JP5721400B2 - 無線通信装置及び無線通信方法 - Google Patents

無線通信装置及び無線通信方法 Download PDF

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Description

本発明は、無線通信装置、無線通信方法、及び無線通信プログラムに関する。
無線通信においては、空間を伝搬する電磁波を用いて遠隔地間において情報を送受信する。情報の伝送速度を向上させるためには、電磁波の周波数帯域を広帯域化する必要があるが、周波数資源は有限である。そこで、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により同時に同一の周波数帯域において複数の異なる信号を空間多重化する通信を実現している。
ここで、複数のアンテナを有する基地局装置と複数の端末装置の伝搬路特性を用いて、複数の端末装置への送信信号を多重化するMU−MIMO(Multi User−MIMO)技術が、伝送効率を向上させる技術として注目されている。MU−MIMOでは、基地局装置から複数の端末装置へ同時に信号を送信するので、ある端末装置への信号が他の端末装置への信号と干渉してしまう。このような干渉をユーザ間干渉という。ユーザ間干渉を除去するために、基地局装置において複数の端末装置への送信信号に予めプレコーディングを施して伝送する技術が用いられている。
プレコーディングの方法として、例えば、ユーザ間干渉の一部を伝搬路のブロック三角化によりキャンセルし、非対角ブロックの成分で表わされるユーザ間干渉をTHP(Tomlinson−Harashima Precoding)によりキャンセルする方法が提案されている(非特許文献1)。以下では、これをBT−THP(Block Trianglization−THP;ブロック三角化THP)法と呼ぶ。つまり、BT−THP法では、全ての端末装置間の組み合わせで生じるユーザ間干渉を線形フィルタにより抑圧するのではなく、その組み合わせのうち半分のユーザ間干渉を線形フィルタにより抑圧し、残りのユーザ間干渉を送信信号からの減算処理とmodulo(剰余)演算により抑圧する。ここで、ユーザ間干渉を抑圧するための線形フィルタを、例えば上ブロック三角部分がゼロとなる等価伝播路行列により構成する。
一例として、基地局装置(送信アンテナ数が4本)と、2台の端末装置(それぞれ受信アンテナ数が2本)B1及びB2の間でBT−THP法で通信を行う場合を想定する。非特許文献1のBT−THP法によれば、全てのユーザ間干渉を線形フィルタにより抑圧するのではなく、端末装置B2への信号が端末装置B1への信号に与える干渉を線形フィルタにより抑圧する。端末装置B1への信号が端末装置B2への信号に与える干渉を、減算処理とmodulo(剰余)演算を組み合わせ、THP法により抑圧する。
Veljko Stankovic and Martin Haardt,"SUCCESSIVE OPTIMIZATION TOMLINSON−HARASHIMA PRECODING(SO−THP) FOR MULTI−USER MIMO SYSTEMS", Proc.ICASSP,pp.III−1117−1120,2005.
しかしながら、BT−THP法では、端末装置B1宛の送信信号に対しては、端末装置B2に対するユーザ間干渉を抑圧するための線形フィルタが乗算されない。つまり、端末装置B2において送信信号が受信されないように処理を受けないため、送信アンテナの自由度(Degree of Freedom,DOF)を活用した伝送を行うことが可能となり、端末装置B1において良好な受信特性が得られる。ここで、送信アンテナの自由度とは送信アンテナの数で決まるものであり、送信信号を制御することが許される度合いを示す。例えば、送信信号に処理を行う場合には、その分の自由度を使用することになる。一方、端末装置B2宛の送信信号には、端末装置B1へユーザ間干渉を与えないように処理を行う線形フィルタが乗算されるため、このユーザ間干渉の抑圧に送信アンテナの自由度を使用してしまう。したがって、端末装置B2では端末装置B1と比べて受信特性が劣化してしまうという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、端末間における受信特性の差異を緩和し、システム全体として優れた伝送特性をもたらす無線通信装置、無線通信方法及び無線通信プログラムを提供する。
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、複数の送信アンテナを有し、前記送信アンテナを用いて複数の端末装置への送信信号を空間多重して送信する無線通信装置であって、前記端末装置との間の伝搬路情報を取得し、前記複数の端末装置から少なくとも1つの端末装置を選択し、前記端末装置が有する一部の受信アンテナにおいてユーザ間干渉を含む信号が受信されるように、フィルタ係数を算出し、前記算出したフィルタ係数と送信信号を乗算する多重信号生成部と、前記フィルタ係数を乗算された送信信号を送信する送信部とを有し、前記端末装置への送信ストリームの総数が前記送信アンテナの数よりも少ないことを特徴とする無線通信装置、である。
(2)本発明の他の態様は、前記多重信号生成部は、前記端末装置が有する、前記ユーザ間干渉を含む信号が受信される受信アンテナへの伝搬路情報以外の、伝搬路情報を含んで構成される伝搬路行列をブロック三角化する係数行列と、前記係数行列に基づきブロック三角化された各端末装置についての等価伝搬路行列の部分行列を特異値分解して得られるユニタリ行列とに基づき、前記フィルタ係数を算出することを特徴とする無線通信装置である。
(3)本発明のさらに他の態様は、前記多重信号生成部は、前記等価伝搬路に基づきユーザ間干渉成分信号を算出し、前記送信信号から前記ユーザ間干渉成分を減算する処理を空間多重の対象となる端末装置毎に逐次的に行うことを特徴とする無線通信装置である。
(4)本発明のさらに他の態様は、前記多重信号生成部は、前記受信アンテナ数と前記送信ストリーム数との差が大きい端末装置を、前記ユーザ間干渉を含む信号が受信される端末装置として選択し、前記選択した端末装置宛の送信信号をより優先して生成する、ことを特徴とする無線通信装置である。
(5)本発明のさらに他の態様は、前記多重信号生成部は、送信ストリーム数が受信アンテナ数未満であって、前記送信ストリーム数が少ない端末装置を、前記ユーザ間干渉を含む信号が受信される端末装置として選択し、前記選択した端末装置宛の送信信号をより優先して生成する、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明によれば、端末装置の一部の受信アンテナへの送信信号を受信する送信アンテナについてユーザ間干渉が許容されるため、送信アンテナの自由度を他の端末装置への伝送特性の向上に利用でき、システム全体として伝送特性の向上を図ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る通信システムの概念図である。 本実施形態に係る基地局装置1の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る多重信号生成部110の構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る本実施形態にかかるフィルタ係数行列の生成処理の流れ図である。 本実施形態に係る無線通信方法の流れ図である。 本実施形態に係る端末装置2の構成を示す概略ブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る基地局装置501の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る端末装置502の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係るその他の態様の通信システムを示す概略図である。 本実施形態に係るその他の態様の通信システムを示す概略図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に関わる通信システムの一例を示す。この通信システムは、基地局装置1と2個の端末装置2及び3とを含んで構成される。基地局装置1は、4本の送信アンテナ101−1〜101−4及び1本の受信アンテナ102を有する。端末装置2及び3は、それぞれ2本の受信アンテナ201−1並びに201−2及び301−1並びに301−2を有する。また、端末装置2及び3は、それぞれ1本の送信アンテナ214及び314を有する。
本実施形態では、基地局装置1は一方の端末装置、例えば端末装置2への送信に際して1つのストリームのみを用い、端末装置2は、1本の受信アンテナ、例えば201−1のみで、そのストリームの信号を受信する。基地局装置1は、他方の端末装置、例えば端末装置3への送信に際して2つのストリームを用い、端末装置3は、それら2つのストリームについて2本の受信アンテナを用いて信号を受信する。
つまり、本実施の形態では、各端末装置宛に伝送するストリーム数の合計(総数)を送信アンテナ数未満とする。そして、基地局装置1は、端末装置2における他方の受信アンテナ201−2を空間多重の対象から除外し、受信アンテナ201−2には端末装置2への信号(所望信号)だけではなく、後述するようにユーザ間干渉、つまり端末装置3への信号も重畳して受信されるように処理を施す。このような処理により、受信アンテナ201−2へのユーザ間干渉を除去するための自由度を節約でき、節約された自由度を端末装置3における受信品質の低下を抑制するために用いることができる。
<基地局装置について>
次に、本実施形態にかかる基地局装置1の構成について図を用いて説明する。図2は、本実施形態にかかる基地局装置1の構成を示す概略ブロック図である。基地局装置1は、送信アンテナ101−1〜101−4、受信アンテナ102、無線受信部103、順序決定部104、順序変換部107、符号化部108、変調部109、多重信号生成部110、第1参照信号生成部111、第2参照信号生成部112、第2フィルタ乗算部113、無線送信部115−1〜115−4、及び上位層部116、を含んで構成される。
