JP5319443B2 - 基地局装置、端末装置および無線通信システム - Google Patents

基地局装置、端末装置および無線通信システム Download PDF

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Description

本発明は、同一の周波数チャネルを用いて、異なる複数の送信アンテナより独立な信号系列を空間多重し、同時に複数の端末装置に送信する通信システムにおける基地局装置、端末装置、無線通信システムに関する。
送受信に複数のアンテナを使用し、同じ周波数帯域で複数の異なるデータ系列(データストリーム)を空間的に多重して同時通信するMIMO(Multiple-Input Multiple-Output:多入力多出力)による通信方式が、無線LANやセルラシステムなどで実用化されている。
また、次世代のセルラシステムにおいて、基地局装置に備える送信アンテナ数を端末装置に備えている受信アンテナ数に比べて大幅に多くして送受信するシステムが提案されている。このようなシステムにおいては、基地局装置の送信アンテナを有効に活用してさらにシステムスループットを向上させるために、複数の端末装置(ユーザ)宛のデータ系列をMIMO 多重するMU−MIMO(Multi-User MIMO)が提案されている。
しかしながら、MU−MIMOにおいて多重された信号を受信する複数の端末装置の間では、他の端末装置が受信した信号を知ることはできないため、そのままでは各ユーザ宛のストリーム間で生じる干渉(Multi-User Interference:MUI)により大幅に特性が劣化してしまう。
そこで、基地局装置の各送信アンテナから各端末装置の各受信アンテナまでのチャネル状態情報(以下、CSI(Channel State Information)と略称する)を基地局装置が知ることによって、基地局装置は、端末装置に大きな負荷を掛けることなく、端末装置における受信時のMUIを抑圧できる送信信号を生成することができる幾つかの方法が提案されている(非特許文献1)。
その例として、線形処理によって送信信号をプリコーディング(Precoding:事前符号化)する線形プリコーディングや、非線形処理によって送信信号をプリコーディングする非線形プリコーディングがある。
Spencer他、「An Introduction to the Multi-User MIMO Downlink」、IEEE Communication Magazine、Vol.42、Issue10、pp.60-67、2004年10月
しかしながら、これらのMU−MIMOのMUI抑圧のために送信側でプリコーディングを行う方法では、端末装置におけるCSIを基地局装置が把握している必要があるため、特に周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)のシステムでは、端末装置は上りリンク通信を通じてCSIを基地局装置へ通知する必要がある。基地局装置は、通信中の全ての端末装置からCSIを収集する構成としているため、上りリンク通信において大きな通信帯域が必要となってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、CSIを基地局装置へ通知することによる上りリンク通信の通信帯域を削減する基地局装置、端末装置、無線通信システムを提供しようとするものである。
上記のような問題点を解決するために、本発明に係る基地局装置、端末装置、無線通信システムは、以下のような構成とし、特徴を有する。
第1の発明の基地局装置は、独立な信号系列を空間多重し、複数の送信アンテナより同時に複数の端末装置に送信する基地局装置であって、前記端末装置から送られる伝搬路状態の推定結果に基づいて算出される伝搬路状態の周波数方向の変動の平坦さを表す平坦度を取得する平坦度取得部と、該平坦度取得部により取得した前記平坦度の値が高い順に所定数分の端末装置を選択するCSI要求選択部と、選択した端末装置に対してCSIの通知を要求するためのCSI要求信号を生成するCSI要求信号生成部と、を備え、前記CSI要求信号を受信した前記端末装置から送信されたCSIに基づいて各端末装置宛の送信データを空間多重して送信することを特徴とする。
また、第2の発明の基地局装置は、さらに、前記平坦度が所定のレベル以上か否かを前記端末装置に判断させるための平坦度閾値を生成する平坦度閾値生成部と、前記平坦度取得部の代わりに前記平坦度が所定のレベル以上か否かを表す2値情報を取得する平坦度比較結果取得部と、を備え、前記2値情報に基づいて、前記CSI要求信号生成部により生成するCSI要求信号を送出することを特徴とする。
また、第3の発明の基地局装置は、さらに、前記端末装置から送出される伝搬路状態の時間変動度を取得する時間変動度取得部と、前記時間変動度および前記平坦度の情報を入力し、前記CSI要求選択部に替えて前記時間変動度が小さく、前記平坦度の高い順に所定数分の端末装置を選択するCSI要求選択部と、を備えたことを特徴とする。
また、第4の発明の基地局装置は、前記時間変動度取得部に替えて前記端末装置から送出されるチャネル品質を表すCQIを記憶するCQI記憶部と、該CQI記憶部に記憶された前回取得したCQIと今回取得したCQIとの差分演算により時間変動度を算出する時間変動度算出部と、を備えたことを特徴とする。
第5の発明の端末装置は、基地局装置の複数の送信アンテナから送信される空間多重された独立な信号系列を受信する端末装置であって、前記基地局装置との間の伝搬路状態の推定結果に基づいて算出される伝搬路状態の周波数方向の変動の平坦さを表す平坦度を算出する平坦度算出部と、前記基地局装置から送られるCSI要求信号を識別し、自端末向けのCSI要求信号を検出するCSI要求信号取得部と、を備え、算出した前記平坦度を前記基地局装置に送信した後、前記自端末向けのCSI要求信号を検出した場合、自端末の前記伝搬路状態推定結果に基づいて算出されるチャネル状態情報CSIを前記基地局装置に送信することを特徴とする。
また、第6の発明の端末装置は、前記端末装置は、さらに、前記基地局装置から送出される平坦度閾値を取得する平坦度閾値取得部と、前記平坦度と前記平坦度閾値とを比較する平坦度比較部と、を備え、算出した前記平坦度の情報自体を前記基地局装置に送出する代わりに、前記平坦度比較部により生成される前記平坦度が所定のレベル以上か否かを表す2値情報を前記基地局装置に送出することを特徴とする。
また、第7の発明の端末装置は、さらに、前記基地局装置との間の伝搬路状態の推定結果を記憶する伝搬路記憶部と、該伝搬路記憶部に記憶した前回得られた伝搬路状態の推定結果と今回得られた伝搬路状態の推定結果の差分演算により時間変動度を算出する時間変動度算出部と、を備えたことを特徴とする。
