ところで、特許文献1の室内機では、矩形状のケースにおける4つの角部のうちの一つには、熱交換器に接続される冷媒配管、ドレンポンプ、ドレン配管などが配置される配管スペースが設けられている。この配管スペースを覆うコーナカバーは、他の3つのコーナカバーに比べて必然的に大きくなる。
したがって、この室内機では、配管スペースを覆うコーナカバーに隣接する空気吹出口は、当該コーナカバーの制約を受けて他の空気吹出口よりも開口面積が小さくなる場合がある。この場合には、複数の空気吹出口の風量バランスがわるくなる。
また、4つの空気吹出口の開口面積が同じ場合でも、配管スペースには冷媒配管、ドレンポンプ、ドレン配管、仕切り板などの部材が配置されるので、これらの部材が空気流路の一部を塞ぐことによって当該コーナカバーに隣接する空気吹出口から吹き出される風量が他の空気吹出口から吹き出される風量よりも少なくなる場合がある。
本発明の目的は、複数の空気吹出口を有し、天井に設置される室内機において、複数の空気吹出口から吹き出される風量のバランスを改善することである。
本発明の室内機は、ケーシング(11)と、送風機(13)と、熱交換器(12)と、案内板(70)とを備える。前記ケーシング(11)は、平面視で矩形状を有し、第1の辺に沿って延びる第1空気吹出口(14A)及び第2の辺に沿って延びる第2空気吹出口(14B)を有し、天井に設置される。前記送風機(13)は、上下方向に向く回転軸(C)を有し、室内の空気を前記ケーシング(11)内に取り込んでその空気を前記第1空気吹出口(14A)及び第2空気吹出口(14B)に送るためのものである。前記熱交換器(12)は、前記送風機(13)と第1空気吹出口(14A)及び第2空気吹出口(14B)との間に設けられ、第1空気吹出口(14A)及び第2空気吹出口(14B)に沿って延びる部位を有する。前記案内板(70)は、前記送風機(13)と、前記熱交換器(12)における前記第1空気吹出口(14A)に沿う部分(12A)との間に設けられ、前記送風機(13)から前記熱交換器(12)に向けて送られる空気の一部を前記第1空気吹出口(14A)に案内する案内面(74)を有する。
前記第1空気吹出口(14A)は、前記第2空気吹出口(14B)よりも空気抵抗が大きい空気吹出口である。前記案内板(70)は、前記送風機(13)から前記熱交換器(12)に向かう気流の上流側に位置する前縁(71)と、前記気流の下流側に位置する後縁(72)と、を有する。前記後縁(72)と前記熱交換器(12)との間には、隙間(G1)が設けられている。前記第1空気吹出口(14A)の延びる第1方向(D1)において、前記後縁(72)は、前記第1空気吹出口(14A)における回転方向(R)側の第1側縁部(141)よりも内側に位置している。平面視において、前記第1方向(D1)に直交して前記回転軸(C)を通る直線(L2)と、前記回転軸(C)と前記第1側縁部(141)とを通る直線(L3)とを引いたとき、前記案内板(70)は、これらの直線(L2)と直線(L3)とにより囲まれる範囲内に設けられ、且つ、前記第1方向(D1)に直交して前記回転軸(C)を通る前記直線(L2)よりも前記回転軸(C)と前記第1側縁部(141)とを通る前記直線(L3)寄りに配置されている。
この構成では、例えば第1空気吹出口(14A)の開口面積が第2空気吹出口(14B)の開口面積よりも小さい構造や、例えば冷媒配管、ドレンポンプ、ドレン配管などの部材が第1空気吹出口(14A)につながる空気流路の一部を塞ぐ構造などように第1空気吹出口(14A)から吹き出される風量と第2空気吹出口(14B)から吹き出される風量のバランスがわるくなる構造を有する場合であっても、上記のような案内板(70)が設けられているので、第1空気吹出口(14A)から吹き出される風量と第2空気吹出口(14B)から吹き出される風量のバランスを改善することができる。具体的には次の通りである。
