JP6057830B2 - 熱間鍛造金型 - Google Patents

熱間鍛造金型 Download PDF

Info

Publication number
JP6057830B2
JP6057830B2 JP2013094102A JP2013094102A JP6057830B2 JP 6057830 B2 JP6057830 B2 JP 6057830B2 JP 2013094102 A JP2013094102 A JP 2013094102A JP 2013094102 A JP2013094102 A JP 2013094102A JP 6057830 B2 JP6057830 B2 JP 6057830B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
punch
die
mold
hole
forging
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013094102A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014213364A (ja
Inventor
恭英 本田
恭英 本田
卓 長田
卓 長田
重臣 荒木
重臣 荒木
昌吾 村上
昌吾 村上
小島 壮一郎
壮一郎 小島
俊介 持田
俊介 持田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2013094102A priority Critical patent/JP6057830B2/ja
Publication of JP2014213364A publication Critical patent/JP2014213364A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6057830B2 publication Critical patent/JP6057830B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Forging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)

Description

本発明は、チタン製の鍛造品を金型を用いて鍛造する際に、金型間への被加工材の噛み込みを抑制する熱間鍛造金型に関する。
一般に、純チタンやTi-6Al-4Vなどのチタン合金は、優れた機械特性や耐食性を有することから、航空機や車両などの輸送機器のエンジン部材、あるいはシャーシなどの構造部材に用いられている。
このような純チタンやチタン合金を用いて上述した鍛造品を鍛造する際には、一般に金型を用いた熱間の据え込み鍛造方法が用いられる。据え込み鍛造方法は、予め製品形状を模して形成された金型内に加熱された被加工材を装入し、挿入した被加工材を高温状態に保持したまま押し出すことで、金型に沿った形状に引き伸ばすように変形させながら鍛造するものである。据え込み鍛造方法を用いれば、鍛造中の変形において製品形状に沿ったメタルフローが得られるため他の加工方法に比べてより粘り強く、耐衝撃破壊性に優れた鍛造品を得ることができる。
そこで、特許文献1に開示されるように、鍛造品の生産性を向上させることを目的として、この据え込み鍛造を円滑に進行させるための技術が開発されている。
特許文献1に開示の前方押出鍛造方法は、筒形のブランクをダイス内に挿入し且つ前方に押出して縮径するに際し、上記ダイス内の収容部に挿入したブランクの後端面を押圧するパンチの先端面に、該先端面の周辺から斜めに凹む傾斜縁とこれに隣接する凹リングとを設け、上記ブランクにパンチが当接した際に上記先端面の傾斜縁によりブランクの後端面における周縁をその中心寄りに流動させ且つ上記凹リング内に進入させると共に、上記ブランクをダイス内の前方寄りの縮径部に押出して縮径する、ことを特徴とするものである。
特開2000−343171号公報
特許文献1の前方押出鍛造方法は、パンチの圧下面に外周から内側にかけて斜めに凹む傾斜縁を設けることで、被加工材であるブランクの後端面の周縁をその中心寄りに流動させてバリ噛み込みを抑止する方法である。しかし、パンチの圧下面の周縁部が摩耗し易く実用的ではない。これに加えて、特許文献1の図1及び図4に示されるように、ダイスに挿入されるブランクのサイズがダイスとほぼ同一で、ダイスとブランクとの間にほとんど隙間がない場合、以下に説明する問題が生じる。
ダイスに挿入されたブランクがパンチによって押圧すると、パンチとダイスの間に存在するわずかな隙間にブランクの一部が入り込んで冷却されて硬化する。この隙間に入り込んで硬化したブランクの一部はいわゆるバリとよばれるものである。このバリの発生はパンチの押圧を妨げるほどの抵抗となり、円滑な据え込み鍛造を阻む要因となる。
このように、ダイスに挿入されるブランクのサイズがダイスとほぼ同一である場合、特許文献1の技術ではバリの発生を抑制することはできず、据え込み鍛造を円滑に進行させるのは困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、下金型であるダイスに挿入された被加工材と該ダイスとの間にほとんど隙間がない場合であっても、据え込み鍛造を円滑に進行させることができる熱間鍛造金型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の熱間鍛造金型は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の熱間鍛造金型は、下金型と前記下金型に押し付けられる上金型からなり、前記上金型を前記下金型に押し付けることによって前記下金型内に装入された被加工材
を据え込み鍛造する熱間鍛造金型であって、前記上金型は、柱状のポンチ部と、前記ポンチ部の端部に形成されて前記被加工材に押し付けられる柱状の接触部とを備え、前記接触部は、前記柱状のポンチ部の側面よりも前記ポンチ部の内部側に後退した側面を有すると共に、前記下金型に押し付けられたときに前記下金型及び前記ポンチ部と共に前記接触部を取り囲む空間であるポケット部を形成することを特徴とする。
ここで、前記ポケット部が、前記ポンチ部の側面と前記下金型との間の隙間よりも大きく、前記ポンチ部の寸法の5%以下の断面幅を有するとよい。
また、前記ポケット部が、前記ポンチ部の側面と前記下金型との間の隙間よりも大きい断面高さを有するとよい。
なお、本発明にかかる熱間鍛造金型の最も好ましい形態は、下金型と前記下金型に押し付けられる上金型からなり、前記上金型を前記下金型に押し付けることによって前記下金型内に装入された被加工材を据え込み鍛造する熱間鍛造金型であって、前記上金型は、柱状のポンチ部と、前記ポンチ部の端部に形成されて前記被加工材に押し付けられる柱状の接触部とを備え、前記接触部は、前記柱状のポンチ部の側面よりも前記ポンチ部の内部側に後退した側面を有すると共に、前記下金型に押し付けられたときに前記下金型及び前記ポンチ部と共に前記接触部を取り囲む空間であるポケット部を形成するものであって、前記ポケット部が、前記ポンチ部の側面と前記下金型との間の隙間よりも大きく且つ前記ポンチ部の寸法の5%以下の断面幅を有すると共に、前記ポンチ部の側面と前記下金型との間の隙間よりも大きい断面高さを有することを特徴とする
本発明の熱間鍛造金型によれば、下金型に挿入された被加工材と該下金型との間にほとんど隙間がない場合であっても、据え込み鍛造を円滑に進行させることができる。
本発明の実施形態による熱間鍛造金型を用いた熱間鍛造の手順を説明する模式図であり、(a)は鍛造開始前の熱間鍛造金型の状態、(b)は鍛造中の熱間鍛造金型の状態、(c)は鍛造完了後の熱間鍛造金型の状態を示している。 本実施形態による熱間鍛造金型の上金型を下方から見た斜視図である。 本実施形態による熱間鍛造金型で形成されるポケット部の拡大図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳しく説明する。
本実施形態による熱間鍛造金型1は、図1に示す手順の熱間鍛造(据え込み鍛造)で用いられる。なお、図1〜図3の紙面に向かっての上下方向は重力方向と一致している。つまり、以下の説明で用いる「上」、「下」の語について、「上」は熱間鍛造金型1が設置された空間における天井側に対応し、「下」は同空間における床面などの設置面側に対応する。
図1及び図2を参照して、本実施形態による熱間鍛造金型1の構成を説明し、熱間鍛造(据え込み鍛造)の手順を説明する。
ここで、図1は、本実施形態による熱間鍛造金型1を用いた熱間鍛造の手順を説明する模式図であり、(a)は鍛造開始前の熱間鍛造金型1の状態、(b)は鍛造中の熱間鍛造金型1の状態、(c)は鍛造完了後の熱間鍛造金型1及び鍛造品Wの状態を示している。また、図2は、熱間鍛造金型1の上金型5を下方から見た斜視図である。