また、第8の発明の端末装置は、さらに、伝搬路状態の推定結果からチャネル品質を表すCQIを算出し、CQI通知信号を生成するCQI生成部を備えたことを特徴とする。
第9の発明の無線通信システムは、基地局装置の複数のアンテナより独立な信号系列を空間多重し、同時に複数の端末装置に送信する無線通信システムであって、第1の発明と第5の発明、第2の発明と第6の発明、第3の発明と第7の発明、第4の発明と第8の発明のいずれかに記載の基地局装置と端末装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明の基地局装置、端末装置、無線通信システムによれば、以下に示す優れた効果を奏し得る。
すなわち、本発明の基地局装置、端末装置、無線通信システムによれば、全端末装置に対して各端末装置の伝搬路の平坦度を基地局に通知させ、これらの平坦度に基づいてMU−MIMOで多重する候補となる端末装置に対してのみCSIを通知させることにより、上りリンク通信において必要以上のCSIの情報量を削減することができる。さらに、伝搬路の平坦度情報がより平坦である端末装置をMU−MIMOの対象として選択することによりCSIの情報量をさらに削減することができる。
本発明に係る基地局装置および端末装置を用いたセルラ通信システムの概略構成を示す構成図である。 第1の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置の構成を示すブロック図である。 マルチユーザMIMO信号生成部の構成の一例を示すブロック図である。 マルチユーザMIMO信号生成部の構成の他の例を示すブロック図である。 第1の実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と、端末装置との間の通信手順の例を示すフロー図である。 第2の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と端末装置との間の通信手順の例を示すフロー図である。 第3の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置の構成を示すブロック図である。 第3の実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置の構成を表すブロック図である。 第3の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と、端末装置との間の通信手順の例を示すフロー図である。 第4の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置の構成を示すブロック図である。 第4の実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置の構成を表すブロック図である。 第4の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と、端末装置との間の通信手順の例を示すフロー図である。
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)方式を用いて基地局装置から端末装置への下りリンク通信を行うセルラ通信システムに本発明に係る無線通信システムを適用した場合の実施形態について、図面を参照して説明する。図1〜図15は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図であり、本明細書および図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る基地局装置および端末装置を用いたセルラ通信システムの概略構成を示す構成図である。
図1には、1つの基地局装置200と、セル内に基地局装置200との間で通信を行う7台の端末装置(端末装置100から端末装置106)と、から構成するセルラ通信システム例を示す。
基地局装置200は、全端末装置(100〜106)に対して、CSIの情報量よりはるかに小さい情報量である平坦度(詳細は後記する)を通知させて、これらの平坦度情報に基づいて、端末装置(100〜106)の7台の中からMU−MIMOで多重してデータ系列を送信する端末装置を選択する。選択した端末装置に対してCSIを通知させ、これらのCSIに基づいてプリコーディングを行い、MU−MIMO信号を生成し、選択した端末装置に対して送信する。このように、本発明に係るセルラ通信システムは、送信すべき端末装置のみのCSIを基地局装置200に対して通知させることで上りリンク通信におけるCSIによる情報量を減少させて、通信帯域を低減することを可能とするものである。
次に、上記通信帯域の低減化を実現する本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置200および端末装置(100〜106)の具体的な構成および動作について説明する。
<第1の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置の構成および動作の説明>
図2は、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置200の構成を表すブロック図である。
まず、基地局装置200の構成について説明する。図2に示すように、基地局装置200は、端末装置宛のデータ系列U個からm個の端末装置宛のデータ系列を選択する送信データ選択部201と、送信データ選択部201で選択されたm個の端末装置宛のデータ系列をそれぞれ誤り訂正符号化する符号化部202と、誤り訂正符号化されたデータ系列をそれぞれ変調し、変調シンボルを出力する変調部203と、M個の系列のMU−MIMOシンボルを生成するマルチユーザMIMO信号生成部204と、M個の系列のMU−MIMOシンボルをそれぞれ周波数−時間変換、例えば高速逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)を行い、M個の系列の時間信号に変換するIFFT部205と、M個の系列の時間信号にそれぞれガード期間(Guard Interval:GI)を付加するGI挿入部206と、M個のアンテナ間で直交するパイロットシンボルをGIが付加されたM個の系列の時間信号にそれぞれ多重するパイロット多重部207と、パイロットシンボルが多重されたM個の系列の時間信号をそれぞれ無線信号に変換し、M個のアンテナからそれぞれ送信するとともに、各端末装置からの信号を受信する無線部208と、無線部208により受信した受信信号から各端末装置のCSI通知信号を抽出し、MU−MIMOで多重する候補となる各端末装置(m個以上U個以下の個数)のCSIを取得するCSI取得部209と、CSI取得部で取得したCSIに基づいて、上記送信データ選択部201に対してMU−MIMOの対象とするm個(1≦m≦M)の端末装置のデータ系列を選択させる端末選択情報を出力するとともに、マルチユーザMIMO信号生成部204に対応するCSIを出力する端末選択部210と、からなる従来の構成要素と、平坦度を取得する平坦度取得部211と、CSIを要求する端末装置を選択するCSI要求選択部212と、CSI要求選択部212で選択した端末装置に対して、CSI要求信号を生成するCSI要求信号生成部213と、からなる本発明の特徴部分である構成要素とを含んで構成されている。