上位層部116は、順序決定部114、MCS(Modulation and Coding Scheme;変調多値数及び符号化率)決定部105及びアプリケーション部106、を含んで構成される。
多重信号生成部110は、フィルタ算出部121、を含んで構成される。
受信アンテナ102は、端末装置2及び3から送信された信号を受信し、受信信号を無線受信部103に出力する。
無線受信部103は、受信アンテナ102から入力された受信信号をダウンコンバートしてベースバンド信号を生成し、A/D(アナログ・ディジタル、Analog to Digital)変換してディジタル受信信号を生成する。さらに、無線受信部103は、そのディジタル受信信号のうち各端末装置2及び3からの受信品質情報(CQI,Channel Quality Information)を抽出し、MCS決定部105に出力する。CQIとは、基地局装置1からの送信信号の各端末装置2,3における受信品質を示す情報である。例えば、基地局装置1から各端末装置2,3への距離、基地局装置1と端末装置2,3との障害物の有無、端末装置2,3が屋内、屋外のいずれに存在するか、各端末装置2,3における受信SNR(Signal−to−Noise Power Ratio,信号対雑音電力比)等の情報を示す。具体的には、端末装置2が基地局装置1の近傍に存在するとき、端末装置2における受信SNRが高いためCQIが大きい値をとる。反対に、端末装置2が基地局装置1から遠隔に存在するとき、端末装置2における受信SNRが低くなり、CQIが小さい値をとる。
無線受信部103は、前述のディジタル受信信号のうち基地局装置1の各送信アンテナ101−1〜101−4から端末装置2,3の各受信アンテナ201−1,201−2,301−1,301−2までの伝搬路情報(CSI,Channel State Information)を抽出し、フィルタ算出部121に出力する。
無線受信部103は、前述のディジタル受信信号のうち端末装置2,3各々の要求ストリーム数を示すストリーム数情報及び受信アンテナ数を示す受信アンテナ数情報を抽出し、順序決定部104に出力する。なお、無線受信部103は、端末装置2,3からアンテナ数分の受信品質情報を受信し抽出していれば、必ずしも受信アンテナ数情報を受信も抽出もする必要はない。また、無線受信部103は、端末装置2,3から、通信開始時にその機種情報やカテゴリ情報を受信することがある。無線受信部103は、この受信情報に基づき各端末装置2,3における受信アンテナ数情報を取得することができる。このように別途の手段で情報を取得できる場合には、無線受信部103は、受信アンテナ数情報を受信も抽出もする必要はない。
順序決定部104は、無線受信部103から入力された各端末装置2,3のストリーム数情報、受信アンテナ数情報又はこれらの組み合わせに基づいて、端末装置2,3への送信信号の生成順序を決定する。ここで、順序決定部104は、受信アンテナ数とストリーム数情報が示す要求ストリーム数の差が大きい端末装置の順序が先になるように送信信号の生成順序を決定する。即ち、ストリーム数情報が示す要求ストリーム数情報が受信アンテナ数と等しい端末装置への送信信号の生成順序が最後になるように、その生成順序が決定されることになる。但し、送信信号の生成順序とは、多重信号生成部110内の第1フィルタ乗算部125への入力信号の生成順序を意味している。例えば、送信信号の生成順序がn(2≦n)番目の端末装置を端末装置nとすると、BT−THP法では、端末装置n宛の送信信号は、端末装置n宛の変調信号(変調部109の出力信号)から、端末装置1〜n-1宛の送信信号(第1フィルタ乗算部への入力信号)が端末装置nに与えるユーザ間干渉を減算して得られる信号である。したがって、端末装置n宛の送信信号は端末装置1〜n-1宛の送信信号が算出されるまで得ることができず、各端末装置宛の送信信号は、自身より生成順序が先の端末装置宛の送信信号が算出された後に算出されることとなる。このように、第1フィルタ乗算部への入力信号は、端末装置毎に逐次的に算出される信号であるといえ、本実施の形態では、この逐次的に生成される順序を送信信号の生成順序と呼んでいる。
同時に3つ以上の端末装置への送信信号を多重化する場合には、要求ストリーム数と受信アンテナ数が等しい端末装置が複数存在することも考えられる。このような場合には、例えば、受信アンテナ数が少ない端末装置のほうが、受信アンテナ数が多い端末装置よりも先になるように送信信号の信号生成順序を決定してもよい。また、CQIの大きさに応じて信号生成順序を決定してもよく、例えば、CQIが小さい端末装置のほうが、CQIの大きい端末装置よりも先になるように送信信号の信号生成順序を決定してもよい。
例えば、端末装置2が基地局装置1に対して1ストリームを要求し、端末装置3が2ストリームを要求する場合、端末装置2の信号生成順序は1番目、端末装置3の信号生成順序は2番目と決定される。
順序決定部104は、各端末装置2,3の送信信号の信号生成順序を示す信号生成順序情報を順序変換部107及びフィルタ算出部121に出力する。
MCS決定部105は、無線受信部103から入力されたCQIに基づいて、データ信号の変調方式情報と符号化率情報を決定する。例えば、基地局装置1は、CQIと変調方式情報及び符号化率情報を対応付けて構成されるテーブルを記憶しており、MCS決定部105は、入力されたCQIに基づき、そのテーブルから変調方式情報と符号化率情報を読み出す。また、MU−MIMO伝送では、空間多重される端末装置の組合せによって、受信品質が変動することがあるため、入力されたCQIとCSIに基づき、CQIを補正し、補正したCQIに基づいて変調方式情報と符号化率情報を決定してもよい。MCS決定部105は、決定した符号化率情報と変調方式情報を各々、符号化部108、変調部109に出力する。変調方式は、例えば、QPSK(Quadrature Phase−shift Keying,四位相偏移変調)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation、16値直交振幅変調)、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation、64値直交振幅変調)等である。ここで、符号化率とは、情報ビット数の、冗長ビットを含めた総ビット数に対する比率である。
但し、MCS決定部105は、変調方式と符号化率を必ずしも逐次、例えばフレーム単位で決定する必要はなく、一定の変調方式や符号化率を用いてもよい。また、無線受信部103から入力されたディジタル受信信号に変調方式情報や符号化率情報が含まれる場合には、そのディジタル受信信号から変調方式情報や符号化率情報を抽出してもよい。
アプリケーション部106は、各端末装置宛に送信するデータビットを順序変換部107に出力する。
順序変換部107は、順序決定部104から入力された信号生成順序情報に基づき、各端末装置への送信データビットを並び替え、符号化部108に出力する。端末装置2への送信データビットをd2,1、端末装置3への第1,2ストリームにかかる送信データビットを各々d3,1, d3,2 とすると、並び替えられた送信データビットの順序はd2,1, d3,1, d3,2 となる。但し、この並び替えは、後述する多重信号生成部110における送信信号の生成順序であり、データビットを直列に並び替えることではない。
符号化部108は、順序変換部107から入力された送信データビットを、MCS決定部105から入力された符号化率情報が示す符号化率で符号化し、冗長ビットを付加する。符号化後のデータビットc2,1, c3,1, c3,2 を変調部109に出力する。
変調部109は、符号化部108から入力された符号化データビットをMCS決定部105から入力された変調方式情報が示す変調方式で変調し、変調により生成された変調信号を多重信号生成部110へ出力する。多重信号生成部110の構成及び処理については後述する。ここで、変調部109において変調された信号は次式のようにベクトルで表わされる。
Figure 0005721400
式(1)において、s2,1は端末装置2宛の第1ストリームの変調信号を、s3,1は端末装置3宛の第1ストリームの変調信号を、s3,2は端末装置3宛の第2ストリームの変調信号をそれぞれ表す。
第1参照信号生成部111は、各送信アンテナ101−1〜101−4から送信される第1のパイロット信号を生成し、信号多重部114に出力する。パイロット信号とは、基地局装置1及び端末装置2,3の間で既知の信号であり、各端末装置において基地局装置1から端末装置2,3までの伝搬路情報を各々推定するために用いられる。ここで、送信アンテナ101−1〜101−4から送信された第1のパイロット信号が互いに干渉しないように、第1のパイロット信号は送信アンテナ間で直交化されている。この直交化は、時間領域において行ってもよいし、異なる直交符号を用いることにより行ってもよい。また、マルチキャリア伝送システムを対象とする場合には、各送信アンテナから送信されるパイロット信号を異なるサブキャリアに配置して、周波数領域において直交化する構成としてもよい。
第2参照信号生成部112は、多重化された信号を各端末装置2,3において分離、復調するための第2のパイロット信号を生成し、第2フィルタ乗算部113に出力する。この第2のパイロット信号についても、互いに干渉しないように、第2フィルタ乗算部へ入力される際の第2のパイロット信号は送信アンテナ間で直交化されている。
第2フィルタ乗算部113は、第2のパイロット信号に、フィルタ算出部121から入力されたフィルタ係数Mを乗算する。第2フィルタ乗算部113はフィルタ係数が乗算された第2のパイロット信号を信号多重部114に出力する。