図1(a)〜図1(c)に示すように、熱間鍛造金型1は、加熱された鍛造元材である被加工材(以下、荒地(あらじ)と呼ぶ)2を金型の形状に沿って熱間状態で変形させることにより、図1(c)に示す所望の形状の鍛造品(荒地鍛造品)Wを成形するものである。
熱間鍛造金型1は、上金型5と下金型4の上下2つの金型に分割できる構成を有しており、下金型4は、装入された荒地2を載置し、後述する上金型5で押下された荒地2を目的の形状に成形する型であり、上金型5は、下金型4に装入された荒地2を上方から圧下(押下)するものである。
被加工材である荒地2は、純チタン、Ti-6Al-4Vなどのチタン合金、ニッケル合金、ステンレス鋼などを用いて、例えば上下方向に長尺とされた略円柱状などの柱形状(柱状)であると共に、上端や下端の縁が斜めに面取りされたような形状に形成されている。なお、本実施形態でいう柱形状とは、長尺の荒地2をその長手方向に対して垂直な平面で切断したときに、長手方向におけるいずれの位置でもほぼ同じ断面形状が得られる形状をいう。また、本実施形態でいう断面とは、特に断りがない限り、設置された熱間鍛造金型1の上下方向に垂直な平面で切断したときの切断面を意味する。
まず、下金型4の構成を説明する。
図1に示すように、下金型4は、内部に荒地2を装入可能な円筒状の型上部6と、この型上部6の下側に設けられて型上部6内の荒地2を下方より支持する型下部7とを有している。型上部6は、荒地2の外径とほぼ同じ大きさの内径を有すると共に下金型4の上下
方向に沿って貫通状に形成された柱状の孔部8を有している。荒地2は、この孔部8の上方から孔部8内に装入可能である。
なお、孔部8に荒地2を装入する際は、例えば、加熱前の荒地2にガラス潤滑剤や離型剤等を塗布し、その後、後述する上金型を用いて据え込み鍛造が行われる。ガラス潤滑剤は、被加工材である荒地2の酸化および鍛造直前の温度低下を抑制するとともに、鍛造時の摩擦を低減し成形を容易にする。また、固体潤滑成分を含む離型剤は、ガラス潤滑剤のガラスの金型成形面への貼付きを抑制して鍛造品Wの離型を容易にする。
また、型下部7は、型上部6の下方にこの型上部6と一体となるように形成されている。型下部7は、型上部6に装入された荒地2(孔部8の内径)よりも小径で且つ下金型4の上下方向に沿って形成された柱状の貫通孔9を有している。この小径の貫通孔9の存在によって、該貫通孔9の内径よりも大きな寸法の荒地2の下方への移動が規制されるので、型上部6の孔部8に装入された荒地2が、型下部7の上側に保持される。
具体的には、上述の型上部6の孔部8と型下部7の貫通孔9は、孔部8の直下と貫通孔9の直上をつなぐ接続孔部9aによって一体となっており、型上部6に装入された荒地2は、この接続孔部9aによって支持されて下方への移動が規制される。
接続孔部9aは、貫通孔9の上側の開口縁の周囲の全周を取り囲むと共に孔部8の下側の開口縁の周囲の全周を取り囲むように、貫通孔9から孔部8に向かって内径が大きくなる傾斜面で構成される孔である。型上部6の孔部8に装入された荒地2は、接続孔部9aの傾斜面に接して支持されることで下方への移動が規制される。
図1(c)に示すように、このような、孔部8、接続孔部9a及び貫通孔9のそれぞれの形状は、一体となることで所望の鍛造品Wの形状を実現する金型成形面を形成している。つまり、型上部6の孔部8に装入された荒地2を、接続孔部9a及び貫通孔9に圧下(押圧)して押し込むことで、つまり鍛造することで所望の形状の鍛造品Wを成形することができる。
なお、下金型4の下側には金型支持機構(図示せず)が設けられており、下金型4を床面などに対して支持している。
さらに、下金型4の下側には、鍛造が終了した鍛造品Wを排出するノックアウト棒(図示せず)と、このノックアウト棒を上下方向に移動させるシリンダ機構(図示せず)とが設けられている。ノックアウト棒は、下金型4のさらに下方において上下方向への移動が可能な状態で、型下部7の貫通孔9に対応する位置に配置されている。このノックアウト棒は、上方に移動することで、鍛造後に貫通孔9内に存在する鍛造品Wを押し上げて、該鍛造品Wを下金型4(孔部8、接続孔部9a及び貫通孔9)の成形面から引き剥がす。ノックアウト棒の上下方向への移動は、油圧シリンダ機構などを用いて実現することができる。
次に、図1及び図2を参照して、熱間鍛造金型1の上金型5の構成を説明する。図2は、上金型5を下方から見た斜視図である。
