JP2012105146A - 端末装置、基地局装置、通信システム、通信方法、及びプロセッサ - Google Patents

端末装置、基地局装置、通信システム、通信方法、及びプロセッサ Download PDF

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Abstract

【課題】装置間で通知する情報の情報量を低減すること。
【解決手段】伝搬路状態情報生成部は、CRS用伝搬路推定部が推定した伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成する。Modulo演算部b109は、伝搬路状態情報生成部が生成した伝搬路状態情報生成部に基づいて送信された信号であって、同一周波数及び同一時刻に多重されて送信された複数の端末装置宛の信号に対してModulo演算を行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、端末装置、基地局装置、通信システム、通信方法、及びプロセッサに関する。
近年、無線データ通信の高速化を限られた周波数帯域で実現するため、周波数利用効率向上のための研究が多くなされてきた。その中でも、複数のアンテナを同時に利用することにより、単位周波数当たりの伝送容量を増やすMIMO(Multi−Input Multi−Output;多入力多出力)技術は注目を浴びている。
<MIMO/MU−MIMO>
下りリンクにおいては、同一周波数・同一時刻で、複数の端末装置に信号を送信する下りリンクMU−MIMO(Multi−User MIMO)システムは、特に大きな伝送容量を達成できる。一方、1つの端末装置に同一周波数・同一時刻に複数ストリームの信号を送信するSU−MIMO(Single−User MIMO)システムでは、同じ端末装置の複数の受信アンテナで信号を受信する。そのため、SU−MIMOシステムでは、受信アンテナ間の相関が高いことが多く、相関のない又は低い場合と比較して伝送容量が低下していた。一方、MU−MIMOシステムでは、端末装置同士に距離があるため、受信アンテナ間の伝搬路に相関が低く、より大きな伝送容量を達成できる。
<線形MU−MIMO>
下りリンクにおいて、線形MU−MIMO方式は、基地局装置が送信信号に線形フィルタを乗算して端末装置を空間多重する技術である。
(1)Perfect CSI
Perfect CSI(Channel State Information)を用いた線形MU−MIMOシステムでは、基地局装置が端末装置の伝搬路状態情報(CSI)を誤差無く完全に取得する。基地局装置は、端末装置の伝搬路状態情報に基づいて線形フィルタを算出して、各端末装置宛の信号にその線形フィルタ乗算することでユーザ間干渉を除去する。その後、ユーザ間干渉を除去した信号を、各端末装置宛に送信する。
(2)Codebook
下りリンクMU−MIMOシステムでは、各端末装置宛に所望信号を送信するため、基地局装置が、各端末装置の伝搬路状態を取得する必要がある。
例えば、時分割多重(TDD: Time Division Duplex)に基づいた通信システムの場合には、上りリンクと下りリンクの伝搬路が似た伝搬路状態となるので、基地局装置が上りリンクの伝搬路状態情報を算出すれば、端末装置が伝搬路状態情報を基地局装置に通知する必要は必ずしも無い。しかしながら、周波数分割多重(FDD: Frequency Division Duplex)の場合には、基地局装置が各端末装置の伝搬路状態情報を取得するために、端末装置が各自の伝搬路状態情報を、上りリンクの制御情報として基地局装置に通知する必要がある。
伝搬路状態情報を通知する場合には、上りリンクの制御情報は限られているので、各端末装置が少ない情報量を送信することが検討されている。例えば、基地局装置で所望信号に対して乗算するプレコーディングベクトルの候補を、所定数、基地局装置と端末装置が共有しておき、端末装置はその中から適当なプレコーディングベクトルを選択し、そのプレコーディングベクトルを指定する番号を基地局装置に通知する手法が知られている。この基地局装置と端末装置で共有するプレコーディングベクトルの候補全体のことをCodebookと呼ぶ。この手法は、LTE(Long Term Evolution)で採用され、LTE−A(Long Term Evolution Advanced;LTEの拡張)でも採用が検討されている。(非特許文献1及び非特許文献2参照)
(3)直交Codebook
線形MU−MIMOにおいて、Codebookを用いるとき、基地局装置は、各端末宛の信号に、互いに直交したプレコーディングベクトルを乗算して送信すると、端末装置間の干渉(ユーザ間干渉)除去による電力損失を避けることができる。そのため、Codebookを採用するシステムでは、互いに直交するプレコーディングベクトルの組み合わせを用いたCodebookが提案されている。
<VP MU−MIMO>
一方、線形MU−MIMO方式よりも良好な特性を示すMU−MIMO方式として注目されているのが、VP(Vector Perturbation)MU−MIMO方式である。
VP MU−MIMOシステムでは、端末装置が受信信号にModulo(剰余)演算という演算を施す。Modulo演算とは、信号点平面において、Modulo幅という所定の間隔の整数倍だけ平行移動した点を同じ信号点と見なす処理である。端末装置が複数の信号点を同一と見なすことは、基地局装置にとってみると、送信信号を選択するときの自由度が高くなることを意味する。基地局装置では、この自由度を利用して、より低電力で送信できる点を選択して送信する。結果として、VP MU−MIMOシステムでは、線形MU−MIMOシステムと比較して電力効率が向上する。ここで、VP MU−MIMOシステムでは、基地局装置が、端末装置の伝搬路状態情報そのものを完全に取得している(非特許文献3参照)。VP MU−MIMOは、直交した伝搬路を持っていなくても、電力損失無く多重できる端末装置の組み合わせが存在する。そのため、VP MU−MIMOは、線形MU−MIMOと比較して多くの端末装置を電力効率良く多重することかでき、ひいては周波数利用効率の改善に寄与する。
3GPP Technical Specification 36.211 v8.9.0 H. Tong, M. Hoshino, F. Yang, M. Xu, D. Imamura,"Codebook Design for 3GPP LTE-Advanced"IEICE信学技報RCS2010-56 B. M. Hochwald, C. B. Peel, A. L. Swindlehurst, "A Vector-Perturbation Technique for Near-Capacity MUMIMO Part II Perturbation," IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATIONS, VOL. 53, NO. 3, MARCH 2005
しかしながら、VP MU−MIMOシステムでは、基地局装置が端末装置の伝搬路状態情報そのものを完全に取得するため、その伝搬路状態情報の通知に用いる上りリンクの制御情報の情報量及びそのオーバーヘッドが増大してしまう。つまり、従来技術では、装置間で通知する情報の情報量が増大するという欠点があった。
また、線形MU−MIMOに用いられる直交Codebookを用いたとしても、VP MU−MIMOの「直交した伝搬路を持っていなくても、電力損失無く多重できる端末装置の組み合わせが存在する」という利点を活かすことができず、VP MU−MIMOの特性が劣化してしまう。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、VP MU−MIMOの直交していない伝搬路を有する端末装置同士でも電力効率良く多重できるという特徴を保持しつつ、装置間で通知する情報の情報量を低減することができる端末装置、基地局装置、通信システム、通信方法、及びプロセッサを提供する。
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、推定された基地局装置との伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態を示す伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成部と、前記伝搬路状態情報生成部が生成した伝搬路状態情報を基地局装置に送信する送信部と、を備えることを特徴とする端末装置である。
(2)また、本発明の一態様は、上記の端末装置において、前記送信部が送信した伝搬路状態情報に基づいて送信された信号であって、同一周波数及び同一時刻に多重されて送信された複数の端末装置宛の信号を受信する受信部と、基地局装置から送信された共通参照信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路情報推定部と、前記受信部が受信した信号に対して剰余演算を行う剰余演算部と、を備え、前記伝搬路状態情報生成部は、前記伝搬路情報推定部が推定した伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成することを特徴とする。
(3)また、本発明の一態様は、上記の端末装置において、前記予め定めた値は整数であり、前記伝搬路状態情報生成部は、伝搬路状態情報の実部と虚部とを整数で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成することを特徴とする。
(4)また、本発明の一態様は、上記の端末装置において、前記伝搬路状態情報生成部は、予め記憶する情報が示すユニタリ行列のうち、1つのユニタリ行列を示す情報を生成し、前記送信部は、前記伝搬路状態情報生成部が生成したユニタリ行列を示す情報を基地局装置に送信することを特徴とする。
(5)また、本発明の一態様は、上記の端末装置において、前記伝搬路状態は、少なくとも実際の伝搬路と端末装置が選択したフィルタとを等価的に1つの伝搬路と見なした等価伝搬路状態であることを特徴とする。
(6)また、本発明の一態様は、同一周波数及び同一時刻に複数の端末装置宛の信号を多重して送信する基地局装置であって、前記端末装置各々との伝搬路の伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、前記伝搬路状態情報取得部が取得した伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出部と、前記複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出部が生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算部と、ユニモジュラ行列算出部がユニモジュラ行列を乗算した信号を送信する送信部と、を備えることを特徴とする基地局装置である。
(7)また、本発明の一態様は、上記の基地局装置において、前記ユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、さらに剰余演算を行う剰余演算部と、前記剰余演算部が剰余演算を行った信号を送信する送信部と、 を備えることを特徴とする。