信号多重部114は、第1のパイロット信号、フィルタ係数が乗算された第2のパイロット信号及び第1フィルタ乗算部125から入力された信号を多重化する。ここで、信号多重部114における信号の多重化とは、例えば、パイロット信号と第1フィルタ乗算部125から入力されたデータ信号とを時間領域で多重し、通信フレームを構成する処理である。但し、第1のパイロット信号は、CSI推定用の既知信号であり、必ずしもデータ信号や第2のパイロット信号と多重する必要はなく、第1のパイロット信号のみ異なる時刻で伝送してもよい。また、信号多重部114は、modulo演算を行ったか否かを示すmodulo演算情報を多重化した信号に付加してもよい。modulo演算については後述する。信号多重部114は、さらに、多重化した信号を各々送信アンテナ101−1〜101−4に割り当て、各々対応する無線送信部115−1〜115−4に出力する。
無線送信部115−1〜115−4は、信号多重部114から入力されたディジタル信号をD/A(Digital to Analog)変換し、アナログ信号を生成する。無線送信部115−1〜115−4は、生成したアナログ信号を、各送信アンテナ101−1〜101〜4に対応する無線周波数帯域にアップコンバートし、アップコンバートした無線送信信号を送信アンテナ101−1〜101−4に出力する。送信アンテナ101−1〜101−4は、この無線送信信号を電磁波で端末装置2,3に送信する。
次に、本実施形態にかかる多重信号生成部110の構成及び処理について図を用いて説明する。図3は、本実施形態にかかる多重信号生成部110の構成を示すブロック図である。多重信号生成部110は、フィルタ算出部121、干渉算出部122、減算部123−2,123−3、modulo演算部124−2、124−3及び第1フィルタ乗算部125を含んで構成される。
フィルタ算出部121は、無線受信部103から入力された各端末装置2,3の伝搬路情報(CSI)を、順序決定部104から入力された信号生成順序情報に基づいて並べ、伝搬行列Hを生成する。ここでは、信号生成順が先の端末装置における伝搬路情報を、より上の行に並べて伝搬行列を生成する。
まず、基地局装置1から2台の端末装置2,3へ信号を送信し、端末装置2,3は各々受信アンテナを2本有する場合を例にとってフィルタ係数行列Mを算出する方法について説明する。
ここで、信号生成順序情報が1,2番目の端末装置が、端末装置2,3であるため、伝搬行列Hは次式のように生成される。
Figure 0005721400
ここで、Hi,j,k のうちiは端末装置、jは端末装置における受信アンテナ、kは基地局装置1における送信アンテナのインデックスをそれぞれ示す。つまり、i=2のとき、端末装置2を示し、j=1のとき受信アンテナ201−1を、j=2のとき受信アンテナ201−2を示す。i=3のとき、端末装置3を示し、j=1のとき受信アンテナ301−1を、j=2のとき受信アンテナ301−2を示す。k=1のとき送信アンテナ101−1を、k=2のとき送信アンテナ101−2を、k=3のとき送信アンテナ101−3を、k=4のとき送信アンテナ101−4を示す。
本実施形態では、端末装置2が1ストリームの所望信号を受信するアンテナを、例えば受信アンテナ201−1とし、受信信号にユーザ間干渉を許容するアンテナを、例えば受信アンテナ201−2とする。所望信号とは、基地局装置1が、その受信端末装置(この場合、端末装置2)宛に送信する送信信号をいう。まず、フィルタ算出部121は、端末装置2の受信アンテナ201−1に端末装置2への所望信号のみが受信されるように伝搬行列Hをブロック三角化する。
フィルタ算出部121は、端末装置2の部分伝搬行列H2として伝搬行列Hから、要求ストリーム数分(ここでは、1ストリーム)の成分を抽出する。本実施形態では、端末装置2について1ストリームを受信するアンテナを受信アンテナ201−1としたため、部分伝搬行列H2は、受信アンテナ201−1に関する成分を抽出する。したがって、端末装置2の部分伝搬行列H2は式(3)で示される。
Figure 0005721400
フィルタ算出部121は、端末装置2の部分伝搬行列H2を式(4)のように特異値分解する。
Figure 0005721400
ここで、U2は1となる。D2は1行4列のベクトルであって、1列目に正の実数値をとり、2〜4列目にゼロをとるベクトルである。行列V2は4行4列のユニタリ行列であり、この行列をブロック三角化のための係数行列M’とする。但し、VHは行列Vの複素共役転置行列を示す。
フィルタ算出部121は、行列V2の最も左の列から、端末装置2における要求ストリーム数1列分の成分を抽出した4行1列のベクトルV2,2と、その他の列(第2〜4列)の成分である4行3列の行列V2,3を抽出する。
フィルタ算出部121は、端末装置2,3において所望信号のみを受信する受信アンテナにおける伝搬路を抽出した伝搬行列H’を構成する。この伝搬行列H’は式(5)で示される。ここでは、端末装置2の受信アンテナ101−2は、所望信号だけでなくユーザ間干渉が含まれた信号を受信するアンテナとして設定されているため、その伝搬路ベクトル [H2,2,1 H2,2,2 H2,2,3 H2,2,4] は伝搬行列H’には含まれない。
Figure 0005721400
次に、フィルタ算出部121は、ブロック三角化のための係数行列M’に伝搬行列H’を乗算する。即ち、フィルタ算出部121は伝搬行列H’をブロック三角化して等価伝搬路行列βを算出する。この等価伝搬路行列βは、式(6)で表される。
Figure 0005721400
ここで、βi,j,kは、基地局装置1から送信されたk番目のストリームを、端末装置iの受信アンテナjで受信する際の等価伝搬路を示している。つまり、β2,1,1、β3,1,1、β3,2,1は、端末装置2宛のストリーム(送信信号)が端末装置2の受信アンテナ201−1、端末装置3の受信アンテナ301−1,301−2で受信される際の等価伝搬路をそれぞれ示す。また、β3,1,2、β3,1,3、β3,2,2、β3,2,3は、端末装置3宛の2つのストリーム(送信信号)が端末装置3の各受信アンテナ201−1,201−2で受信される際の等価伝搬路を示す。β3,1,4、β3,2,4は、4ストリーム目の信号が端末装置3の各受信アンテナで受信される際の等価伝搬路を表わしている。この例では、基地局装置が送信するストリーム数の合計は3ストリームであり、この等価伝搬路を経由して受信される信号はない。なお、式(6)の第1行第2〜4列の成分がいずれもゼロになるのは、H’の1行目を特異値分解して得られる係数行列M’の第2〜4列が、端末装置2の受信アンテナ201−1において信号が受信されないように定められているからである。
次に、フィルタ算出部121は、等価伝搬路行列βから、端末装置3における等価伝搬路のうち、ユーザ間干渉(端末装置2宛の送信信号)の等価伝搬路を除いた部分行列をβ3’として抽出する。この部分行列β3’は式(7)で示される。
Figure 0005721400
フィルタ算出部121は、部分行列β3’を特異値分解する。
Figure 0005721400
ここで、行列V3’は3行3列のユニタリ行列である。U3’は2行2列のユニタリ行列である。D3’は2行3列の行列であって、対角成分以外はゼロをとる行列である。
フィルタ算出部121は、ベクトルV2,2と、行列V2,3とユニタリ行列V3’との積を列方向に並置してフィルタ係数行列Mを構成する。ここで、ユニタリ行列V3’の乗算は、端末装置3宛の2つのストリームの信号を分離することを目的とする。これらの信号は、端末装置の2つの受信アンテナ(受信アンテナ301−1,301−2)で混在して受信されるからである。具体的には、伝搬行列H’をブロック三角化するフィルタ係数行列Mは式(9)のように表される。
Figure 0005721400
このフィルタ係数行列Mは、ここでは4行4列の行列として表わされているが、式(1)に示すように、本実施の形態において送信すべき変調信号は3つであるため、式(9)のMの4列目のベクトルは用いる必要がない。したがって、実際にフィルタ算出部から出力される行列は、式(9)のMから4列目を除いた4行3列の行列でよい。
また、式(1)は変調信号を3行1列のベクトルとして表わしているが、4行目にゼロを挿入し、[s2,1 s3,1 s3,2 0]Tのように4行1列のベクトルで表わすこともできる。このような場合には、式(9)に示す4行4列のフィルタ係数行列Mをそのまま用いればよい。これら2通りの行列演算では、見かけ上異なる式で表されるが、フィルタ乗算後の送信信号及び各端末装置における受信信号は全く同一となる。
このように算出されたフィルタ係数行列Mは、干渉算出部122と第1フィルタ乗算部125へ出力される。
ここで、伝搬行列H’とフィルタ係数行列Mを用いると、基地局装置1と各端末装置2,3の間の等価伝搬路行列は次式のように表わすことができ、フィルタ算出部121は、この等価伝搬路行列αを算出する。
Figure 0005721400
等価伝搬路行列αも、行列βと同様に、基地局装置1で生成される送信信号に対して各端末装置2,3で受信されるまでの実質的な伝搬路を表わしているといえる。但し、等価伝搬路行列αでは、α2,1,1 等がゼロ以外の値をとる成分であり、端末装置3宛の信号(k=2,3の信号)が端末装置2において受信される際の等価伝搬路がゼロとなっている。即ち、基地局装置1において送信信号を要素とするベクトルにフィルタ係数行列Mを乗ずることにより、端末装置2の受信アンテナ201−1には端末装置2へのストリーム以外が届かないこと、つまり、ユーザ間干渉が除去されることを意味する。
一方、端末装置3については、端末装置2宛の信号(ストリームインデックスが1の信号)が端末装置3の受信アンテナ301−1,301−2で受信される際の等価伝搬路の要素がゼロではないため、端末装置2宛に伝送されたストリーム、つまり、ユーザ間干渉を受信することとなる。このように、フィルタ係数行列Mを用いる場合には端末装置3はユーザ間干渉を含んだ信号を受信することとなり、フィルタ係数行列Mを送信信号に乗算するだけでは全てのユーザ間干渉を抑圧することができない。しかし、等価伝搬路行列αを算出することにより、端末装置が受信するユーザ間干渉を抑圧するため、フィルタ算出部121は、フィルタ係数行列Mと等価伝搬路行列αの情報も干渉算出部122に出力する。
