JP2009285690A - スプライン鍛造装置及びスプライン鍛造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スプライン鍛造装置1は、軸状本体部81とスプライン軸部82とを同軸状に有し、スプライン軸部82の基部の全周にフランジ部83を有する軸状部品8に対して、スプライン軸部82の内周面821に、スプラインを鍛造成形するものである。スプライン鍛造装置1は、下型2と上型4とによって軸状部品8を挟持するときには、下型中心隙間211を利用して軸状本体部81の水平方向位置及び向きを修正し、スプライン成形パンチ5を下降させるときには、上型保持面42が加工基準面85に対面していることにより、加工基準面85に対して垂直にスプラインを鍛造成形するよう構成してある。
【選択図】図4
Description
例えば、特許文献1においては、押し出し工程及び据え込み工程を行って、車輪支持用ハブユニットの軌道輪部材を製造する方法が開示されている。曲げ加工を行わずに冷間鍛造によって低荷重で軌道輪部材を成形することができる。また、例えば、特許文献2においては、ダイスの成形穴に対して同心状にパンチを移動させ、はすば歯車を閉塞鍛造成形することが開示されている。
このとき、下型と上型との配置関係の誤差、平行度の誤差等によって、スプラインを成形するためのパンチの中心軸線と、軸状部品の中心軸線とが、横にずれたり、斜めにずれたりした状態で、スプライン成形を行ってしまうおそれがある。
該鍛造装置は、上記スプライン軸部を鉛直方向の上側にして保持するよう構成してあると共に、上記軸状本体部の外周面との間に下型中心隙間を形成する下型保持穴を有する下型と、上記フランジ部の軸方向上側面の全周に形成した平坦状の加工基準面に対面する上型保持面を有する上型と、上記上型保持面に対して垂直に下降可能な状態で上記上型に配設したスプライン成形パンチとを備えており、かつ、上記下型と上記上型とによって挟持した上記軸状部品に対して上記スプライン成形パンチを下降させて、上記スプラインを鍛造成形するよう構成してあり、
上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型中心隙間を利用して上記軸状本体部の水平方向位置及び向きを修正し、上記スプライン成形パンチを下降させるときには、上記上型保持面が上記加工基準面に対面していることにより、該加工基準面に対して垂直に上記スプラインを鍛造成形するよう構成したことを特徴とするスプライン鍛造装置にある(請求項1)。
そして、スプラインの鍛造成形を行う際には、下型と上型とによって軸状部品を挟持する。このとき、下型の下型保持穴と、軸状本体部の外周面との間に下型中心隙間が形成されていることにより、この下型中心隙間を利用して、軸状本体部(軸状部品)の水平方向位置及び向きを修正することができる。
上記スプライン軸部を鉛直方向の上側にした状態で上記下型に上記軸状部品を配置し、該下型の下型成形穴と該軸状部品における上記軸状本体部の外周面との間に下型中心隙間を形成する部品配置工程と、
上記上型を下降させて、該上型の上型保持面を上記軸状部品における上記フランジ部の軸方向上側面の全周に形成した平坦状の加工基準面に対面させて、上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持することにより、上記下型中心隙間を利用して上記軸状本体部の水平方向位置及び向きを修正する挟持工程と、
上記上型保持面に対して垂直に上記スプライン成形パンチを下降させ、上記加工基準面に対して垂直に上記スプラインを鍛造成形する鍛造工程とを含むことを特徴とするスプライン鍛造方法にある(請求項5)。
本発明のスプライン鍛造方法においても、下型と上型との間に軸状部品を挟持し、この軸状部品におけるスプライン軸部にスプラインを鍛造成形する。
第1の発明において、上記スプライン鍛造装置は、上記下型を保持する下型ホルダを備えており、該下型ホルダは、上記下型を水平方向へ位置ずれ可能に保持するよう構成してあり、上記下型は、上記フランジ部の軸方向下側面に対面する下型保持面を有しており、上記スプライン鍛造装置は、上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型ホルダに対して上記下型が水平方向へ位置ずれすることによっても、上記軸状本体部の水平方向位置を修正し、上記スプライン成形パンチを下降させるときには、上記下型の上記下型保持面によって当該スプライン成形パンチの荷重を受けるよう構成することができる(請求項2)。