案内板(70)は、送風機(13)と、熱交換器(12)における第1空気吹出口(14A)に沿う部分(12A)との間に設けられている。そして、送風機(13)から吹き出され、回転方向(R)の速度成分を有する気流の一部は、案内板(70)に向かって流れ、この案内板(70)に沿って後縁(72)側に案内される。この後縁(72)は、第1空気吹出口(14A)における回転方向(R)側の第1側縁部(141)よりも内側に位置しているので、案内板(70)によって案内されて後縁(72)を通過した気流の多くは、第1空気吹出口(14A)に向かって流れる。これにより、第1空気吹出口(14A)から吹き出される風量が増加する。
しかも、後縁(72)と熱交換器(12)との間には隙間(G1)が設けられているので、案内板(70)における厚み方向の一方の面に沿って後縁(72)側に流れる空気と、その反対側に位置する他方の面に沿って後縁(72)側に流れる空気とが、前記隙間(G1)において合流することができる。したがって、本構成では、例えば後縁(72)と熱交換器(12)との間に隙間が設けられていない場合に比べて、熱交換器(12)側に向かう空気の流れが円滑になるので、案内板(70)と熱交換器(12)との間において空気のよどみが生じたり、案内板(70)と熱交換器(12)との間の空間がデッドスペースになったりするのが抑制される。これにより、案内板(70)を設けることに起因する抵抗の増大が抑制される。また、上記のように案内板(70)における一方の面に沿って後縁(72)側に流れる空気と他方の面に沿って後縁(72)側に流れる空気との合流が前記隙間(G1)において促進されることによって、第1空気吹出口(14A)から吹き出される風量を効果的に増加させることができる。
以上のことから、本構成では、複数の空気吹出口を有し、天井に設置される室内機において、複数の空気吹出口から吹き出される風量のバランスを改善することができる。
前記室内機において、前記案内板(70)は、前記前縁(71)と前記後縁(72)の間に位置し、前記送風機(13)の回転方向(R)に凹む形状を有し、前記第1空気吹出口(14A)に空気を案内する案内面(74)と、前記案内面(74)の反対側の面であり、前記回転方向(R)に凸の形状を有する背面(73)と、をさらに有するのが好ましい。
この構成では、案内面(74)が回転方向(R)に凹む形状を有するので、この案内面(74)に沿って流れる空気は、第1空気吹出口(14A)側にスムーズに向きが変えられる。したがって、案内板(70)の案内面(74)によって案内される空気をさらに効果的に第1空気吹出口(14A)に送ることができる。また、この構成では、回転方向(R)に凹む形状を有する案内面(74)に沿って後縁(72)側に流れる空気と、回転方向(R)に凸の形状を有する背面(73)に沿って後縁(72)側に流れる空気とが、隙間(G1)においてスムーズに合流する。
また、この構成では、案内面(74)が回転方向(R)に凹む形状を有するので、案内面(74)によって案内された空気が後縁(72)を通過するときの向きを、熱交換器(12A)の延びる方向に直交する方向により近づけることも可能になる。このように気流の向きが熱交換器(12)の延びる方向に直交する方向に近づけられると、空気が熱交換器(12)を通過する際の抵抗が低減するので、送風機(13)の入力(消費電力)を低減することができる。
また、案内板(70)の案内面(74)が送風機(13)の回転方向(R)に凹む形状を有する場合において、平面視で前記案内板(70)における後縁(72)から前記第1空気吹出口(14A)側に延長した延長線(E)は、前記第1空気吹出口(14A)の第1側縁部(141)よりも内側に位置しているのが好ましい。
案内板(70)に沿って後縁(72)側に流れる空気は、案内板(70)によって方向付けられるので、後縁(72)を通過した後、前記延長線(E)に沿う方向に流れやすい。この構成では、延長線(E)は、第1空気吹出口(14A)の第1側縁部(141)よりも内側に位置しているので、案内板(70)によって案内される空気をさらに効果的に第1空気吹出口(14A)に送ることができる。
