JP5720241B2 - 揺動鍛造装置および揺動鍛造方法を用いた穿孔方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属製の素材に貫通穴を穿孔する穿孔方法に関するものである。
鍛造は、素材の少なくとも一部を工具によって押し潰すことで所定の形状に成形する塑性加工法である。一般的な鍛造は、生産性および材料歩留まりが高いことから種々の部品の加工手段として広く活用されている。しかしながら、鍛造は大荷重を必要とするので、金型や装置の大型化によって初期投資が大きくなり、また、騒音や振動に対する対策も必要となる。そのため、実際に鍛造を用いて製造されるものは、大量生産品に限られてしまう。
一方、金型や装置を小型化し、多品種少量生産に対応できる鍛造技術として、いわゆる揺動鍛造がある。揺動鍛造は、1929年に英国のH.F.Masseyが考案した技術に端を発するといわれている。しかし、揺動鍛造は、未だ十分に普及しているとはいえず、研究開発の事例もそれほど多くない。自動車部品で言えば、ホイール、ディスク、カム、ベベルギヤなどの加工に揺動鍛造の適用が検討されてはいるが、揺動鍛造で製造できる部材は限られている。
特許文献1では、揺動鍛造によりフランジを有する部材を作製している。フランジ部材の頂面に凹部が形成されないように、揺動鍛造角度(θ)に対して上型成形角度(α)を調節して、揺動鍛造を行うことが開示されている。
特許文献2には、揺動鍛造により金型原器(素材)に方形状の凹部を転写して形成する方法が開示されている。揺動鍛造の間に、鍛造工具に相当するパンチブランクの位置がずれると、パンチブランクの形状が正確に転写されず、素材に方形状の凹部を精密に形成することができない。パンチブランクを定位置で揺動運動させる回転止め(5および6)により、パンチブランクの自転が規制されている。しかし、こうして形成される凹部は、比較的浅い。
特許文献3には、揺動鍛造を用いてカップ形状品を成形する方法が開示されている。特許文献3では、外径がφ200mmの素材を、外径がφ300mmで肉厚が10mm(つまり内径がφ280mm)のカップ形状品に成形している。すなわち、成形される前の素材はカップ形状品の底面よりも小さいが、上型(鍛造工具)に押圧されることで素材が外周側に押し広げられてカップ形状に成形される。つまり、特許文献3では、素材は原形をとどめておらず、大きく塑性変形されている。また、得られるカップ形状品の深さは、それ程深くはない。
また、特許文献4には、穴あき部材を作製可能な揺動鍛造装置が開示されている。しかしながら、揺動鍛造を用いて成形されているのは、ボス部とフランジ部とを有する回転体素材のみであり、回転体素材に対するボス穴の穿孔は、揺動鍛造装置に搭載された一対のポンチとカッタで打ち抜いて行われる。
特許文献5および特許文献6などにも、コネクティングロッドのような穴あき部品の作製方法が開示されている。しかし、貫通穴の形成は、パンチの挿入による打ち抜きによるものがほとんどである。
特開平5−285586号公報 特開平6−285576号公報 特開平8−112638号公報 特開昭61−129251号公報 特開平11−147157号公報 特開2003−170238号公報
特許文献1および2に記載のように、これまでの揺動鍛造は、比較的浅い「へこみ」を形成するものがほとんどであった。また、特許文献3に記載のように素材を大きく変形させることなく揺動鍛造を用いて素材に直接「穴」を形成するという考えは、そもそも無かった。また、特許文献4〜6からも明らかなように、貫通穴の形成は、工具を素材に単に押し込んで行う穴抜き加工などによるものであり、揺動鍛造を用いるという発想がそもそもなかった。そのため、揺動鍛造を用いた剪断加工を素材に施すこと自体、これまで試みられていない。
また、本発明者等は、特願2010−67704において、主として有底の深穴について開示している。具体的には、本発明者等は、揺動鍛造を用いて従来行われているよりも深い穴を形成すると、円柱形状の穴であっても、穴の内周面に周方向に延びる加工痕が形成されて、安定した形状の深穴を穿設することが困難であることに着目した。特に、凹凸の激しい螺旋状の溝(螺旋痕)が発生すると、そのままでは使用できないため、穿設後に表面を滑らかにする工程が必要となる。また、鍛造工具の揺動条件に応じて深い加工痕となったり加工痕が発生しても比較的滑らかな表面になったりすることがわかった。しかし、貫通穴の作製についての具体的な方法や装置にまで至っていなかった。
本発明は、揺動鍛造を用いて貫通穴の穿孔を行うことができる揺動鍛造装置および穿孔方法を提供することを目的とする。