(8)また、本発明の一態様は、上記の基地局装置において、前記剰余演算部が剰余演算を行った信号に対して、ユニタリ行列を乗算するユニタリ行列乗算部と、前記送信部は、前記ユニタリ行列乗算部がユニタリ行列を乗算した信号を送信することを特徴とする。
(9)また、本発明の一態様は、上記の基地局装置において、前記伝搬路状態情報は、実部と虚部とが整数であり、前記端末装置各々の伝搬路状態情報を、行成分とする行列を生成する伝搬路行列生成部と、前記伝搬路行列生成部が生成した行列の行列式が+1又は−1になるように、同一周波数及び同一時刻で信号を多重する端末装置を選択する多重端末決定部と、を備えることを特徴とする。
(10)また、本発明の一態様は、上記の基地局装置において、前記ユニタリ行列は、端末装置から受信した情報が示すユニタリ行列であることを特徴とする。
(11)また、本発明の一態様は、同一周波数及び同一時刻に複数の端末装置宛の信号を多重して送信する基地局装置と、前記基地局装置からの信号を受信する端末装置と、を具備する通信システムであって、前記端末装置は、基地局装置から送信された共通参照信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路情報推定部と、前記伝搬路情報推定部が推定した伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成部と、前記伝搬路状態情報生成部が生成した伝搬路状態情報を基地局装置に送信する送信部と、前記送信部が送信した伝搬路状態情報に基づいて送信された信号であって、同一周波数及び同一時刻に多重されて送信された複数の端末装置宛の信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した信号に対して剰余演算を行う剰余演算部と、を備え、前記基地局装置は、前記端末装置が送信した伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、前記伝搬路状態情報取得部が取得した伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出部と、前記複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出部が生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算部と、ユニモジュラ行列算出部がユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、剰余演算を行う剰余演算部と、前記剰余演算部が剰余演算を行った信号を送信する送信部と、を備えることを特徴とする通信システムである。
(12)また、本発明の一態様は、同一周波数及び同一時刻に複数の端末装置宛の信号を多重して送信する基地局装置と、前記基地局装置からの信号を受信する端末装置と、を具備する通信システムにおける通信方法であって、伝搬路情報推定部が、基地局装置から端末装置へ送信された共通参照信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路情報推定ステップと、伝搬路状態情報生成部が、前記伝搬路情報推定ステップで推定した伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成ステップと、端末送信部が、前記伝搬路状態情報生成ステップで生成した伝搬路状態情報を基地局装置に送信する端末送信ステップと、伝搬路状態情報取得部が、前記端末装置が送信した伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得ステップと、プレコーディングフィルタ算出部が、前記伝搬路状態情報取得ステップで取得した伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出ステップと、ユニモジュラ行列乗算部が、前記複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出ステップで生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算ステップと、剰余演算部が、ユニモジュラ行列算出ステップでユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、剰余演算を行う剰余演算ステップと、基地局送信部が、前記剰余演算ステップで剰余演算を行った信号を送信する基地局送信ステップと、受信部が、前記基地局送信ステップで送信された複数の端末装置宛の信号を受信する受信ステップと、剰余演算部が、前記受信ステップで受信した信号に対して剰余演算を行う剰余演算ステップと、を有することを特徴とする通信方法である。
(13)また、本発明の一態様は、推定された伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成部を備えることを特徴とするプロセッサである。
(14)また、本発明の一態様は、予め定めた値で近似された伝搬路状態情報に基づいて送信された信号であって、同一周波数及び同一時刻に多重されて送信された複数の端末装置宛の信号に対して剰余演算を行う剰余演算部を備えることを特徴とするプロセッサである。
(15)また、本発明の一態様は、伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出部と、複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出部が生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算部と、ユニモジュラ行列算出部がユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、剰余演算を行う剰余演算部と、を備えることを特徴とするプロセッサである。
本発明によれば、装置間で通知する情報の情報量を低減することができる。
本発明の第1の実施形態に係る通信システムの一例を示す概念図である。 本実施形態に係る通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。 本実施形態に係る基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る固有信号の構成の一例を示す概略図である。 本実施形態に係るフレームの構成の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る端末装置の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る伝搬路状態情報生成部の動作の一例を示すフローチャートである。 本実施形態に係るスケジューリング部の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る伝搬路行列の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る別の伝搬路行列の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る非線形プレコーディング部の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る固有信号構成部の入出力信号の一例を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る端末装置の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係るスケジューリング部の構成を示す概略ブロック図である。 本実施形態に係る非線形プレコーディング部の構成を示す概略ブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る端末装置の構成を示す概略ブロック図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
<通信システム1について>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1の一例を示す概念図である。この図において、通信システム1は、基地局装置A1、及び端末装置B11〜B14を具備する。基地局装置A1は、共通参照信号(Common Reference Signal:CRSと称する)を送信する。なお、CRSは、基地局装置A1と端末装置B11〜B14とが、その波形を予め記憶する信号である。端末装置B11〜B14各々は、基地局装置A1が送信したCRSに基づいて伝搬路状態を推定し、推定した伝搬路状態の値を予め定めた値で近似する。端末装置B11〜B14各々は、近似した伝搬路状態の値を示す伝搬路状態情報を、基地局装置A1に通知する。
基地局装置A1は、各端末装置B11〜B14から通知された伝搬路状態情報に基づいて、VP(Vector Perturbation) MU−MIMO方式によって、多重する端末装置を選択する。以下、基地局装置A1が選択した端末装置を、選択する順序である選択順序の小さい順に、端末装置B11、B12、・・・、B1N(各端末装置を端末装置B1n)という。基地局装置A1は、選択した端末装置B1nに対して、復調用参照信号(DeModulation Reference Signal:DMRSと称する)及びデータ信号を送信する。ここで、基地局装置A1は、DMRS及びデータ信号に対して、プレコーディングフィルタを乗算し、乗算後のDMRS及びデータ信号を送信する。なお、DMRSは、基地局装置A1が、VP MU−MIMOによってプレコーディングを施されたデータ信号の振幅と位相を予め各端末装置B1nに通知するための信号である。
図1は、基地局装置A1が、多重する端末装置B1nとして、端末装置B11、B12、及びB13を選択した場合の一例(N=3)である。
多重された端末装置B1nは、基地局装置A1から受信したDMRSに基づいて、プレコーディングフィルタを伝搬路の一部とみなした等価伝搬路(以下、単に等価伝搬路と称する)の伝搬路状態を推定し、推定した等価伝搬路の伝搬路状態を示す等価伝搬路状態情報に基づいてデータ信号を取得する。
図2は、本実施形態に係る通信システム1の動作の一例を示すシーケンス図である。この図は、図1の場合の通信システム1の動作を示す図である。
(ステップS101)基地局装置A1は、CRSを送信する。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)端末装置B11〜B14は、ステップS101で送信されたCRSに基づいて伝搬路状態を推定する。その後、ステップS103に進む。
(ステップS103)端末装置B11〜B14は、ステップS102で推定した伝搬路状態の値を予め定めた値で近似する。端末装置B11〜B14は、近似した伝搬路状態を示す伝搬路状態情報を算出する。その後、ステップS104に進む。
(ステップS104)端末装置B11〜B14は、ステップS103で算出した伝搬路状態情報を、基地局装置A1へ通知する。その後、ステップS105に進む。
