JP5721012B2 - 乗下船用タラップ装置 - Google Patents

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Description

この発明は乗下船用タラップ装置、詳しくはフェリーなどの船舶が停泊する岸壁に設置される乗下船用タラップ装置に関する。
潮の満ち引きにより昇降変位する船舶の乗降甲板に対応して、昇降可能に設けられた乗下船用タラップ装置として、例えば特許文献1の「車椅子用乗船装置」に開示されたものが知られている。特許文献1のタラップ装置は、昇降装置により昇降されて昇降ケージを設け、この昇降ケージに昇降ケージから停泊中の船舶甲板に掛け渡すスライド床(スロープ)を突没自在に設け、昇降ケージに設けられた位置センサにより船舶の乗降位置を検出した検出信号に基づいて昇降装置を制御し、昇降ケージを停止する自動停止装置を設けたものである。
特許第2723444号公報
しかしながら、特許文献1のタラップ装置にあっては、その実施例の記載および添付の図面から明らかなように、昇降ケージを昇降させるため、建屋を有するエレベータ方式の昇降装置が必要であった。その結果、タラップ装置が大型化して設備コストが嵩むとともに、メンテナンスコストも高くなっていた。
また、潮の満ち引きにより昇降変位する船舶の乗降甲板に対応した昇降ケージの高さ調整機構としては、昇降ケージに設けられた位置センサにより船舶の乗降位置を検出し、その検出信号に基づき、昇降装置により昇降ケージを昇降制御するという方式のものを採用していた。その結果、位置センサにより船舶の乗降位置を常時検出しておかなければならず、例えば停電時には、この高さ調整機構が作動しなかった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、岸壁に設置されるタラップ設置台に、スロープの幅方向に平行に離間した一対のスライドガイドレールの元部を、スロープの幅方向に延びる俯仰軸を介して軸支(回動(回転)自在に支持)し、両スライドガイドレールに、スロープの元部の両側面に軸支された左右一対の第1のガイドローラと左右一対の第2のガイドローラとを介して片持ち状態でスロープを取り付け、両スライドガイドレール間に設けられた連結部材に、スライドガイドレールのスライド手段を設けるとともに、タラップ設置台に両スライドガイドレールの俯仰手段を設ければよいことに想到した。
このように構成すれば、タラップ使用時、スライド手段によってスロープを突出方向へスライドさせることで、スロープの先端部を船舶の乗降甲板に掛止するとともに、一対の第2のガイドローラを両スライドガイドレールによる移動規制状態から開放し、この状態で、俯仰手段により一対のスライドガイドレールを俯かせ、スロープの両スライドガイドレールに対する支持を、傾倒した両スライドガイドレールに沿って斜めに転動可能な一対の第1のガイドローラのみによる支持状態とすれば、上述した問題はすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、装置がコンパクトで、設備コストおよびメンテナンスコストを低下することができ、しかも簡単なメカニカル構造によって、スロープ架け渡し後は無動力で、昇降変位する船舶の乗降甲板に対応してスロープを昇降させることができる乗下船用タラップ装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、岸壁に配置され、一時的に該岸壁と船舶との間に架設される乗下船用タラップ装置において、前記岸壁に配置されるタラップ設置台と、該タラップ設置台に片持ち状態で元部が支持されるスロープと、前記タラップ設置台に設けられ、前記スロープを俯仰させる俯仰手段とを備え、前記スロープの元部の幅方向の両側面には、ローラ軸が前記スロープの幅方向に延びた一対の第1のガイドローラと、該一対の第1のガイドローラより前記スロープの先方に配置されるとともに、ローラ軸が前記スロープの幅方向に延びた一対の第2のガイドローラとが、前記スロープの長さ方向にそれぞれ離間して配設され、前記俯仰手段は、前記タラップ設置台に、前記スロープの幅方向に延びる俯仰軸を介して元部がそれぞれ軸支され、かつ前記スロープが、該スロープの長さ方向に向かって突出および引き戻し自在に装着されるとともに、連結部材により平行状態を保持するように連結された一対のスライドガイドレールと、前記連結部材に設けられ、前記一対の第1のガイドローラおよび前記一対の第2のガイドローラを、前記一対のスライドガイドレールに沿って転動させることで、前記スロープを該スロープの突出方向および引き戻し方向にスライドさせるスライド手段と、前記タラップ設置台に設けられ、前記俯仰軸を中心にして、前記一対のスライドガイドレールを俯仰させる俯仰駆動源とを有し、前記一対のスライドガイドレールは、開口面を対向してスロープ幅方向に平行に離間した断面コの字形の一対のレール本体と、該レール本体の先端に一体的に連結され、かつ上面および対向面が開口した断面L字形状の一対のレール先部とから構成され、タラップ使用時に、前記第2のガイドローラが前記レール本体から前記レール先部に達するまで、前記スロープを前記一対のスライドガイドレールに沿って突出させ、この状態で、前記俯仰手段により前記一対のガイドローラを中心にして前記スロープを俯かせることで、前記スロープが前記一対の第1のガイドローラのみによる支持状態となって、前記スライド手段から切り離されて傾倒する前記一対のレール本体に掛止した乗下船用タラップ装置である。
請求項1に記載の発明によれば、タラップ使用時、第2のガイドローラがレール本体からレール先部に達するまで、スロープを一対のスライドガイドレールに沿って突出させ、スロープの先端部を船舶の乗降甲板に掛止する。この状態で、俯仰手段により、俯仰軸を中心にしてスライドガイドレールを俯かせることで、スロープの元部が、一対の第1のガイドローラのみによる支持状態で、先端に向かうほど徐々に下方傾斜した一対のレール本体に掛止される。
これにより、例えば潮の満ち引きで船舶の乗降甲板が昇降しても、それに伴って一対の第1のガイドローラを中心にしてスロープが俯仰(回動)し、その乗降甲板の昇降変位に対応することができる。また、波の影響などにより、船舶がその停泊位置から岸壁に対して近接または離反しても、スライド手段から切り離されているため、一対の第1のガイドローラが、対応するスライドガイドレールのレール本体に沿って近接方向または離反方向にスライドすることにより、そのような状況でも、スロープを船舶の乗降甲板に常時掛止しておくことができる。
その結果、特許文献1の従来装置に比べて、装置がコンパクトで、設備コストおよびメンテナンスコストを低下することができ、しかも簡単かつメカニカルな構成により、スロープ架け渡し後は無動力で、昇降変位する船舶の乗降甲板に対応してスロープを昇降させることができる。
乗下船用タラップ装置が利用される船舶としては、例えばフェリーの他、各種の客船、各種の貨物船などを採用することができる。
タラップ設置台は、スロープが設置される台としての機能だけでなく、スロープが設置された上階まで登り降りする階段が付設されたもの、車椅子用のエレベータが付設されたものなどでもよい。また、タラップ設置台は、岸壁に移動不能に固定されるものでも、台車に搭載されて移動可能となったものでもよい。
「スロープの幅方向の両側面」とは、スロープの長さ方向の一端面を前面、その他端面を後面とした場合、スロープの左側面および右側面をいう。
スロープの長さ方向における第1のガイドローラと第2のガイドローラとの離間距離は、タラップ不使用時において、第1および第2のガイドローラがともにレール本体に配置され、タラップ使用時において、第1のガイドローラがレール本体に配置され、かつ第2のガイドローラがレール先部に配置される距離である。
一対のスライドガイドレールは、開口面を対向してスロープ幅方向に平行に離間した断面コの字形の一対のレール本体の先端に、上面および対向面が開口した断面L字形状のレール先部を一体的に連結したものである。レール本体としては例えば溝形鋼を採用することができ、またレール先部としては例えば山形鋼を採用することができる。
連結部材は、一対のスライドガイドレールを平行な離間状態で堅固に連結可能であれば、その素材、形状、大きさなどは任意である。例えば、平鋼、溝形鋼、山形鋼などを採用することができる。
俯仰手段としては、例えば、俯仰軸を中心にして、油圧シリンダ、電動シリンダ、電動モータなどの俯仰駆動源(俯仰駆動部)によりスライドガイドレールを俯仰(水平軸を中心とした垂直面内での回動)可能なものであれば、どのような構造のものでもよい。ただし、例えば作動油がリークして油圧フリー(油圧がゼロ)状態となった場合、ロッドが長さ方向に向かって自在に移動する油圧シリンダに比べて、停電時でもロッドの移動が生じない電動シリンダを採用した方が、乗下船用タラップ装置の安全性の観点からは好ましい。また、俯仰駆動源は1つでも複数でもよい。
請求項2に記載の発明は、前記スライド手段は、前記第2のガイドローラの移動範囲が、前記レール本体と前記レール先部との間となるように前記スロープをスライドさせるスライド駆動源を有した請求項1に記載の乗下船用タラップ装置である。
