JP5717247B2 - センサ - Google Patents
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Description
このタイプの流速センサは、直径数μmの金属線を加熱しておき、流速による冷却効果によって金属線の温度が変化した際に、その温度変化に起因する金属線の電気抵抗変化に基づいて流速を計測するものである。例えば、流速が大きい場合には、冷却効果が高くなるので上記電気抵抗値が大きくなる。従って、電気抵抗値の変化をモニタすることで流速を計測することが可能とされている。
なお、上記した点は、流速を計測する場合だけに限られるものではなく、加速度等の力学量を計測する場合も同様であり消費電力の低減化及び高感度化が望まれている。
(1)本発明に係るセンサは、基端側から先端側に向けて一方向に延びる板状に形成され、基端側が固定端、先端側が自由端とされた圧電板と、前記圧電板の主面上に形成され、SAWを励振させて主面上を伝播させるIDTと、前記圧電板の主面上における前記先端側に突設され、外部から作用する影響を受けて傾倒する柱状部と、を備え、前記圧電板が、前記柱状部の傾倒に応じて前記主面に直交する方向に向けて撓み変形することを特徴とする。
具体的には、柱状部が圧電板の基端側に向けて傾倒した場合には、先端側を押し上げさせるような力が柱状部から圧電板に伝わるので、該圧電板は柱状部の突設方向(主面に直交する方向)に向けて捲り上がるように反って撓み変形する。これに対して、柱状部が圧電板の先端側に向けて傾倒した場合には、先端側を押し下げるような力が柱状部から圧電板に伝わるので、該圧電板は上記方向とは逆方向に向けて垂れ下がるように反って撓み変形する。
特に、片持ち状とされた圧電板の先端側に柱状部が突設されているので、柱状部が僅かに傾倒した場合であっても、圧電板を確実に撓み変形させ易い。従って、微小な加速度や流速等であっても精度良く計測することができ、高感度なセンサとすることができる。
また、IDTに対して高周波信号を印加するだけでSAWを励振させることが可能であるので、SAWを発生させるために電力を費やす必要がない。そのため、従来の熱線式や圧電式に比べて消費電力の低減化を図ることができる。
て前記圧電板の長手方向に撓み変形可能とされていても良い。
従って、いずれの場合であっても、圧電板を大きく反らせるように撓み変形させることができ、これによりSAWの伝播特性変化を明確に把握して加速度や流速等をより感度良く計測することができる。
なお、本実施形態ではセンサの一例として、流速を検出するセンサを例に挙げて説明する。より具体的には、室内の空調を行う空調機器に組み込まれ、吸気量及び排気量の測定に繋げるための流動空気(流動気体)の流速を検出するセンサを例に挙げて説明する。
図1から図3に示すように、本実施形態のセンサ1は、基端側から先端側に向けて一方向に延びる板状に形成された圧電板2と、該圧電板2の主面2a上に形成されたIDT3と、圧電板2の主面2a上における先端側に突設された柱状部4と、外部から送信された高周波数の電気信号である作動信号S1を受信すると共に、IDT3によって電気信号に変換された検出信号S2を送信する送受信アンテナ5と、を備えている。
この圧電板2は、例えば水晶やニオブ酸リチウム(LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LiTaO3)や酸化亜鉛(ZnO)等からなる圧電性基板とされている。なお、以下単に長手方向、短手方向という場合があるが、圧電板2の長手方向、短手方向を指す。
なお、導電性材料としては、例えばクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、金(Au)やチタン(Ti)等の金属膜であり、単層膜でも積層膜でも構わない。
また、両電極指15b、16bの上記接続マウント部15c、16cに送受信アンテナ5が接続されており、送受信アンテナ5で作動信号S1を受信すると接続マウント部15c、16cを介して両電極指15b、16bの間に印加がなされる。
この柱状部4としては、例えばシリコン等の半導体材料やガラス等を毛状に形成したものであり、図示の例では円柱状に形成されている。また、本実施形態の柱状部4は、根元部4aから先端部4bに亘って一定の剛性を有しており、非可撓性とされている。
次に、上記のように構成されたセンサ1を利用して流動空気の流速を検出する場合について説明する。
まず、センサ1に向けて外部から作動信号S1を送信させる。すると、送受信アンテナ5がこの作動信号S1を受信すると共に、接続マウント部15c、16cを介してIDT3を構成する第1の櫛歯電極15の電極指15bと第2の櫛歯電極16の電極指16bとの間に作動信号S1を印加する。これにより、両電極指15b、16b間に電界が発生し、圧電効果によりSAWが励振される。
この際、外部では、図7に示すように励振によって発生したSAWが送信波W1として送信されてから、受信反射波W2として受信されるまでの遅延時間Tをモニタしている。
そのため、図6(b)に示すように、IDT3によって励振され、圧電板2の主面2a上を伝播するSAWの伝播長Lが変化(図示の場合は伝播長Lが短くなる)ので、SAWの伝播特性の1つである上記した遅延時間Tが変化(図示の例では伝播時間Tが短くなる)する。