また、第2の発明において、上記挟持工程においては、上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型の下型保持面によって上記フランジ部の軸方向下側面を保持すると共に、上記下型が該下型を保持する下型ホルダに対して水平方向へ位置ずれすることによっても、上記軸状本体部の水平方向位置を修正し、上記鍛造工程においては、上記下型の下型保持面によって上記スプライン成形パンチの荷重を受けることができる(請求項6)。
これらの場合には、下型の下型保持面によって鍛造成形時の荷重を安定して受けると共に、下型を下型ホルダに対して水平方向へ位置ずれさせることによって、軸状本体部(軸状部品)の水平方向位置及び向きを安定して修正することができる。
また、第2の発明において、上記挟持工程においては、上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型と上記軸状部品における上記フランジ部の軸方向下側面との間に下型上面隙間を形成する一方、鍛造成形後の軸状部品を上方へ払い出すためのエジェクタを上記軸状部品における上記軸状本体部の下端面に当接させ、上記鍛造工程においては、上記エジェクタによって上記スプライン成形パンチの荷重を受けることができる(請求項7)。
これらの場合には、エジェクタによって鍛造成形時の荷重を安定して受けると共に、下型上面隙間の形成によって、軸状本体部(軸状部品)の水平方向位置及び向きを安定して修正することができる。
この場合には、上型によって、軸状部品におけるスプライン軸部をより安定して保持することができ、スプライン軸部に対してより安定してスプラインを鍛造成形することができる。
(実施例1)
本例のスプライン鍛造装置1は、図1〜図6に示すごとく、軸状本体部81の軸方向端部に、この軸状本体部81と同軸状に断面円環形状のスプライン軸部82を設け、このスプライン軸部82の基部の全周において、径方向外方へ突出するフランジ部(円盤形状部)83を形成してなる軸状部品8に対して、スプライン軸部82の内周面821に、軸方向に沿って周方向に複数繰り返し形成した山部と谷部とによるスプライン823を鍛造成形するものである。
また、スプライン鍛造装置1は、図4に示すごとく、下型2と上型4とによって軸状部品8を挟持するときには、下型中心隙間211を利用して軸状本体部81の水平方向位置及び向き(姿勢)を修正し、図5に示すごとく、スプライン成形パンチ5を下降させるときには、上型保持面42が加工基準面85に対面していることにより、加工基準面85に対して垂直にスプライン823を鍛造成形するよう構成してある。
本例の軸状部品8は、自動変速機(ベルト式無段変速機)に用いるシーブ部材である。
図6に示すごとく、軸状部品8におけるフランジ部83の軸方向上端面831は、軸状部品8の軸方向に垂直なストレート面状に形成されており、軸状部品8におけるフランジ部83の軸方向下端面832は、外周に向かうに連れて軸方向上端面831との間の軸方向幅が細くなるテーパ面状に形成されている。また、フランジ部83の軸方向上側面831の中心部分には、全周において上方へ突出する段差状凸部84が形成してあり、本例の加工基準面85は、段差状凸部84の上端面として形成してある。
本例のスプライン鍛造装置1は、軸状部品8におけるスプライン軸部82の内周面821に対して、冷間鍛造成形によってスプライン823を形成するものである。
本例のスプライン成形パンチ5は、上型4の径方向中心部に形成した貫通穴43内を摺動するよう構成されている。上型4及びスプライン成形パンチ5は、上型4を保持する上型ホルダ6と共に一体的に昇降するよう構成してある。スプライン成形パンチ5は、その下端部の近傍の外周面に、スプライン823を鍛造成形するためのスプライン歯51を有している。
図2、図3に示すごとく、スプライン鍛造装置1は、上型ホルダ6を下降させる際に、上型4の上型保持面42が軸状部品8の加工基準面85に当接したときには、上型用スプリング44を弾性変形(弾性縮小)させながら(上型用スプリング44の弾性反発力によって)、上型4の上型保持面42と下型2の下型保持面22との間に軸状部品8を挟持するよう構成してある。
上型4とスプライン成形パンチ5とは、上型ホルダ6において、互いに平行にスライドするよう構成してあり、上型4の上型保持面42は、上型4とスプライン成形パンチ5とのスライド方向に対して垂直に形成してある。
