JP5715440B2 - アルカリ可溶性重合体、それを含む感光性樹脂組成物、及びその用途 - Google Patents

アルカリ可溶性重合体、それを含む感光性樹脂組成物、及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置の表面保護膜、及び層間絶縁膜として使用される耐熱性樹脂の前駆体となる感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いた耐熱性を有する硬化レリーフパターンの製造方法、並びに該硬化レリーフパターンを有してなる半導体装置に関する。
半導体装置の表面保護膜、及び層間絶縁膜には、優れた耐熱性、電気特性、及び機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂が広く用いられている。このポリイミド樹脂は、今日、感光性ポリイミド前駆体組成物の形で提供されることが多い。半導体装置を製造する過程において、該前駆体組成物をシリコンウエハー等の基板に塗布し、活性光線によるパターニングを行い、現像し、熱イミド化処理等を施すことによって、該半導体装置の一部分となる表面保護膜、層間絶縁膜等を容易に形成させることができる。すなわち、感光性ポリイミド前駆体組成物を使用した半導体装置の製造プロセスは、表面保護膜等を形成した後にリソグラフィー法によってパターニングする必要があった従来の非感光性ポリイミド前駆体組成物を使用した製造プロセスに比べて、大幅な工程短縮が可能となっている。
ところで、この感光性ポリイミド前駆体組成物は、その現像工程においては、現像液としてN−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いる必要があり、近年の環境問題の高まりなどから、脱有機溶剤対策が求められてきている。これを受け、最近になって、フォトレジストと同様に、アルカリ性水溶液で現像可能な耐熱性感光性樹脂材料の提案が各種なされている。
中でも、硬化後に耐熱性樹脂となるアルカリ性水溶液可溶性のヒドロキシポリアミド、例えばポリベンズオキサゾール(以下、「PBO」ともいう。)前駆体を、ナフトキノンジアジド化合物などの光酸発生剤と混合したPBO前駆体組成物を感光性樹脂組成物として用いる方法が、以下の特許文献1、2に開示されている。
この感光性樹脂組成物の現像メカニズムは、未露光部のナフトキノンジアジド化合物及びPBO前駆体がアルカリ性水溶液への溶解速度が小さいのに対し、露光することにより該感光性ジアゾキノン化合物がインデンカルボン酸化合物に化学変化して露光部のアルカリ性水溶液への溶解速度が大きくなることを利用したものである。この露光部と未露光部の間の現像液に対する溶解速度の差を利用し、未露光部からなるレリーフパターンの作製が可能となる。
上述のPBO前駆体組成物は、露光及びアルカリ性水溶液による現像でポジ型レリーフパターンの形成が可能である。さらに熱により、オキサゾール環が生成し、硬化後のPBO膜はポリイミド膜と同等の熱硬化膜特性を有するようになるため、PBO前駆体組成物は、有機溶剤現像型ポリイミド前駆体組成物の有望な代替材料として注目されている。
同様に、アルカリ現像が可能なポリアミド酸、及びポリアミド酸エステルとナフトキノンジアジド化合物からなる感光性樹脂組成物が、以下の特許文献3、4に開示されている。
また、アルカリ現像が可能なフェノール性水酸基含有溶剤可溶性ポリイミド(以下、「可溶性PI」ともいう。)とナフトキノンジアジド化合物からなる感光性樹脂組成物が、以下の特許文献5に提案されている。
更に、カルボン酸誘導体を用いて側鎖に架橋基を導入しているPBO前駆体樹脂が、以下の特許文献6、7に開示されており、またアミノ化合物誘導体を用いて側鎖に架橋基を導入しているPI前駆体樹脂組成物が、以下の特許文献8に提案されている。
そして、エステル結合を含有したPBO前駆体ポリマーとナフトキノンジアジド化合物からなる感光性樹脂組成物が、以下の特許文献9に提案されている。
更に、近年、電子部品の層間絶縁膜や表面保護膜層などの樹脂硬化膜を形成する場合のプロセスとして、低温プロセスが望まれており、それに対応するためには、低温で脱水環化が出来、脱水環化後の膜の物性が高温で脱水環化したものと遜色のない性能が得られるポリイミド、ポリベンゾオキサゾールが求められてきた。その課題に対して、ポリマーに柔軟な脂肪族構造を導入することで、低温領域でのキュア温度でオキサゾール環化が進み、架橋剤を加えることで硬化膜の耐薬品性を向上させたPBO前駆体樹脂組成物が、以下の特許文献10に提案されている。
特公平01−046862号公報 特開昭63−096162号公報 特開昭52−013315号公報 特開平02−181149号公報 国際公開第07/029614号パンフレット 国際公開第05/068535号パンフレット 特開2002−167435号公報 特開平11−024268号公報 特開2007−171945号公報 国際公開第2008/111470号パンフレット
上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
従来の半導体素子の表面保護膜及び層間絶縁膜は、感光性ポリイミド前駆体組成物からなる表面保護膜及び層間絶縁膜と比較して、感光剤の吸収波長に伴う問題から感度が低いという問題や、環化を伴うPBO前駆体及びPI前駆体では、環化による硬化収縮が大きく、また環化前のガラス転移温度が低いため、現像後に得られたレリーフパターンを加熱処理(以下、この工程を「キュア」という。)する際にテーパー角が低くなるために、半導体装置の製造工程において、メタル配線等が露出して半導体パッケージの信頼性を低下させるという問題があった。
また、架橋基を側鎖に含有している特許文献6に示されたアルカリ可溶性重合体では、骨格に由来するアミン誘導体を架橋基として利用しているため、アルカリ可溶性重合体のi線(365nm)透過性が低下し、感度が低下する。架橋基を側鎖に含有している特許文献7に示されたアルカリ可溶性重合体では、非感光性のポリベンゾオキサゾールである。
特許文献8に示されたアルカリ可溶性重合体では、エチレングリコール鎖で連結することで側鎖に架橋基が導入されているが、キュア時にエチレングリコール鎖が分解し、架橋基部分が脱離してしまうため、環化時の硬化収縮の抑制効果はないと考えられる。
特許文献10に示された柔軟な脂肪族基を導入したPBO前駆体樹脂と熱架橋剤との観光性樹脂組成物では、柔軟な構造を導入したポリマーは、硬化膜のガラス転移温度と耐溶剤性が下がる。それを補う目的で、熱架橋剤を多量に添加する必要があった。そのため、
200℃付近の低温キュアでは架橋剤の硬化が不完全な場合、プレッシャークッカー試験(PCT試験)後に未硬化の架橋剤が相分離し、ブリードアウトするという課題があった。また、通常のPBO前駆体樹脂と同様に、感度の向上が求められている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、硬化収縮が低く(硬化時残膜率が高く)、かつ硬化膜の物性(Tg、弾性率、伸度、吸湿率)に優れることを特徴とするアルカリ可溶性重合体、及び180〜250℃といった低温領域でのキュアによっても、キュア後のパターン形状、耐薬品性、物性(Tg、伸度、吸湿率、プレッシャークッカー試験)、保存安定性に優れた感光性樹脂組成物、該組成物を用いた硬化レリーフパターンの製造方法、並びに該硬化レリーフパターンを有してなる半導体装置及び発光装置を提供することである。
本発明者は、上記した従来技術の問題に鑑みて、鋭意検討し実験を重ねた結果、特定の構造を有するアルカリ可溶性重合体とすることで、上記の課題を解決する重合体、及び感光性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1):
{式中、X1、及びYは、それぞれ独立に、少なくとも2個の炭素原子を有する有機基であり、Y及びYの少なくとも一方は、炭素数が1〜30の脂肪族構造を含む基であり、Zは、下記一般式(2):
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素原子数1〜5の炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、Rは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する基であり、Wは、炭素原子数1〜30の(n+2)価の有機基であり、Bは、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選択される基であり、そしてnは、1〜12の整数である。)で表される構造を有し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、mは、1〜1000の整数であり、mは、1〜500の整数であり、ここで、m/(m+m)=0.05〜0.99であり、そしてn〜nは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、n+n+n+n+n+n>0であり、ここで、X及びYを含むm個の単位、並びにZ及びYを含むm個の単位の配列順序は問わない。}で表される構造で表される構造を有するアルカリ可溶性重合体。
[2]前記、一般式(1)におけるY及びYの少なくとも一方が、下記一般式(3):
(式中、A及びAは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a’は1〜30の整数を示す。)で表される構造を含む基、または、下記一般式(4):
(式中、A〜Aは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a〜cは各々独立に1〜30の整数を表し、dは0〜3の整数である。また、Aは―O―、―S―、―SO―、―CO―、―NHCO―、―C(CF―、―C三C―からなる群から選ばれるいずれかを示す。)である前記[1]に記載のアルカリ可溶性重合体。
[3]上記一般式(1)中、mの繰り返し単位数を有する部分が、下記一般式(5):
(式中、A及びAは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Uは、単結合、−CH−、―C(CH―、―C(CF―、―SO―からなる群から選ばれるいずれかを示し、a’は1〜30の整数を示す。)の構造を有する[1]又は[2]に記載のアルカリ可溶性重合体。
[4]以下の工程:
脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体と架橋基含有化合物とを反応させ、両末端が脂肪族カルボン酸又はその誘導体である架橋基含有構造を有する化合物を合成する工程、
前記両末端が脂肪族カルボン酸又はその誘導体である架橋基含有構造を有する化合物と多価アミノ化合物とを重縮合させる工程、
を順に含む、アルカリ可溶性重合体の製造方法。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、光酸発生剤(B)1〜50質量部を含む、感光性樹脂組成物。
[6]前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、有機ケイ素化合物(C)1〜40質量部をさらに含む、前記[5]に記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記光酸発生剤(B)が、ナフトキノンジアジド化合物であり、前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、モノカルボン酸化合物(D)1〜40質量部をさらに含む、前記[5]又は[6]に記載の感光性樹脂組成物。
[8]前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、フェノール化合物(E)1〜100質量部をさらに含む、前記[5]〜[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[9]前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、熱により架橋反応を起こす化合物(F)0.5〜15質量部をさらに含む、前記[5]〜[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[10]前記熱により架橋反応を起こす化合物(F)が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物、アルケニル化合物、下記一般式(6):
{式中、Rは、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選ばれる1価の有機基であり、R10は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜10のエステル基、及び炭素原子数2〜10のウレタン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの1価の有機基であり、n12は、1〜5の整数であり、n13は、0〜4の整数であり、ここで、n12+n13=5であり、mは、1〜4の整数であり、Zは、m=1のとき、CHOR又はR10であり、m=2〜4のとき、単結合又は2〜4価の有機基であり、ここで、CHOR、及びR10が複数存在する場合、R及びR10は、互いに同一でも異なっていてもよい。}で表される構造、下記一般式(7):
{式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基及びR13CO−(ここで、R13は、炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)からなる群から選ばれる基であり。}で表される構造、及び下記一般式(8):
{式中、Dは、炭素原子数1〜6のアルキル基、アルケニル基、及び架橋し得る有機基からなる群より選ばれる官能基であり、Mは、−CH−、−O−、及び−S−からなる群から選ばれる基であり、Zは2価の有機基であり、n14は、0〜4の整数であり、Dが複数ある場合、複数のDは同じでも異なっていてもよい。}で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記[5]〜[9]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[11]前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、熱により酸を発生する化合物(G)0.1〜30質量部をさらに含む、前記[5]〜[10]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[12]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、光酸発生剤(B)0.5〜30質量部、及び酸の作用により架橋し得る化合物(H)0.5〜15質量部を含む感光性樹脂組成物。
[13]前記酸の作用により架橋し得る化合物(H)が、分子内にメチロール基又はアルコキシメチル基を有する化合物である、前記[12]に記載の感光性樹脂組成物。
[14]前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、増感剤となる化合物(I)1〜20質量部をさらに含む、前記[12]又は[13]に記載の感光性樹脂組成物。
[15]有機溶媒(J)をさらに含む、前記[5]〜[14]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物溶液。
[16]以下の工程:
(1)前記[5]〜[14]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物又は前記[15]に記載の感光性樹脂組成物溶液を塗布して得られた感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)露光する工程、
(3)現像する工程、
(4)得られたレリーフパターンを加熱処理する工程、
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[17]半導体基板と、該半導体基板に設けられた半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた絶縁膜とを備え、該絶縁膜は、前記[16]に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンであることを特徴とする半導体装置。
[18]表示素子用基板と、該基板の表面を覆う絶縁膜と、該表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備え、該絶縁膜は、前記[16]に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンであることを特徴とする発光装置。
本発明によれば、硬化収縮が低く(硬化時残膜率が高く)、かつ硬化膜の物性(Tg、弾性率、伸度、吸湿率)に優れることを特徴とするアルカリ可溶性重合体、及び180〜250℃といった低温領域でのキュアによっても、キュア後のパターン形状、耐薬品性、物性(Tg、伸度、吸湿率、プレッシャークッカー試験)、保存安定性に優れた感光性樹脂組成物、該ポジ型感光性樹脂組成物を用いた硬化レリーフパターンの製造方法、並びに該硬化レリーフパターンを有してなる半導体装置が提供される。
図1は日立製作所(株)製 S−2400型日立走査電子顕微鏡を用いて観察された、キュア後レリーフパターンの50μmラインの断面図の模式図を示す。
<感光性樹脂組成物>
本発明に係るアルカリ可溶性重合体、及びそれを含む感光性樹脂組成物を構成する各成分について、以下具体的に説明する。
アルカリ可溶性重合体(A)
本発明に係るアルカリ可溶性重合体は、多価カルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボン酸化合物と多価アミノ化合物とから合成される構造;及び架橋基を有し、かつ前記多価カルボン酸又はその誘導体と反応し得る化合物に由来する架橋基含有構造;を有するアルカリ可溶性重合体であり、少なくとも多価カルボン酸に由来する構造の一部が脂肪族構造を有することを特徴とする。このアルカリ可溶性重合体(A)は、後述する感光性樹脂組成物のベースポリマーとなる。
ここで、多価カルボン酸及びその誘導体として、ジカルボン酸、トリカルボン酸、これらの酸クロリド化合物、酸無水物化合物、テトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、その構造の一部が脂肪族構造を有する。また、多価アミノ化合物として、少なくともアミノ基を2つ有する化合物、具体的には、ジアミノ安息香酸、ジアミノフェノール、ビス(アミノフェノール)等のジアミンが挙げられる。これら化合物は、置換されていてもよい。
架橋基として、その構造として特に制限はないが、150〜350℃の範囲で架橋反応を起こす基を表し、架橋反応は、現象によりパターンを形成した後の加熱処理工程において生じる。
多価カルボン酸又はその誘導体と反応し得る化合物としては、カルボン酸又はその誘導体と縮合反応が可能な化合物であり、具体的にはヒドロキシル化合物、チオール化合物、チオフェノール化合物、アミノ化合物、アミド化合物等が挙げられる。ここでいうヒドロキシル化合物とはフェノール化合物、又はアルコール化合物を表す。
すなわち、アルカリ可溶性重合体(A)は、
脂肪族構造を分子内に有するジカルボン酸又はその誘導体とビス(アミノフェノール)から誘導され、フェノール基を有するポリアミド、特に好ましくはアミド結合のオルト位にフェノール基を有するPBO前駆体であるポリアミド、
脂肪族構造を分子内に有するテトラカルボン酸二無水物とビス(アミノフェノール)から誘導され、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性のポリイミド、
脂肪族構造を分子内に有するテトラカルボン酸二無水物とジアミンから誘導され、アミド結合のオルト位にカルボキシル基を有すポリイミド前駆体であるポリアミド酸、及び
そのカルボキシル基の一部を封止したポリアミド酸エステルから選ばれる構造と;
架橋基含有構造とを;有することを特徴とする。アルカリ可溶性重合体(A)が、架橋基含有構造を有することで、低温においても架橋基が反応し、硬化収縮の小さい樹脂となる。
はじめに、架橋基を含有している構造部分(以下、「架橋基含有構造」ともいう。)について説明する。
上記架橋基含有構造は、加熱処理時の反応性の観点から、下記一般式(9):
{式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素原子数1〜5の炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、Rは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する基であり、Wは、炭素原子数1〜30の(n+2)価の有機基であり、mは、1〜500の整数であり、そしてnは、1〜12の整数である。}で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
