JP5535963B2 - 劣化推定装置、劣化推定方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、開回路電圧に所定周波数の交流電位を重畳した際における応答電流の解析によって二次電池のコンダクタンス及びサセプタンスを求め、当該これらの値に基づいて当該二次電池の満充電容量を算出する技術が開示されている。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による劣化推定装置100の構成を示す概略ブロック図である。なお、図1において実線は情報の流れを示し、破線は電気の流れを示す。
劣化推定装置100は、劣化推定の対象となる組電池10の劣化度を推定する装置である。なお、本実施形態による劣化推定装置100では、セル電池11の劣化度を0%から25%までの範囲で推定する。つまり、劣化度25%は、本実施形態において推定対象となる劣化度の最大値である。また、組電池10は、リチウムイオン電池等からなり、単一のセル電池11、または複数のセル電池11(二次電池)を直列に、あるいは並列に接続した電池ブロックから構成される。
劣化推定装置100は、温度取得部101、電圧取得部102、電流取得部103、許容電流値テーブル記憶部104、電流値特定部105、周期電流印加部106、推定テーブル記憶部107、劣化推定部108(算出部)、警告部109、SOC演算部110、劣化度記憶部111を備える。
電圧取得部102は、セル電池11それぞれにかかる電圧の電圧値(第1の物理量)を取得する。
電流取得部103は、組電池10の充放電による電流の電流値を取得する。
許容電流値テーブル記憶部104は、劣化度25%(本実施形態による劣化推定装置100が扱う最大の劣化度)のセル電池11における、温度とSOCと許容印加電流値との関係を示す許容電流値テーブルを記憶する。なお、許容印加電流値とは、セル電池11に印加してもリミッタが作動しない電流の最大値を示す。
電流値特定部105は、電圧取得部102が取得した電圧値に基づいてセル電池11のSOCを算出し、当該SOCと温度取得部101が取得した温度とに関連付けられた許容印加電流値を、許容電流値テーブル記憶部104から読み出すことで、セル電池11に印加する電流の電流値を特定する。
周期電流印加部106は、電流値特定部105が特定した電流値を振幅とする正弦波(周期電流)を、セル電池11に印加する。
推定テーブル記憶部107は、劣化度の異なるセル電池11における、温度とSOCと電圧変動幅(第2の物理量)との関係を示す変動幅テーブルを記憶する。ここで、電圧変動幅とは、周期電流印加部106が正弦波の印加電流をセル電池11に印加したときに発生する電圧の最大値(図2(a))と、電圧の最小値(図2(b))との差を示す。
警告部109は、劣化推定部108が推定した劣化度が所定の閾値以上である場合に、警告情報をディスプレイ等に表示させる。
SOC演算部110は、劣化推定部108が推定した劣化度を用いてセル電池11のSOCを演算する。
劣化度記憶部111は、劣化推定部108が推定した劣化度を記憶する。
図3は、セル電池11の使用サイクル数と内部抵抗と容量変化率の関係を示す図である。
図3に示すように、セル電池11の使用サイクル数が増えるほど、当該セル電池11の劣化は進み、同時に内部抵抗は増加していく。内部抵抗が増加するということは、すなわちセル電池11のレジスタンスが増加するということであり、これにより印加電流対電圧比が高くなる。このことから、正弦波の印加電流を印加したときのセル電池11の電圧変動幅から内部抵抗を特定することができ、内部抵抗から容量変化率を特定することができる。つまり、電圧変動量を用いてセル電池11の劣化度を推定することができることとなる。
図4は、許容電流値テーブル記憶部104が記憶する許容電流値テーブルとその例を示す図である。
許容電流値テーブル記憶部104は、図4(a)に示すように、劣化度25%のセル電池11におけるSOC(20%〜80%)、OCV(Open Circuit Voltage:開放電圧)(V2〜V8)、及び温度(50℃〜−10℃)と許容印加電流値(I50−20〜I−10−80)との関係を示す許容電流値テーブルを記憶している。つまり、あるセル電池11のSOCまたはOCVと温度によって、劣化度25%のセル電池11における許容印加電流値を特定することができる。例えば、SOCが50%で温度が20℃である場合、許容印加電流値は、I20−50である。なお、許容電流値テーブルは、予め推定対象のセル電池11と同種のセル電池11を25%劣化させ、当該劣化させたセル電池11を用いて各SOC(OCV)と各温度とに対応する許容印加電流値を求めることで、作成しておく。