図1に示すように、上金型5は、下金型4の孔部8に装入された荒地8を押圧して接続孔部9a及び貫通孔9に押し込むものである。この上金型5は、下金型4に装入された荒地8に対して近接及び離反が可能となるように下金型4の上方に配置されている。上金型5を下降させて下金型4に押し付けることで荒地2を上方から押しつぶすように圧下すると、荒地2を接続孔部9a及び貫通孔9に押し込むことができる。
図2を参照して、上金型5は、柱形状(柱状)のポンチ部11と、ポンチ部11の端部(上端部)に形成された鍔状の頭部12と、ポンチ部11のもう一方の端部(下端部)に形成されて荒地2に押し付けられる柱状の接触部13と、接触部13の周囲を取り囲む段差によって形成されるポケット部14と、を有する。
ポンチ部11は、型上部6の孔部8の断面形状とほぼ同じ形状及び大きさの断面形状を有する柱形状の部材であり、本実施形態では円柱形状を有している。この柱状のポンチ部11の高さは下金型4の孔部8の深さ以下であって、下金型4で成形される鍛造品Wの形状に合わせて選択される。
頭部12は、ポンチ部11の径よりも大きな径を有する円板状の部材であり、ポンチ部
11の2つの端部のうち、一方の端部においてポンチ部11とほぼ同心となる位置に設けられてポンチ部11と一体の鍔となる。下金型4に装入された荒地2を押圧するためにポンチ部11を孔部8に挿入すると、鍔である頭部12が下金型4と接触する位置でポンチ部11の挿入が止まって上金型5による荒地2の押圧が止まる。頭部12と下金型4を接触せずに、もしくは頭部12を設けずに、所定の圧下位置で押圧を止めてもよい。
図2に示すように、接触部13は、ポンチ部11の径よりも小さな径を有し、ポンチ部11の高さよりも十分に小さな厚みを有する円板状の部材であり、ポンチ部11の2つの端部のうち、頭部12が設けられていないもう一方の端部においてポンチ部11とほぼ同心となる位置に一体に設けられている。接触部13は、ポンチ部11の端部の周縁を切削して切り欠くことでも得ることができ、ポンチ部11の端部、つまりポンチ部11の先端に段差を形成するものである。
図2に示す接触部13は、円板状の部材であるが、ポンチ部11よりも小径で非常に高さの低い円柱であると見ることができる。その上で同じく円柱形状のポンチ部11と比較すると、接触部13は、ポンチ部11の周面である側面よりもポンチ部11の内部側(軸心寄り)に後退した所定高さの周面を側面として有する。以下の説明では、この接触部13の側面がポンチ部11の側面から後退した距離を後退距離D1といい、接触部13の側面の所定高さを側面高さD2という。
本実施形態による熱間鍛造金型1のように、下金型4の孔部8の内径とほぼ同じ大きさの外径を有する荒地2を鍛造する金型の場合、下金型4に荒地2を装入すると、下金型4の孔部8と荒地2との間には、わずかな隙間が存在するだけとなる。その上で、下金型4の孔部8の内径とほぼ同じ大きさの外径を有するポンチ部11を下金型4の孔部8に挿入し荒地2を押圧すると、孔部8の壁面、ポンチ部11、荒地2の3者が互いに接触する領域ではほとんど隙間が無くなってしまう。しかし、ポンチ部11の先端に形成された接触部13の周囲だけは、接触部13の側面と下金型4の孔部8の壁面との間に、接触部13の後退距離D1及び側面高さD2に対応した大きさの空間が形成される。この空間をポケット部14と呼び、以下に説明する。
図3を参照しながら、ポケット部14の構成を説明する。図3は、熱間鍛造金型1で形成されるポケット部14の拡大図である。
ポケット部14は、上金型5が下金型4に押し付けられたときに下金型4及びポンチ部11と共に接触部13を取り囲むように形成される空間である。図3に示すように、ポケット部14は、ポンチ部11の接触面13に押圧されて変形する荒地2の一部である上端の周縁部分が逃げ込む空間である。このポケット部14に逃げ込んだ荒地2の上端の周縁部分が接触部13の側面と下金型4の孔部8の壁面に触れることで冷却されて硬化すると、荒地2の上端の周縁部分の更なる変形が起こらなくなる。この周縁部分の硬化は、荒地2が、ポケット部14の上方にわずかに存在するポンチ部11と孔部8の壁面との間の隙間に入り込んでバリとなることを防ぐ効果を生む。言い換えれば、ポンチ部11の押圧を妨げる抵抗となるバリの発生を防ぐ効果が得られる。
