残部が水系溶媒および揮発性化合物(例えばアンモニア)である形態で好ましく実施され得る。上記NVが0.05重量%〜40重量%である形態がより好ましい。なお、上記固形分含量(NV)は、例えば研磨用組成物を105℃で24時間乾燥させた後における残留物が上記研磨用組成物に占める重量の割合から求められる。
<水溶性ポリマー>
ここに開示される研磨用組成物は、さらに水溶性ポリマーを含むことが好ましい。水溶性ポリマーの適切な使用により、突起付きシリカ砥粒の使用による研磨レート向上効果と良好な表面品質とを、より好適に両立させることができる。
使用する水溶性ポリマーの種類は特に制限されず、研磨用組成物の分野において公知の水溶性ポリマーのなかから適宜選択することができる。水溶性ポリマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記水溶性ポリマーは、分子中に、カチオン性基、アニオン性基およびノニオン性基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するものであり得る。上記水溶性ポリマーは、例えば、分子中に水酸基、カルボキシル基、アシルオキシ基、スルホ基、第1級アミド構造、複素環構造、ビニル構造、ポリオキシアルキレン構造等を有するものであり得る。凝集物の低減や洗浄性向上等の観点から、上記水溶性ポリマーとしてノニオン性のポリマーを好ましく採用し得る。
ここに開示される研磨用組成物に好ましく使用し得る水溶性ポリマーの例として、セルロース誘導体、デンプン誘導体、オキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。なかでもヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
デンプン誘導体の具体例としては、アルファ化デンプン、プルラン、シクロデキストリンなどが挙げられる。なかでもプルランが好ましい。
オキシアルキレン単位を含むポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド(PEO)や、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)とのブロック共重合体、EOとPOまたはBOとのランダム共重合体等が例示される。そのなかでも、EOとPOのブロック共重合体またはEOとPOのランダム共重合体が好ましい。EOとPOとのブロック共重合体は、PEOブロックとポリプロピレンオキサイド(PPO)ブロックとを含むジブロック体、トリブロック体等であり得る。上記トリブロック体の例には、PEO−PPO−PEO型トリブロック体およびPPO−PEO−PPO型トリブロック体が含まれる。通常は、PEO−PPO−PEO型トリブロック体がより好ましい。
EOとPOとのブロック共重合体またはランダム共重合体において、該共重合体を構成するEOとPOとのモル比(EO/PO)は、水への溶解性や洗浄性等の観点から、1より大きいことが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上(例えば5以上)であることがさらに好ましい。
窒素原子を含有するポリマーとしては、主鎖に窒素原子を含有するポリマーおよび側鎖官能基(ペンダント基)に窒素原子を有するポリマーのいずれも使用可能である。主鎖に窒素原子を含有するポリマーの例としては、N−アシルアルキレンイミン型モノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。N−アシルアルキレンイミン型モノマーの具体例としては、N−アセチルエチレンイミン、N−プロピオニルエチレンイミン等が挙げられる。ペンダント基に窒素原子を有するポリマーとしては、例えばN−ビニル型のモノマー単位を含むポリマー等が挙げられる。例えば、N−ビニルピロリドンの単独重合体および共重合体等を好ましく採用し得る。なかでも好ましい窒素原子含有ポリマーとして、ポリ(N−ビニルピロリドン)が例示される。
水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコール(PVA)を用いる場合、該ポリビニルアルコールのけん化度は特に限定されない。また、上記PVAとして、第四級アンモニウム構造等のカチオン性基を有するカチオン化PVAを使用してもよい。上記カチオン化PVAは、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル−N,N,N−トリアルキルアンモニウム塩等のカチオン性基を有するモノマーに由来するものであり得る。
ここに開示される研磨用組成物において、水溶性ポリマーの分子量は特に限定されない。例えば、重量平均分子量(Mw)が200×10以下の水溶性ポリマーを用いることができる。研磨用組成物の濾過性や洗浄性等の観点から、通常は、Mwが150×10以下の水溶性ポリマーが好ましい。また、研磨後の表面品質の観点から、水溶性ポリマーのMwは、1×10以上であることが好ましく、2×10以上であることがより好ましい。