推定テーブル記憶部107は、図5に示すように、複数の異なる劣化度(0%〜25%)のセル電池11におけるSOC(20%〜80%)、OCV(V2〜V8)、及び温度(50℃〜−10℃)と電圧変動幅(V50−20〜V−10−80)との関係を示す変動幅テーブルを記憶している。なお、本実施形態において推定テーブル記憶部107は、図3においてプロットした「劣化なし」、「5%劣化」、「10%劣化」、「15%劣化」、「20%劣化」、「25%劣化」の6つの劣化度に関連付けて変動幅テーブルを記憶する。
推定テーブル記憶部107が変動幅テーブルを記憶することで、あるセル電池11のSOCまたはOCVと温度と電圧変動幅とによって、セル電池11の劣化度を特定することができる。例えば、SOCが50%で温度が20℃であり、電圧変動幅が0.15Vである場合、変動幅テーブルのうちV20−50が0.15Vを示すものに関連付けられた劣化度が、当該セル電池11の劣化度である。
なお、変動幅テーブルは、予め推定対象のセル電池11と同種のセル電池11を0%〜25%劣化させ、当該劣化させたそれぞれのセル電池11に、図4(a)に示す許容印加電流値を振幅とする周期電流を印加することで、各SOC(OCV)と各温度とに対応する電圧変動幅を求めて作成しておく。
そのため、推定テーブル記憶部107は、許容電流値テーブルに格納された温度と当該温度の直下の温度に関連付けられたそれぞれの許容印加電流値を用いて別個に変動幅テーブルを作成しておく。
図6は、第1の実施形態による劣化推定装置100の動作を示すフローチャートである。
まず、劣化推定装置100が起動すると、劣化推定装置100は、組電池10を構成するセル電池11のうち劣化度の推定を行うものを1つ選択する(ステップS1)。なお、劣化推定装置100は、以降の処理をセル電池11毎に実施する。
電流取得部103は、現在時刻からの経過時間の測定を開始する(ステップS2)。次に、電流取得部103は、組電池10から流出する電流の電流値を測定し、当該電流値が所定の電流値範囲内であるか否かを判定する(ステップS3)。なお、所定の電流値範囲とは、組電池10が静定状態であるとみなすことができるときの電流値の範囲である。電流取得部103は、電流値が所定の電流値範囲内にないと判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS2に戻って経過時間の測定をリセットし、電流値の監視を継続する。
電圧変動幅に基づく劣化度の推定処理を開始すると、周期電流印加部106は、ステップS1で選択したセル電池11に、電流値特定部105が特定した電流値を振幅とする正弦波の周期電流を1サイクル以上のサイクル数で印加を開始する(ステップS501)。なお、周期電流印加部106が印加する周期電流の周波数には、分極減少の影響を受けない周波数(第1の周波数)を用いることが好ましい。周期電流印加部106が周期電流の印加を開始すると、電圧取得部102は、ステップS1で選択したセル電池11の電圧値を取得する(ステップS502)。なお、取得した電圧値は、劣化推定部108に通知される。劣化推定部108は、周期電流印加部106による周期電流の印加が終了したか否かを判定する(ステップS503)。周期電流の印加が終了していない場合(ステップS503:NO)、ステップS502に戻り、電圧値の取得を継続する。
ここで、図8を用いながら劣化推定部108による劣化度の推定処理について説明する。なお、以下の説明では、劣化度記憶部111がステップS1で選択したセル電池11の劣化度として「10%劣化」を記憶しており、ステップS6で特定したSOCの直下のSOCが25%、ステップS7で特定した温度の直下の温度が25℃である例を用いて説明を行う。