このように、ポケット部14は、ポンチ部11と孔部8の壁面との間の隙間にバリが発生しないように、荒地2の上端の周縁部分を敢えて逃がして硬化させるための空間である。従って、ポケット部14は、逃げ込んだ荒地2がポケット部14の上方に存在する隙間に到達する前に確実に硬化する大きさでなくてはならない。
そこで、ポケット部14を接触部13の側面と交差(例えば、直交)する平面で切断したときの断面において、ポンチ部11の側面からの接触部13の側面の後退距離D1に基づいて(対応して)決まる幅(断面幅)SD1を適切に選択する必要がある。つまり、後退距離D1に基づいて決まる幅SD1が狭ければ、ポケット部14とポケット部14の上方に存在する隙間との違いが無くなってしまい、幅の狭いポケット部14で硬化した荒地2が、バリと同じくポンチ部11の押圧を妨げる抵抗となってしまう。従って、後退距離D1に基づいて決まる幅SD1には下限がある。
反対に、後退距離D1に基づいて決まる幅SD1が広ければ、接触面13の側面と孔部8の壁面との間に多くの荒地2が逃げ込むので、逃げ込んだ荒地2の内部の冷却に長い時
間が必要となる。逃げ込んだ荒地2の硬化が遅ければ、逃げ込んだ荒地2が、ポケット部14の上方に存在する隙間にも入り込んでバリとなってしまうので、後退距離D1に基づいて決まる幅SD1には上限もある。
本願の発明者は、ポンチ部11の側面からの接触部13の側面の後退距離D1に対応して決まる幅(断面幅)SD1を、ポンチ部11の側面と下金型4(孔部8)のと間の隙間よりも大きく、ポンチ部11の寸法の5%以下の範囲で選択すればよいことを知見した。ここで、ポンチ部11の寸法としては、ポンチ部11の断面形状を決定する値を選択することができる。例えば、ポンチ部11の断面形状が円形であればその円の直径、多角形であれば対角線の長さなどを、ポンチ部11の寸法として選択することができる。
熱間鍛造の対象となる荒地2の組成、及び熱間鍛造が行われる温度域や潤滑条件、プレス速度等の鍛造条件を考慮し、熱間鍛造金型1の大きさに合わせて、上述の範囲内で適切な幅SD1を選択すれば、バリの発生を抑制することができる。
ここで、ポケット部14の幅SD1を、ポンチ部11の側面と孔部8との間の隙間よりも大きく、ポンチ部11の寸法の5%以下の範囲で選択すればよいと説明したが、上述の構成を有する熱間鍛造金型1であれば、ポケット部14の幅SD1と接触部13の側面の後退距離D1はほぼ同一となる。従って、接触部13の側面の後退距離D1を、ポンチ部11の側面と孔部8と間の隙間よりも大きく、ポンチ部11の寸法の5%以下の範囲で選択してもよい。
また、ポケット部14を接触部13の側面と交差(例えば、直交)する平面で切断したときの断面において、接触部13の側面高さD2に基づいて(対応して)決まる高さ(断面高さ)SD2を適切に選択する必要がある。つまり、側面高さD2に基づいて決まる高さSD2が低ければ、ポケット部14で硬化する前に、荒地2がポケット部14の上方に存在する隙間に入り込んでバリとなってしまい、パンチ部11の押圧を妨げる抵抗となってしまう。従って、側面高さD2に基づいて決まる高さSD2には下限がある。
また、荒地2がポケット部14の上方に存在する隙間に入り込むのを防ぐには、側面高さD2に基づいて決まる高さSD2が高いほど都合がよいので、側面高さD2に基づいて決まる高さSD2には特に上限を設けない。しかし、ポケット部14が大きくなり過ぎて逃げ込む荒地2の量が多くなり、逃げ込んだ荒地2の冷却速度の低下や、欠肉や鍛造品Wとしての歩留まり低下を招かないよう注意しなくてはならない。
本願の発明者は、接触部13の側面高さD2に対応して決まる高さ(断面高さ)SD2を、ポンチ部11の側面と孔部8との間の隙間よりも大きくなるように選択すればよいことを知見した。熱間鍛造の対象となる荒地2の組成、及び熱間鍛造が行われる温度域を考慮すれば、熱間鍛造金型1の大きさを問わず、上述の数値範囲においてバリの発生を抑制することができる。
ここで、ポケット部14の高さSD2を、ポンチ部11の側面と孔部8との間の隙間よりも大きくなるように選択すればよいと説明したが、上述の構成を有する熱間鍛造金型1であれば、ポケット部14の高さSD2と接触部の側面の高さD2はほぼ同一となる。従って、接触部13の側面の高さD2を、ポンチ部11の側面と孔部8との間の隙間よりも大きくなるように選択してもよい。