干渉算出部122は、端末装置3宛の変調信号から減算すべきユーザ間干渉を算出する。このユーザ間干渉の算出に先立ち、干渉算出部122には、端末装置2宛の変調信号s2,1が、変調部109から、フィルタ係数行列M及び等価伝搬路行列αがフィルタ算出部121から入力される。なお、減算部123−2,123−3には、それ以外の変調信号が入力される。
干渉算出部122は、変調信号s2,1と等価伝搬路行列αに基づき端末装置3における干渉信号成分f3,1、f3,2 を算出する。この干渉信号成分f3,1、f3,2 は、式(11)に示すように端末装置3宛の所望信号にかかる等価伝搬路成分からなる部分行列の逆行列を受信するユーザ間干渉に乗算して算出できる。ここで、所望信号とは、端末装置3宛の2つのストリームにかかる送信信号であり、ユーザ間干渉とは、端末装置3において受信される端末装置2宛のストリームにかかる送信信号に基づく成分である。
Figure 0005721400
干渉算出部122は、算出した干渉信号成分f3,1、f3,2 を減算部123−2,123−3に出力する。
減算部123−2,123−3は、基地局装置1から端末装置3への2つのストリームにかかる変調信号s3,1, s3,2から干渉算出部122で算出された干渉信号成分f3,1、f3,2をそれぞれ減算して、減算して得られた減算信号s3,1- f3,1, s3,2- f3,2をそれぞれmodulo演算部124−2,124−3に出力する。
modulo演算部124−2,124−3は、減算信号に対してmodulo演算を行う。modulo演算とは、例えば値uに対して式(12)によりνを算出する演算である。
Figure 0005721400
ここで、modτ(...)は、τを除数とする...に対するmodulo演算であることを示す。floor(...)は、...の整数部分であることを示す。Re[...]は...の実部であることを示す。jは虚数単位である。Im[...]は...の虚部であることを示す。τは、信号の変調方式によって定まる定数である。例えば、QPSKではτ=2√2、16QAMではτ=8/√10、64QAMではτ=16/√42である。
modulo演算によれば、減算信号s3,1-f3,1, s3,2-f3,2の振幅を所定の範囲内に制限することができ、送信電力の増大を抑制することができる。modulo演算部124−2、124−3は、このようなmodulo演算により得られた送信信号を各々第1フィルタ乗算部125に出力する。ここで、modulo演算部124−2、124−3から出力される端末装置3宛の送信信号は、端末装置2宛の送信信号s2,1を基に生成されるため、端末装置2宛の送信信号が生成された後でなければ生成できない。このように逐次的に生成される信号の順序を、本実施形態では信号生成順序と称し、各端末装置から要求された所望送信ストリーム数に基づいて定めた信号生成順序に従って各端末装置宛の送信信号を生成する。
第1フィルタ乗算部125は、変調部109から端末装置2への1つのストリームの送信信号と、modulo演算部124−2,124−3から入力された端末装置3への2つのストリームの送信信号を要素とする信号ベクトルに、フィルタ算出部121で算出されたフィルタ係数行列M(4行3列)を乗算して、乗算により生成された信号を信号多重部114に出力する。
ここで、基地局装置1からの送信信号ベクトルs=[s2,1, s3,1-f3,1, s3,2-f3,2]Tに対し、各端末装置2,3で受信される受信信号y=[y2,1, y2,2, y3,1, y3,2]Tは、等価伝搬路行列αを用いて式(13)で示される。但し、ここでは、簡単のため、modulo演算により加算される信号、及び受信機で加わる雑音を無視する。
Figure 0005721400
式(13)に示すように、端末装置2の一方の受信アンテナ、例えば201−1では(式(13)の第1行)、変調(送信)信号s2,1にα2,1,1が乗算された信号が受信される。即ち、この受信アンテナではユーザ間干渉が発生しない。同様に、端末装置3の受信アンテナにおいても(式(13)の第3,4行)、端末装置3への変調信号s3,1, s3,2が等価伝搬路行列の成分による重み付け加算された信号のみが受信され、ユーザ間干渉が発生しない。
一方、端末装置2の他方の受信アンテナ、例えば201−2では(式(13)の第2行)端末装置2への信号s2,1の他、端末装置3への信号s3,1, s3,2も重畳して受信される。即ち、このアンテナではユーザ間干渉が発生している。しかし、受信アンテナ201−1においてはユーザ間干渉が発生せずに、端末装置2宛の所望信号が受信されている。つまり、端末装置2は、ユーザ間干渉が含まれる受信アンテナ201−2における受信信号を採用する必要はない。このため、一部の受信アンテナで受信される信号にユーザ間干渉が発生することを許容しても、他の受信アンテナにおいてユーザ間干渉を発生させずに所望信号を受信することができる。そのようにユーザ間干渉を許容することにより、送信アンテナの自由度を、ユーザ間干渉を除去するために利用せずに済む。そして、利用されていない自由度を他の端末装置宛の送信に利用することにより、その端末装置における受信品質を向上させることが可能となり、システム全体として伝送品質が向上する。
<一般化したフィルタ係数行列の生成処理について>
次に、信号の送信先となる端末装置がN台(Nは2以上の自然数)とした場合のフィルタ係数行列や干渉信号成分の生成方法に関して図4を用いて説明を行う。図4は、本実施形態にかかるフィルタ係数行列Mの生成処理の流れ図である。ここで、端末数N、信号生成順序n (1≦n≦N)、信号生成順序がn番目の端末装置Bnにおけるストリーム数をJn、全端末のストリーム数の合計をKとする。また、基地局装置の送信アンテナ数をLTX、端末装置における空間多重の対象となる受信アンテナ数の合計をLRXとする。従って、本実施の形態では、LRXは必ずしも端末装置の受信アンテナ数の合計と一致せず、この合計より少なくなる。なお、ストリーム数の合計Kを送信アンテナ数LTX未満(K<LTX)、K=LRX、変調信号ベクトルのサイズをK行1列とする。
(ステップS801)フィルタ算出部121は、伝搬路情報から信号生成順序がn番目の端末装置について、ユーザ間干渉を許容しない受信アンテナ(即ち、行数が要求ストリーム数、列数が基地局装置の送信アンテナ数)に関する部分伝搬行列Hnを各々抽出する。
N台の端末装置について端末装置nの部分伝搬行列Hnを並置して伝搬行列H’を生成する。
(ステップS802)nの初期値をN-1とする。
次に、フィルタ算出部121は、以下のステップS803〜S807のループをnがN-1, N-2, …1の降順で実行する。
(ステップS803)端末装置nが最終値1に達していないか否か判断する。
n≧1の場合、ステップS804に進む(ステップS803 Y)。
n<1の場合、ステップS808に進む(ステップS803 N)。
(ステップS804)フィルタ算出部121は、式(14)で示されるように一部のブロック三角化が行われた等価伝搬行列Hn+1’に後述する式(16)の特異値分解で得られるユニタリ行列Vn+1を乗算して、次の段階のブロック三角化を行った等価伝搬行列Hn’を算出する。但し、式(14)において、Hn’の初期値HN-1’は伝搬行列H’であり、式(14)によるHn’の算出はn≦N-2において行われる。
Figure 0005721400
(ステップS805)次に、フィルタ算出部121は、等価伝搬行列Hn’のうち、1番目からn番目の端末装置における等価伝搬路成分(Hn’のうちJ1+J2+…Jn 行)を抽出して行列Anを構成する。ここで、A’nはブロック伝搬行列Hn’から行列Anを抽出した残りの部分行列(行数はK-J1-J2-…Jn)である。つまり、これらの行列は、次式に示す関係を有する。但し、XTは行列Xの転置行列を表わしている。
Figure 0005721400
(ステップS806)フィルタ算出部121は、抽出した行列Anを式(16)に示されるように特異値分解してユニタリ行列Vnを算出する。ユニタリ行列Vnは、送信信号を要素とするベクトルに乗ずることにより、信号生成順序がn番目よりも後(n+1以上)の端末装置宛の送信信号が、これよりも信号生成順序が優先される端末装置(n番目以前)宛の送信信号との線形結合、つまりユーザ間干渉を除去する係数行列である。
Figure 0005721400
(ステップS807)nから1を減算して、ステップS803に戻る。
(ステップS808)フィルタ算出部121は、ユニタリ行列V1, … VN-1 を全て乗算しブロック三角化のための係数行列M’を式(17)に従って算出する。
Figure 0005721400
(ステップS809)フィルタ算出部121は、式(18)で示されるようにブロック三角化のための係数行列M’に伝搬路行列H’を乗じて等価伝搬路行列βを算出する。
Figure 0005721400
この等価伝搬路行列βは、端末装置i(1≦i≦N)についてのSU−MIMO等価伝搬路行列βiiをブロック化された対角成分として有し、例えば、式(19)のように表される。また、等価伝搬路行列βは、信号生成順序がより優先された端末装置宛の送信信号が、その端末装置よりも信号生成順序が後の端末装置宛の送信信号に与えるユーザ間干渉を示す係数を、ブロック化された下三角行列として含んでいる。また、その他の成分はゼロ、つまり信号生成順序がより後の端末装置宛の送信信号が、その端末装置よりも信号生成順序が先の端末装置の送信信号に干渉しないことを示す。
Figure 0005721400