劣化推定部108は、推定テーブル記憶部107が記憶する電圧変動幅のうち、ステップS6で特定したSOCの直下のSOC(20%)と、ステップS7で特定した温度の直下の温度(20℃)と、劣化度記憶部111がステップS1で選択したセル電池11に関連付けて記憶する劣化度の直上の劣化度(15%劣化)に関連付けられた電圧変動幅(図8(a))を読み出す(ステップS506)。次に、劣化推定部108は、推定テーブル記憶部107が記憶する電圧変動幅のうち、ステップS6で特定したSOCの直下のSOC(20%)と、ステップS7で特定した温度の直上の温度(30℃)と、劣化度記憶部111がステップS1で選択したセル電池11に関連付けて記憶する劣化度の直下の劣化度(10%劣化)に関連付けられた電圧変動幅(図8(b))を読み出す(ステップS507)。次に、劣化推定部108は、ステップS506で読み出した「直下のSOC」、「直下の温度」及び「直上の劣化度」に関連付けられた電圧変動幅(図8(a))と、ステップS507で読み出した「直下のSOC」、「直上の温度」及び「直下の劣化度」に関連付けられた電圧変動幅(図8(b))とを用いて、劣化度と電圧変動幅との関係を示す一次関数(図8(f))を導出する(ステップS508)。なお、ステップS508で導出した関数は、ステップS1で選択したセル電池11が「直下のSOC」である場合の劣化度と電圧変動幅との関係を示す関数となる。
なお、劣化度が増加することで、電圧変動幅は放物線状に増加することが分かっている。そのため、上記方法を用いて劣化度の算出を行う場合、ステップS508で導出する関数とステップS511で導出する関数は、劣化度が高くなるほど係数が大きくなる(傾きが急になる)。したがって、双方の関数から算出される劣化度の差は、セル電池11の劣化度が高いほど小さくなるため、セル電池11の劣化度が高いほど、推定される劣化度の精度が高くなる。
全てのセル電池11に対しての処理を終了すると、劣化推定部108は、推定した各セル電池11の劣化度をそれぞれ劣化度記憶部111に記録する(ステップS10)。次に、警告部109は、劣化推定部108が推定した劣化度の中に、所定の閾値を越えるものがあるか否かを判定する(ステップS11)。警告部109は、所定の閾値を超える劣化度を有するセル電池11があると判定した場合(ステップS11:YES)、当該セル電池11の識別情報とともに交換を促す警告メッセージを表示する(ステップS12)。また、SOC演算部110は、劣化推定部108が推定した劣化度と電流取得部103が取得した電流の積算値とを用いてセル電池11各々のSOCを算出する(ステップS13)。これにより、SOC演算部110は、セル電池11の劣化を考慮したSOCの算出を行うことができる。
第1の実施形態では、電圧変動幅を用いて劣化度を推定する例について説明したが、第2の実施形態では、電流−電圧位相差を用いて劣化度を推定する例について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態による劣化推定装置200の構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態による劣化推定装置200は、第1の実施形態による劣化推定装置100と、推定テーブル記憶部207が記憶する情報及び、劣化推定部208の動作が異なる。
推定テーブル記憶部207は、劣化度の異なるセル電池11における、温度とSOCと電流−電圧位相差(第2の物理量)との関係を示す位相差テーブルを記憶する。ここで、電流−電圧位相差とは、周期電流印加部106が正弦波をセル電池11に印加したときに発生する電圧の電圧値が最大となる時刻(図10(a))と、周期電流印加部106が印加した正弦波の電流値が最大となる時刻(図10(b))との差の時間を示す。
図3に示すように、セル電池11の使用サイクル数が増えるほど、当該セル電池11の劣化は進み、同時に内部抵抗は増加していく。内部抵抗が増加するということは、すなわちリアクタンスが増加するということであり、電流と電圧との位相差が大きくなる。このことから、電流−電圧位相差及び電圧変動量から内部抵抗を特定することができ、内部抵抗から容量変化率を特定することができる。つまり、電流−電圧位相差を用いてセル電池11の劣化度を推定することができることとなる。
推定テーブル記憶部207は、図11に示すように、複数の異なる劣化度(0%〜25%)のセル電池11におけるSOC(20%〜80%)、OCV(V2〜V8)、及び温度(50℃〜−10℃)と電流−電圧位相差(ΔP50−20〜ΔP−10−80)との関係を示す位相差テーブルを記憶している。なお、本実施形態において推定テーブル記憶部207は、図3においてプロットした「劣化なし」、「5%劣化」、「10%劣化」、「15%劣化」、「20%劣化」、「25%劣化」の6つの劣化度に関連付けて位相差テーブルを記憶する。
推定テーブル記憶部207が位相差テーブルを記憶することで、あるセル電池11のSOCまたはOCVと温度と電流−電圧位相差とによって、セル電池11の劣化度を特定することができる。例えば、SOCが50%で温度が20℃であり、電流−電圧位相差が10ミリ秒である場合、位相差テーブルのうちΔP20−50が10ミリ秒を示すものに関連付けられた劣化度が、当該セル電池11の劣化度である。