より好ましいMwの範囲は、水溶性ポリマーの種類によっても異なり得る。例えば、水溶性ポリマーとしてセルロース誘導体(例えばHEC)を使用する場合、Mwは、好ましくは10×10〜150×10、より好ましくは15×10〜130×10であり得る。水溶性ポリマーとしてPVA(カチオン化PVAであり得る。)を使用する場合、そのMwは、好ましくは1×10〜10×10、より好ましくは1×10〜7×10、さらに好ましくは1×10〜5×10(例えば1×10〜3×10)であり得る。水溶性ポリマーとして窒素原子を含有するポリマーを使用する場合、そのMwは、好ましくは1×10〜15×10、より好ましくは1×10〜10×10、さらに好ましくは2×10〜7×10であり得る。
水溶性ポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との関係は特に制限されない。凝集物の発生防止等の観点から、例えば分子量分布(Mw/Mn)が10.0以下であるものが好ましく、7.0以下であるものがさらに好ましい。
なお、水溶性ポリマーのMwおよびMnとしては、水系のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に基づく値(水系、ポリエチレンオキサイド換算)を採用することができる。
特に限定するものではないが、水溶性ポリマーの含有量は、砥粒1kg当たり、例えば0.01g以上とすることができる。突起付きシリカ砥粒との組合せにおいて、より良好な表面品質を得る観点から、砥粒1kg当たりの水溶性ポリマーの含有量は、1g超とすることが適当であり、5g以上とすることが好ましく、10g以上とすることがより好ましく、15g以上とすることがさらに好ましい。また、無機塩基性化合物(A)との組合せにおいて良好な研磨レートを得る観点から、砥粒1kgに対する水溶性ポリマーの含有量は、通常は50g以下とすることが適当であり、40g以下とすることが好ましく、35g以下(例えば30g以下)とすることが好ましい。
<塩基性化合物(B)>
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、無機塩基性化合物(A)以外の塩基性化合物(B)を、意図的あるいは非意図的に含有し得る。このような任意成分としての塩基性化合物(B)は、有機塩基性化合物(B1)であってもよく、無機塩基性化合物(B2)であってもよい。塩基性化合物(B)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機塩基性化合物(B1)の例としては、テトラアルキルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。上記アンモニウム塩におけるアニオンは、例えば、OH、F、Cl、Br、I、ClO 、BH 等であり得る。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩を好ましく使用し得る。なかでもテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
有機塩基性化合物(B1)の他の例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン類;無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン等のピペラジン類;イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類;グアニジン;等が挙げられる。
無機塩基性化合物(B2)の例としては、アンモニア、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等;アンモニア;等が挙げられる。上記水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。上記炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
無機塩基性化合物(A)に加えて有機塩基性化合物(B1)を使用する場合、該有機塩基性化合物(B1)の使用量は、通常、砥粒1kg当たり4モル未満とすることが適当であり、表面品質等の観点から3モル未満とすることが好ましく、2モル未満とすることがより好ましい。研磨用組成物中に含まれる有機塩基性化合物(B1)のモル数は、無機塩基性化合物(A)のモル数よりも少なくすることが好ましい。あるいは、ここに開示される研磨用組成物は、有機塩基性化合物(B1)を実質的に含有しない組成であってもよい。ここで、研磨用組成物が有機塩基性化合物(B1)を実質的に含有しないとは、少なくとも意図的には有機塩基性化合物(B1)を含有させないことをいう。したがって、原料や製法に由来して微量(例えば、砥粒1kg当たり0.01モル以下、好ましくは0.005モル以下)の有機塩基性化合物(B1)が不可避的に含まれている研磨用組成物は、ここでいう有機塩基性化合物(B1)を実質的に含有しない研磨用組成物の概念に包含され得る。
無機塩基性化合物(A)に加えて無機塩基性化合物(B2)を使用する場合、該無機塩基性化合物(B2)の使用量は、通常、砥粒1kg当たり1モル未満とすることが適当であり、表面品質等の観点から0.5モル未満とすることが好ましく、0.2モル未満とすることがより好ましい。研磨用組成物中に含まれる無機塩基性化合物(B2)のモル数は、無機塩基性化合物(A)のモル数よりも少なくすることが好ましい。あるいは、ここに開示される研磨用組成物は、無機塩基性化合物(B2)を実質的に含有しない組成であってもよい。