下型ホルダ3は、下型2を下方から受ける荷重受けブロック31と、下型2の外周面(側面)に形成した凸部23を上方から押さえるホルダブロック32と、荷重受けブロック31の外周側においてホルダブロック32を支えるホルダ支持ブロック33とを有している。ホルダブロック32とホルダ支持ブロック33とは、下型2の下型保持穴21の中心軸線の回りに回転させて螺合するよう構成してある。そして、ホルダ支持ブロック33に対してホルダブロック32を螺合することにより、下型2を荷重受けブロック31とホルダブロック32との間に挟持することができる。
本例のスプライン鍛造装置1は、下型2と上型4とによって軸状部品8を挟持するときには、下型ホルダ3に対して下型2が水平方向へ位置ずれすることによっても、軸状本体部81の水平方向位置を修正し、スプライン成形パンチ5を下降させるときには、下型2の下型保持面22によってスプライン成形パンチ5の荷重を受けるよう構成してある。
なお、図3に示すごとく、ピン用スプリング53による反発弾性力を利用して抜出用ピン52を押し下げることにより、スプライン成形パンチ5を、スプライン軸部82における鍛造成形後のスプライン823から抜き出すことを容易にすることができる。
本例は、図7〜図11に示すごとく、上型4及びスプライン成形パンチ5から軸状部品8に加わる荷重を下型2の下型保持面22によって受ける代わりに、エジェクタ25によって、軸状部品8における軸状本体部81の下端面を受けるよう構成した例である。
具体的には、本例のスプライン鍛造装置1は、図8、図10に示すごとく、下型2と上記上型4とによって軸状部品8を挟持するときには、下型2の下型保持面22と軸状部品8におけるフランジ部83の軸方向下側面832との間に下型上面隙間221を形成する一方、図9、図11に示すごとく、エジェクタ25を軸状本体部81の下端面に当接させて、エジェクタ25と上型4の上型保持面42との間に軸状部品8を挟持するよう構成してある。また、本例のスプライン鍛造装置1は、スプライン成形パンチ5を下降させるときには、エジェクタ25によって当該スプライン成形パンチ5の荷重を受けるよう構成してある。
次いで、図8、図10に示すごとく、挟持工程として、上型4及びスプライン成形パンチ5を一体化した上型ホルダ6の全体を下降させたときには、上型4の上型保持面42とエジェクタ25とによって軸状部品8を挟持する。このとき、下型2の下型保持穴21と、軸状本体部81の外周面との間に下型中心隙間211が形成されていること、及びフランジ部83の軸方向下端面832と下型2の下型保持面22との間に下型上面隙間221が形成されていることにより、下型中心隙間211及び下型上面隙間221を利用して、上型4の上型保持面42と加工基準面85とを全周において当接させることができ、軸状本体部81(軸状部品8)の水平方向位置及び向きを修正することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
2 下型
21 下型保持穴
211 下型中心隙間
22 下型保持面
221 下型上面隙間
25 エジェクタ
3 下型ホルダ
4 上型
41 上型保持穴
411 上型中心隙間
42 上型保持面
5 スプライン成形パンチ
6 上型ホルダ
8 軸状部品
81 軸状本体部
82 スプライン軸部
823 スプライン
83 フランジ部
831 軸方向上端面
832 軸方向下端面
84 段差状凸部
85 加工基準面
Claims (7)
- 軸状本体部の軸方向端部に、該軸状本体部と同軸状に断面円環形状のスプライン軸部を設け、該スプライン軸部の基部の全周において、径方向外方へ突出するフランジ部を形成してなる軸状部品に対して、上記スプライン軸部の内周面又は外周面のいずれか一方に、軸方向に沿って周方向に複数繰り返し形成した山部と谷部とによるスプラインを鍛造成形するための鍛造装置において、
該鍛造装置は、上記スプライン軸部を鉛直方向の上側にして保持するよう構成してあると共に、上記軸状本体部の外周面との間に下型中心隙間を形成する下型保持穴を有する下型と、上記フランジ部の軸方向上側面の全周に形成した平坦状の加工基準面に対面する上型保持面を有する上型と、上記上型保持面に対して垂直に下降可能な状態で上記上型に配設したスプライン成形パンチとを備えており、かつ、上記下型と上記上型とによって挟持した上記軸状部品に対して上記スプライン成形パンチを下降させて、上記スプラインを鍛造成形するよう構成してあり、
上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型中心隙間を利用して上記軸状本体部の水平方向位置及び向きを修正し、上記スプライン成形パンチを下降させるときには、上記上型保持面が上記加工基準面に対面していることにより、該加工基準面に対して垂直に上記スプラインを鍛造成形するよう構成したことを特徴とするスプライン鍛造装置。 - 請求項1において、上記スプライン鍛造装置は、上記下型を保持する下型ホルダを備えており、
