JP5714177B2 - 信号処理装置及び情報再生装置 - Google Patents

信号処理装置及び情報再生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5714177B2
JP5714177B2 JP2014504598A JP2014504598A JP5714177B2 JP 5714177 B2 JP5714177 B2 JP 5714177B2 JP 2014504598 A JP2014504598 A JP 2014504598A JP 2014504598 A JP2014504598 A JP 2014504598A JP 5714177 B2 JP5714177 B2 JP 5714177B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
signal processing
filter
processing unit
information recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014504598A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013136519A1 (ja
Inventor
小川 昭人
昭人 小川
一右 土井
一右 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP5714177B2 publication Critical patent/JP5714177B2/ja
Publication of JPWO2013136519A1 publication Critical patent/JPWO2013136519A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B20/00Signal processing not specific to the method of recording or reproducing; Circuits therefor
    • G11B20/10Digital recording or reproducing
    • G11B20/10009Improvement or modification of read or write signals
    • G11B20/10046Improvement or modification of read or write signals filtering or equalising, e.g. setting the tap weights of an FIR filter
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B20/00Signal processing not specific to the method of recording or reproducing; Circuits therefor
    • G11B20/10Digital recording or reproducing
    • G11B20/10009Improvement or modification of read or write signals
    • G11B20/10268Improvement or modification of read or write signals bit detection or demodulation methods
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/004Recording, reproducing or erasing methods; Read, write or erase circuits therefor
    • G11B7/005Reproducing

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Signal Processing For Digital Recording And Reproducing (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Description

実施形態は、光記録媒体の再生信号に対する信号処理に関する。
光記録媒体は、一般に、高密度化及び多層化されるほど大容量のデータを記録できる。他方、記録条件の最適化処理において精度を確保することが困難となる。故に、光記録媒体からの再生信号に残留する非線形雑音成分(例えば、上下非対称成分など)は増大する。再生信号に残留する非線形雑音成分は、ビットエラーを引き起こし、ユーザデータの再生を妨げるおそれがある。典型的には、光記録媒体の再生装置は、再生信号に残留する雑音成分を抑圧するために例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタを利用する。しかしながら、FIRフィルタは線形等化処理を実現するものであり、非線形雑音成分を十分に抑圧することが困難である。
従って、再生信号に残留する非線形雑音成分を抑圧するために、再生信号に対する非線形等化処理が求められる。非線形等化処理を実現するために、種々のフィルタが提案されている。例えば、ニューラルネットワークフィルタ、ボルテラフィルタ、ARML(Auto Regressive Maximum Likelihood)フィルタ、判定帰還型MLフィルタなどは、非線形等化処理を実現できる。
しかしながら、高密度化及び多層化された光記録媒体からの再生信号には、複数の種別の非線形雑音成分が混入している。故に、上記フィルタのいずれかを単独で用いたとしても、非線形雑音成分を十分に抑圧することが困難であると共にフィルタの適応制御を安定的に実施することが困難である。
特許第4419908号公報 特許第4191393号公報
International Symposium on Optical Memory 2009 proceedings, "New Signal Quality Evaluation Method for 33.4GB/Layer BDs"
実施形態は、光記録媒体からの再生信号に残留する非線形雑音成分を効果的に抑圧することを目的とする。
実施形態によれば、情報再生装置は、第1の信号処理部と、第2の信号処理部と、第3の信号処理部とを備える。第1の信号処理部は、光記録媒体から読み出された再生信号に残留するオフセット成分を抑圧し、第1の信号を得る。第2の信号処理部は、第1の信号に残留する非線形歪成分を抑圧し、第2の信号を得る。第3の信号処理部は、第2の信号に残留する相関雑音成分を抑圧し、第3の信号を得る。
第1の実施形態に係る情報記録再生装置のうち再生信号処理部を例示するブロック図。 図1のオフセット抑圧部を例示する図。 図1のARMLフィルタの動作を説明するためのトレリス線図。 図1のノイズ推定器によって用いられる雑音モデルを例示する図。 図1のノイズ推定器を例示するブロック図。 第1の実施形態に係る情報記録再生装置が読み取り可能な光記録媒体の仕様を例示する図。 第1の実施形態に係る情報記録再生装置の仕様を例示する図。 第1の比較方式に係る情報記録再生装置のうち再生信号処理部を示すブロック図。 第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式を適用した場合のタンジェンシャルチルトに対するチャネルビットエラー率特性を示すグラフ。 第1の比較方式及び提案方式を適用した場合のタンジェンシャルチルトに対するチャネルビットエラー率特性を示すグラフ。 第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式を適用した場合の記録パルス幅のずれに対するチャネルビットエラー率特性を示すグラフ。 第1の比較方式及び提案方式を適用した場合の記録パルス幅のずれに対するチャネルビットエラー率特性を示すグラフ。 第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式を適用した場合の記録パワー誤差に対するチャネルビットエラー率特性を示すグラフ。 第1の比較方式及び提案方式を適用した場合の記録パワー誤差に対するチャネルビットエラー率特性を示すグラフ。 第1の比較方式、第2の比較方式、第3の比較方式及び提案方式を適用した場合のタンジェンシャルチルト、記録パルス幅及び記録パワーに関するシステムマージンを示すテーブル。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置が読み取り可能な光記録媒体を例示する図。 図12AのA−A’断面図。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置が読み取り可能な光記録媒体のサーボ層及び情報記録層を例示する図。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置が読み取り可能な光記録媒体のサーボ層に形成されるトラックを例示する図。 ウォブル変調の説明図。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置が読み取り可能な光記録媒体のサーボ層に記録されるディスク情報を例示する図。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置を例示するブロック図。 第2の実施形態に係る情報処理装置によって用いられる記録波形を例示する図。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置が読み取り可能な光記録媒体の仕様を例示する図。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置の仕様を例示する図。 オフセット抑圧部の制御帯域の性能評価を例示するグラフ。 ボルテラフィルタの制御帯域の性能評価を例示するグラフ。 ARMLフィルタの入力信号に残留する雑音成分の周波数特性を例示するグラフ。 ボルテラフィルタによる線形フィルタ演算において使用されるタップ数の性能評価を例示するグラフ。 ボルテラフィルタによる2次フィルタ演算において使用されるタップ数の性能評価を例示するグラフ。 ボルテラフィルタによる3次フィルタ演算において使用されるタップ数の性能評価を例示するグラフ。 ARMLフィルタにおいて使用される雑音相関長の性能評価を例示するグラフ。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置によって行われるデータ記録処理を例示するフローチャート。 第2の実施形態に係る情報記録再生装置によって行われるデータ再生処理を例示するフローチャート。
以下、図面を参照しながら実施形態の説明が述べられる。尚、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号が付され、重複する説明は基本的に省略される。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る情報記録再生装置は、光記録媒体から読み取った再生信号を処理できる。本実施形態に係る情報記録再生装置は、再生信号を処理するために図1に示される再生信号処理部を備えることができる。
図1の再生信号処理部は、光記録媒体からの再生信号に残留する非線形雑音成分を効果的に抑圧する。具体的には、再生信号処理部は、オフセット成分の抑圧処理と、非線形歪成分の抑圧処理と、相関雑音成分の抑圧処理とを順番に実施する。
再生信号処理部は、図1に示されるように、バンドパスフィルタ100と、オフセットキャンセラ110と、AGC(Auto Gain Controller)120と、ITR(Interpolated Timing Recovery)121と、PLL(Phase Locked Loop)122と、ボルテラフィルタ130と、タップコントローラ140と、ARMLフィルタ150と、ノイズ推定器160と、誤り訂正部170とを備える。
バンドパスタフィルタ100及びオフセットキャンセラ110はオフセット抑圧部として機能する。ボルテラフィルタ130及びタップコントローラ140は、非線形歪抑圧部として機能する。ARMLフィルタ150及びノイズ推定器160は、相関雑音抑圧部として機能する。また、ITR121及びPLL122は、同期処理部として機能する。
オフセット抑圧部は、入力信号の中心レベルを零に近付ける信号処理を行うことによって、当該入力信号に残留するオフセット成分を抑圧する。
バンドパスフィルタ100は、図示しない光記録媒体から読み取られた再生信号を入力する。バンドパスフィルタ100は、入力した再生信号のうち所望の帯域内の信号成分を通過させ、当該帯域外の信号成分を抑圧する。バンドパスフィルタ100は、フィルタ処理された信号をオフセットキャンセラ110へと出力する。バンドパスフィルタ100は、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタまたはFIRフィルタを用いて実装可能である。また、バンドパスフィルタ100は、ハイパスフィルタに置き換えられてもよい。
オフセットキャンセラ110は、バンドパスフィルタ100から信号を入力する。オフセットキャンセラ110は、入力信号に残留するオフセット成分を抑圧し、オフセット抑圧された信号をAGC120へと出力する。具体的には、オフセットキャンセラ110は、入力信号から当該入力信号のDC成分を減算することによって、当該入力信号のオフセット成分を抑圧することができる。
オフセットキャンセラ110は、例えば図2に示されるように、減算器111と、加算器112と、遅延器113と、増幅器114及び115とを備える。図2のオフセットキャンセラ110の制御帯域は、増幅器114及び115のゲインを介して調整することができる。
減算器111は、増幅器115からフィードバックされた信号を入力信号から減算することによって出力信号を得る。加算器112は、減算器111からの出力信号と、増幅器114からフィードバックされた信号とを加算し、遅延器113へと出力する。
遅延器113は、加算器112から信号を入力し、遅延を与える。遅延器113は、遅延された信号を増幅器114及び115へと出力する。増幅器114は、遅延器113から遅延された信号を入力し、ゲインに応じて振幅を調整してから加算器112へとフィードバックする。増幅器115は、遅延器113から遅延された信号を入力し、ゲインに応じて振幅を調整してから減算器111へとフィードバックする。
AGC120は、オフセット抑圧部からオフセット抑圧された信号を入力する。AGC120は、入力信号の振幅が所望の値に近づくように、その振幅を自動的に調整する。AGC120は、振幅調整された信号を同期処理部へと出力する。
同期処理部は、AGC120から振幅調整された信号を入力する。同期処理部は、入力信号における周波数の時間的な変動を調整する。同期処理部は、同期処理された信号を非線形歪抑圧部へと出力する。
非線形歪抑圧部のうちボルテラフィルタ130は、入力信号に残留する非線形歪成分(例えば、波形の上下非対称性など)を抑圧する。更に、非線形歪抑圧部のうちタップコントローラ140は、ボルテラフィルタ130のタップ係数を動的に更新する。故に、入力信号に残留する非線形歪成分が時間的に変動しても、非線形歪抑圧部は安定的に非線形歪成分を抑圧することができる。前述の通り、非線形歪抑圧部はオフセット抑圧された信号を入力する。故に、オフセット成分に起因する波形のずれが上下非対称成分として誤って抑圧される事態を防止できる。また、非線形歪抑圧部のボルテラフィルタ130の制御帯域をオフセット抑圧部の制御帯域を低く設定することにより、ボルテラフィルタ130を安定的に適応制御することが可能となる。
ボルテラフィルタ130は、同期処理部から同期処理された信号を入力する。ボルテラフィルタ130は、入力信号に対してボルテラフィルタ処理を行い、フィルタ処理された信号をタップコントローラ140及び相関雑音抑圧部へと出力する。ボルテラフィルタ130は、例えば図1に示されるように、1次項のためのフィルタ演算器131と、2次項のためのフィルタ演算器132と、3次項のためのフィルタ演算器133とを備えることができる。即ち、図1のボルテラフィルタ130は、3次のフィルタ処理を行うことができる。具体的には、ボルテラフィルタ130は、下記数式(1)に示されるフィルタ処理を行うことができる。
Figure 0005714177