無機塩基性化合物(A)に加えて塩基性化合物(B)を使用する場合、研磨用組成物中に含まれる塩基性化合物(B)のモル数は、無機塩基性化合物(A)のモル数よりも少なくすることが好ましい。あるいは、ここに開示される研磨用組成物は、塩基性化合物(B)を実質的に含有しない組成であってもよい。
<キレート剤>
ここに開示される研磨用組成物には、任意成分として、キレート剤を含有させることができる。キレート剤は、研磨用組成物中に含まれ得る金属不純物と錯イオンを形成してこれを捕捉することにより、金属不純物による研磨対象物の汚染を抑制する働きをする。
キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびα−メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましく、なかでも好ましいものとしてエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミン六酢酸が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
<界面活性剤>
ここに開示される研磨用組成物には、任意成分として、界面活性剤(典型的には、分子量1×10未満の水溶性有機化合物)を含ませることができる。界面活性剤の使用により、研磨用組成物の分散安定性が向上し得る。界面活性剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性のものを好ましく採用し得る。低起泡性やpH調整の容易性の観点から、ノニオン性の界面活性剤がより好ましい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン重合体;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン付加物;複数種のオキシアルキレンの共重合体(ジブロック型、トリブロック型、ランダム型、交互型);等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の使用量は、砥粒1kg当たり5g以下とすることが適当であり、2g以下とすることが好ましく、1g以下とすることがより好ましい。ここに開示される研磨用組成物は、界面活性剤を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。
<その他の成分>
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(典型的には、シリコンウェーハのポリシング工程に用いられる研磨用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。有機酸塩の例としては、有機酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアンモニウム塩等が挙げられる。無機酸の例としては、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等が挙げられる。無機酸塩の例としては、無機酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアンモニウム塩が挙げられる。有機酸およびその塩、ならびに無機酸およびその塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
防腐剤および防カビ剤の例としては、イソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。研磨用組成物中に酸化剤が含まれていると、当該組成物がシリコンウェーハに供給されることで該シリコンウェーハの表面が酸化されて酸化膜が生じ、これにより研磨レートが低下することがあり得るためである。ここでいう酸化剤の具体例としては、過酸化水素(H)、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等が挙げられる。なお、研磨用組成物が酸化剤を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には酸化剤を含有させないことをいう。
<研磨液>
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物に供給されて、その研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を希釈(典型的には、水により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、該研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液(研磨液の原液)との双方が包含される。ここに開示される研磨用組成物を含む研磨液の他の例として、該組成物のpHを調整してなる研磨液が挙げられる。
ここに開示される研磨液における砥粒の含有量は特に制限されないが、典型的には0.05重量%以上であり、0.1重量%以上であることが好ましく、0.2重量%以上であることがより好ましく、0.3重量%以上(例えば0.4重量%以上)であることがさらに好ましい。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、研磨用組成物の分散安定性等の観点から、通常は、上記含有量は、10重量%以下が適当であり、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。より高い表面品質を得る観点から、砥粒の含有量を2重量%以下とすることができ、1重量%以下としてもよく、0.8重量%以下(例えば0.5重量%以下)としてもよい。