該下型ホルダは、上記下型を水平方向へ位置ずれ可能に保持するよう構成してあり、
上記下型は、上記フランジ部の軸方向下側面に対面する下型保持面を有しており、
上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型ホルダに対して上記下型が水平方向へ位置ずれすることによっても、上記軸状本体部の水平方向位置を修正し、上記スプライン成形パンチを下降させるときには、上記下型の上記下型保持面によって当該スプライン成形パンチの荷重を受けるよう構成したことを特徴とするスプライン鍛造装置。 - 請求項1において、上記スプライン鍛造装置は、上記軸状本体部の下端面に当接して、鍛造成形後の軸状部品を上方へ払い出すエジェクタを備えており、
上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型と上記フランジ部の軸方向下側面との間に下型上面隙間を形成する一方、上記エジェクタを上記軸状本体部の下端面に当接させ、上記スプライン成形パンチを下降させるときには、上記エジェクタによって当該スプライン成形パンチの荷重を受けるよう構成したことを特徴とするスプライン鍛造装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項において、上記フランジ部の軸方向上側面の中心部分には、全周において上方へ突出する段差状凸部が形成してあり、上記加工基準面は、上記段差状凸部の上端面として形成してあり、
上記上型は、上記スプライン軸部の外周面との間に、上記下型中心隙間よりも小さな隙間の上型中心隙間を形成すると共に、上記フランジ部の軸方向上端面との間には上型下面隙間を形成して、上記スプライン軸部を保持するよう構成してあり、
上記スプライン成形パンチは、上記スプライン軸部の内周面に上記スプラインを鍛造成形するよう構成してあることを特徴とするスプライン鍛造装置。 - 軸状本体部の軸方向端部に、該軸状本体部と同軸状に断面円環形状のスプライン軸部を設け、該スプライン軸部の基部の全周において、径方向外方へ突出するフランジ部を形成してなる軸状部品に対して、上記スプライン軸部の内周面又は外周面のいずれか一方に、軸方向に沿って周方向に複数繰り返し形成した山部と谷部とによるスプラインを鍛造成形するための鍛造方法において、
上記スプライン軸部を鉛直方向の上側にした状態で上記下型に上記軸状部品を保持し、該下型と該軸状部品における上記軸状本体部の外周面との間に下型中心隙間を形成する部品保持工程と、
上記軸状部品における上記スプライン軸部に対して上記上型を下降させて、該上型によって該スプライン軸部を保持し、上記上型を上記軸状部品における上記フランジ部の軸方向上側面の全周に形成した平坦状の加工基準面に対面させて、上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持することにより、上記下型中心隙間を利用して上記軸状本体部の水平方向位置及び向きを修正する挟持工程と、
上記軸状部品における上記スプライン軸部に対して、上記上型に対して平行に上記スプライン成形パンチを下降させ、上記加工基準面に対して垂直に上記スプラインを鍛造成形する鍛造工程とを含むことを特徴とするスプライン鍛造方法。 - 請求項5において、上記挟持工程においては、上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型の下型保持面によって上記フランジ部の軸方向下側面を保持すると共に、上記下型が該下型を保持する下型ホルダに対して水平方向へ位置ずれすることによっても、上記軸状本体部の水平方向位置を修正し、
上記鍛造工程においては、上記下型の下型保持面によって上記スプライン成形パンチの荷重を受けることを特徴とするスプライン鍛造方法。 - 請求項5において、上記挟持工程においては、上記下型と上記上型とによって上記軸状部品を挟持するときには、上記下型と上記軸状部品における上記フランジ部の軸方向下側面との間に下型上面隙間を形成する一方、鍛造成形後の軸状部品を上方へ払い出すためのエジェクタを上記軸状部品における上記軸状本体部の下端面に当接させ、
上記鍛造工程においては、上記エジェクタによって上記スプライン成形パンチの荷重を受けることを特徴とするスプライン鍛造方法。
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