請求項2に記載の発明によれば、スロープは、スライド駆動源によってその長さ方向に向かって突出または引き戻される。このときのスロープの移動距離は、あらかじめ規定された第2のガイドローラのレール本体とレール先部との間での移動範囲と同一の距離である。その結果、タラップ不使用時には、一対の第1のガイドローラおよび一対の第2のガイドローラを一対のレール本体に配置して、タラップ設置台にスロープを水平な片持ち(固定)状態で支持できるとともに、タラップ使用時には、一対の第2のガイドローラが一対のレール先部に配置され、一対のスライドガイドレールを俯仰手段による俯仰可能な状態とすることができる。
スライド手段の構造は、スロープをその長さ方向にスライド可能で、かつスライドガイドレールが俯の状態でスライド機能が切り離される構造であれば任意である。例えば、ラックピニオン動力伝達機構などを採用することができる。その際、スライド駆動源としては、ピニオンを回転させる電動モータなどを採用することができる。ラックをスロープに、ピニオンをスライドガイドレールに取り付けておけば、スロープとスライドガイドを一体で俯仰できる状態のときは、ラックとピニオンとが噛み合ってスライドすることができる。また、スライドガイドレールが俯の状態のときは、ラックとピニオンとが切り離れているため、スロープは自由にスライドすることができる。
請求項1に記載の発明によれば、タラップ使用時において、レール本体に配置された第2のガイドローラがレール先部に到達するまで、スロープを一対のスライドガイドレールに沿って突出させる。この状態で、スロープの先端部を船舶の乗降甲板に掛止するとともに、俯仰軸を中心にしてスライドガイドレールを俯かせる。これにより、スロープの元部が、一対の第1のガイドローラのみによる支持状態で、先端に向かうほど徐々に下方傾斜した一対のレール本体に掛止される。
したがって、例えば潮の満ち引きで船舶の乗降甲板が昇降しても、それに伴って一対の第1のガイドローラを中心にしてスロープが俯仰し、その乗降甲板の昇降変位に対応することができる。また、波の影響などにより、船舶がその停泊位置から岸壁に対して近接または離反しても、一対の第1のガイドローラが、対応するスライドガイドレールのレール本体に沿って近接方向または離反方向に転動することで、そのような状況下でも、スロープを船舶の乗降甲板に常に掛止しておくことができる。
その結果、特許文献1の従来装置と比較して、装置がコンパクト化し、設備コストおよびメンテナンスコストを低下でき、さらにはこのような簡単かつメカニカルな構成を採用したことで、スロープ架け渡し後は無動力で、昇降変位する船舶の乗降甲板に対応してスロープを昇降させることができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、スロープは、スライド駆動源によってその長さ方向に向かって突出または引き戻される。このとき、スロープの移動距離は、あらかじめ規定された第2のガイドローラのレール本体とレール先部との間での移動範囲と同一の距離である。その結果、タラップ不使用時には、一対の第1のガイドローラおよび一対の第2のガイドローラを一対のレール本体に配置して、タラップ設置台にスロープを水平な片持ち状態で支持できるとともに、タラップ使用時には、一対の第2のガイドローラが一対のレール先部に配置され、一対のスライドガイドレールを俯仰手段による俯仰可能な状態とすることができる。
この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の使用時において、スライドガイドレールを俯かせたときのスロープのタラップ設置台への取り付け状態を示す要部拡大側面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の昇降階段を含めた側面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の平面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の昇降階段の側面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置のスロープの拡大正面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置のスライドガイドレールの拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の不使用時において、スロープのタラップ設置台への取り付け状態を示す要部拡大側面図である。 図7のS9−S9拡大断面図である。 図7のS8−S8拡大断面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の使用時において、スライドガイドレールを俯かせる前のスロープのタラップ設置台への取り付け状態を示す要部拡大側面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の使用中に潮位が高まってステップが上昇または船が近接したときのスロープのタラップ設置台への取り付け状態を示す要部拡大側面図である。 