(ステップS105)基地局装置A1は、ステップS104で通知された伝搬路状態情報に基づいてVP MU−MIMO方式によって多重する端末装置B1nを選択する。その後、ステップS106に進む。
(ステップS106)基地局装置A1は、ステップS104で通知された伝搬路状態情報に基づいて、プレコーディングフィルタを算出する。基地局装置A1は、生成したDMRS及びデータ信号に対して、プレコーディングフィルタを乗算し、乗算後のDMRS及びデータ信号を生成する。その後、ステップS107に進む。
(ステップS107)基地局装置A1は、ステップS106で生成したDMRSの信号を、ステップS105で選択した端末装置B1n(図2の例では、端末装置B11、B12、及びB13)へ送信する。その後、ステップS108に進む。
(ステップS108)ステップS105で選択された端末装置B1nは、ステップS107で送信されたDMRSの信号に基づいて、等価伝搬路の伝搬路状態を推定する。その後、ステップS109に進む。
(ステップS109)基地局装置A1は、ステップS106で生成したデータ信号を、ステップS105で選択した端末装置B1nへ送信する。その後、ステップS110に進む。
(ステップS110)ステップS105で選択された端末装置B1nは、ステップS108で推定した等価伝搬路の伝搬路状態を示す等価伝搬路状態情報に基づいて、データ信号を検出して取得する。
以下、基地局装置A1を基地局装置a1といい、端末装置B11〜B14各々を端末装置b1という。
<基地局装置a1について>
図3は、本実施形態に係る基地局装置a1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、基地局装置a1は、アンテナa101−1〜a101−N、受信部a102−1〜a102−N、GI(Guard Interval;ガードインターバル)除去部a103−1〜a103−N、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)部a104−1〜a104−N、伝搬路状態情報取得部a105、スケジューリング部a11、符号部a121−1〜a121−M、変調部a122−1〜a121−M、信号選択部a123、DMRS生成部a124、固有信号構成部a125、非線形プレコーディング部a13、CRS生成部a141、フレーム構成部a142、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform;逆高速フーリエ変換)部a143−1〜a143−N、GI挿入部a144−1〜a144−N、及び、送信部a145−1〜a145−Nを含んで構成される。
なお、図3の基地局装置a1は、N本のアンテナa101−1〜a101−Nを備え、N個の端末装置を多重する場合の基地局装置である(例えば、図1、2の例では、N=3)。また、図3の基地局装置a1では、一例として上りリンク及び下りリンクともに直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:OFDM)方式を用いる場合について説明するが、本発明はこれに限らず、基地局装置a1は、上りリンク及び下りリンクの一方又は両方で、時間分割多重(Time Division Multiplexing:TDM)方式や周波数分割多重(Frequency Division Multiplexing:FDM)方式を用いてもよい。
受信部a102−n(n=1、2、・・・、N)は、アンテナa101−nを介して、各端末装置b1から送信された信号(搬送波周波数の信号)を受信する。この信号には、伝搬路状態情報が含まれる。受信部a102−nは、受信した信号をダウンコンバージョンし、A/D(アナログ/デジタル)変換することで、ベースバンドのデジタル信号を生成する。受信部a102−nは、生成したデジタル信号をGI除去部a103−nに出力する。
GI除去部a103−nは、受信部a102−nから入力されたデジタル信号からGIを除去し、除去後の信号をFFT部a104−nに出力する。
FFT部a104−nは、GI除去部a103−nから入力された信号に対して、高速フーリエ変換を行うことで、周波数領域の信号を生成する。FFT部a104−nは、生成した周波数領域の信号を伝搬路状態情報取得部a105に出力する。
伝搬路状態情報取得部a105は、FFT部a104−nから入力された信号を復調し、復調した情報から伝搬路状態情報を抽出する。伝搬路状態情報取得部a105は、抽出した伝搬路状態情報をスケジューリング部a11に出力する。なお、FFT部a104−nが出力する信号のうち伝搬路状態情報の信号以外の信号は、制御部(図示せず)で復調される。復調された情報のうち制御情報は基地局装置a1の制御に用いられ、また、制御情報以外のデータは他の基地局装置やサーバ装置等へ送信される。
スケジューリング部a11は、伝搬路状態情報取得部a105から入力された伝搬路状態情報に基づいて、VP MU−MIMOによって多重する端末を選択する(端末選択処理という)。スケジューリング部a11が行う端末選択処理の詳細については、後述する。スケジューリング部a11は、選択した端末装置を示す選択端末指定情報を信号選択部a123及びDMRS生成部a124に出力する。なお、選択端末指定情報には、選択順序を示す情報も含まれる。また、スケジューリング部a11は、選択端末指定情報及び後述する行列H−1を非線形プレコーディング部a13に出力する。
符号部a121−m(m=1、2、・・・、M)には、各端末装置B1m宛(例えば、図1、2の例では、M=4)の情報ビット(データ)が入力される。符号部a121−mは、入力された情報ビットを誤り訂正符号化し、符号化後の符号化ビットを変調部a122−mに出力する。
変調部a122−mは、符号部a121−mから入力された符号化ビットを変調することで、端末装置B1m宛のデータ信号を生成する。変調部a122−mは、生成したデータ信号を信号選択部a123に出力する。なお、基地局装置a1は、伝搬路状態情報に基づいて変調部a122−mで用いる変調方式を決定し、決定した変調方式を示す変調情報を、非線形プレコーディングa13に出力し、また、基地局装置a1から端末装置B1nへ通知する。
信号選択部a123は、スケジューリング部a11から入力された選択端末指定情報が示す端末装置B1n宛の信号を選択する。信号選択部a123は、選択した信号を、選択端末指定情報が示す選択順序で固有信号構成部a125に出力する。なお、選択しない信号については、信号選択部a123は、選択した端末装置B1n宛の信号を配置する周波数帯域や時間帯域以外の帯域で送信してもよい。また、信号選択部a123は、選択しない信号を他の基地局装置に送信させる指示を、通信を管理する管理装置(図示せず)に送信してもよい。
DMRS生成部a124は、スケジューリング部a11から入力された選択端末指定情報が示す端末装置B1n宛のDMRSを生成する。DMRS生成部a124は、生成したDMRSを、選択端末指定情報が示す選択順序の情報を付して固有信号構成部a125に出力する。
固有信号構成部a125は、スケジューリング部a11が選択した端末装置B1n毎に、信号選択部a123から入力された端末装置B1n宛の信号とDMRS生成部a124から入力された端末装置B1n宛のDMRSとを関係付ける。固有信号構成部a125が関係付けた端末装置B1n宛の情報各々を、端末装置B1nの固有信号という。固有信号構成部a125は、関係付けることで生成した端末装置B1nの固有信号各々を、非線形プレコーディングa13に出力する。
非線形プレコーディングa13は、固有信号構成部a125から入力された端末装置B1nの固有信号に対してプレコーディングを行う。非線形プレコーディングa13が行うプレコーディングの詳細については、後述する。非線形プレコーディングa13は、プレコーディングを行った固有信号を、フレーム構成部a142に出力する。
CRS生成部a141は、予め記憶する波形のCRSを生成し、生成したCRSをフレーム構成部a142に出力する。
フレーム構成部a142は、非線形プレコーディング部a13から入力された固有信号、及び、CRS生成部a141から入力されたCRSをマッピングする。ここで、フレーム構成部a142は、アンテナa101−n毎に予め定められた時間単位で、つまり、アンテナa101−n毎にフレーム単位で、信号をマッピングする。なお、フレーム構成部a142は、固有信号とCRSとを別のフレームにマッピングしてもよいし、同じフレームにマッピングしてもよい。例えば、CRSのみをあるフレームにマッピングし、CRS及び固有信号を他のフレームにマッピングしてもよい。なお、基地局装置a1は、予め決められたマッピング情報に従ってCRSと固有信号をフレームにマッピングする。また、端末装置B1nは、このマッピング情報を予めじめ記憶している。
フレーム構成部a142は、マッピング後の信号のうちアンテナa101−nで送信する信号を、IFFT部a143−nに、フレーム単位で出力する。
IFFT部a143−nは、フレーム構成部a142から入力された信号に対して、逆高速フーリエ変換を行うことで、時間領域の信号を生成する。ここで、IFFT部a143−nは、逆高速フーリエ変換をフレーム単位で行う。IFFT部a143−nは、生成した時間領域の信号をGI挿入部a144−nに出力する。
GI挿入部a144−nは、IFFT部a143−nから入力された信号に対して、ガードインターバルを付与し、付与後の信号を送信部a145−nに出力する。
送信部a145−nは、GI挿入部a144−nから入力された信号(ベースバンドのデジタル信号)をD/A(アナログ/デジタル)変換する。送信部a145−nは、変換後の信号をアップコンバージョンすることで搬送波周波数の信号を生成する。送信部a145−nは、生成した信号をアンテナa101−nを介して送信する。
図4は、本実施形態に係る固有信号の構成の一例を示す概略図である。この図において、横軸は時間を表す。この図は、固有信号構成部a125が出力した固有信号を表す。また、この図は、同一の周波数で送信する、端末装置B1nの固有信号の配置を時間軸を揃えて表したものである。
なお、図4では、端末装置B1n宛のDMRSを「DMRS−MSn」との表記で表している。この図は、固有信号が、端末装置B1n毎の信号であってDMRSとデータ信号から構成されることを示す。例えば、符号S11を付した信号は、端末装置B11宛のDMRS(DMRS−MS1)を示す。また、符号S12を付した信号は、端末装置B11宛のデータ信号を示す。
図4は、端末装置B1n宛のDMRS各々が、固有信号構成部a125から互いに異なる時間に出力されることを示す。例えば、端末装置B11宛のDMRSは時間t11に出力され、端末装置B12宛のDMRSは時間t12に出力される。ここで、時間t1kはt11+(k−1)Δt1(Δt1は、DMRSの出力にかかる時間)である。
また、図4は、DMRSとデータ信号とが、固有信号構成部a125から異なる時間に出力されることを示す。例えば、端末装置B1n宛のDMRSは時間t11からt1(n+1)に出力され、データ信号はt1(n+1)以降に出力される。また、この図は、各端末装置B1n宛のデータ信号が、固有信号構成部a125から同じ時間に出力されることを示す。例えば、端末装置B1n宛のデータ信号はt1(n+1)以降の同じ時間に出力される。