特願2010−67704に記載の各実施例において、有底穴の底部の厚さが0mmになるまで鍛造工具を移動させれば貫通穴の形成は可能である。しかし、底部の薄肉化を行うと、素材の外形の変化が大きくなり、外形の変化を規制すると成形荷重が大きくなる、という問題があった。つまり、本発明者等は、特願2010−67704の成果をさらに発展させることで、以降に述べる発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の揺動鍛造装置は、基準軸に対して傾斜させた鍛造工具の工具軸を揺動させて素材を加工する揺動鍛造装置であって、
前記鍛造工具と、
前記鍛造工具を揺動させて前記素材の表面の一部を該鍛造工具の端面により押圧する工具揺動手段と、
前記工具揺動手段と協調して、前記基準軸と前記工具軸とが交差する揺動点を該基準軸に沿って相対移動させる工具送り手段と、
前記鍛造工具が自転しないように該鍛造工具の前記工具軸に対する回転を規制する回転規制手段と、
前記鍛造工具に向かって開口し、前記鍛造工具により前記素材から内部へ押し出される材料を剪断して該素材から分離する開口端部を有する剪断分離手段と、
を備え、前記鍛造工具で前記素材に貫通穴を穿孔することを特徴とする。
また、本発明の穿孔方法は、基準軸に対して傾斜させた鍛造工具の工具軸を揺動させて素材を成形する揺動鍛造方法を用い、
前記鍛造工具が自転しないように該鍛造工具の前記工具軸に対する回転を規制しつつ該鍛造工具を揺動させて前記素材の表面の一部を該鍛造工具の端面により押圧する工具揺動工程と、
前記工具揺動工程と協調して、前記基準軸と前記工具軸とが交差する揺動点を該基準軸に沿って相対移動させる工具送り工程と、
前記工具送り工程において前記鍛造工具により前記素材から押し出される材料を剪断して該素材から分離する剪断分離工程と、
を含み、前記素材に貫通穴を穿孔することを特徴とする。
本発明の揺動鍛造装置および穿孔方法により、素材に貫通穴を形成することができる。本発明の手法によれば、揺動鍛造により押し出した材料を剪断して素材から分離することで、素材を穿孔することができる。素材の穿孔に揺動鍛造を用いることで、前述の工具押し込みなどの従来の穿孔方法に比べて、鍛造工具を深さ方向に押し込むのに要する荷重は低減される。その結果、素材と鍛造工具との焼き付き、鍛造工具への素材材料の付着、鍛造工具の破損、加工時の騒音などが低減され長寿命となる。また、工具押し込みなどの従来の方法では、形成された貫通穴の押し込み方向前方の開口端に「かえり」、押し込み方向後方の開口端に「だれ」、穴内面に比較的大きな領域で破断面が発生する。しかし、本発明の手法によれば、鍛造工具が素材と小さな面積で接触し、回転しながら穴底を順次剪断してゆくため、貫通穴に、かえり、だれ、および破断面が発生しにくい。
また、揺動中の鍛造工具の自転を規制することで、穿孔に伴い内周面に形成される加工痕(特に螺旋痕)を抑制することができる。したがって、素材の穿孔に揺動鍛造を用いても、他の穿孔方法(たとえば、鍛造工具を単に押し込む通常の方法)と同等に安定した形状の貫通穴を加工することができる。
また、本発明の穿孔方法により得られる貫通穴をもつ部材は、揺動鍛造法により穿孔されることで、貫通穴の内面の硬さが最も固く、内面から0.5mmまでの深さ範囲にわたって素材の硬さの20%以上硬さが向上するという利点がある。また、内面から離れるにつれて漸次硬さが低下する硬さ分布を有し、内面から最も離れた位置の硬さは、加工前の素材と同程度である特徴がある。
鍛造方法は、大きく「自由鍛造」と「型鍛造」とに分類される。本発明の穿孔方法は、自由鍛造であっても型鍛造であっても可能である。すなわち、前記工具揺動工程および前記工具送り工程は、自由鍛造により前記素材に前記貫通穴を穿孔する工程であってもよい。あるいは、前記工具揺動工程および前記工具送り工程は、少なくとも前記基準軸に対して垂直方向への前記素材の変形を規制する変形規制手段を用いて該素材に前記貫通穴を穿孔する工程であってもよい。
本発明の穿孔方法によれば、揺動鍛造を用いて素材を穿孔して貫通穴を形成することが容易にできる。
本発明の穿孔方法に用いられる円形穴加工用の鍛造工具の一例を示す側面図である。 本発明の揺動鍛造装置の一例を示す概略図であって、装置の主要部を示す。 本発明の穿孔方法の一例として一回の穿孔で貫通穴を形成する方法を説明する模式図である。 本発明の穿孔方法を用いて一回の穿孔で貫通穴を形成されたアルミニウム合金素材を示す。 本発明の穿孔方法の一例として二回の穿孔で貫通穴を形成する方法を説明する模式図である。 本発明の穿孔方法を用いて二回の穿孔で貫通穴を形成されたアルミニウム合金素材を示す。 本発明の穿孔方法について、工具移動距離に対する成形荷重の変化を示すグラフである。 さお付形状の素材を模式的に示した平面図および側面図である。 本発明の穿孔方法を用いて二回の穿孔で貫通穴を形成されたさお付形状のアルミニウム合金素材を示す。 本発明の穿孔方法により両端部に貫通穴をそれぞれ穿孔したアルミニウム合金素材を示す。 本発明の穿孔方法により貫通を穿孔された素材のビッカース硬さを示すグラフである。