数式(1)において、右辺第1項は1次フィルタ演算(即ち、線形フィルタ演算)を表し、右辺第2項は2次フィルタ演算を表し、右辺第3項は3次フィルタ演算を表す。尚、数式(1)によれば、線形フィルタ演算は、通常のFIRフィルタ処理に相当する。数式(1)のフィルタ処理によれば、2次歪成分(例えば、波形の上下非対称性)に加えてより高次の歪成分を抑圧することができる。
数式(1)において、x(t)はボルテラフィルタ130の入力信号を表し、y(t)はボルテラフィルタ130の出力信号を表す。また、hは線形フィルタ演算のためのタップ係数を表し、hは2次フィルタ演算のためのタップ係数を表し、hは3次フィルタ演算のためのタップ係数を表す。tは、サンプルタイミングを表す。t’及びt’’は、2次フィルタ演算及び3次フィルタ演算に関する遅延が補償されたサンプルタイミングを表す。iは線形フィルタ演算においてタップ番号を特定する変数であり、Iは線形フィルタ演算におけるタップ長を表す。j,kは2次フィルタ演算においてタップ番号を特定する変数であり、J,Kは2次フィルタ演算におけるタップ長を表す。尚、J,Kは、同一の値であってもよいし、相異なる値であってもよい。f,g,hは3次フィルタ演算においてタップ番号を特定する変数であり、F,G,Hは3次フィルタ演算においてタップ長を表す。F,G,Hは、同一の値であってもよいし、相異なる値であってもよい。尚、ボルテラフィルタ130が使用するタップ係数(=h,h,h)は、タップコントローラ140によって動的に更新される。
タップコントローラ140は、ボルテラフィルタ130が使用するタップ係数を更新する。タップコントローラ140は、更新されたタップ係数をボルテラフィルタ130へと逐次出力する。タップコントローラ140は、例えば図1に示されるように、線形フィルタ演算のためのタップ係数算出器141と、2次フィルタ演算のためのタップ係数算出器142と、3次フィルタ演算のためのタップ係数算出器143とを備えることができる。タップコントローラ140は、具体的には、下記数式(2)に従ってタップ係数を更新する。
Figure 0005714177

数式(2)において、μは線形フィルタ演算のためのステップサイズパラメータを表し、μは2次フィルタ演算のためのステップサイズパラメータを表し、μは3次フィルタ演算のためのステップサイズパラメータを表す。尚、ボルテラフィルタ130の制御帯域は、ステップサイズパラメータを介して調整できる。
また、数式(2)において、e(t)=d(t)−y(t)であり、d(t)は復号結果とPR(Partial Response)クラスとに基づいて算出される理想信号レベルを表す。数式(2)はLMS(Least Mean Square)法に基づいている。但し、タップコントローラ140は、LMS以外の技法に基づいてタップ係数を更新してもよい。
相関雑音抑圧部のうちノイズ推定器160は、AR(Auto−Regressive)モデルに基づいて、入力信号に残留する相関雑音成分を推定する。相関雑音抑圧部のうちARMLフィルタ150は、入力信号に残留する相関雑音成分を抑圧する。
後述されるように、ノイズ推定器160は、過去に入力信号に混入した白色雑音が相関雑音成分に変換されて入力信号に加算されるという仮定に基づいている。故に、入力信号において有色雑音としての非線形歪成分が十分に抑圧されていなければ、ノイズ推定器160による相関雑音成分の推定精度が劣化し、結果的にARMLフィルタ150が有効に機能しないおそれがある。しかしながら、相関雑音抑圧部は非線形歪が抑圧された信号を入力する。故に、相関雑音成分の推定において非線形歪成分が悪影響を及ぼす事態を防止できる。
また、相関雑音抑圧部のARMLフィルタ150の制御帯域を非線形歪抑圧部のボルテラフィルタ130の制御帯域に比べて低く設定することにより、ARMLフィルタ150を安定的に適応制御することができる。
ARMLフィルタ150は、ARモデルで表現された相関雑音を効果的に抑圧できるMLフィルタである。ARモデルにおいて、雑音の自己相関が仮定される。具体的には、ARMLフィルタ150は、線形な白色雑音ではなく、入力信号のパターン毎に強度が異なり、かつ、時間的な相関性を持つ有色雑音を対象に等化を行う。故に、入力信号にパターン依存性のある雑音成分や時間的な相関性を持つ雑音成分が残留していたとしても、ARMLフィルタ150は係る雑音成分を効果的に抑圧できる。
MLフィルタは、ビタビアルゴリズム、BCJR(Bahl−Cocke−Jelinek−Raviv)アルゴリズム、MLM(Max−Log−Map)アルゴリズムまたはSOVA(Soft Output Viterbi Algorithm)などに基づいて実現される。例えば、MLフィルタの後段において硬判定結果(即ち、1または0の2値データ)に対する誤り訂正処理(例えば、リードソロモン符号の復号処理)が行われる場合には、MLフィルタは硬判定結果を出力するアルゴリズム(例えば、ビタビ等化アルゴリズム)に基づいて構成される。他方、MLフィルタの後段において軟判定結果に対する誤り訂正処理(例えば、LDPC(Low Density Parity Check)符号の復号処理)が行われる場合には、MLフィルタは軟判定結果を出力するアルゴリズム(例えば、BCJRアルゴリズム、MLMアルゴリズムまたはSOVAアルゴリズム)に基づいて構成される。
ARMLフィルタ150は、ブランチ毎にメトリックと呼ばれる尤度指標を計算し、当該メトリックに基づいて最も確からしいパスを判定することによって、再生信号の硬判定結果または軟判定結果を得る。ARMLフィルタ150は、再生信号の硬判定結果または軟判定結果をノイズ推定器160及び誤り訂正部170へと出力する。
ここで、ブランチとは所与の時刻のステートから次の時刻のステートへの遷移を指しており、ブランチ毎に理想信号を導出することができる。パスとは所与の時刻のステートに至るまでに通過した1以上のブランチを連結したものである。ステートは、例えば図3に示されるように、所与の時刻とその1つ前の時刻とにおいて発生可能なデータパターン毎に定義される。例えば、ステート=(0,0)に注目すると、ステート=(0,0)へのブランチM1と、ステート=(0,1)へのブランチM2とが存在する。同様に、ステート(1,1)に注目すると、ステート(1,0)へのブランチM7とステート(1,1)へのブランチM8とが存在する。例えばビタビアルゴリズムによれば、パスを構成するブランチのメトリックが積算され、メトリック積算値の最も小さいパスが最も確からしいと評価される。
MLフィルタにおけるメトリックは、例えば下記数式(3)に従って計算できる。
Figure 0005714177

数式(3)においてωは、ブランチを特定する変数を表す。即ち、Mωはブランチ=ωのメトリックである。数式(3)によれば、メトリックは、ブランチに対応する確率密度関数=PDNormωを対数化したものである。そして、この確率密度関数は、白色雑音の標準偏差=σと、ブランチ=ωに対応する理想信号=sωと、理想信号からのオフセット誤差=mωと、入力信号=yとに基づいて計算することができる。
他方、ARMLフィルタ150は、メトリックを下記数式(4)に従って計算できる。
Figure 0005714177