なお、位相差テーブルは、予め推定対象のセル電池11と同種のセル電池11を0%〜25%劣化させ、当該劣化させたそれぞれのセル電池11に、図4(a)に示す許容印加電流値を振幅とする周期電流を印加することで、各SOC(OCV)と各温度とに対応する電流−電圧位相差を求めて作成しておく。
そのため、推定テーブル記憶部207は、許容電流値テーブルに格納された温度と当該温度の直下の温度に関連付けられたそれぞれの許容印加電流値を用いて別個に位相差テーブルを作成しておく。
図12は、第2の実施形態による劣化推定装置200の動作を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態と同じ動作をする部分については、同じ符号を用いて説明する。
まず、劣化推定装置200が起動すると、劣化推定装置200は、組電池10を構成するセル電池11のうち劣化度の推定を行うものを1つ選択する(ステップS1)。なお、劣化推定装置200は、以降の処理をセル電池11毎に実施する。
電流取得部103は、現在時刻からの経過時間の測定を開始する(ステップS2)。次に、電流取得部103は、組電池10から流出する電流の電流値を測定し、当該電流値が所定の電流値範囲内であるか否かを判定する(ステップS3)。電流取得部103は、電流値が所定の電流値範囲内にないと判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS2に戻って経過時間の測定をリセットし、電流値の監視を継続する。
電流−電圧位相差に基づく劣化度の推定処理を開始すると、周期電流印加部106は、ステップS1で選択したセル電池11に、電流値特定部105が特定した電流値を振幅とする正弦波の周期電流を1サイクル以上のサイクル数で印加を開始する(ステップS601)。なお、周期電流印加部106が印加する周期電流の周波数には、分極減少の影響を受ける周波数(第1の実施形態で用いた周波数より低い周波数:第2の周波数)を用いることが好ましい。周期電流印加部106が周期電流の印加を開始すると、電圧取得部102は、ステップS1で選択したセル電池11の電圧値を取得し、電流取得部103は、ステップS1で選択したセル電池11の電流値を取得する(ステップS602)。なお、取得した電圧値及び電流値は、劣化推定部208に通知される。劣化推定部208は、周期電流印加部106による周期電流の印加が終了したか否かを判定する(ステップS603)。周期電流の印加が終了していない場合(ステップS603:NO)、ステップS602に戻り、電圧値及び電流値の取得を継続する。
なお、劣化度が増加することで、電流−電圧位相差は放物線状に増加することが分かっている。そのため、上記方法を用いて劣化度の算出を行う場合、ステップS608で導出する関数とステップS611で導出する関数は、劣化度が高くなるほど係数が大きくなる(傾きが急になる)。したがって、双方の関数から算出される劣化度の差は、セル電池11の劣化度が高いほど小さくなるため、セル電池11の劣化度が高いほど、推定される劣化度の精度が高くなる。
全てのセル電池11に対しての処理を終了すると、劣化推定部208は、推定した各セル電池11の劣化度をそれぞれ劣化度記憶部111に記録する(ステップS10)。次に、警告部109は、劣化推定部208が推定した劣化度の中に、所定の閾値を越えるものがあるか否かを判定する(ステップS11)。警告部109は、所定の閾値を超える劣化度を有するセル電池11があると判定した場合(ステップS11:YES)、当該セル電池11の識別情報とともに交換を促す警告メッセージを表示する(ステップS12)。また、SOC演算部110は、劣化推定部208が推定した劣化度と電流取得部103が取得した電流の積算値とを用いてセル電池11各々のSOCを算出する(ステップS13)。
第1の実施形態では、電圧変動幅を用いて劣化度を推定する例について説明し、第2の実施形態では、電流−電圧位相差を用いて劣化度を推定する例について説明したが、第3の実施形態では、電圧変動幅と電流−電圧位相差の双方を用いて劣化度の推定を行う例について説明する。
図14は、本発明の第3の実施形態による劣化推定装置300の構成を示す概略ブロック図である。
第3の実施形態による劣化推定装置200は、第1の実施形態による劣化推定装置100と、推定テーブル記憶部307が記憶する情報及び、劣化推定部308の動作が異なる。