なお、図4における固有信号の構成は一例であり、本発明はこれに限られない。例えば、図4では、端末装置B1n宛のDMRSの全てが出力された後(t1(n+1)以降)にデータ信号が出力されているが、固有信号構成部a125は、データ信号を出力後にDMRSを出力してもよい。また、固有信号構成部a125は、データ信号とDMRSを時間で交互に出力してもよいし、他の順序で出力してもよい。例えば、固有信号構成部a125は、端末装置B11宛のDMRSを時間t11に出力し、データ信号を時間t12に出力する。また、固有信号構成部a125は、端末装置B12宛のDMRSを時間t13に出力し、データ信号を時間t14の時間帯域に配置する。
図5は、本実施形態に係るフレームの構成の一例を示す概略図である。この図は、フレーム構成部a142が信号をマッピングしたフレームの構成を示す。また、この図は、各アンテナa101−nで送信するフレームの構成を、時間軸を揃えて表したものである。
なお、図5では、アンテナa101−nから送信するCRSを「CRS−Txn」との表記で表している。この図は、アンテナa101−n毎のフレーム各々が、CRSと固有信号(プレコーディング後の固有信号)から構成されることを示す。例えば、符号S21を付した信号は、アンテナa101−1で送信するCRS(CRS−Tx1)を示す。また、符号S22を付した信号は、アンテナa101−1で送信する固有信号であって、プレコーディング後の固有信号を示す。
図5は、アンテナa101−nで送信するCRS各々が、フレーム構成部a142で互いに異なる時間帯域に配置され、基地局装置a1から送信されることを示す。例えば、アンテナa101−1で送信されるCRSは時間t21に送信され、アンテナa101−2で送信されるCRSは時間t22に送信される。ここで、時間t2kはt21+(k−1)Δt2(Δt2は、CRSを配置する時間帯域の時間)である。 また、図5は、CRSとデータ信号とが、フレーム構成部a142で異なる時間帯域に配置されることを示す。例えば、アンテナa101−nで送信するCRSは時間t21からt2(n+1)に送信される時間帯域に配置され、データ信号はt2(n+1)以降の帯域に配置される。また、この図は、アンテナa101−nで送信するデータ信号が、フレーム構成部a142で同じ時間帯域に配置されることを示す。例えば、端末装置B1n宛のデータ信号はt2(n+1)以降の同じ時間に送信される時間帯域に配置される。
なお、図5におけるフレームの構成は一例であり、本発明はこれに限られない。例えば、図5では、アンテナa101−nで送信するCRSの全てが先の時間帯域(t2(n+1)より前)に配置され、後の時間帯域(t2(n+1)以降)にデータ信号が配置されているが、フレーム構成部a142は、データ信号を先の時間帯域に配置してCRSを後の時間帯域に配置してもよい。また、フレーム構成部a142は、データ信号とCRSを交互する時間帯域に配置してもよいし、他の順序で配置してもよい。例えば、フレーム構成部a142は、アンテナa101−1で送信するCRSを時間t21の時間帯域に配置し、固有信号を時間t22の時間帯域に配置する。また、フレーム構成部a142は、アンテナa101−2で送信するCRSを時間t23の時間帯域に配置し、固有信号を時間t24の時間帯域に配置する。なお、基地局装置a1は、データ信号の送信を開始する前には、CRSのみを配置したフレームを送信する。
<端末装置b1について>
図6は、本実施形態に係る端末装置b1の構成を示す概略ブロック図である。この図において、端末装置b1は、アンテナb101、受信部b102、GI除去部b103、FFT部b104、信号分離部b105、CRS用伝搬路推定部b106、DMRS用伝搬路推定部b107、伝搬路補償部b108、Modulo演算部b109、復調部b110、復号部b111、伝搬路状態情報生成部b12、IFFT部b131、GI挿入部b132、及び、送信部b133を含んで構成される。
受信部b102は、アンテナb101を介して、各端末装置b1から送信された信号(搬送波周波数の信号)を受信する。受信部b102は、受信した信号をダウンコンバージョンし、A/D(アナログ/デジタル)変換することで、ベースバンドのデジタル信号を生成する。受信部b102は、生成したデジタル信号をGI除去部b103に出力する。
GI除去部b103は、受信部b102から入力されたデジタル信号からGIを除去し、除去後の信号をFFT部b104に出力する。
FFT部b104は、GI除去部b103から入力された信号に対して、高速フーリエ変換を行うことで、周波数領域の信号を生成する。FFT部b104は、生成した周波数領域の信号を信号分離部b105に出力する。
信号分離部b105は、予め記憶するマッピング情報に基づいて、FFT部b104から入力された信号をデマッピングする。信号分離部b105は、デマッピングした信号のうち、CRSをCRS用伝搬路推定部b106に出力し、DMRSをDMRS用伝搬路推定部b107に出力する。信号分離部b105は、CRS及びDMRS以外の信号(例えば、データ信号)を伝搬路補償部b108に出力する。
CRS用伝搬路推定部b106は、信号分離部b105から入力されたCRSに基づいて伝搬路状態を推定し、推定した伝搬路状態を示す情報を伝搬路状態情報生成部b12に出力する。
DMRS用伝搬路推定部b107は、信号分離部b105から入力されたDMRSに基づいてプレコーディングフィルタを伝搬路の一部とみなした等価伝搬路の伝搬路状態を推定する。DMRS用伝搬路推定部b107は、推定した等価伝搬路の伝搬路状態を示す等価伝搬路状態情報を伝搬路補償部b108に出力する。
伝搬路補償部b108は、DMRS用伝搬路推定部b107から入力された等価伝搬路状態情報を用いて、信号分離部b105から入力された信号に対して伝搬路補償を行う。伝搬路補償部b108は、伝搬路補償後の信号をModulo演算部b109に出力する。
Modulo演算部b109は、基地局装置a1から通知された変調情報に基づいて、伝搬路補償部b108から入力された信号に対して、Modulo演算を行う(式(5)参照)。Modulo演算部b109は、Modulo演算後の信号を復調部b110に出力する。
復調部b110は、基地局装置a1から通知された変調情報が示す変調方式で、Modulo演算部b109から入力された信号を復調する。復調部b110は、復調後の情報(硬判定した符号化ビット又は符号化ビットの軟推定値)を復号部b111に出力する。
復号部b111は、復調部b110から入力された情報を復号することで、情報ビットを取得し、取得した情報ビットを出力する。
伝搬路状態情報生成部b12は、CRS用伝搬路推定部b106から入力された伝搬路状態を予め定めた値で近似する。伝搬路状態情報生成部b12は、近似した伝搬路状態(後述するベクトルg)を含む伝搬路状態情報を生成する(伝搬路状態情報生成処理という)。ここで、伝搬路状態情報生成部b12は、自装置を識別する識別子(端末IDという)が付与した伝搬路状態情報を生成する。なお、伝搬路状態情報生成部b12が行う伝搬路状態情報生成処理の詳細については後述する。
伝搬路状態情報生成部b12は、生成した伝搬路状態情報を変調し、変調後の伝搬路状態情報の信号をIFFT部b131に出力する。
IFFT部b131は、伝搬路状態情報生成部b12から入力された信号に対して、逆高速フーリエ変換を行うことで、時間領域の信号を生成する。IFFT部b131は、生成した時間領域の信号をGI挿入部b132に出力する。
GI挿入部b132は、IFFT部b131から入力された信号に対して、ガードインターバルを付与し、付与後の信号を送信部b133に出力する。
送信部b133は、GI挿入部b132から入力された信号(ベースバンドのデジタル信号)をD/A(アナログ/デジタル)変換する。送信部b133は、変換後の信号をアップコンバージョンすることで搬送波周波数の信号を生成する。送信部b133は、生成した信号をアンテナb101を介して送信する。
<伝搬路状態情報生成部b12について>
以下、伝搬路状態情報生成部b12が行う伝搬路状態情報生成処理の詳細について説明をする。伝搬路状態情報生成部b12は、CRS用伝搬路推定部b106から入力された伝搬路状態の値(ベクトルh;複素数の値からなるベクトル)を、その成分の1つの値(本実施形態では最小値)で除算する。伝搬路状態情報生成部b12は、除算後の値の実部・虚部を、それぞれ、整数で近似する。伝搬路状態情報生成部b12は、整数で近似した伝搬路状態の値(ベクトルg)を伝搬路状態情報としてIFFT部b131に出力する。
図7は、本実施形態に係る伝搬路状態情報生成部b12の動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS201)伝搬路状態情報生成部b12は、CRS用伝搬路推定部b106から伝搬路状態を示すベクトルhを取得する。このベクトルhは、CRSを用いて伝搬路推定を行って得た値である。その後、ステップS202に進む。
(ステップS202)伝搬路状態情報生成部b12は、ステップS201で取得したベクトルhの成分のうちノルム(絶対値)が最小となる値を抽出する(抽出した値をh_minとする)。その後、ステップS203に進む。
(ステップS203)伝搬路状態情報生成部b12は、ステップS201で取得したベクトルh及びステップS202で抽出したh_minを用いて、ベクトルgを算出する。具体的には、伝搬路状態情報生成部b12は、次式(1)を用いてベクトルgを算出する。
Figure 2012105146
ここで、複素数ベクトルを引数に持つ関数round(x)は、xの各成分の実部及び虚部を、最も近い整数で近似する関数である。また、式で記号(例えば、g、h)の上部に矢印を付加したものはベクトルを表す。
以下、伝搬路状態情報生成処理の一例について説明をする。この例は、N=3のときに、伝搬路状態情報生成部b12が、次式(2)のベクトルhを取得した場合の一例である。
Figure 2012105146
ここで、jは虚数単位であり、jの2乗が−1となる。なお、ベクトルhの成分の数は、送信アンテナ数N(N=3)となる。
この場合、伝搬路状態情報生成部b12は、ステップS202で、ノルムが最小となる「0+1.2j」をh_minとして抽出することとなる。伝搬路状態情報生成部b12は、ステップS203で、次式(3)で表されるベクトルgを算出する。
Figure 2012105146
伝搬路状態情報生成部b12はステップS203で算出したベクトルgを伝搬路状態情報としてIFFT部b131に出力することで、端末装置b1は伝搬路状態情報を基地局装置a1へ通知する。
なお、伝搬路状態情報生成部b12は、サブキャリア単位で伝搬路状態情報を算出するが、本発明はこれに限らず、複数サブキャリア単位で伝搬路状態情報を算出してもよい。複数サブキャリア単位で伝搬路状態情報を算出する場合には、伝搬路状態情報生成部b12は、複数サブキャリア単位で伝搬路状態の値を平均し、平均した値を前述のベクトルhとして図7の動作(ステップS201〜S203)を行う。
また、本実施形態では、伝搬路状態情報生成部b12がベクトルgの値の候補を、実部及び虚部が整数の値としたが、本発明はこれに限らず、伝搬路状態情報生成部b12は、例えば整数は偶数や奇数をベクトルgの値の候補として、伝搬路状態の値を近似してもよい。