ここで、SU−MIMO等価伝搬路行列βiiは、信号生成順序がi番目の端末装置宛の送信信号についての等価伝搬路行列を、βij(i≠j)は、信号生成順序がj番目の端末装置宛の送信信号が、信号生成順序がi番目の端末装置宛の送信信号へ与えるユーザ間干渉における等価伝搬路行列をそれぞれ表わしている。ここで、所望のストリーム数、つまり端末装置iが受信を要求するストリーム数がJiストリームである端末装置iにおける等価伝搬路行列βiiのサイズはJi×Jiとなる。特に、所望ストリーム数が1の場合には等価伝搬路部分行列βiiはスカラー値となる。また、等価伝搬路行列βij(i≠j)のサイズはJi×Jjとなる。但し、等価伝搬路行列βNNのサイズはJN×(LTX-(J1+…+JN-1))となる。
(ステップS810)フィルタ算出部121は、各端末装置nについてのSU−MIMO伝搬路行列βnnを式(20)で表されるように特異値分解し、右側に現れるユニタリ行列V’nをプレコーディング行列として算出する。
Figure 0005721400
(ステップS811)フィルタ算出部121は、ブロック三角化のための係数行列M’から、ストリーム数Jn列のベクトル要素を端末装置n毎のブロック三角化部分行列M’nとして抽出する。ここで、ブロック三角化のための係数行列M’は、式(21)に示されるようにブロック三角化部分行列M’nをn=1〜Nについて結合したものである。
Figure 0005721400
ここで、M’1は、行列M’の第1〜J1列のベクトル成分を抽出した部分行列である。M’2は、行列M’のJ1+1〜J1+J2列のベクトル成分を抽出した部分行列である。また、M’Nは、行列M’のJ1+J2+…+JN-1+1列以降の列ベクトル成分を抽出してできる部分行列である。
(ステップS812)フィルタ算出部121は、フィルタ係数行列Mを、式(21)のようにブロック三角化部分行列M’nとプレコーディング行列V’nを乗じて得られる部分行列を結合して算出する。プレコーディング行列V’nは、各端末装置の複数の受信アンテナに混在して受信される複数のストリームを、受信側で分離しやすくするために乗算される。但し、信号生成順序が最初の端末装置(n=1)については、ブロック三角化部分行列M’1にプレコーディング行列V’1を乗算する必要はない。これは、M’の算出に必要となる行列V1は、端末装置1へのユーザ間干渉を除去するために乗算されるものであるが、それと同時に、端末装置1におけるSU−MIMO等価伝搬路行列β11を受信側で分離しやすくするための役割をも担っているためである。
Figure 0005721400
この式(22)により、端末数をNとした場合のフィルタ係数行列を算出することができる。但し、式(22)に示す行列MはLTX行LTX列の行列として表わされているが、先に述べたように、本実施形態では、ストリーム数の合計Kは送信アンテナ数LTX未満(K<LTX)であることから、フィルタ係数行列MはLTX行K列であればよい。フィルタ算出部121から出力される行列は、式(22)に示す行列Mの1〜K列目までを抽出した行列でもよい。
次に、このように得られたフィルタ係数行列Mに受信伝搬行列H’を乗算して等価伝搬路行列αを算出する。この等価伝搬路行列αは、式(23)のように示される。
Figure 0005721400
本実施の形態における等価伝搬路行列αのサイズはK行K列であり、等価伝搬路行列βと同様に、各要素のうち、αiiは信号生成順序がi番目の端末装置宛の送信信号についての等価伝搬路行列を表わしており、αij(i≠j)は信号生成順序がj番目の端末装置宛の送信信号が、信号生成順序がi番目の端末装置の送信信号へ与えるユーザ間干渉における等価伝搬路行列をそれぞれ表わしている。ここで、フィルタ算出部121は等価伝搬路行列αを干渉算出部122に出力する。
干渉算出部122は、信号生成順序がi番目の端末装置i宛の変調信号から減算すべき、信号生成順序がj番目の端末装置j宛の送信信号による干渉信号成分fijを、干渉算出部122から入力された等価伝搬路行列を示す情報を用いて、式(24)に基づき算出する。干渉算出部122は、干渉信号成分fijを減算部123に出力する。
Figure 0005721400
但し、sjは、端末装置j宛のストリーム毎の送信信号を要素とするベクトルを示す。
減算部123は、干渉算出部122から入力された干渉信号成分fijを、変調部109から入力された変調信号から減算し、送信信号を生成する。ここで、信号生成順序がi番目となる端末装置宛ての変調信号から減算される信号は、式(25)に示されるように、これよりも信号生成順序が優先される端末装置宛の干渉信号成分全てである。
Figure 0005721400
このように、減算部123が干渉成分信号を変調信号から減算することによって、線形フィルタで抑圧しないユーザ間干渉が、端末装置において受信されないようにすることができる。
<無線通信方法について>
次に本実施形態の基地局装置1における無線通信方法について図を用いて説明する。図5は、本実施形態にかかる無線通信方法の流れ図である。但し、以下に示す図5の説明では、送信信号の送信先となる端末装置が2台である場合を前提としているが、これには限られずN台と一般化された場合でもよい。
(ステップS901)順序決定部104は、無線受信部103から入力された各端末装置2,3のストリーム数情報、受信アンテナ数情報又はこれらの組み合わせに基づいて、端末装置2,3への送信信号の生成順序を決定する。順序決定部104は、ストリーム数情報が示す受信アンテナ数と要求ストリーム数の差が大きい端末装置から順に送信信号の生成順序を決定する。要求ストリーム数と受信アンテナ数が等しい端末装置が複数存在する場合には、例えば、受信アンテナ数が少ない端末装置のほうが、受信アンテナ数が多い端末装置よりも先になるように送信信号の信号生成順序を決定してもよい。また、前述のように、CQIに基づいて信号生成順序を決定してもよい。
順序決定部104は、各端末装置2,3の送信信号の信号生成順序を示す信号生成順序情報を順序変換部107及びフィルタ算出部121に出力する。
(ステップS902)順序変換部107は、順序決定部104から入力された信号生成順序情報に基づき、各端末装置へのデータ信号を並び替え、符号化部108に出力する。
(ステップS903)符号化部108は、順序変換部107から入力されたデータ信号を、MCS決定部105から入力された符号化率で符号化する。符号化後のデータ信号c2,1, c3,1, c3,2 を変調部109に出力する。
(ステップS904)変調部109は、符号化部108から入力されたデータ信号を変調し、変調により生成された変調信号を多重信号生成部110へ出力する。
(ステップS905)フィルタ算出部121は、無線受信部103から入力された各端末装置の伝搬路情報を、順序決定部104から入力された信号生成順序情報に基づいて並べ、伝搬行列H’を生成する。
(ステップS906)フィルタ算出部121は、端末装置2の受信アンテナ201−1に端末装置2への所望の信号のみが受信されるように伝搬行列H’をブロック三角化するフィルタ係数行列Mを算出する。
(ステップS907)フィルタ算出部121は、行列H’と行列Mを乗算して等価伝搬路行列αを算出し、干渉算出部122に出力する。
(ステップS908)多重信号生成部110は、送信ストリーム数が受信アンテナ数よりも少ない端末装置への送信信号に対応する変調部109からの出力信号を所望信号としてそのまま第1フィルタ乗算部125に入力する。多重信号生成部110は、それ以外の要素にかかる変調部からの出力信号を減算部123−2,123−3に入力する。
(ステップS909)干渉算出部122は、基地局装置1から端末装置2へ送信する変調信号s2,1を変調部109から、等価伝搬路行列αをフィルタ算出部121から入力される。干渉算出部122は、変調信号s2,1と等価伝搬路行列αから、基地局装置1から端末装置3へ送信する送信信号s3,1, s3,2に対する干渉成分信号f3,1、f3,2 を算出する。干渉算出部122は、算出した干渉成分信号f3,1、f3,2 を減算部123−2,123−3に出力する。
(ステップS910)減算部123−2,123−3は、基地局装置1から端末装置3への2つのストリームにかかる送信信号s3,1, s3,2から干渉算出部122で算出された干渉成分信号f3,1、f3,2をそれぞれ減算して、減算して得られた減算信号s3,1- f3,1, s3,2- f3,2をそれぞれmodulo演算部124−2,124−3に出力する。
(ステップS911)modulo演算部124−2,124−3は、減算信号に対してmodulo演算を行い、算出された信号を各々第1フィルタ乗算部125に出力する。
(ステップS912)第1フィルタ乗算部125は、変調部109から端末装置2への1つのストリームの変調信号と、modulo演算により得られた端末装置3への2つのストリームの信号を要素とするベクトルにフィルタ算出部121で算出されたフィルタ係数行列Mを乗算して、乗算により生成された信号を信号多重部114に出力する。
(ステップS913)信号多重部114は、第1のパイロット信号、フィルタ係数が乗算された第2のパイロット信号及び第1フィルタ乗算部125から入力された信号を多重化する。信号多重部114は、多重化した信号を各々送信アンテナ101−1〜101−4毎に割り当て、各々対応する無線送信部115−1〜115−4に出力する。
これにより、空間多重の対象となる受信アンテナにおけるユーザ間干渉を抑圧したBT−THP伝送を行うための送信信号を生成することができる。この時、空間多重の対象となっていない受信アンテナ(端末装置2の受信アンテナ201−2)ではユーザ間干渉が含まれた信号が受信される。この受信アンテナ201−2に対するユーザ間干渉を抑圧するためのフィルタ処理を行うことにより送信アンテナの自由度を利用するのではなく、他の端末装置(端末装置3)で受信される信号の品質を確保するために自由度を利用することができる。そのため、端末装置2と端末装置3で受信される信号の品質の差を緩和し、システム全体としての伝送品質を向上することができる。
<端末装置について>