以下に、本発明の穿孔方法を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。また、その数値範囲内において、本明細書に記載した数値を任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。
<揺動鍛造装置>
本発明の揺動鍛造装置は、基準軸に対して傾斜させた鍛造工具の工具軸を揺動させて素材を加工する揺動鍛造装置であって、主として鍛造工具、工具揺動手段、工具送り手段および剪断分離手段を備える。なお、工具揺動手段および工具送り手段の基本的な構成および作用に関しては、一般的な揺動鍛造装置においても周知である。また、揺動工具の工具軸に対する回転を規制する回転規制手段として、たとえば、特許文献2などに記載の回転止め機構のような部材を備えてもよいがあるが、回転規制手段の構成に特に限定はない。本発明の揺動鍛造装置は、鍛造工具および剪断分離手段を組み合わせて使用することで、貫通穴の加工が可能となる。
鍛造工具は、棒状で、先端部の形状が円錐形状であるのが好ましい。素材と接触する先端部の加工面が、5°以上15°以下の先端角度αをもつとよい。α<5°では、穿孔に要する荷重が高くなるため好ましくない。また、α>15°では、鍛造工具にかかる曲げ荷重が大きくなり、好ましくない。なお、先端角度αは、工具軸と母線とが成す角をα’としたとき、(90−α’)°で表される。さらに好ましい先端角度αは、8°以上12°以下である。
図1に、本発明に好適な鍛造工具の一例を示す。図1に示す鍛造工具10は、円錐形状の先端部11と、先端部11の底部から延出するテーパ状の側面をもつ本体部12と、からなり工具軸Gと同軸的な棒状体である。先端部11の側面である加工面11sは、素材の表面の一部を押圧し、押圧方向へ材料を塑性流動させる。加工面11sの先端角度αは、工具軸Gを鉛直方向と一致させたとき、水平方向と母線とが成す角と定義できる。また、本体部12の側面である加工面12sは、貫通穴の内周面を成形する。したがって、円柱形の貫通穴を形成するのであれば、先端部の加工面11sと本体部の加工面12sとは、軸方向の断面において略垂直であるのが好ましい。断面形状が円形の貫通穴を成形する場合には、本体部12は先端部11に向けて拡径する円錐台状であればよいが、たとえば、断面形状が円形ではない異形の貫通穴を成形する場合には、貫通穴の形状に応じた表面形状の本体部12を備える鍛造工具を使用する必要がある。また、本体部の加工面12sの長さによって穿孔可能な貫通穴の深さ(すなわち穿孔可能な素材の厚さ)の上限が決まる。そのため、本体部12の軸方向の長さは、本体部12の剛性が保たれる程度に長くするとよい。
剪断分離手段は、鍛造工具と一対で使用される。剪断分離手段は、鍛造工具により素材から内部へ押し出される材料を剪断して該素材から分離する開口端部を有する。鍛造工具により押し出された材料は、鍛造工具に向かって開口する剪断分離手段の中空部に流動する。したがって、穿孔に要する成形荷重が低減される。また、鍛造工具により押し出された材料は、鍛造工具の回転により、順次、開口端部で剪断され、鍛造工具の揺動点が開口端または開口端を超える位置まで移動すると、押し出された材料は素材から分離される。このとき、鍛造工具と開口端部とのクリアランスは、素材の材質、貫通穴の形状などに応じて適宜決定すべきであるが、敢えて規定するのであれば、クリアランスを0〜1mm好ましくは0.05〜0.5mmとして、筒状ダイスの開口端部を僅かに大きくするとよい。
剪断分離手段は、穿孔される貫通穴の軸方向と垂直方向の断面形状に応じた内周面を有する筒状ダイスであるとよい。なお、本発明の鍛造装置では、鍛造工具の寸法、必要に応じて工具送り手段による基準軸の移動距離から算出される加工面の形状が、貫通穴の断面形状と略一致する。したがって、算出された加工面の形状に基づき、筒状ダイスの中空部の形状を決定するとよい。
筒状ダイスは、鍛造工具と対向させて設置される。一般的な揺動鍛造装置のステージに筒状ダイスを設置し、その上に素材を載置し、その上方に上記の鍛造工具を配設するのが好ましい。筒状ダイスの中空部の中心線と鍛造工具の基準線とが平行、さらには一致するように配置されれば、この限りではない。