前記室内機において、前記第1空気吹出口(14A)及び第2空気吹出口(14B)が前記ケースの側壁に設けられており、前記ケースが天井に吊り下げられて設置され、前記第1空気吹出口(14A)及び第2空気吹出口(14B)から側方に空気が吹き出される天吊り型であるのが好ましい。
天井埋め込み型の室内機と天吊り型の室内機とを比較すると、前者では、送風機(13)から側方の熱交換器(12)に向けて送られる空気は、熱交換器(12)を通過した後、ケース内において下方に向きを変え、ケースの下面(化粧面)に設けられた空気吹出口から室内に吹き出される。したがって、空気が熱交換器(12)を通過した後の下方に向かって空気吹出口に至るまでの間に、周囲の空気といくらか混合されるので、複数の空気吹出口から吹き出される風量のばらつきは、天吊り型の室内機に比べて小さくなりやすい。一方、後者の天吊り型の室内機では、第1空気吹出口(14A)及び第2空気吹出口(14B)がケースの側壁に設けられており、第1空気吹出口(14A)及び第2空気吹出口(14B)から側方に空気が吹き出される構造を有するので、熱交換器(12)を通過した空気は、周囲の空気とあまり混合されないまま空気吹出口から吹き出される。したがって、天吊り型の室内機は、天井埋め込み型の室内機に比べて風量のばらつきが大きくなりやすいので、上述した案内板(70)を設けることによるより大きな効果が期待できる。
前記室内機は、前記ケース内において前記送風機(13)と前記熱交換器(12)との間に設けられた電装ユニット(80)をさらに備え、前記ケースは、金属製の天板(19)を有し、前記電装ユニット(80)は、金属製のユニットケース(81)を有し、前記案内板(70)は、金属製であり、案内板(70)の下端部は前記ユニットケース(81)に接続され、上端部は前記天板(19)に接続されることにより、アースとして機能するのが好ましい。
この構成では、案内板(70)は、空気を第1空気吹出口(14A)に案内して風量バランスを改善する機能だけでなく、アースとしての機能も果たす。したがって、アース用の部材を別途設ける必要がなくなり、部品点数の低減を図ることができる。
本発明によれば、複数の空気吹出口を有し、天井に設置される室内機において、複数の空気吹出口から吹き出される風量のバランスを改善することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る室内機10について図面を参照して詳細に説明する。
<室内機の全体構造>
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る室内機10は、天井面T(図2参照)に吊り下げられて設置される天吊り型の室内機である。室内機10は、直方体形状のケーシング11と、ケーシング11内において環状に配置された熱交換器12と、熱交換器12の内側に配置された送風機13と、熱交換器12の下方に設けられたドレンパン24と、各種制御を行う電子部品が搭載された電装ユニット80と、案内板70とを備える。
ケーシング11は、平面視で矩形状(本実施形態では正方形)を有する。ケーシング11の4つの側壁のそれぞれには空気吹出口14(14A〜14D)が設けられている。4つの空気吹出口14は、ケーシング11の4つの辺にそれぞれ沿って延びている。
ケーシング11は、吸込グリル17を有する化粧板16と、天板19と、これらの間に位置する4つのコーナカバー40(41〜44)と、隣り合うコーナカバー40の間において水平方向に延びる4つの上部化粧枠9と、隣り合うコーナカバー40の間において水平方向に延びる4つの下部化粧枠15とを含む。天板19は、板金を加工することにより形成されている。
