JP5717671B2 - モデル定数取得方法およびモデル定数取得装置 - Google Patents
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Description
これにより、入力信号を実際の大きさとしつつ、電池の状態を変化させないように電池モデルの同定を行うことができる、とされている。
また、特許文献1に記載の電池モデル同定方法では、M系列信号を生成する必要があり、装置構成が複雑になってしまう。
直流電源901は、抵抗値を有さない仮想的な電池であり、二次電池900の開放電圧を示す。
抵抗903およびキャパシタ904が並列に接続された回路は、二次電池900の内部抵抗のうち、直流電流と交流電流とで作用の度合いが異なる成分を示す。かかる抵抗成分は、例えば二次電池900の濃度分極現象に起因して生じる。この並列接続回路は、直流電流や比較的周波数の低い電流に対しては比較的大きい抵抗値を示し、比較的周波数の高い電流に対しては比較的小さい抵抗値を示す。以下では、抵抗903の抵抗値をACR[Ω]と表記し、キャパシタ904のキャパシタンスをACC[F(ファラッド)]と表記する。
温度センサ103は、二次電池900に接して設置され、二次電池900の温度(以下、「電池温度」と称する)に応じた電流を電池温度検出部113に出力する。
電圧検出部112は、二次電池900の両端電圧値を検出(測定)し、得られた電圧値をデータ取得部120に出力する。
電池温度検出部113は、温度センサ103からの電流に基づいて二次電池900の温度を検出し、得られた温度(を示すデータ)をデータ取得部120に出力する。
制御部140は、電池温度検出部113が検出した二次電池900の温度と、データ取得部120が取得した二次電池900の充電率とに基づいて、電力印加部150が二次電池900に印加する電力の大きさを制御する。
恒温器200は、恒温器200自らの内部の温度を設定温度に保つ。特に、恒温器200は、二次電池900を格納して、二次電池900の温度を一定に保つ。
図3は、電力印加部150が二次電池900に印加する比較的高周波(以下では、単に「高周波」と称する)の正弦波交流、および、二次電池900の応答電圧の例を示す説明図である。ここで、電圧検出部112が検出する二次電池900の両端電圧値が、二次電池900の応答電圧値に該当する。
同図のグラフの横軸は、基準時刻からの経過時間にて時刻を示し、縦軸は、電力印加部150が印加する正弦波交流の電流値および二次電池900からの応答の電圧値を示す。
また、線L12は、電圧検出部112が検出する二次電池900の両端電圧値(応答電圧値)を示している。
また、線L12は、電圧検出部112が検出する二次電池900の両端電圧値(応答電圧値)を示している。
図3と図4とを比較すると、周波数の高い図3の場合のほうが、応答電圧値が小さくなっている。二次電池900のキャパシタ成分(図2のキャパシタ904)が電流を流すことで、二次電池900全体でのインピーダンスが小さくなったためである。
図5は、図2で説明した電池モデルにおける、インピーダンスおよびキャパシタンスを示す変数名を表記した説明図である。
図2で説明したように、抵抗902の抵抗値をDCR[Ω]とし、抵抗903の抵抗値をACR[Ω]とし、キャパシタ904のキャパシタンスをACC[F]とする。これらと、ラプラス演算子sと、並列回路部分の時定数τとを用いて、等価回路モデルの電池インピーダンスZ[Ω]は式(1)のように示される。
低周波、高周波それぞれの周波数を決定して制御部140に記憶させておき、制御部140は、当該周波数にて電力印加部150の出力する電力を制御する。
図6は、電力印加部150が高周波電力を印加した状態における、回路モデルの電流値および電圧値を示す変数名を表記した説明図である。同図に示すように、直流電源901の電圧値をOCV11とし、抵抗902の電圧値をVDとし、抵抗903とキャパシタンス904とで構成する並列回路の電圧値をVCRとする。また、二次電池900の両端電圧値をE11とし、充放電電流値をI11とする。
これらの変数を用いて、電圧値VDは、式(4)のように示される。
ここで、モデル定数算出部130は、電源電圧の電圧値OCV11を、以下の手順で求める。
(1)高周波電圧E11に対応するSOC(充電率)を、OCV−SOCテーブルを参照して求め、初期SOCとする。
(2)初期SC+((I11の積分値/3600)×100×計算周期)/電池定格容量にて、SOCを算出する。
(3)SOC−OCVテーブルを参照して、OCV11を求める。