上記一般式(1)中のWで表される炭素原子数1〜30の(n+2)価の有機基とは、特に構造の限定はないが、例えば、炭素原子数1〜30の炭化水素構造及び含フッ素構造、又はアミド基、エーテル基、エステル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する構造が挙げられる。構造例としては、下記一般式(10)が挙げられる。
{式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素原子数1〜5の炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、Rは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する基であり、Wは、炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、Aは、単結合、炭素原子数1〜13の炭化水素基、及び下記一般式(11):
で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造であり、mは、1〜500の整数であり、そしてn15は、1〜4の整数であり、n16は、0〜3の整数である。ここで、W及びAが複数ある場合は同一でも異なってもいてもよい。}。
耐溶剤性の観点から、上記一般式(10)中、Wは、芳香族基であることが好ましい。さらに耐熱性の観点からは、上記一般式(10)中、Wは、ベンゼン環であることが好ましく、上記一般式(10)中、Aは単結合、及び下記:
から選ばれる構造が好ましい。
架橋基含有構造に含まれる架橋基(例えば、式(9)でいう(CR))は、加熱処理時の反応性の観点から、メチロール基、アルコキシメチル基、アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基からなる群より選ばれる基を少なくとも1つを有する基からなることが好ましい。ここでアルケニル基というのは、(メタ)アクリレート基、アリル基、ビニル基等の不飽和二重結合基を表す。本明細書において、(メタ)アクリレート基とは、メタクリレート基又はアクリレート基を表す。
上記一般式(9)で表される架橋基含有構造の中でも、保存安定性の観点から、メチロール基、アルコキシメチル基及びこれらの誘導体が好ましく、中でもアルコキシメチル基が更に好ましい。メチロール基及びアルコキシメチル基の誘導体とは、上記一般式(9)で表される架橋基含有構造中、R及びRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選ばれる基を少なくとも1つ有し、Rは、−ORであり、ここで、Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基である場合に相当する。
アルカリ可溶性重合体(A)は、下記一般式(1):
{式中、X1、及びYは、それぞれ独立に、少なくとも2個の炭素原子を有する有機基であり、Y及びYの少なくとも一方は、炭素数が1〜30の脂肪族構造を含む基であり、Zは、下記一般式(2):
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素原子数1〜5の炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、Rは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する基であり、Wは、炭素原子数1〜30の(n+2)価の有機基であり、Bは、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選択される基であり、そしてnは、1〜12の整数である。)で表される構造を有し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、mは、1〜1000の整数であり、mは、1〜500の整数であり、ここで、m/(m+m)=0.05〜0.99であり、そしてn〜nは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、n+n+n+n+n+n>0であり、ここで、X及びYを含むm個の単位、並びにZ及びYを含むm個の単位の配列順序は問わない。}で表される構造を有する樹脂である。
上記一般式(2)中のWで表される炭素原子数1〜30の(n+2)価の有機基とは、特に構造の限定はないが、例えば、炭素原子数1〜30の炭化水素構造及び含フッ素構造、又はアミド基、エーテル基、エステル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する構造が挙げられる。構造例としては、下記一般式(12):
{式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素原子数1〜5の炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、Rは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する基であり、Wは、炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、Bは、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選択される基であり、Aは、単結合、炭素原子数1〜13の炭化水素基、及び下記一般式(11):
で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造であり、そしてn15は、1〜4の整数であり、n16は、0〜3の整数である。ここで、W及びAが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。}が挙げられる。
上記一般式(12)の好ましい構造については、上記一般式(10)中の好ましい構造と同様である。Wが、芳香族基である場合、CRで表される基は、Bで表される基に対して、オルト位又はパラ位のいずれかに置換されることが好ましい。
更に、アルカリ可溶性重合体(A)は、感度の観点から、上記一般式(1)のZで表される上記一般式(2)及び上記一般式(12)中のBは、−O−であることが好ましく、Rは、下記一般式(13):
(式中、R13は、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基である。)で表される構造が好ましい。
上記一般式(1)で表されるアルカリ可溶性重合体(A)は、Bが−NH−、−O−又は−S−であるが、Bは−NH−である場合よりも、−O−又は−S−である場合の方が好ましい。その理由は、エステル結合又はチオエステル結合を導入した場合は、アミド結合である場合と比較して、アミド基由来の水素結合が減少するため、アルカリ可溶性重合体同士の相互作用が低下し、エステル結合又はチオエステル結合に隣接するセグメントが互いに回転し易くなると考えられ、アルカリ可溶性重合体がキュア時に架橋構造を形成した場合、得られる硬化膜が良好な伸度を有するからである。
更にエステル結合又はチオエステル結合を導入した場合は、アミド結合である場合と比較して、アルカリ可溶性重合体の疎水性が向上するため、アルカリ水溶液に対する未露光部の溶解性が抑制され、露光部とのコントラストが向上すると考えられる。
上記一般式(1)で表されるアルカリ可溶性重合体(A)は、後述する製造方法を用いた場合の方が好ましい。
上記一般式(13)で表される架橋基含有構造の中でも、保存安定性の観点から、メチロール基、アルコキシメチル基、これらの誘導体を有する架橋基含有構造が好ましい。メチロール基及びアルコキシメチル基の誘導体とは、上記一般式(12)で表される架橋基含有構造中、R及びRは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選ばれる1つの基であり、Rは、−OR13であり、R13は、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基である場合に相当する。メチロール基、アルコキシメチル基、これらの誘導体を有する架橋基含有構造としては、以下の構造が挙げられる。
(式中、R14は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基である。)。
アルカリ可溶性重合体(A)の製造方法としては、下記の架橋基含有化合物と、炭素数が1〜30の脂肪族構造を含む多価カルボン酸とを、重縮合させ、次いで多価アミノ化合物を重縮合させる方法が挙げられる。架橋基含有化合物としては架橋基含有アルコール、架橋基含有フェノール、架橋基含有チオール、架橋基含有チオフェノール、架橋基含有アミン等が挙げられる。
架橋基含有化合物は以下の合成方法によって得られる。すなわち、下記に記載される原料をアルカリ触媒の存在下にホルムアルデヒドと反応させることにより、メチロール化を行い、対応したハロゲン化合物、又はアルコールを反応させることで得られる。
架橋基含有化合物の原料である化合物としては、例えば、ヒドロキシル化合物、チオフェノール化合物、アミノ化合物が挙げられ、具体例として、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−エチリデンビスフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、TM124(デグサジャパン:商品名)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノール、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノール、ヘキセストロール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジフェノール酸、1,4−ベンゼンジチオール、4,4’−ビフェニルジチオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−エチレンジアニリン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’ ’−ジアミノ−p−ターフェニル、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド等が挙げられる。
これらの化合物の中で、機械物性の観点から好ましいものは、下記:
から選ばれる構造を有する化合物である。
フェノール化合物、及びチオフェノール化合物の場合は、以下の方法でメチロール置換化合物を合成する。
塩基性触媒の存在下、水溶媒、又は水と有機溶媒との混合溶媒中において、上記の架橋基含有化合物の原料1molに対して、ホルムアルデヒド4〜40mol、好ましくは5〜10molを反応させ、その後、得られた反応生成物を中和することによって得ることができる。
上記製造方法において、ホルムアルデヒドとしては、市販の例えば35%ホルマリン水溶液をそのまま利用できるほか、水存在下において、ホルムアルデヒドと同様に作用するパラホルムアルデヒドやトリオキサンも用いることができるが、これらのうちでは、ホルマリンを用いることが好ましい。
上記塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物や水酸化カルシウム等が挙げられるが、好ましくは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機強塩基、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機強塩基が好ましく、中でも、このような強塩基の10〜40wt%の水溶液が好ましく用いられる。塩基性触媒は、上記の架橋基含有化合物の原料の水酸基に対して、0.5〜5倍当量、好ましくは、0.8〜3倍当量の範囲で用いられる。溶媒量は、通常、上記の架橋基含有化合物の原料に対して、重量比で、1〜5倍、好ましくは、2〜3倍程度の範囲で用いられる。上記有機溶媒としては、前記塩基性触媒と前記の原料であるフェノール化合物、又はチオフェノール化合物との水溶媒混合液の溶解性を損なわない範囲において、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、カルビトール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、また、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の水溶性の非プロトン性極性溶媒が用いられる。
反応は、通常、0〜60℃、好ましくは、20〜50℃の範囲の温度において、通常、1〜72時間、好ましくは、4〜16時間程度にわたって行なわれる。反応の温度が60℃よりも高いときは、高分子量物や、種々の望ましくない副生物が多量に生成するので好ましくない。塩基性触媒の存在下、前記の原料であるフェノール化合物、又はチオフェノール化合物とホルムアルデヒドとの反応終了後、得られた反応混合物から目的とする反応生成物を分離回収するためには、反応終了後、反応終了混合物に硫酸等の酸を加えて目的物のアルカリ塩及びアルカリ触媒を中和する。次いで水層を分離除去するために、必要に応じてトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン又はエーテル等の水と分離可能な溶媒を加え、その後、水層を分離する。得られた油層を水洗した後、水層を分離して、得られた油層から溶媒やホルムアルデヒド等の低沸点化合物を留去した後、これに晶析溶媒、例えばトルエン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等を添加、溶解し、冷却、晶析次いで濾過することによって、目的物の結晶を収率良く高純度で得ることができる。
上記中和処理に用いる酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸等の有機酸、または、硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、塩酸等の無機酸を挙げることができる。これらの中では、経済性や操作性の面から、塩酸、硫酸、酢酸が最も好ましく用いられる。
ついで、上記製造方法で得られたメチロール置換化合物を用いて、以下の方法でアルコキシメチル置換化合物を合成する。
上記製造方法で得られたメチロール置換化合物を原料として、これに、酸触媒の存在下に炭素原子数1〜4の飽和脂肪族アルコールを反応させることにより得ることができる。ここに、この低級脂肪族アルコールは、反応溶剤を兼ねた反応原料である。上記酸触媒としては、濃硫酸、塩酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、陽イオン交換樹脂(酸型)、シュウ酸等が好ましく用いられる。より好ましくは、濃硫酸等の無機の強酸である。また、酸触媒は、原料のメチロール置換化合物100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部の範囲、好ましくは、0.5〜30重量部の範囲で用いられる。
上記低級脂肪族アルコールとしては、炭素原子数1〜4の飽和脂肪族アルコールであり、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等が用いられる。好ましくは、1級又は2級アルコールであり、特に好ましくは1級アルコールである。このような低級脂肪族アルコールは、通常、反応溶媒を兼ねて、原料のメチロール置換化合物に対して過剰に用いられる。用いられる量は、特に限定されるものではないが、通常、原料のメチロール置換化合物100重量部に対して、200〜4000重量部の範囲、好ましくは500〜1500重量部の範囲で用いられる。
また、反応温度は、通常、0〜80℃の範囲、好ましくは40〜60℃の範囲である。反応終了後、常法に従って、得られた反応混合物から目的とするアルコキシメチル置換化合物を単離することができる。例えば、反応終了後、得られた反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリを用いて中和した後、反応溶剤を兼ねた過剰の低級脂肪族アルコールを、必要に応じて、蒸留等によって除去した後、中和による生成塩を濾別し、目的物の粗製品を得る。必要に応じて、更に、前記粗製品をトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン或いはエーテル等の溶媒に溶解させ、水洗し、水層を分液した後、得られた油層を冷却、晶析次いで濾過することによって、目的物の結晶を収率良く高純度で得ることができる。
アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基を含有する架橋基含有化合物においては、メチロール置換化合物を原料とし、メタクリル酸クロリド、エピクロロヒドリン、及びハロメチルオキセタン化合物等と反応させることで、得ることができる。
アミノ化合物の場合は、アミノ基にシリル化処理を行い、同様の方法でメチロール置換化合物、及びアルコキシメチル置換化合物を合成する。
PBO前駆体と架橋基含有構造とを有するアルカリ可溶性重合体(A)を合成する方法としては、ピリジン、トリエチルアミン、塩化ベンジルトリエチルアミン等の塩基触媒存在下、過剰量のジカルボン酸又はその誘導体と上記製造方法で得られた架橋基含有化合物とを−10℃〜40℃の範囲で反応させ、両末端がカルボン酸又はその誘導体である架橋基含有構造を合成し、次いで、前述の両末端がカルボン酸又はその誘導体である架橋基含有構造とビス(アミノフェノール)等の多価アミノ化合物とを−15℃〜10℃の範囲で重縮合させることで、架橋基含有PBO前駆体を合成することができる。ジカルボン酸の誘導体としては、例えばジカルボン酸を塩化チオニルにより、酸クロリドとしたものが挙げられる。酸クロリドの合成法としては、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、塩化ベンジルトリエチルアミン等の触媒の存在下、ジカルボン酸と過剰量の塩化チオニルとを反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去する方法が挙げられ、この反応液の残渣をヘキサン、トルエン等の溶媒で再結晶することにより得ることができ、また、精製せずに、樹脂の重合に用いることも可能である。また、ジカルボン酸とN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(以下、「HOBT」ともいう。)を、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤を使用して、HOBT活性エステル体とした触媒を使用することもできる。
PBO前駆体と架橋基含有構造とを有するアルカリ可溶性重合体(A)において、架橋基含有構造の繰り返し単位、すなわち上記一般式(1)中のmは、アルカリ現像液への溶解性及び得られる樹脂膜の機械物性が良好である点で、1〜500の整数であり、2〜100の整数であることがより好ましく、3〜50の整数であることが更に好ましく、4〜30の整数であることが最も好ましい。また、本ポリマーにおける架橋基含有構造の割合、すなわち上記一般式(2)中のm/(m+m)は、アルカリ現像液への溶解性及び得られる樹脂膜の機械物性が良好である点で、0.05〜0.99であり、ポジ型感光性樹脂組成物の場合は、0.10〜0.50であることがより好ましく、0.15〜0.40であることが特に好ましく、ネガ型感光性樹脂組成物の場合は、0.20〜0.80であることが好ましく、0.30〜0.60であることが特に好ましい。
PI前駆体と架橋基含有構造とを有するアルカリ可溶性重合体(A)を合成する方法としては、ピリジン、トリエチルアミン、塩化ベンジルトリエチルアミン等の塩基触媒の存在下、トリメリット酸クロライドと上記製造方法で得られた架橋基含有化合物とを−10℃〜25℃の範囲で反応させ、両末端が酸無水物である架橋基含有構造を合成し、次いで、前述の両末端が酸無水物である架橋基含有構造とジアミン又はビス(アミノフェノール)等の多価アミノ化合物とを25℃〜60℃の範囲で重縮合させ、その後イミド化を行うことで、架橋基含有PI前駆体を合成することができる。
次に、(A)上記一般式(1)で表される構造中、架橋基含有構造以外である、X(NH(OH)n2(COORn3及びY(COOH)(OH)n4(COORn5、又はY(COOH)(OH)n6(COORn7を含む単位であるPBO前駆体及びPI前駆体を有する構造について説明する。