続いて、上記のように構成された基地局装置200の動作について説明する。
送信データ選択部201は、U個の端末装置宛のデータ系列の中から、端末選択部210より出力される端末選択信号によりMU−MIMO多重の対象とするm個(1≦m≦M)の端末装置宛のデータ系列を選択し、符号化部202に出力する。符号化部202において、m個の端末装置宛のデータ系列は誤り訂正符号化され、さらに、変調部203において、変調シンボルに変調される。
変調部203によって変調されたm個の端末装置宛のそれぞれの変調シンボルは、マルチユーザMIMO信号生成部204により、端末選択部210により出力されたm個の各端末装置のCSIに基づいてプリコーディングされて、アンテナ毎のM個(M≧m)の系列のMU−MIMOシンボルが生成される。
生成されたM個の系列のMU−MIMOシンボルは、IFFT部205によって、M個の系列の時間信号に変換された後、GI挿入部206により、GIが付加される。GIが付加されたM個の系列の時間信号は、パイロット多重部207によって、M個のアンテナ間で直交するパイロットシンボルがそれぞれ多重されて、無線部208のM個のアンテナから無線信号として、m個の端末装置に対して送信される。
なお、パイロットシンボルの直交化は、時間分割による直交化、周波数分割(サブキャリア)による直交化、直交符号による直交化、あるいはそれらの組み合わせなどにより実現し、パイロットシンボルの多重化は時間多重の他、周波数多重、コード多重、あるいはそれらの組み合わせなどにより実現することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明の特徴部分である平坦度取得部211、CSI要求選択部212、CSI要求信号生成部213の各部の動作について説明する(図6参照)。
基地局装置200は、全端末装置(100〜106)に向けて無線部208のアンテナからパイロット信号を送信する。パイロット信号を受信した各端末装置は、各自の伝搬路の平坦度(詳細は後述する)を算出し、その結果を平坦度通知信号として基地局装置200に送信する。平坦度取得部211は、各端末装置から通知された平坦度通知信号を抽出し、抽出した平坦度通知信号から全端末装置(U個)の平坦度を取得する。
CSI要求選択部212は、上記取得した全端末装置の平坦度を入力し、平坦度値が高い(より平坦であることを意味する)順に、所定の個数分(m個以上)のMU−MIMOで多重する候補の端末装置、すなわち、CSIの通知を要求する端末装置として選択する。ここで、MU−MIMOによって多重しようとする端末装置数m、さらには基地局装置のアンテナ数M(すなわち最大多重可能端末装置数)よりも多くの端末装置を候補端末装置として選択しても良い。この場合、CSIを通知する端末装置が多くなる分、CSIの通知情報量も増加するが、端末選択部210が実際のCSIに基づいて利得の高い端末装置を候補端末装置の中から選択することで、さらに伝送効率の良いMU−MIMO多重が可能となる。さらに、この選択されたMU−MIMOで多重する候補端末装置に対して、CSI要求信号生成部212は、CSIの通知を要求するCSI要求信号を生成する。この生成されたCSI要求信号は、無線部208のアンテナを介して多重候補の各端末装置へ送信される。
ここで、マルチユーザMIMO信号生成部の構成例とその動作について補足説明する。
図3は、マルチユーザMIMO信号生成部の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すマルチユーザMIMO信号生成部204aは、MU−MIMOにおけるユーザ間の干渉(Multi-User Interference:MUI)を抑圧する方法として、線形プリコーディングを用いてMU−MIMO多重を実現する場合の例である。
アンテナマッピング部300は、変調部203より出力されたMU−MIMO多重の対象となるm個の端末装置宛の変調シンボルを入力し、端末選択部210からの端末選択情報に基づいて、これら変調シンボルをM個のアンテナへ割り当てる。
また、プリコーディング行列算出部302は、端末選択部210から出力される多重対象となるm個のCSIに基づいて、MUIを抑圧するための送信プリコーディングを実現するプリコーディング行列を算出する。例えば、線形プリコーディングの1つであるZero Forcing(ZF)を用いる場合、基地局装置のi番目のアンテナから端末装置のj番目のアンテナ(複数の端末装置に渡って順に1番目からM番目の番号を割り当て、1つの端末装置で2つ以上のアンテナを使用してMIMO伝送を行う場合は、同数の番号を割り当てるものとする)との間の伝搬路のCSIの要素をj行i列目の要素とする伝搬路行列Hを生成し、その逆行列H−1を算出してプリコーディング行列とする。プリコーディング部301によって、生成されたプリコーディング行列によりM個の変調シンボルからM個のMU−MIMOシンボルが生成される。
また、図4は、マルチユーザMIMO信号生成部の構成の他の例を示すブロック図である。
図4に示すマルチユーザMIMO信号生成部204bは、MU−MIMOにおけるMUIを抑圧する方法として、非線形プリコーディングの1つであるトムリンソン−ハラシマプリコーディング(Tomlinson-Harashima Precoding:THP)を用いて、MU−MIMO多重を実現する場合の例である。
まず、QR分解部401は、端末選択部210からのCSIに基づいて、基地局装置200のi番目のアンテナから端末装置のj番目のアンテナ(複数の端末装置に渡って順に1番目からM番目を割り当て、1つの端末装置で2つ以上のアンテナを使用してMIMO伝送を行う場合は、同数の番号を割り当てるものとする)との間の伝搬路のCSIの要素をj行i列目の要素とする伝搬路行列Hを生成し、そのエルミート共役H(上付添え字のはエルミート共役を示す)にQR分解を施して、ユニタリ行列Qと上三角行列Rとに分解する(H=QR)。