推定テーブル記憶部307は、図5に示す変動幅テーブルと、図11に示す位相差テーブルとを記憶する。
図15は、第3の実施形態による劣化推定装置300の動作を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態、第2の実施形態と同じ動作をする部分については、同じ符号を用いて説明する。
まず、劣化推定装置300が起動すると、劣化推定装置300は、組電池10を構成するセル電池11のうち劣化度の推定を行うものを1つ選択する(ステップS1)。なお、劣化推定装置300は、以降の処理をセル電池11毎に実施する。
電流取得部103は、現在時刻からの経過時間の測定を開始する(ステップS2)。次に、電流取得部103は、組電池10から流出する電流の電流値を測定し、当該電流値が所定の電流値範囲内であるか否かを判定する(ステップS3)。電流取得部103は、電流値が所定の電流値範囲内にないと判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS2に戻って経過時間の測定をリセットし、電流値の監視を継続する。
次に、劣化推定装置300は、電流−電圧位相差に基づく劣化度の推定処理を行う(ステップS109)。なお、電流−電圧位相差に基づく劣化度の推定処理の詳細は、第2の実施形態で説明したとおりである。
全てのセル電池11に対しての処理を終了すると、劣化推定部308は、推定した各セル電池11の劣化度をそれぞれ劣化度記憶部111に記録する(ステップS10)。次に、警告部109は、劣化推定部308が推定した劣化度の中に、所定の閾値を越えるものがあるか否かを判定する(ステップS11)。警告部109は、所定の閾値を超える劣化度を有するセル電池11があると判定した場合(ステップS11:YES)、当該セル電池11の識別情報とともに交換を促す警告メッセージを表示する(ステップS12)。また、SOC演算部110は、劣化推定部308が推定した劣化度と電流取得部103が取得した電流の積算値とを用いてセル電池11各々のSOCを算出する(ステップS13)。
例えば、第1の実施形態〜第3の実施形態では、劣化度の推定を、図7のステップS506〜ステップS512に示す方法や、図13のステップS606〜ステップS612に示す方法を用いて行う場合を説明したが、これに限られない。例えば、推定テーブル記憶部107が記憶する電圧変動幅(電流−電圧位相差)と劣化度との組み合わせから補間計算によって求めても良い。
Claims (10)
- 二次電池の劣化度を推定する劣化推定装置であって、
前記二次電池の内部抵抗を変化させる要因となる前記二次電池の温度、電圧またはSOCである第1の物理量を取得する取得部と、
前記第1の物理量と当該第1の物理量によって変化する前記二次電池の内部抵抗に応じた許容印加電流値との関係に基づいて、前記取得部が取得した第1の物理量に対応する許容印加電流値を求める電流値特定部と、
前記電流値特定部が決定した許容印加電流値を振幅とする正負対称の波形を有する周期電流を前記二次電池に印加する周期電流印加部と、
前記周期電流印加部が周期電流を印加している間に前記二次電池に生じる電圧に基づいて前記二次電池のインピーダンスを示す電圧変動幅または電流−電圧位相差である第2の物理量を算出する算出部と、
前記第2の物理量と前記二次電池の劣化度との関係に基づいて、前記算出部が算出した第2の物理量を用いて前記二次電池の劣化度を推定する劣化推定部と
を備えることを特徴とする劣化推定装置。 - 前記電流値特定部は、推定対象となる最大の劣化度の前記二次電池の温度と許容印加電流値との関係に基づいて、前記取得部が取得した温度に対応する許容印加電流値を求めることを特徴とする請求項1に記載の劣化推定装置。
- 前記第1の物理量と前記第2の物理量と前記劣化度とを関連付けて記憶する推定テーブル記憶部を備え、
前記劣化推定部は、
前記推定テーブル記憶部が記憶する第1の物理量のうち、前記取得部が取得した第1の物理量以下でありかつ最も大きい第1の物理量と、前記推定テーブル記憶部が記憶する劣化度のうち、前記劣化推定部が前回推定した劣化度以上でありかつ最も小さい劣化度とに関連付けられた第2の物理量を前記推定テーブル記憶部から読み出し、
前記推定テーブル記憶部が記憶する第1の物理量のうち、前記取得部が取得した第1の物理量以上でありかつ最も小さい第1の物理量と、前記推定テーブル記憶部が記憶する劣化度のうち、前記劣化推定部が前回推定した劣化度以下でありかつ最も大きい劣化度とに関連付けられた第2の物理量を前記推定テーブル記憶部から読み出し、