この発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置の使用中に潮位が低下してステップが下降または船が離反したときのスロープのタラップ設置台への取り付け状態を示す要部拡大側面図である。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、フェリーに配備された乗下船用タラップ装置を例にとる。ただし、これに限定されない。また、ここでは、説明の都合上、X1方向をタラップの前方向、X2方向をタラップの後方向、Y1方向をタラップの左方向、Y2方向をタラップの右方向、Z1方向をタラップの下方向、Z2方向をタラップの上方向とする。
図1〜図5において、10はこの発明の実施例1に係る乗下船用タラップ装置(以下、タラップ)で、このタラップ10は、岸壁に配置され、一時的に岸壁とフェリー(船舶)11との間に架設されるもので、主に、岸壁に配置されるタラップ設置台12と、タラップ設置台12に片持ち状態で元部が支持されるスロープ13と、タラップ設置台12に設けられ、スロープ13を俯仰させる俯仰手段14とを備えている。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図2に示すように、タラップ設置台12は、X1−X2方向に長い平面視して矩形状の台車15を有し、台車15のX1側の端部にY1−Y2方向に長い矩形枠状の架台16が立設されている。図2〜図4に示すように、架台16のY1側の部分には、手摺17が付いたX1−X2方向に長い階段18が設けられている。また、台車15のX1−Y2側の端部には、車椅子用のエレベータ19が設置されている。
架台16のY2側の部分のうち、X2側の上縁部には、X1−X2方向に長いスロープ13が、タラップ設置台12とスロープ13とを連結する一対のスライドガイドレール20を有した俯仰手段14を介して、片持ち状態で水平に支持されている。スロープ13のY1−Y2側の端部には、手摺17付きのアーケード21が立設され、スロープ13の下面のY1−Y2方向の中間部には、X1−X2方向に長いラック22が固定されている。また、スロープ13の元部のY1−Y2側の両側面には、ローラ軸23aがY1−Y2方向に延びた一対の第1のガイドローラ23と、一対の第1のガイドローラ23よりスロープ13のX2方向に配置されるとともに、ローラ軸24aがY1−Y2方向に延びた一対の第2のガイドローラ24とが、X1−X2方向にそれぞれ離間して配設されている。両第1のガイドローラ23および両第2のガイドローラ24は、対応するスライドガイドレール20の内部空間に収納されることで、スロープ13が一対のスライドガイドレール20に突出または引き戻し可能に装着される。
架台16のY2側の部分のうち、X2側の上縁部には、一対の架台側連結ブラケット25が、Y1−Y2方向に離間して固定され、これに対応する一対のレール側連結ブラケット26が、一対のスライドガイドレール20のX1側の端面にそれぞれ固定されている。対応する架台側連結ブラケット25とレール側連結ブラケット26とを、Y1−Y2方向に延びた1本の長尺な俯仰軸27に、またはY1側の架台側連結ブラケット25,Y1側のレール側連結ブラケット26と、Y2側の架台側連結ブラケット25,Y2側のレール側連結ブラケット26とをそれぞれ連結することで、両スライドガイドレール20を介して、スロープ13がタラップ設置台12に軸支される。
一対のスライドガイドレール20は、X1−X2方向に長い形鋼製のレールで、スロープ13がその長さ方向に向かって突出(X1方向)および引き戻し(X2方向)自在に装着される。これらのスライドガイドレール20は、開口面を対向して配置された断面コの字形の溝形鋼からなる一対のレール本体28と、レール本体28の先端に一体的に連結され、かつ上面および対向面が開口した断面L字形状の山形鋼からなる一対のレール先部29とからそれぞれ構成される(図6)。
一対のスライドガイドレール20は、その元部間が第1の連結部材30により、またその先端部間が第2の連結部材31により、さらにその長さ方向の中間部間が第3の連結部材32により、それぞれ一対のスライドガイドレール20が平行状態を保持するように連結されている。このうち、第1の連結部材30および第3の連結部材32は溝形鋼で、第2の連結部材31は平形鋼である。
