以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
また、以下では、放射線画像撮影装置が可搬型として形成されている場合について説明するが、本発明は、例えば支持台等と一体的に形成された専用機型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
本実施形態では、放射線画像撮影装置1の筐体2は、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで形成されている。また、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の起動状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
本実施形態では、コネクタ39は、例えば図3に示すように、ケーブルCaの先端に設けられたコネクタCが接続されることにより、図示しないコンソール等の外部装置との間でケーブルCaを介して信号やデータ等を送受信する際の有線方式の通信手段として機能するようになっている。
また、図示を省略するが、例えば筐体2の反対側の蓋部材2C等に、アンテナ装置41(後述する図7参照)が例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられている。本実施形態では、このように、アンテナ装置41は、放射線画像撮影装置1と外部装置との間で信号やデータ等の無線方式で送受信する場合の通信手段として機能するようになっている。
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリ24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。また、本実施形態では、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに対向する位置に設けられるようになっている。本実施形態では、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図4に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域r全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレータ3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するようになっている。
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。
また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7と信号線6とを電気的に遮断するようになっている。このように、TFT8は、オフ状態になると、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるようになっている。
本実施形態では、図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、図4に示すように、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
本実施形態では、図4に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう。)11に接続されている。
各入出力端子11には、図6に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bを構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Film等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22により、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるようになっている。
図7に示すように、本実施形態では、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバ15bにオン電圧とオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。
図7に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。
放射線画像撮影装置1に放射線が照射された後の各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際に、ゲートドライバ15bからある走査線5にオン電圧が印加されると、スイッチ手段であるTFT8のゲート電極8gにオン電圧が印加され、TFT8がオン状態になる。
すると、放射線検出素子7内に蓄積された電荷がTFT8を介して信号線6に放出され、電荷が信号線6を介して読み出し回路17に流れ込むと、増幅回路18で電荷が電荷電圧変換される。そして、増幅回路18からの出力値が相関二重サンプリング回路19でサンプリングされ、出力された画像データDがアナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリ24が接続されている。また、バッテリ24には、図示しない充電装置からバッテリ24に電力を供給してバッテリ24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
制御手段22は、上記のように走査駆動手段15や読み出し回路17等を制御して放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理を行わせるようになっている。また、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりするなど、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するようになっている。
一方、例えば、放射線画像撮影装置1を用いた放射線画像撮影が終了した後、放射線技師等により電源スイッチ37(図1参照)がオフされない場合、走査駆動手段15や読み出し回路17等に電力が供給されたり、バイアス電源14から各放射線検出素子7にバイアス電圧が印加され続けると、バッテリ24が消耗してしまう。