図7は、電力印加部150が低周波電力を印加した状態における、回路モデルの電流値および電圧値を示す変数名を表記した説明図である。同図に示すように、直流電源901の電圧値をOCV12とし、抵抗902の電圧値をVDとし、抵抗903とキャパシタンス904とで構成する並列回路の電圧値をVCRとする。また、充放電電流値をI12とする。
これらの変数を用いて、電圧値VCRは、式(8)のように示される。
(1)移動平均VCR2と電流値I12との位相T1(ACR×ACC)を算出する。
(2)移動平均VCR2と{1/(1+T1×s)}×I12との振幅比を算出し、抵抗値ACRとする。
(3)位相Tと(ACR×ACC)/ACRより、ACCを算出する。
また、低周波、高周波の各々について、1サイクル目では電圧変動が大きく、正確な測定を行えないことが考えられる。そこで、低周波、高周波の各々について、モデル定数算出部130は、2サイクル目以降のデータにてモデル定数を算出する。
図8は、波高値テーブル記憶部190が記憶する波高値テーブルの例を示す説明図である。同図に示す波高値テーブルは、充電率(SOC)と、電池温度の各値について、低周波(同図の例では100s、すなわち周期100秒)電力として印加する電流値と、高周波(同図の例では1s、すなわち周期1秒)電力として印加する電流値とを格納している。
図9は、モデル定数取得装置1が正弦波交流電力を印加してモデル定数を算出する処理手順を示すフローチャートである。モデル定数取得装置1は、二次電池900を設置された状態で、モデル定数算出を指示するユーザ操作を検出すると、同図の処理を開始する。
また、データ取得部120は、二次電池900の充電率を算出して制御部140に出力する(ステップS102)。例えば、データ取得部120は、充放電していない状態で、一定時間経過後の電池電圧(OCV)より、二次電池900の充電率を算出する。
その後、同図の処理を終了する。モデル定数算出部130が算出したモデル定数は、例えば、モデル定数取得装置1のユーザが、二次電池900のBMU(Battery Management Unit)のROM(Read Only Memory)に搭載する(記憶させる)。
従って、電力印加部150として、正弦波交流を印加可能な電源回路を用いればよく、装置構成を簡単にすることができる。
例えば、当該モデル定数を、二次電池900のBMUのROMに搭載しておくことで、当該BMUは、より正確に二次電池900の充電率を算出することができる。
その際、恒温器200が電池温度を一定に保つことで、制御部140は、より正確に電力印加部150が印加する電流の大きさを制御できる。
電力印加部150は、時刻0(基準時刻)以前の時間帯において、電流値0のステップ電力を二次電池900に印加している(すなわち、二次電池900に電力を印加していない)。以下では、この基準時刻以前の時間帯において電力印加部150が印加する電流値0のステップ電力、および、基準時刻以前の時間帯を、いずれもステップ番号N1にて表記する。
同図に示すように、電力印加部150が電力を印加すると、印加を開始したタイミングで応答電圧値が上昇し、その後も応答電圧値が上昇した後安定状態に至る。二次電池900のキャパシタ成分(図2のキャパシタ904で模擬される)に電位が蓄えられるためである。
なお、二次電池900の両端電圧値にノイズ(スパイク成分)が含まれている場合、例えば、電圧検出部112がローパスフィルタ(Low Pass Filter)を用いてノイズを除去する。
その後、電力印加部150がステップ番号N2の電力の印加を開始した時刻0において、二次電池900の応答電圧値は電圧値E21まで上昇し、その後さらに電圧値E22まで上昇して安定する。
これらの電圧値および電流値を用いて、抵抗値DCRは、式(10)のように示される
データ取得部120は、電圧検出部112が検出する二次電池900の両端電圧に基づいて、時刻t2を取得(測定)する。
図11は、電力印加部150がステップ電力を印加する場合に、波高値テーブル記憶部190が記憶する波高値テーブルの例を示す説明図である。同図に示す波高値テーブルは、充電率(SOC)と、電池温度の各値について、ステップ電力として印加する電流値を格納している。図8で説明したのと同様、電力印加部150がステップ電力を印加する場合も、波高値テーブル記憶部190が、充電率および電池温度毎に、二次電池900に印加可能な電流値を波高値テーブルとして記憶しておく。そして、制御部140は、電池温度検出部113が検出した電池温度と、データ取得部120が求めた充電率とに基づいて、波高値テーブルから電流値を読み出し、当該電流値の電力を電力印加部150に印加させることで、二次電池900に対して可及的に大きい電力を印加して、ノイズの影響を低減させる。