次に、本実施形態に係る端末装置2の構成について図面を用いて説明する。端末装置3の構成も端末装置2と同様である。図6は、本実施形態にかかる端末装置2の構成を示す概略ブロック図である。
端末装置2は、受信アンテナ201−1,201−2、信号分離部203−1,203−2、制御信号処理部204−1,204−2、伝搬路推定部205、係数推定部206、多重分離部207、modulo判定部208−1,208−2、modulo演算部209−1,209−2、復調部210−1,210−2、復号部211−1,211−2、上位層部212、無線送信部213、送信アンテナ214、及び情報出力部215と、を含んで構成される。
端末装置2は、受信アンテナを2個有し、2つのストリームの受信信号を復号できる能力を有する。但し、本実施態様では、端末装置2が要求する受信ストリーム数は1であり、一方の受信アンテナ201−2で受信した受信信号を復号に用いなくてもよい。
受信アンテナ201−1,201−2は基地局装置1から電磁波として伝搬した送信信号を受信し、無線受信部202−1,202−2へ各々出力する。無線受信部202−1,202−2は受信アンテナ201−1,201−2が受信した受信信号を各々ダウンコンバートしてベースバンド信号を生成し、生成したベースバンド信号をアナログ/ディジタル(A/D;Analog/Digital)変換し、変換されたディジタル信号を信号分離部203−1,203−2にそれぞれ出力する。
信号分離部203−1,203−2は、無線受信部202−1,202−2から入力されたディジタル信号から制御信号、第1並びに第2のパイロット信号及びデータ信号を各々分離する。信号分離部203−1,203−2は、制御信号を制御信号処理部204−1,204−2に、第1のパイロット信号を伝搬路推定部205に、第2のパイロット信号を係数推定部206に、データ信号を多重分離部207に出力する。
制御信号処理部204−1,204−2は、信号分離部203−1,203−2から入力された制御信号を復調及び復号する。制御信号処理部204−1,204−2は、復号した制御信号のうちmodulo演算情報と変調方式情報を、各々modulo判定部208−1,208−2及びmodulo演算部209−1,209−2に出力する。制御信号処理部204−1,204−2は、復号した制御情報のうち符号化率情報及び変調方式情報を、各々復調部210−1,210−2及び復号部211−1,211−2に出力する。但し、ここでは、2つの制御信号処理部(204−1,204−2)を設けているが、別々の制御信号処理部が必要というわけではなく、これらを1つにまとめた構成としてもよい。
伝搬路推定部205は、信号分離部203−1,203−2から入力された第1のパイロット信号に基づいて基地局装置1の各送信アンテナから端末装置2の各受信アンテナまでの伝搬路情報、及び受信品質情報を算出する。受信品質情報とは、例えばS/N比(Signal−to−Noise Ratio;信号対雑音比)である。伝搬路推定部205は、算出した伝搬路情報及び受信品質情報を上位層部212に出力する。
係数推定部206は、信号分離部203−1,203−2から入力された第2のパイロット信号に基づいて、基地局装置1の各送信アンテナから端末装置2の各受信アンテナまでの等価伝搬路行列情報(例えば、式(13)の等価伝搬路行列の各要素)を算出する。係数推定部206は、算出した等価伝搬路行列情報を多重分離部207に出力する。
多重分離部207は、信号分離部203−1,203−2から入力されたデータ信号を係数推定部206から入力された等価伝搬路行列情報に基づき分離する。これは、例えば、端末装置3では、2つの所望ストリームが2アンテナに混在した状態で受信されるため、各ストリームに分離する処理である。ここで、多重分離部207は、等価伝搬路行列情報で示される等価伝搬路行列を特異値分解し、左側に現れるユニタリ行列情報(以下、左ユニタリ行列情報)を算出する。多重分離部207は、算出した左ユニタリ行列を複数のストリームが混在した受信信号ベクトルに乗ずることにより、ストリーム毎の受信信号に分離する。このように分離されたストリーム毎の受信信号は、多重分離部207からmodulo判定部208−1,208−2に出力される。
なお、本実施形態ではこれに限られず、基地局装置1のフィルタ算出部121において等価伝搬路情報に基づいて算出し、端末装置に送信(通知)した左ユニタリ行列情報を多重分離部207におけるデータ信号の分離に用いてもよい。この場合には、多重分離部207において、その左ユニタリ行列情報を算出する必要はない。
また、多重分離部207は、複数のストリームが混在した受信信号から各々のストリームの受信信号を分離するために、その他の処理方式を用いてもよい。例えば、2つの受信アンテナで受信した2つの受信信号に対してMMSE(Minimum Mean Square Error;最小平均二乗誤差)法やMLD(Maximum Likelihood Detection;最大尤度検出)法を用いてもよい。
なお、基地局装置1から端末装置2へのデータ信号の送信において1つの送信ストリームのみを用いる場合には、端末装置2では、所望の信号のみが受信される受信アンテナ、例えば201−1と、ユーザ間干渉が生じている信号が受信される受信アンテナ、例えば201−2がある。その場合には、先に述べたように、受信アンテナ201−1での受信信号のみをmodulo判定部へ出力し、それ以降の処理を行って復号すればよく、受信アンテナ201−2における受信信号は用いる必要はない。しかし、受信アンテナ201−2の受信信号にも所望信号が含まれるため、受信アンテナ201−1で受信した信号と合成及び分離して復調を行う構成としてもよい。この処理は多重分離部207においてMMSE法により行うことができる。
modulo判定部208−1,208−2は、制御信号処理部204−1,204−2からmodulo演算情報を、多重分離部207からデータ信号を入力される。modulo判定部208−1,208−2は、そのmodulo演算情報が基地局装置1においてmodulo演算情報を行ったことを示す場合、そのデータ信号をmodulo演算部209−1、209−2に出力する。modulo判定部208−1,208−2は、そのmodulo演算情報が基地局装置1においてmodulo演算情報を行っていないことを示す場合、そのデータ信号を復調部210−1、210−2に出力する。
modulo演算部209−1,209−2は、modulo判定部208−1,208−2から入力されたデータ信号に対して、基地局装置1のmodulo演算部124−2,124−3と同様のmodulo演算を行い、演算により得られた信号を復調部210−1,210−2に出力する。ここで、modulo演算部209−1,209−2は、制御信号処理部204−1,204−2から入力された変調方式情報に対応する数値τを選択し、選択したτを用いて式(12)に示されるmodulo演算を行う。
復調部210−1,210−2は、modulo判定部208−1,208−2又はmodulo演算部209−1,209−2から入力されたデータ信号から制御信号処理部204−1、204−2から入力された変調方式情報に対応する復調方式により復調し、復調したデータ信号を復号部211−1,211−2に出力する。
復号部211−1,211−2は、復調部210−1,210−2から入力された復調したデータ信号に対して、制御信号処理部204−1,204−2から入力された符号化率情報に基づいて復号することにより情報ビット列を再生する。復号部211−1,211−2は、再生した情報ビット列を上位層部212に出力する。
上位層部212は、復号部211−1,211−2から入力された情報ビット列を情報出力部215に出力する。上位層部212は、伝搬路推定部205から入力された受信品質情報及び伝搬路情報を無線送信部213に出力する。また、上位層部212は、端末装置2の要求ストリーム数を示すストリーム数情報及び受信アンテナ数を示す受信アンテナ数情報を無線送信部213に出力する。
無線送信部213は、上位層部212から入力された情報を含む信号を変調し、変調した信号をD/A(Digital/Analog;ディジタル・アナログ)変換してアナログ信号を生成する。無線送信部213は、そのアナログ信号を無線周波数帯域にアップコンバートして送信信号を生成し、送信アンテナ214に出力する。送信アンテナは入力した送信信号を電磁波として基地局装置1に送信する。
情報出力部215は、上位層部212から入力された情報ビット列をユーザに認識できる形式に変換して提示する。例えば、情報ビット列がディジタル音声信号である場合、情報出力部215は、そのディジタル音声信号をD/A変換してアナログ音声信号を生成し、そのアナログ音声信号に基づく音声を提示する。
以上のように、本実施形態では、MU−MIMO技術により多重化して伝送された信号から、BT−THP法によりプレコーディングを行う際、受信アンテナ数よりも端末装置2,3からの要求ストリーム数が少ない端末装置2ほど先に送信信号を生成する。また、本実施形態では一部の受信アンテナで受信される信号については、ユーザ間干渉が許容される。このような制御により、従来はユーザ間干渉の抑制のために用いた送信アンテナの自由度を、他の端末装置への信号の伝送特性の向上に利用することができる。そのため、システム全体としての信号の伝送特性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、各端末装置2,3から要求されたストリーム数をもって、基地局装置1から各端末装置2,3への送信ストリーム数を決定しているが、必ずしもこれに限られない。基地局装置1がその送信ストリーム数を決定してもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、端末装置2において、所望信号のみを受信する受信アンテナとユーザ間干渉が許容される受信アンテナが固定されている場合について示した。本実施形態では主に、所望信号のみを受信する受信アンテナとユーザ間干渉が許容される受信アンテナを逐次に選択する処理や、複数の受信アンテナに基づいて仮想的に構成される受信アンテナに対する空間多重化を示す。