数式(4)において、M[AR]ωはブランチ=ωのメトリックを表す。Lは雑音相関長を表し、wωはブランチ=ωに対応する雑音の相関係数セットを表す。数式(4)によれば、ARMLフィルタ150は、ブランチ=ωに対応する白色雑音の標準偏差=σωと、ブランチ=ωに対応する理想信号sωと、理想信号からのオフセット誤差=mωと、入力信号=yと、雑音の相関係数セット=wωとに基づいてメトリックを計算できる。尚、オフセット誤差、白色雑音の標準偏差及び雑音の相関係数セットは、ノイズ推定器160によって推定される。
ノイズ推定器160は、図4に例示される雑音モデルに基づいて、ブランチ=ω毎に、オフセット誤差mωと、白色雑音の標準偏差σωと、雑音の相関係数セットwωとを推定する。具体的には、ノイズ推定器160は、入力信号=dに対して図4の雑音モデルに従って発生した雑音が混入して再生信号=yが得られたという仮定に基づいて、オフセット誤差と、白色雑音の標準偏差と、雑音の相関係数セットとを推定する。図4の雑音モデルによれば、ブランチ=ωに対応する理想信号=sω毎に異なるオフセット誤差mωが加算される。また、図4の雑音モデルによれば、白色雑音を起源として、サンプル間で相関性のある雑音が発生している。即ち、過去に混入した白色雑音が、ブランチ=ω毎に異なる雑音の相関係数セット=wωによって相関雑音に変換されて入力信号に加算される。
図4の雑音モデルによれば、再生信号=y及び理想信号=sωに基づいて、オフセット誤差mω、白色雑音の標準偏差σω及び雑音の相関係数セットwωを数学的に算出することが可能となる。ノイズ推定器160は、非線形歪抑圧部からの出力信号(即ち、ボルテラフィルタ130によってフィルタ処理された信号)を上記再生信号=yとして入力し、ARMLフィルタ150からの出力信号をPRチャネル等化することによって得られる信号を上記理想信号=sωとして利用する。
例えば、ノイズ推定器160は、図5に示されるように、2値化器161と、PRチャネルフィルタ162と、減算器163と、セレクタ164と、ブランチ=ω毎の算出器セットとを備える。
2値化器161は、ARMLフィルタ150からの出力信号を2値化し、PRチャネルフィルタ162へと出力する。尚、ARMLフィルタ150が2値信号(即ち、硬判定結果)を出力する場合には、2値化器161は不要である。
PRチャネルフィルタ162は、2値化器161(或いはARMLフィルタ150)から2値信号を入力する。PRチャネルフィルタ162は、2値信号に対してPRクラスに応じたフィルタ処理を行い、理想信号を生成する。例えば、信号処理において採用されるPRクラスが12221であるならば、PRチャネルフィルタ162はタップ係数[1,2,2,2,1]を用いるFIRフィルタによって実装できる。PRチャネルフィルタ162は、理想信号を減算器163へと出力する。
減算器163は、非線形雑音抑圧部の出力信号を再生信号として入力し、PRチャネルフィルタ162から理想信号を入力する。減算器163は、再生信号から理想信号を減算し、差分信号(即ち、雑音成分)をセレクタ164へと出力する。
セレクタ164は、ARMLフィルタ150によって判定されたブランチ=ωを参照し、減算器163からの差分信号を当該ブランチに対応する算出器セットへと出力する。差分信号が与えられた算出器セットは、図4の雑音モデルに基づいて、ブランチ=ωに対応する、オフセット誤差mω、白色雑音の標準偏差σω及び雑音の相関係数セットwωを算出する。算出されたオフセット誤差mω、白色雑音の標準偏差σω及び雑音の相関係数セットwωは、ローパスフィルタ(LPF)を経由してARMLフィルタ150内のメトリック算出部(図示されない)へと出力される。
尚、ノイズ推定器160は、例えば、雑音パラメータ(即ち、算出されたオフセット誤差mω、白色雑音の標準偏差σω及び雑音の相関係数セットwω)を算出するために参照される入力信号のサンプル数、LPFの帯域などを介して、ARMLフィルタ150の制御帯域を調整できる。また、ノイズ推定器160は、図5に例示されるように雑音パラメータを逐次更新してもよいし、これと異なるやり方で雑音パラメータを更新してもよい。具体的には、ノイズ推定器160は、入力信号の一部をトレーニング部分として利用して雑音パラメータの初期値を算出し、当該初期値を次の更新タイミングまで継続使用してもよい。この場合には、ノイズ推定器160は、更新タイミングの周期を介してARMLフィルタ150の制御帯域を調整できる。
誤り訂正部170は、ARMLフィルタ150から再生信号の硬判定結果または軟判定結果を入力する。誤り訂正部170は、データ記録時に施されたインタリーブ処理に対応するデインタリーブ処理を行う。それから、誤り訂正部170は、データ記録時に施された誤り訂正符号化(例えば、リードソロモン符号化、LDPC符号化など)に対応する誤り訂正復号を行うことにより、再生データを得る。誤り訂正部170によって得られた再生データは外部に出力される。
本実施形態に係る情報記録再生装置は、例えば図6Aに示される仕様を満足する光記録媒体からデータを再生できる。図6Aの仕様によれば、情報記録層タイプは追記型であり、チャネルビット長は55.87[nm]であり、トラックピッチは0.32[μm]である。各情報記録層におけるデータの記録容量は33.4GBであり、各情報記録層における反射率は2%程度であり、データは17変調方式によって変調された状態で記録される。
他方、本実施形態に係る情報記録再生装置は、例えば図6Bに示される仕様を満足する。図6Bの仕様によれば、対物レンズのNAは0.85であり、データの記録再生に用いられるレーザの波長は405[nm]であり、再生パワーは1.2[mW]である。信号処理において採用されるPRクラスは12221であり、チャネルビットレートは132Mbpsである。ボルテラフィルタ130の次数は3であり、線形フィルタ演算のタップ数は13であり、2次フィルタ演算のタップ数は13×13であり、3次フィルタ演算のタップ数は7×7×7である。ARMLフィルタ150において相関雑音長(=L)は2ビットに設定される。
以降、実験の結果を参照しながら本実施形態に係る情報記録再生装置の効果が説明される。尚、本実験において用いられた光記録媒体は、図6Aに示される仕様を満たす。
本実験において本実施形態に対する比較方式(便宜的に第1の比較方式と称される)が用意された。第1の比較方式に係る情報記録再生装置は、図7に示される再生信号処理部を備える。図7の再生信号処理部は、バンドパスフィルタ201と、オフセットキャンセラ202と、AGC203と、ITR204と、PLL205と、FIRフィルタ206と、タップコントローラ207と、MLフィルタ208と、参照レベル検出器209と、誤り訂正部210とを備える。
図7の再生信号処理部は、非線形雑音成分を抑圧するための機能部において図1の再生信号処理部と異なる。具体的には、図1の非線形歪抑圧部は、図7のFIRフィルタ206及びタップコントローラ207に置き換えられている。また、図1の相関雑音抑圧部は、図7のMLフィルタ208及び参照レベル算出器209に置き換えられている。他方、図7のバンドパスフィルタ201、オフセットキャンセラ202、AGC203、ITR204、PLL205及び誤り訂正部210は、図1のバンドパスフィルタ100、オフセットキャンセラ110、AGC120、ITR121、PLL122及び誤り訂正部170に相当する。
FIRフィルタ206は、タップコントローラ207から与えられるタップ係数を用いて入力信号に対してFIRフィルタ処理を行う。MLフィルタ208は、ARモデルに基づく雑音成分を考慮しない点でARMLフィルタ150と異なる。参照レベル算出器209は、上記数式(3)に示されるブランチ=ωに対応する理想信号からのオフセット誤差=mωを算出し、MLフィルタ208へと出力する。
本実験では、更に、第1の比較方式においてMLフィルタ208及び参照レベル算出器209を図1の相関雑音抑圧部に置き換えたもの(便宜的に第2の比較方式と称される)と、第1の比較方式においてFIRフィルタ206及びタップコントローラ207を図1の非線形歪抑圧分に置き換えたもの(第3の比較方式と称される)とが用意された。
図8A及び図8Bは、タンジェンシャルチルトに対するチャネルビットエラー率特性の実験結果を示す。図8Aには、第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式の実験結果が描かれている。ここで、タンジェンシャルチルトとは、光記録媒体の再生時における当該光記録媒体の接線方向の傾き[degree]を意味する。
図8Aによれば、第2の比較方式及び第3の比較方式は、第1の比較方式に比べて必ずしも良好な特性を示さなかった。換言すれば、第1の比較方式に対して図1の非線形歪抑圧部及び相関雑音抑圧部の一方のみを導入したとしても、図6Aに示される仕様を満足する光記録媒体に対して良好な特性を安定的に達成することは困難である。
他方、図8Bには、第1の比較方式の実験結果に加えて提案方式(即ち、本実施形態に係る情報記録再生装置)の実験結果が描かれている。図8Bによれば、提案方式は広範囲に亘って第1の比較方式よりも良好な特性を達成した。よって、少なくともタンジェンシャルチルトに関して、提案方式は図6Aに示される仕様を満足する光記録媒体に対して良好な特性を安定的に達成できる。
図9A及び図9Bは、記録パルス幅のずれに対するチャネルビットエラー率特性の実験結果を示す。図9Aには、第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式の実験結果が描かれている。ここで、記録パルス幅のずれとは、光記録媒体への記録時における記録パルス幅の最適値からのずれ[T]を意味する。一般に、記録パルス幅が最適値からずれると、光記録媒体に記録されるマークサイズが変化する。この変化は、再生信号において非線形雑音成分を発生させる要因となる。
図9Aによれば、第2の比較方式及び第3の比較方式は、第1の比較方式に比べて必ずしも良好な特性を示さなかった。換言すれば、第1の比較方式に対して図1の非線形歪抑圧部及び相関雑音抑圧部の一方のみを導入したとしても、図6Aに示される仕様を満足する光記録媒体に対して良好な特性を安定的に達成することは困難である。
他方、図9Bには、第1の比較方式の実験結果に加えて提案方式の実験結果が描かれている。図9Bによれば、提案方式は広範囲に亘って第1の比較方式よりも良好な特性を達成した。よって、少なくとも記録パルス幅に関して、提案方式は図6Aに示される仕様を満足する光記録媒体に対して良好な特性を安定的に達成できる。
図10A及び図10Bは、記録パワー誤差に対するチャネルビットエラー率特性の実験結果を示す。図10Aには、第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式の実験結果が描かれている。ここで、記録パワー誤差とは、光記録媒体への記録時における記録パワーの最適値に対する誤差[%]を意味する。一般に、記録パワーが最適値からずれると、光記録媒体に記録されるマークサイズが変化する。この変化は、再生信号において非線形雑音成分を発生させる要因となる。
図10Aによれば、第2の比較方式及び第3の比較方式は、第1の比較方式に比べて必ずしも良好な特性を示さなかった。換言すれば、第1の比較方式に対して図1の非線形歪抑圧部及び相関雑音抑圧部の一方のみを導入したとしても、図6Aに示される仕様を満足する光記録媒体に対して良好な特性を安定的に達成することは困難である。
他方、図10Bには、第1の比較方式の実験結果に加えて提案方式の実験結果が描かれている。図10Bによれば、提案方式は広範囲に亘って第1の比較方式よりも良好な特性を達成した。よって、少なくとも記録パワーに関して、提案方式は図6Aに示される仕様を満足する光記録媒体に対して良好な特性を安定的に達成できる。
図8A、図8B、図9A、図9B、図10A及び図10Bに示される実験結果から、各方式の各記録再生条件に関するシステムマージンが図11に示されるように評価できる。システムマージンは、各種記録条件について許容可能な誤差に相当する。即ち、各種記録条件についての誤差に応じて再生特性は劣化するが、当該誤差がシステムマージンに収まっていれば誤り訂正処理などによって正しい再生データを得ることが可能である。
図11のシステムマージンを見積もるための閾値として、チャネルビットエラー率=1.0E−4が用いられた。この閾値は、誤り訂正部170に適用されることが想定される誤り訂正符号方式の訂正能力を考慮すれば妥当な値である。図11によると、提案方式は、いずれの記録再生条件に関しても第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式に比べて大きなシステムマージンを確保できる。
特に、記録パワーに関して言及すると、第1の比較方式、第2の比較方式及び第3の比較方式のマージンはいずれも25〜26%程度であったのに対して提案方式のマージンは8ポイント以上高い34%であった。尚、光記録媒体における記録パワーのマージンは、一般的に20〜25%程度である。
前述のように、本実施形態に係る情報記録再生装置において種々の信号処理パラメータが設定可能である。具体的には、雑音抑圧部の制御帯域、ボルテラフィルタ130において使用されるタップ数及びボルテラフィルタ130の制御帯域、ARMLフィルタ150において使用される雑音相関長、ARMLフィルタ150の制御帯域などが設定可能な信号処理パラメータとして用意される。以降、これらパラメータの設定例が言及される。
図20Aは、本実施形態に係る情報記録再生装置におけるオフセット抑圧部の制御帯域を変化させた場合のi−MLSEの測定値が示されている。図20Aにおいて、横軸はオフセット抑圧部の制御帯域を表し、縦軸はi−MLSEを表している。i−MLSEは、非特許文献1に開示される性能評価指標である。i−MLSEが小さいほど、等化された信号に残留する雑音成分が小さく、データを安定的に再生可能であると評価することができる。図20Aによれば、オフセット抑圧部の制御帯域は概ね15kHzから25kHzの間の範囲で設定されることが好ましい。
図20Bは、本実施形態に係る情報記録再生装置におけるボルテラフィルタ130における処理サンプル数の増加に対するi−MLSEの変化を示す。図20Bでは比較のために、ステップサイズパラメータを段階的に小さく設定することにより条件1−7が用意された。即ち、条件1のステップサイズパラメータが最も大きく、条件7のステップサイズパラメータが最も小さい。
一般に、タップコントローラ140がタップ係数を適応制御するので、処理サンプル数の増大に伴ってi−MLSEは良好な値へと次第に収束する。そして、収束するまでに必要とされる処理サンプル数(換言すれば、時間)は、制御帯域が高いほど(即ち、ステップサイズパラメータが大きいほど)小さい。