第2の連結部材31の長さ方向の中間部には、スロープ13の下面のラック22の歯に噛合するピニオン33を収納する、平面視して矩形状の切欠部31aが形成されている。ピニオン33は、第2の連結部材31の裏面に固定された電動モータ(スライド駆動源)34の出力シャフトに連結されている。ラック22とピニオン33との噛合は、タラップ不使用時、両スライドガイドレール20にスロープ13を引き込めることでなされる。一方、ラック22とピニオン33との噛合解除は、タラップ使用時、両スライドガイドレール20からスロープ13を突出させ、かつ俯仰手段14により両スライドガイドレール20を俯かせることでなされる。これらのラック22、ピニオン33および電動モータ34によって、一対の第1のガイドローラ23および一対の第2のガイドローラ24を、対応するスライドガイドレール20に沿って転動させることで、スロープ13をX1−X2方向にスライドさせるスライド手段35が構成される。
第3の連結部材32のX1側の面には、中間連結ブラケット36を介して、油圧シリンダ(俯仰駆動源、油圧シリンダに代えて電動シリンダも可能)37のロッド37aの先端部が、Y1−Y2方向に延びた回動ピン38により軸支されている。油圧シリンダ37の元部も、別の連結ブラケット39を介して、架台16のX2側の面にY1−Y2方向に延びた別の回動ピン40を介して軸支されている。俯仰手段14は、主に、一対のスライドガイドレール20と、スライド手段35と、油圧シリンダ37とにより構成される。なお、架台16の上面とスロープ13の元部との間には、一対のスライドガイドレール20の連結部分が雨水に晒されず、かつ乗船者が歩き易いように、フラップ41が被せられている。
次に、実施例1に係るタラップ10の使用方法を説明する。
タラップ10の不使用時には、タラップ保管場において、電動モータ34によりピニオン33をスロープ戻し方向に回転させ、ラック、ピニオン動力伝達構造を介して、スロープ13の元側部を一対のスライドガイドレール20に引き戻しておく(図7)。このとき、油圧シリンダ37のロッド37aは突出し、俯仰軸27を中心にして一対のスライドガイドレール20を仰向かせ(上方回動させ)、スロープ13は水平配置されている。しかも、一対の第1のガイドローラ23および一対の第2のガイドローラ24は、上面が上側フランジにより塞がれた一対のレール本体28の内側空間(第1および第2のガイドローラ23,24の走行路)にそれぞれ配置されている。これにより、スロープ13がタラップ設置台12に水平な片持ち状態で支持される。
タラップ使用時には、フェリー11が岸壁に停泊後、台車15を利用してタラップ10をタラップ保管場からフェリー11の近くまで移動させ、スロープ13の先端をフェリー11の乗降口と正対させる。この状態で、電動モータ34によりピニオン33をスロープ突出方向に回転させ、ラック、ピニオン動力伝達構造を介して、スロープ13を一対のスライドガイドレール20から所定長さだけX1方向に突出させる(図10)。ここでの所定長さとは、あらかじめ規定された第2のガイドローラ24のレール本体28とレール先部29との間での移動範囲と同一の距離Lである(図2)。これにより、一対の第2のガイドローラ24は上面が開放された一対のレール先部29に配置され、一対のスライドガイドレール20は油圧シリンダ37による俯かせ可能な状態となる。
この状態で、油圧シリンダ37のロッド37aを引き込ませ、俯仰軸27を中心にして一対のスライドガイドレール20を俯かせることで、スロープ13の先端部をフェリー11の乗降甲板に掛止する。このとき、スロープ13の元部は、一対の第1のガイドローラ23のみにより、下方傾斜した一対のレール本体28に2点支持状態で掛止される。
その後、フェリー11に乗船する者は、タラップ設置台12の階段18を上って架台16に登り、フラップ41およびスロープ13を通ってフェリー11の乗降甲板に乗り込む(図2〜図4)。一方、車椅子に乗った身体障害者は、介助人の介助を受けてまたは自走にて、タラップ設置台12に付設された小型のエレベータ19に搭乗して架台16の上に登り、同様にスロープ13などを渡ってフェリー11に乗り込む(図3)。これらの乗船手順は、フェリー11から岸壁に降りようとする乗船者に対しては逆になる。
このようなタラップ使用中、例えば潮の満ち引きなどでフェリー11の乗降甲板が昇降した場合には、一対の第1のガイドローラ23を中心して、スロープ13が上方回動または下方回動する(図1)。これにより、タラップ10はフェリー11の乗降甲板の昇降変位に対応することができる。
また、例えば岸壁に打ち寄せる波などの影響により、フェリー11がその停泊位置から岸壁の方に近づいた場合には、一対の第1のガイドローラ23が、先方に向かって徐々に下方傾斜した一対のレール本体28を登るように転動する(図11)。その際、スロープ13は、その転動に伴い、転動前の姿勢を略維持しながら徐々に上昇する。