ポケット部14のサイズは、第一に上述のポケット部14の幅SD1及び高さSD2の範囲を満たすことが重要であり、上述の範囲内で各々の鍛造条件を考慮して適当な幅SD1及び高さSD2を選択すれば、バリの発生を抑制することができる。ポケット部14に流入する荒地2の温度低下の程度は、熱容量と熱伝導に起因するものであり、荒地2の変形能、物性、鍛造温度、形状や、金型温度、潤滑状態、プレス速度等の鍛造条件などに左右される。例えば、荒地2の温度と金型温度(ポンチ部11や孔部8の温度)の差が小さければ、ポケット部14に逃げ込む荒地2の冷却速度が遅くなるため、ポケット部14の幅SD1を小さめに選択すればよい。チタン合金、ニッケル合金、ステンレス鋼などの熱間鍛造の一般的な鍛造条件の場合、ポケット部14に逃げ込む荒地2が数秒〜十数秒以内に100〜200℃以上温度低下するよう、ポケット部14の幅SD1及び高さSD2を選択すればよい。
下記の条件で熱間鍛造の2次元軸対称熱連成解析を行い、接触部13の後退距離D1及び側面高さD2の寸法を様々に変えて、ポンチ部11と下金型4(孔部8)との間の隙間に入り込んだ荒地2の圧下方向に長さ(バリ高さ)を測定した。
実際の鍛造においては、ポケット部14への荒地2の流動やバリの出方は、熱間鍛造金型1のセンタリング精度や潤滑状態等の影響により解析とは異なって不均一になる。また、鍛造形状や金型形状によってバリの出易さは異なり、潤滑状態が良好で摩擦が小さい場合や、鍛造前の荒地2の表面温度が低下している場合などは、バリが発生しないことも考えられる。そこで今回は、単純な鍛造形状・金型形状で、金型と荒地2の摩擦定数を比較的高め(せん断摩擦mf=0.35)にしてバリが発生する条件で解析を行い、ポケット部14を設けていない場合のバリ高さと相対比較することで、バリ抑止効果があるか否かを判断した。
解析条件は、次の通りである。
金型について、孔部8の内径をφ300mmとし、ポンチ部11の外径をφ296mmとした。ポンチ部11と下金型4(孔部8)との間の隙間を2mmとし、押出比を約4とし、接続孔部9aの傾斜面の傾斜角を45°とした。
被加工材である荒地2は、Ti-64合金であり、寸法をφ294mm×280mmとし、加熱温度を950℃とした。
プレス条件は、圧下量を約120mmとし、圧下速度を20mm/secとした。
バリ高さの解析結果は、下の表1の通りである。
表1において、後退距離D1及び側面高さD2が共に0mmである場合の結果が、ポケット部14を設けなかった場合の結果である。今回の解析結果では、ポケット部14を設けなかった場合のバリ高さは2.4mmであった。すなわち、ポケット部14を設けることによってバリ高さが2.4mmより小さくなれば、ポケット部14がバリ抑止効果を発揮したと言える。
表1において、バリ高さが2.4mmより小さくなった結果を太線で取り囲んで強調した。この取り囲んだ結果に基づいて後退距離D1及び側面高さD2を参照すると、後退距離D1及び側面高さD2は、ポンチ部11と下金型4(孔部8)との間の隙間である2mmより大きければよく、後退距離D1は、15mm未満であればよいことがわかる。この15mmは、ポンチ部11の寸法である外径φ296mmに対する割合(15mm/296mm)が約5%となる値であるので、後退距離D1は、ポンチ部11の寸法の5%以下
の範囲であればよいといえる。
ここで、後退距離D1及び側面高さD2からなる接触部13の周囲を取り囲む段差によって形成されるポケット部14の断面の面積について考える。まず、断面の面積の下限は、後退距離D1及び側面高さD2が、共にポンチ部11と孔部8との間の隙間である2mmより大きくなくてはならないので、4mm(2mm×2mm)より大きくなくてはならない。
上限については、表1の後退距離D1と側面高さD2の組み合わせ(D1,D2)について、(D1,D2)が(5,30)、(10,15)、つまり断面の面積が150mmであるときにバリ高さが2.4mmであるので、150mm未満であれば、ポケット部14がバリ抑止効果を発揮できると判断できる。
なお、ポケット部14の断面の面積が150mmを超えると、多くの荒地2がポケット部14に流入して荒地2の冷却、つまり硬化に時間がかかってしまう。そのため、ポンチ部11と下金型4との間の隙間に入り込む荒地2の量も多くなり、多くのバリが発生し易くなるので、本実施例に関しては、ポケット部14の断面の面積が150mmを超えることは望ましくない。