また、伝搬路状態情報生成部b12は、ベクトルgの値の候補の範囲を制限してもよい。例えば、伝搬路状態情報生成部b12は、実部及び虚部の候補となる整数を[−L,L](−L以上L以下の範囲を表す。Lは自然数)の範囲に制限する。この場合、伝搬路状態情報生成部b12は、伝播路情報の値の実部又は虚部が−Lより小さい場合には、実部又は虚部を−Lと近似することとなり、一方、伝播路情報の値の実部又は虚部がLより大きい場合には、実部又は虚部をLと近似することとなる。
例えば、伝搬路状態情報生成部b12は、L=2のときに、上記の式(2)のベクトルhを取得した場合には、次式(4)のベクトルgを算出することとなる。つまり、式(2)のベクトルgの第3成分は、「3j」から「2j」に変わることとなる。
Figure 2012105146
このように、伝搬路状態情報生成部b12がベクトルgの値の候補の範囲を制限することで、端末装置b1が基地局装置a1に送信する伝搬路状態情報のビット数の上限を決定することができる。つまり、この場合、伝搬路状態情報生成部b12は、伝搬路状態情報を(2L+1)2N通りの値に制限することができる。例えば、N=3でL=2とした場合、伝搬路状態情報は、(2×2+1)2×3=15625通りとなる。213<15625<214であることから、14ビットの伝搬路状態情報を用いることで、端末装置a1は基地局装置b1に伝搬路状態情報を通知できる。
<スケジューリング部a11について>
以下、スケジューリング部a11が行う端末選択処理について説明する。
図8は、本実施形態に係るスケジューリング部a11の構成を示す概略ブロック図である。この図において、スケジューリング部a11は、伝搬路状態情報記憶部a111、空間多重端末候補選択部a112、伝搬路行列生成部a113、行列式算出部a114、空間多重端末決定部a115、及びプレコーディングフィルタ算出部a116を含んで構成される。なお、スケジューリング部a11は、OFDMにおけるサブキャリア単位、又は複数サブキャリア単位でスケジューリングを行う。
伝搬路状態情報記憶部a111は、伝搬路状態情報取得部a105から入力された伝搬路状態情報を記録する。
空間多重端末候補選択部a112は、伝搬路状態情報記憶部a111に新たな伝搬路状態情報が記録された場合、及び、空間多重端末決定部a115から端末IDを再度選択する命令が入力された場合、以下の処理を行う。空間多重端末候補選択部a112は、伝搬路状態情報記憶部a111から読み出した伝搬路状態情報に付与された端末ID、つまり、伝搬路状態情報を通知した端末装置を識別する端末IDを抽出する。空間多重端末候補選択部a112は、抽出した端末IDの中から、空間多重を行う端末IDの候補をN個、つまり、基地局装置a1のアンテナ本数分(N本)だけ選択する。ここで、空間多重端末候補選択部a112は、端末IDを再度選択する命令が入力された場合には、前回以前に選択した端末IDの候補とは異なる組合せの候補を選択する。
なお、空間多重端末候補選択部a112は、ランダムに端末IDを選択するが、他の情報に基づいて選択してもよい。例えば、空間多重端末候補選択部a112は、他のスケジューリング単位で割り当てが可能か否かや、通信帯域全体の平均Signal−to−Noise power Ration(SNR)などに基づいて選択してもよい。具体的には、空間多重端末候補選択部a112は、SNRが高い端末装置の順に、その端末IDを選択してもよい。
空間多重端末候補選択部a112は、選択した端末IDに対して選択順に順序(選択順序)を付し、順序を付した端末IDを伝搬路行列生成部a113に出力する。なお、空間多重端末候補選択部a112は、選択順序の小さい順に、端末装置B11、B12、・・・、B1Nとすることで、端末装置に対して順序を付する。
伝搬路行列生成部a113は、空間多重端末候補選択部a112から入力された端末IDを含む伝搬路状態情報を、伝搬路状態情報記憶部a111から読み出す。伝搬路行列生成部a113は、読み出した伝搬路状態情報のベクトルgを各行の成分とし、行の順序を選択順序の小さい順に並べた伝搬路行列Hcを生成する。
図9は、本実施形態に係る伝搬路行列Hcの一例を示す概略図である。この図は、N=3の場合の伝搬路行列Hcである。
図9において、伝搬路行列Hcは、第1行が端末装置B11のベクトルg、第2行が端末装置B12のベクトルg、第3行が端末装置B13のベクトルgである。つまり、伝搬路行列Hcは、第n行が端末装置B1nのベクトルgである。また、伝搬路行列Hcは、N×N行列となる。
また、図9において、符号f1を付した破線で囲んだ行列は、端末B11のベクトルgが(−2j+1, 1, 3j)(式(3))であり、端末B12のベクトルgが( 0, 1j, −1)であり、端末B13のベクトルgが( 1,−2−2j, 0)である場合の行列Hcである。
図8に戻って、伝搬路行列生成部a113は、生成した伝搬路行列Hcを、行列成分が実数の伝搬路行列Hに変換する。行列Hcの実数成分の行列Re(Hc)及び虚数成分の行列Im(Hc)を成分とするブロック行列である。
図10は、本実施形態に係る伝搬路行列Hの一例を示す概略図である。この図において、伝搬路行列Hは、左上成分がRe(Hc)、右上成分が−Im(Hc)、左下成分がIm(Hc)、右下成分がRe(Hc)である。なお、伝搬路行列Hは、2N×2N行列となる。
また、図9において、符号f2を付した破線で囲んだ行列は、端末B11のベクトルgが(−2j+1,1,3j)(式(3))であり、端末B12のベクトルgが(0,1j,−1)であり、端末B13のベクトルgが(1,−2−2j,0)である場合の行列Hである。例えば、第1行成分は、(1,1,0,2,0,−3)となる。
図8に戻って、伝搬路行列生成部a113は、生成した伝搬路行列H、及び、端末IDと選択順序を行列式算出部a114に出力する。
行列式算出部a114は、伝搬路行列生成部a113から入力された伝搬路行列Hの行列式(determinant)の値を算出し、空間多重端末決定部a115に出力する。
空間多重端末決定部a115は、行列式算出部a114から入力された行列式の値が「+1」又は「−1」であるか否かを判定する。
行列式の値が「+1」又は「−1」である場合、空間多重端末決定部a115は、伝搬路行列生成部a113から入力された端末IDが示す端末装置の組合せをVP MU−MIMOにより多重する端末装置として決定する。この場合、空間多重端末決定部a115は、これらの端末IDと選択順序示す選択端末指定情報、及び、伝搬路行列Hを、信号選択部a123及びプレコーディングフィルタ算出部a116に出力する。
一方、行列式の値が「+1」及び「−1」でない場合、空間多重端末決定部a115は、端末IDを再度選択する命令を空間多重端末候補選択部a112に出力する。これにより、空間多重端末候補選択部a112、伝搬路行列生成部a113、及び行列式算出部a114、空間多重端末決定部a115は、行列式の値が「+1」又は「−1」となるまで、上述の処理を繰り返すこととなる。
また、行列式の値が「+1」又は「−1」である場合には、伝搬路行列Hは、ユニモジュラ行列となる。ユニモジュラ行列とは、行列式の値が「+1」又は「−1」であり、かつ、各行列成分が整数の行列である。つまり、スケジューリング部a11は、伝搬路行列Hがユニモジュラ行列となる端末装置B1nの組合せを、VP MU−MIMOにより多重する端末装置として決定する。
プレコーディングフィルタ算出部a116は、空間多重端末決定部a115から入力された伝搬路行列Hの逆行列H−1を算出する。プレコーディングフィルタ算出部a116は、算出した逆行列H−1を非線形プレコーディング部a13に出力する。
<非線形プレコーディング部a13について>
以下、非線形プレコーディングa13が行うプレコーディングについて説明する。
図11は、本実施形態に係る非線形プレコーディング部a13の構成を示す概略ブロック図である。この図において、非線形プレコーディング部a13は、実部・虚部分離部a131、ユニモジュラ行列乗算部a132、Modulo演算部a133−1〜a133−L(L=2N)、及び、実部・虚部合成部a134を含んで構成される。
実部・虚部分離部a131は、固有信号構成部a125から入力された端末装置B1nの固有信号を、実部の信号と、虚部の信号に分離した信号sを生成し、生成した信号sをユニモジュラ行列乗算部a132に出力する。
図12は、本実施形態に係る固有信号構成部a125の入出力信号の一例を示す概略図である。この図において、信号sは、固有信号構成部a125が出力する信号を表す。信号scは、固有信号構成部a125が出力する信号を表す。なお、信号scは、選択順序の順に各端末装置B1nの信号を並べたベクトルである。
図12において、信号sは、信号scの実部と虚部をそれぞれ成分とするベクトルである。図12において、符号f3を付した破線で囲んだ信号sc、sは、信号の具体例である。具体的には、信号scの第1成分が「−1/√2+j/√2」、第2成分が「+1/√2−j/√2」の場合には、信号sの第1成分が「−1/√2」、第2成分が「+1/√2」、第3成分が「+1/√2」、第4成分が「−1/√2」となる。
図11に戻って、ユニモジュラ行列乗算部a132は、実部・虚部分離部a131から入力された信号sに対して、スケジューリング部a11から入力された行列H−1を乗算する。なお、一般にユニモジュラ行列は、その逆行列もユニモジュラ行列である。したがって、伝搬路行列Hがユニモジュラ行列であるので、プレコーディングフィルタ算出部a116で算出した逆行列H−1も、ユニモジュラ行列となる。
ユニモジュラ行列乗算部a132は、乗算後の信号(H−1s)を各成分に分離し、第l
(l=1、2、・・・、2N)成分の信号をModulo演算部a133−lに出力する。
Modulo演算部a133−lは、ユニモジュラ行列乗算部a132から入力された信号に対して、次式(5)で表されるModulo演算を行う。
Figure 2012105146
実部・虚部合成部a134は、ここでfloor(β)は、βを超えない最大の整数を表す。τは、変調信号の平均電力を1に正規化した場合に、変調方式に応じて送受信側で既知の値となる。例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)では τ=2√2、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)では、τ=8/√10、64QAMではτ=16/√42である。ただし、τは、基地局装置a1と端末装置b1で共通の値であればよく、上述の値と異なる値であってもよい。
Modulo演算部a133−lは、Modulo演算後の信号を実部・虚部合成部a134に出力する。
実部・虚部合成部a134は、Modulo演算部a133−lから入力された信号を、各端末装置B1n宛の複素数の信号に合成する。具体的に、実部・虚部合成部a134は、Modulo演算部a133−nから入力された信号を実部とし、Modulo演算部a133−(n+N)から入力された信号を虚部とする複素数の信号を生成し、端末装置B1n宛の固有信号とする。実部・虚部合成部a134は、生成した端末装置B1n宛の固有信号をフレーム構成部a142に出力する。
