JP4983773B2 - 鍛造装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1においては、パンチとダイスとが相互に接近して被成形材の鍛造を行う鍛造金型装置が開示されている。この鍛造金型装置は、ダイスには、ダイス軸心を中心として第1テーパ面を有しており、パンチを保持するパンチホルダには、第1テーパ面に嵌合する第2テーパ面を有している。そして、第1テーパ面と第2テーパ面とが嵌合したときには、パンチホルダ軸心に同軸状態のパンチ軸心と、ダイス軸心とを一致させている。これにより、極めて高精度な鍛造品を成形し、鍛造後において機械加工を不要とし、生産コストの大幅な低減を可能にしている。
従って、軸状素材のノックアウト時の飛び跳ねを防止するためには、更なる工夫が必要とされる。
上記保持穴は、一般穴部と、当該保持穴の上端開口部において上記一般穴部の内径よりも大きな内径に形成した拡径穴部とを有しており、
上記一般穴部及び上記拡径穴部は、上記鍛造成形前の上記軸状素材の軸部の直径よりも大きい一方、上記鍛造成形後における発熱膨張状態の上記軸状素材の軸部の直径よりも小さくなるよう形成してあり、
上記保持穴内に配置したノックアウトピンを上昇させて、上記発熱膨張状態の軸状素材を上記保持穴から抜き出すときには、当該軸状素材の軸部が上記一般穴部内を摺動する状態から上記拡径穴部内を摺動する状態に変化することにより、当該軸状素材から上記保持穴に加わる圧力を緩和するよう構成したことを特徴とする鍛造装置にある(請求項1)。
具体的には、本発明の下型における保持穴には、上記一般穴部の上方であって保持穴の上端開口部に上記拡径穴部が形成してある。一般穴部及び拡径穴部は、鍛造成形前の軸状素材の軸部の直径(外径)よりも大きい一方、鍛造成形後における発熱膨張状態の軸状素材の軸部の直径(外径)よりも小さくなるよう形成してある。
また、本発明の鍛造装置においては、下型の保持穴の形成状態を変更するといった極めて簡単な工夫により、ノックアウト時の軸状素材の飛び跳ねを防止することができる。そのため、耐磨耗性が低い弾性部材等を用いる必要がなく、鍛造装置における各構成部品の耐用期間を長く維持することができる。
本発明において、上記保持穴における上記一般部分は、上記発熱膨張状態の軸状素材の軸部の直径よりも、例えば、直径で0.1〜0.3mm小さくすることができる。また、上記保持穴における上記拡径穴部は、上記一般部分の直径よりも、例えば、直径で0.1〜0.3mm大きくすることができる。また、上記拡径穴部は、上記発熱膨張状態の軸状素材の軸部の直径よりも、例えば、直径で0.02〜0.1mm小さくすることができる。
また、上記鍛造成形後における発熱膨張状態の軸状素材の軸部の直径は、軸状素材の材質、発熱温度等の条件より決定することができる。
この場合には、ノックアウトピンの上昇端部を、保持穴における拡径穴部内までは上昇させる必要がなく、ノックアウトピンのストロークを短くすることができる。
なお、上記縮径部分は、上記拡径突出部を円盤状に鍛造成形する際に成形することができ、上記鍛造装置に上記軸状素材を搬入する前に予め成形しておくこともできる。
この場合には、ノックアウト時の軸状素材の飛び跳ねを防止したことにより、保持穴から抜き出した直後の軸状素材の位置が安定する。そして、抜き出し後の軸状素材が上型と下型との間でバウンドすることがなく、トランスファー(搬送装置)の保持部によって、抜き出し後の軸状素材における円盤状の拡径突出部を迅速に保持することができる。そのため、軸状素材への鍛造成形を繰り返し行い、鍛造品を量産する際には、トランスファーによる軸状素材の搬送を迅速に行うことができ、鍛造品の生産性を向上させることができる。
なお、上記トランスファーは、上記鍛造装置の前工程からこの鍛造装置へ軸状素材を搬入し、鍛造成形後の軸状素材を鍛造装置から後工程へ搬出する装置とすることができる。
本例の鍛造装置1は、図1、図2に示すごとく、下型2の中心部に設けた保持穴21に軸状素材80の軸部84を保持し、軸部84よりも拡径し下型2から突出させて配置した軸状素材80の拡径突出部81を上型4によって加圧して、拡径突出部81を円盤状に鍛造成形するよう構成してある。