<基地局装置について>
以下、本実施形態における基地局装置501の構成及び処理について図面を用いて説明する。図7は、本実施形態にかかる基地局装置501の構成を示す概略ブロック図である。基地局装置501の構成及び処理は、チャネル選択部131を含む以外は、前述の基地局装置1の構成及び処理と多くの部分で共通する。
無線受信部103は、受信アンテナ部102で受信した受信信号から伝搬路情報、ストリーム数情報、受信アンテナ数情報、受信品質情報を取得し、チャネル選択部131へその伝搬路情報、ストリーム数情報及び受信アンテナ数情報を出力する。
チャネル選択部131は、無線受信部103から入力された伝搬路情報、ストリーム数情報及び受信アンテナ数情報に基づき、各端末装置502,503について要求しているストリーム数分の伝搬路ベクトルを選択する。チャネル選択部131は、受信アンテナ数よりも少ない数のストリームを要求している端末装置について、伝搬路特性が良好な順に伝搬路ベクトルを選択する。伝搬路ベクトルとは、基地局装置505の各アンテナから、ある端末装置の、あるアンテナまでの伝搬路特性を要素とするベクトルである。例えば、2つの送信アンテナを有する端末装置2が1つのストリームを要求する場合、チャネル選択部131は、例えば基地局装置505から端末装置2の受信アンテナ201−1、201−2への伝搬路ベクトル[H2,1,1 H2,1,2 H2,1,3 H2,1,4]、[H2,2,1 H2,2,2 H2,2,3 H2,2,4]のノルムを伝搬路特性の尺度として各々算出し、伝搬路特性が優れるほう、例えばノルムが大きいほうの伝搬路ベクトルを選択する。伝搬路特性の尺度として、伝搬路ベクトルのノルムに限られず、例えばSNR値を用いてもよい。チャネル選択部131は、選択した伝搬路ベクトル又は受信アンテナの情報をチャネル選択情報としてフィルタ算出部121及び信号多重部114へ出力する。チャネル選択部131は、伝搬路情報をフィルタ算出部121へ出力する。
フィルタ算出部121は、チャネル選択部131から入力された伝搬路情報ならびにチャネル選択情報と、順序決定部104から入力された信号生成順序情報に基づき伝搬行列Hを生成する。
ここで、フィルタ算出部121は、端末装置2の部分伝搬行列H2を生成する。
例えば、受信アンテナ201−1への伝搬路ベクトル[H2,1,1 H2,1,2 H2,1,3 H2,1,4]のノルムが、受信アンテナ201−2への伝搬路ベクトル[H2,2,1 H2,2,2 H2,2,3 H2,2,4]のノルムよりも大きい場合、フィルタ算出部121は、端末装置2の部分伝搬行列H2を[H2,1,1 H2,1,2 H2,1,3 H2,1,4](1ストリーム)とする。
逆に、受信アンテナ201−2への伝搬路ベクトル [H2,2,1 H2,2,2 H2,2,3 H2,2,4]のノルムが受信アンテナ201−1への伝搬路ベクトル[H2,1,1 H2,1,2 H2,1,3 H2,1,4]のノルムよりも大きい場合、フィルタ算出部121は、端末装置2の部分伝搬行列H2を[H2,2,1 H2,2,2 H2,2,3 H2,2,4]とする。
そして、フィルタ算出部121は、第1の実施形態と同様に各端末装置の部分伝搬行列H2, H3に基づきフィルタ係数行列Mを算出し、第1フィルタ乗算部125及び第2フィルタ乗算部113に出力する。
信号多重部114は、データ信号と第1参照信号と第2参照信号を多重し、さらに制御情報としてmodulo演算情報及びチャネル選択部131から入力されたチャネル選択情報を付加する。
<端末装置について>
次に、本実施形態にかかる端末装置502の構成について図8を用いて説明する。図8は本実施形態にかかる端末装置502の構成を示す概略ブロック図である。端末装置503の機能及び構成も第1の実施形態の端末装置2,3とそれぞれ同様である。ここで、端末装置502,503は、2つの受信アンテナを有し、端末装置502は1ストリームの信号を、端末装置503は2つのストリームの信号をそれぞれ受信するものとする。
端末装置502において、制御信号処理部204−1,204−2は、基地局装置501から受信された制御信号からチャネル選択情報を抽出し、多重分離部207に出力する。多重分離部207において、制御信号処理部204−1,204−2から入力されたチャネル選択情報に基づき、選択された受信アンテナで受信された信号を抽出する。この抽出された信号が復調部210−1,210−2において復調され、復号部211−1,211−2において復号される。
図7に戻り、基地局装置501のフィルタ算出部121は、受信アンテナ数よりも少ない数のストリームを要求する端末装置502について、伝搬路特性が優れる(例えば、伝搬路ベクトルのノルムが大きい)順に伝搬路ベクトルを選択する。これを鑑みれば、第1の実施形態のように、受信信号を採用する受信アンテナを常に同一にする場合よりも受信特性を改善することができる。但し、ここでは、端末装置502から複数の伝搬路ベクトル情報を基地局装置501へ送信し、基地局装置501において、受信された伝搬路ベクトルから、いずれか(端末装置における受信アンテナ)を選択する構成としているが、これに限らず、端末装置502が、受信を希望する受信アンテナへの伝搬路ベクトルの情報のみを基地局装置501に送信する構成としてもよい。この場合にも、端末装置502が、各伝搬路ベクトルのノルムを比較することにより、伝搬路特性に優れる受信アンテナを選択することができる。同時に、基地局装置にフィードバックする伝搬路ベクトルに関する情報も削減することが可能となる。
または、基地局装置1の多重信号生成部110は、要求ストリーム数が受信アンテナ数よりも小さい端末装置502における全ての受信アンテナに係る端末装置502の伝搬行列H2’に、受信重みベクトルwを乗算して仮想受信アンテナによる部分伝搬行列H2’’を算出する。ここで、端末装置502の伝搬行列H2’は式(26)のように、行数が受信アンテナ数となる行列で表される。
Figure 0005721400
多重信号生成部110は、端末装置502の伝搬行列H2’を特異値分解し、固有値が大きい順に要求ストリーム数(ここでは1個)分の対応する左特異ベクトルからなる重み行列(ここでは1列目の複素共役転置ベクトル)wを定める。そして、多重信号生成部110は、重み行列wに端末装置502の伝搬行列H2’を乗じて仮想伝搬行列H2”(ここでは1行)を算出する。
この仮想伝搬行列H2”を式(2)の部分伝搬行列H2として利用すれば、複数の伝搬路特性が重み付け加算された仮想受信アンテナに対する空間多重を行うことができる。これにより、受信アンテナによる受信信号に対して最適な重み付けを行うことができ、要求ストリーム数が受信アンテナ数よりも少ない端末装置における受信特性を向上することができる。
本実施形態にかかる他の態様の通信システムについて図9を用いて説明する。図9は、本実施形態にかかる他の態様の通信システムを示す概略図である。本通信システムは、基地局装置601と端末装置602,603,604を含んで構成される。基地局装置601は、送信アンテナ101−1〜101−6と受信アンテナ102を有する。端末装置602,603,604は各々受信アンテナ201−1,201−2;301−1,301−2;401−1,401−2を、送信アンテナ214,314,414を有する。本実施形態においては、基地局装置601から各端末装置602,603,604への送信信号を多重化する場合について説明する。ここで、端末装置602,603,604が要求するストリーム数は、各々1,2,2とする。
<基地局装置について>
基地局装置601の構成は、第1の実施形態における基地局装置1又は第2の実施形態における基地局装置501と同様でよい。端末装置602,603,604の構成は、第1の実施形態における端末装置2,3又は第2の実施形態における端末装置502,503と同様でよい。但し、基地局装置601の順序決定部104は、端末装置602,603,604への信号生成順序を決定する。順序決定部104は、信号生成順序を、受信アンテナ数と要求ストリーム数の差が大きい端末装置への信号が先に生成するように決定する。端末装置602,603,604はいずれも受信アンテナ数が2であるから、受信アンテナ数と要求ストリーム数の差は、各々1,0,0となる。従って、信号生成順序情報は、端末装置602が1番、端末装置603が2番、端末装置604が3番となる。端末装置603,604は、受信アンテナ数と要求ストリーム数の差が等しいため、端末装置603が3番、端末装置604が2番であってもよい。
この信号生成順序情報に基づき、第1又は第2の実施形態と同様の処理が行われると、端末装置602における2つの受信アンテナのうち一方の受信アンテナにおいて端末装置602への信号のみが受信される。他方の受信アンテナにおいてはユーザ間干渉が生じた信号が受信されるが、この信号を受信情報として用いる必要はない。その受信アンテナへのユーザ間干渉抑圧のために利用していた送信アンテナの自由度を、その他の端末装置(端末装置603,604)への受信信号の品質の向上に活用でき、システム全体としての伝送特性を向上できる。
また、送信アンテナの自由度を活用するという観点において、端末装置602への信号の生成は必ずしも最初である必要はなく、処理の順序を端末装置603,602,604、又は端末装置604,602,603としてもよい。即ち、端末装置602の信号の生成順序が最後にならなければよい。但し、端末装置602の後に信号を生成する端末装置について送信アンテナの自由度を利用できるため、端末装置602の信号の生成順序が最初であることが望ましい。