以上のように、本実施形態によれば、端末装置b1が、(i)伝搬路の複素利得を、実部及び虚部ともに整数で表される数に近似して基地局装置b2に通知する。その後、基地局装置b2が、(ii)伝搬路行列の行列式が+1又は−1となる端末装置b1を多重する。つまり、多重する端末装置b1の伝搬路行列は(i)と(ii)の条件を満たし、ユニモジュラ行列となる。ここで、端末装置b1は伝搬路状態情報を実部及び虚部ともに整数の値で表されるベクトル(式(1))を基地局装置a1に通知するので、上りの制御情報のオーバーヘッドを低減できる。
<フィードバック情報の低減について>
従来のVP MU−MIMOシステムでは、基地局装置が、各端末装置の伝搬路の複素利得(伝搬路状態情報)を少数の単位で取得していた。これは端末装置が、例えば、各複素利得の実部及び虚部を単精度(32bit)で返すが、N=3の場合には32×6=192bitが必要である。上述のように、本実施形態に係る通信システム1では、伝搬路状態情報は、N=3の場合には14bitとなるので、従来技術と比較して、端末装置b1が基地局装置a1に通知する伝搬路状態情報を十分の一以下に圧縮できることとなる。
<多重における電力損失について>
本実施形態に係る通信システムでは、線形MU−MIMOシステムと比較して以下の効果を奏する。以下では、N=2の場合に、伝搬路行列Hが次式(6)で表される場合を例にして説明をする。
Figure 2012105146
線形MU−MIMOシステムでは、基地局装置は、次式(7)で表される送信信号xを送信する。
Figure 2012105146
ここで、s、sは、それぞれ、多重する各端末装置宛の信号である。つまり、基地局装置は、信号s、sに伝搬路行列Hの逆行列H−1を乗算する。この所望信号s、s各々の平均電力をσ とすれば、送信信号の電力(送信電力Pという)は、次式(8)で表される。
Figure 2012105146
ここで、E{x}は、xの平均値を表す。つまり、線形MU−MIMOシステムでは、送信電力Pは、3個の信号分の送信電力3σ となる。この送信電力Pは、2個の端末装置宛の信号を別々に送信する場合の送信電力2σ と比較して、σ 高いこととなる。つまり、線形MU−MIMOシステムでは、電力損失が生じているともいえる。
一方、本実施形態に係る通信システム1では、基地局装置a1は、伝搬路行列の逆行列H−1(ユニモジュラ行列)を乗算後に、Modulo演算を行う。基地局装置a1は、次式(9)で表される送信信号xを送信する。
Figure 2012105146
ここで、Modulo演算後の信号各々(送信信号xの各成分)の平均電力σ は、Modulo幅τに依存する。例えば、変調方式が64QAMの場合には、σ =(64/63)σ である(τ=16/√42)。なお、σ は、信号点がModulo幅τの範囲内に一様分布していると見なせるので、次式(10)で算出される。
Figure 2012105146
したがって、基地局装置a1が送信する送信信号の送信電力Pは、次式(11)で表される。
Figure 2012105146
式(11)は、送信電力Pが、2個の信号分の送信電力2σ とほぼ等しいことを示す。この送信電力Pは、2個の端末装置宛の信号を別々に送信する場合の送信電力2σ と同じこととなる。つまり、本実施形態では、通信システム1は、ユーザ間干渉の除去に要する電力が不要であり、電力損失はほとんど生じていない。伝搬路行列Hが直交化できる場合(つまり、伝搬路行列がユニモジュラ行列で表される場合)には、線形MU−MIMOの場合よりも、高い電力効率で各端末装置b1に送信信号を送信できる。
以上のように、本実施形態に係る通信システム(VP MIMOシステム)では、ユーザ間干渉に消費する電力をほぼゼロに抑えながら、情報量の少ない伝搬路状態情報の通知方法を用いて上りリンクの制御情報のオーバーヘッドを低減できる。つまり、本実施形態では、VP MU−MIMOの直交していない伝搬路を有する端末装置同士でも電力効率良く多重できるという特徴を保持しつつ、装置間で通知する情報の情報量を低減することができる。
<演算量の低減について>
また、本実施形態では、伝搬路行列Hの各成分が整数となるので、基地局装置a1における演算量を低減できる。具体的には、従来技術に係るVP MU−MIMOシステムでは、基地局装置は、通常、格子点における最近接点探索という、nに依存して指数関数的に増大する演算量を有する演算を行う。また、VP MU−MIMOシステムにおいて、演算量を低減した手法として、Lattice Reduction Aided Tomlinson Harashima Precodingという手法もn以上のオーダの演算量が必要なLLL−Algorithmを行うことが知られている。いずれにしても、従来技術に係るVP MU−MIMOシステムでは、n以上の浮動小数点演算が必要となり、演算量が非常に多くなる。この点、本実施形態に係る通信システムでは、各成分が整数の伝搬路行列Hの行列式の算出と、この伝搬路行列Hの逆行列演算を行うだけであり、整数のnのオーダの演算量に演算を抑制できる。そのため、本実施形態に係る基地局装置a1では、演算量を大幅に削減できる。
<端末IDを端末装置が返さない場合について>
なお、本実施形態は、一例として端末装置が基地局装置へ端末IDを通知する場合について説明したが、本発明においては、この方法に限られるわけではない。例えば、基地局装置が事前に各端末装置に対して伝搬路状態情報を通知するための上りリンクチャネルの周波数(又は周波数、時間及び空間で区切られた物理リソースブロック)を割り当てておき、ある端末装置が基地局装置に伝搬路状態情報を通知してきたら、伝搬路状態情報取得部において、その通知に用いられた上りリンクの周波数に割り当てた端末IDと、取得した伝搬路状態情報を対応づけても良い。スケジューリングを行う際には、端末IDと伝搬路状態情報が対応付けられているため、本実施形態で先に述べた端末IDを端末装置が通知する場合と同様の処理を行うことができる。また、この方法には、端末IDを通知するための制御情報を削減できるという利点がある。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
第1の実施形態では、端末装置b1が伝搬路情報としてベクトルgを基地局装置a1に送信した。本実施形態では、端末装置がベクトルに加え、端末装置と基地局装置が予め記憶する情報が示すユニタリ行列から、1つのユニタリ行列を選択し、選択したユニタリ行列を示す情報を通知する。基地局装置は、端末装置から通知された情報を用いることで、多重する端末装置の組合せの自由度を向上することができる。
本実施形態に係る通信システムの概略図は、第1の実施形態(図1)と同じである。以下、基地局装置A1を基地局装置a2といい、端末装置B11〜B14各々を端末装置b2という。
<端末装置b2について>
図13は、本発明の第2の実施形態に係る端末装置b2の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る端末装置b2(図13)と第1の実施形態に係る端末装置b1(図6)とを比較すると、伝搬路状態情報生成部b22が異なる。しかし、他の構成要素(アンテナb101、受信部b102、GI除去部b103、FFT部b104、信号分離部b105、CRS用伝搬路推定部b106、DMRS用伝搬路推定部b107、伝搬路補償部b108、Modulo演算部b109、復調部b110、復号部b111、IFFT部b131、GI挿入部b132、及び、送信部b133)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
伝搬路状態情報生成部b22は、複数(I個)のユニタリ行列U(iはユニタリ行列を識別する自然数の番号;i=1、2、・・・、I)の情報を記憶する。なお、基地局装置も同じ情報を記憶する。伝搬路状態情報生成部b22は、複数のユニタリ行列Uのうち1つを選択し、また、ベクトルgを算出する。伝搬路状態情報生成部b22は、実部及び虚部が整数のベクトルgと自装置を識別する識別子(端末IDという)とを含む伝搬路状態情報、及び、選択したユニタリ行列の番号iと自装置を識別する識別子(端末IDという)とを含むユニタリ番号情報を生成する(伝搬路状態情報生成処理という)。伝搬路状態情報生成部b22は、生成した伝搬路状態情報及びユニタリ番号情報を変調し、変調後の伝搬路状態情報の信号をIFFT部b131に出力する。これにより、伝搬路状態情報及びユニタリ番号情報は、基地局装置に通知される。
以下、伝搬路状態情報生成部b22が行う伝搬路状態情報生成処理の詳細について説明する。
伝搬路状態情報生成部b22は、CRS用伝搬路推定部b106から入力された伝搬路状態(ベクトルh)及びユニタリ行列Uを、次式(12)に用いてg、iを決定する。
Figure 2012105146
ここで、hは伝搬路状態を示すベクトルを表し、また、|a|は複素数aの絶対値を表す。argmin|a|は、aの絶対値を最小にするg、i、pを出力することを示す。Uは、N×N行列(Nは、基地局装置a2のアンテナ数)である。Uは、基地局装置a2で送信信号に乗算するユニタリ行列の線形フィルタである。また、pは、絶対値が1の任意の複素数であり、伝搬路補償部で行う位相の補償に対応する。またh/|h|は絶対値が1になるように正規化した伝搬路状態を表す。pは、絶対値が1の複素数であり、伝搬路補償部b108で行う位相の補償に用いて対応する。なお、伝搬路状態情報生成部b22は、ベクトルh及びユニタリ行列Uに基づいて算出する。h/|h|は、絶対値が1になるように正規化した伝搬路状態を表す。
つまり、式(12)の左辺のp(h/|h|)Uは、線形フィルタ、伝搬路、伝搬路補償までを1つの等価伝搬路としたときの伝搬路応答ベクトルを示す。伝搬路状態情報生成部b22は、この伝搬路応答ベクトルとの差が最小となるベクトルgを決定する。式(12)は、伝搬路状態情報生成部b22が伝搬路応答ベクトルとの差が最小となるベクトルgを選択することを示している。
また、伝搬路状態情報生成部b22は、例えば、次式(13)のユニタリ行列U(I=3)を記憶するが、他の値のユニタリ行列Uであってもよい。なお、式(13)に示すユニタリ行列Uは、N=2の場合のものであり、N行N列の行列である。
Figure 2012105146
本実施形態に係る端末装置b2は、ユニタリ行列Uを選択しない場合と比較して、端末装置b2が基地局装置a2に通知する伝搬路状態情報の自由度が向上する。したがって、通信システムでは、端末装置a2で伝搬路状態を圧縮するときに生じる誤差を低減することができる。また、式(6)は、ユニタリ行列Uだけでなく、全てのgについて、これらの差が最小となるものを選択することを示す。
<基地局装置a2について>
図14は、本実施形態に係る基地局装置a2の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る基地局装置a2(図14)と第1の実施形態に係る基地局装置a1(図3)とを比較すると、スケジューリング部a21及び非線形プレコーディング部b23が異なる。しかし、他の構成要素(アンテナa101−1〜a101−N、受信部a102−1〜a102−N、GI除去部a103−1〜a103−N、FFT部a104−1〜a104−N、伝搬路状態情報取得部a105、符号部a121−1〜a121−M、変調部a122−1〜a121−M、信号選択部a123、DMRS生成部a124、固有信号構成部a125、CRS生成部a141、フレーム構成部a142、IFFT部a143−1〜a143−N、GI挿入部a144−1〜a144−N、及び、送信部a145−1〜a145−N)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