次に、干渉成分算出部402は、QR分解部401で求めた上三角行列Rのエルミート共役R(下三角行列となる)を求める。ここで伝搬路Hに対してユニタリ行列Qを乗じた仮想的な等価伝搬路HQを考え、この等価伝搬路HQに対して各変調シンボルを送信するアンテナとして仮想的なアンテナを考える。このとき、HQ=Rとなり、Rは下三角行列であるため、1本目の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルは、他の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルからの干渉を受けず、2本目の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルは、1本目の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルのみから干渉を受け、k本目の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルは、1本目からk−1本目までの仮想的なアンテナから送信される変調シンボルから干渉を受ける形となることがわかる。そこで、干渉成分算出部402は、下三角行列Rに基づいて、1本目からM−1本目の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルに基づいて、2本目からM本目の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルが受ける干渉成分を逐次的に算出する。
続いて、干渉成分減算部403は、干渉成分算出部402で算出された干渉成分をアンテナマッピング部300から出力される変調シンボルから減算する。
さらに、剰余演算部404は、干渉成分を減算した変調シンボルに対して予め定めた剰余演算幅(モジュロ幅)で剰余演算を施し、振幅を剰余演算幅以下に変換する。
最後に、フィルタ部405によって、剰余演算を施したM個の仮想的なアンテナから送信される変調シンボルに対して、QR分解部401で求めたユニタリ行列Qによりフィルタを掛けることで伝搬路Hと合わせて等価伝搬路HQが構成され、無線部208の各アンテナから送信するMU−MIMOシンボル1からMが生成される。
次に、図2に示す基地局装置200の構成・動作説明に続いて、図5に示す端末装置の構成・動作について説明する。
ここでは、図1の端末装置(100〜106)のうち、端末装置100を代表して、説明するものとする。
<第1の実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置の構成および動作の説明>
図5は、本実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置の構成を示すブロック図である。
端末装置100は、アンテナを介して基地局装置200に対して各種の信号を送受信する無線部501と、受信信号からパイロットシンボルを分離するパイロット分離部502と、パイロット分離部502で分離されたパイロットシンボルを用いて、基地局装置200の各アンテナと自端末装置の各アンテナとの間の伝搬路を推定する伝搬路推定部507と、パイロットシンボルを分離した受信信号からGIを除去するGI除去部503と、GIを除去した受信信号に対して時間周波数変換、例えば高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)を行い、サブキャリア毎の受信変調シンボルに変換するFFT部504と、各サブキャリアの受信変調シンボルを復調し、符号化データ系列を出力する復調部505と、符号化データ系列を誤り訂正復号化して、受信データ系列を出力する復号化部506と、からなる従来の構成要素と、伝搬路推定結果から伝搬路の周波数方向の平坦度を算出し、平坦度を通知する平坦度通知信号を生成する平坦度算出部508と、受信信号に自端末装置宛のCSI要求信号が含まれる場合、これを検出するCSI要求信号取得部509と、CSI要求信号取得部509においてCSI要求信号が検出された場合、伝搬路推定結果からCSIを通知するCSI通知信号を生成するCSI生成部510と、からなる本発明の特徴部分である構成要素とを含んで構成されている。
続いて、上記のように構成された端末装置の特徴部分である平坦度算出部508、CSI要求信号取得部509、およびCSI生成部510の各部の動作について説明し、従来の構成要素の説明は省略するものとする。なお、基地局装置200におけるマルチユーザMIMO信号生成部が図4に示すTHPを用いてマルチユーザMIMO信号を生成する構成である場合は、基地局装置200と同様の剰余演算部(不図示)を復調部505の前段に備えた構成とし、受信変調シンボルに剰余演算を施した後に、復調部505により受信変調シンボルが復調される。
平坦度算出部508は、伝搬路推定部507から算出される伝搬路推定結果に基づいて平坦度を算出し、算出された平坦度は、無線部501によって、アンテナを介して基地局装置200へ送信される。
伝搬路の平坦度は、伝搬路を周波数方向に見た場合の平坦さを表す指標であり、パイロットシンボルの遅延波の分散により求められる伝搬路の遅延分散、あるいは各伝搬路の各サブキャリアにおける伝搬路利得の分散などの情報を用いて算出することができる。なお、これらの分散に限られるものではなく、伝搬路を周波数方向に見た場合の平坦さを表す指標であればよい。
上記伝搬路の遅延分散は、パイロットシンボルがマルチパスの伝搬路を通じて複数の遅延波として受信されたときの各遅延波の電力で重み付けされた遅延時間の分散(単位は秒)を算出したもので、遅延分散値が大きいと伝搬路の周波数選択性が大きくなるため周波数方向の伝搬路利得の変動が激しくなり(平坦度が低くなる)、逆に、遅延分散値が小さいと伝搬路の周波数選択性が小さくなるため周波数方向の伝搬路利得の変動が小さくなる(平坦度が高くなる)。したがって、伝搬路推定結果から求めた遅延分散が大きいほど平坦度を低く、遅延分散が小さいほど平坦度を高くするような関係にする。例えば、OFDMにおいては、遅延分散がGIの長さを超えるほど大きい場合に、平坦度を最小に、遅延分散が0のときに平坦度を最大となるように設定する。
また、他の例である上記伝搬路利得分散は、伝搬路推定部において推定された各サブキャリアの伝搬路利得の分散(ばらつき具合)を算出したもので、この分散値が大きいほど周波数方向の伝搬路利得の変動が激しい(平坦度が低い)ことを表し、小さいほど周波数方向の伝搬路利得の変動が小さい(平坦度が高い)ことを表す。したがって伝搬路推定結果から求めた各サブキャリアの伝搬路利得の分散が大きいほど平坦度を低く、伝搬路利得の分散が小さいほど平坦度を高くするような関係にする。例えば、サブキャリア間のCSIの差分値が所定の(少ない)ビット数で表現可能な範囲を超えるほど伝搬路利得の分散が大きい場合には、平坦度を最小に、伝搬路利得の分散が0のときに平坦度を最大となるように設定する。