条件3−7に関して言及すると、処理サンプル数の増大に伴ってi−MLSEは良好な値へと次第に収束している。また、ステップサイズパラメータが小さい条件ほど収束するまでに要する処理サンプル数が大きい。しかしながら、ステップサイズパラメータを過剰に大きくすることは必ずしも好ましくない。条件1−2に関して言及すると、処理サンプル数が増大してもi−MLSEは改善せずに寧ろ若干悪化している。
以上の結果を考慮すると、条件3−7のうちステップサイズパラメータの大きいものを参考にして、ボルテラフィルタ130の制御帯域を設定することが好ましい。例えば、条件4の下では、処理サンプル数が概ね2×10に達した時に、i−MLSEが良好な値に収束している(換言すれば、タップ係数の適応制御が収束している)。チャネルビットレート=132Mbpsとすると、2×10のサンプルは1.5msecの時間に相当する。即ち、条件4の下でのボルテラフィルタ130の制御帯域は0.7kHz程度となる。図20Bによれば、ボルテラフィルタ130の制御帯域は概ね0.7kHz以下の範囲で設定されることが好ましい。
図20Cは、本実施形態に係る情報記録再生装置におけるノイズ推定器160において推定されたあるパターンの雑音成分の周波数特性を示している。この周波数特性によると100Hzから低域側(概ね60Hz付近)に大きな盛り上がりが出現している。また、200Hzから高域側には断続的に複数の大きな盛り上がりが出現している。100Hzから低域側の雑音成分は、ARMLフィルタ150の適応制御によって抑圧されるべきものである。他方、200Hzから高域側の雑音成分はノイズ推定器160による推定のばらつきに起因する成分である。故に、ARMLフィルタ150の制御帯域は例えば300Hzよりも低く設定されることが好ましい。
図21Aは、本実施形態に係る情報記録再生装置におけるボルテラフィルタ130の線形フィルタ演算において使用されるタップ数を変化させた場合のi−MLSEの測定値を示す。図21Aによれば、概ね7以上11以下の範囲ではタップ数の増加に伴ってi−MLSEが改善するものの、11以上の範囲ではi−MLSEの改善幅が小さい。故に、ボルテラフィルタ130の線形フィルタ演算において使用されるタップ数は、11以上であることが好ましい。
図21Bは、本実施形態に係る情報記録再生装置におけるボルテラフィルタ130の2次フィルタ演算において使用されるタップ数を変化させた場合のi−MLSEの測定値を示す。図21Bによれば、概ね11以下の範囲ではタップ数の増加に伴ってi−MLSEが改善するものの、11以上の範囲ではi−MLSEの改善幅が小さい。故に、ボルテラフィルタ130の2次フィルタ演算において使用されるタップ数は、11以上であることが好ましい。
図21Cは、本実施形態に係る情報記録再生装置におけるボルテラフィルタ130の3次フィルタ演算において使用されるタップ数を変化させた場合のi−MLSEの測定値を示す。図21Cによれば、概ね5以下の範囲ではi−MLSEの改善幅が小さい。故に、ボルテラフィルタの3次フィルタ演算において使用されるタップ数は、5以上であることが好ましい。
図22は、光記録媒体のマークジッタの変化に対する本実施形態に係る情報記録再生装置におけるARMLフィルタ150の出力信号にチャネルビットエラー率の変化を示している。図22では比較のために、ARMLフィルタ150において使用される雑音相関長を0ビット、1ビット、2ビット及び3ビットに設定した場合の結果が描かれている。図23によれば、雑音相関長が1ビットの場合には、雑音相関長が0ビットの場合(即ち、ARMLフィルタ150が通常のMLフィルタに相当する場合)に比べてチャネルビットエラー率が劣化している。他方、雑音相関長を2ビットに増大させると、チャネルビットエラー率が大きく改善している。尚、雑音相関長が2ビットの場合と3ビットの場合とではチャネルビットエラー率に大きな差異は見られない。従って、ARMLフィルタ150において使用される雑音相関長は、2ビット以上であることが好ましい。
図20A、図20B、図21C、図21A、図21B、図21C及び図22を考慮すると、種々の信号処理パラメータは以下に例示される値に設定されてよい。
オフセット抑圧部の制御帯域は20kHzに設定され、ボルテラフィルタ130の制御帯域は0.7kHzに設定され、ARMLフィルタ150の制御帯域は200kHz以下に設定される。尚、この設定によれば、オフセット抑圧部、ボルテラフィルタ130及びARMLフィルタ150の制御帯域が順番に低くなるので、ボルテラフィルタ130及びARMLフィルタ150を安定的に適応制御することができる。ボルテラフィルタ130の線形フィルタ演算において使用されるタップ数は13に設定され、2次フィルタ演算において使用されるタップ数は13×13に設定され、3次フィルタ演算において使用されるタップ数は7×7×7に設定される。ARMLフィルタ150において使用される雑音相関長は2ビットに設定される。
以上説明したように、第1の実施形態に係る情報記録再生装置は、再生信号に対してオフセット抑圧と、非線形歪抑圧と、相関雑音抑圧とを順番に適用する。従って、この情報記録再生装置によれば、光記録媒体から読み出された再生信号に残留する非線形雑音成分が効果的に抑圧され、光記録媒体から安定的にデータを再生することができる。また、この情報記録再生装置によれば、種々の記録再生条件について大きなシステムマージンを確保することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る情報記録再生装置は、図17に示されるように、PUH(Pick Up Head)300と、サーボ処理回路320と、信号処理回路340とを備える。図17の情報記録再生装置は、サーボ層を備え、かつ、情報記録層が多層化された光記録媒体に対してデータを記録再生できる。尚、図17において、実線矢印は電気信号の流れを表しており、一点鎖線は青色レーザ(情報記録層用のレーザ)の流れを表しており、破線矢印は赤色レーザ(サーボ層用のレーザ)の流れを表している。
PUH300は、サーボ層用のレーザ及び情報記録層用のレーザを発生する。PUH300は、レーザの一部を光記録媒体に照射し、残部を電気信号の形式でサーボ処理回路320へと出力する。また、PUH300は、光記録媒体からの戻り光を電気信号の形式でサーボ処理回路320へと出力する。
PUH300は、赤色レーザダイオード(LD)301と、青色LD302と、光学系303と、赤色レーザ用フロントモニタ304と、青色レーザ用フロントモニタ305と、赤色レーザ用収差補正機構306と、青色レーザ用収差補正機構307と、対物レンズ308と、対物レンズ駆動機構309と、赤色レーザ用受光素子310と、青色レーザ用受光素子311と、赤色レーザ用駆動回路312と、青色レーザ用駆動回路313とを備える。
LD301は、サーボ層用の赤色レーザの光源である。赤色レーザの波長は650nm程度である。レーザ駆動回路312は、後述されるパワー制御回路321からの制御信号に従って、LD301が発生するレーザの強度を制御する。LD302は、情報記録層用の青色レーザの光源である。青色レーザの波長は405nm程度である。レーザ駆動回路313は、後述されるパワー制御回路323及びパルス変調回路324からの制御信号に従って、LD302が発生するレーザの強度を制御する。尚、レーザ駆動回路312及び313は、LD301及び302を同時に点灯できる。
LD301が点灯中に発生する赤色レーザは、光学系303に入射する。光学系303は、赤色レーザをフロントモニタ用の光と媒体照射用の光とに分割する。フロントモニタ用の光はフロントモニタ304へと集光され、媒体照射用の光は収差補正機構306及び対物レンズ308を経由して光記録媒体のサーボ層へと集光される。そして、サーボ層からの戻り光は、対物レンズ308、収差補正機構306及び光学系303を経由して受光素子310へと導かれる。受光素子310は、受け取った光を電気信号に変換して後述されるフォーカス制御回路325、トラッキング制御回路326及びプリアンプ327へと出力する。
フロントモニタ304は、フロントモニタ用の光を電気信号に変換してパワー制御回路321へと出力する。収差補正機構306は、後述される収差制御回路333からの制御信号に基づいて、自己を通過するレーザ光(媒体照射用の光及びサーボ層からの戻り光)に種々の収差(例えば、球面、非点、コマ)を与えることによって、波面収差を制御する。また、収差補正機構306は、フォーカス制御回路325からのフォーカス誤差信号に基づいて、赤色レーザの集光スポットを所望のサーボ層にフォーカスする。
LD302が点灯中に発生する青色レーザは、光学系303に入射する。光学系303は、青色レーザをフロントモニタ用の光と媒体照射用の光とに分割する。フロントモニタ用の光はフロントモニタ305へと集光され、媒体照射用の光は収差補正機構307及び対物レンズ308を経由して光記録媒体の情報記録層へと集光される。そして、情報記録層からの戻り光は、対物レンズ308、収差補正機構307及び光学系303を経由して受光素子311へと導かれる。受光素子311は、受け取った光を電気信号に変換して後述されるフォーカス制御回路329、トラッキング制御回路330及びプリアンプ331へと出力する。
フロントモニタ305は、フロントモニタ用の光を電気信号に変換してサンプル/ホールド回路(S/H)322へと出力する。収差補正機構307は、後述される収差制御回路334からの制御信号に基づいて、自己を通過するレーザ光(媒体照射用の光及びサーボ層からの戻り光)に種々の収差(例えば、球面、非点、コマ)を与えることによって、波面収差を制御する。
対物レンズ308は、対物レンズ駆動機構309によって、フォーカス方向またはトラッキング方向に駆動されたり、チルト状態が制御されたりする。
対物レンズ駆動機構309は、光記録媒体に対するデータ記録時に、トラッキング制御回路326からトラッキング誤差信号を入力する。対物レンズ駆動機構309は、トラッキング誤差信号に基づいて、赤色レーザの集光スポットを所望のトラックに追従させる。尚、青色レーザの集光スポットの半径位置は、赤色レーザの集光スポットの半径位置と共に制御される。
対物レンズ駆動機構309は、フォーカス制御回路329からフォーカス誤差信号を入力する。対物レンズ駆動機構309は、フォーカス誤差信号に基づいて、青色レーザの集光スポットを所望の情報記録層にフォーカスさせる。
対物レンズ駆動機構309は、光記録媒体に対するデータ再生時に、トラッキング制御回路330からのトラッキング誤差信号を入力する。対物レンズ駆動機構309は、トラッキング誤差信号に基づいて、青色レーザの集光スポットを所望のトラックに追従させる。対物レンズ駆動機構309は、後述されるチルト制御回路335からの制御信号に基づいて、対物レンズ308のチルト状態を制御する。
サーボ処理回路320は、PUH300及び信号処理回路340から種々の電気信号を入力し、これらに基づいて種々の制御信号を生成し、PUH300へと出力する。
サーボ層処理回路320は、赤色レーザ用パワー制御回路321と、サンプル/ホールド回路322と、青色レーザ用パワー制御回路323と、パルス変調回路324と、赤色レーザ用フォーカス制御回路325と、赤色レーザ用トラッキング制御回路326と、赤色レーザ用プリアンプ327と、アナログデジタル変換器(A/D)328と、青色レーザ用フォーカス制御回路329と、青色レーザ用トラッキング制御回路330と、青色レーザ用プリアンプ331と、A/D332と、赤色レーザ用収差制御回路333と、青色レーザ用収差制御回路334と、チルト制御回路335とを備える。
パワー制御回路321は、フロントモニタ304から電気信号を入力する。パワー制御回路321は、入力電気信号を所望値に近づけるための制御信号を生成し、レーザ駆動回路312へとフィードバックする。
サンプル/ホールド回路322は、パルス変調回路324から出力される制御信号によってタイミング制御される。サンプル/ホールド回路322は、フロントモニタ305からの電気信号をサンプル/ホールドし、パワー制御回路322へと出力する。
パワー制御回路323は、サンプル/ホールド回路322から電気信号を入力する。パワー制御回路323は、入力電気信号を所望値に近付けるための制御信号を生成し、レーザ駆動回路313へとフィードバックする。
パルス変調回路324は、データの記録時に、後述されるクロック生成部341から基準クロック信号を入力し、後述される信号処理部343から記録信号(例えば、後述されるNRZI(Non Return to Zero Inversion)信号)を入力する。パルス変調回路324は、基準クロック信号及び記録信号に基づいて制御信号を生成し、レーザ駆動回路313及びサンプル/ホールド回路322へと出力する。この結果、LD302のレーザ強度がパルス状に変調される。例えば、記録データが「1」の部分においてLD302のレーザ強度は高くなり、記録データが「0」の部分でLD302は消灯される。
フォーカス制御回路325は、受光素子310から電気信号を入力する。フォーカス制御回路325は、例えばナイフエッジ法、非点収差法などに基づいて入力電気信号を演算し、フォーカス誤差信号を生成する。フォーカス制御回路325は、フォーカス誤差信号を収差補正機構306へと出力する。
トラッキング制御回路326は、光記録媒体に対するデータ記録時に、受光素子310から電気信号を入力する。トラッキング制御回路325は、例えばプッシュプル法、DPP(Differential Push−Pull)法などに基づいて入力電気信号を演算し、トラッキング誤差信号を生成する。トラッキング制御回路326は、トラッキング誤差信号を対物レンズ駆動機構309及び図示されないPUH駆動機構へと出力する。
プリアンプ327は、受光素子310から電気信号を入力する。プリアンプ327は、入力電気信号の振幅をゲインに応じて調整し、A/D328へと出力する。A/D328は、プリアンプ327から信号を入力し、アナログ−デジタル変換して信号処理回路340へと出力する。
フォーカス制御回路329は、受光素子311から電気信号を入力する。フォーカス制御回路329は、例えばナイフエッジ法、非点収差法などに基づいて入力電気信号を演算し、フォーカス誤差信号を生成する。フォーカス制御回路329は、フォーカス誤差信号を対物レンズ駆動機構309へと出力する。