なお、ポケット部14に流入する荒地2の温度低下の程度は、熱容量と熱伝導に起因するものであり、荒地2の変形能や物性、温度や寸法、表面性状や潤滑状態、鍛造プレス条件などに左右される。上述の解析結果で規定されたポケット部14(後退距離D1,側面高さD2)の数値範囲は、荒地2の温度、圧下量、及び圧下速度などの特定された鍛造条件に依存して限定されるべきものである。
「ポンチの圧下面(接触部)外周に小さな段差(溝)を設けることで、バリの噛み込みを抑止する」という思想のもとに設計・製作された熱間鍛造金型こそが本発明であるので、本発明の思想及び主旨は、上述の数値に限定されることなく広く解釈されるべきである。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
上述の実施形態では、下金型4に形成される金型成形面が、略円形状の断面形状を有する孔部8、接続孔部9a及び貫通孔9が一体となったものとして説明し、上金型5のポンチ部11の形状を、略円柱形状の孔部8の断面に対応する形状及び大きさの断面形状を有する略円柱形状として説明した。しかし、下金型4の孔部8及び上金型5のポンチ部11は、必ずしも円柱形状でなくてもよい。ポンチ部11の断面が孔部8の断面に対応する形状及び大きさを有する柱形状であれば、下金型4の孔部8及び上金型5のポンチ部11は所望する鍛造品Wの形状に合わせて様々な形状を採用することができる。
このとき、ポンチ部11が如何なる形状及び大きさを採用しようとも、接触部13の側壁が、ポンチ部11の側壁から「ポンチ部11の側面と孔部8との間の隙間よりも大きく、ポンチ部11の寸法の5%以下」の範囲で後退し、ポンチ部11の側面と孔部8との間の隙間よりも大きい高さを有していれば、上述の実施形態で説明したポケット部14が形成されるので、接触部13は円形以外の断面形状を有する任意の形状となってもかまわない。
1 熱間鍛造金型
2 被加工材(荒地)
4 下金型
5 上金型
6 型上部
7 型下部
8 孔部
9 貫通孔
9a 接続孔部
11 ポンチ部
12 頭部
13 接触部
14 ポケット部
D1 後退距離
D2 側面高さ
SD1 断面幅
SD2 断面高さ
W 鍛造品

Claims (1)

  1. 下金型と前記下金型に押し付けられる上金型からなり、前記上金型を前記下金型に押し付けることによって前記下金型内に装入された被加工材を据え込み鍛造する熱間鍛造金型であって、
    前記上金型は、柱状のポンチ部と、前記ポンチ部の端部に形成されて前記被加工材に押し付けられる柱状の接触部とを備え、前記接触部は、前記柱状のポンチ部の側面よりも前記ポンチ部の内部側に後退した側面を有すると共に、前記下金型に押し付けられたときに前記下金型及び前記ポンチ部と共に前記接触部を取り囲む空間であるポケット部を形成するものであって、
    前記ポケット部が、前記ポンチ部の側面と前記下金型との間の隙間よりも大きく且つ前記ポンチ部の寸法の5%以下の断面幅を有すると共に、前記ポンチ部の側面と前記下金型との間の隙間よりも大きい断面高さを有する
    ことを特徴とする熱間鍛造金型。
JP2013094102A 2013-04-26 2013-04-26 熱間鍛造金型 Active JP6057830B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013094102A JP6057830B2 (ja) 2013-04-26 2013-04-26 熱間鍛造金型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013094102A JP6057830B2 (ja) 2013-04-26 2013-04-26 熱間鍛造金型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014213364A JP2014213364A (ja) 2014-11-17
JP6057830B2 true JP6057830B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=51939635

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013094102A Active JP6057830B2 (ja) 2013-04-26 2013-04-26 熱間鍛造金型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6057830B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111940654A (zh) * 2020-08-12 2020-11-17 中国第二重型机械集团德阳万航模锻有限责任公司 提高并稳定tc6钛合金饼坯探伤水平的方法