CSI要求信号取得部509では、受信信号に自端末装置宛のCSI要求信号を検出した場合、CSI生成部510に対して、CSI通知信号の生成を指示する。このCSI通知信号生成指示を受けたCSI生成部510は、伝搬路推定結果から算出したCSIを通知するCSI通知信号を生成し、無線部501は、アンテナを介してこのCSI通知信号を基地局装置200へ送信する。
このとき、CSI生成部は、各サブキャリア(あるいはそのグループ)間の伝搬路の差分を表す情報、あるいは各サブキャリア(あるいはそのグループ)における伝搬路の平均値に対する差分を表す情報などを用いて、CSIを生成することによって、CSIの情報量を削減することができる。
上記では、端末装置のアンテナ数が1個の場合の構成について説明したが、端末装置が複数のアンテナを備え、複数のデータ系列を同時に受信する構成であっても良い。
次に、基地局装置が4本のアンテナ、各端末装置がそれぞれ1本のアンテナを持つ場合を例として、基地局装置200と端末装置の間の通信手順について説明する。
図6は、基地局装置200と、端末装置との間の通信手順の例を示すフロー図である。
まず、基地局装置200は、全端末装置に向けてパイロット信号を送信する(ステップS1)。
各端末装置は、パイロット信号を受信し、受信したパイロット信号に基づいて基地局装置200の各アンテナと端末装置の各アンテナとの間の伝搬路を推定する(ステップS2)。各端末装置は、伝搬路の推定結果に基づいて、上述したように伝搬路の平坦度を算出し(ステップS3)、基地局装置200へ通知する(ステップS4)。
基地局装置200は、各端末装置から通知された伝搬路の平坦度に基づいて、平坦度の高い(平坦な)端末装置の順に、MU−MIMOで多重する候補の端末装置を複数個(m個以上の所定数)選択する(ステップS5)。図6では、端末装置103を候補の1つとして選択し、端末装置106を候補として選択しない例を示している。
次に、基地局装置200は、選択したMU−MIMO多重候補の各端末装置に対して、CSIの通知を要求するCSI要求信号を送信する(ステップS6)。
CSI要求信号を受信した端末装置103を含む端末装置は、先に推定した伝搬路、またはCSI要求信号に多重されたパイロット信号を基に新たに推定した伝搬路に基づいてCSIを生成し、基地局装置200へ通知する(ステップS7)。
基地局装置200は、MU−MIMOで多重する候補の端末装置からのCSIを受信し、これらのCSIに基づいて、MU−MIMO多重の対象とする各端末装置宛の送信データのMU−MIMO信号を生成し(ステップS8)、送信する(ステップS9)。
なお、ここで、MU−MIMOで多重する候補の端末装置が通知してきたCSIに基づいて、実際にMU−MIMO多重の対象とする端末装置をさらに選択しても良い。
端末装置103を含むMU−MIMO多重の対象の各端末装置は、MU−MIMO信号を受信し、自端末装置宛のデータを検出する(ステップS10)。
以上説明したように、端末装置に伝搬路の平坦度を示す情報のみを通知させ、その平坦度を基にMU−MIMOで多重する候補となる端末装置に対してのみCSIを通知させることにより、CSIの通知に必要な上りリンク通信における情報量を削減することができる。
また、伝搬路がより平坦な端末装置をMU−MIMOの対象として選択することにより、これら端末装置のCSIは、周波数方向(サブキャリア毎)の変動が小さいため、差分値を用いることによってCSIの情報量をさらに削減することができる。
例えば、サブキャリア数が256本のOFDMシステムを想定すると、最も詳細なサブキャリア毎のCSIを通知する場合、1サブキャリア当たり10ビットでCSIを表現したとして2560ビットの通知情報が1端末装置当たりに必要となる。図1に示すシステム例では7個の端末装置が存在するため、全体の通知情報は17920ビットとなる。
これに対して本実施形態では、平坦度を8ビットで表現したとして平坦度の通知に56ビット、CSI通知を要求された4個の端末装置がCSI通知するために10240ビットが必要となるが、平坦度が高いことを利用して差分値によるCSIを用いることで、さらに情報量を削減することができる。例えば1サブキャリア当たり4ビットの差分値を用いた場合(1つ目のサブキャリアは10ビットの非差分値を用いる)、1端末装置当たり1030ビット、4個の端末装置で4120ビットとなる。従って全体の通知情報は4176ビットと、4分の1以下に削減される。
なお、上記において、1サブキャリア当たりのCSIを10ビットとし、平坦度を8ビットとして表現した場合の例について説明したが、これは、CSIが基地局装置において干渉成分を算出しMUIを抑圧するために用いられる情報であることから、高い伝送特性を得るためには、高い精度が要求されるのに対し、平坦度が基地局装置においてMU−MIMOの多重候補を選択するためにのみ用いられる情報であるため、CSIに比べて高い精度は要求されないからである。
(第2の実施形態)
本実施形態のセルラ通信システムでは、各端末装置により伝搬路推定結果から算出した伝搬路の周波数方向の平坦度と、予め定めた平坦度閾値との比較結果を基地局装置へ通知し、基地局装置において、比較結果に基づいてCSIの通知を要求する端末装置を選択する場合について説明する。
なお、図1に示すシステム構成図において、基地局装置200、端末装置(100〜106)の符号をそれぞれ、200a、100a〜106aに替えて説明する。
図7は、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置200aの構成を表すブロック図である。図8は、本実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置の構成を示すブロック図である。
以下、図2、図5に示す基地局装置200および端末装置(100〜106)の構成要素と同一の機能を有する構成要素についての説明は省略し、追加された機能を有する構成要素について主として説明する。
基地局装置200aにおいては、平坦度閾値生成部600と、平坦度比較結果取得部601の2つの構成要素、端末装置においては、平坦度閾値取得部602と、平坦度比較部603の2つの構成要素が主として追加されている。
基地局装置200aの平坦度閾値生成部600は、平坦度が所定のレベル以上かまたは未満かを端末装置に判断させるための平坦度閾値を生成する。生成された平坦度閾値は、無線部208のアンテナを介して全端末装置(100a〜106a)へ送信される。なお、平坦度閾値は、後述する平坦度比較結果取得部で取得した平坦度比較結果情報に基づいて、平坦度が閾値以上となる端末装置の数が所定数より少ない場合は、閾値を小さくし、数が多い場合は、閾値を大きくして設定し直し、都度、閾値を変化させることが好ましい。