トラッキング制御回路330は、光記録媒体に対するデータ再生時に、受光素子311から電気信号を入力する。トラッキング制御回路330は、例えばDPD(Differential Phase Detection)法に基づいて入力電気信号を演算し、トラッキング誤差信号を生成する。トラッキング制御回路330は、トラッキング誤差信号を対物レンズ駆動機構309及び図示されないPUH駆動機構へと出力する。
プリアンプ331は、受光素子311から電気信号を入力する。プリアンプ331は、入力電気信号の振幅をゲインに応じて調整し、A/D332へと出力する。A/D332は、プリアンプ331から信号を入力し、アナログ−デジタル変換して信号処理回路340へと出力する。
収差制御回路333は、後述される収差誤差計算部344から収差誤差データを入力し、当該収差誤差データに基づく制御信号を生成する。収差制御回路333は、制御信号を収差補正機構306へと出力する。
収差制御回路334は、後述される収差誤差計算部345から収差誤差データを入力し、当該収差誤差データに基づく制御信号を生成する。収差制御回路334は、制御信号を収差補正機構307へと出力する。
チルト制御回路335は、後述されるチルト誤差計算部346または347からチルト誤差データを入力し、当該チルト誤差データに基づく制御信号を生成する。チルト制御回路が335は、制御信号を対物レンズ駆動機構309へと出力する。
信号処理回路340は、光記録媒体からの再生信号を処理したり、光記録媒体への記録信号を生成したりする。信号処理回路340は、クロック生成部341と、アドレス処理部342と、信号処理部343と、赤色レーザ用収差誤差計算部344と、青色レーザ用収差誤差計算部345と、赤色レーザ用チルト誤差計算部346と、青色レーザ用チルト誤差計算部347とを備える。
クロック生成部341は、基準クロック信号を生成し、パルス変調回路324へと供給する。アドレス処理部342は、アドレス情報の読み出しなどのアドレス情報に関する処理を行う。読み出されたアドレス情報は、コントローラへと送信される。
信号処理部343は、図1に例示される再生信号処理部と、図示されない記録信号処理部とを含む。
記録信号処理部は、図示されないコントローラからユーザデータを入力し、当該ユーザデータを光記録媒体に記録可能なデータ列へと変換する。具体的には、記録信号処理部は、ユーザデータに対して、データパターンをランダム化するためにスクランブル処理を施したり、誤り訂正のために誤り訂正符号化(例えば、リードソロモン符号化、LDPC符号化など)したり、連続したエラーを回避するためのインタリーブ処理を施したりする。更に、記録信号処理部は、ユーザデータに対して、データの番地情報に相当するセクタ−アドレス番号を付加し、バーストエラーを検出するためのバースト検出サブコードを付加する。それから、記録信号処理部は、ランレングスを制約してユーザデータの最小反転長をコントロールするために17PP(Parity Preserved)変調またはETM(Eight to Twelve Modulation)を行い、NRZI変換を施すことによって、光記録媒体に記録可能なデータ列を得る。
再生信号処理部は、A/D328及びA/D332から再生信号を入力し、図1を参照して説明された非線形雑音成分を抑圧するための適応フィルタ処理を施す。更に、再生信号処理部は、再生信号に対して、前述のランレングスを制約する変調方式に対応する復調処理を施したり、誤り訂正符号化方式に対応する誤り訂正復号を行ったりすることによって、ユーザデータを復元する。復元されたユーザデータは、コントローラへと送信される。
収差誤差計算部344は、A/D328からデジタル信号を入力し、これに基づいて収差誤差量を計算する。収差誤差計算部344は、収差誤差データを収差制御回路333へと出力する。
収差誤差計算部345は、A/D332からデジタル信号を入力し、これに基づいて収差誤差量を計算する。収差誤差計算部345は、収差誤差データを収差制御回路334へと出力する。
チルト誤差計算部346は、A/D328からデジタル信号を入力し、これに基づいてチルト誤差量を計算する。チルト誤差計算部346は、チルト誤差データをチルト制御回路335へと出力する。
チルト誤差計算部347は、A/D332からデジタル信号を入力し、これに基づいてチルト誤差量を計算する。チルト誤差計算部347は、チルト誤差データをチルト制御回路335へと出力する。
図12Aは、本実施形態に係る情報記録再生装置が読み取り可能な、サーボ層を備える光記録媒体を例示している。図12Bは、図12AのA−A’断面図である。光記録媒体の外形はディスク状であり、その中央にはクランプ用の孔が形成されている。光記録媒体は、2層のサーボ層及び複数層の情報記録層が形成された層構造を備えている。光入射方向から見て奥側にサーボ層が設けられ、手前側に情報記録層が設けられる。より具体的には、光入射方向から見て奥側から順に、ディスク基板、サーボ層0番(SL0)、サーボ層間中間層0番(SML0)、サーボ層1番(SL1)、中間層(ML)、情報記録層0番(DL0)、情報記録層間中間層0番(DML0)、情報記録層1番(DL1)、・・・が設けられる。尚、光入射方向から見て最も手前側にはカバー層が設けられる。
図12Bに示されるように、光記録媒体の厚みは1.2mmであり、このうちディスク基板の厚みが約0.8mmである。サーボ層間中間層0番(SML0)の厚みは、サーボ層用のレーザの波長(例えば605nm)を考慮して決定されるが、例えば55μmに設計することができる。中間層(ML)の厚みは、126μmである。カバー層の厚みは、50μmである。
多重反射の影響を軽減するために、情報記録層間中間層に対して複数の種類の厚みが設計されてよい。隣接する情報記録層間中間層同士の厚みを相異なるように適切に設計すれば、非再生層からの反射光が再生層に集光しない。例えば、第1の種類の層の厚みは比較的薄く(例えば12μmに)設計され、第2の種類の層の厚みは比較的厚く(例えば16μmに)設計される。この場合には、第1の種類の層の総数が第2の種類の層の総数以上となるように設計することにより、光記録媒体の厚みを薄くできる。図12A及び図12Bに示される光記録媒体であれば、偶数番の情報記録層間中間層(DML0,DML2,・・・)を第1の種類の層として扱い、奇数番の情報記録中間層(DML1,DML3,・・・)を第2の種類の層として扱うように設計することが好ましい。尚、光記録媒体の厚みが薄くなれば、奥側の層を再生する際に発生する収差を軽減することができる。
各層の厚みは、情報記録層用のレーザの波長と、サーボ層用のレーザの波長とに基づいて設計することができる。例えば、サーボ層用のレーザの波長は情報記録層用レーザの波長に比べて長いので、層間のクロストークの影響を低減するためにサーボ層間中間層の厚みは情報記録層間中間層の厚みに比べて厚く設計される。また、サーボ層と情報記録層との間では集光スポットの層間ジャンプ動作が生じない。故に、中間層(ML)の厚みはサーボ層間中間層の厚みよりも更に厚く設計され、クロストークの影響が低減される。
サーボ層間中間層、中間層(ML)及び情報記録層間中間層は、いずれも、サーボ層用のレーザ及び情報記録層用のレーザに対して100%に近い透過率を示すように設計される。また、サーボ層は、サブミクロンオーダの厚みの金属などを材料とする膜によって構成される。特に、サーボ層0番(SL0)は、サーボ層用のレーザの一部を反射し、一部を透過する半透過特性を示す膜によって構成される。サーボ層には、後述されるように、サーボ用のガイドとなるトラックが形成されている。情報記録層は、情報記録層用のレーザによる情報の記録再生及び消去が可能な記憶材料を含む多層膜によって構成される。この多層膜は、サーボ層用レーザを透過する特性を示す。更に、この多層膜は、情報記録層用のレーザの一部を透過し、一部を反射し、一部を吸収する特性を示す。
図13には、サーボ層及び情報記録層の一例が描かれている。サーボ層には、スパイラル状のトラックが形成される。尚、サーボ層の総数が2である場合には、両サーボ層には互いに逆方向のスパイラル状にトラックが形成される。即ち、サーボ層0番(SL0)に時計回りのスパイラル状にトラックが形成されるならば、サーボ層1番(SL1)に反時計回りのスパイラル状にトラックが形成される。反対に、サーボ層0番(SL0)に反時計回りのスパイラル状にトラックが形成され、サーボ層1番(SL1)に時計回りのスパイラル状にトラックが形成されてもよい。
トラックは、連続的に形成されたグルーブ(溝)を備える。グルーブは、光記録媒体の半径方向に微小な振動(ウォブル)が与えられている。このウォブルの周波数または位相を変調したり、トラックの一部にプリピットなどの記録マークを配置したりすることによって、トラック番号及び周方向の位置を示すアドレス情報、光記録媒体の特性を示すディスク情報などがサーボ層に記録される。
他方、情報記録層にはトラックが形成されない。従って、情報記録層に対するユーザデータなどの記録再生はサーボ層に形成されたトラックに基づいて行われる。尚、情報記録層の内周及び外周には、プリフォーマット領域が形成される。内周プリフォーマット領域及び外周プリフォーマット領域には、記録波形最適化のための学習パターン、ディスクを管理するための管理情報などが記録される。
サーボ層には、例えば図16に示されるディスク情報がウォブル変調または記録マークを用いて記録される。具体的には、ディスク情報は、ディスクフォーマットの種類を示す情報、ディスクサイズ(例えば、光記録媒体の直径などの物理的なサイズ)を示す情報、最大転送速度を示す情報を含むことができる。ディスク情報は、サーボ層の層数を示す情報、情報記録層の層数を示す情報、情報記録層に適用可能なフォーマットの種類(例えば、一回記録、パケット記録など)を示す情報を含むことができる。ディスク情報は、記録密度(例えば、記録マーク列のトラックピッチ、線方向のマークピッチなど)を示す情報を含むことができる。ディスク情報は、光記録媒体内でアドレスが割り当てられた領域のうちユーザデータが記録される領域の配置と、ユーザデータ以外の情報(例えば、記録波形最適化のための学習パターン)が記録される管理情報記録領域の配置を示す情報領域配置情報を含むことができる。ディスク情報は、光記録媒体の再生に適した(例えば、最適な)ボルテラフィルタ130の次数と各次数のフィルタ演算に必要とされるタップ数を示す情報と、ARMLフィルタ150において必要な雑音相関長を示す情報とを含むことができる。ディスク情報は、適応制御フィルタの制御帯域を示す情報(例えば、ボルテラフィルタ130のステップサイズパラメータ、ARMLフィルタ150に与えられる雑音パラメータを算出する帯域(或いは、雑音パラメータの更新タイミングの周期)など)を含むことができる。ディスク情報は、光記録媒体が許容する再生パワーを示す情報と、光記録媒体に適した(例えば、最適な)記録パワーを示す情報と、記録パルスの形状(例えば、幅、間隔など)を示す記録パルス情報とを含むことができる。更に、ディスク情報のために、光記録媒体には予備領域が設けられてもよい。
前述のように、サーボ層にはスパイラル状のトラックが形成される。このトラックは、図14に示されるように、ランドと呼ばれる面にグルーブを彫ることによって形成される。グルーブは、光記録媒体の1周毎にグルーブピッチの半分だけ内周方向または外周方向にずれるように形成される。従って、トラックは、光記録媒体の1周毎にグルーブ及びランドが交互に切り替わるシングルスパイラル構造を備える。
前述のように、グルーブは、アドレス情報などを含むアドレス管理データに基づいてウォブル変調が施されたり、グルーブの幅を変化させる幅変調が施されたりするので、蛇行して形成される。図15には、ウォブル位相変調が例示されている。図15の位相変調によれば、1ビットの情報がサイン波状の4波のウォブルの位相によって表現される。図15の位相変調は、スキャン方向に向かって最初に内周側に蛇行が進む位相を「0」に割り当て、スキャン方向に向かって最初に外側に蛇行が進む位相を「1」に割り当てる。
本実施形態に係る情報記録再生装置によって用いられる記録波形の一例が図18に示されている。具体的には、図18において、記録波形は、1つのマークを記録するために複数のパルスが使用されるマルチパルスと呼ばれる種別の波形である。これら複数のパルスのうち、先頭の1つがファーストパルスと呼ばれ、最後の1つがラストパルスと呼ばれる。また、これら複数のパルスのうちファーストパルス及びラストパルス以外のパルスは、マルチパルスと称される。ラストパルスの後には、バイアスパワー1を出力するための期間(クーリングパルス)が用意されている。
記録波形の形状は、レベルに関して、記録パワー、消去パワー、バイアスパワー1及びバイパスパワー2の4つのレベルを用いて規定される。また、記録波形の形状は、時間に関して、NRZI信号の立ち上がりエッジ及びクロック信号を基準に種々の時間パラメータを用いて規定される。具体的には、係る時間情報には、例えば、ファーストパルスの開始時間F1、ファーストパルスの終了時間F3、ファーストパルスの間隔F2などが含まれる。また、例えば、ファーストパルスの開始時間F1、ラストパルスの終了時間L3などの記録マークの形成に影響を与え易い時間パラメータは、NRZI信号に応じてデータ記録時に動的に変更されてよい。これらの記録波形の形状を決定する種々のパラメータは、記録波形の形状情報として情報記録再生装置のメモリにおいて管理されると共に、物理フォーマット情報及び管理情報として光記録媒体に記録される。
尚、基準クロックは、情報記録再生装置におけるタイミング制御に利用される。Tは、基準クロックの周期を表す。基準クロックは、前述のクロック生成部341によって生成される。NRZI信号は、記録データをNRZI形式に変換することによって得られる。
光記録媒体にデータを記録する場合において、前述のパルス変調回路324は、記録波形の形状情報と信号処理部343から出力されるNRZI信号とに基づいて、記録パルスを生成する。レーザ駆動回路313は、記録パルスに従ってLD302を駆動する。この結果、光記録媒体に照射されるレーザのパワーは、図18に示される記録波形のように変調される。情報記録再生装置は、記録パワーのレベル、各パルスの幅などを介して記録マークの形状を制御する。例えば、記録パワーのレベルが高くなると、記録マークの幅は広くなる。また、ファーストパルスの開始時間を早くすると、記録マークの開始位置が早くなるので結果的に記録マーク長が長くなる。換言すれば、記録パワーのレベル、各パルスの幅などが最適値からずれると記録マークの形状もまた最適形状から変化するので、再生信号において非線形雑音成分が発生する。
第1の実施形態において、実験結果に基づいてシステムマージンが評価された。光記録媒体及び情報記録再生装置の設計において、システムマージンは種々の誤差要素に対する許容値として細分化して割り当てられる。例えば、記録パワーのマージンを25%とすると、情報記録再生装置の記録パワー誤差に対する許容値として12%程度が割り当てられ、光記録媒体の製造誤差に対する許容値として残りの13%程度が割り当てられる。