工具揺動手段は、鍛造工具を揺動させて素材の表面の一部を該鍛造工具の端面により押圧する手段である。工具送り手段は、工具揺動手段と協調して、基準軸と工具軸とが交差する揺動点を基準軸に沿って相対移動させる手段である。工具送り手段は、基準軸を移動させる基準軸送り手段であってもよい。基準軸を移動させることにより、鍛造工具の寸法よりも大きな貫通穴形成することができる。なお、工具揺動手段および工具送り手段は、通常の揺動鍛造装置が備えるものと大きな違いはない。従来の揺動鍛造装置の機構を使用することが可能である。
本発明の揺動鍛造装置は、さらに、少なくとも基準軸に対して垂直方向への素材の変形を規制する変形規制手段を備えてもよい。変形規制手段に関しては、次の<揺動鍛造方法を用いた穿孔方法>の欄で詳説する。
<揺動鍛造方法を用いた穿孔方法>
本発明の穿孔方法は、主として、工具揺動工程、工具送り工程および剪断分離工程を含む。以下に、それぞれの工程について説明する。
工具揺動工程は、鍛造工具を揺動させて素材の表面の一部を鍛造工具の端面により押圧する工程である。なお、基準軸の方向に特に限定はないが、鉛直方向であるのが好ましい。基準軸に対する工具軸の角度(揺動角度θ)は、一定または変化させて鍛造工具を揺動させるとよい。たとえば、揺動角度を一定に保って基準軸を中心に工具軸を旋回させると、揺動は単純な円モーションとなる。揺動角度を変化させると、その変化のさせ方に応じて、いわゆるシーソーモーション、スパイラルモーション、デージーモーションといった動きを実現することができる。これらのうちいずれの方法で工具軸を旋回させるかは、形成する貫通穴の形状に応じて選択すればよい。しかし、いずれの旋回方法においても、最大の揺動角度θを5°以上15°以下に収めるとよい。θ<5°では、一般的な従来の揺動鍛造と同程度であるため、貫通穴を効率よく穿孔することができず望ましくない。また、θ>15°では、鍛造装置に鍛造工具を固定する工具保持手段にかかるラジアル荷重が大きくなるため望ましくない。なお、鍛造工具の先端部が先端角度αの円錐形状である場合には、揺動角度θと先端角度αとがほぼ等しくなるようにするとよい。
また、工具の旋回速度は、素材の材質に応じて適宜選定するのが望ましいが、1秒当たりの回転数で0.1〜20rpsさらには1〜10rpsとするとよい。なお、いずれの旋回方法においても1回転は、工具軸(鍛造工具)が基準軸の周りで一回公転して元の位置に戻るまでとする。
工具揺動工程では、鍛造工具の工具軸に対する回転(つまり鍛造工具の自転)を規制した状態で、鍛造工具の揺動が行われるとよい。鍛造工具の自転を規制することができる手段を有する既述の揺動鍛造装置を使用すればよい。
工具送り工程は、揺動成形工程と協調して揺動点を移動させる工程である。揺動点は、基準軸と工具軸とが交差する点である。先端部が円錐形状である鍛造工具において、通常、揺動点は円錐の頂点(図1のP)である。本発明の穿孔方法において基準軸は、形成される貫通穴の中心軸と平行または一致させるため、揺動点が基準軸に沿って相対移動することで、鍛造工具は穴の深さ方向に移動する。揺動点を基準軸に沿って移動させる方法としては、鍛造工具および/または素材を基準軸に沿って移動させるとよい。また、工具送り工程は、基準軸を移動させる基準軸送り工程と並行して行ってもよい。
工具送り工程は、素材に穴が貫通するまで揺動点を移動させる。揺動点の移動距離は、素材の穿孔する位置での厚さと同等もしくはそれ以上である。つまり、素材の形状に応じて、揺動点の移動距離は決定される。
剪断分離工程は、工具送り工程において鍛造工具により素材から押し出される材料を剪断して該素材から分離する工程である。鍛造工具は、工具揺動工程と協調する工具送り工程により、回転しながら素材の底面を順次剪断してゆく。材料の剪断および分離には、既に説明した筒状ダイスを使用するのが好適である。ただし、有底穴が形成されている素材に対して本発明の手法を用いて底部を貫通させる場合には、有底穴の底面と背向する素材の裏側から穿孔を開始すると、底部の厚み分と同じだけ揺動点を移動させた時点で、鍛造工具により移動した材料が抜け落ちることもある。つまり、筒状ダイスが不要な場合もある。
本発明の穿孔方法により貫通穴を形成される素材の材質や形状に特に限定はない。材質については、通常の鍛造に使用される金属材料などからなればよい。たとえば、前述のように、有底穴を有する素材の底部を穿孔することで、有底穴を貫通穴に加工してもよい。有底穴の加工方法に限定はないが、有底穴も揺動鍛造法を用いて穿設することで、同一の装置で有底穴およびその底部の穿孔を行うことができる。はじめに、上記の揺動鍛造装置において、筒状ダイスを使用せず素材を平坦なステージ上に載置して、揺動点の移動距離を底部の厚さに応じて選択し、有底穴の加工を行う。その後、有底穴を形成された素材を筒状ダイスに載置し、有底穴の底部を穿孔すればよい。底部の穿孔方向は、有底穴の内面から行ってもよいし、有底穴の内面と背向する他方の面から行ってもよい。後者の場合には、有底穴の加工により素材の外形が不均一に変形しても、底部の穿孔により全体の変形が緩和されて、均一な外形が得られるため望ましい。