また、平坦度比較結果取得部601は、全端末装置から送信される平坦度比較結果通知信号に含まれる「平坦度が上記平坦閾値以上であるか否かを示す平坦度比較結果情報」(「ON/OFF」の1ビット情報)を取得し、CSI要求選択部212では、CSIの通知を要求する端末装置を、平坦度比較結果情報の「ON」情報の中からMU−MIMOで多重する数またはそれ以上の候補端末装置を選択する。さらに、CSI要求信号生成部213では、CSI要求選択部212で選択した候補端末装置に対して、CSIの通知を要求するCSI要求信号を生成し、無線部208のアンテナを介して上記CSI要求信号が候補端末装置へ送信される。
一方、端末装置(100a〜106a)の平坦度閾値取得部602は、受信信号に平坦度閾値通知信号が含まれる場合、これを検出し、平坦度閾値を取得し、平坦度比較部603は、平坦度算出部508で算出した平坦度と、平坦度閾値取得部602で取得した閾値とを比較し、平坦度が閾値以上であるか閾値未満であるかを示す平坦度比較結果通知信号を生成する。生成された平坦度比較結果通知信号は、無線部501のアンテナを介して基地局装置200aへ送信される。
次に、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と端末装置の間の通信手順について説明する。
図9は、図1における基地局装置200aと、端末装置のうちの端末装置103aと端末装置106aの2つとの間に注目した場合の通信手順の例を示すフロー図である。
まず、基地局装置200aは、平坦度閾値を生成し(ステップS20)、全端末装置(100a〜106a)に向けて平坦度閾値通知信号を送信し(ステップS21)、パイロット信号を送信する(ステップS22)。
各端末装置は、パイロット信号を受信し、受信したパイロット信号に基づいて基地局装置200aの各アンテナと端末装置の各アンテナとの間の伝搬路を推定する(ステップS23)。
さらに、各端末装置は、伝搬路の推定結果に基づいて伝搬路の平坦度を算出し(ステップS24)、算出した平坦度と平坦度閾値とを比較し(ステップS25)、平坦度比較結果を基地局装置200aへ通知する(ステップS26)。
基地局装置200aは、各端末装置から通知された伝搬路の平坦度比較結果に基づいて、平坦度が閾値以上であることを示す端末装置からMU−MIMOで多重する候補の端末装置を複数選択する(ステップS27)。図9に示す例では端末装置103aを候補の1つとして選択し、端末装置106aは候補として選択しない。
基地局装置200aは、選択したMU−MIMO多重する候補の各端末装置に対して、CSIの通知を要求するCSI要求信号を送信する(ステップS28)。
CSI要求信号を受信した端末装置103aは、先に推定した伝搬路、またはCSI要求信号に多重されたパイロット信号を基に新たに推定した伝搬路に基づいてCSIを生成し、基地局装置200aへ通知する(ステップS29)。
基地局装置200aは、MU−MIMOで多重する候補の端末装置からのCSIを受信し、それらのCSIに基づいて、MU−MIMO多重の対象とする各端末装置宛の送信データのMU−MIMO信号を生成し(ステップS30)、送信する(ステップS31)。なお、ここで、MU−MIMOで多重する候補の端末装置が通知してきたCSIに基づいて、実際にMU−MIMO多重の対象とする端末装置をさらに選択しても良い。
端末装置103aは、MU−MIMO信号を受信し、自端末装置宛のデータを検出する(ステップS32)。
以上のように本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局および端末装置によれば、まず平坦度の閾値を設定し、各端末装置に伝搬路の平坦度が閾値以上であるか未満であるかを表す「ON/OFF」情報のみを通知させることにより、平坦度に関する通知を1ビットに削減し、CSIの通知に必要な上りリンク通信における情報量を削減することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態のセルラ通信システムでは、各端末装置により平坦度を算出するとともに、推定した伝搬路の時間変動度を算出して基地局装置に通知し、基地局装置において、平坦度と時間変動度に基づいてCSIを要求する端末装置を選択する場合について説明する。
なお、図1に示すシステム構成図において、基地局装置200、端末装置(100〜106)の符号をそれぞれ、200b、100b〜106bに替えて説明する。
図10は、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置200bの構成を示すブロック図である。図11は、本実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置(100b〜106b)の構成を示すブロック図である。
以下、図2、7に示す基地局および図5、8に示す端末装置の構成要素と同一の機能を有する構成要素についての説明は省略し、ここでは、異なる機能を有する構成要素について主として説明する。
基地局装置200bにおいて、上記第1の実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置200と異なる構成要素は、時間変動取得部606、CSI要求選択部609の2つの要素であり、端末装置においては、伝搬路記憶部607と、時間変動度算出部608の2つの要素である。
基地局装置200bの時間変動度取得部606は、受信信号から各端末装置における伝搬路の時間変動度を通知する時間変動度通知信号を抽出し、抽出した時間変動度通知信号から各端末装置における時間変動度を取得する。CSI要求選択部609は、時間変動度と平坦度を入力し、時間変動度が小さく、平坦度の高い順にMU−MIMOで多重する数mまたはそれ以上の端末装置を選択する。CSI要求信号生成部213により、CSI要求選択部609で選択された端末装置に対して、CSIの通知を要求するCSI要求信号が生成され、無線部208のアンテナを介して選択された候補端末装置へ送信される。
一方、端末装置の伝搬路記憶部607は、伝搬路推定部507より出力される伝搬路推定結果を記憶しておくものであり、時間変動度算出部608は、伝搬路記憶部607に記憶された前回の伝搬路推定結果と現時点で算出された伝搬路推定結果との差分を求め、伝搬路の時間変動度を算出し、時間変動度通知信号を生成するものである。
なお、時間変動度は、例えば、伝搬路推定部507の今回の伝搬路推定結果と前回の伝搬路推定結果との間の伝搬路利得の差分値の大きさ、位相回転量の差分量、これらから求められる最大ドップラー周波数などを用いて算出される。しかし、これらに限られるものではない。
次に、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と端末装置の間の通信手順について説明する。