研磨液のpHは、8.0以上であることが好ましく、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.5以上である。研磨液のpHが高くなると、シリコンウェーハの研磨レートが向上する傾向にある。研磨液のpHの上限値は特に制限されないが、12.0以下であることが好ましく、11.5以下であることがより好ましく、11.0以下であることがさらに好ましい。このことによって、研磨液に含まれる砥粒(特に突起付きシリカ粒子)が塩基性化合物によって溶解することを防ぎ、砥粒による機械的な研磨作用の低下を抑制することができる。上記pHは、シリコンウェーハの研磨に用いられる研磨液に好ましく適用され得る。研磨液のpHは、pHメーター(例えば、堀場製作所製のガラス電極式水素イオン濃度指示計(型番F−23))を使用し、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃))を用いて3点校正した後で、ガラス電極を研磨液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより把握することができる。
<濃縮液>
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態(すなわち、研磨液の濃縮液の形態)であってもよい。このように濃縮された形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば、体積換算で2倍〜100倍程度とすることができ、通常は5倍〜50倍程度が適当である。好ましい一態様に係る研磨用組成物の濃縮倍率は10倍〜40倍である。
このように濃縮液の形態にある研磨用組成物は、所望のタイミングで希釈して研磨液を調製し、その研磨液を研磨対象物に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、典型的には、上記濃縮液に前述の水系溶媒を加えて混合することにより行うことができる。また、上記水系溶媒が混合溶媒である場合、該水系溶媒の構成成分のうち一部の成分のみを加えて希釈してもよく、それらの構成成分を上記水系溶媒とは異なる量比で含む混合溶媒を加えて希釈してもよい。また、後述するように多剤型の研磨用組成物においては、それらのうち一部の剤を希釈した後に他の剤と混合して研磨液を調製してもよく、複数の剤を混合した後にその混合物を希釈して研磨液を調製してもよい。
上記濃縮液のNVは、例えば50重量%以下とすることができる。研磨用組成物の安定性(例えば、砥粒の分散安定性)や濾過性等の観点から、通常、濃縮液のNVは、40重量%以下とすることが適当であり、30重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下、例えば15重量%以下である。また、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、濃縮液のNVは、0.5重量%以上とすることが適当であり、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、例えば5重量%以上である。
上記濃縮液における砥粒の含有量は、例えば50重量%以下とすることができる。研磨用組成物の安定性(例えば、砥粒の分散安定性)や濾過性等の観点から、通常、上記含有量は、好ましくは45重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下である。好ましい一態様において、砥粒の含有量を30重量%以下としてもよく、20重量%以下(例えば15重量%以下)としてもよい。また、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、砥粒の含有量は、例えば0.5重量%以上とすることができ、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上(例えば4重量%以上)である。
ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、水系溶媒以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。
<研磨用組成物の調製>
ここに開示される研磨用組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いて、研磨用組成物に含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
<研磨>