これとは反対に、波などの影響で、フェリー11がその停泊位置から沖の方へ離された場合には、一対の第1のガイドローラ23が、前記一対のレール本体28を降るように転動する(図12)。その際、スロープ13は、その転動に伴い、転動前の姿勢を略維持しながら徐々に下降する。これにより、仮に、波の影響などでフェリー11が岸壁に近接または離反しても、スロープ13をフェリー11の乗降甲板に常に掛止しておくことができる。
以上説明したように、実施例1のタラップ10は、タラップ使用時、スライド手段35によってスロープ13をX1方向へスライドさせることで、スロープ13の先端部をフェリー11の乗降甲板に掛止するとともに、一対の第2のガイドローラ24をレール先部29に移動して、両スライドガイドレール20による移動規制状態から開放し、この状態で、俯仰手段14により一対のスライドガイドレール20を俯かせ、スロープ13の両スライドガイドレール20に対する支持を、傾倒した両レール本体28に配置された一対の第1のガイドローラ23のみによる2点支持状態とした。そのため、特許文献1の従来装置に比べて、装置がコンパクトとなり、設備コストおよびメンテナンスコストを低下させることができ、さらには、このような簡単かつメカニカルな構成を採用したことで、昇降変位するフェリー11の乗降甲板に対応してスロープ13を昇降させることができる。なお、タラップ10において、車椅子用のエレベータ19は付設のものであって、必須構成体ではない。
この発明は、船舶の動揺に対しても安全に乗下船するための技術として有用である。
10 乗下船用タラップ装置、
11 フェリー(船舶)、
12 タラップ設置台、
13 スロープ、
14 俯仰手段、
20 スライドガイドレール、
23 第1のガイドローラ、
24 第2のガイドローラ、
27 俯仰軸、
28 レール本体、
29 レール先部、
30 第1の連結部材(連結部材)、
31 第2の連結部材(連結部材)、
32 第3の連結部材(連結部材)、
34 電動モータ(スライド駆動源)、
35 スライド手段、
37 油圧シリンダ(俯仰駆動源)。

Claims (2)

  1. 岸壁に配置され、一時的に該岸壁と船舶との間に架設される乗下船用タラップ装置において、
    前記岸壁に配置されるタラップ設置台と、
    該タラップ設置台に片持ち状態で元部が支持されるスロープと、
    前記タラップ設置台に設けられ、前記スロープを俯仰させる俯仰手段とを備え、
    前記スロープの元部の幅方向の両側面には、ローラ軸が前記スロープの幅方向に延びた一対の第1のガイドローラと、該一対の第1のガイドローラより前記スロープの先方に配置されるとともに、ローラ軸が前記スロープの幅方向に延びた一対の第2のガイドローラとが、前記スロープの長さ方向にそれぞれ離間して配設され、
    前記俯仰手段は、
    前記タラップ設置台に、前記スロープの幅方向に延びる俯仰軸を介して元部がそれぞれ軸支され、かつ前記スロープが、該スロープの長さ方向に向かって突出および引き戻し自在に装着されるとともに、連結部材により平行状態を保持するように連結された一対のスライドガイドレールと、
    前記連結部材に設けられ、前記一対の第1のガイドローラおよび前記一対の第2のガイドローラを、前記一対のスライドガイドレールに沿って転動させることで、前記スロープを該スロープの突出方向および引き戻し方向にスライドさせるスライド手段と、
    前記タラップ設置台に設けられ、前記俯仰軸を中心にして、前記一対のスライドガイドレールを俯仰させる俯仰駆動源とを有し、
    前記一対のスライドガイドレールは、開口面を対向してスロープ幅方向に平行に離間した断面コの字形の一対のレール本体と、該レール本体の先端に一体的に連結され、かつ上面および対向面が開口した断面L字形状の一対のレール先部とから構成され、
    タラップ使用時に、前記第2のガイドローラが前記レール本体から前記レール先部に達するまで、前記スロープを前記一対のスライドガイドレールに沿って突出させ、この状態で、前記俯仰手段により前記一対のガイドローラを中心にして前記スロープを俯かせることで、前記スロープが前記一対の第1のガイドローラのみによる支持状態となって、前記スライド手段から切り離されて傾倒する前記一対のレール本体に掛止した乗下船用タラップ装置。
  2. 前記スライド手段は、前記第2のガイドローラの移動範囲が、前記レール本体と前記レール先部との間となるように前記スロープをスライドさせるスライド駆動源を有した請求項1に記載の乗下船用タラップ装置。
JP2012238134A 2012-10-29 2012-10-29 乗下船用タラップ装置 Active JP5721012B2 (ja)

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