図12は、基地局装置200bと、端末装置のうちの端末装置103bと端末装置106bの2つとの間に注目した場合の通信手順の例を示すフロー図である。
まず、基地局装置200bは、全端末装置(100b〜106b)に向けてパイロット信号を送信する(ステップS50)。各端末装置は、パイロット信号を受信し、受信したパイロット信号に基づいて基地局装置200bの各アンテナと端末装置の各アンテナとの間の伝搬路を推定し記憶しておく(ステップS51)。基地局装置200bは、全端末装置(100b〜106b)に向けて、今回のパイロット信号を送信する(ステップS50b)。各端末装置は、今回受信したパイロット信号に基づいて基地局装置200bの各アンテナと端末装置の各アンテナとの間の伝搬路を推定し記憶し(ステップS52)、今回の伝搬路推定結果と、前回パイロット信号を受信したときの伝搬路推定結果との差分を求め、伝搬路の時間変動度を算出する(ステップS53)。さらに、伝搬路推定結果に基づいて平坦度を算出し(ステップS54)、伝搬路の時間変動度とともに平坦度を基地局装置200bへ通知する(ステップS55)。
基地局装置200bは、各端末装置から通知された時間変動度と平坦度に基づいて、時間変動度が小さく平坦度が高い端末装置の中からMU−MIMOで多重する候補の端末装置を複数選択する(ステップS56)。図12に示す例では端末装置103bを候補の1つとして選択し、端末装置106bは候補として選択しない。
以下、上記図6、9のフロー図に示したシーケンスと同様のシーケンスが進行し(ステップS57〜59)、最後に、基地局装置200bは、MU−MIMO多重の対象とする各端末装置宛の送信データのMU−MIMO信号を送信し(ステップS60)、端末装置103bでは、MU−MIMO信号を受信し、自端末装置宛のデータを検出する(ステップS61)。
以上のように、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と端末装置によれば、伝搬路の時間変動度と平坦度を基にMU−MIMOで多重する端末装置を選択することにより、CSIの通知に必要な上りリンク通信における情報量の削減を図ることができる。さらに、伝搬路の時間変動度が小さい端末装置をMU−MIMOの候補として選択することにより、伝搬路の時間変動による干渉成分抑圧効果の劣化が小さい端末装置を選択できる。
(第4の実施形態)
本実施形態のセルラ通信システムでは、各端末装置により平坦度を算出するとともに、チャネル品質情報(Channel Quality Indicator:CQI)を算出して通知し、基地局装置において、CQIの時間変動度を算出し、平坦度と時間変動度に基づいてCSIを要求する端末装置を選択する場合について説明する。
なお、図1に示すシステム構成図において、基地局装置200、端末装置(100〜106)の符号をそれぞれ、200c、100c〜106cに替えて説明する。
図13は、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置200cの構成を示すブロック図である。図14は、本実施形態のセルラ通信システムにおける端末装置(100c〜106c)の構成を示すブロック図である。
以下、図2、7、10に示す基地局装置および図5、8、11に示す端末装置の構成要素と同一の機能を有する構成要素についての説明は省略し、異なる機能を有する構成要素について主として説明する。
図13に示す基地局装置200cのCQI取得部700は、受信信号から各端末装置におけるチャネル品質を通知するCQI通知信号を抽出し、この信号から各端末装置のCQIを得し、CQI記憶部701は、取得したCQIを記憶しておく。
時間変動度算出部702は、現時点で取得したCQIとCQI記憶部701に記憶された前回取得したCQIとの差分を求め、対象端末装置における伝搬路の時間変動度を算出する。CSI要求選択部609は、時間変動度と平坦度を入力し、時間変動度が小さく、平坦度の高い順にMU−MIMOで多重する数以上の端末装置を選択する。CSI要求信号生成部213により、CSI要求選択部609で選択された端末装置に対して、CSIの通知を要求するCSI要求信号が生成され、無線部208のアンテナを介して選択された候補端末装置へ送信される。
一方、図14に示す端末装置のCQI生成部703は、伝搬路推定部507の伝搬路推定結果からチャネル品質を表すCQIを算出し、CQI通知信号を生成する。なお、CQIは、例えば、信号対雑音電力比(Signal to Noise power Ratio:SNR)、信号対干渉及び雑音電力比(Signal to Interference plus Noise power Ratio:SINR)、搬送波対雑音電力比(Carrier to Noise power Ratio:CNR)、搬送波対干渉及び雑音電力比(Carrier to Interference plus Noise power Ratio:CINR)、または、これらに基づいて選択された変調方式およびチャネル符号化率(Modulation and Coding Scheme:MCS)などを表す値として算出されるが、これらに限られるものではない。
次に、本実施形態のセルラ通信システムにおける基地局装置と端末装置の間の通信手順について説明する。
図15は、基地局装置200cと、端末装置のうちの端末装置103cと端末装置106cの2つとの間に注目した場合の通信手順の例を示すフロー図である。
まず、基地局装置200cは、全端末装置(100c〜106c)に向けてパイロット信号を送信する(ステップS70)。各端末装置は、パイロット信号を受信し、受信したパイロット信号に基づいて基地局装置200cの各アンテナと端末装置の各アンテナとの間の伝搬路を推定し(ステップS71)、伝搬路の推定結果に基づいてCQIおよび伝搬路の平坦度を算出し(ステップS72)、基地局装置200cへ通知する(ステップS73)。
基地局装置200cは、全端末装置(100c〜106c)に向けて、次のパイロット信号を送信し(ステップS74)、各端末装置は、伝搬路を推定し(ステップS75)、CQIと平坦度を算出し(ステップS76)、基地局装置200cへ通知する(ステップS77)。
さらに、基地局装置200cは、今回通知されたCQIと前回通知されたCQIとの差分から、各端末装置における伝搬路の時間変動度を算出し(ステップS78)、各端末装置における伝搬路の時間変動度と伝搬路の平坦度に基づいて、時間変動度が小さく平坦度の高い(平坦な)端末装置からMU−MIMOで多重する候補の端末装置を複数選択する(ステップS79)。図15に示す例では、端末装置103cを候補の1つとして選択し、端末装置106cは候補として選択しない。