各空気吹出口14は、ケーシング11を構成する部材によって形状及び大きさが区画される開口部である。具体的に、本実施形態では、各空気吹出口14は、その両サイドに位置するコーナカバー40、上部化粧枠9及び下部化粧枠15により区画される略矩形状の開口部である。各空気吹出口14は、上下方向の開口寸法よりも水平方向の開口寸法の方が長い横長の形状を有する。例えば、第1空気吹出口14Aにおける水平方向両側の側縁部のうち、第1側縁部141は、第4コーナカバー44の側端部により区画されており、第2側縁部142は、第1コーナカバー41の側端部により区画されている。
なお、これらの側縁部141,142は、必ずしもコーナカバーの側端部によって区画されていなくてもよい。側縁部141,142は、例えば、上部化粧枠9と下部化粧枠15を両サイドにおいてそれぞれ上下方向につなぐ図略の一対の側部化粧枠によって区画されていてもよい。
図1に示すように、各空気吹出口14には、空気の吹き出し方向を調節するルーバー(風向板)29が設けられている。各ルーバー29は、対応する空気吹出口14の長手方向に沿って延びる横長の形状を有する。各ルーバー29は、モータM(図3参照)に接続されており、このモータMによって回動し、所望の角度に調節される。
ケーシング11内の4つの角部のうちの第1角部には、配管スペースS1が設けられている。この配管スペースS1は、送風機13が設けられている空間に対して仕切板61によって区画されている(図3参照)。配管スペースS1は、室内機10の外部からの図略の冷媒配管を熱交換器12に接続するための接続部と、その接続作業を行うための作業スペースとを含む。配管スペースS1には、冷媒配管54、ドレンポンプ51、図略のドレン配管、ケーシング11を天井に吊り下げるための吊りボルトが取り付けられる吊り金具52などが配置されている。熱交換器12の両端部における管板2a,2bは、配管スペースS1の近傍に配置されている。
ケーシング11内の他の3つの角部、すなわち第2角部、第3角部及び第4角部には、熱交換器12が設けられている空間に対して断熱材53によって区画されたスペースS2,S3,S4がそれぞれ形成されている。これらのスペースS2,S3,S4のそれぞれにも吊り金具52が配置されている。
配管スペースS1に配置される冷媒配管54、ドレン配管56、吊り金具52などの部材は、化粧枠15に対して着脱自在な第1コーナカバー41によって覆われている。配管スペースS1の隣の角に位置するスペースS2に配置される吊り金具52などの部材は、第2コーナカバー42によって覆われている。同様に、スペースS3に配置される吊り金具52などの部材は、第3コーナカバー43によって覆われており、スペースS4に配置される吊り金具52などの部材は、第4コーナカバー44によって覆われている。
第1コーナカバー41の大きさは、配管スペースS1に配置された部材の一部又は全部を外側から覆うことができるサイズである。なお、本実施形態では、この第1コーナカバー41の対角に位置する第3コーナカバー43の大きさを、第1コーナカバー41と同じ大きさにすることにより、4つの空気吹出口14を同じ開口面積としている。すなわち、第1コーナカバー41及び第3コーナカバー43のサイズは、第2コーナカバー42及び第4コーナカバー44のサイズよりも大きい。
しかし、上述したように、配管スペースS1には、冷媒配管54、ドレンポンプ51、図略のドレン配管などの部材が配置されるとともに、送風機13が設けられている空間に対して仕切板61,62によって区画されている。仕切板62は、第2空気吹出口14Bにおける配管スペースS1側の側縁部付近から第1空気吹出口14Aにおける配管スペースS1側の側縁部142付近まで配設されている。
仕切板61は、仕切板62に一体に形成されている。仕切板61は、第1空気吹出口14Aにおける配管スペースS1側の側縁部(第2側縁部)142よりも第1側縁部141側に延びている。この仕切板61の内側には、熱交換器12は設けられていない。また、配管スペースS1の近傍に配置されている熱交換器12の管板2a,2b同士の間には、隙間が設けられている。この隙間は仕切板61の内側に位置している。