(COOH)(OH)n6(COORn7で表される化合物は、Y(COOH)(OH)n2(COORn3で表される化合物と同一であってもよく、nで表される値とnで表される値は同一の範囲を示し、nで表される値とnで表される値についても同様である。
まず、PBO前駆体を有する構造について説明する。該PBO前駆体は、(A)上記一般式(2)で表される構造中のX(NH(OH)n2(COORn3、Y(COOH)(OH)n4(COORn5において、n=2、n=0、n=0及びn=0で表されるX(NH(OH)の構造を有するビスアミノフェノール及びY(COOH)の構造を有するジカルボン酸を重縮合させた構造を有するヒドロキシポリアミドである場合に相当する。該ビスアミノフェノールの2組のアミノ基とヒドロキシ基は、それぞれ互いに、オルト位にある。ジヒドロキシジアミド(ヒドロキシポリアミド)は、約250〜400℃に加熱されることによって閉環して、耐熱性樹脂であるポリベンズオキサゾールに変化する。Xは、アルカリ現像液への溶解性及び得られる樹脂膜の耐熱性が良好である点で、2個以上30個以下の炭素原子を有する4価の有機基であることが好ましい。Yは、アルカリ現像液への溶解性及び150〜250℃といった低温領域でのキュア工程でオキサゾール環化が進むという観点で炭素数が1〜30の脂肪族構造を含む2価の有機基である。また、耐薬品性の向上、ガラス転移温度の向上という観点から、一部、芳香族基を含んでも良い。mは、アルカリ現像液への溶解性及び得られる樹脂膜の機械物性が良好である点で、1〜1000の整数であり、2〜200の整数であることがより好ましく、2〜100の整数であることが更に好ましく、3〜60の整数であることが最も好ましい。
(NH(OH)の構造を有する上記ビスアミノフェノールとしては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、及び1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。これらのビスアミノフェノールは単独又は2種以上混合して使用できる。
これらのX(NH(OH)の構造を有するビスアミノフェノールの内、特に好ましいものは、X1が下記:
から選ばれる芳香族基であるビスアミノフェノールである。下記ビスアミノフェノールは、ベンゼン環同士を結合している結合に対して、メタ位がアミノ基、パラ位がヒドロキシル基、又はメタ位がヒドロキシル基、パラ位がアミノ基のいずれでも構わないが、溶剤への溶解性の観点からは、メタ位がアミノ基、パラ位がヒドロキシル基の方が好ましい。
上記一般式(1)で表される構造中、X(NH(OH)は、必要に応じてX(NH(OH)、X(NHの構造を有するジアミンを重縮合させた構造を有してもよい。
上記一般式(1)で表される構造中、上記のジヒドロキシジアミド単位の割合が高いほど現像液として使用するアルカリ性水溶液への溶解性が向上するので、[X(NH(OH)]/[X(NH(OH)+X(NH]の値は0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが最も好ましい。Xは、X(NH(OH)で表される2価の有機基を表し、Xは上記一般式(1)におけるXと同義である。
また、X(NHの構造の化合物としては、分子内に2組の互いにオルト位にあるアミド結合とフェノール性水酸基とを有するジアミン(以下、「分子内にPBO前駆体構造を有するジアミン」という。)を使用することもできる。例えば、上記のX(NH(OH)の構造を有するビスアミノフェノールに2分子のニトロ安息香酸を反応させて還元することにより得られる、下記一般式(14):
(式中、Xは、少なくとも2個の炭素原子を有する4価の有機基を表す。)で表されるジアミンが挙げられる。
は、X1で表される有機基の好ましいものとして前述した有機基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基であることが好ましく、Xは上記一般式(1)におけるXと同義である。
分子内にPBO前駆体構造を有するジアミンを得るための別法としては、Y(COCl)の構造を有するジカルボン酸ジクロリドに2分子のニトロアミノフェノールを反応させて還元し、下記一般式(15):
(式中、Yは、少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。)で表されるジアミンを得る方法もある。
は、Yで表される有機基の好ましいものとして後述する有機基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基であることが好ましく、Yは上記一般式(1)におけるYと同義である。
(NHの構造を有するジアミンとしては、芳香族ジアミン、シリコンジアミンなどが挙げられる。
このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、5(または6)−アミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノベンズアニリド等、並びにこれら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、及びフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基又は原子によって置換された化合物が挙げられる。
基材との接着性を高めるためにX(NHの構造を有するジアミンの一部又は全部として、シリコンジアミンを選択することもできる。シリコンジアミンの例としては、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。
1(COOH)2及びY(COOH)構造を有するジカルボン酸としては、Y1とYが、炭素数が1〜30の脂肪族構造を含むジカルボン酸である。具体的には、下記一般式(3)
(式中、A及びAは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a’は1〜30の整数を示す。)で表される構造を含む基、または、下記一般式(4)
(式中、A〜Aは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a〜cは各々独立に1〜30の整数を表し、dは0〜3の整数である。また、Aは―O―、―S―、―SO―、―CO―、―NHCO―、―C(CF―、―C三C―からなる群から選ばれるいずれかを示す。)で表される。
以上のようなジカルボン酸類としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ―n―ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル―3―メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸、さらに下記一般式:
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素、fは1〜6の整数である。)で示されるジカルボン酸等が挙げられる。
その他、Y1(COOH)2及びY(COOH)構造を有するジカルボン酸として、Y1、それぞれ下記から選ばれた芳香族基又は脂環式基であるジカルボン酸をパターン性、機械特性、耐熱性、耐薬品性を向上する目的で一部添加しても良い。:
(式中、A10、11は、−CH−、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−C(CF−、及び単結合からなる群より選ばれる2価の基を表し、Lは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又は不飽和基を表し、そしてkは、0〜4の整数である。)
(式中、L、L及びLは、各々独立に水素原子又はメチル基であり、そしてLは、水素原子、メチル基又は水酸基である。)。
炭素数が1〜30の脂肪族構造を含むジカルボン酸と芳香族基又は脂環式基であるジカルボン酸の共重合の割合としては、両者の総モル数を100とした場合、芳香族基又は脂環式基であるジカルボン酸の割合は、0〜95が望ましく、更に15〜90が低温キュア時のパターン性、機械特性、耐熱性、耐薬品性の点で好ましい。
また、上記のY(COOH)及びY(COOH)構造を有するジカルボン酸の一部又として、5−アミノイソフタル酸の誘導体を用いることもできる。該誘導体を得るために5−アミノイソフタル酸に対して反応させる具体的な化合物としては、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、エキソ−3,6―エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3−エチニル−1,2−フタル酸無水物、4−エチニル−1,2−フタル酸無水物、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、マレイン酸無水物、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、アリルスクシン酸無水物、イソシアナートエチルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸クロライド、2−フランカルボン酸クロリド、クロトン酸クロリド、ケイ皮酸クロリド、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド、プロピオン酸クロリド、テトロール酸クロリド、チオフェン2−アセチルクロリド、p−スチレンスルフォニルクロリド、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、クロロぎ酸メチルエステル、クロロぎ酸エチルエステル、クロロぎ酸n−プロピルエステル、クロロぎ酸イソプロピルエステル、クロロぎ酸イソブチルエステル、クロロぎ酸2−エトキシエステル、クロロぎ酸−sec−ブチルエステル、クロロぎ酸ベンジルエステル、クロロぎ酸2−エチルヘキシルエステル、クロロぎ酸アリルエステル、クロロぎ酸フェニルエステル、クロロぎ酸2,2,2−トリクロロエチルエステル、クロロぎ酸−2−ブトキシエチルエステル、クロロぎ酸−p−ニトロベンジルエステル、クロロぎ酸−p−メトキシベンジルエステル、クロロぎ酸イソボルニルベンジルエステル、クロロぎ酸−p−ビフェニルイソプロピルベンジルエステル、2−t−ブチルオキシカルボニル−オキシイミノ−2−フェニルアセトニトリル、S−t−ブチルオキシカルボニル−4,6−ジメチル−チオピリミジン、ジ−t−ブチル−ジカルボナート、N−エトキシカルボニルフタルイミド、エチルジチオカルボニルクロリド、ぎ酸クロリド、ベンゾイルクロリド、p−トルエンスルホン酸クロリド、メタンスルホン酸クロリド、アセチルクロリド、塩化トリチル、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(ジメチルアミノ)トリメチルシラン、トリメチルシリルジフェニル尿素、ビス(トリメチルシリル)尿素、イソシアン酸フェニル、イソシアン酸n−ブチル、イソシアン酸n−オクタデシル、イソシアン酸o−トリル、1,2−フタル酸無水物、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物が挙げられる。
ヒドロキシポリアミドであるジヒドロキシジアミドを合成するための、前述のジカルボン酸とビスアミノフェノール(ジアミン)との重縮合の方法としては、ジカルボン酸と塩化チオニルとを使用してジ酸クロライドを得た後、これにビスアミノフェノール(ジアミン)を作用させる方法、ジカルボン酸とビスアミノフェノール(ジアミン)とをジシクロヘキシルカルボジイミドにより重縮合させる方法等が挙げられる。ジシクロヘキシルカルボジイミドを使用する方法においては同時にヒドロキシベンズトリアゾールを作用させることもできる。
また、前述の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するPBO前駆体は、その末端基を有機基(以下、「封止基」ともいう。)で封止して使用することも好ましい。例えば、ヒドロキシポリアミドの重縮合において、ジカルボン酸成分をビスアミノフェノール成分とジアミン成分との和に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としてアミノ基又は水酸基を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、アニリン、エチニルアニリン、ノルボルネンアミン、ブチルアミン、プロパルギルアミン、エタノール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−アミノベンゾトリアゾール、ベンゾチアジアゾール、テトラゾール等の窒素含有環状化合物が挙げられる。
逆にビスアミノフェノール成分とジアミン成分との和をジカルボン酸成分に比べて過剰のモル数として使用する場合には、封止基を有する化合物として、酸無水物、カルボン酸、酸クロリド、イソシアネート基等を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、ベンゾイルクロリド、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルネンカルボン酸、5−ベンズイミダゾールカルボン酸、エチニルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロへキセンジカルボン酸無水物、メタクリロイルオキシエチルメタクリレート、フェニルイソシアネート、メシルクロリド、トシル酸クロリド等が挙げられ、この中でも好ましい末端基としては、5−ベンズイミダゾールカルボン酸等の窒素含有環状化合物、及び下記一般式(16):
(式中、L10は、−CH2−、−O−又は−S−を表し、そしてL11は、水素原子あるいは炭素原子数1〜6のアルキル基又はアルケニル基を表す。)で表される末端基からなる群より選択される少なくとも1つの末端基である。
次に、PI前駆体を有する構造について説明する。
上述のPBO前駆体を含むアルカリ可溶性重合体を作成する上において、炭素数が1〜30の脂肪族構造を含むジカルボン酸の代わりに、一部、下記一般式(17)
{式中、Xは、少なくとも2個の炭素原子を有する3価又は4価の有機基を表し、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、そして、n17は、1又は2の整数を表す。}を共重合することで、PI−PBO前駆体共重合体を得ることができる。
該PI前駆体は、上記一般式(1)で表される構造中のX(NH(OH)n2(COORn3及びY(COOH)(OH)n4(COORn5において、n=0〜2、n=0又は1、n=0〜2、n=1又は2で表される、ジアミン及びジアミン誘導体と、トリカルボン酸及びこれらの酸クロリド化合物、酸無水物化合物、又はテトラ酸二無水物とを、重縮合させた構造を有するポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである。これらのポリアミド酸及びポリアミド酸エステルは、アルカリ水溶液への溶解性を向上させるため、ヒドロキシル基を含有してもよい。
該ポリアミド酸及びポリアミド酸エステルは、250℃以下の熱処理によっても脱水環化反応が90%以上進行して、ポリイミド樹脂となるため、低温環化が可能である。
(NH(OH)n2(COORn3を構成するジアミンの例としては、n=0、及びn=0又は1の場合、3,5−ジアミノ安息香酸、上記PBO前駆体に用いられる芳香族ジアミン、シリコンジアミン等が挙げられる。
=1又は2、及びn=0又は1の場合、上記PBO前駆体に用いられるビスアミノフェノール、上記一般式(14)及び上記一般式(15)で表される「分子内にPBO前駆体構造を有するジアミン」等が挙げられる。
(COOH)(OH)n4(COORn5を構成するカルボン酸の例としては、n=0、及びn=1又は2の場合は、トリメリット酸無水物、無水トリメリット酸クロリド、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−酸無水物、4−クロロホルミルシクロヘキサン無水物、テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物の中でも、溶剤に対する溶解性及びアルカリ水溶液に対する溶解性の点で、炭素数が8〜36の芳香族テトラカルボン酸二無水物、及び炭素数が6〜34の脂環式テトラカルボン酸二無水物から選択される化合物が好ましい。
具体的には、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ピロメリト酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−ターフェニル(ter-phenyl)テトラカルボン酸二無水物、3,3’’’,4,4’’’−クアテルフェニル(quater-phenyl)テトラカルボン酸二無水物、3,3’’’’,4,4’’’’−キンクフェニル(quinque-phenyl)テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス[2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2−ビス[3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、rel−[1S,5R,6R]−3−オキサビシクロ[3,2,1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、エチレングリコール−ビス(3,4−ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル等が挙げられる。
その中でも、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)が好ましく、その中でも5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フリル)−3−メチル−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物が、水銀ランプのi線に対する透明性、アルカリ水溶液に対する溶解性及び光感度の点で、さらに好ましい。生成するカルボン酸残基をアルカリ溶解性に応じて、モノアルコールによりエステル化する。
=1又は2、及びn=2の場合は、分子内に2組の互いにオルト位にあるアミド結合とフェノール性水酸基とを有する酸無水物等が挙げられ、この酸無水物を用いて、下記一般式(17):
{式中、Xは、少なくとも2個の炭素原子を有する3価又は4価の有機基を表し、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、そして、n17は、1又は2の整数を表す。}で表される分子内に2組の互いにオルト位にあるアミド結合とフェノール性水酸基とを有する構造が挙げられる。
は、X1で表される有機基の好ましいものとして前述した有機基からなる。
また、前述の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するPI前駆体の末端は、上記のPBO前駆体の場合と同様に封止基を用いて、末端を封止することも好ましい。カルボン酸成分をジアミン由来の成分の和に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としてアミノ基又は水酸基を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、アニリン、エチニルアニリン、ノルボルネンアミン、ブチルアミン、プロパルギルアミン、エタノール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート2−アミノベンゾトリアゾール、ベンゾチアジアゾール、テトラゾール等の窒素含有環状化合物が挙げられる。
逆にビスアミノフェノール成分とジアミン成分との和をジカルボン酸成分に比べて過剰のモル数として使用する場合には、封止基を有する化合物として、酸無水物、カルボン酸、酸クロリド、イソシアネート基等を有する化合物を用いるのが好ましい。該化合物の例としては、ベンゾイルクロリド、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルネンカルボン酸、5−ベンズイミダゾールカルボン酸、エチニルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロへキセンジカルボン酸無水物、メタクリロイルオキシエチルメタクリレート、フェニルイソシアネート、メシルクロリド、トシル酸クロリド等、この中でも好ましい末端基としては、5−ベンズイミダゾールカルボン酸等の窒素含有環状化合物、及び下記一般式(16):
{式中、L10は、−CH2−、−O−又は−S−を表し、そしてL11は、水素原子あるいは炭素原子数1〜6のアルキル基又はアルケニル基を表す。}で表される末端基からなる群より選択される少なくとも1つの末端基である。