図12は、モデル定数取得装置1がステップ電力を印加してモデル定数を算出する処理手順を示すフローチャートである。モデル定数取得装置1は、二次電池900を設置された状態で、モデル定数算出を指示するユーザ操作を検出すると、同図の処理を開始する。
そして、二次電池900の両端電圧値が安定(静定)した後、電力印加部150は、制御部140の制御に従って、ステップS204で開始したステップ電力の印加を終了し、データ取得部120は、印加終了時刻t1を取得する(ステップS205)。
次に、モデル定数取得装置1は、逆向きの充放電電流についても同様にモデル定数を算出する(ステップS208)。
その後、同図の処理を終了する。
従って、電力印加部150として、ステップ電力を印加可能な電源回路を用いればよく、装置構成を簡単にすることができる。
例えば、当該モデル定数を、二次電池900のBMUのROMに搭載しておくことで、当該BMUは、より正確に二次電池900の充電率を算出することができる。
また、モデル定数算出部130が、充電電流、放電電流の各々についてモデル定数を算出して平均を取ることで、より高精度なモデル定数を得ることができる。
その際、恒温器200が電池温度を一定に保つことで、制御部140は、より正確に電力印加部150が印加する電流の大きさを制御できる。
図13は、本実施形態の実験結果を示す説明図である。
同図(A)、(B)、(C)、(D)は、正弦波交流電力の印加における、それぞれ、抵抗値DCR、抵抗値ACR、キャパシタンスACC、時定数τを示している。また、同図(E)、(F)、(G)、(H)は、ステップ電力の印加における、それぞれ、抵抗値DCR、抵抗値ACR、キャパシタンスACC、時定数τを示している。
例えば、モデル定数取得装置1のユーザが、モデル定数取得対象の二次電池900と同一規格(同レシピ)かつ製造ロッド同一の二次電池を複数用意し、寿命サイクル試験を行って段階的な劣化度合いの二次電池を生成しておく。そして、モデル定数取得装置1は、劣化度合いの各段階の二次電池に対して、上述した正弦波電力ないしステップ電力を印加してのモデル定数算出を行い、得られたモデル定数に基づいて補正係数を算出する。
例えば、モデル定数算出部130は、二次電池の劣化によるモデル定数の変化において支配的である抵抗値DCRについて補正係数を算出する。
また、同図(A)、(B)、(C)の各々には、充電率20%から80%までの10%刻みの各値について、電池温度15℃(度)、25℃、40℃の各々における補正係数と、当該補正係数の温度毎の平均値が示されている。線L31、L32、L33は、いずれも温度毎の平均値を結んだ線である。
図15は、モデル定数算出部130が求めた補正係数の平均値と、容量劣化率との関係を示す説明図である。同図のグラフの横軸は容量劣化率を示し、縦軸は抵抗値DCRに対する補正係数の値を示している。また、線L41、L42、L43は、それぞれ、電池温度15℃、25℃、40℃における補正係数の平均値を結んだ線である。
また、モデル定数算出部130は、電池温度25℃の場合の補間式として、式L52を示す式(16)を算出する。
例えば、当該モデル定数を、二次電池900のBMUのROMに搭載しておき、BMUが当該補正係数に基づいてモデル定数を補正することで、当該BMUは、より正確に二次電池900の充電率を算出することができる。
また、補間式から補間係数を算出する際も、簡単な式で算出できるので、例えば二次電池900のBMUなど補間係数を算出する装置は、軽い計算量で済み、また、より迅速に補間係数を得ることができる。
例えば、BMUが電池温度15℃、25℃、40℃の各々について補間式を記憶しており、測定した電池温度が35℃の場合、BMUは、まず、35℃に近い温度25℃および40℃について補間係数を算出する。そして、25℃の補間係数と、40℃の補間係数とを、式(18)に示すように、それぞれ、温度差に反比例した比で重み付け平均して補間係数を算出する。
図16は、モデル定数取得装置1が、モデル定数の補間式を算出する処理手順を示すフローチャートである。モデル定数取得装置1は、補間式の算出を指示するユーザ操作を検出すると、同図の処理を開始する。
さらに、モデル定数取得装置1(モデル定数算出部130)は、電池温度毎に、容量劣化率と補正係数の関係を直線近似し、近似した直線を示す式を算出して補正係数の補間式とする(ステップS303)。
その後、同図の処理を終了する。