ここに開示される研磨用組成物は、シリコンウェーハ(典型的には単結晶のシリコンウェーハ)を研磨するための研磨用組成物として好ましく使用され得る。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(典型的にはスラリー状の研磨液であり、研磨スラリーと称されることもある。)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に、濃度調整(例えば希釈)、pH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、上記研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。また、多剤型の研磨用組成物の場合、上記研磨液を用意することには、それらの剤を混合すること、該混合の前に1または複数の剤を希釈すること、該混合の後にその混合物を希釈すること、等が含まれ得る。
次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、シリコンウェーハの最初の片面研磨工程を行う場合には、ラッピング工程および両面研磨工程(1次研磨工程)を経たシリコンウェーハを一般的な片面研磨装置にセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記シリコンウェーハの表面(研磨対象面)に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、シリコンウェーハの表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。その後、必要に応じてさらなる2次研磨工程を経て、最終的にファイナルポリシングを行って研磨対象物の研磨が完了する。
なお、ここに開示される研磨用組成物を用いる研磨工程において使用される研磨パッドは特に限定されない。例えば、不織布タイプ、スウェードタイプ、ポリウレタンタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもの等のいずれを用いてもよい。
この明細書によると、ここに開示される研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを研磨する工程を含むシリコンウェーハ製造方法が提供される。ここに開示されるシリコンウェーハ製造方法は、上記研磨用組成物を用いる研磨工程の前に、上記シリコンウェーハの両面研磨を行う工程をさらに含んでもよい。また、上記研磨用組成物を用いる研磨工程を経たシリコンウェーハにファイナルポリシングを施す工程をさらに含んでもよい。ここでファイナルポリシングとは、目的物の製造プロセスにおける最後のポリシング工程(すなわち、その工程の後にはさらなるポリシングを行わない工程)を指す。上記両面研磨工程やファイナルポリシング工程は、ここに開示される研磨用組成物を用いて行ってもよく、他の研磨用組成物を用いて行ってもよい。
好ましい一態様において、上記研磨用組成物を用いるシリコンウェーハ研磨工程は、ファイナルポリシングよりも上流のポリシング工程である。なかでも、両面研磨工程を経たシリコンウェーハに対して行われる最初の片面研磨工程(最初の2次研磨工程)において、上記研磨用組成物を用いることが好ましい。ここに開示される研磨用組成物は、上記最初の2次研磨工程においてシリコンウェーハの研磨に用いられる研磨用組成物として好適である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<研磨用組成物の調製>
(実施例1)
複数の突起を表面に有するシリカ粒子(砥粒A)、アンモニア水(濃度29%)、水溶性ポリマーおよび純水を混合して、本例に係る研磨用組成物を調製した。
使用した砥粒Aのうち体積平均粒子径よりも粒子径の大きなシリカ粒子が表面に有する突起の高さの平均は5.5nmであり、平均突起度は0.27であった。この砥粒Aの平均一次粒子径DP1は30nmであり、平均二次粒子径DP2は58nmであった。上記平均一次粒子径DP1は、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて測定されたものである。また、上記平均二次粒子径DP2は、日機装株式会社製の型式「UPA−UT151」を用いて測定された体積平均粒子径である。
水溶性ポリマーとしては、Mwが約120×10のヒドロキシエチルセルロース(HEC)を使用した。
砥粒A、アンモニア水および水溶性ポリマーの使用量は、研磨用組成物中における砥粒Aの含有量が0.46%、アンモニア(NH)の含有量が0.041%、水溶性ポリマーの含有量が0.009%(砥粒1kgに対して19.6g)となる量とした。得られた研磨用組成物のpHは10.4であった。
(実施例2)
実施例1において、砥粒Aに代えて、複数の突起を表面に有するシリカ粒子(砥粒B)を使用した。使用した砥粒Bのうち体積平均粒子径よりも粒子径の大きなシリカ粒子が表面に有する突起の高さの平均は5.5nmであり、平均突起度は0.25であった。この砥粒Bの平均一次粒子径DP1は30nmであり、平均二次粒子径DP2は58nmであった。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。この研磨用組成物のpHは10.4であった。
(実施例3)
砥粒A、アンモニア水(濃度29%)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、水溶性ポリマーおよび純水を混合して、本例に係る研磨用組成物を調製した。水溶性ポリマーとしては、実施例1と同じHECを使用した。砥粒A、アンモニア水、TMAHおよび水溶性ポリマーの使用量は、研磨用組成物中における砥粒Aの含有量が0.46%、アンモニア(NH)の含有量が0.03%、TMAHの含有量が0.06%、水溶性ポリマーの含有量が0.009%となるとなる量とした。得られた研磨用組成物のpHは10.8であった。