光酸発生剤(B)
光酸発生剤(B)とは、活性光線照射により酸を発生する化合物であり、このような化合物としては、例えば、ハロゲン含有化合物、オニウム塩、ナフトキノンジアジド構造を有する化合物(以下、「ナフトキノンジアジド化合物」ともいう。)等が挙げられる。
光酸発生剤(B)を用いることで、感光性樹脂組成物とすることができる。感光性樹脂組成物は、適切な組み合わせにより、ポジ型にもネガ型にもすることもできる。該感光性樹脂組成物は、架橋基含有構造を有するアルカリ可溶性重合体を含むため、良好なキュア形状を有し、かつ耐薬品性に優れるという効果を奏し、特にポジ型の感光性樹脂組成物にした場合は、露光後の経時においても良好なリソグラフィー性能を有する。ここで、良好なキュア形状とは、高テーパー角(50度以上)であることを意味する。
上記ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等が挙げられ、トリクロロメチルトリアジン類が好ましい。
トリクロロメチル−s−トリアジン類の具体例としては、トリス(2,4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオフェニル)ビス(4,6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3−メチルチオ−β―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2−メチルチオ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
上記オニウム塩としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられ、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、及びトリアルキルスルホニウム塩からなる群より選ばれるオニウム塩が好ましい。
ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−ter−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート等が挙げられる。
トリアリールスルホニウム塩類の具体例としては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルテトラフルオロボレート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロホスホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルヘキサフルオロアルセネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルーp−トルエンスルホナート等が挙げられる。
これらの化合物の内、トリクロロメチル−S−トリアジン類としては、2−(3−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−メチルチオフェニル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−メトキシーβ―スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン等を、ジアリールヨードニウム塩類としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート等を、トリアリールスルホニウム塩類としては、トリフェニルスルホニウムメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロメタンスルホナート、4−フェニルチオフェニルジフェニルトリフルオロアセテート等を好適なものとして挙げることができる。
この他にも、以下に示す化合物を用いることもできる。
(1)スルホン化合物
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物を挙げることができ、具体例として、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
(2)スルホン酸化合物
スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類等を挙げることができ、好ましい具体例として、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート等を挙げることができる。
(3)スルホンイミド化合物
スルホンイミド化合物の具体例として、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等を挙げることができる。
(4)オキシムエステル化合物
2−[2−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「イルガキュアPAG121」)、[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロチオフェン−3−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(チバスペシャルティケミカルズ社商品名「イルガキュアPAG103」)等を挙げることができる。
(5)ジアゾメタン化合物
ジアゾメタン化合物の具体例としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
(6)ジアゾケトン化合物
ジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケトン−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができ、具体例として、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物を挙げることができる。
ポジ型感光性樹脂組成物とする場合は、溶剤溶解性及び保存安定性の観点から、上記(6)ジアゾケトン化合物が好ましく、その中でも感度の観点から、ナフトキノンジアジド構造を有する化合物(以下、「ナフトキノンジアジド化合物」ともいう。)が好ましい。
また、ネガ型感光性樹脂組成物とする場合は、感度の観点から、特に上記(4)オキシムエステル化合物が好ましい。
上記ナフトキノンジアジド化合物は、典型的には、1,2−ベンゾキノンジアジド構造又は1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許第2,772,972号明細書、同第2,797,213号明細書、同第3,669,658号明細書等により公知の物質である。ナフトキノンジアジド化合物は、典型的には、以下の説明する特定構造を有するポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、及び該ポリヒドロキシ化合物の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「NQD化合物」ともいう。)である。
該NQD化合物は、常法に従って、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物をクロルスルホン酸又は塩化チオニルでスルホニルクロライドとし、得られたナフトキノンジアジドスルホニルクロライドと、ポリヒドロキシ化合物とを縮合反応させることにより得られる。例えば、ポリヒドロキシ化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド又は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリドの所定量とをジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン等の溶媒中において、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下で反応させて、エステル化を行い、得られた生成物を水洗及び乾燥することにより、NQD化合物を得ることができる。
該NQD化合物としては、以下に列挙するものが好ましく用いられる。
下記一般式(18)で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物
{式中、Xは、下記化学式:
で表される有機基より選ばれる少なくとも1つの4価の基を表し、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立に、1価の有機基を表し、lは0又は1であり、m、m、m10及びm11は、0〜3の整数を示し、n18、n19、n20及びn21は、0〜2の整数である。}
具体的な化合物としては、特開2001−092138号公報の[化23]〜[化28]に記載される化合物が挙げられる。
その中でも以下のポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、ポジ型感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい:
下記一般式(19)で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物
{式中、Mは、脂肪族の3級又は4級の炭素を含む2価の有機基を表し、そしてA12は、下記の化学式:
で表される基より選ばれる少なくとも1つの2価の基を表す。}。
具体的な化合物としては、特開2003−131368号公報の(化22)〜(化28)に記載される化合物が挙げられる。
その中でも、以下のポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、ポジ型感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
{式中、L12は、−CH2−、−O−又は−S−を表し、そしてL13は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基及びアルケニル基を表す。}。
下記一般式(20)で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物
{式中、R19、R20及びR21は、各々独立に、下記の一般式:
(式中、R22は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基、及びシクロアルキル基より選ばれる少なくとも1つの1価の有機基を表し、そしてm15は、0〜2の整数である。)で表される1価の有機基を表し、そしてm12、m13及びm14は、それぞれ独立に、0〜2の整数である。}。
具体的な化合物としては、特開2004−109849号公報の[化17]〜[化22]に記載されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物が挙げられる。
その中でも、以下のポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、ポジ型感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
下記一般式(21)で表されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物
{式中、R23は、下記の一般式:
(式中、R27は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基、及びシクロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの1価の有機基を表し、そしてm19は、0〜2の整数である。)で表される1価の有機基を表し、R24、R25及びR26は、水素原子、又はアルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの1価の有機基を表し、そして、m16、m17及びm18は、0〜2の整数である。}。
具体的な化合物としては、特開2005−008626号公報の[化15]、及び[化16]に記載されるポリヒドロキシ化合物のNQD化物が挙げられる。
その中でも、以下のポリヒドロキシ化合物のNQD化物が、感度が高く、ポジ型感光性樹脂組成物中での析出性が低いことから好ましい。
その他の構造としては、下記:
が好ましい。
NQD化合物におけるナフトキノンジアジドスルホニル基としては、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基又は4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましい。
4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は、水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は、水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、露光に用いる波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物又は5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物のいずれかを選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基及び5−ナフトキノンジアジドスルホニル基の両者を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を使用することもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
本発明の感光性樹脂組成物において、光酸発生剤(B)の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、1〜50質量部であり、溶剤への溶解性の観点から、2〜40質量部が好ましく、感度の観点から5〜25質量部がより好ましい。光酸発生剤(B)の配合量が1質量部以上であれば樹脂のパターニング性が良好であり、一方、50質量部以下であれば硬化後の膜の引張り伸び率が良好で、かつ露光部の現像残さ(スカム)が少ない。
有機ケイ素化合物(C)
本発明に係る感光性樹脂組成物には、より良好な基板への密着性を発現させるという観点から、有機ケイ素化合物(C)を更に配合することが好ましい。
有機ケイ素化合物(C)とは、1官能以上のアルコキシシリル基、及びシラノール基を含有した化合物であり、シリコンウエハーとの接着性を高めるための接着助剤となる。該有機ケイ素化合物の炭素数は、溶剤への溶解性の観点から、4〜30であることが好ましく、4〜18であることがより好ましい。
具体的な化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ−n−プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、ジ−i−ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、ビス(ペンタジオネート)チタン−O,O’−ビス(オキシエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルジフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
有機ケイ素化合物(C)としては、前記した有機ケイ素化合物の中でも、保存安定性の観点から、下記一般式(22):
{式中、Zは、炭素原子数1〜14の置換されていてもよい芳香族環又は複素環構造であり、R28は、炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R29は、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、n22は、1〜3の整数であり、n23は、0〜2の整数であり、n24は、1〜3の整数であり、ここで、n22+n23+n24=4である。}、又は下記一般式(23):
で表される有機ケイ素化合物であることが好ましい。
上記一般式(22)で表される有機ケイ素化合物(C)は、耐熱性の観点から、下記一般式(24):
{式中、R30及びR31は、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、そして、m20=5であり、n25及びn26は、1〜3の整数であり、ここで、n25+n26=4である。}で表される化合物であることがより好ましい。
これら化合物の具体例としては、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール等が挙げられる。
有機ケイ素化合物(C)は、単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。有機ケイ素化合物(C)の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、1〜40質量部であり、2〜30質量部が好ましく、4〜20質量部がより好ましい。該化合物の配合量が1質量部以上であれば露光部の現像残渣がなく、シリコン基板との密着性が良好であり、一方、40質量部以下であれば硬化後の膜の引っ張り伸び率と良好であり、良好な密着性とリソグラフィー性能を示す。
モノカルボン酸化合物(D)
本発明に係る感光性樹脂組成物には、より高感度なリソグラフィー性能を発現させるという観点から、モノカルボン酸化合物(D)を更に配合することが好ましい。
モノカルボン酸化合物(D)とは、その分子中にカルボン酸を1個のみ有する化合物であり、炭素原子数が6〜30である化合物である。更に、分岐構造、環構造又は不飽和二重結合を有し、炭素原子数が6〜30である化合物であることが好ましい。具体的には、2−ノネン酸、イソノナン酸、2−デセン酸、10−ウンデセン酸、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸、m−アニス酸、m−トルイル酸、m−トリル酢酸、o−アニス酸、o−トルイル酸、o−トリル酢酸、p−アニス酸、p−トルイル酸、p−トリル酢酸、3−フェニル乳酸、4−ヒドロキシフェニル乳酸、4−ヒドロキシマンデル酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸、2−メトキシ−2−(1−ナフチル)プロピオン酸、マンデル酸、アトロラクチン酸、アセチルマンデル酸、α−メトキシフェニル酢酸等が挙げられる。
モノカルボン酸化合物は、プリベーク時の膜中に残存することで、その効果が発現するため、プリベーク膜への残存の観点から炭素数8以上のカルボン酸化合物が好ましく、溶剤への溶解性の観点から、炭素数30以下が好ましく、経時後の析出という観点から、炭素数20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。更に、カルボン酸を膜中に効率よく残存させる手段として、カルボキシル基のα位にヒドロキシル基、エーテル基、及びエステル基から選ばれる官能基があることが好ましく、その中でも特に、エーテル基、エステル基が基板との密着性の観点から好ましく、また感度の観点から、硬化樹脂膜となる際に、プリベーク後に残存したカルボン酸化合物が樹脂組成物を揮発しないよう、その部位がメチロール基やアルコキシメチル基等の架橋基となることが特に好ましい。
上記モノカルボン酸化合物(D)は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。モノカルボン酸化合物(D)を添加する場合の効果に関しては、ポリマーへの相互作用の違いから、PI前駆体よりもPBO前駆体の方が高感度なリソグラフィー性能を発現する。
上記モノカルボン酸化合物(D)の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、1〜40質量部であり、5〜10質量部が好ましい。モノカルボン酸化合物(D)の配合量が1質量部以上であれば露光部の現像残渣が少なくなり、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜とシリコン基板との密着性が良好であり、一方、上記配合量が40質量部以下であれば、硬化時の膜減りが少なく、硬化後の膜の引っ張り伸び率が良好である。
フェノール化合物(E)
本発明に係る感光性樹脂組成物には、より高感度なリソグラフィー性能を発現させるという観点から、フェノール化合物(E)を更に配合することが好ましい。
フェノール化合物(E)とは、フェノール性基を少なくとも1つ有する化合物と該化合物を重合させた重合体が挙げられる。