CN112589028B (zh) * 2020-11-30 2023-02-28 贵州航天新力科技有限公司 一种偏心锻件成型模具结构

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61266141A (ja) * 1985-05-21 1986-11-25 Honda Motor Co Ltd 前方押出し鍛造方法
JPH0726043U (ja) * 1993-09-30 1995-05-16 住友金属工業株式会社 クランク軸鍛造用金型
JPH07241644A (ja) * 1994-03-04 1995-09-19 Toyota Motor Corp 押出装置
JP2000343171A (ja) * 1999-06-02 2000-12-12 Daido Steel Co Ltd 前方押出鍛造方法
JP5015893B2 (ja) * 2008-10-08 2012-08-29 昭和電工株式会社 ダミーブロック

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014213364A (ja) 2014-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5803127B2 (ja) 転がり軸受の軌道輪用粗形材の製造方法
JP6005609B2 (ja) 中空シャフト鍛造品の鍛造方法
WO2017208669A1 (ja) 鍛造加工装置
JP4920756B2 (ja) フランジ構造体の製造方法
JP5981884B2 (ja) 熱間据込鍛造装置、及び熱間据込鍛造方法
JP6057830B2 (ja) 熱間鍛造金型
JP2006088197A (ja) 拡大頭部を有する軸状製品の製造方法及びエンジンバルブの製造方法並びに拡大頭部を有する軸状製品の製造に用いる鍛造型
JP5808554B2 (ja) ピン状フィン一体型ヒートシンクの製造方法及び製造装置
JP4943374B2 (ja) 自動車変速機用ピストンのバネ座止まり穴加工方法
US3237288A (en) Method and means for cold-forming wheel hubs
JP5801783B2 (ja) 分割ダイス
WO2017033603A1 (ja) 放熱基板の製造方法
JP6005610B2 (ja) 中空シャフト鍛造品の離型装置
JP2008238234A (ja) 鍛造リング製造用温間鍛造プレス装置と、これを用いた鍛造リングの製造方法
JP4775235B2 (ja) 内歯鍛造品の製造方法
JP4904115B2 (ja) 鍛造方法
JP4694738B2 (ja) 閉塞部を有する中空材の製造方法及びその装置
JP2000343171A (ja) 前方押出鍛造方法
JP3944467B2 (ja) 自動車at用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法
CN118143174B (zh) 一种带法兰超长薄壁毛坯的反挤压成形模具及方法
JP7346849B2 (ja) 打抜きポンチ、これを備える鍛造装置、これを用いる鍛造方法
JP2020116606A (ja) 金型のダイ
JP6165694B2 (ja) 熱間鍛造装置
JP4828989B2 (ja) 据え込み加工方法
JP5205751B2 (ja) 軸状部品およびその鍛造成形装置並びに鍛造成形方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160602

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160705

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160817

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6057830

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150