第1空気吹出口14Aに向かう空気流路の一部は、仕切板61によって塞がれている。これにより、第1空気吹出口14Aに向かう空気が受ける抵抗は、他の空気吹出口14B〜14Dにそれぞれ向かう空気が受ける抵抗よりも大きくなる。案内板70が設けられていない場合には、第1空気吹出口14Aから吹き出される風量は、他の空気吹出口14B〜14Dから吹き出される風量よりも小さくなる。したがって、第1コーナカバー41に隣接する第1空気吹出口14Aから吹き出される風量は、他の空気吹出口から吹き出される風量よりも少なくなりやすい。
そこで、本実施形態では、送風機13から熱交換器12に向けて送られる空気を第1空気吹出口14Aに案内する案内板70が設けられている。本実施形態では、案内板70が設けられているので、案内板70がない場合には第4空気吹出口14Dに向かうはずの空気の一部が案内板70によって第1空気吹出口14Aに案内される。これにより、第1空気吹出口14Aから吹き出される風量が増加するので、風量のばらつきが低減される。この案内板70の詳細については後述する。
吸込グリル17と送風機13との間には、フィルター18が配置されている。ケーシング11の4つの側壁には空気吹出口14がそれぞれ設けられている。各上部化粧枠9は、対応する空気吹出口14の上方に設けられており、各下部化粧枠15は、対応する空気吹出口14の下方に設けられている。上部化粧枠9の内側には、上部化粧枠9及びこれに続く天板19に沿って断熱材57が配置されている。断熱材57は、例えば発泡ポリスチレンなどの発泡樹脂により形成されている。
熱交換器12としては、例えば、互いに平行に配置された複数本の伝熱管に対して多数の板状フィンを直交する状態で取り付けたクロスフィンタイプを用いることができるが、これに限定されない。熱交換器12は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する。
この熱交換器12は、図2に示すように、送風機13を取り囲む形状を有する。具体的には、この熱交換器12は、4つの空気吹出口14に沿って延びている。また、この熱交換器12は、その一方側の端部が、前記角部の近傍に設置されたドレンポンプ51と干渉しないように、送風機13側(図2では下側)へ折れ曲がった形状を有する。
ドレンパン24は、熱交換器12において生じるドレン水を回収する。ドレンパン24は、例えば発泡ポリスチレンなどの発泡樹脂により形成されている。ドレンパン24は、熱交換器12の直下に位置してドレン水を一時的に収容可能な収容部24bと、この収容部24bよりも空気吹出口14側に位置し、空気吹出口14の下縁部の一部を構成する側端部24aとを含む。側端部24aは、下部化粧枠15の内側(上側)に設けられている。
送風機13としては、例えば遠心送風機(ターボファン)、斜流送風機などを用いることができる。送風機13は、円形のハブ21と、中央部に空気導入開口を有する円形のシュラウド22と、ハブ21とシュラウド22の間に保持された複数の羽根23とを含む羽根車を備える。送風機13のハブ21には、ファンモータ26の回転軸が接続されている。シュラウド22の下側には、送風機13へ室内空気を案内するためのベルマウス20が設けられている。このベルマウス20は、中央部にシュラウド22の開口よりも僅かに小さい開口を有している。送風機13の羽根車が回転すると、室内の空気は、化粧板16の吸込グリル17からケーシング11内に吸い込まれ、熱交換器12を通過した後、各空気吹出口14から側方に吹き出される。
電装ユニット80は、ケーシング11内において送風機13と熱交換器12との間に設けられている。電装ユニット80は、各種制御を行う電子部品が実装されたプリント基板などを収容するユニットケース81を備える。ユニットケース81は、板金を加工することにより形成されている。
<案内板>
案内板70は、送風機13から熱交換器12に向けて送られる空気の一部を第1空気吹出口14Aに案内するためのものである。図3〜図6に示すように、案内板70は、このユニットケース81と天板19との間で、かつ、送風機13と熱交換器12における第1空気吹出口14Aに沿う部分12Aとの間に設けられている。