フェノール性基を少なくとも1つ有する化合物とは、炭素原子数6〜40の化合物であり、具体的には、前記感光性ジアゾキノン化合物に使用している上記規定炭素原子数以内のバラスト剤、パラクミルフェノール、ビスフェノール類、レゾルシノール類、MtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物(本州化学工業社製:商品名)、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA等の非直鎖状フェノール化合物(本州化学工業社製:商品名)、ジフェニルメタンのフェニル基の水素原子2〜5個を水酸基に置換した化合物、2,2−ジフェニルプロパンのフェニル基の水素原子1〜5個を水酸基に置換した化合物等が挙げられる。なお、バラスト剤とは、フェノール性水素原子の一部がナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化されたフェノール化合物である前述の感光性ジアゾキノン化合物に原料として使用されているフェノール化合物をいう。
フェノール性基を少なくとも1つ有する化合物の中では、アルカリ溶解促進という観点から、2つ以上のフェノール基を有するフェノール化合物が好ましく、残渣の発生を抑制させるという観点から、レゾルシノール類が最も好ましい。レゾルシノール類としては、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、4−ヘキシルレゾルシノール等が挙げられる。
該化合物を重合させた重合体とは、フェノール樹脂及びその誘導体、ポリヒドロキシスチレン及びその誘導体等が挙げられる。
フェノール樹脂及びその誘導体としては、具体的にはノボラック型樹脂が挙げられる。ノボラック型樹脂としては、レジストの技術分野で広く用いられているものを使用することができる。このノボラック型樹脂は、例えば、フェノール類と、アルデヒド類又はケトン類とを酸性触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。
フェノール類としては、上記に挙げられた化合物以外に、例えば、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、チモール、イソチモール等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピオンアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述した中でも、メタクレゾールとパラクレゾールとを併用し、これらと、ホルムアルデヒド、ホルマリン又はパラホルムアルデヒドとを縮合反応させたノボラック型樹脂が、感度制御性の観点から特に好ましい。メタクレゾールとパラクレゾールとの仕込み重量比は、通常、20:80〜80:20、好ましくは50:50〜70:30である。
分子量は、重量平均分子量で、通常、1000〜20000、好ましくは1000〜15000、より好ましくは1000〜10000の範囲である。上記樹脂の重量平均分子量は、合成条件を調整することにより、所望の範囲に制御することができる。また、分子量分布が狭い方が、光感度が高くなるため、合成により得られた樹脂を適当な溶解度を持つ有機溶剤で固−液抽出したり、樹脂を良溶剤に溶解させて貧溶剤中に滴下したり、又は貧溶剤を滴下して固−液若しくは液−液抽出したりして分子量分布を制御してもよい。このフェノール樹脂の具体例としては、EP4000B(旭有機材工業:商品名)、EP4020G(旭有機材工業:商品名)、EP4050G(旭有機材工業:商品名)、EP4080G(旭有機材工業:商品名)等が挙げられる。
ポリヒドロキシスチレン又はその誘導体の具体例としては、例えば、ポリ−o−ヒドロキシスチレン、ポリ−m−ヒドロキシスチレン、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリ−α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、ポリ−α−メチル−m−ヒドロキシスチレン、ポリ−α−メチル−p−ヒドロキシスチレン又はこれらの部分アセチル化物、シリル化物等が挙げられる。これらのポリヒドロキシスチレン又はその誘導体の重量平均分子量3000〜100000、特に好ましくは4000〜20000の範囲である。
フェノール化合物(E)を配合する場合の該配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、1〜100質量部が好ましく、キュア形状の観点から1〜70質量部が好ましい。添加量が70質量部以内であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱により架橋反応を起こす化合物(F)
本発明に係る感光性樹脂組成物には、より良好なリソグラフィー性能を発揮させるという観点から、熱により架橋反応を起こす化合物(F)を配合してもよい。
熱により架橋反応を起こす化合物(F)とは、熱によりアルカリ可溶性重合体(A)と架橋反応を起こす化合物が用いられる。ここで、架橋反応を起こす温度としては、150〜350℃が好ましい。架橋反応は、現像によりパターン形成をした後の加熱処理の際に生じる。
その具体的な化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物及びアルケニル化合物、並びに下記一般式(6)で表される構造を有する化合物、下記一般式(7)で表される構造を有する化合物、及び下記一般式(8)で表される構造を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
ここでアルケニル化合物というのは、(メタ)アクリレート基、アリル基、ビニル基等の不飽和二重結合基を含有した化合物を表す。
エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリスルフィド型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
オキセタン化合物は4員環状エーテル構造を持つ化合物であり、カチオン開環重合反応、あるいはカルボン酸、チオール、フェノールとの付加反応が可能なものである。オキセタン化合物の具体例としては、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4′−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]ベンゼン、OXT121(東亞合成:商品名)、OXT221(東亞合成:商品名)等が挙げられるが、これらに限定されない。
耐熱性の観点から、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4′−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、OXT121(東亞合成:商品名)が好ましい。
メラミン化合物の具体例としては、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、トリメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられ、保存安定性の観点から、トリメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
アリル化合物の具体例としては、アリルアルコール、アリルアニソール、安息香酸アリルエステル、桂皮酸アリルエステル、N−アリロキシフタルイミド、アリルフェノール、アリルフェニルスルフォン、アリルウレア、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、トリアリルアミン、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM705)、ピロメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM805)、オキシジフタル酸トリアリル、トリアリルホスフェート、トリアリルホスファイト、クエン酸トリアリルが挙げられるが、これらに限定されない。感度の観点から、トリメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM705)、ピロメリット酸トリアリル(和光純薬工業社製 TRIAM805)が好ましい。
(メタ)アクリレート化合物とは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、及びメタクリルアミドからなる群から選択される化合物をいう。
好ましいものの具体例としては、新中村化学工業社製NK−エステルシリーズ M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、CB−1、SA、S、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AM−90G、A−SA、LA、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、BG、HD、NPG、9PG、701、BPE−100、BPE−200、BPE−500、BPE―1300、A−200、A−400、A−600、A−HD、A−NPG、APG−200、APG−400、APG−700、A−BPE−4、701A、TMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT及び1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、1,3−ビス(アクリロイルオキシ)−2−プロパノール等が挙げられるが、これらに限定されない。(メタ)アクリレート化合物とは、炭素原子数9以上であることが好ましく、溶剤への溶解性の観点から、30以下が好ましい。
また、アルカリ溶解性の観点から、(メタ)アクリレート化合物は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、チオール基等の極性基を含有することが好ましく、更に密着性の観点から、極性基はヒドロキシル基であることが好ましい。その具体的な化合物としては、NK−701、1−(アクリロイルオキシ)−3−(メタクリロイルオキシ)−2−プロパノール、1,3−ビス(アクリロイルオキシ)−2−プロパノール等が挙げられる。(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートを示す。
下記一般式(6):
{式中、Rは、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選ばれる1価の基であり、R10は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜10のエステル基、及び炭素原子数2〜10のウレタン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの1価の有機基であり、n12は、1〜5の整数であり、n13は、0〜4の整数であり、ここで、n12+n13=5であり、mは、1〜4の整数であり、Zは、m=1のとき、CHOR又はR10であり、m=2〜4のとき、単結合又は2〜4価の有機基であり、ここで、CHOR、及びR10が複数存在する場合、R、及びR10は、互いに同一でも異なっていてもよい。}で表される構造を有する化合物としては、メチロール化合物やアルコキシメチル化合物が挙げられる。ここで、Zの2〜4価の有機基とは、エーテル基、チオエーテル基、スルホニル基、炭素原子数1〜11の炭化水素基及び含フッ素炭化水素基が挙げられる。含フッ素炭化水素基の例としてはヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
一般式(6)で表される化合物の具体例としては、感度の観点から、下記一般式(24):
及び下記一般式(25):
からなる群より選ばれる化合物がより好ましい。
下記一般式(7):
{式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基、及びR13CO−(ここで、R13は、炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)からなる群から選ばれる基である。}で表される構造を有する化合物としては、N−メチロール化合物やN−アルコキシメチル化合物が挙げられる。
一般式(7)で表される化合物は、具体的には感度の観点から、下記一般式(26):
からなる群より選ばれる化合物がより好ましい。
下記一般式(8):
{式中、Dは、炭素原子数1〜6のアルキル基又はアルケニル基、及び架橋し得る有機基からなる群より選ばれる官能基であり、Mは、−CH−、−O−、及び−S−からなる群から選択される基であり、Zは、2価の有機基であり、n14は、0〜4の整数であり、Dが複数ある場合、複数のDは同じでも異なっていてもよい。}で表される構造を有する化合物としては、ビスアリルナジイミド化合物やビスノルボルネンイミド化合物などが挙げられる。ここで、Dの架橋し得る有機基とは、エポキシ基、及びオキセタン基が挙げられ、Zの2価の有機基とは、炭素原子数1〜12の炭化水素基である。
一般式(8)で表される化合物は、具体的には感度の観点から、下記一般式(27):
からなる群より選ばれる化合物がより好ましい。
上記熱により架橋反応を起こす化合物(F)は単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
上記熱により架橋反応を起こす化合物(F)の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、4〜20質量部がさらに好ましい。該化合物の配合量が1質量部以上であると硬化時にキュア形状が良くなり、また50質量部以下であると硬化後の膜の引っ張り伸び率も良好であり、良好な密着性とリソグラフィー性能を示す。
熱により酸を発生する化合物(G)
本発明に係る感光性樹脂組成物には、現像して得られたレリーフパターンを加熱処理(以下、この工程を「キュア」という。)した後に基板とのより良好な密着性を発現させるという観点から、熱により酸を発生する化合物(G)を更に配合することが好ましい。
熱により酸を発生する化合物(G)は、上記熱により架橋反応を起こす化合物(F)の反応を促進させる化合物であり、酸が発生する温度としては、150〜350℃が好ましい。
具体的な化合物としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸t−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、クロロ酢酸アリル、クロロ酢酸n−ブチル、クロロ酢酸t−ブチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸ベンジル、クロロ酢酸イソプロピル、クロロ酢酸2−メトキシエチル、ジクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸2−エトキシエチル、シアノ酢酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸メチル、トリフルオロ酢酸フェニル、トリフルオロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸イソプロピル、トリフルオロ酢酸アリル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸t−ブチル、2−クロロ安息香酸メチル、2−クロロ安息香酸エチル、4−クロロ安息香酸エチル、2,5−ジクロロ安息香酸エチル、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、p−フルオロ安息香酸エチル、p−フルオロ安息香酸メチル、ペンタクロロフェニルカルボン酸t−ブチル、ペンタフルオロプロピオン酸メチル、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、クロトン酸t−ブチルなどのカルボン酸エステル類、フェノールフタレイン、チモールフタレインなどの環状カルボン酸エステル類、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、メタンスルホン酸2−イソプロポキシエチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸2−フェニルエチル、p−トルエンスルホン酸n−プロピル、p−トルエンスルホン酸n−ブチル、p−トルエンスルホン酸t−ブチル、p−トルエンスルホン酸n−ヘキシル、p−トルエンスルホン酸n−ヘプチル、p−トルエンスルホン酸n−オクチル、p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル、p−トルエンスルホン酸プロパルギル、p−トルエンスルホン酸3−ブチニル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸n−ブチル、パーフルオロブタンスルホン酸エチル、パーフルオロブタンスルホン酸メチル、パーフルオロオクタンスルホン酸エチル等のスルホン酸エステル類、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、フェノールレッド、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープルなどの環状スルホン酸エステル類、2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物、フタル酸無水物などが挙げられる。
これら酸誘導体化合物のうち好ましいものとしては、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、メタンスルホン酸2−イソプロポキシエチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸n−ブチル、パーフルオロブタンスルホン酸エチル、パーフルオロブタンスルホン酸メチル、パーフルオロオクタンスルホン酸エチル、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトンなどのスルホン酸エステル類、2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物が挙げられる。
更に基板との密着性の観点から、より好ましい化合物としては、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸2−メトキシエチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸2−メトキシエチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸n−ブチル、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、2−スルホ安息香酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。また、これらの化合物は単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
該熱により酸を発生する化合物(G)の配合量としては、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜15質量部がより好ましく、2〜10質量部であることがさらに好ましい。添加量が0.1質量部以上だと熱硬化後のパターンを保持する効果があり、一方、添加量が30質量部以下であればリソ性能に悪影響がなく、かつ組成物の安定性が良好である。
酸の作用により架橋し得る化合物(H)
ネガ型感光性樹脂組成物とする場合には、酸の作用により架橋し得る化合物(H)を配合することが必要となる。
酸の作用により架橋し得る化合物(H)とは、N位がメチロール基又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂及びその単量体、並びに尿素樹脂及びその単量体から選ばれることが好ましい。これらの例として、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂、アルコキシメチル化尿素樹脂、及びこれらの単量体を挙げることができる。これらの内、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂、アルコキシメチル化尿素樹脂、及びこれらの単量体は、対応する公知のメチロール化メラミン樹脂、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂、メチロール化尿素樹脂、及びその単量体のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。