スケジューリング部a21は、伝搬路状態情報取得部a105から入力された伝搬路状態情報及びユニタリ番号情報に基づいて、VP MU−MIMOによって多重する端末を選択する(端末選択処理という)。スケジューリング部a21が行う端末選択処理の詳細については、後述する。スケジューリング部a21は、後述する逆行列H−1、端末ID、選択順序示す選択端末指定情報を、非線形プレコーディング部a13に出力する。また、スケジューリング部a21は、これらの端末IDの端末装置が選択したユニタリ行列Uを非線形プレコーディング部a23に出力する
<スケジューリング部a21について>
以下、スケジューリング部a21が行う端末選択処理について説明する。
図15は、本実施形態に係るスケジューリング部a21の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係るスケジューリング部a21(図15)と第1の実施形態に係るスケジューリング部a11(図8)とを比較すると、空間多重端末候補選択部a212及び空間多重端末決定部a215が異なる。しかし、他の構成要素(伝搬路状態情報記憶部a111、伝搬路行列生成部a113、行列式算出部a114、及びプレコーディングフィルタ算出部a116)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
空間多重端末候補選択部a212は、伝搬路状態情報記憶部a111に新たな伝搬路状態情報が記録された場合、及び、空間多重端末決定部a215から端末IDを再度選択する命令が入力された場合、以下の処理を行う。空間多重端末候補選択部a212は、各端末装置B1mの伝搬路状態情報のうち、ユニタリ番号情報が示す番号iが同じ端末IDをN個選択する。
空間多重端末候補選択部a212は、選択した端末IDに対して選択順に順序(選択順序)を付し、順序を付した端末IDを伝搬路行列生成部a113に出力する。
また、空間多重端末候補選択部a212は、空間多重端末決定部a215から多重する端末装置を決定したことを示す情報が入力された場合には、選択した端末IDの端末装置が選択したユニタリ行列Uを非線形プレコーディング部a23に出力する。
空間多重端末決定部a215は、行列式算出部a114から入力された行列式の値が「+1」又は「−1」であるか否かを判定する。
行列式の値が「+1」又は「−1」である場合、空間多重端末決定部a215は、選択した端末IDが示す端末装置の組合せをVP MU−MIMOにより多重する端末装置として決定する。この場合、空間多重端末決定部a215は、これらの端末IDと選択順序示す選択端末指定情報、及び、伝搬路行列Hを、信号選択部a123及びプレコーディングフィルタ算出部a116に出力する。また、空間多重端末決定部a215は、多重する端末装置を決定したことを示す情報を空間多重端末候補選択部a212に出力する。
一方、行列式の値が「+1」及び「−1」でない場合、空間多重端末決定部a215は、端末IDを再度選択する命令を空間多重端末候補選択部a212に出力する。
<非線形プレコーディング部a23について>
図16は、本実施形態に係る非線形プレコーディング部a23の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る非線形プレコーディング部a23(図15)と第1の実施形態に係る非線形プレコーディング部a13(図11)とを比較すると、ユニタリ行列乗算部a235が異なる。しかし、他の構成要素(実部・虚部分離部a131、ユニモジュラ行列乗算部a132、Modulo演算部a133−1〜a133−L(L=2N)、及び、実部・虚部合成部a134)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
ユニタリ行列乗算部a235は、実部・虚部合成部a134から入力された端末装置B1n宛の固有信号に対して、スケジューリング部a21から入力されたユニタリ行列Uを乗算する。ユニタリ行列乗算部a235は、乗算後の端末装置B1n宛の固有信号をフレーム構成部a142に出力する。
以上のように、本実施形態によれば、端末装置b2がベクトルgに加え、端末装置b2と基地局装置a2が予め記憶する情報が示すユニタリ行列Uから、1つのユニタリ行列Uを選択し、選択したユニタリ行列Uを示す番号iの情報を通知する。基地局装置a2は、端末装置b2から通知された情報を用いることで、多重する端末装置b2の組合せの自由度を向上することができる。また、本実施形態では、ユニタリ行列Uを用いて自由度を向上させることで、ベクトルgとベクトルh(実際の伝搬路状態)との差を小さくすることができる。これにより、本実施形態では、受信品質の低下を抑えながら空間多重できる端末装置の数を増やすことができる。
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。本実施形態では、端末装置が複数のアンテナを備える場合について説明をする。
本実施形態に係る基地局装置の構成は、第2の実施形態に係る基地局装置a2の構成と同じであるので、説明は省略する。
図17は、本発明の第3の実施形態に係る端末装置b3の構成を示す概略ブロック図である。この図において、端末装置b3は、アンテナb301−1〜b301−R(図17ではR=2)、受信部b302−1〜b302−R、GI除去部b303−1〜b303−R、FFT部b304−1〜b304−R、信号分離部b305−1〜b305−R、CRS用伝搬路推定部b106、信号合成部b312、DMRS用伝搬路推定部b107、伝搬路補償部b108、Modulo演算部b109、復調部b110、復号部b111、伝搬路状態情報生成部b32、IFFT部b331−1〜b331−R、GI挿入部b332−1〜b332−R、及び、送信部b333−1〜b333−Rを含んで構成される。
ここで、アンテナb301−1〜b301−R(図17ではR=2)、受信部b302−1〜b302−R、GI除去部b303−1〜b303−R、FFT部b104−1〜b304−R、及び信号分離部b305−1〜b305−Rの持つ機能は、それぞれ、アンテナb101、受信部b102、GI除去部b103、FFT部b104、及び信号分離部b105の持つ機能と同じである。ただし、信号分離部b305−1〜b305−Rは、CRS及びDMRS以外の信号(例えば、データ信号。以下、CRS及びDMRS以外の信号を単にデータ信号という)を信号合成部b312に出力する。
また、CRS用伝搬路推定部b106、DMRS用伝搬路推定部b107、伝搬路補償部b108、Modulo演算部b109、復調部b110、復号部b111、IFFT部b331−1〜b331−R、GI挿入部b332−1〜b332−R、及び、送信部b333−1〜b333−Rの持つ機能は、CRS用伝搬路推定部b106、DMRS用伝搬路推定部b107、伝搬路補償部b108、Modulo演算部b109、復調部b110、復号部b111、IFFT部b131、GI挿入部b132、及び、送信部b133の持つ機能と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
信号合成部b312は、DMRS及びデータ信号を合成して、それぞれ、DMRS用伝搬路推定部b107及び伝搬路補償部b108に出力する。
伝搬路状態情報生成部b32は、以下の伝搬路状態情報生成処理を行う。
伝搬路状態情報生成部b32は、CRS用伝搬路推定部b106から入力された伝搬路状態(ベクトルh)及びユニタリ行列Uを、次式(14)を用いてg、iを決定する。
Figure 2012105146
ここで、行列Hは、伝搬路状態を示す行列を表す。行列Hの各行は、端末装置b3の各アンテナにおける伝搬路状態を示し、アンテナと基地局装置a2の各アンテナとの伝搬路状態を示す。つまり、行列Hは、R行N列の行列である。wは、信号合成部b312がDMRS及びデータ信号に対して乗算する絶対値1のR次元ベクトルであり、端末装置b3が伝搬路状態情報を選択するときに自由に決定できるものである。
なお、伝搬路状態情報生成部b32は、ユニタリ行列Uを予め記憶する。
以上のように、本実施形態では、端末装置b3が複数の受信アンテナで受信した信号を、端末装置b3で自由に決めることができるフィルタwを用いて合成できる。つまり、本実施形態では、フィルタwによって自由度を向上することができ、式(14)で示したように、基地局装置a2に通知する伝搬路状態情報(g,i)と実際の伝搬路状態との誤差を小さくできる。すなわち、本実施形態では、基地局装置a2が取得する伝搬路状態情報と、「ユニタリ行列U〜(実際の)伝搬路〜フィルタw」を合わせて等価的に1つ伝搬路とみなした等価伝搬路状態との誤差を小さくできる。
また、本実施形態では、端末装置b3から基地局装置a2に通知する伝搬路状態情報は第2の実施形態を同じものを用いるため、伝搬路状態情報の情報量の増加無しに、多重する端末装置b3の受信品質をさらに向上することができる。
なお、本実施形態は、ユニタリ行列Uiを示す情報も伝搬路状態情報に含んでいるが、Uiは常に単位行列Iとしてもよい。このとき端末装置はUiが1種類しかないので、伝搬路状態情報内でUを示す情報を通知する必要が無くgのみを通知すればよい。これは、第1の実施形態に対して、本実施形態で説明した複数受信アンテナを用いた誤差低減方法を適用したことと同じである。「(実際の)伝搬路〜フィルタw」を合わせて等価的に1つ伝搬路とみなした等価伝搬路状態との誤差を小さくでき、複数の受信アンテナを利用して第1の実施形態よりも受信品質を向上できる。
なお、上述した実施形態における基地局装置a1、a2、端末装置b1〜b3の一部、例えば、伝搬路状態情報取得部a105、スケジューリング部a11、a21、信号選択部a123、DMRS生成部a124、固有信号構成部a125、非線形プレコーディング部b13、b23、CRS生成部a141、フレーム構成部a142、空間多重端末候補選択部a112、a212、伝搬路行列生成部a113、行列式算出部a114、空間多重端末決定部a115、a215、プレコーディングフィルタ算出部a116、実部・虚部分離部a131、ユニモジュラ行列乗算部a132、ユニタリ行列乗算部a235、Modulo演算部a133−1〜a133−L、実部・虚部合成部a134、信号分離部・・・b105、b305−1〜b305−R、CRS用伝搬路推定部b106、DMRS用伝搬路推定部b107、伝搬路補償部b108、Modulo演算部b109、伝搬路状態情報生成部b12、b22、b32、及び、信号合成部b312をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、基地局装置a1、a2、又は端末装置b1〜b3に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態における基地局装置a1、a2、及び端末装置b1〜b3の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。基地局装置a1、a2、及び端末装置b1〜b3の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