本発明の穿孔方法において、素材の固定方法について特に限定はない。したがって、素材をほとんど固定することなく自由鍛造を行ってもよいし、素材の変形を規制できるように素材を固定して型鍛造を行ってもよい。
自由鍛造を行うのであれば、鍛造工具の加工面と素材の被加工面とを対向させて素材を装置に配置できれば、工具揺動工程および工具送り工程において素材を特に固定する必要はなく、例えば装置に備えられたステージに載置するのみであってもよい。ただし、鍛造工具の揺動に伴い素材の位置が移動してしまうと加工痕が生じやすくなるので、軽量で小型の素材であれば、工具揺動工程および工具送り工程において素材が移動しないようにするとよい。
一方、変形規制手段を用いた型鍛造を行ってもよい。たとえば、工具揺動工程および工具送り工程において、少なくとも基準軸に対して垂直方向への素材の変形を規制する変形規制手段を用いてもよい。変形規制手段により、少なくとも基準軸に対して垂直方向への材料の塑性流動が抑制される。変形規制手段は、加工による断面減少率が大きい(たとえば30%以上さらには50%以上)場合に用いると効果的である。なお、断面減少率は、素材の穿孔される表面(被加工面)において、穿孔前の表面積(mm)に対する貫通穴の開口面積(mm)で算出される。具体的には、変形規制手段は、素材の外形に応じたキャビティを有し素材の全体を収容する変形規制型であるとよい。また、素材の形状が棒状である場合には、少なくとも一端部を固定する固定部材により、長手方向に垂直方向に貫通穴を形成するに伴って生じる素材の屈曲または長手方向への伸びなどの変形を防止するとよい。また、必要に応じて、基準軸方向への素材の変形を規制する素材押さえ手段を使用してもよい。貫通穴の形成では、材料を流動させて穴の抜ける方向へと移動させればよいため、軸方向への変形を規制しても、形成される貫通穴の形状に大きく影響しない。
工具送り工程における鍛造工具の望ましい送り条件は、塑性流動による材料の流動量(塑性流動割合)により規定することができる。塑性流動割合は、貫通穴の最大径(mm)に対する工具揺動工程における鍛造工具の揺動1回(円モーションであれば1周)当たりの素材に形成される貫通穴の深さ(mm)の割合(%)で表される。ここで、「貫通穴の最大径」とは、径方向断面における外接円の直径である。鍛造工具の揺動は、前述の通り鍛造工具が公転して元の位置に戻ったら、「揺動1回」とする。また、「素材に形成される貫通穴の深さ」とは、元の素材の基準軸方向の長さと貫通穴が穿孔された加工後の素材の基準軸方向の長さとの差に鍛造工具の送り量を足した値である。加工後の素材の基準軸方向の長さは均一ではないが、複数箇所で測定した長さ(たとえば最大値と最小値)の平均値を採用する。
上記の変形規制手段を用いるのであれば、以上のように算出される塑性流動割合が、3%以上16.5%以下さらには4%以上12%以下であるのが望ましい。塑性流動割合が3%未満であっても加工痕は抑制されるものの、前回(N回目)の揺動により塑性流動した材料が次回(N+1回目)の揺動により再度塑性流動することで貫通穴の内周面に材料の重なり合いが生じて内周面が隆起するため望ましくない。塑性流動割合が16.5%以下、15%以下さらには12%以下であれば、鍛造工具が貫通穴の内周面に接触して生じる筋模様の発生を抑制できるため望ましい。
なお、送り速度を具体的に規定するのであれば、最大径(直径)が15〜20mmの円柱状の貫通穴を穿孔する場合に、上記断面減少率が30〜70%であれば、鍛造工具の揺動1回当たりの鍛造工具の送り量で0.1〜2mm/回、0.15〜2mm/回、0.3〜1.5mm/回さらには0.4〜1.3mm/回とするのがよい。
一方、変形規制手段を用いずに自由鍛造を行う場合には、以上のように算出される塑性流動割合が、0.3%以上11%以下さらには0.5%以上5%以下であるのが望ましい。望ましい塑性流動割合が上記の範囲と異なるのは、自由鍛造では、素材に鍛造工具が押し込まれるときに押し込み方向と直角方向にも材料が流動するためである。したがって、自由鍛造では、塑性流動割合を2%未満にしても貫通穴の内周面に材料の重なり合いが生じない。しかし、塑性流動割合が0.3%未満では、加工の効率が悪くなるため望ましくない。塑性流動割合が11%以下さらには5%以下であれば、加工に要する荷重を低減できるとともに加工による素材の外形の変形をも抑制できるため望ましい。