このアルコキシメチル基の種類については、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、実用上市販されているサイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(三井サイテック(株)製)、ニカラックMX−270、−280、−290、ニカラックMS―11、ニカラックMW―30、−100、−300、−390、−750(三和ケミカル社製)等を好ましく使用することができる。これらの化合物は単独で又は混合して使用することができる。
前記した樹脂の単量体も架橋剤として用いられ、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ジメトキシメチル尿素等を挙げることができる。この酸の作用により該ポリマーと架橋し得る化合物を添加すると、塗膜を加熱硬化する際に、上記耐熱性であるアルカリ可溶性重合体(A)を架橋しうるか又はそれ自身が架橋ネットワークを形成しうるので、耐熱性を強化することができる。
上記酸の作用により架橋し得る化合物の配合量(H)は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、1〜50質量部である。この添加量が1質量部以上であると架橋が十分に進行し、パターニング性が良好となり、またこの添加量が50質量部以下であると、キュア後の機械物性が保たれる。
増感剤となる化合物(I)
ネガ型感光性樹脂組成物とする場合には、光感度向上のために増感剤となる化合物(I)を添加することが好ましい。
増感剤となる化合物(I)の具体例としては、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらの内、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、及び1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、3−位及び/又は7−位に置換基を持つクマリン類、フラボン類、ジベンザルアセトン類、ジベンザルシクロヘキサン類、カルコン類、キサントン類、チオキサントン類、ポルフィリン類、フタロシアニン類、アクリジン類、及び9−位に置換基を有するアントラセン類からなる群から選ばれる1つ以上の増感剤を添加することが好ましい。上記増感剤となる化合物(I)は、単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
上記増感剤となる化合物(I)の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
その他、ネガ型感光性樹脂組成物には、ポジ型感光性樹脂組成物で説明したモノカルボン酸化合物(D)、フェノール化合物(E)、熱により架橋反応を起こす化合物(F)、及び熱により酸を発生する化合物(G)を、必要に応じて添加してもよい。
有機溶媒(J)
本発明においては、前記した各種成分を有機溶媒(J)に溶解してワニス状にし、感光性樹脂組成物の溶液として使用することが好ましい。このような有機溶媒(J)としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン(以下、「GBL」ともいう。)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)、ジメチルイミダゾリノン、テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(以下、「DMDG」ともいう。)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を単独又は混合して使用できる。これらの溶媒のうち、非アミド系溶媒がフォトレジストなどへの影響が少ない点から好ましい。具体的な好ましい例としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコールなどを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
有機溶媒(J)を配合する場合の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、好ましくは100〜2000質量部であり、有機溶媒の添加量を変化させることで、粘度をコントロールでき、より好ましくは100〜1000質量部であり、さらに好ましくは100〜1000質量部である。有機溶媒の添加量を調整することにより、塗布装置、及び塗布厚みに適した粘度となり、硬化レリーフパターンの製造を容易にすることができる。
その他の添加剤(K)
感光性樹脂組成物には、必要に応じて、アルカリ溶解性促進剤としてのヒドロキシル基含有化合物や染料、香料、塗布膜の面内均一性を向上させるための界面活性剤、また、シリコン基板や銅基板との接着性を高めるための接着助剤、保存時の組成物溶液の粘度や光感度の安定性を向上させるために重合禁止剤等を添加することも可能である。
上記添加剤について更に具体的に述べると、ヒドロキシル基含有化合物は、炭素原子数が4〜14であることが好ましく、具体的には、シクロプロピルカルビノール、2−シクロヘキセン−1−オール、シクロヘキサンメタノール、4−メチル−1−シクロヘキサンメタノール、3,4−ジメチルシクロヘキサノール、4−エチルシクロヘキサノール、4−t−ブチロシクロヘキサノール、シクロヘキサンエタノール、3−シクロヘキシル−1−プロパノール、1−シクロヘキシル−1−ペンタノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ノルボルナン−2−メタノール、シクロオクタノール、2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、cis−2−ヘキセン−1−オール、trans−2−ヘプテン−1−オール、cis−4−ヘプテン−1−オール、cis−3−オクテン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、2,7−オクタジエノール、3,6−ジメチル−1−ヘプチン−3−オール、3−エチル−2−メチル−3−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ヘキサノール、2,5−ジメチル−2−ヘキサノール、trans,cis−2,6−ノナジエン−1−オール、1−ノネン−3−オール、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、trans−p−メンタン−3,8−ジオール、2,4−ジメトキシベンジルアルコール、ブチロイン等が挙げられる。
これらの中でも、2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、cis−2−ヘキセン−1−オール、trans−2−ヘプテン−1−オール、cis−4−ヘプテン−1−オール、cis−3−オクテン−1−オール、trans,cis−2,6−ノナジエン−1−オール、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール等の不飽和結合や枝分かれ構造を有するヒドロキシル基含有化合物が好ましく、基板との密着性の観点から、ジオールよりモノアルコールが好ましく、その中でも2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3−エチル−2−メチル−3−ペンタノール、グリセロール−α,α’−ジアリルエーテルが特に好ましい。
これらのヒドロキシル基含有化合物は単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
上記のヒドロキシル基含有化合物を配合する場合の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、0.01〜70質量部が好ましく、0.1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましく、5〜25質量部が特に好ましい。ヒドロキシル基含有化合物の配合量が0.01質量部以上であると露光部の現像残渣が少なくなり、また70質量部以下であると硬化後の膜の引っ張り伸び率が良好である。
染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が挙げられる。染料を配合する場合の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。添加量が10質量部以下であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
香料としては、テルペン類化合物が挙げられ、溶剤への溶解性の観点からモノテルペン化合物、セスキテルペン化合物が好ましい。
具体的には、リナロール、イソフィトール、ジヒドロリナロール、酢酸リナリール、リナロールオキシド、ゲラニルリナロール、ラバンジュロール、テトラヒドロラバンジュロール、酢酸ラバンジュロール、ネロール、酢酸ネロール、ゲラニオール、シトラール、酢酸ゲラニル、ゲラニルアセトン、ゲラニウム酸、シトラルジメチルアセタル、シトロネロール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ジメチルオクタナール、シトロネリル酸、酢酸シトロネリル、タゲトン、アルテミシアケトン、プレゴール、イソプレゴール、メントール、酢酸メントール、イソメントール、ネオメントール、メンタノール、メンタントリオール、メンタンテトラオール、カルボメントール、メントキシ酢酸、ペリリルアルコール、ペリラアルデヒド、カルベオール、ピペリトール、テルペン−4−オール、テルピネオール、テルピネノール、ジヒドロテルピネオール、ソブレロール、チモール、ボルネオール、酢酸ボルニル、イソボルネオール、酢酸イソボルニル、シネオール、ピノール、ピノカルベオール、ミルテノール、ミルテナール、ベルベノール、ピノカンフェオール、カンファースルホン酸、ネロリドール、テルピネン、イオノン、ピネン、カンフェン、カンホレンアルデヒド、カンホロン酸、イソカンホロン酸、ショウノウ酸、アビエチン酸、グリシルレチン酸等が挙げられる。これらのテルペン化合物は単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
香料を配合する場合の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、0.1〜70質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。添加量が70質量部以下であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
界面活性剤としては、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類、それらの誘導体からなる非イオン系界面活性剤が挙げられる。また、フロラード(住友3M社製:商品名)、メガファック(大日本インキ化学工業社製:商品名)、ルミフロン(旭硝子社製:商品名)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。さらに、KP341(信越化学工業社製:商品名)、DBE(チッソ社製:商品名)、グラノール(共栄社化学社製:商品名)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。該界面活性剤の添加により、塗布時のウエハーエッジでの塗膜のハジキをより発生し難くすることができる。
界面活性剤を配合する場合の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、0〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。添加量が10質量部以内であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
シリコン基板や銅基板との密着性を向上させる接着助剤としては、アルキルイミダゾリン、ポリビニルメチルエーテル、エポキシポリマー、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、チアゾール、及びイミダゾール等の複素環構造化合物が挙げられる。
複素環構造化合物の具体的な化合物としては、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、1,3−ジメチル−5−ピラゾロン、3,5−ジメチルピラゾール、5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチル−5−ピラゾロン、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン、2−メチルイミダゾール、1,10−フェナントロリン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンズオキサゾール、メチルチオベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、メチルチオベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、フェニルメルカプトチアゾリン、メルカプトフェニルテトラゾール、及びメルカプトメチルテトラゾール等が挙げられる。また、ベンゾトリアゾール類の例としては、以下の:
{式中、Zは、水素原子、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基、及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Zは、水素原子、又はヒドロキシル基、炭素原子数1〜5の炭化水素基、及びアミノアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。}が挙げられる。
該複素環含有化合物の中でも、銅基板上における感度の観点から、5−メルカプト−1−フェニルテトラゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、及び2−メルカプトベンゾオキサゾールからなる群から選ばれる化合物がより好ましい。
これらの複素環含有化合物は単独で使用しても2つ以上混合して使用してもよい。
複素環含有化合物を配合する場合の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。複素環含有化合物の配合量が0.1質量部以上であると熱硬化後の膜の銅基板に対する接着性が良好になり、また30質量部以下であると組成物の安定性が良好である。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル)フェニルメタン等を用いることができる。
重合禁止剤を配合する場合の配合量は、アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.05〜1質量部であることがより好ましい。添加量が5質量部以内であれば、熱硬化後の膜の耐熱性が良好である。
<硬化レリーフパターン、及び半導体装置の製造方法>
次に、本発明の硬化レリーフパターンの製造方法について、以下具体的に説明する。
本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法により、硬化レリーフパターンを製造することができる。
以下の工程:
(1)前記した感光性樹脂組成物又は感光性樹脂組成物の溶液を塗布して得られた感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)露光する工程、
(3)現像する工程、
(4)得られたレリーフパターンを加熱処理する工程、
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
(1)感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程(第一の工程)
感光性樹脂組成物又はその溶液を、例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等の基板に、スピナーを用いた回転塗布、又はダイコーター若しくはロールコーター等のコータ−により塗布する。これをオーブンやホットプレートを用いて50〜140℃、好ましくは100〜140℃の熱をかけて乾燥して有機溶媒を除去する(以下、「ソフトベーク」又は「プリベーク」ともいう。)。
(2)マスクを介して化学線で露光するか又は光線、電子線若しくはイオン線を直接照射して露光する工程(第二の工程)
続いて、感光性樹脂層を、マスクを介して、コンタクトアライナーやステッパーを用いて化学線による露光を行うか又は光線、電子線若しくはイオン線を直接照射して露光する。活性光線としては、g線、h線、i線、KrFレーザーを用いることもできる。
ネガ型感光性組成物の場合には、露光後に再度、80〜140℃で30秒〜600秒間加熱する。これをポストイクスポージャーベーク(以下、PEBともいう)という。この工程により、露光により発生した酸を触媒にして、露光部の熱により酸を発生する化合物(G)の作用により酸の作用により架橋し得る化合物(H)が熱架橋反応を起こし、アルカリ水溶液に対して不溶化する。
(3)ポジ型感光性組成物の場合は該露光部を、ネガ型感光性組成物の場合は該未露光部を、現像液で溶出又は除去して現像する工程(第三の工程)
次に、ポジ型感光性組成物の場合は該露光部を、ネガ型感光性組成物の場合は該未露光部を現像液で溶解除去し、引き続きリンス液によるリンスを行うことで所望のレリーフパターンを得る。現像方法としてはスプレー、パドル、ディップ、超音波等の方式が可能である。リンス液は蒸留水、脱イオン水等が使用できる。
感光性樹脂組成物により形成された膜を現像するために用いられる現像液は、アルカリ可溶性重合体(A)を溶解除去するものであり、アルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液であることが必要である。現像液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物又は有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。
該無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
また、該有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、上記アルカリ性水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
(4)得られたレリーフパターンを加熱処理する工程(第四の工程)
最後に、得られたレリーフパターンをキュアして、ポリベンズオキサゾール構造を有する樹脂からなる耐熱性硬化レリーフパターンを形成する。加熱装置としては、オーブン炉、ホットプレート、縦型炉、ベルトコンベアー炉、圧力オーブン等を使用することができ、加熱方法としては、熱風、赤外線、電磁誘導による加熱等が推奨される。温度は150〜450℃が好ましく、150〜350℃がさらに好ましい。加熱時間は15分〜8時間が好ましく、1時間〜4時間がさらに好ましい。雰囲気は窒素、アルゴン等不活性ガス中が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物を用いて作製した半導体装置は、公知の半導体装置の製造方法と組み合わせることで、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜として感光性樹脂組成物からなる硬化レリーフパターンを有するものとして、製造することができる。
半導体装置用途の例としては、半導体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるパッシベーション膜、パッシベーション膜上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなるバッファーコート膜等の保護膜、半導体素子上に形成された回路上に上述のポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる層間絶縁膜等の絶縁膜、α線遮断膜、平坦化膜、突起(樹脂ポスト)、隔壁等を挙げることができる。特に、耐熱性の低いMRAM(磁気抵抗メモリ:Mabnet Resistive Randaom Access Memory)や TSV(Throgh Silion Via)技術に用いる層間絶縁膜、Fan−Out技術に用いる層間絶縁膜用途が、本発明の低温領域のキュアで必要な物性を得られる点で好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、表示体装置の液晶配向膜等の用途、発光素子の用途にも有用である。