(比較例1)
実施例1において、砥粒Aに代えて、平均一次粒子径DP1が35nmであり、平均二次粒子径DP2が64nmであるピーナッツ形状のコロイダルシリカ(砥粒C)を使用した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。pHは10.4であった。
(比較例2)
実施例1において、砥粒Aに代えて、平均一次粒子径DP1が80nmであり、平均二次粒子径DP2が97nmである球状のコロイダルシリカ(砥粒D)を使用した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。pHは10.6であった。
(比較例3)
実施例1において、アンモニア水に代えてTMAHを、研磨用組成物中における含有量が1.365%となる量で使用した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。pHは11.0であった。
(比較例4)
実施例1において、アンモニア水に代えて水酸化カリウム(KOH)を、研磨用組成物中における含有量が0.84%となる量で使用した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。pHは11.0であった。
(比較例5)
実施例1において、アンモニア水に代えてトリエタノールアミンを、研磨用組成物中における含有量が2.235%となる量で使用した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。pHは11.0であった。
各例に係る研磨用組成物をそのまま研磨液として使用して、以下の評価試験を行い、その結果を表1に示した。試験片としては、直径6インチ(約150mm)のシリコンウェーハ(伝導型:P型、結晶方位:<100>、抵抗率:0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満)を両面研磨装置により表面粗さ0.5nm〜1.5nmに調整した後、以下の条件で洗浄(SC−1洗浄)したものを使用した。
[SC−1洗浄条件]
NHOH(29%):H(31%):脱イオン水(DIW)=1:1:15(体積比)の洗浄液を、第1の洗浄槽および第2の洗浄槽の各々に収容して80℃に保持した。洗浄は、洗浄対象物を第1の洗浄槽に5分、その後超純水によるリンス槽を経て、第2の洗浄槽に5分浸漬することにより行った。
<研磨レートの評価>
上記試験片の重量(W1[g])を測定した。これを2.5%濃度のフッ酸に10秒間浸漬した後、流量7リットル/分の流水で10秒間洗浄した。この試験片を以下の条件で研磨した。
[研磨条件]
研磨装置:不二越機械工業株式会社製の片面研磨装置、型式「SPM−15」
研磨パッド :株式会社フジミインコーポレーテッド製、スエード研磨パッド「Surfin 000FM」
研磨圧力:94g/cm
定盤回転数:30回転/分
ヘッド回転数:30回転/分
研磨時間:30分
研磨液の供給レート:500mL/分(掛け流し使用)
研磨液の温度:25℃
研磨後の試験片を、上記SC−1洗浄条件にて洗浄した後、その重量(W2[g])を測定した。その結果から、以下の計算式に従って、研磨により減少した厚さ(研磨取り代)を算出した。
(W1−W2)[g]/シリコンの密度[g/cm](=2.33g/cm)/被研磨面積[cm](=363cm)=研磨取り代[cm]
この研磨取り代を研磨時間(=30分)で除して研磨レートを算出した。また、この研磨レートを以下の5段階で点数化した。
5点:23nm/分以上
4点:21nm/分以上23nm/分未満
3点:19nm/分以上21nm/分未満
2点:17nm/分以上19nm/分未満
1点: 1nm/分以上17nm/分未満
<表面品質の評価>
上記試験片を、研磨スラリー(株式会社フジミインコーポレーテッド製、商品名「GLANZOX 2100」)を用いて予備研磨を行うことにより表面粗さ0.1nm〜10nmに調整した後、以下の条件で研磨した。
[研磨条件]
研磨装置:不二越機械工業株式会社製の片面研磨装置、型式「SPM−15」
研磨パッド :株式会社フジミインコーポレーテッド製、スエード研磨パッド「Surfin 000FM」
研磨圧力:94g/cm
定盤回転数:30回転/分
ヘッド回転数:30回転/分
研磨時間:5分
研磨液の供給レート:500mL/分(掛け流し使用)
研磨液の温度:25℃
[ヘイズ測定]
研磨後の試験片を、上記SC−1洗浄条件にて洗浄した後、ケーエルエー・テンコール社製のウエハ検査装置、商品名「AWIS3110」を用いてヘイズを測定した。また、その結果を以下の5段階で点数化した。
5点:0.035ppm以上0.040ppm未満
4点:0.040ppm以上0.045ppm未満
3点:0.045ppm以上0.050ppm未満
2点:0.050ppm以上0.060ppm未満
1点:0.060ppm以上
[欠陥数測定]
ケーエルエー・テンコール社製のウエハ検査装置、商品名「AWIS3110」を用いて、洗浄後の直径6インチのシリコンウェーハ表面に存在する80nm以上の大きさの欠陥(パーティクル)の個数をカウントした。また、その結果を以下の5段階で点数化した。
5点:カウント600未満
4点:カウント600以上700未満
