JP5520794B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents

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本発明は、空気調和機の室内機に関する。
近年、住宅・設備等の遮音性・防音性の向上や、様々な機器の低騒音化による室内居住空間の静寂性が高まる中、空気調和機の低騒音化に対するニーズは益々高まってきており、これらの課題を解決するための様々な技術が開示されている。
特許文献1には、天井吊形空気調和機の筺体内に吸込側と吹出側の風路とに分離区画するセパレータを設置し、セパレータは筺体内で下側を前方方向に斜めに配置することにより筺体の下面に設けられた吸込口を前方に拡大すると共に、筺体の背面に背面吸込口を設ける技術が開示されている。これにより、吸込口の面積を拡大することができ、吸込圧損を低減し送風量を増大させることができる。
特開2006−189198号公報
しかしながら、上記特許文献1のものは、吸込面積を拡大することで吸込空気の流速が低減することによって通風抵抗を低減することができるが、複雑な吸込流れによって生じる通風抵抗については考慮されていない。
図4は、吸込流れを考慮していない従来の空気調和機の室内機の横断面図を示す。
すなわち、図4に示すように、筐体下面及び背面からの空気の流れ99は送風機1の左右の吸込面へ向かって90°曲げられた後に180°向きを変えながら送風機1の内部へ吸込まれ、その後前方の熱交換器33へと吹出される。このように、吸込面積を拡大することで吸込空気の流速が低減することによって通風抵抗を低減することができるが、複雑な吸込流れによって生じる通風抵抗は大きいままであり、送風騒音の低減には改良の余地がある。
本発明の目的は、送風騒音を低減することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、筺体と、前記筺体を吸込側と吹出側に仕切る仕切板と、前記吸込側に設けられる遠心型の送風機と、前記吹出側に設けられ前記送風機から吹出された空気を熱交換する熱交換器とを備えた空気調和機の室内機において、前記送風機の吸込部と対向する前記筺体の面と、前記筺体の下面とから空気を吸込むことを特徴とする。
本発明によれば、送風騒音を低減することができる。
本発明の実施例1を示す空気調和機の室内機の横断面図。 本発明の実施例2を示す空気調和機の室内機の横断面図。 本発明に係る空気調和機の室内機の縦断面図。 従来例を示す空気調和機の室内機の横断面図。 本発明に係る空気調和機の室内機の据付方法を示す斜視図。 本発明に係る空気調和機の室内機の化粧カバーを示す斜視図。
以下、図面に基づいて説明する。これらの図において同一符号は同一部位を表わす。
図3は、本発明に係る空気調和機の室内機の縦断面図を示す。筺体12は天井26に吊られ、上部に天板7、下部に底板9を備えている。略直方体の筺体12の概ね背面側(壁28側)に配置した送風機1によって、吸込グリル4およびエアフィルタ5を配置した筐体下面の吸込口14と、後述する筺体側面の吸込口13から室内空気を吸込み、送風機1の側面から吸込まれて前方に吹出される。この空気が熱交換器33によって熱交換された後、吹出口に配置された風向調整用のルーバー2によって所定の方向に吹出される。ルーバー2は、ルーバー駆動用モータ3によって風向が制御できる。熱交換器33の下方にはドレン水をためるドレンパン32を設ける。ここでは、電気品箱31を筺体12の背面側に設けているが、設置場所はこれに限られない。
図1は実施例1を示す空気調和機の室内機の横断面図である。送風機1から吹出された室内空気が確実に熱交換器33を通過するように、筺体12を吸込側と吹出側を仕切る仕切板10を送風機1の吹出口に設け、熱交換器33の両端に塞ぎ板11を設ける。筺体12は左右に側板8を備え、その外側に化粧カバー6を備える。送風装置は1つのファンモータ34に複数個の送風機1を接続しており、送風機1の個数に応じ、適宜、軸受35等を設けている。本実施例では送風機1を3つ、ファンモータ34を1つとしているが、個数はこれらに限られない。送風機1は回転軸方向から吸込んで周方向に吹出す遠心型であればよい。