A1、a1、a2・・・基地局装置、B11〜B14、b1〜b3・・・端末装置、a101−1〜a101−N・・・アンテナ、a102−1〜a102−N・・・受信部、a103−1〜a103−N・・・GI除去部、a104−1〜a104−N・・・FFT部、a105・・・伝搬路状態情報取得部、a11、a21・・・スケジューリング部、a121−1〜a121−M・・・符号部、a122−1〜a121−M・・・変調部、a123・・・信号選択部、a124・・・DMRS生成部、a125・・・固有信号構成部、b13、b23・・・非線形プレコーディング部、a141・・・CRS生成部、a142・・・フレーム構成部、a143−1〜a143−N・・・IFFT部、a144−1〜a144−N・・・GI挿入部、a145−1〜a145−N・・・送信部、a111・・・伝搬路状態情報記憶部、a112、a212・・・空間多重端末候補選択部、a113・・・伝搬路行列生成部、a114・・・行列式算出部、a115、a215・・・空間多重端末決定部、a116・・・プレコーディングフィルタ算出部、a131・・・実部・虚部分離部、a132・・・ユニモジュラ行列乗算部、a235・・・ユニタリ行列乗算部、a133−1〜a133−L・・・Modulo演算部、a134・・・実部・虚部合成部、b101、b301−1〜b301−R・・・アンテナ、b102、b302−1〜b302−R・・・受信部、b103、b303−1〜b303−R・・・GI除去部、b104、b304−1〜b304−R・・・FFT部、b105、b305−1〜b305−R・・・信号分離部、b106・・・CRS用伝搬路推定部、b107・・・DMRS用伝搬路推定部、b108・・・伝搬路補償部、b109・・・Modulo演算部、b110・・・復調部、b111・・・復号部、b12、b22、b32・・・伝搬路状態情報生成部、b131、b331−1〜b331−R・・・IFFT部、b132、b332−1〜b332−R・・・GI挿入部、b133、b333−1〜b333−R・・・送信部、b312・・・信号合成部

Claims (15)

  1. 推定された基地局装置との伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態を示す伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成部と、
    前記伝搬路状態情報生成部が生成した伝搬路状態情報を基地局装置に送信する送信部と、
    を備えることを特徴とする端末装置。
  2. 前記送信部が送信した伝搬路状態情報に基づいて送信された信号であって、同一周波数及び同一時刻に多重されて送信された複数の端末装置宛の信号を受信する受信部と、
    基地局装置から送信された共通参照信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路情報推定部と、
    前記受信部が受信した信号に対して剰余演算を行う剰余演算部と、
    を備え、
    前記伝搬路状態情報生成部は、前記伝搬路情報推定部が推定した伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
  3. 前記予め定めた値は整数であり、
    前記伝搬路状態情報生成部は、伝搬路状態情報の実部と虚部とを整数で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
  4. 前記伝搬路状態情報生成部は、予め記憶する情報が示すユニタリ行列のうち、1つのユニタリ行列を示す情報を生成し、
    前記送信部は、前記伝搬路状態情報生成部が生成したユニタリ行列を示す情報を基地局装置に送信することを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
  5. 前記伝搬路状態は、少なくとも実際の伝搬路と端末装置が選択したフィルタとを等価的に1つの伝搬路と見なした等価伝搬路状態であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の端末装置。
  6. 同一周波数及び同一時刻に複数の端末装置宛の信号を多重して送信する基地局装置であって、
    前記端末装置各々との伝搬路の伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、
    前記伝搬路状態情報取得部が取得した伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出部と、
    前記複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出部が生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算部と、
    前記ユニモジュラ行列算出部がユニモジュラ行列を乗算した信号を送信する送信部と、
    を備えることを特徴とする基地局装置。
  7. 前記ユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、さらに剰余演算を行う剰余演算部と、
    前記剰余演算部が剰余演算を行った信号を送信する送信部と、
    を備えることを特徴とする請求項6に記載の基地局装置。
  8. 前記剰余演算部が剰余演算を行った信号に対して、ユニタリ行列を乗算するユニタリ行列乗算部と、
    前記送信部は、前記ユニタリ行列乗算部がユニタリ行列を乗算した信号を送信することを特徴とする請求項7に記載の基地局装置。
  9. 前記伝搬路状態情報は、実部と虚部とが整数であり、
    前記端末装置各々の伝搬路状態情報を、行成分とする行列を生成する伝搬路行列生成部と、
    前記伝搬路行列生成部が生成した行列の行列式が+1又は−1になるように、同一周波数及び同一時刻で信号を多重する端末装置を選択する多重端末決定部と、
    を備えることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の基地局装置。
  10. 前記ユニタリ行列は、端末装置から受信した情報が示すユニタリ行列であることを特徴とする請求項8に記載の基地局装置。
  11. 同一周波数及び同一時刻に複数の端末装置宛の信号を多重して送信する基地局装置と、前記基地局装置からの信号を受信する端末装置と、を具備する通信システムであって、
    前記端末装置は、
    基地局装置から送信された共通参照信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路情報推定部と、
    前記伝搬路情報推定部が推定した伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成部と、
    前記伝搬路状態情報生成部が生成した伝搬路状態情報を基地局装置に送信する送信部と、
    前記送信部が送信した伝搬路状態情報に基づいて送信された信号であって、同一周波数及び同一時刻に多重されて送信された複数の端末装置宛の信号を受信する受信部と、
    前記受信部が受信した信号に対して剰余演算を行う剰余演算部と、
    を備え、
    前記基地局装置は、
    前記端末装置が送信した伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、
    前記伝搬路状態情報取得部が取得した伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出部と、
    前記複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出部が生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算部と、
    前記ユニモジュラ行列算出部がユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、剰余演算を行う剰余演算部と、
    前記剰余演算部が剰余演算を行った信号を送信する送信部と、
    を備えることを特徴とする通信システム。
  12. 同一周波数及び同一時刻に複数の端末装置宛の信号を多重して送信する基地局装置と、前記基地局装置からの信号を受信する端末装置と、を具備する通信システムにおける通信方法であって、
    伝搬路情報推定部が、基地局装置から端末装置へ送信された共通参照信号に基づいて伝搬路状態を推定する伝搬路情報推定ステップと、
    伝搬路状態情報生成部が、前記伝搬路情報推定ステップで推定した伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成ステップと、
    端末送信部が、前記伝搬路状態情報生成ステップで生成した伝搬路状態情報を基地局装置に送信する端末送信ステップと、
    伝搬路状態情報取得部が、前記端末装置が送信した伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得ステップと、
    プレコーディングフィルタ算出部が、前記伝搬路状態情報取得ステップで取得した伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出ステップと、
    ユニモジュラ行列乗算部が、前記複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出ステップで生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算ステップと、
    剰余演算部が、前記ユニモジュラ行列算出ステップでユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、剰余演算を行う剰余演算ステップと、
    基地局送信部が、前記剰余演算ステップで剰余演算を行った信号を送信する基地局送信ステップと、
    受信部が、前記基地局送信ステップで送信された複数の端末装置宛の信号を受信する受信ステップと、
    剰余演算部が、前記受信ステップで受信した信号に対して剰余演算を行う剰余演算ステップと、
    を有することを特徴とする通信方法。
  13. 推定された伝搬路状態を、予め定めた値で近似し、近似した伝搬路状態情報を生成する伝搬路状態情報生成部を備えることを特徴とするプロセッサ。
  14. 予め定めた値で近似された伝搬路状態情報に基づいて送信された信号であって、同一周波数及び同一時刻に多重されて送信された複数の端末装置宛の信号に対して剰余演算を行う剰余演算部を備えることを特徴とするプロセッサ。
  15. 伝搬路状態情報に基づいて、ユニモジュラ行列を示す情報を生成するプレコーディングフィルタ算出部と、
    複数の端末装置宛の信号に対して、前記プレコーディングフィルタ算出部が生成した情報が示すユニモジュラ行列を乗算するユニモジュラ行列乗算部と、
    前記ユニモジュラ行列算出部がユニモジュラ行列を乗算した信号に対して、剰余演算を行う剰余演算部と、
    を備えることを特徴とするプロセッサ。
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