情報記録再生装置における記録パワーの誤差は主に2種類の要素を備える。一方の要素は記録パワーを一定に維持するための自動パワー調整処理において生じる誤差であり、他方の要素は光記録媒体に最適な記録パワーを決定するための記録パワー最適化処理において生じる誤差である。そこで、これら2つの誤差要素に対する許容値として夫々6%が割り当てられる。光記録媒体の製造誤差もまた主に2種類の要素を備える。一方の要素は光記録媒体間の特性のばらつきであり、他方の要素は同一光記録媒体内の情報記録層間の特性のばらつきである。光記録媒体間の特性のばらつきに対する許容値として8%が割り当てられ、光記録媒体内の各情報記録層の特性のばらつきに対する許容値として5%が割り当てられる。割り当てられた許容誤差に基づいて、情報記録再生装置及び光記録媒体が設計されれば、情報記録再生装置は光記録媒体から安定的にデータを再生できる。
ここで、光記録媒体内の各情報記録層の特性のばらつきについて更に言及される。情報記録層の特性には、情報記録層の記録パワーに対する感度のばらつきだけでなく、情報記録層を通過する光量を決定する透過率のばらつきも含まれる。即ち、情報記録層が多層化されている場合には、所与の情報記録層の感度のばらつきに加えて当該情報記録層よりも手前側(レーザの入射面側)に形成された1以上の情報記録層の透過率のばらつきを考慮する必要がある。
例えば、各情報記録層の感度のばらつきが3%程度であり、各情報記録層の透過率のばらつきが1%程度であると仮定することができる。この仮定の下では、最も手前側に形成された情報記録層の特性のばらつきは3%と見積もられる。2層目以降に形成された情報記録層の特性のばらつきは、当該情報記録層よりも手前側に形成された情報記録層の透過率のばらつきを加算して評価される。即ち、2層目の情報記録層の特性のばらつきは4%と見積もられ、3層目に形成された情報記録層の特性のばらつきは5%と見積もられ、4層目に形成された情報記録層の特性のばらつきは6%と見積もられる。即ち、4層目の情報記録層の特性のばらつきは、前述の許容値(=5%)を超える。
故に、記録パワーのマージンが25%程度である場合に、4層以上の情報記録層を備える光記録媒体に対して安定的にデータを記録再生するためには、例えば情報記録層の膜の特性を改善するなどの措置を講じる必要がある。
しかしながら、前述のように、本実施形態に係る情報記録再生装置によれば記録パワーのマージンが34%まで拡大される。そこで、マージンの拡大分の一部を光記録媒体内の各情報記録層の特性ばらつきに対する許容値として振り分けることにより、当該許容値を例えば10%に拡大することができる。故に、本実施形態に係る情報記録再生装置によれば、情報記録層の膜の特性を改善することなく、情報記録層が4層以上に多層化された光記録媒体に対して安定的にデータを記録再生することができる。即ち、従来の情報記録層を多層化することによって、安定的にデータを記録再生可能な光記録媒体を低コストに製造することが可能となる。
前述のように、サーボ層を備える光記録媒体において、情報記録層はガイド用の溝構造を備えていない。故に、光記録媒体の製造コストを削減することができる。また、上記溝構造による光の回折が生じないので、情報記録層の透過率を向上させることができる。即ち、情報記録層を多層化することによる光記録媒体の反射率の低下を抑制することができる。
他方、サーボ層を備える光記録媒体に関して、前述のように、サーボ層用のレーザと情報記録層用のレーザとが異なる。情報記録層に対するデータを記録再生する場合に、情報記録層用のレーザの集光スポットは、サーボ層のガイドに従って位置決めされる。しかしながら、係る位置決めを行ったとしても、情報記録層用のレーザ及びサーボ層用のレーザの集光スポットの半径方向の位置は完全には一致せず、光記録媒体または対物レンズのチルトなどによって両者の間には位置ずれが生じる。故に、サーボ層を備える光記録媒体は、通常の(即ち、情報記録層がガイド用の溝構造を備える)光記録媒体に比べて、情報記録層用のレーザの集光スポットの半径方向の位置決め精度において劣る。従って、サーボ層を備える光記録媒体によると、例えばデータの記録を中断した後に再開する追記処理における位置決めの手順が通常の光記録媒体に比べて複雑となる。
一般に、情報記録再生装置は、光記録媒体にデータを記録する際に情報記録層内の例えばプリフォーマット領域において前述の記録パワー最適化処理を行う。具体的には、情報記録再生装置は、情報記録層内の特定の領域に記録パワーを変化させながら学習用のテストパターンを記録し、記録したテストパターンを再生することによって、当該情報記録層に対する最適なパワーを決定する。通常の光記録媒体によれば、この記録パワー最適化処理における誤差を6%程度に抑えることができる。他方、サーボ層を備える光記録媒体によると、前述の位置決め精度の劣化、位置決めの手順の複雑化などが影響するので、記録パワー最適化処理によって生じる誤差を6%程度に抑えることが困難である。そこで、本実施形態に係る情報記録再生装置は、前述のマージンの拡大分の一部を記録パワー最適化処理によって生じる誤差に対する許容値として振り分けることにより当該許容値を例えば9%に拡大し、サーボ層を備える光記録媒体に対してデータを安定的に記録再生できる。
本実施形態に係る情報記録再生装置は、例えば図19Aに示される仕様を満足する光記録媒体を読み取ることができる。図19Aの仕様によれば、情報記録層タイプは追記型であり、サーボ層の層数は2であり、各サーボ層に形成されるガイド構造はランドグルーブであり、情報記録層の層数は5以上であり、チャネルビット長は56.28[nm]である。また、トラックピッチは0.32[μm]であり、各情報記録層におけるデータの記録容量は32.0GBであり、各情報記録層の反射率は1%程度であり、データは17変調方式によって変調された状態で記録される。
他方、本実施形態に係る情報記録再生装置は、例えば図19Bに示される仕様を満足する。図19Bの仕様によれば、サーボ層用の対物レンズのNAは0.6であり、サーボ層用のレーザの波長は660[nm]であり、サーボ層用の再生パワーは2.0[mW]である。また、情報記録層用の対物レンズのNAは0.85であり、情報記録層用のレーザの波長は405[nm]であり、情報記録層用の再生パワーは1.2[mW]である。信号処理において採用されるPRクラスは12221であり、チャネルビットレートは132Mbpsである。ボルテラフィルタ130の次数は3であり、線形フィルタ演算のタップ数は13であり、2次フィルタ演算のタップ数は13×13であり、3次フィルタ演算のタップ数は7×7×7である。ARMLフィルタ150において相関雑音長(=L)は2ビットに設定される。
本実施形態に係る情報記録再生装置は、サーボ層を備える光記録媒体に対して例えば図23Aに示されるデータ記録処理を行う。
図23Aのデータ記録処理は、ステップST1−1から開始する。ステップST1−1において、情報記録再生装置は、サーボ層用のレーザ(例えば、660[nm]の波長を持つ赤色レーザ)を点灯し、当該レーザの集光スポットを光記録媒体における所望のサーボ層にフォーカスする。続いて、情報記録再生装置は、サーボ層用のレーザを用いて所望のサーボ層に形成されたガイドトラックからディスク情報を読み出す(ステップST1−2)。ステップST1−2において読み出されるディスク情報は、例えば図16に示されるものである。情報記録再生装置は、ディスク情報を参照することによって、光記録媒体における情報記録層の層数、情報記録層に適用可能なフォーマットの種類などを確認できる。
情報記録再生装置は、ステップST1−2において読み出されたディスク情報に基づいて、情報記録層に対する処理を開始する。具体的には、情報記録再生装置は、情報記録層用のレーザ(例えば、405[nm]の波長を持つ青色レーザ)を点灯し、当該レーザの集光スポットを光記録媒体における所望の情報記録層にフォーカスする(ステップST1−3)。続いて、情報記録再生装置は、サーボ層に形成されたガイドトラックに基づいて、サーボ層用及び情報記録層用のレーザの集光スポットを情報記録層への記録条件を最適化するための記録学習領域として設定された半径位置へと移動させる(ステップST1−4)。情報記録再生装置は、記録学習領域において記録学習を行い、記録パワー、パルス幅などを最適化する(ステップST1−5)。ステップST1−5が完了すると、処理はステップST1−6へと進む。
ステップST1−6において、情報記録再生装置は、サーボ層に形成されたガイドトラックに基づいて、サーボ層用及び情報記録層用のレーザの集光スポットを情報記録層における所望の半径位置へと移動させる。情報記録再生装置は、ステップST1−5において最適化された記録パワー、パルス幅などに基づいてユーザデータを記録する(ステップST1−7)。対象のユーザデータが全て記録されるまでステップST1−7が繰り返され(ステップST1−8)、データ記録処理は完了する。
本実施形態に係る情報記録再生装置は、サーボ層を備える光記録媒体に対して例えば図23Bに示されるデータ再生処理を行う。
図23Bのデータ再生処理は、ステップST2−1から開始する。ステップST2−1において、情報記録再生装置は、サーボ層用のレーザ(例えば、660[nm]の波長を持つ赤色レーザ)を点灯し、当該レーザの集光スポットを光記録媒体における所望のサーボ層にフォーカスする。続いて、情報記録再生装置は、サーボ層用のレーザを用いて所望のサーボ層に形成されたガイドトラックからディスク情報を読み出す(ステップST2−2)。ステップST2−2において読み出されるディスク情報は、例えば図16に示されるものである。情報記録再生装置は、ディスク情報を参照することによって、光記録媒体における情報記録層の層数、情報記録層に適用可能なフォーマットの種類などを確認できる。また、情報記録再生装置は、光記録媒体の情報記録層からデータを再生するのに適した等化器タップ数(例えば、ボルテラフィルタ130のタップ数)及びARMLフィルタ150の雑音相関長を確認できる。更に、情報記録再生装置は、光記録媒体の情報記録層からデータを再生するのに適した適応制御フィルタの制御帯域情報(例えば、ボルテラフィルタ130のステップサイズパラメータ、ARMLフィルタ150に与えられる雑音パラメータを算出する帯域(或いは、雑音パラメータの更新タイミングの周期)など)を確認できる。
情報記録再生装置は、ステップST2−2において読み出されたディスク情報に基づいて、種々の信号処理パラメータを設定する(ステップST2−3)。具体的には、情報記録再生装置は、ボルテラフィルタ130のタップ数を設定したり、ARMLフィルタ150の雑音相関長を設定したりする。更に、情報記録再生装置は、オフセット抑圧部、ボルテラフィルタ130及びARMLフィルタ150の制御帯域を設定する。ステップST2−3が完了すると、処理はステップST2−4へと進む。
ステップST2−4において、情報記録再生装置は、情報記録層用のレーザ(例えば、405[nm]の波長を持つ青色レーザ)を点灯し、当該レーザの集光スポットを光記録媒体における所望の情報記録層にフォーカスする。続いて、情報記録再生装置は、サーボ層に形成されたガイドトラックに基づいて、サーボ層用及び情報記録層用のレーザの集光スポットを情報記録層における所望の半径位置へと移動させる(ステップST2−5)。情報記録再生装置は、ユーザデータを読み出す(ステップST2−6)。対象のユーザデータが全て読み出されると、データ再生処理は完了する。尚、図23Bのデータ再生処理によれば、ステップST2−3において種々の信号処理パラメータが適切な値に設定される。故に、サーボ層を備え、かつ、情報記録層が多層化された光記録媒体から、安定的にデータを再生することができる。
以上説明したように、第2の実施形態に係る情報記録再生装置は、サーボ層を備え、かつ、情報記録層が多層化された光記録媒体に対してデータを記録再生する。具体的には、この情報記録再生装置は、第1の実施形態と同一または類似の再生信号処理を行うので、再生信号における非線形雑音成分を効果的に抑制できる。従って、この情報記録再生装置によれば、大きなシステムマージンが確保されるので、上記光記録媒体に対しても安定的にデータを記録再生することができる。
上記各実施形態の処理は、汎用のコンピュータを基本ハードウェアとして用いることで実現可能である。上記各実施形態の処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記憶媒体に記憶される。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM、CD−R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記各実施形態の処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100,201・・・バンドパスフィルタ
110,202・・・オフセットキャンセラ
111・・・減算器
112・・・加算器
113・・・遅延器
114,115・・・増幅器
120,203・・・AGC
121,204・・・ITR
122,205・・・PLL
130・・・ボルテラフィルタ
131,132,133・・・フィルタ演算器
140,207・・・タップコントローラ
141,142,143・・・タップ係数算出器
150・・・ARMLフィルタ
160・・・ノイズ推定器
161・・・2値化器
162・・・PRチャネルフィルタ
163・・・減算器
164・・・セレクタ
170,210・・・誤り訂正部
206・・・FIRフィルタ
208・・・MLフィルタ
209・・・参照レベル算出器
300・・・PUH
301,302・・・LD
303・・・光学系
304,305・・・フロントモニタ
306,307・・・収差補正機構
308・・・対物レンズ
309・・・対物レンズ駆動機構
310,311・・・受光素子
312,313・・・レーザ駆動回路
320・・・サーボ処理回路
321,323・・・パワー制御回路
322・・・S/H
324・・・パルス変調回路
325,329・・・フォーカス制御回路
326,330・・・トラッキング制御回路
327,331・・・プリアンプ
328,332・・・アナログデジタル変換器
333,334・・・収差制御回路
335・・・チルト制御回路
340・・・信号処理回路
341・・・クロック生成部
342・・・アドレス処理部
343・・・信号処理部
344,345・・・収差誤差計算部
346,347・・・チルト誤差計算部