次に本実施形態に係るその他の態様の通信システムについて図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係るその他の態様の通信システムを示す概略図である。本通信システムは、基地局装置701と端末装置702,703,704を含んで構成される。基地局装置701は、送信アンテナ101−1〜101−7と受信アンテナ102を有する。端末装置702,703,704は各々受信アンテナ201−1,201−2;301−1,301−2;401−1,401−2,401−3を、送信アンテナ214,314,414を有する。本実施形態においては、基地局装置701から各端末装置702,703,704への送信信号を多重化する場合について説明する。ここで、端末装置702,703,704が要求するストリーム数は、各々1,2,1とする。
<基地局装置について>
基地局装置701の構成は、第1の実施形態における基地局装置1又は第2の実施形態における基地局装置501と同様でよい。端末装置702,703,704の構成は、第1の実施形態における端末装置2,3又は第2の実施形態における端末装置502,503と同様でよい。但し、基地局装置701の順序決定部104は、端末装置702,703,704への信号生成順序を決定する。順序決定部104は、信号生成順序を、受信アンテナ数と要求ストリーム数の差が大きい端末装置への信号が先に生成するように決定する。端末装置702,703,704の受信アンテナ数は各々2,2,3であるから、受信アンテナ数と要求ストリーム数の差は、1,0,2となる。従って、信号生成順序情報は、端末装置704が1番、端末装置702が2番、端末装置703が3番となる。
この信号生成順序情報に基づき、第1〜第3の実施形態と同様の処理が行われると、端末装置702,704における受信アンテナのうち各1本については端末装置702,704への信号のみが受信される。また、受信アンテナのうち各々1つ、2つの受信アンテナにおいてユーザ間干渉が生じた信号が受信されるが、この信号を復調に用いる必要はない。このように、一部のアンテナにおける受信信号においてユーザ間干渉が許容されるが、その他の端末装置への伝送特性の向上に送信アンテナの自由度を利用でき、システム全体としての伝送特性を向上できる。ここで、受信アンテナ数より少ないストリームを受信する端末装置(ここでは端末装置702,704)では、第2の実施形態で説明した、受信アンテナの選択や仮想アンテナ形成等の処理を実行することにより受信信号の品質を向上することができる。また、ユーザ間干渉が含まれる受信信号にも所望信号が含まれるため、MMSE法を用いて、その受信信号に含まれる所望信号成分と、所望信号のみの受信信号とを合成しつつ、ユーザ間干渉を分離した後に復調することによっても受信特性を向上することが可能となる。
また、端末装置704において1つのストリームの信号を3つのうち2つの受信アンテナで受信するようにしてもよい。この場合には、ユーザ間干渉が生じた信号が受信されるのは1つの受信アンテナになる。つまり、例えば、受信アンテナ401−1,401−2における伝搬路を空間多重の対象として、基地局装置において処理することとなる。このような制御を行う場合、ユーザ間干渉を許容する受信アンテナ数が2つの場合よりも、他の端末装置702,703へ与える送信アンテナの自由度が減少するものの、受信アンテナ401−3へのユーザ間干渉を許容することにより、他の端末装置へ与える自由度は残っており、他の端末装置の受信特性を向上させることが可能となる。この場合、信号生成順序において端末装置704を1番、端末装置702を2番、端末装置703を3番としてもよいし、端末装置702を1番、端末装置704を2番、端末装置703を3番としてもよい。
端末装置704へ信号を送信するストリーム数を2とすることも可能である。ここで、端末装置704が有する3つの受信アンテナのうち、1つの受信アンテナで受信する信号にユーザ間干渉が生じることが許容される。このとき、ユーザ間干渉を許容することによる送信アンテナの自由度を、端末装置704よりも信号生成順序が後になる他の端末装置への信号の送信特性の向上に利用することができる。この場合でも、ユーザ間干渉を許容する受信アンテナ数を2つとする場合よりも、他の端末装置702,703に与えることができる送信アンテナの自由度が減少するものの、他の端末装置の受信特性を向上させるための自由度が残される。
なお、上述した実施形態における基地局装置1,501の一部、例えば、順序変換部107、符号化部108、多重信号生成部110、信号多重部114及び上位層部116をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、基地局装置又は端末装置に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態における基地局装置及び端末装置の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。基地局装置及び端末装置の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
1…基地局装置、2…端末装置、3…端末装置、
101−1〜101−7…送信アンテナ、102…受信アンテナ、103…無線受信部、
104…順序決定部、105…MCS決定部、106…アプリケーション部、
107…順序変換部、108…符号化部、109…変調部、110…多重信号生成部、111…第1参照信号生成部、112…第2参照信号生成部、
113…第2フィルタ乗算部、114…信号多重部、116…上位層部、
121…フィルタ算出部、122…干渉算出部、123−2,123−3…減算部、
124−2,124−3…modulo演算部、125…第1フィルタ乗算部、
131…チャネル選択部
201−1,201−2…受信アンテナ部、202−1,202−2…無線受信部、
203−1,203−2…信号分離部、204−1,204−2…制御信号処理部、
205…伝搬路推定部、206…係数推定部、207…多重分離部、
208−1、208−2…modulo判定部、209−1,209−2…modulo演算部、
210−1,210−2…復調部、211−1,211−2…復号部、
212…上位層部、213…無線送信部、214…送信アンテナ、215…情報出力部、
301−1,301−2…受信アンテナ部、314…送信アンテナ、
401−1〜401−3…受信アンテナ部、414…送信アンテナ、
501…基地局装置、502…端末装置、503…端末装置、
601…基地局装置、602…端末装置、603…端末装置、604…端末装置、

Claims (4)

  1. 複数の送信アンテナを有し、前記送信アンテナを用いて複数の端末装置への送信信号を空間多重して送信する無線通信装置であって、
    信アンテナ数とストリーム数との差が大きいほど先になるように端末装置毎の順序を定める順序決定部と、
    前記複数の端末装置の各受信アンテナとの間の送信アンテナ毎の伝搬路情報を取得し
    各端末装置のストリーム数分の伝搬路情報を前記順序が先の端末装置ほど先の行に並べた伝搬行列を生成し、
    フィルタ係数行列を用いて前記伝搬行列をブロック三角化することにより、各ストリームを端末装置の各受信アンテナで受信する際の等価伝搬路からなる等価伝搬路行列を算出し、前記等価伝搬路行列のうち前記順序が先の端末装置に係る等価伝搬路を除いた部分行列を特異値分解してユニタリ行列を算出し、前記ユニタリ行列に基づいて前記フィルタ係数行列を算出する処理を端末装置毎に前記順序で行い、
    各端末装置への送信信号から当該端末装置に係る等価伝搬路と当該端末装置よりも前記順序が先の端末装置への送信信号とに基づいて算出した干渉信号成分を減算した送信信号からなる送信信号ベクトルを、前記フィルタ係数行列と乗算する多重信号生成部と、
    前記フィルタ係数行列の乗算により生成された送信信号を送信する送信部とを有し、
    前記複数の端末装置への送信ストリームの総数が前記送信アンテナの数よりも少ないこと
    を特徴とする無線通信装置。
  2. 前記順序決定部は、
    受信アンテナ数とストリーム数との差が等しい端末装置が複数存在する場合、受信アンテナ数がより少ない端末装置ほど先になるように前記順序を定める、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 前記順序決定部は、
    受信アンテナ数とストリーム数との差が等しい端末装置が複数存在する場合、受信品質がより低い端末装置ほど先になるように前記順序を定める、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信装置。
  4. 複数の送信アンテナを有し、前記送信アンテナを用いて複数の端末装置への送信信号を空間多重して送信する無線通信装置において、前記複数の端末装置への送信ストリームの総数が前記送信アンテナの数よりも少なく、
    受信アンテナ数とストリーム数との差が大きいほど先になるように端末装置毎の順序を定める第1の過程と、
    前記複数の端末装置の各受信アンテナとの間の送信アンテナ毎の伝搬路情報を取得し、各端末装置のストリーム数分の伝搬路情報を前記順序が先の端末装置ほど先の行に並べた伝搬行列を生成する第2の過程と、
    フィルタ係数行列を用いて前記伝搬行列をブロック三角化することにより、各ストリームを端末装置の各受信アンテナで受信する際の等価伝搬路からなる等価伝搬路行列を算出し、前記等価伝搬路行列のうち前記順序が先の端末装置に係る等価伝搬路を除いた部分行列を特異値分解してユニタリ行列を算出し、前記ユニタリ行列に基づいて前記フィルタ係数行列を算出する処理を端末装置毎に前記順序で行う第3の過程と、
    各端末装置への送信信号から当該端末装置に係る等価伝搬路と当該端末装置よりも順序が先の端末装置への送信信号とに基づいて算出した干渉信号成分を減算した送信信号からなる送信信号ベクトルを、前記フィルタ係数行列と乗算する第4の過程とを
    有すること、
    を特徴とする無線通信方法。
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