表示体装置用途の例としては、表示体素子上に上述の感光性樹脂組成物の硬化膜を形成してなる保護膜、TFT素子やカラーフィルター用等の絶縁膜または平坦化膜、MVA型液晶表示装置用等の突起、有機EL素子陰極用等の隔壁等を挙げることができる。その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラーフィルターを形成した基板上にパターン化された感光性樹脂組成物層を、上記の方法で形成することによるものである。表示体装置用途、特に絶縁膜や平坦化膜用途では、高い透明性が要求されるが、感光性樹脂組成物層の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層を得ることもできるため、本発明に係る感光性樹脂組成物は、これらの用途において、実用上特に好ましい。
以下、本発明を参考例、実施例、及び比較例に基づいて説明する。
<光酸発生剤(B)ナフトキノンジアジド化合物の合成>
〔参考例1〕
容量1Lのセパラブルフラスコに、ポリヒドロキシ化合物として4,4’−(1−(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール(本州化学工業社製、商品名:Tris−PA)化合物30g(0.0707mol)を用い、これに、このOH基の83.3モル%に相当する量の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルフォン酸クロライド47.49g(0.177mol)をアセトン300gに撹拌溶解したものを添加した後、フラスコを恒温槽にて30℃に調整した。次にアセトン18gにトリエチルアミン17.9gを溶解したものを滴下ロートに仕込んだ後、これを30分かけてフラスコ中へ滴下した。滴下終了後更に30分間撹拌を続け、その後塩酸を滴下し、更に30分間撹拌して反応を終了させた。その後濾過し、トリエチルアミン塩酸塩を除去した。ここで得られた濾液を純水1640gと塩酸30gを混合撹拌した3Lビーカーに撹拌しながら滴下し、析出物を得た。この析出物を水洗、濾過した後、40℃減圧下で48時間乾燥し、光酸発生剤(B)(Q−1)を得た。
<有機ケイ素化合物(C)の調製>
〔参考例2〕
撹拌機、滴下ロート及び温度計を付した500mL3つ口フラスコに、二炭酸ジ−t−ブチル131.0g(0.6mol)、GBL780gを入れ、室温下で3−アミノプロピルトリエトキシシラン132.8g(0.6mol)をゆっくり室温下で滴下した。滴下するに従い、反応液は約40℃まで発熱した。また、反応に伴い、炭酸ガスの発生が確認された。滴下終了後、室温で2時間攪拌した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で反応液を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物C−1が単一ピークとして純度98%で検出された。この様にして、有機ケイ素化合物(C)C−1溶液を得た。得られた反応溶液はGBLに対して、C−1が20重量%となるよう調整した。C−1の構造を以下に示す:
<アルカリ可溶性重合体(A)の合成>
(実施例1)
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、容量500mLの三口フラスコ内に、以下の構造:
を有するTMOM−BP(本州化学:商品名)14.48g(0.04mol)、ピリジン3.16g(0.04mol)、及びGBL43.5gを0℃で混合攪拌した溶液に、別途GBL143.4g中にアジピン酸ジクロライド32.9g(0.18mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は20分、反応液温は最大で18℃であった。
滴下後、1時間攪拌した反応溶液を、滴下ロートを用いて、別途、テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた容量2Lのセパラブルフラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン(以下、「6FAP」ともいう。)58.57g(0.16mol)、ピリジン18.9g(0.24mol)、GBL395g及びDMAc131.8gを室温(25℃)で混合攪拌し溶解させ、その反応容器をメタノールにドライアイスを加えた容器に浸して−15℃に冷却した反応溶液に、滴下した。反応系中は−15〜0℃に保って45分を要して反応容器に滴下した。滴下終了後、反応容器を氷浴に浸し、0〜10℃に保って1時間攪拌した。さらにピリジン9.49g(0.12mol)を加えた。
上記反応液にエタノールを加えて重合体を析出させた後、回収し、GBL697gに溶解させた。次いで、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーリストA21)62.1g、陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーリスト15)59.6gでイオン交換した。この溶液をイオン交換水12Lに高速攪拌下で滴下し、重合体を分散析出させ、回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、PBO前駆体構造と架橋基含有構造を有するアルカリ可溶性重合体(P1)の紛体を得た。
このようにして合成されたアルカリ可溶性重合体のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で14200の単一のシャープな曲線であり、単一組成物であった。GPCの分析条件を以下に記す。
カラム:昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列
容離液:N−メチルピロリドン 40℃
流速 :1.0mL/分
検出器:日本分光社製 商標名 RI−930
(実施例2)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をスクシン酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP2とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は18,000であった。
(実施例3)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をグルタル酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP3とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は11,200であった。
(実施例4)
実施例1で使用した6FAP(0.16mol)を2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(0.16mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP4とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は20,200であった。
(実施例5)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をスベリン酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP5とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は21,300であった。
(実施例6)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をセバシン酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP6とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は26,200であった。
(実施例7)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をドデカン二酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP7とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は26,600であった。
(実施例8)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をジメチルマロン酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP8とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は17,000であった。
(実施例9)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をヘキサフルオログルタル酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP9とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は9,400であった。
(実施例10)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をグルタル酸ジクロリド(0.18mol)に、6FAPを2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP10とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は14,300であった。
(実施例11)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をスベリン酸ジクロリド(0.18mol)に、6FAPを2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP11とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は29,300であった。
(実施例12)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をセバシン酸ジクロリド(0.18mol)に、6FAPを2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP12とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は23,200であった。
(実施例13)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をドデカン二酸ジクロリド(0.18mol)に、6FAPを2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP13とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は21,000であった。
(実施例14)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリド(0.18mol)をジメチルマロン酸ジクロリド(0.18mol)に、6FAPを2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(0.18mol)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP14とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は26,600であった。
(実施例15)
実施例3で使用したグルタル酸ジクロリドの50mol%を4,4'−ジフェニルエー
テルジカルボン酸ジクロリドに置き換えた以外は実施例3と同様の条件にて合成を行った
。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP15とする)の標準ポリスチレン換
算により求めた重量平均分子量は30,000であった。
(実施例16)
実施例8で使用したジメチルマロン酸ジクロリド(0.18mol)の50mol%を4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリドに置き換えた以外は実施例8と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP16とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は32,800であった。
(実施例17)
実施例6で使用したセバシン酸ジクロリドの40mol%を4,4'−ジフェニルエー
テルジカルボン酸ジクロリドに置き換えた以外は実施例6と同様の条件にて合成を行った
。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP17とする)の標準ポリスチレン換
算により求めた重量平均分子量は32,000であった。
(実施例18)
実施例7で使用したドデカン二酸ジクロリドの40mol%を4,4'−ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸ジクロリドに置き換えた以外は実施例7と同様の条件にて合成を行っ
た。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP18とする)の標準ポリスチレン
換算により求めた重量平均分子量は29,000であった。
(実施例19)
実施例8で使用したジメチルマロン酸ジクロリドの50mol%を4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリドに、6FAPを2,2'−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピリデン(0.18mol)に置き換えた以外は実施例8と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP19とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は27,600であった。
(実施例20)
実施例1で使用したアジピン酸ジクロリドの50mol%をビス(クロロカルボニル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカンを47.5g(0.18mol)に置き換えた以外は実施例3と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP15とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は18,000であった。
(実施例21)
実施例17で使用したTMOM−BPを以下の構造:
を有するTMOM−BPA(本州化学:商品名)16.2g(0.04mol)に置き換えた以外は実施例17と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP21とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は14,000であった。
(実施例22)
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、容量500mLの三口フラスコ内の、TMOM−BP(本州化学:商品名)25.4g(0.07mol)、ピリジン11.0g(0.14mol)及びGBL152gを0℃で混合攪拌した溶液に、別途GBL118g中に無水トリメリット酸クロリドを29.5g(0.14mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は50分、反応液温は最大で18℃であった。
滴下後、1時間攪拌した反応溶液を、テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた容量2Lのセパラブルフラスコ中に、入れ、更にアジピン酸ジクロリド11.0g(0.06mol)、NMP93gを加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル38.0g(0.19mol)、をNMP176gに溶解させたものを加え、室温(25℃)で1時間攪拌し、更にシリコン浴温度50℃で4時間反応させた。
次にイソブチルアルコール2.16g(0.04mol)を加え、更に、ジシクロヘキシルカルボジイミド7.5g(0.04mol)をGBL37.5gに溶解した溶液を氷冷下で攪拌しながら40分間で加え、室温で2時間攪拌した。
その後エチルアルコール30mLを加えて、1時間攪拌し、更にDMAc250mLとTHF400mLを加えた後、沈殿を吸引濾過により除去して得られた上記反応液にエタノールを加えていき、生成した沈殿を濾別した後、真空乾燥してポリイミド前駆体構造と架橋基含有構造を有するアルカリ可溶性重合体(P22)を得た。このようにして合成されたアルカリ可溶性重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で16000の単一のシャープな曲線であった。
(比較例1)
テフロン(登録商標)製の碇型攪拌器を取り付けた、容量2Lのセパラブルフラスコ中で、6FAP73.2g(0.20mol)、ピリジン21.1g(0.27mol)、GBL439g、及びDMAc146gを室温(25℃)で混合攪拌し溶解させた。これに、別途GBL88g中に5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(東京化成工業社製)6.6g(0.04mol)を溶解させたものを滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は25分、反応液温は最大で28℃であった。
滴下終了後、湯浴により反応液を50℃に加温し18時間撹拌した後、反応液のIRスペクトルの測定を行い1385cm-1及び1772cm-1のイミド基の特性吸収が現れたことを確認した。
次にこれを水浴により8℃に冷却し、これに、別途GBL212g中に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド53.1g(0.18mol)を溶解させたものを滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は60分、反応液温は最大で12℃であった。
上記反応液にエタノールを加えて重合体を析出させた後これを回収し、GBL671gに溶解させた。次いで、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーリストA21)62.1g、陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーリスト15)59.6gでイオン交換した。この溶液を12Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗及び脱水の後に真空乾燥を施し、アルカリ可溶性重合体(P23)としてPBO前駆体を得た。このようにして合成されたアルカリ可溶性重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で14,000の単一のシャープな曲線であった。
(比較例2)
比較例1で使用した4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド53.1g(0.18mol)をアジピン酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、比較例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP24とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は10,300であった。
(比較例3)
比較例1で使用した4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド53.1g(0.18mol)をジメチルマロン酸ジクロリド(0.18mol)に置き換えた以外は、比較例1と同様の条件にて合成を行った。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP25とする)の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は18,400であった。