図17は、モデル定数算出部130が1つの補間式のみを算出する例を示す説明図である。同図のグラフの横軸は容量劣化率を示し、縦軸は抵抗値DCRに対する補正係数の値を示している。また、容量劣化率−7%、−16%、−28%の各々について、環境温度の範囲で3点の補正係数が得られているのに対し、モデル定数算出部130は、1本の線L61を示す式(19)を算出している。
また、補間式から補間係数を算出する際も、簡単な式で算出できるので、例えば二次電池900のBMUなど補間係数を算出する装置は、軽い計算量で済み、また、より迅速に補間係数を得ることができる。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
101 電流センサ
103 温度センサ
111 電流検出部
112 電圧検出部
113 電池温度検出部
120 データ取得部
130 モデル定数算出部
140 制御部
150 電力印加部
190 波高値テーブル記憶部
200 恒温器
900 二次電池
Claims (8)
- 二次電池の温度を検出する電池温度検出ステップと、
前記二次電池の充電率を求める充電率取得ステップと、
前記電池温度検出ステップにて検出した前記二次電池の温度と、前記充電率取得ステップにて取得した前記二次電池の充電率とに基づいて、前記二次電池に印加する電力の大きさを制御する制御ステップと、
前記制御ステップにて制御された同じ大きさで正負に変化する電力を前記二次電池に印加して、前記二次電池の応答電力の大きさが異なる状態の各々について、前記二次電池の電流値および電圧値を取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップにて取得した、前記二次電池の電流値および電圧値に基づいて、前記二次電池の回路モデルのモデル定数を算出するモデル定数算出ステップと、
を具備することを特徴とするモデル定数取得方法。 - 前記データ取得ステップでは、前記二次電池の応答電力の大きさが異なる複数周波数の正弦波交流電流を印加し、各周波数について、前記二次電池の電流値および電圧値を取得することを特徴とする請求項1に記載のモデル定数取得方法。
- 前記データ取得ステップでは、電流の向きが変化する矩形波の電力を印加し、前記二次電池の応答電力の大きさが異なるタイミングの各々で、前記二次電池の電流値および電圧値を取得することを特徴とする請求項1に記載のモデル定数取得方法。
- 前記モデル定数算出にて、様々な劣化の程度の二次電池について前記モデル定数を算出し、得られたモデル定数に基づいて、二次電池の劣化の程度に応じて前記モデル定数の補間係数を示す補間式を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のモデル定数取得方法。
- 二次電池の温度を検出する電池温度検出部と、
前記二次電池の充電率を求める充電率取得部と、
前記電池温度検出部が検出した前記二次電池の温度と、前記充電率取得部が取得した前記二次電池の充電率とに基づいて、前記電力印加部が前記二次電池に印加する電力の大きさを制御する制御部と、
前記制御部によって制御された同じ大きさで正負に変化する電力を前記二次電池に印加する電力印加部と、
前記二次電池の応答電力の大きさが異なる状態の各々について、前記二次電池の電流値および電圧値を取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した、前記二次電池の電流値および電圧値に基づいて、前記二次電池の回路モデルのモデル定数を算出するモデル定数算出部と、
を具備することを特徴とするモデル定数取得装置。 - 前記電力印加部は、前記二次電池の応答電力の大きさが異なる複数周波数の正弦波交流電流を印加し、
前記データ取得部は、各周波数について、前記二次電池の電流値および電圧値を取得することを特徴とする請求項5に記載のモデル定数取得装置。 - 前記電力印加部は、電流の向きが変化する矩形波の電力を印加し、
前記データ取得部は、前記二次電池の応答電力の大きさが異なるタイミングの各々で、前記二次電池の電流値および電圧値を取得する
ことを特徴とする請求項5に記載のモデル定数取得装置。 - 前記モデル定数算出部は、様々な劣化の程度の二次電池について前記モデル定数を算出し、得られたモデル定数に基づいて、二次電池の劣化の程度に応じて前記モデル定数の補間係数を示す補間式を算出することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のモデル定数取得装置。
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