そのため、この場合であって上記場合と同様の原理により現在の流速を算出することができ、その結果例えば室内からの流動空気の排気量を測定することが可能となる。
しかも、本実施形態の柱状部4は円柱状に形成されているので、流動空気が圧電板2の先端側或いは基端側から流動してきたとしても、柱状部4に対して同様に接触する。そのため、流速をより精度良く計測することができる。加えて、本実施形態の柱状部4は非可撓性であるので、流動空気の接触に対してリニアに反応して傾倒する。従って、応答性に優れたセンサにし易い。
そして、圧電板20の主面20a(圧電膜22上)にIDT3及び反射器11が形成され、圧電膜22が形成されていない圧電板20の先端側の部分、即ち露出しているガラス基板21に柱状部4が突設されている。
この場合には、柱状部4が根元部4aを中心としてしなやかに撓み変形するので、流動空気が接触した場合に柱状部4を大きく押し倒し易い。従って、圧電板2を大きく反らせることができ、SAWの伝播特性変化をより明確に把握し易い。そのため、より感度良く流速を計測することが可能である。
具体的には、柱状部4は先端部4bの直径が根元部4aの直径の略3倍程度拡径した段付きの円柱状に形成されている。この場合には、流速の計測時、柱状部4の先端部4b側に集中的に流動空気を接触させ易い。そのため、柱状部4を大きく押し倒して、圧電板2を大きく反らせることが可能である。これによりSAWの伝播特性変化をより明確に把握し易くなるので、流速をより感度良く計測することができる。
なお、この場合、根元部4aから先端部4bに向かうにしたがって漸次拡径するように、柱状部4を逆円錐状に形成しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。
即ち、圧電板2の先端側から基端側に向かう方向に加速度が作用した場合には、流速を計測する場合と同様、図4に示すようにその影響により柱状部4が圧電板2の基端側に向けて押し倒されて傾倒する。これにより、圧電板2は上方に向けて捲り上がるように反って撓み変形する。また、圧電板2の基端側から先端側に向かう方向に加速度が作用した場合には、やはり流速を計測する場合と同様、図5に示すように、その影響によって柱状部4が圧電板2の先端側に向けて押し倒されて傾倒する。これにより圧電板2は、上記方向とは逆方向である下方に向けて垂れ下がるように反って撓み変形する。
パッケージ31は、例えば陽極接合、図示しない接合膜、接着剤等を利用して互いに接合された第1基板32及び第2基板33で構成されている。図示の例では、第1基板32が平坦な基板とされ、第2基板33にはキャビティ用の凹部33aが形成されている。そして、両基板32、33の間にキャビティCが画成され、このキャビティC内に圧電板2及びホルダ部10が収納されている。
特に、キャビティC内を真空にした状態で、圧電板2及びホルダ部10をパッケージ31の内部に気密封止することがさらに好ましい。こうすることで、励振されたSAWのQ値の低下をさらに抑制することができ、加速度をより精度良く計測することが可能となる。
開口部35は、長手方向に向かい合うように第2基板33に形成されており、流動空気をキャビティC内に導入させ、圧電板2の長手方向に沿わせながら流動させた後に、パッケージ31外に排出させることが可能とされている。
この場合、パッケージ31の内部にキャビティCを区画する仕切り板41を設け、一方の圧電板2が収納される第1キャビティC1と、他方の圧電板2が収納される第2キャビティC2と、を各別に画成させる。また、他方の圧電板2が収納されている第2キャビティC2内にだけ流動空気が流動するように、パッケージ31を構成する第2基板33に開口部35が形成されている。
なお、2つの圧電板2を共通のホルダ部10で片持ち状に支持したが、別々のホルダ部10で圧電板2を支持しても構わない。こうすることで、仕切り板41の構成を簡略化することが可能である。
この場合であっても、同様の原理により流速、加速度を計測することができ、同様の作用効果を奏効することができる。
2、20…圧電板
3…IDT
4…柱状部
4a…柱状部の根元部
4b…柱状部の先端部
31…パッケージ
35…開口部
Claims (4)
- 基端側から先端側に向けて一方向に延びる板状に形成され、基端側が固定端、先端側が自由端とされた圧電板と、
前記圧電板の主面上に形成され、SAWを励振させて主面上を伝播させるIDTと、
前記圧電板の主面上における前記先端側に突設され、外部から作用する影響を受けて傾倒する柱状部と、を備え、
前記圧電板は、前記柱状部の傾倒に応じて前記主面に直交する方向に向けて撓み変形し、
前記柱状部は、可撓性を有し、根元部を中心として前記圧電板の長手方向に撓み変形可能とされている、
ことを特徴とするセンサ。 - 請求項1に記載のセンサにおいて、
前記柱状部は、円柱状に形成されていると共に根元部よりも先端部の方が拡径していることを特徴とするセンサ。 - 請求項1又は2に記載のセンサにおいて、
前記圧電板を内部に収納するパッケージを備えていることを特徴とするセンサ。 - 請求項3に記載のセンサにおいて、
前記パッケージには、パッケージ外からパッケージ内に流動気体を導入させると共に、該流動気体を前記圧電板の長手方向に沿って流動させた後、パッケージ外に排出させる開口部が形成されていることを特徴とするセンサ。
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