案内板70は、送風機13から熱交換器12に向かう気流の上流側に位置する前縁71と、気流の下流側に位置する後縁72と、前縁71と後縁72の間に位置し、送風機13の回転方向Rに向く背面73と、背面73の裏面であり、第1空気吹出口14Aに空気を案内する案内面74とを有する。本実施形態では、背面73及び案内面74は、送風機13の回転軸に平行な方向に延びているが、これに限定されず、回転軸に対して傾斜していてもよい。
案内板70の案内面74は、送風機13の回転方向Rに凹む形状を有し、背面73は、回転方向Rに凸の形状を有する。本実施形態では、案内板70は、板金を加工して形成されており、後述する図8に示すような湾曲加工ではなく、加工しやすさの観点から、図3及び図7に示すように2箇所で折り曲げ加工することによって案内面74が回転方向Rに凹む形状を形成している。
案内板70の下縁部はユニットケース81の上面81aに接続され、上縁部は天板19の下面に接続されている。具体的に、案内板70の上縁部には、案内板70を天板19に固定するための2つの折り曲げ片75,77が設けられている。
折り曲げ片77は、案内板70の上縁部の前縁71寄りの位置から案内面74側に突出している。折り曲げ片75は、案内板70の上縁部の後縁72寄りの位置から背面73側に突出している。図7に示すように、折り曲げ片77には、長孔77aが形成されており、折り曲げ片75には、孔75aが形成されている。これらの長孔77a及び孔75aに挿通されるビスによって案内板70は天板19に固定される。なお、折り曲げ片77が長孔77aを有するので、この長孔77aの開口寸法の範囲内で案内板70の位置を微調整することができる。図7に示すように、折り曲げ片77の長孔77aは、折り曲げ片75の孔75aを中心とする円弧に沿う方向又はこの方向に近い方向に延びている。
案内板70の下縁部には、案内板70を電装ユニット80のユニットケース81に固定するための折り曲げ片76が設けられている。折り曲げ片76には、孔76aが形成されている。この孔76aに挿通されるビスによって案内板70はユニットケース81に固定される。
案内板70は、上記のように電装ユニット80と天板19に接続されているので、空気を案内する機能だけでなく、電装ユニット80と天板19との間のアース経路としても機能している。
後縁72と熱交換器12との間には、隙間G1が設けられている。したがって、図7に示すように、案内面74に沿って後縁72側に流れる空気と、背面73に沿って後縁72側に流れる空気とが、隙間G1において合流することが可能になる。したがって、背面73に沿って後縁72側に向かう空気の流れが円滑になり、背面73と熱交換器12との間において空気のよどみが生じたり、背面73と熱交換器12との間の空間がデッドスペースになったりするのが抑制される。これにより、案内板70を設けることに起因する抵抗の増大が抑制される。また、上記のように案内面74に沿って後縁72側に流れる空気と背面73に沿って後縁72側に流れる空気との合流が隙間G1において促進されることによって、第1空気吹出口14Aから吹き出される風量をより効果的に増加させることができる。
また、前縁71と送風機13との間には、隙間G2が設けられている。この隙間G2は、送風機13の羽根車が回転する際に風切り音などが生じるのを抑制できる程度に設定される。
図3及び図7に示すように、第1空気吹出口14Aの延びる方向D1(ケーシング11の第1の辺が延びる方向)において、後縁72は、第1空気吹出口14Aにおける回転方向R側の第1側縁部141よりも内側に位置している。具体的に、図7に示す平面図において、方向D1に直交し、第1側縁部141を通る直線L1を引いたときに、後縁72は、この直線L1よりも内側、すなわち第1側縁部141の反対側の第2側縁部142側(空気吹出口14Aの中心側)に位置している(図3参照)。前縁71は、方向D1において後縁72よりも内側(空気吹出口14Aの中心側)に位置している。