3点:カウント700以上800未満
2点:カウント800以上900未満
1点:カウント900以上
Figure 0006279593
表1に示されるように、突起付きシリカ粒子とアンモニアとを組み合わせて含む研磨用組成物を用いた実施例1,2によると、砥粒として表面に複数の突起を有しない形状のシリカ粒子、具体的にはピーナッツ形状または球状のコロイダルシリカを用いた比較例1,2に比べて、研磨レートを10%〜20%向上させることができた。また、実施例1,2によると、ヘイズおよび欠陥数のいずれの点においても、比較例1と同レベルの高い表面品質を維持することができた。研磨促進剤としてアンモニアに加えてTMAHを用いた実施例3では、アンモニアを単独で用いた実施例1,2に比べて、さらに高い研磨レート向上効果が得られ、欠陥数も同等であったが、ヘイズの値は若干上昇する傾向であった。
一方、無機塩基性化合物(A)を含まない研磨用組成物を用いた比較例3〜5では、突起付きシリカ粒子を用いたにもかかわらず、比較例1に比べて研磨レートが低下した。研磨促進剤としてKOHを単独で使用した比較例3では、比較例1に比べてヘイズの値が大きく上昇し、表面品質が低下した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (7)

  1. シリコンウェーハを研磨するための研磨用組成物であって、
    複数の突起を表面に有するシリカ粒子を砥粒として含み、
    さらにアンモニアおよびアンモニウム塩からなる群から選択される無機塩基性化合物(A)を含み、
    前記研磨用組成物に含まれる前記シリカ粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きなシリカ粒子が表面に有している突起の高さをそれぞれ同じ突起の基部における幅で除することにより得られる値の平均(平均突起度)が0.245以上である、研磨用組成物。
  2. 前記平均突起度は0.5以下である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. さらに水溶性ポリマーを含む、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記研磨用組成物に含まれる前記水溶性ポリマーの量は、前記砥粒1kgにつき5g〜50gである、請求項3に記載の研磨用組成物。
  5. 前記シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨工程の後にそのシリコンウェーハの片面をより精密に研磨する片面研磨工程において、該片面研磨工程のうち最初の研磨工程に使用されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  6. シリコンウェーハを研磨するための研磨用組成物を製造する方法であって、
    複数の突起を表面に有するシリカ粒子を含む砥粒と、
    アンモニアおよびアンモニウム塩からなる群から選択される無機塩基性化合物(A)と、
    を含む研磨用組成物を調製することを含み、
    前記研磨用組成物に含まれる前記シリカ粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きなシリカ粒子が表面に有している突起の高さをそれぞれ同じ突起の基部における幅で除することにより得られる値の平均が0.245以上である、研磨用組成物の製造方法。
  7. シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨工程と、
    前記両面研磨工程を経たシリコンウェーハの片面をより精密に研磨する片面研磨工程と、
    を包含するシリコンウェーハ製造方法であって、
    前記片面研磨工程は2以上の研磨工程を含み、それら2以上の研磨工程のうち最初の研磨工程において請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて研磨を行うことを特徴とする、シリコンウェーハ製造方法。
JP2015539176A 2013-09-26 2014-09-19 研磨用組成物、研磨用組成物の製造方法およびシリコンウェーハ製造方法 Active JP6279593B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013200641 2013-09-26
JP2013200641 2013-09-26
PCT/JP2014/074951 WO2015046090A1 (ja) 2013-09-26 2014-09-19 研磨用組成物、研磨用組成物の製造方法およびシリコンウェーハ製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015046090A1 JPWO2015046090A1 (ja) 2017-03-09
JP6279593B2 true JP6279593B2 (ja) 2018-02-14

Family

ID=52743227

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015539176A Active JP6279593B2 (ja) 2013-09-26 2014-09-19 研磨用組成物、研磨用組成物の製造方法およびシリコンウェーハ製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6279593B2 (ja)
