JP5721012B2 - 乗下船用タラップ装置 - Google Patents
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Description
また、潮の満ち引きにより昇降変位する船舶の乗降甲板に対応した昇降ケージの高さ調整機構としては、昇降ケージに設けられた位置センサにより船舶の乗降位置を検出し、その検出信号に基づき、昇降装置により昇降ケージを昇降制御するという方式のものを採用していた。その結果、位置センサにより船舶の乗降位置を常時検出しておかなければならず、例えば停電時には、この高さ調整機構が作動しなかった。
このように構成すれば、タラップ使用時、スライド手段によってスロープを突出方向へスライドさせることで、スロープの先端部を船舶の乗降甲板に掛止するとともに、一対の第2のガイドローラを両スライドガイドレールによる移動規制状態から開放し、この状態で、俯仰手段により一対のスライドガイドレールを俯かせ、スロープの両スライドガイドレールに対する支持を、傾倒した両スライドガイドレールに沿って斜めに転動可能な一対の第1のガイドローラのみによる支持状態とすれば、上述した問題はすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
これにより、例えば潮の満ち引きで船舶の乗降甲板が昇降しても、それに伴って一対の第1のガイドローラを中心にしてスロープが俯仰(回動)し、その乗降甲板の昇降変位に対応することができる。また、波の影響などにより、船舶がその停泊位置から岸壁に対して近接または離反しても、スライド手段から切り離されているため、一対の第1のガイドローラが、対応するスライドガイドレールのレール本体に沿って近接方向または離反方向にスライドすることにより、そのような状況でも、スロープを船舶の乗降甲板に常時掛止しておくことができる。
その結果、特許文献1の従来装置に比べて、装置がコンパクトで、設備コストおよびメンテナンスコストを低下することができ、しかも簡単かつメカニカルな構成により、スロープ架け渡し後は無動力で、昇降変位する船舶の乗降甲板に対応してスロープを昇降させることができる。
タラップ設置台は、スロープが設置される台としての機能だけでなく、スロープが設置された上階まで登り降りする階段が付設されたもの、車椅子用のエレベータが付設されたものなどでもよい。また、タラップ設置台は、岸壁に移動不能に固定されるものでも、台車に搭載されて移動可能となったものでもよい。
「スロープの幅方向の両側面」とは、スロープの長さ方向の一端面を前面、その他端面を後面とした場合、スロープの左側面および右側面をいう。
スロープの長さ方向における第1のガイドローラと第2のガイドローラとの離間距離は、タラップ不使用時において、第1および第2のガイドローラがともにレール本体に配置され、タラップ使用時において、第1のガイドローラがレール本体に配置され、かつ第2のガイドローラがレール先部に配置される距離である。
連結部材は、一対のスライドガイドレールを平行な離間状態で堅固に連結可能であれば、その素材、形状、大きさなどは任意である。例えば、平鋼、溝形鋼、山形鋼などを採用することができる。
俯仰手段としては、例えば、俯仰軸を中心にして、油圧シリンダ、電動シリンダ、電動モータなどの俯仰駆動源(俯仰駆動部)によりスライドガイドレールを俯仰(水平軸を中心とした垂直面内での回動)可能なものであれば、どのような構造のものでもよい。ただし、例えば作動油がリークして油圧フリー(油圧がゼロ)状態となった場合、ロッドが長さ方向に向かって自在に移動する油圧シリンダに比べて、停電時でもロッドの移動が生じない電動シリンダを採用した方が、乗下船用タラップ装置の安全性の観点からは好ましい。また、俯仰駆動源は1つでも複数でもよい。
したがって、例えば潮の満ち引きで船舶の乗降甲板が昇降しても、それに伴って一対の第1のガイドローラを中心にしてスロープが俯仰し、その乗降甲板の昇降変位に対応することができる。また、波の影響などにより、船舶がその停泊位置から岸壁に対して近接または離反しても、一対の第1のガイドローラが、対応するスライドガイドレールのレール本体に沿って近接方向または離反方向に転動することで、そのような状況下でも、スロープを船舶の乗降甲板に常に掛止しておくことができる。
その結果、特許文献1の従来装置と比較して、装置がコンパクト化し、設備コストおよびメンテナンスコストを低下でき、さらにはこのような簡単かつメカニカルな構成を採用したことで、スロープ架け渡し後は無動力で、昇降変位する船舶の乗降甲板に対応してスロープを昇降させることができる。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図2に示すように、タラップ設置台12は、X1−X2方向に長い平面視して矩形状の台車15を有し、台車15のX1側の端部にY1−Y2方向に長い矩形枠状の架台16が立設されている。図2〜図4に示すように、架台16のY1側の部分には、手摺17が付いたX1−X2方向に長い階段18が設けられている。また、台車15のX1−Y2側の端部には、車椅子用のエレベータ19が設置されている。
一対のスライドガイドレール20は、X1−X2方向に長い形鋼製のレールで、スロープ13がその長さ方向に向かって突出(X1方向)および引き戻し(X2方向)自在に装着される。これらのスライドガイドレール20は、開口面を対向して配置された断面コの字形の溝形鋼からなる一対のレール本体28と、レール本体28の先端に一体的に連結され、かつ上面および対向面が開口した断面L字形状の山形鋼からなる一対のレール先部29とからそれぞれ構成される(図6)。