図4に示すように、吸込グリル4から吸込まれる空気は、送風機1に向かって吸込まれた後に、送風機1の左右の吸込部に向かうように曲げられ、更に180°向きを反転しながら送風機1の内部に吸込まれる。その後、前方の熱交換器33に向かって吹出される。遠心型の送風機1は、風量が得られる割に小型化でき、筺体12を小型化する際に適しているが、下面の吸込口(図示なし)と送風機1の吸込部とが直交しているため、吸込側の空気の流れは複雑な経路となっており、曲がり損失による通風抵抗増加や、流れの干渉、渦等による騒音増加を招きやすい。また、流路の中に干渉物やエッジ等があると送風騒音が増加しやすいので、筺体内の限られたスペースに対し、送風機1やファンモータ34等をどうバランスよく配置するかで、送風性能に大きな影響を与えてしまう。
本実施例では、図1に示すように化粧カバー6を開口して側面吸込口50を設け、筺体12の側板8も開口して吸込口13を設ける。即ち、送風機1の吸込口に対向する筺体12や化粧カバー6の面を開口するものであり、側面吸込口50や吸込口13は送風機1の回転軸に直交する。この吸込口13にはエアフィルタ5を設けてもよい。送風機1から吹出された空気が漏れないように、仕切板10よりも空気の上流側となる筺体12の側板8に吸込口13を設ける。これにより、筺体下面の吸込口14に加えて筺体側面からも空気を吸込むことができるので、吸込面積の増加により流速を低減することができ、通風抵抗を低減することができる。更に、側面吸込口50から吸込まれた空気は送風機1までの流路が短くなり、複雑に曲がることも少なく、流路には空気が衝突するような干渉物も少ない。このため、側面吸込口50から送風機1に空気がスムースに吸込まれる。簡単な吸込空気の経路を増やすことで、送風機1に吸込まれる空気のうち、スムースに吸込まれる空気の割合が増加し、通風抵抗の低減や乱れを抑制できるため、送風騒音を低減することができる。
一方、地球温暖化防止、ランニングコスト低減のニーズの高まりにより、店舗やオフィスビルのエネルギー消費量の多くを占める空気調和機の省エネ化も推進されている。電動機を用いたヒートポンプ式空気調和機の消費電力低減の手段としては圧縮機,熱交換器,送風機など各構成機器の高性能・高効率化が追求されている。
従来技術の場合は送風機1の吸込面と側板8との隙間90をある程度確保する必要があるが、本実施例では側板8に吸込口13があり、空気が流通するための隙間90を特に確保する必要がないため、エアフィルタ5の近傍まで近づけることができる。その分、送風機1どうしの間隔やファンモータ34,軸受35等との隙間をより広く確保できるため、送風装置全体の送風性能も向上できる。空気調和機の室内機の消費電力は主に送風装置を駆動するファンモータであるため、このように通風抵抗の低減によって送風機の回転数を低下させることができるので、運転時の消費電力も低減することができる。
次に、製品の据付方法及び筐体側方に設けられた化粧カバー6について、図5を用いて説明する。室内機本体は、吊り金具22と天井26に固定された吊り棒21によってナット24,ワッシャー27等を用いて固定されている。吊り金具22は、側板8に取り付けられた吊り下げボルト23にナット24,ワッシャー27等を用いて固定されている。一方、本体の側板8には吊り下げボルト23や吊り金具22等が露出した状態であり、筐体内部の熱交換器33の塞ぎ板11や送風装置の仕切板10等を固定するねじ25や、ルーバー2の駆動用モータ3等も側板上に露出している。そこで、化粧カバー6で覆うことで、外観上の見栄えに対して配慮している。
要は側板8に吸込口13を設けて筺体12内に空気を吸込むことができればよいが、異物等を筺体12の中に吸込まないようにエアフィルタ5を備えたり、上述したように見栄えを考慮して化粧カバー6で側板8を覆い、化粧カバー6に側面吸込口50を備えて空気を吸込めるようにしてもよい。また、側面吸込口50は空気が吸込めるものであれば、単純な開口だけでも、そこにフィルタを備えるものでもよく、どのような形状でもよいが、本実施例では、以下に述べるギャラリー51のような形状とする。
図6は本実施例の化粧カバー6の詳細を示す斜視図である。側板8には送風装置や熱交換器33等の重量がかかり、吊り下げボルト23には本体そのものの重量がかかるため、これを支持する側板8にはある程度の強度が必要である。一方、化粧カバー6自体には自重くらいしかかからないため、あまり強度は必要としない。そこで、一般的には側板8は板金、化粧カバー6は樹脂で構成することが多い。化粧カバー6の側面吸込口50を単純に開口してしまうと、内部の無塗装である側板8や、その他のねじ25やナット24,吊り金具22等が見えて見栄えが悪くなる場合は、ギャラリー51を設けることで内部を見えにくくする。本実施例では、ギャラリーとは、化粧カバー6に設けられた凹凸の空気吸込み部分を示す。