以下、上記図6、9、12に示したフロー図と同様のシーケンスが進行し(ステップS80〜82)、最後に、基地局装置200cは、MU−MIMO多重の対象とする各端末装置宛の送信データのMU−MIMO信号を送信し(ステップS83)、端末装置103cでは、MU−MIMO信号を受信し、自端末装置宛のデータを検出する(ステップS84)。
以上のように本実施形態のセルラ通信システムの基地局装置と端末装置によれば、各端末装置における伝搬路の時間変動度を基地局装置側でCQIの差分から算出することによって、端末装置による演算量の負担を軽減することができる。
なお、一般的にCQIは、基地局装置が各端末装置宛の送信信号の適応変調を行うため、あるいはスケジューリングのために通知されている情報であり、CQI通知による新たな通知情報の増加はない。
本発明の基地局装置、端末装置、無線通信システムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
100、101、102、103、104、105、106 端末装置
100a〜106a 端末装置
100b〜106b 端末装置
100c〜106c 端末装置
200、200a、200b、200c 基地局装置
201 送信データ選択部
202 符号化部
203 変調部
204、204a、204b マルチユーザMIMO信号生成部
205 IFFT部
206 GI挿入部
207 パイロット多重部
208、501 無線部
209 CSI取得部
210 端末選択部
211 平坦度取得部
212、609 CSI要求選択部
213 CSI要求信号生成部
300 アンテナマッピング部
301 プリコーディング部
302 プリコーディング行列算出部
401 QR分解部
402 干渉成分算出部
403 干渉成分減算部
404 剰余演算部
405 フィルタ部
502 パイロット分離部
503 GI除去部
504 FFT部
505 復調部
506 復号化部
507 伝搬路推定部
508 平坦度算出部
509 CSI要求信号取得部
510 CSI生成部
600 平坦度閾値生成部
601 平坦度比較結果取得部
602 平坦度閾値取得部
603 平坦度比較部
606 時間変動度取得部
607 伝搬路記憶部
608、702 時間変動度算出部
700 CQI取得部
701 CQI記憶部
703 CQI生成部

Claims (9)

  1. 独立な信号系列を空間多重し、複数の送信アンテナより同時に複数の端末装置に送信する基地局装置であって、
    前記端末装置から送られる伝搬路状態の推定結果に基づいて算出される伝搬路状態の周波数方向の変動の平坦さを表す平坦度を取得する平坦度取得部と、該平坦度取得部により取得した前記平坦度の値が高い順に所定数分の端末装置を選択するCSI要求選択部と、選択した端末装置に対してCSIの通知を要求するためのCSI要求信号を生成するCSI要求信号生成部と、を備え、
    前記CSI要求信号を受信した前記端末装置から送信されたCSIに基づいて各端末装置宛の送信データを空間多重して送信することを特徴とする基地局装置。
  2. 前記基地局装置は、さらに、前記平坦度が所定のレベル以上か否かを前記端末装置に判断させるための平坦度閾値を生成する平坦度閾値生成部と、前記平坦度取得部の代わりに前記平坦度が所定のレベル以上か否かを表す2値情報を取得する平坦度比較結果取得部と、を備え、
    前記2値情報に基づいて、前記CSI要求信号生成部により生成するCSI要求信号を送出することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  3. 前記基地局装置は、さらに、前記端末装置から送出される伝搬路状態の時間変動度を取得する時間変動度取得部と、前記時間変動度および前記平坦度の情報を入力し、前記CSI要求選択部に替えて前記時間変動度が小さく、前記平坦度の高い順に所定数分の端末装置を選択するCSI要求選択部と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基地局装置。
  4. 前記基地局装置は、前記時間変動度取得部に替えて前記端末装置から送出されるチャネル品質を表すCQIを記憶するCQI記憶部と、該CQI記憶部に記憶された前回取得したCQIと今回取得したCQIとの差分演算により時間変動度を算出する時間変動度算出部と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載の基地局装置。
  5. 基地局装置の複数の送信アンテナから送信される空間多重された独立な信号系列を受信する端末装置であって、
    前記基地局装置との間の伝搬路状態の推定結果に基づいて算出される伝搬路状態の周波数方向の変動の平坦さを表す平坦度を算出する平坦度算出部と、前記基地局装置から送られるCSI要求信号を識別し、自端末向けのCSI要求信号を検出するCSI要求信号取得部と、を備え、
    算出した前記平坦度を前記基地局装置に送信した後、前記自端末向けのCSI要求信号を検出した場合、自端末の前記伝搬路状態推定結果に基づいて算出されるチャネル状態情報CSIを前記基地局装置に送信することを特徴とする端末装置。
  6. 前記端末装置は、さらに、前記基地局装置から送出される平坦度閾値を取得する平坦度閾値取得部と、前記平坦度と前記平坦度閾値とを比較する平坦度比較部と、を備え、
    算出した前記平坦度の情報自体を前記基地局装置に送出する代わりに、前記平坦度比較部により生成される前記平坦度が所定のレベル以上か否かを表す2値情報を前記基地局装置に送出することを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
  7. 前記端末装置は、さらに、前記基地局装置との間の伝搬路状態の推定結果を記憶する伝搬路記憶部と、該伝搬路記憶部に記憶した前回得られた伝搬路状態の推定結果と今回得られた伝搬路状態の推定結果の差分演算により時間変動度を算出する時間変動度算出部と、を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の端末装置。
  8. 前記端末装置は、さらに、伝搬路状態の推定結果からチャネル品質を表すCQIを算出し、CQI通知信号を生成するCQI生成部を備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の端末装置。
  9. 基地局装置の複数のアンテナより独立な信号系列を空間多重し、同時に複数の端末装置に送信する無線通信システムであって、請求項1と請求項5、請求項2と請求項6、請求項3と請求項7、請求項4と請求項8のいずれかに記載の基地局装置と端末装置と、を備えたことを特徴とする無線通信システム。
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