本例の鍛造装置1は、冷間鍛造成形を行うものであり、軸状素材80から、無段変速機用のプライマリプーリシャフトを鍛造成形するよう構成してある。また、本例の鍛造装置1は、図2に示すごとく、プライマリプーリシャフトにおける円盤状部分82としてのプーリ部分を、軸状素材80における拡径突出部81を円盤状に鍛造成形することによって形成するものである。鍛造成形前の軸状素材80における拡径突出部81は、軸部84よりも拡径した塊状の部分として形成されている。
本例の下型2は、下型ホルダ3によって固定されている。また、下型2に対する下方位置であって下型ホルダ3の内周側には、下型2に加わる荷重を受ける下型用受けブロック31が配置してある。下型用受けブロック31の中心部には、下型2の保持穴21内に上昇可能なノックアウトピン32が上下可能に配置してある。そして、図3に示すごとく、鍛造品8(軸状素材80に鍛造成形を行ったもののことをいう。)の鍛造成形後には、ノックアウトピン32を上昇させ、鍛造成形後の鍛造品8を下型2から離型させることができる。
また、一般穴部211と拡径穴部212との間には、テーパ状穴部213が形成されており、テーパ状穴部213の軸方向両端部は、角部ができないようにR形状に形成してある。
具体的には、本例の下型2における保持穴21には、一般穴部211の上方であって保持穴21の上端開口部に拡径穴部212が形成してある。一般穴部211の内径φB及び拡径穴部212の内径φCは、鍛造成形前の軸状素材80の軸部84の直径φAよりも大きい一方、鍛造成形後における発熱膨張状態の軸状素材80の軸部84の直径φAよりも小さくなるよう形成してある。
本例の鍛造装置1においては、下型2の保持穴21の形成状態を変更するといった極めて簡単な工夫により、ノックアウト時の軸状素材80の飛び跳ねを防止することができる。そのため、弾性部材等を用いる必要がなく、鍛造装置1における各構成部品の耐用期間を長く維持することができる。
そして、ノックアウト時の軸状素材80の飛び跳ねを防止したことにより、保持穴21から抜き出した直後の軸状素材80の位置が安定する。これにより、抜き出し後の軸状素材80が上型4と下型2との間でバウンドすることがなく、トランスファー6の保持部61によって、抜き出し後の軸状素材80における円盤状の拡径突出部81を迅速に保持することができる。そのため、軸状素材80への鍛造成形を繰り返し行い、鍛造品8を量産する際には、トランスファー6による軸状素材80の搬送を迅速に行うことができ、鍛造品8の生産性を向上させることができる。
2 下型
21 保持穴
211 一般穴部
212 拡径穴部
3 下型ホルダ
32 ノックアウトピン
4 上型
5 上型ホルダ
6 トランスファー
8 鍛造品
80 軸状素材
81 拡径突出部
82 円盤状部分
84 軸部
841 一般部分
842 縮径部分
Claims (3)
- 下型の中心部に設けた保持穴に軸状素材の軸部を保持し、該軸部よりも拡径し上記下型から突出させて配置した上記軸状素材の拡径突出部を上型によって加圧して、上記拡径突出部を円盤状に鍛造成形するよう構成した鍛造装置において、
上記保持穴は、一般穴部と、当該保持穴の上端開口部において上記一般穴部の内径よりも大きな内径に形成した拡径穴部とを有しており、
上記一般穴部及び上記拡径穴部は、上記鍛造成形前の上記軸状素材の軸部の直径よりも大きい一方、上記鍛造成形後における発熱膨張状態の上記軸状素材の軸部の直径よりも小さくなるよう形成してあり、
上記保持穴内に配置したノックアウトピンを上昇させて、上記発熱膨張状態の軸状素材を上記保持穴から抜き出すときには、当該軸状素材の軸部が上記一般穴部内を摺動する状態から上記拡径穴部内を摺動する状態に変化することにより、当該軸状素材から上記保持穴に加わる圧力を緩和するよう構成したことを特徴とする鍛造装置。 - 請求項1において、上記鍛造成形後の上記軸状素材の軸部には、一般部分と、該一般部分の下端部において該一般部分よりも縮径した縮径部分とが形成されており、
上記一般部分の下端側部分が上記一般穴部内を摺動する状態から上記拡径穴部内を摺動する状態に変化するときに、当該軸状素材から上記保持穴に加わる圧力を緩和するよう構成したことを特徴とする鍛造装置。 - 請求項1又は2において、上記下型の上記保持穴から抜き出した上記鍛造成形後の軸状素材の搬出は、トランスファーの保持部によって上記円盤状の拡径突出部を保持して行うよう構成したことを特徴とする鍛造装置。
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