第2の連結部材31の長さ方向の中間部には、スロープ13の下面のラック22の歯に噛合するピニオン33を収納する、平面視して矩形状の切欠部31aが形成されている。ピニオン33は、第2の連結部材31の裏面に固定された電動モータ(スライド駆動源)34の出力シャフトに連結されている。ラック22とピニオン33との噛合は、タラップ不使用時、両スライドガイドレール20にスロープ13を引き込めることでなされる。一方、ラック22とピニオン33との噛合解除は、タラップ使用時、両スライドガイドレール20からスロープ13を突出させ、かつ俯仰手段14により両スライドガイドレール20を俯かせることでなされる。これらのラック22、ピニオン33および電動モータ34によって、一対の第1のガイドローラ23および一対の第2のガイドローラ24を、対応するスライドガイドレール20に沿って転動させることで、スロープ13をX1−X2方向にスライドさせるスライド手段35が構成される。
タラップ10の不使用時には、タラップ保管場において、電動モータ34によりピニオン33をスロープ戻し方向に回転させ、ラック、ピニオン動力伝達構造を介して、スロープ13の元側部を一対のスライドガイドレール20に引き戻しておく(図7)。このとき、油圧シリンダ37のロッド37aは突出し、俯仰軸27を中心にして一対のスライドガイドレール20を仰向かせ(上方回動させ)、スロープ13は水平配置されている。しかも、一対の第1のガイドローラ23および一対の第2のガイドローラ24は、上面が上側フランジにより塞がれた一対のレール本体28の内側空間(第1および第2のガイドローラ23,24の走行路)にそれぞれ配置されている。これにより、スロープ13がタラップ設置台12に水平な片持ち状態で支持される。
その後、フェリー11に乗船する者は、タラップ設置台12の階段18を上って架台16に登り、フラップ41およびスロープ13を通ってフェリー11の乗降甲板に乗り込む(図2〜図4)。一方、車椅子に乗った身体障害者は、介助人の介助を受けてまたは自走にて、タラップ設置台12に付設された小型のエレベータ19に搭乗して架台16の上に登り、同様にスロープ13などを渡ってフェリー11に乗り込む(図3)。これらの乗船手順は、フェリー11から岸壁に降りようとする乗船者に対しては逆になる。
また、例えば岸壁に打ち寄せる波などの影響により、フェリー11がその停泊位置から岸壁の方に近づいた場合には、一対の第1のガイドローラ23が、先方に向かって徐々に下方傾斜した一対のレール本体28を登るように転動する(図11)。その際、スロープ13は、その転動に伴い、転動前の姿勢を略維持しながら徐々に上昇する。
これとは反対に、波などの影響で、フェリー11がその停泊位置から沖の方へ離された場合には、一対の第1のガイドローラ23が、前記一対のレール本体28を降るように転動する(図12)。その際、スロープ13は、その転動に伴い、転動前の姿勢を略維持しながら徐々に下降する。これにより、仮に、波の影響などでフェリー11が岸壁に近接または離反しても、スロープ13をフェリー11の乗降甲板に常に掛止しておくことができる。
11 フェリー(船舶)、
12 タラップ設置台、
13 スロープ、
14 俯仰手段、
20 スライドガイドレール、
23 第1のガイドローラ、
24 第2のガイドローラ、
27 俯仰軸、
28 レール本体、
29 レール先部、
30 第1の連結部材(連結部材)、
31 第2の連結部材(連結部材)、
32 第3の連結部材(連結部材)、
34 電動モータ(スライド駆動源)、
35 スライド手段、
37 油圧シリンダ(俯仰駆動源)。
Claims (2)
- 岸壁に配置され、一時的に該岸壁と船舶との間に架設される乗下船用タラップ装置において、
前記岸壁に配置されるタラップ設置台と、
該タラップ設置台に片持ち状態で元部が支持されるスロープと、
前記タラップ設置台に設けられ、前記スロープを俯仰させる俯仰手段とを備え、
前記スロープの元部の幅方向の両側面には、ローラ軸が前記スロープの幅方向に延びた一対の第1のガイドローラと、該一対の第1のガイドローラより前記スロープの先方に配置されるとともに、ローラ軸が前記スロープの幅方向に延びた一対の第2のガイドローラとが、前記スロープの長さ方向にそれぞれ離間して配設され、
前記俯仰手段は、
前記タラップ設置台に、前記スロープの幅方向に延びる俯仰軸を介して元部がそれぞれ軸支され、かつ前記スロープが、該スロープの長さ方向に向かって突出および引き戻し自在に装着されるとともに、連結部材により平行状態を保持するように連結された一対のスライドガイドレールと、
前記連結部材に設けられ、前記一対の第1のガイドローラおよび前記一対の第2のガイドローラを、前記一対のスライドガイドレールに沿って転動させることで、前記スロープを該スロープの突出方向および引き戻し方向にスライドさせるスライド手段と、
前記タラップ設置台に設けられ、前記俯仰軸を中心にして、前記一対のスライドガイドレールを俯仰させる俯仰駆動源とを有し、
前記一対のスライドガイドレールは、開口面を対向してスロープ幅方向に平行に離間した断面コの字形の一対のレール本体と、該レール本体の先端に一体的に連結され、かつ上面および対向面が開口した断面L字形状の一対のレール先部とから構成され、
タラップ使用時に、前記第2のガイドローラが前記レール本体から前記レール先部に達するまで、前記スロープを前記一対のスライドガイドレールに沿って突出させ、この状態で、前記俯仰手段により前記一対のガイドローラを中心にして前記スロープを俯かせることで、前記スロープが前記一対の第1のガイドローラのみによる支持状態となって、前記スライド手段から切り離されて傾倒する前記一対のレール本体に掛止した乗下船用タラップ装置。 - 前記スライド手段は、前記第2のガイドローラの移動範囲が、前記レール本体と前記レール先部との間となるように前記スロープをスライドさせるスライド駆動源を有した請求項1に記載の乗下船用タラップ装置。
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