(比較例4)
比較例1で使用した4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリドの60mol%をセバシン酸ジクロリドに置き換えた以外は比較例1と同様の条件にて合成を行った
。得られたアルカリ可溶性重合体(以下、ポリマーP26とする)の標準ポリスチレン換
算により求めた重量平均分子量は22,000であった。
<アルカリ可溶性重合体の評価>
(1)硬化時残膜率の測定
上記実施例1〜22、及び比較例1〜4で得られたアルカリ可溶性重合体(A)(P−1〜P−26)をNMPに溶解させて、樹脂固形分が35質量%となる濃度のアルカリ可溶性重合体(A)の溶液を作製した。各アルカリ可溶性重合体溶液は0.2μmのフィルターで濾過して調製した。
上記のアルカリ可溶性重合体溶液を6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱した。
硬化時残膜率(%)は、(キュア後の硬化の膜厚)/(スピンコート後のレリーフパターンの膜厚)×100により求めた。結果を以下の表1に示す。
(2)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定
上記実施例1〜22、及び比較例1〜4で得られたアルカリ可溶性重合体(A)(P−1〜P−26)をNMPに溶解させて樹脂固形分が、35質量%となる濃度のアルカリ可溶性重合体の溶液を作製した。各アルカリ可溶性重合体溶液は0.2μmのフィルターで濾過して調製した。
上記のアルカリ可溶性重合体溶液を6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、膜厚10.0μmの硬化膜を得た。
この硬化膜を、3mm幅にカットし、希フッ酸水溶液に一晩浸してフィルム片を剥離し、乾燥させたものを、TMA装置(島津製作所製 TMA−50)を用いて、窒素流量50ml/min、昇温速度10℃/minの条件によりガラス転移温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
(3)硬化膜の弾性率及び伸度の測定
上記(2)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定で作製したアルカリ可溶性重合体(A)溶液を、6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、膜厚10.0μmの耐熱性硬化膜を得た。
この硬化膜を、3mm幅にカットし、希フッ酸水溶液に一晩浸してフィルム片を剥離し、乾燥させたものを、長さ50mmになるようにカットし、TENSILON(オリエンテック社製 UTM−II−20)を用いて、試験速度40mm/min、初期加重0.5fsで、硬化膜の弾性率及び伸度を測定した。結果を以下の表1に示す。
(4)硬化膜の吸水率の測定
上記(2)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定で作製したアルカリ可溶性重合体(A)溶液を、精密天秤で精評した6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、膜厚10.0μmの耐熱性硬化膜を得た。窒素パージしたドライボックス内で硬化膜付きのシリコンウエハーの重量を測定し、予め測定していたシリコンウエハーの重量を差し引くことで、乾燥した硬化膜の重量が測定できる。
硬化膜付きのシリコンウエハーを湿度50%室温で5時間放置し、吸湿した状態で精密天秤で硬化膜付きのシリコンウエハーの重量を測定し、予め測定していたシリコンウエハーの重量を差し引くことで、吸湿した硬化膜の重量が測定できる。吸湿した硬化膜の重量から乾燥した硬化膜の重量を差し引くことで吸湿した水分の量を算出し、これを乾燥した硬化膜の重量で割ることで、吸湿率を求めた。
アルカリ可溶性重合体について、架橋基含有構造の有無で比較した場合、上記実施例1〜22で得られたアルカリ可溶性重合体(A)(P1〜P22)は、比較例1〜4で得られたアルカリ可溶性重合体(P23〜P26)と比較して、硬化時残膜率、Tg又は伸度、吸湿度のいずれかにおいて優れている。
この場合、実施例1は、架橋基含有構造を含有しない以外はほぼ同一の構造を有する比較例2と比較することで、同様に、実施例8は比較例3と、実施例17は比較例4と比較することで、上記効果が発現していることがわかる。
<ポジ型感光性樹脂組成物の調製>
[実施例23〜30、比較例5〜12]
実施例23〜30、及び比較例5〜12のポジ型感光性樹脂組成物として、上記実施例1〜22、及び比較例1〜4で得られたアルカリ可溶性重合体(A)(P1、P6、P,8、P17、P23、P24、P25、P26)100質量部に対して、以下の表2に示す組成でGBLとNMPを50%ずつ混合させた溶媒に溶解させて、樹脂固形分が35質量%となる濃度のアルカリ可溶性重合体溶液を作製した。熱架橋剤MX−270は下記化合物である。
各アルカリ可溶性重合体溶液は0.2μmのフィルターで濾過して調製した。
<感光性樹脂組成物の評価>
(1)パターニング特性評価
・プリベーク膜の作製、及び膜厚測定
上記実施例23〜30、及び比較例5〜12のポジ型感光性樹脂組成物をスピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)で6インチ・シリコンウエハーにスピン塗布し、ホットプレート上125℃で180秒間プリベークして評価用膜を得た。各組成物の初期膜厚は、200℃で1時間キュアした時の硬化後樹脂膜厚で7μm、となるように調整した。膜厚は膜厚測定装置(大日本スクリーン製造社製ラムダエース)にて測定した。
・露光
この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通してi線(365nm)の露光波長を有するステッパー(ニコン社製NSR2005i8A)を用いて露光量を段階的に変化させて露光した。
・現像
これをアルカリ現像液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製AZ300MIFデベロッパー、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用い、23℃の条件下で現像後膜厚が初期膜厚の85%となるように現像時間を調整して現像し、純水にてリンスを行い、ポジ型のレリーフパターンを形成した。
[感度(mJ/cm)]
上記条件で作製した塗膜において、露光部の3.5μm正方形レリーフパターンが完全に溶解除去しうる最小露光量を感度として評価した。結果を以下の表3に示す。
(2)キュア後のパターン形状の評価(テーパー角により評価)
テーパー角の評価は、上記(1)パターニング特性評価で得られたポジ型のレリーフパターンを形成したサンプルを昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱して得られた硬化膜の50μmラインの断面を、日立製作所(株)製 S−2400形日立走査電子顕微鏡を用いて観察した。この断面において、図1に示すように、ラインのパターン側面と基板のなす角度をテーパー角(θ)として求めた。このテーパー角が50°超であれば、半導体装置の表面保護膜、及び層間絶縁膜として好ましいと判断できる。結果を以下の表3に示す。
(3)耐薬品性試験(パターン観察により評価)
上記(1)パターニング特性評価で得られたポジ型のレリーフパターンを形成したサンプルを昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間半加熱した。
得られた硬化膜を80℃に加熱されたレジスト剥離液TOK105(東京応化工業社製)が満たされたバスに5分間浸し、純水で洗浄後し、パターンの状態を観測した。結果を以下の表3に示す。
(4)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定
上記実施例23〜30、及び比較例5〜12で得られたポジ型感光性樹脂組成物を6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、膜厚10.0μmの硬化膜を得た。
この硬化膜を、3mm幅にカットし、希フッ酸水溶液に一晩浸してフィルム片を剥離し、乾燥させたものを、TMA装置(島津製作所製 TMA−50)を用いて、窒素流量50ml/min、昇温速度10℃/minの条件によりガラス転移温度を測定した。結果を以下の表4に示す。
(5)硬化膜の伸度の測定
上記実施例23〜30、及び比較例5〜12で得られたポジ型感光性樹脂組成物を、6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、膜厚10.0μmの耐熱性硬化膜を得た。
この硬化膜を、3mm幅にカットし、希フッ酸水溶液に一晩浸してフィルム片を剥離し、乾燥させたものを、長さ50mmになるようにカットし、TENSILON(オリエンテック社製 UTM−II−20)を用いて、試験速度40mm/min、初期加重0.5fsで、硬化膜の伸度を測定した。結果を以下の表4に示す。
(6)硬化膜の吸湿率の測定
上記実施例23〜30、及び比較例5〜12で得られたポジ型感光性樹脂組成物を、精密天秤で精評した6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、膜厚10.0μmの耐熱性硬化膜を得た。窒素パージしたドライボックス内で硬化膜付きのシリコンウエハーの重量を測定し、予め測定していたシリコンウエハーの重量を差し引くことで、乾燥した硬化膜の重量が測定できる。
硬化膜付きのシリコンウエハーを湿度50%室温で5時間放置し、吸湿した状態で精密天秤で硬化膜付きのシリコンウエハーの重量を測定し、予め測定していたシリコンウエハーの重量を差し引くことで、吸湿した硬化膜の重量が測定できる。吸湿した硬化膜の重量から乾燥した硬化膜の重量を差し引くことで吸湿した水分の量を算出し、これを乾燥した硬化膜の重量で割ることで、吸湿率を求めた。結果を以下の表4に示す。
(7)プレッシャークッカーテスト(PCT)試験
上記実施例23〜30、及び比較例5〜12で得られたポジ型感光性樹脂組成物を、精密天秤で精評した6インチ・シリコンウエハー上に、スピンコーター(東京エレクトロン社製 クリーントラックMark8)により塗布し、125℃で180秒間乾燥した後、昇温式オーブン(光洋サーモシステム社製 VF200B)を用いて窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱し、膜厚10.0μmの耐熱性硬化膜を得た。これをプレッシャークッカー(131℃、3.0気圧)で100時間処理を行った後、目視で硬化膜に表面異常が起こっていないかを確認した。観察の結果を表4に示す。
(8)保存安定性(室温4週間粘度変化率にて評価)
上記条件で調整したポジ型感光性樹脂組成物を室温で3日間放置したサンプルを調製後のサンプルとし、その後更に室温で4週間放置したサンプルを4週間後のサンプルとし、温調機付粘度計(東機産業社製TV−22を用いて、23℃における粘度測定を行った。
室温4週間粘度変化率は、[(4週間後のサンプルの粘度)−(調整後のサンプルの粘度)]/(調整後のサンプルの粘度)×100により求めた。結果を表4に示す。
類似骨格を有するアルカリ可溶性重合体(A)で比較した場合、上記実施例で得られたアルカリ可溶性重合体(A)を用いて作製した溶液(実施例23〜30)は、比較例1〜4で得られたアルカリ可溶性重合体を用いて作製した溶液(比較例5〜12)と比較して、感度、キュア形状、耐薬品性、伸度、Tg、吸湿性、PCTテストの点において優れている。
本発明の感光性樹脂組成物は、半導体装置及び発光装置の表面保護膜、層間絶縁膜、及び再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、並びに液晶配向膜等として好適に利用できる。
a 基板表面
b 表面保護膜のパターン側面
θ テーパー角

Claims (18)

  1. 下記一般式(1):
    {式中、X1、及びYは、それぞれ独立に、少なくとも2個の炭素原子を有する有機基であり、Y及びYの少なくとも一方は、炭素数が1〜30の脂肪族構造を含む基であり、Zは、下記一般式(2):
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、及び炭素原子数1〜5の炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、Rは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、及びオキセタン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する基であり、Wは、炭素原子数1〜30の(n+2)価の有機基であり、Bは、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選択される基であり、そしてnは、1〜12の整数である。)で表される構造を有し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、mは、1〜1000の整数であり、mは、1〜500の整数であり、ここで、m/(m+m)=0.05〜0.99であり、そしてn〜nは、それぞれ独立に、0〜2の整数であり、n+n+n+n+n+n>0であり、ここで、X及びYを含むm個の単位、並びにZ及びYを含むm個の単位の配列順序は問わない。}で表される構造を有するアルカリ可溶性重合体。
  2. 前記、一般式(1)におけるY及びYの少なくとも一方が、下記一般式(3):
    (式中、A及びAは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a’は1〜30の整数を示す。)で表される構造を含む基、または、下記一般式(4):
    (式中、A〜Aは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、a〜cは各々独立に1〜30の整数を表し、dは0〜3の整数である。また、Aは―O―、―S―、―SO―、―CO―、―NHCO―、―C(CF―、―C三C―からなる群から選ばれるいずれかを示す。)である請求項1に記載のアルカリ可溶性重合体。
  3. 上記一般式(1)中、mの繰り返し単位数を有する部分が、下記一般式(5):
    (式中、A及びAは、各々独立に、水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Uは、単結合、−CH−、―C(CH―、―C(CF―、―SO―からなる群から選ばれるいずれかを示し、a’は1〜30の整数を示す。)の構造を有する請求項1又は2に記載のアルカリ可溶性重合体。
  4. 以下の工程:
    脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体と架橋基含有化合物とを反応させ、両末端が脂肪族カルボン酸又はその誘導体である架橋基含有構造を有する化合物を合成する工程、
    前記両末端が脂肪族カルボン酸又はその誘導体である架橋基含有構造を有する化合物と多価アミノ化合物とを重縮合させる工程、
    を順に含む、アルカリ可溶性重合体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、光酸発生剤(B)1〜50質量部を含む、感光性樹脂組成物。
  6. 前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、有機ケイ素化合物(C)1〜40質量部をさらに含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記光酸発生剤(B)が、ナフトキノンジアジド化合物であり、前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、モノカルボン酸化合物(D)1〜40質量部をさらに含む、請求項5又は6に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、フェノール化合物(E)1〜100質量部をさらに含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、熱により架橋反応を起こす化合物(F)0.5〜15質量部をさらに含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記熱により架橋反応を起こす化合物(F)が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物、アルケニル化合物、下記一般式(6):
    {式中、Rは、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基からなる群より選ばれる1価の有機基であり、R10は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2〜10のエステル基、及び炭素原子数2〜10のウレタン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの1価の有機基であり、n12は、1〜5の整数であり、n13は、0〜4の整数であり、ここで、n12+n13=5であり、mは、1〜4の整数であり、Zは、m=1のとき、CHOR又はR10であり、m=2〜4のとき、単結合又は2〜4価の有機基であり、ここで、CHOR、及びR10が複数存在する場合、R及びR10は、互いに同一でも異なっていてもよい。}で表される構造、下記一般式(7):
    {式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基及びR13CO−(ここで、R13は、炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)からなる群から選ばれる基である。}で表される構造、及び下記一般式(8):
    {式中、Dは、炭素原子数1〜6のアルキル基、アルケニル基、及び架橋し得る有機基からなる群より選ばれる官能基であり、Mは、−CH−、−O−、及び−S−からなる群から選ばれる基であり、Zは2価の有機基であり、n14は、0〜4の整数であり、Dが複数ある場合、複数のDは同じでも異なっていてもよい。}で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5〜9のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、熱により酸を発生する化合物(G)0.1〜30質量部をさらに含む、請求項5〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、光酸発生剤(B)0.5〜30質量部、及び酸の作用により架橋し得る化合物(H)0.5〜15質量部を含む感光性樹脂組成物。
  13. 前記酸の作用により架橋し得る化合物(H)が、分子内にメチロール基又はアルコキシメチル基を有する化合物である、請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
  14. 前記アルカリ可溶性重合体(A)100質量部に対して、増感剤となる化合物(I)1〜20質量部をさらに含む、請求項12又は13に記載の感光性樹脂組成物。
  15. 有機溶媒(J)をさらに含む、請求項5〜14のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物溶液。
  16. 以下の工程:
    (1)請求項5〜14のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物又は請求項15に記載の感光性樹脂組成物溶液を塗布して得られた感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
    (2)露光する工程、
    (3)現像する工程、
    (4)得られたレリーフパターンを加熱処理する工程、
    を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
  17. 半導体基板と、該半導体基板に設けられた半導体素子と、該半導体素子の上部に設けられた絶縁膜とを備え、該絶縁膜は、請求項16に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンであることを特徴とする半導体装置。
  18. 表示素子用基板と、該基板の表面を覆う絶縁膜と、該表示素子用基板の上部に設けられた表示素子とを備え、該絶縁膜は、請求項16に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンであることを特徴とする発光装置。
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