自由鍛造における送り速度を上記の塑性流動割合に基づき具体的に規定するのであれば、最大径(直径)が15〜20mmの円柱状の貫通穴を穿孔する場合に、上記断面減少率が30〜70%であれば、鍛造工具の揺動1回当たりの鍛造工具の送り量で0.05〜2mm/回さらには0.1〜1mm/回とするのがよい。
以上説明した本発明の穿孔方法は、これまでの穿孔方法の代用となりえ、また、従来の鍛造装置を一部変更して使用することも可能であるため、幅広い分野での利用が期待される。特に、本発明の穿孔方法は、コネクティングロッド(コンロッド)、ピストンピン、中空軸部品などの貫通穴付部を有する穴付部品の製造に好適な製造方法である。そのため、具体的な貫通穴の大きさおよび形状は、コンロッドの小端部であれば直径が20〜50mm程度の円形貫通穴、ピストンピンであれば直径が15〜35mm程度の円形貫通穴、中空軸部品であれば最大径が50〜100mm程度の異形貫通穴または円形貫通穴、を想定している。
以上、本発明の穿孔方法の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の穿孔方法の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。はじめに、穿孔に用いた揺動鍛造装置を図1および図2を用いて説明する。
<揺動鍛造装置>
揺動鍛造装置は、鍛造工具10、素材保持手段20、工具揺動手段30、回転規制手段40、工具送り手段50および剪断分離手段60を備える。
円形穴加工用の鍛造工具10を図1に示した。鍛造工具10は、先端部11および本体部12を備える棒状体である。先端部11は、直径18mmの底面(最大径部)をもつ円錐形状(先端角度α=10°)である。鍛造工具10の後端部側は、工具揺動手段30に固定されている。本体部12は、先端部11の底部から延出するテーパ状の側面12sをもつ。なお、貫通穴の最大径を鍛造工具の寸法から計算すると、18.3mmであった。
素材保持手段20は、素材Wを載置するステージ21を備える。ステージ21は、鍛造工具10の下方に位置する。ステージ21には、必要に応じて、型鍛造用の金型22が配設可能である。型鍛造を行う場合には、素材Wは金型22に収容される。そして、穿孔を行う場合には、金型22の有無に関わらず、素材Wは、筒状ダイス61からなる剪断分離手段60に載置された状態で、ステージ21に載置される。
工具揺動手段30は、揺動点P(先端部11の頂点)を中心に基準軸Cに対して傾斜させた鍛造工具10の工具軸Gを揺動させることで、鍛造工具10を揺動させる。なお、本揺動鍛造装置において、基準軸Cは、揺動鍛造装置の中心軸M、さらには鉛直方向と一致する。揺動成形手段30は、鍛造工具10を回転不可に保持する第一工具保持部材31、第一工具保持部材31(および鍛造工具10)を工具軸Gに対して回転可能に保持する第二工具保持部材32、鍛造工具10の工具軸Gを中心軸Mに対して傾斜(揺動角度θ=10°で固定)させて装置本体に固定するとともに駆動軸34の回転を第二工具保持部材32に伝達する工具回転固定部材33、を備える。中心軸Mを中心に駆動軸34を回転させることで、工具回転固定部材33とともに第二工具保持部材32が回転する。このとき、工具軸Gは中心軸Mに対して傾斜しているため、揺動工具10は基準軸Cを中心に公転して揺動する。
回転規制手段40は、第一工具保持手段31が第二工具保持手段32に対して回転することで、第一工具保持手段31に固定された鍛造工具10が自転するのを規制する。回転規制手段40は、第一工具保持手段31に固定されたアーム41を備える。アーム41は、その両端がアーム41の傾斜に伴う上下動が可能となるように装置本体に保持される(図示せず)。つまり、アーム41は、工具軸Gに対して回転することなく、鍛造工具10の揺動に応じて傾斜して両端が上下動する。つまり、アーム41に固定された第一工具保持手段31はアーム41により回転不可となり、第一工具保持手段31に固定された鍛造工具10も自転できないように回転が規制される。
工具送り手段50は、素材保持手段20(ステージ21)を移動させる駆動手段である(図示せず)。工具送り手段50は、基準軸Cに沿ってステージ21を移動させる手段である。すなわち、工具送り手段50は、ステージ21を鉛直方向に上下動させて鍛造工具10とステージ21(素材W)との間隔を広狭させる手段である。
鍛造工具10を揺動させつつステージ21を鉛直方向上方に移動させることで、工具が素材Wに押し込まれて貫通穴が穿孔される。なお、図2の下図は、鍛造工具10を先端側から平面視した平面図である。素材Wの被加工面と当接する加工面11sにおいて、素材Wを加工する際の接触範囲は、Sで示される範囲である。円モーションにより鍛造工具10を揺動させると、Sで示す範囲が加工面11sを周方向に移動しつつ鉛直方向下方に移動するため、これに伴い筒状ダイス61の中空部に材料が押し出され、開口端部61aで剪断されて素材Wから分離されることで、貫通穴が形成される。