また、図7に示す平面図において、案内面74を後縁72から第1空気吹出口14A側に延長した延長線Eは、第1空気吹出口14Aの第1側縁部141よりも内側(空気吹出口14Aの中心側)に位置している。本実施形態では、上述したように案内板70は板金を折り曲げ加工して形成したものであるので、延長線Eは、図7に示すように直線となる。
さらに、図7に示すように、方向D1に直交し、送風機13の回転軸Cを通る直線L2と、回転軸Cと第1側縁部141を通る直線L3とを引いたとき、案内板70は、直線L2と直線L3とにより囲まれる範囲内に設けられている。これにより、案内板70は、空気を第1空気吹出口14Aにより効果的に案内できる。
本実施形態の案内板70は、送風機13の空気の吹き出し方向に対して所定の迎え角(例えば数度から十数度程度)がつけられている。そして、前縁71から後縁72にかけて気流の剥離が生じにくくなる程度に案内面74が回転方向Rに凹むように湾曲又は屈曲している。送風機13の空気の吹き出し角度は、例えば20〜40度程度に設定されている。この吹き出し角度とは、平面視で円形の羽根車の接線方向に対して吹き出し気流の方向がなす角度である。
以上説明したように、本実施形態では、上記のような案内板70が設けられているので、第1空気吹出口14Aから吹き出される風量と第2空気吹出口14Bから吹き出される風量のバランスを改善することができる。
案内板70は、送風機13と、熱交換器12における第1空気吹出口14Aに沿う部分12Aとの間に設けられている。そして、案内板70の案内面74は送風機13の回転方向Rとは反対の方向を向いているので、送風機13から吹き出され、回転方向Rの速度成分を有する気流の一部は、案内板70の案内面74に向かって流れ、この案内面74によって案内板70の後縁72側に案内される。そして、この後縁72は、第1空気吹出口14Aにおける回転方向R側の第1側縁部141よりも内側に位置しているので、案内板70の案内面74によって案内され、後縁72を通過した気流の多くは、第1空気吹出口14Aに向かって流れる。これにより、第1空気吹出口14Aから吹き出される風量が増加する。
しかも、後縁72と熱交換器12との間には隙間G1が設けられているので、案内面74に沿って後縁72側に流れる空気と、背面73に沿って後縁72側に流れる空気とが、隙間G1において合流することができる。したがって、案内板70の後縁72と熱交換器12とがつながっている場合に比べて、背面73に沿って後縁72側に向かう空気の流れが円滑になり、背面73と熱交換器12との間において空気のよどみが生じたり、背面73と熱交換器12との間の空間がデッドスペースになったりするのが抑制される。これにより、案内板70を設けることに起因する抵抗の増大が抑制される。また、上記のように案内面74に沿って後縁72側に流れる空気と背面73に沿って後縁72側に流れる空気との合流が隙間G1において促進されることによって、第1空気吹出口14Aから吹き出される風量をより効果的に増加させることができる。
また、本実施形態では、案内面74は、送風機13の回転方向Rに凹む形状を有する。したがって、回転方向Rに凹む形状を有する案内面74に沿って流れる空気は、後縁72側に向かうにつれて熱交換器12の延びる方向及び第1空気吹出口14Aの延びる方向D1に直交する方向により近づけられる。したがって、案内板70の案内面74によって案内される空気をさらに効果的に第1空気吹出口14Aに送ることができる。しかも、案内面74に沿って流れる空気が熱交換器12の延びる方向に直交する方向に近づけられると、空気が熱交換器12を通過する際の抵抗が低減するので、送風機13の入力(消費電力)を低減することができる。