そこで、本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部に電力を供給する電力供給モードとして、少なくともバイアス電源14から各放射線検出素子7にバイアス電圧を印加して装置を撮影可能な状態とする覚醒モードと、必要な機能部にのみ電力を供給し、少なくともバイアス電源14から各放射線検出素子7へのバイアス電圧の印加を停止するスリープモードとを設定することができるように構成されている。
そして、本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影後の画像データDの読み出し処理の後、所定時間が経過しても撮影が行われない場合には、所定時間の経過後に、電力供給モードを覚醒モードからスリープモードに自動的に切り替えるようになっている。また、本実施形態では、放射線技師等が、放射線画像撮影装置1の切替スイッチ38(図1参照)を操作することにより、電力供給モードを、覚醒モードとスリープモードとの間で切り替えることもできるようになっている。
次に、上記のような放射線画像撮影装置1の基本的な構成の下で、前述した図10(A)、(B)に示したように、画像データD中に縦スジVLが現れるメカニズム等について説明する。
まず、画像データD中に縦スジVLが現れる場合の特徴について説明する。本発明者らの研究では、画像データD中に縦スジVLが現れる場合には、以下のような特徴があることが分かった。
[特徴1]放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードからスリープモードに切り替えられた後、さほど時間をおかずに覚醒モードに復帰された場合に現れる。逆の言い方をすれば、電力供給モードが覚醒モードからスリープモードに切り替えられた後、ある程度時間が経過してから覚醒モードに復帰されると、画像データD中に縦スジVLは現れない。
[特徴2]放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードに復帰されたすぐ後に放射線画像撮影を行うと、画像データD中に縦スジVLが現れる。逆の言い方をすれば、放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードに復帰された後、ある程度時間が経過してから放射線画像撮影を行うと、画像データD中に縦スジVLは現れない。
[特徴3]画像データD中に縦スジVLが現れる場合、放射線検出素子7の第1電極7aと第2電極7b(図7参照)とがあたかも導通しているかのように異常に大きな画像データDが読み出される放射線検出素子7(以下、異常素子7abnという。)がTFT8を介して接続されている信号線6の部分に、縦スジVLが現れる。
このような特徴を有する縦スジVLの発生メカニズムは、以下のように考えられている。
ここで、まず、放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードからスリープモードに切り替えられた場合に、放射線検出素子7に関わる各部材における電圧の変化について説明する。
放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードからスリープモードに切り替えられると、上記の基本的な構成では、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから各走査線5に印加される電圧が0[V](すなわちフローティングの状態)になる。すなわち、各走査線5には、前述したオン電圧(例えば+15[V])もオフ電圧(例えば−5[V])も印加されていない状態になる。
そのため、各走査線5を介してスイッチ手段であるTFT8のゲート電極8gに、オフ電圧(例えば−5[V])ではない0[V]の電圧(すなわちフローティングの状態)が印加される状態になる。そのため、各TFT8は放射線検出素子7と信号線6とを電気的に遮断するオフ状態になり切らず、放射線検出素子7と信号線6との間でTFT8を介して電荷の行き来が僅かにできる状態になる。すなわち、いわば各TFT8が若干開いている状態になる。
なお、ゲートドライバ15bから走査線5を介してTFT8のゲート電極8gに印加される電圧Vgは、図8に示すように、電力供給モードが覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えられると、オフ電圧としての例えば−5[V]等から瞬時に0[V]に変化する。
一方、放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えられると、上記の基本的な構成では、バイアス電源14(図7参照)から各放射線検出素子7へのバイアス電圧の印加が停止される。そして、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧が、所定の負の電圧値のバイアス電圧から0[V](すなわちフローティングの状態)に変化する。
しかし、その際、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbは、実際には、所定の電圧値Vbiasのバイアス電圧から瞬時に0[V]にはならない。例えばオシロスコープを用いて測定すると、図8に示すように、所定の時定数を有する状態で徐々に0[V]に近づいていくように変化する。なお、図8のグラフでは、電圧Vbにおける0[V]の位置と電圧Vgにおける0[V]の位置とをずらして表示している。
また、上記の異常素子7abnでは、バイアス電圧が印加される第2電極7bと、TFT8を介して信号線6(スリープモードMsでは電圧は0[V])との間の電位差に応じて、あたかも導通しているように異常に大きな値の電流が異常素子7abn中を流れる。
このような状況の下で、放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えられると、以下のような現象が生じる。
すなわち、図8に示したように、電力供給モードがスリープモードMsに切り替えられたすぐ後には、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbは、まだ0[V]にはなっていない。そのため、放射線検出素子7の第1電極7aと第2電極7bとの間に電位差が生じる。