以下の実施例では、上記の揺動鍛造装置を用い、種々の形状の素材(アルミニウム合金(A1050−O)製)に貫通穴を穿孔した。
<実施例1−1>
φ26mm×12mmの円柱形素材W1に、以下の条件で貫通穴を穿孔した。穿孔方法を、図3を用いて説明する。
金型22を使用せず、内径φ18.6mmの円筒形の筒状ダイス62を用いた。したがって、鍛造工具10と筒状ダイス62とのクリアランスdは、0.15mmであった。筒状ダイス62の端面に、円柱形素材W1を載置した。このとき、筒状ダイス62の軸線と基準軸Cとを一致させた。この状態で、鍛造工具10を揺動角度θ=10°、1rpsで揺動させた。そして、鍛造工具10を揺動させながらステージ21を所定の速度で中心軸M(基準軸C)に沿って上方に移動させ、穿孔を行った。素材の移動速度(工具押込速度)Vは、0.15mm/秒(つまり鍛造工具10の公転一回当たりの工具押込量は0.15mm/回)とし、素材W1の表面からの鍛造工具の圧下量が12mm以上となるまで移動させた。素材と揺動工具10との接触面には、潤滑油を供給した。貫通穴を穿孔後の素材(筒状部材)を、筒状ダイス62へ抜かれた穴抜き部とともに、図4に示した。
穿孔により得られた筒状部材の内径、外径および高さを測定した。内径および外径は、筒状部材の上面と下面において測定し、いずれも外接円の直径とした。高さは、内面と外面において測定し、いずれも複数回測定した値の平均値とした。結果を図4に示した。外径のばらつきは2mm以下、内径のばらつきは0.5mm以下であった。また、内周面はなだらかで、だれ、かえり、破断面などはほとんど見られなかった。
<実施例1−2>
φ26mm×12mmの円柱形素材W1に、以下の条件で貫通穴を穿孔した。穿孔方法を、図5を用いて説明する。本実施例では、揺動鍛造による加工は、2回行った。
一回目は、金型22も筒状ダイス62も使用せず、平坦面をもつ台座63に円柱形素材W1を載置した。この状態で、鍛造工具の圧下量を6mmとしたほかは実施例1−1と同じ手順で、素材W1に有底穴を形成した。
二回目は、金型22を使用せず、有底穴が形成された素材W1’を開口する方を下方にして、内径φ18.6mmの円筒形の筒状ダイス62に載置した。この状態で、実施例1−1と同じ条件で、素材W1’に貫通穴を形成した。なお、本実施例では、揺動点Pを素材W1’の底部の外面から14mm移動した時点で、穴抜き部が筒状ダイス62へ落下した。貫通穴を穿孔後の素材を、穴抜き部とともに、図6に示した。
穿孔により得られた筒状部材の内径、外径および高さを、実施例1−1と同様に測定した。結果を図6に示した。外径および内径のばらつきは、実施例1−1よりも低減された。これは、上下反転させて加工したことで、一回目の有底穴の穿設により生じた素材の変形が、二回目の逆方向からの貫通穴の穿孔により緩和されたためであると考えられる。また、内周面はなだらかで、だれ、かえり、破断面などはほとんど見られなかった。
<成形荷重について>
実施例1−1および実施例1−2について、工具圧下量に対する成形荷重を測定した。結果を図7に示した。
実施例1−1のように一回で貫通穴を形成した場合であっても、成形に要する荷重は、従来の打ち抜きによる貫通穴の形成に要する荷重(2.5〜4ton程度)よりも大幅に低減された。また、実施例1−2のように貫通穴を形成する前に有底穴を形成する場合には、一回目の有底穴の形成には実施例1−1よりも大きな荷重を要するものの、二回目の貫通穴の形成には、実施例1−1よりも小さな荷重で加工することができた。
<実施例2>
素材として、コンロッドを想定したさお付き形状素材W2を準備した。素材W2の形状を図8に示した。素材W2は、円形部2aおよび円形部2aの側面から径方向に延出するさお部2bからなる。この素材W2の円形部2aに、穿孔を行った。
筒状ダイス62の内径をφ22mmとしたほかは、実施例1−2と同様にして、二回の加工により貫通穴を形成した。なお、本実施例では、二回目の加工において、揺動点Pを素材の底部の外面から2mm移動した時点で、穴抜き部が筒状ダイス62へ落下した。貫通穴を穿孔後の素材を、筒状ダイス62へ抜かれた穴抜き部とともに、図9に示した。
穿孔により得られた筒状部材の内径、外径および高さを、実施例1−1と同様に測定した。結果を図9に示した。一回目の加工では、さお部が大きく変形し、素材にそりが発生したが、二回目の加工後には、そりは全く見られなかった。実施例1−2と本実施例から、上下反転させて二度の揺動鍛造を行うことにより、変形規制手段を用いることなく外形を均一にできることがわかった。
<実施例3>