Claims (6)

  1. 光記録媒体から読み出された再生信号に残留するオフセット成分を抑圧し、第1の信号を得る第1の信号処理部と、
    前記第1の信号に残留する非線形歪成分を抑圧し、第2の信号を得る第2の信号処理部と、
    前記第2の信号に残留する相関雑音成分を抑圧し、第3の信号を得る第3の信号処理部と
    を具備
    前記第1の信号処理部、前記第2の信号処理部及び前記第3の信号処理部は、適応フィルタであり、
    前記第1の信号処理部の制御帯域は、前記第2の信号処理部の制御帯域よりも高く、
    前記第2の信号処理部の制御帯域は、前記第3の信号処理部の制御帯域よりも高い、
    信号処理装置。
  2. 前記第2の信号処理部は、ボルテラフィルタを備え、
    前記第3の信号処理部は、ARMLフィルタを備える、
    請求項1の信号処理装置。
  3. 光記録媒体から読み出された再生信号に残留するオフセット成分を抑圧し、第1の信号を得る第1の信号処理部と、
    前記第1の信号に残留する非線形歪成分を抑圧し、第2の信号を得る第2の信号処理部と、
    前記第2の信号に残留する相関雑音成分を抑圧し、第3の信号を得る第3の信号処理部と
    を具備
    前記第1の信号処理部、前記第2の信号処理部及び前記第3の信号処理部は、適応フィルタであり、
    前記第1の信号処理部の制御帯域は、前記第2の信号処理部の制御帯域よりも高く、
    前記第2の信号処理部の制御帯域は、前記第3の信号処理部の制御帯域よりも高い、
    情報再生装置。
  4. 前記第2の信号処理部は、ボルテラフィルタを備え、
    前記第3の信号処理部は、ARMLフィルタを備える、
    請求項3の情報再生装置。
  5. 前記光記録媒体は、5以上の情報記録層を備える、請求項3の情報再生装置。
  6. 前記光記録媒体は、情報記録層と、ガイド構造が形成されたサーボ層とを備え、
    前記情報記録層に記録されたユーザデータは、前記ガイド構造に基づいて第1のレーザを用いて再生され、
    前記サーボ層に記録されたディスクデータは、前記第1のレーザと波長の異なる第2のレーザを用いて再生される、
    請求項3の情報再生装置。
JP2014504598A 2012-03-16 2012-03-16 信号処理装置及び情報再生装置 Active JP5714177B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2012/056918 WO2013136519A1 (ja) 2012-03-16 2012-03-16 信号処理装置及び情報再生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5714177B2 true JP5714177B2 (ja) 2015-05-07
JPWO2013136519A1 JPWO2013136519A1 (ja) 2015-08-03