また、各TFT8は上記のように若干開いている状態になるため、図9に示すように、異常素子7abn中を信号線6からバイアス線9に向けて電流が比較的大量に流れる。すなわち、異常素子7abnからTFT8を介して信号線6に電荷Qすなわち電子が比較的大量に流出する。
その際、スリープモードMsでは読み出し回路17に電力が供給されていないため、読み出し回路17は、当該信号線6の電圧が0[V]になるようには調節しない。すなわち、当該信号線6の電位はいわばフローティングの状態になっている。そのため、上記のように異常素子7abnから比較的大量に電子が流入すると、当該信号線6の電位が下がる。
そのため、図9に示すように、当該信号線6では、当該信号線6に接続されている、上記のように若干開いた状態の各TFT8を介して、各放射線検出素子7に当該信号線6から電荷qすなわち電子がそれぞれ流入する状態になる。
次に、このような状況の下で、放射線画像撮影装置1の電力供給モードがスリープモードMsから覚醒モードMwに復帰されると、以下のような現象が生じる。
なお、本実施形態では、スリープモードMsでは、上記のようにゲートドライバ15bから各走査線5に電圧が印加されない状態(すなわちフローティングの状態)になり、バイアス電源14から各放射線検出素子7へのバイアス電圧Vbiasの印加も停止される(なお瞬時に0[V]にならないことは上記の通り。)。
また、覚醒モードMwでは、ゲートドライバ15bから各走査線5に例えば−5[V]等のオフ電圧(或いは+15[V]等のオン電圧)が印加される状態になり、バイアス電源14から各放射線検出素子7にバイアス電圧Vbiasが印加される。この場合、バイアス電源14から印加されたバイアス電圧Vbiasはバイアス線9を介して各放射線検出素子7に瞬時に伝わるため、図示を省略するが、上記のバイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vb(図8参照)はバイアス電圧Vbiasまで瞬時に低下する。
放射線画像撮影装置1の電力供給モードが、上記の特徴1に示したように、電力供給モードをスリープモードMsに切り替えた後、さほど時間をおかずに覚醒モードMwに復帰されると、上記の異常素子7abnが接続されている信号線6に接続された各放射線検出素子7では、上記のように電子が流入した状態で、ゲートドライバ15bから走査線5を介してTFT8のゲート電極8gに印加される電圧が0[V](すなわちフローティングの状態)から例えば−5[V]等のオフ電圧に切り替わる。
そのため、当該信号線6に接続された各放射線検出素子7では、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点で、各TFT8がオフ状態になり、当該信号線6と電気的に遮断される。そのため、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点で、すでにある程度の電子が蓄積された状態になる。
それに対して、異常素子7abnが接続されていない信号線6ではこのような現象は生じない。そのため、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点では、各放射線検出素子7には、少なくとも上記のような異常素子7abnから信号線6を介して流入する電荷(すなわち電子)の増加分は存在しない状態になる。
このように、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点で、各信号線6に接続されている各放射線検出素子7に蓄積されている電荷(すなわち電子)の量が、異常素子7abnが接続されている信号線6と異常素子7abnが接続されていない信号線6との間で異なる。この差が、前述した図10(A)、(B)に示したように画像データD中に縦スジVLとなって現れると考えられる。
なお、電力供給モードが覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えられた後、ある程度時間が経過した場合には、図8に示したように、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbは0[V](すなわちフローティングの状態)に近づく。すると、この電圧Vbが信号線6の電圧と同程度の電圧になる。
そのため、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbと信号線6の電圧との電位差がなくなるため、異常素子7abnから信号線6に電子が流出しなくなる。また、電圧Vbと信号線6の電圧との電位差がなくなるため、当該信号線6に接続されている各放射線検出素子7に一旦流入した電荷qすなわち電子(図9参照)が、若干開いた状態の各TFT8を介して当該信号線6に再び流出する。なお、当該信号線6の電位も0[V]に戻っていく。
そのため、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点で各放射線検出素子7に蓄積されている電荷q(すなわち電子)の量は、信号線6ごとに見た場合、さほど大きな違いがない状態になる。そのため、上記の特徴1に示したように、電力供給モードが覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えられた後、ある程度時間が経過してから覚醒モードMwに復帰された場合には、画像データD中に縦スジVLは現れなくなると考えられる。
次に、画像データD中に生じる縦スジVLについて、上記の特徴2のような現象が生じる理由について説明する。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、上記の特徴2のような現象が生じる理由は、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点から各放射線検出素子7のリセット処理が繰り返し行われるためであると考えられている。
すなわち、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点から、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから各走査線5にオン電圧が順次印加されて、各走査線5に接続されているスイッチ手段である各TFT8が順次オン状態とされる。そして、オン状態とされた各TFT8を介して、各放射線検出素子7から信号線6に、各放射線検出素子7内に残存する電荷を放出させることで、各放射線検出素子7のリセット処理が行われるようになっている。