また、本実施形態では、案内板70の案内面74が送風機13の回転方向Rに凹む形状を有する場合において、平面視で案内面74を後縁72から第1空気吹出口14A側に延長した延長線Eは、第1空気吹出口14Aの第1側縁部141よりも内側に位置している。したがって、回転方向Rに凹む形状を有する案内面74に沿って後縁72側に流れる空気は、案内面74の凹形状によって方向付けられるので、後縁72を通過した後、延長線Eに沿う方向に流れやすい。この構成では、延長線Eは、第1空気吹出口14Aの第1側縁部141よりも内側に位置しているので、案内面74によって案内される空気をさらに効果的に第1空気吹出口14Aに送ることができる。
また、本実施形態では、第1空気吹出口14A及び第2空気吹出口14Bがケーシング11の側壁に設けられており、ケーシング11が天井に吊り下げられて設置され、第1空気吹出口14A及び第2空気吹出口14Bから側方に空気が吹き出される天吊り型である。天井埋め込み型の室内機と天吊り型の室内機とを比較すると、前者では、送風機13から側方の熱交換器12に向けて送られる空気は、熱交換器12を通過した後、ケース内において下方に向きを変え、ケースの下面(化粧面)に設けられた空気吹出口から室内に吹き出される。したがって、空気が熱交換器12を通過した後の下方に向かって空気吹出口に至るまでの間に、周囲の空気といくらか混合されるので、複数の空気吹出口から吹き出される風量のばらつきは、天吊り型の室内機に比べて小さくなりやすい。一方、後者の天吊り型の室内機では、第1空気吹出口14A及び第2空気吹出口14Bがケーシング11の側壁に設けられており、第1空気吹出口14A及び第2空気吹出口14Bから側方に空気が吹き出される構造を有するので、熱交換器12を通過した空気は、周囲の空気とあまり混合されないまま空気吹出口から吹き出される。したがって、天吊り型の室内機は、天井埋め込み型の室内機に比べて風量のばらつきが大きくなりやすいので、上述した案内板70を設けることによるより大きな効果が期待できる。
また、本実施形態では、案内板70は、空気を第1空気吹出口14Aに案内して風量バランスを改善する機能だけでなく、アースとしての機能も果たす。したがって、アース用の部材を別途設ける必要がなくなり、部品点数の低減を図ることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
例えば、前記実施形態では、案内板70が板金を2箇所で折り曲げ加工して形成されている場合を例示したが、これに限定されない。例えば図8に示す変形例ように、案内板70は、平面視で湾曲した形状であってもよい。この変形例では、案内面74は、回転方向Rに凹む湾曲面であり、背面73は、回転方向Rに凸の湾曲面である。そして、案内面74を後縁72から第1空気吹出口14A側に延長した延長線Eは、後縁72における接線である。
前記実施形態では、4つの空気吹出口を有する天吊り型の室内機を例に挙げて説明したが、本発明は、2つ又は3つの空気吹出口を有する天吊り型の室内機にも適用可能であり、また、下面(化粧面)に2つ、3つ又は4つの空気吹出口を有する天井埋込型の室内機にも適用可能である。
また、前記実施形態では、案内面74が送風機13の回転方向Rに凹む形状を有する場合を例示したが、これに限定されない。案内面74は、例えば平面などであってもよい。
また、前記実施形態では、平面視で案内面74の延長線Eが第1空気吹出口14Aの第1側縁部141よりも内側に位置している場合を例示したが、これに限定されない。
また、前記実施形態では、案内板70がアースとして機能する場合を例示したが、この機能は、必須のものではない。
また、前記実施形態では、第1空気吹出口14Aに向かう空気流路の一部が仕切板61によって塞がれることに起因する風量ばらつきを改善するために、第1空気吹出口14Aに空気を案内する案内板70を設ける場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、複数の空気吹出口の一部が他の空気吹出口よりも開口面積が小さいことに起因する風量ばらつきを改善するために案内板70を設けてもよい。この場合、案内板70は、他よりも開口面積が小さい空気吹出口14に対向する位置に、図7、図8などを参照して説明したように配置される。