背面開口ギャラリー51aのように開口を背面側とすると背面から空気を吸込むため、前方から吹出される風の影響を受けにくく、ショートサーキットしにくいといった効果がある。あるいは、下面側に開口部を設けた下面開口ギャラリー51bの場合には、天井面からの風の流れを吸込みにくくすることができるので、スマッジング等が発生しにくいといったメリットがある。更に、開口方向を適宜調整できるように、ギャラリー部のみを正方形もしくは円形状の別部品(図示せず)で構成してもよい。また、本実施例では、複数のギャラリーを筺体側(内向き)に凸の曲面状にすることで、空気を滑らかに吸込みギャラリーを通る時の通風抵抗を低減することができる。ギャラリーの形状は縦長でも横長でもよく、個数も図のものに限られないが、空気の吸込みやすさを考慮すると、側板8の吸込口13と側面吸込口50が同等の大きさか、側面吸込口50の方が大きいことが好ましい。このような構成とすることで、低騒音化と省エネ性を維持しつつ、見栄えにも配慮した室内機を提供できる。
図2は実施例2を示す横断面図である。実施例1に対し、側板8の吸込口13を熱交換器33まで拡大し、更に化粧カバー6の側面吸込口50も熱交換器33の吹出側端部にまで拡大させている点が異なる。仕切板10は吸込口13の熱交換器33側まで延長している。実施例1よりも更に吸込面積を大きくできるので、吸込流速が低下し、吸込抵抗を低減させることができる。側面吸込50を熱交換器33の吹出側端部までとする理由は、冷房時の結露や吹出風のショートサーキットを防止するためである。すなわち、冷房時は熱交換器33の下流側は冷風が流れるため、熱交換器33より前方の側板8の表面温度が低下する。この領域に側面吸込口50を設けると、比較的温度や湿度が高い室内空気が直接接することになり、側板8の表面が結露しやすい状態になる。断熱材を貼り付けることで対処することも可能だが、コストが増加してしまうし、断熱材の板厚によっては化粧カバー内の流路を塞いでしまい、熱交換器33の前方まで開口させた意味がなくなってしまう。このような構成とすることで、低騒音化と省エネ性に優れた空気調和機の室内機を提供できる。
1 送風機
2 ルーバー
3 ルーバー駆動用モータ
4 吸込グリル
5 エアフィルタ
6 化粧カバー
7 天板
8 側板
9 底板
10 仕切板
11 塞ぎ板
12 筺体
13,14 吸込口
21 吊り棒
22 吊り金具
23 吊り下げボルト
24 ナット
25 ねじ
26 天井
27 ワッシャー
28 壁
31 電気品箱
32 ドレンパン
33 熱交換器
34 ファンモータ
35 軸受
50 側面吸込口
51 ギャラリー
51a 背面開口ギャラリー
51b 下面開口ギャラリー
90 隙間
99 空気の流れ

Claims (4)

  1. 筺体と、前記筺体を吸込側と吹出側に仕切る仕切板と、前記吸込側に設けられる遠心型の送風機と、前記吹出側に設けられ前記送風機から吹出された空気を熱交換する熱交換器とを備えた空気調和機の室内機において、
    前記送風機の吸込部と対向する前記筺体の面と、前記筺体の下面とから空気を吸込むとともに、
    前記筺体の側面の外側に側面吸込口を有する化粧カバーを備え、さらに、
    前記側面吸込口は前記熱交換器の吹出側端部まで延長させる構成であることを特徴とする空気調和機の室内機。
  2. 筺体と、前記筺体を吸込側と吹出側に仕切る仕切板と、前記吸込側に設けられる遠心型の送風機と、前記吹出側に設けられ前記送風機から吹出された空気を熱交換する熱交換器とを備えた空気調和機の室内機において、
    前記送風機の吸込部と対向する前記筺体の面と、前記筺体の下面とから空気を吸込むとともに、
    前記仕切板よりも空気の上流側となる前記筺体の側面に吸込口と、
    前記筺体の側面の外側に側面吸込口を有する化粧カバーと、を備え、さらに、
    前記側面吸込口は前記熱交換器の吹出側端部まで延長させる構成であることを特徴とする空気調和機の室内機。
  3. 請求項1又は2において、前記側面吸込口は前記筺体の背面側又は下面側を開口した複数のギャラリーを備えることを特徴とする空気調和機の室内機。
  4. 請求項3において、前記複数のギャラリーは前記筺体側に凸となる曲面状であることを特徴とする空気調和機の室内機。
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