そして、上記のようにして各放射線検出素子7内に比較的大量の電荷q(すなわち電子)が流入してしまったとしても、上記のようにして各放射線検出素子7のリセット処理が繰り返し行われることにより、電荷qが各放射線検出素子7内から放出される。そのため、図10(A)〜(C)に示したように、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された後の時間経過が長くなるほど、各放射線検出素子7のリセット処理の回数が多くなり、各放射線検出素子7内から電荷qが放出される量が多くなる。
そのため、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された後の時間経過が長くなるほど、画像データD中に現れる縦スジVLが消えていくと考えられる。このことは、例えば、仮に電力供給モードが覚醒モードMwに復帰されても各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成すると、覚醒モードMwへの復帰後も、画像データD中の縦スジVLが非常に長期にわたって現れることから確認できる。
なお、図10(A)、(B)を見ると分かるように、画像データD中の縦スジVLは、上記のように各放射線検出素子7のリセット処理を複数回繰り返しても現れる場合がある。これは、各放射線検出素子7に流入した電荷qが、放射線検出素子7内やTFT8内のトラップ準位にトラップされてしまう場合があるためと考えられている。放射線検出素子7内やTFT8内のトラップ準位にトラップされた電荷qは、一般的に、各放射線検出素子7のリセット処理を繰り返さないとなかなか除去できない。
以上のようなメカニズムによって、上記の基本的な構成の放射線画像撮影装置1では、画像データD中の縦スジVLが発生すると考えられている。
次に、上記の放射線画像撮影装置1において、電力供給モードを覚醒モードMwとスリープモードMsの間で切り替えても、画像データD中に上記のような縦スジVLが現れることを防止するための構成について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
[方法1−1]画像データD中に上記のような縦スジVLが現れることを防止するための方法として、以下のような方法を採用することが可能である。
すなわち、上記のように、放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードMwである場合には、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに対して所定の負の電圧値のバイアス電圧Vbiasが印加されている(図8参照)。そして、電力供給モードが覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えられると、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが0[V](すなわちフローティングの状態)に向かって上昇し始める。
その際、電圧Vbが0[V]まで上昇すれば、異常素子7abnが接続されている信号線6に接続されている他の各放射線検出素子7に一旦流入した電荷qが、若干開いた状態の各TFT8を介して当該信号線6に再び流出する。そのため、上記のように、画像データD中に縦スジVLが現れなくなる。
しかし、本発明者らの実験では、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが0[V]まで上昇しなくてもよく、0[V]より低い所定の電圧値Vth以上の電圧値になれば、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰しても画像データD中に上記のような縦スジVLが現れなくなることが見出された。
すなわち、画像データD中の縦スジVLは、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが、まだ上記の所定の負の電圧値Vth未満の電圧値である状態で覚醒モードMwに復帰されると、画像データD中に縦スジVLが現れる。しかし、上記の電圧Vbが、所定の負の電圧値Vth以上に上昇した後で覚醒モードMwに復帰されると、画像データD中に縦スジVLが現れなくなることが見出された。
そこで、例えば、制御手段22が電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた後、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbを監視するように構成する。そして、電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまで、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させないように構成することが可能である。
このように構成すれば、電力供給モードがスリープモードMsに切り替えられた後、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが所定の負の電圧値Vth以上に上昇した後で、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰されるようになる。そのため、画像データD中に縦スジVLが現れなくなる。
この場合、例えば、放射線画像撮影装置1を用いた放射線画像撮影を管理、制御するコンソール等の図示しない外部装置から、電力供給モードを覚醒モードMwに切り替えることを指示するwake up信号が送信されたり、或いは放射線技師等が放射線画像撮影装置1の切替スイッチ38(図1参照)を操作して電力供給モードを覚醒モードMwに切り替えることを指示しても、制御手段22は、電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまで、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させないように構成される。