それぞれ読み出した第2の物理量と劣化度とを用いて、劣化度と第2の物理量との関係を示す関数を算出し、
前記算出部が算出した第2の物理量を前記関数に代入することで、劣化度を推定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の劣化推定装置。 - 前記算出部は、
前記周期電流を第1の周波数で印加している間に前記二次電池に生じる電圧の最大値と最小値との差を算出することで、前記第2の物理量である電圧変動量を算出し、
前記周期電流印加部が周期電流を、前記第1の周波数より低い第2の周波数で1周期分印加したときに前記二次電池に生じる電圧が最大値となった時刻と前記周期電流の電流値が最大値となった時刻との差の時間を算出することで、前記第2の物理量である電流と電圧の位相差を算出し、
前記劣化推定部は、前記算出部が算出した電圧変動量及び位相差のそれぞれを用いて二次電池の劣化度を算出し、それぞれの劣化度の代表値を用いて劣化度を推定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の劣化推定装置。 - 前記算出部は、前記周期電流印加部が周期電流を印加している間に前記二次電池に生じる電圧の最大値と最小値との差を算出することで、前記第2の物理量である電圧変動量を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の劣化推定装置。 - 前記算出部は、前記周期電流印加部が周期電流を1周期分印加したときに前記二次電池に生じる電圧が最大値となった時刻と前記周期電流の電流値が最大値となった時刻との差の時間を算出することで、前記第2の物理量である電流と電圧の位相差を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の劣化推定装置。 - 前記劣化推定部が推定した劣化度が所定の閾値以上である場合に警告を発する警告部を備えることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の劣化推定装置。
- 前記劣化推定部が推定した劣化度を用いて前記二次電池の充電率を算出する充電率算出部を備えることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の劣化推定装置。
- 二次電池の劣化度を推定する劣化推定方法であって、
前記二次電池の内部抵抗を変化させる要因となる前記二次電池の温度、電圧またはSOCである第1の物理量を取得するステップと、
前記第1の物理量と当該第1の物理量によって変化する前記二次電池の内部抵抗に応じた許容印加電流値との関係に基づいて、前記取得した第1の物理量に対応する許容印加電流値を求めるステップと、
前記求めた許容印加電流値を振幅とする正負対称の波形を有する周期電流を前記二次電池に印加するステップと、
前記周期電流を印加している間に前記二次電池に生じる電圧に基づいて前記二次電池のインピーダンスを示す電圧変動幅または電流−電圧位相差である第2の物理量を算出するステップと、
前記第2の物理量と前記二次電池の劣化度との関係に基づいて、前記算出した第2の物理量を用いて前記二次電池の劣化度を推定するステップと
を有することを特徴とする劣化推定方法。 - 二次電池の劣化度を推定する劣化推定装置のコンピュータを、
前記二次電池の内部抵抗を変化させる要因となる前記二次電池の温度、電圧またはSOCである第1の物理量を取得する取得部、
前記第1の物理量と当該第1の物理量によって変化する前記二次電池の内部抵抗に応じた許容印加電流値との関係に基づいて、前記取得部が取得した第1の物理量に対応する許容印加電流値を求める電流値特定部、
前記電流値特定部が決定した許容印加電流値を振幅とする正負対称の波形を有する周期電流を前記二次電池に印加する周期電流印加部、
前記周期電流印加部が周期電流を印加している間に前記二次電池に生じる電圧に基づいて前記二次電池のインピーダンスを示す電圧変動幅または電流−電圧位相差である第2の物理量を算出する算出部、 前記第2の物理量と前記二次電池の劣化度との関係に基づいて、前記算出部が算出した第2の物理量を用いて前記二次電池の劣化度を推定する劣化推定部
として機能させるためのプログラム。
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