二つの素材W2をさお部の端面で対称になるように連結した外形を有する連結型さお付形状素材W3を準備した。この素材W3の両端部の円形部に、穿孔を行った。
素材W3には、一端の円形部に対して実施例1−1と同様の手順で穿孔を行い、その後、他端の円形部に対して実施例1−2と同様の手順で穿孔を行った。貫通穴を穿孔後の素材を、筒状ダイス62へ抜かれた穴抜き部とともに、図10に示した。両端部において貫通穴を形成しても、そりは見られなかった。
<実施例4>
φ26mm×12mmの円柱形の素材を用い、実施例1−2と同様にして貫通穴を形成した。貫通穴を形成後の素材について、ビッカース硬さ測定を行った。ビッカース硬さ測定は、円柱の直径の位置で軸方向に切断した断面に対して、ビッカース硬さ計を用いて測定荷重200gfで行った。硬さ測定は、軸方向の三か所において、図11の矢印に沿って、貫通穴の表面から外側に向かって間隔を隔てて行った。測定結果を図11のグラフに示した。
貫通穴の内周面には、揺動鍛造を用いた穿孔で見られる特有の送りマークが、周方向に見られた。また、貫通穴の内面から1.5mmまでの範囲で、元の素材よりも硬さが向上したことがわかった。内面から0.5mmの位置では、硬さの向上は、元の素材のビッカース硬さの20%以上であった。

Claims (14)

  1. 基準軸に対して傾斜させた鍛造工具の工具軸を揺動させて素材を加工する揺動鍛造装置であって、
    前記鍛造工具と、
    前記鍛造工具を揺動させて前記素材の表面の一部を該鍛造工具の端面により押圧する工具揺動手段と、
    前記工具揺動手段と協調して、前記基準軸と前記工具軸とが交差する揺動点を該基準軸に沿って相対移動させる工具送り手段と、
    前記鍛造工具が自転しないように該鍛造工具の前記工具軸に対する回転を規制する回転規制手段と、
    前記鍛造工具に向かって開口し、前記鍛造工具により前記素材から内部へ押し出される材料を剪断して該素材から分離する開口端部を有する剪断分離手段と、
    を備え、前記鍛造工具で前記素材に貫通穴を穿孔することを特徴とする揺動鍛造装置。
  2. 前記剪断分離手段は、穿孔される前記貫通穴の軸方向と垂直方向の断面形状に応じた内周面を有する筒状ダイスである請求項1に記載の揺動鍛造装置。
  3. 記基準軸と前記工具軸との成す角θ5〜15°である請求項1または2に記載の揺動鍛造装置。
  4. 前記鍛造工具は、前記工具軸と母線との成す角をα’としたときに(90−α’)で表される先端角度αが5〜15°である円錐形状の先端部をもつ請求項1〜のいずれかに記載の揺動鍛造装置。
  5. さらに、少なくとも前記基準軸に対して垂直方向への前記素材の変形を規制する変形規制手段を備える請求項1〜のいずれかに記載の揺動鍛造装置。
  6. 前記変形規制手段は、前記素材を収容する変形規制型である請求項記載の揺動鍛造装置。
  7. 基準軸に対して傾斜させた鍛造工具の工具軸を揺動させて素材を成形する揺動鍛造方法を用い、
    前記鍛造工具が自転しないように該鍛造工具の前記工具軸に対する回転を規制しつつ該鍛造工具を揺動させて前記素材の表面の一部を該鍛造工具の端面により押圧する工具揺動工程と、
    前記工具揺動工程と協調して、前記基準軸と前記工具軸とが交差する揺動点を該基準軸に沿って相対移動させる工具送り工程と、
    前記工具送り工程において前記鍛造工具により前記素材から押し出される材料を剪断して該素材から分離する剪断分離工程と、
    を含み、前記素材に貫通穴を穿孔することを特徴とする穿孔方法。
  8. 前記工具揺動工程および前記工具送り工程は、自由鍛造により前記素材を穿孔する工程である請求項に記載の穿孔方法。
  9. 前記素材は有底穴を有し、
    前記工具揺動工程および前記工具送り工程は、前記鍛造工具により該有底穴の底部を穿孔する工程である請求項またはに記載の穿孔方法。
  10. 前記有底穴は、前記鍛造工具を用いた揺動鍛造方法を用いて形成される請求項記載の穿孔方法。
  11. 前記工具揺動工程および前記工具送り工程は、少なくとも前記基準軸に対して垂直方向への前記素材の変形を規制する変形規制手段を用いて該素材を穿孔する工程である請求項に記載の穿孔方法。
  12. 前記変形規制手段は、前記素材を収容する変形規制型である請求項11に記載の穿孔方法。
  13. 前記工具揺動工程は、前記基準軸と前記工具軸との成す角θを5〜15°にして前記鍛造工具を揺動させる工程である請求項7〜12のいずれかに記載の穿孔方法。
  14. コネクティングロッド、ピストンピンまたは中空軸部品の製造に用いる請求項7〜13のいずれかに記載の穿孔方法。
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