なお、この場合、外部装置からwake up信号を送信させたり放射線画像撮影装置1の切替スイッチ38を操作したりして放射線画像撮影装置1の電力供給モードを覚醒モードMwに切り替えたと認識している放射線技師等に対して、当該放射線画像撮影装置1の電力供給モードがまだスリープモードMsになっていることを報知するように構成することが可能である。
そして、制御手段22は、上記の指示があったことを記憶しておき、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇した時点で、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させるように構成される。
なお、この場合も、放射線技師等に対して、当該放射線画像撮影装置1の電力供給モードがスリープモードMsになっていることを報知する状態を解除したり、或いは電力供給モードが切り替わったことを改めて報知する等して、電力供給モードが覚醒モードMwに切り替わったことを放射線技師等に報知するように構成することが望ましい。
また、上記の所定の負の電圧値Vthは、放射線画像撮影装置1ごと或いは放射線画像撮影装置1の機種ごとに異なり得るため、実験等を行って適切な値に予め設定される。
[方法1−2]さらに、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbは、電力供給モードの切り替えを行うごとに、毎回、図8に示したような時間的推移と同じパターンで時間的に推移する。また、上記の所定の負の電圧値Vthも時間的に変化せず、同じ値が維持される。
そのため、放射線画像撮影装置1の電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた時点を起点とした場合、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが上記の所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの時間Tthも、電力供給モードの切り替えを行うごとに変化せず、同じ時間になる。
そこで、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが上記の所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの所定時間Tthを、実験等に基づいて予め放射線画像撮影装置1ごと或いは放射線画像撮影装置1の機種ごとに設定しておく。
そして、制御手段22は、上記の[方法1−1]のように、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbを監視するように構成する代わりに、電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えてからの時間経過を計測するように構成する。そして、スリープモードMsへの切り替え後、予め設定された所定時間Tthが経過するまで、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させないように構成することが可能である。
このように構成しても、上記と同様に、電力供給モードがスリープモードMsに切り替えられた後、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが所定の負の電圧値Vth以上に上昇した後で、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰されるようになる。そのため、画像データD中に縦スジVLが現れなくなる。
[方法2−1]画像データD中に上記のような縦スジVLが現れることを防止するためのもう1つの方法として、以下のような方法を採用することが可能である。
上記のように、画像データD中に縦スジVLが現れる原因は、異常素子7abn(図9参照)から、若干開いた状態の各TFT8を介して電荷Qが信号線に流出することにあると考えられ、また、異常素子7abnが接続されている信号線6に接続されている他の放射線検出素子7に、若干開いた状態の各TFT8を介して電荷q(すなわち電子)が流入することにあると考えられる。
そこで、例えば、上記の[方法1−1]や[方法1−2]で説明したように、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが上記の所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの間、スイッチ手段である各TFT8のゲート電極8g(図7参照。図7では「G」と記載されている。)にゲートドライバ15bからオフ電圧を印加するように構成することが可能である。
すなわち、制御手段22が、電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた後も、ゲートドライバ15bから各走査線5にオン電圧もオフ電圧も印加しないフローティングの状態とするのではなく、各走査線5に例えば−5[V]等のオフ電圧を印加する状態を維持するように構成することが可能である。
このように構成すれば、スイッチ手段5である各TFT8は、電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた後もオフ状態のままになる。そのため、上記のように異常素子7abnから信号線6に電荷Q(図9参照)が流出することを防止することが可能となる。
また、仮に異常素子7abnから信号線6に電荷Qが流出したとしても、各TFT8がオフ状態のままであるため、異常素子7abnから流出した電荷QがTFT8を介して当該信号線6に接続されている他の放射線検出素子7に流入することを防止することが可能となる。そのため、いずれにしても、画像データD中に縦スジVLが現れることを防止することが可能となる。
[方法2−2]しかし、この場合、放射線画像撮影装置1の電力供給モードがスリープモードMsである状態で各TFT8にオフ電圧を印加し続けると、ゲートドライバ15bを含む走査駆動手段15で電力が消費され続け、バッテリ24(図7参照)が消耗してしまう。