Family

ID=49160484

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014504598A Active JP5714177B2 (ja) 2012-03-16 2012-03-16 信号処理装置及び情報再生装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9117485B2 (ja)
JP (1) JP5714177B2 (ja)
WO (1) WO2013136519A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107000199B (zh) * 2014-12-26 2020-04-17 川崎重工业株式会社 自行式关节机械手
US10887022B2 (en) 2017-06-15 2021-01-05 Nokia Of America Corporation Backward propagation with compensation of some nonlinear effects of polarization mode dispersion
CN113067786B (zh) * 2020-01-02 2023-08-29 上海诺基亚贝尔股份有限公司 用于均衡信号的设备、方法、装置及计算机可读介质
JP2022045663A (ja) * 2020-09-09 2022-03-22 株式会社東芝 磁気ディスク装置及びリード処理方法

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4027444B2 (ja) * 1996-03-11 2007-12-26 富士通株式会社 信号再生方法及び信号再生装置
US6185175B1 (en) * 1998-12-02 2001-02-06 Cirrus Logic, Inc. Sampled amplitude read channel employing noise whitening in a remod/demod sequence detector
JP2002117585A (ja) 2000-06-09 2002-04-19 Tdk Corp 光情報媒体
JP4191393B2 (ja) * 2001-06-11 2008-12-03 富士通株式会社 情報記録再生装置及び方法並びに信号復号回路
US7215787B2 (en) * 2002-04-17 2007-05-08 Dirac Research Ab Digital audio precompensation
JP4142537B2 (ja) * 2003-09-19 2008-09-03 松下電器産業株式会社 光ディスク装置
JP4276516B2 (ja) 2003-10-20 2009-06-10 パイオニア株式会社 多層光記録媒体および光ピックアップ装置
JP4419908B2 (ja) * 2005-05-09 2010-02-24 ソニー株式会社 信号処理装置および方法、プログラム記録媒体、並びにプログラム
US7852728B2 (en) * 2005-07-20 2010-12-14 Panasonic Corporation Digital signal reproducing apparatus
CN101079273B (zh) * 2006-03-14 2010-09-08 株式会社理光 数据再现方法、数据再现装置、光盘和数据记录/再现装置
JP4720768B2 (ja) 2007-03-28 2011-07-13 株式会社日立製作所 ディスク状媒体及びディスク装置
JP2011192377A (ja) * 2010-02-22 2011-09-29 Tdk Corp 光記録媒体、光記録再生方法
WO2012063326A1 (ja) 2010-11-09 2012-05-18 株式会社 東芝 情報記録媒体、情報再生装置及び情報記録装置
US8767869B2 (en) * 2011-08-18 2014-07-01 Qualcomm Incorporated Joint linear and non-linear cancellation of transmit self-jamming interference

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013136519A1 (ja) 2013-09-19
US9117485B2 (en) 2015-08-25
US20150003225A1 (en) 2015-01-01
JPWO2013136519A1 (ja) 2015-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5042236B2 (ja) 情報記録媒体評価方法、情報記録媒体、情報記録媒体の製造方法、信号処理方法、アクセス制御装置
KR100869299B1 (ko) 데이터 재생 방법, 데이터 재생 장치, 광 디스크, 및데이터 기록/재생 장치
JP5450376B2 (ja) 信号評価方法および信号評価装置
JP6504245B2 (ja) データ検出装置、再生装置、データ検出方法
JP2011103153A (ja) 情報検出装置及び光ディスク装置
JP5057925B2 (ja) デジタル情報再生方法
JP5714177B2 (ja) 信号処理装置及び情報再生装置
CN100587825C (zh) 光学信息介质的再生信号等化方法
US8873358B2 (en) Skew detection method and optical disc device
US11749307B2 (en) Signal processing device, signal processing method, and program
JP5766281B2 (ja) 信号処理装置、信号処理方法、及び光ディスク装置
JP2004326839A (ja) 情報再生方法及びそれを用いた情報再生装置
CN101399069A (zh) 光信息再生方法、光信息再生装置以及光信息记录媒体
JP6123821B2 (ja) 光媒体再生装置及び光媒体再生方法
JP5623097B2 (ja) 情報再生方法及び装置、並びに光ディスク装置
JP7236392B2 (ja) 復号装置、復号方法
JP2017162537A (ja) 光ディスク装置
CA2707185A1 (en) Reproduced signal evaluating method, information recording medium, reproducing device, and recording device
US8179760B2 (en) Reproduction signal evaluation method, information recording medium, reproduction apparatus and recording apparatus
JP6036798B2 (ja) データ検出装置、再生装置、データ検出方法
JP4234042B2 (ja) 多値情報記録媒体,多値情報波形等化装置,多値情報再生装置
JP2008300023A (ja) 情報再生装置及び方法
US20090010116A1 (en) Information recording apparatus, information processing method, and computer program
US20090141605A1 (en) Optical disc reproducing device and optical disc reproducing method
JP2008287839A (ja) デジタルデータ再生装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150310

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5714177

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151