TW (1) TWI658132B (ja)
WO (1) WO2015046090A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6482200B2 (ja) * 2014-07-18 2019-03-13 株式会社フジミインコーポレーテッド 研磨用組成物
CN108713242A (zh) * 2016-03-01 2018-10-26 福吉米株式会社 硅基板的研磨方法及研磨用组合物套组
JP6716160B2 (ja) 2016-05-31 2020-07-01 株式会社ディスコ 加工装置及び加工方法
JP6604313B2 (ja) * 2016-11-10 2019-11-13 株式会社Sumco 砥粒の評価方法並びにウェーハの製造方法
JP6635088B2 (ja) * 2017-04-24 2020-01-22 信越半導体株式会社 シリコンウエーハの研磨方法
JP7207317B2 (ja) 2017-09-28 2023-01-18 日本ゼオン株式会社 非水系二次電池機能層用組成物、非水系二次電池用機能層、非水系二次電池部材、および非水系二次電池
US10822524B2 (en) * 2017-12-14 2020-11-03 Rohm And Haas Electronic Materials Cmp Holdings, I Aqueous compositions of low dishing silica particles for polysilicon polishing
US20230106868A1 (en) * 2020-03-13 2023-04-06 Fujimi Incorporated Polishing composition and polishing method

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3169120B2 (ja) * 1995-07-21 2001-05-21 信越半導体株式会社 半導体鏡面ウェーハの製造方法
KR100832942B1 (ko) * 2000-10-26 2008-05-27 신에츠 한도타이 가부시키가이샤 웨이퍼의 제조방법 및 연마장치 및 웨이퍼
JP5084670B2 (ja) * 2008-09-01 2012-11-28 日揮触媒化成株式会社 シリカゾルおよびその製造方法
JP2010153576A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Asahi Glass Co Ltd 半導体集積回路装置用研磨剤、研磨方法および半導体集積回路装置の製造方法
JP2012079964A (ja) * 2010-10-04 2012-04-19 Nissan Chem Ind Ltd 半導体ウェーハ用研磨液組成物
JP2013080752A (ja) * 2011-09-30 2013-05-02 Fujimi Inc 研磨用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2015046090A1 (ja) 2017-03-09
TWI658132B (zh) 2019-05-01
WO2015046090A1 (ja) 2015-04-02
TW201518491A (zh) 2015-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6279593B2 (ja) 研磨用組成物、研磨用組成物の製造方法およびシリコンウェーハ製造方法
JP6360108B2 (ja) シリコンウエハ研磨用組成物
CN106663619B (zh) 硅晶圆研磨用组合物
TW201500492A (zh) 硏磨用組成物、硏磨用組成物之製造方法及硏磨用組成物之調製用套組
JP6110681B2 (ja) 研磨用組成物、研磨用組成物製造方法および研磨物製造方法
JP6649828B2 (ja) シリコン基板の研磨方法および研磨用組成物セット
JP6360311B2 (ja) 研磨用組成物およびその製造方法
JP2017101248A (ja) 研磨用組成物、研磨用組成物製造方法および研磨物製造方法
TWI797076B (zh) 矽基板之研磨方法及研磨用組成物套組
JP6691774B2 (ja) 研磨用組成物およびその製造方法
JP5859055B2 (ja) シリコンウェーハ研磨用組成物
JP7026043B2 (ja) シリコンウェーハ粗研磨用組成物の製造方法、シリコンウェーハ粗研磨用組成物セット、およびシリコンウェーハの研磨方法
JP6348927B2 (ja) シリコンウェーハ研磨用組成物
JP6562605B2 (ja) 研磨用組成物の製造方法
JP6295052B2 (ja) 研磨用組成物、研磨用組成物の製造方法およびシリコンウエハ製造方法
TWI572703B (zh) Silicon wafer grinding composition

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6279593

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250