そこで、上記の[方法1−1]の場合と同様に、例えば、制御手段22が電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた後、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbを監視し、電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまで、スイッチ手段である各TFT8にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とする状態を継続するように構成することが可能である。
[方法2−3]また、上記の[方法1−2]の場合と同様に、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが上記の所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの所定時間Tthを、実験等に基づいて予め放射線画像撮影装置1ごと或いは放射線画像撮影装置1の機種ごとに設定しておく。
そして、制御手段22が電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えてからの時間経過を計測するように構成し、スリープモードMsへの切り替え後、予め設定された所定時間Tthが経過するまで、スイッチ手段である各TFT8にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とする状態を継続するように構成することが可能である。
上記の[方法2−2]や[方法2−3]のように構成した場合でも、オフ状態のTFT8により、異常素子7abnから信号線6に電荷Qが流出することを防止することが可能となる。また、仮に異常素子7abnから信号線6に電荷Qが流出したとしても、各TFT8がオフ状態のままであるため、異常素子7abnから流出した電荷QがTFT8を介して当該信号線6に接続されている他の放射線検出素子7に流入することを防止することが可能となる。
そのため、いずれにしても、画像データD中に縦スジVLが現れることを防止することが可能となる。
なお、[方法2−2]や[方法2−3]の場合、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇した後や、所定時間Tthが経過した後は、TFT8のオフ状態を解除しても、画像データD中に縦スジVLが現れることはない。
そのため、上記の電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの間や上記の所定時間Tthが経過するまでの間に、放射線画像撮影装置1の電力供給モードが覚醒モードMwに復帰されない場合には、その後は、ゲートドライバ15bから各走査線5へのオフ電圧の印加を停止することが可能である。
この場合、各TFT8のゲート電極8gに印加される電圧は0[V](すなわちフローティングの状態)になり、各TFT8が若干開いた状態になるが、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが所定の負の電圧値Vth以上に上昇しているため、各TFT8を介して信号線6から各放射線検出素子7に電荷q(図9参照)が流入することはない。
そのため、上記のように構成しても、画像データD中に縦スジVLが現れることはない。そして、上記のように構成すれば、走査駆動手段15で必要以上の電力が消費されることが防止され、バッテリ24が無駄に消耗することを防止することが可能となる。
一方、上記の[方法1−1]等の場合と同様に、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの間や上記の所定時間Tthが経過するまでの間に、外部装置からwake up信号が送信されたり、放射線技師等が放射線画像撮影装置1の切替スイッチ38を操作して電力供給モードの切り替えを指示する等して、電力供給モードのスリープモードMsから覚醒モードMwへの復帰が指示される場合がある。
そして、上記の[方法1−1]や[方法1−2]の場合は、前述したように、上記の電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまで待ってから、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させるように構成した。
しかし、上記の[方法2−1]〜[方法2−3]の場合は、上記の[方法1−1]や[方法1−2]の場合と異なり、上記の電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの間や上記の所定時間Tthが経過するまでの間に電力供給モードの覚醒モードMwへの切り替え指示があった場合、即座に覚醒モードMwに復帰させることができる。
すなわち、上記の[方法2−1]〜[方法2−3]の場合、上記の電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇するまでの間や上記の所定時間Tthが経過するまでの間は、スイッチ手段である各TFT8がオフ状態とされている。そして、電力供給モードが覚醒モードMwに復帰された時点で、各TFT8のゲート電極8gにオフ電圧が印加される。
つまり、上記の[方法2−1]〜[方法2−3]の場合、スイッチ手段である各TFT8は、覚醒モードMwへの復帰の前後で、オフ状態が維持され、各TFT8はいわばずっと閉じたままの状態になる。そのため、異常素子7abnから信号線6に電荷Qが流出したり流出した電荷Qが各TFT8を介して当該信号線6に接続されている他の放射線検出素子7に流入することはなく、画像データD中に縦スジVLが現れることはない。
そのため、上記の[方法2−1]〜[方法2−3]の場合、上記の電圧Vbが所定の負の電圧値Vthまで上昇したり、上記の所定時間Tthが経過するまで待つ必要はなく、外部装置等から電力供給モードの覚醒モードMwへの切り替え指示があった時点で、即座に覚醒モードMwに復帰させることが可能となる。
このように、上記の[方法1−1]や[方法1−2]を採用した場合には、電力供給モードの切り替え指示があってから実際に電力供給モードが覚醒モードMwに復帰されるまでにタイムラグが生じる場合があるが、上記の[方法2−1]〜[方法2−3]を採用した場合には、このようなタイムラグを生じることなく、即座に電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させることが可能となるといったメリットがある。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた後、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加される電圧Vbが所定の電圧値Vthまで上昇するまで、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させないように構成した(上記[方法1−1]等の場合)。
そのため、異常素子7abnから信号線6に流出した電荷Qが、当該信号線6に接続されている他の放射線検出素子7に流入したとしても、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加される電圧Vbが所定の電圧値Vthまで上昇して、当該他の放射線検出素子7に流入した電荷qが信号線6に流出した後で、電力供給モードを覚醒モードMwに復帰させて、スイッチ手段である各TFT8をオフ状態にすることが可能となる。
そのため、当該他の放射線検出素子7における電荷qによる画像データDの増加分がなくなるため、電力供給モードを切り替えても画像データD中に縦スジVLが現れることを的確に防止することが可能となる。
また、電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた後も、スイッチ手段である各TFT8のゲート電極8gにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とする状態を継続するように構成することも可能である(上記[方法2−1]等の場合)。
このように構成すれば、電力供給モードを覚醒モードMwからスリープモードMsに切り替えた後も、各TFT8がオフ状態のままとなる。そのため、異常素子7abnから信号線6に電荷Q(図9参照)が流出したり、異常素子7abnから流出した電荷QがTFT8を介して当該信号線6に接続されている他の放射線検出素子7に流入することを防止することが可能となる。
そのため、いずれにしても、電力供給モードを切り替えても画像データD中に縦スジVLが現れることを的確に防止することが可能となる。
そして、上記のように画像データD中に縦スジVLが現れることが防止されるため、画像データDに基づいて放射線画像を生成すると、縦スジのない放射線画像が得られる。そのため、例えば放射線画像を医療における診断用等に用いる場合、放射線画像中に撮影された患者の病変部と縦スジが重なって医師等が病変部を見落とす等の問題が生じることを確実に防止することが可能となる。
なお、本実施形態では、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、装置の電力供給モードを覚醒モードMwとスリープモードMsとの間で切り替えるように構成されている場合について説明したが、本発明はこの場合には限定されない。
例えば、スリープモードMsでは制御手段22には電力を供給しないが少なくともアンテナ装置41には電力を供給するように構成し、外部装置から無線信号を送信し、アンテナ装置41を介して制御手段22を覚醒(wake up)させて覚醒モードMwに切り替えるように構成することも可能である。
また、そもそもバイアス電源14(図7参照)から各放射線検出素子7へのバイアス電圧Vbiasの印加が停止されても、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧が、すぐには0[V](すなわちフローティングの状態)にならず、所定の時定数を有する状態で徐々に0[V]に近づいていくように変化する(図8参照)ために、上記の本実施形態のように構成することが必要になった。
そこで、例えば、バイアス電源14内部の回路構成等を改良して、各放射線検出素子7へのバイアス電圧Vbiasの印加が停止されると、バイアス電源14から各放射線検出素子7の第2電極7bに印加される電圧が早急に0[V](すなわちフローティングの状態)になるように構成することが可能であり、それらの改良は適宜行われる。
さらに、上記の実施形態では、放射線画像撮影装置1の電力供給モードがスリープモードである場合には、必要な機能部にのみ電力を供給し、少なくともバイアス電源14から各放射線検出素子7へのバイアス電圧Vbiasの印加を停止するように構成されている場合について説明した。
しかし、前述した特許文献4にも記載されているように、放射線画像撮影装置によっては、電力供給モードとして覚醒モードやスリープモードを含む種々のモードをとり得るように構成されている場合がある。そして、電力供給モードがスリープモードである場合にも、バイアス電源14から各放射線検出素子7にバイアス電圧Vbiasを印加し続けるように構成されている場合があり得る。
このような場合、電力供給モードがスリープモードに切り替わっても、信号線6(例えば0[V]すなわちフローティングの状態になっている。)とバイアス線9(所定のバイアス電圧Vbiasが印加されている。)との間に電位差がある状態が維持される。そのため、異常素子7abn(図9参照)では、あたかも導通しているかのように電流が流れ得る状態になっている。
そのような状態で、ゲートドライバ15bからスイッチ手段である各TFT8へのオン電圧やオフ電圧の印加を停止して、TFT8のゲート電極8gに印加される電圧を0[V](すなわちフローティングの状態)にすると、上記のように、異常素子7abnから信号線6に電荷が流れ出し、その電荷が各TFT8を介して他の放射線検出素子7に流入してしまう。そのため、この場合も、画像データD中に縦スジVLが現れる状態になる。
そこで、このような状態が生じることを防止するために、放射線画像撮影装置の電力供給モードがスリープモードである場合にもバイアス電源14から各放射線検出素子7にバイアス電圧Vbiasを印加し続けるように構成されている場合には、電力供給モードを覚醒モードからスリープモードに切り替えた後、電力供給モードが覚醒モードに復帰されるまで、各TFT8にオフ電圧(例えば−5[V])を印加し続けるように構成することが可能である。
このようにして、電力供給モードがスリープモードである間、各TFT8をオフ状態として、スイッチ手段が閉じられた状態を継続することで、異常素子7abnから信号線6に電荷が流出することを的確に防止し、また、仮に異常素子7abnから信号線6に電荷が流出したとしても他の放射線検出素子7にその電荷が流入することを的確に防止することが可能となる。そして、そのため、画像データD中に縦スジVLが現れることを的確に防止することが可能となる。