JP2002117585A - 光情報媒体 - Google Patents

光情報媒体

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JP2002117585A
JP2002117585A JP2001150437A JP2001150437A JP2002117585A JP 2002117585 A JP2002117585 A JP 2002117585A JP 2001150437 A JP2001150437 A JP 2001150437A JP 2001150437 A JP2001150437 A JP 2001150437A JP 2002117585 A JP2002117585 A JP 2002117585A
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JP2001150437A
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English (en)
Inventor
Takuya Tsukagoshi
拓哉 塚越
Hideki Hirata
秀樹 平田
Naoki Hayashida
直樹 林田
Takeshi Komaki
壮 小巻
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の情報保持層を積層した多層情報媒体に
おいて、情報保持層間のクロストークを増大させること
なく情報保持層間の距離を縮める。 【解決手段】 記録情報および/またはサーボ情報を保
持する情報保持層が少なくとも2層積層されており、他
の情報保持層を透過した記録光または再生光により記録
または再生が行われる情報保持層が存在し、隣り合う情
報保持層間のうち少なくとも1つの層間にフィルタ層が
存在し、このフィルタ層の波長300〜1000nmの範
囲での分光吸収特性において、吸収率が80%以上であ
る波長域と、吸収率が20%以下である波長域とが存在
する光情報媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録層等の情報保
持層を少なくとも2層有する多層情報媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクに対する高密度化およ
び大容量化の要求が著しい。現在、コンパクトディスク
の約7倍に相当する片面約4.7GBの記録容量をもつD
VD(Digital Versatile Disk)が発売されているが、
より多くの情報を記録できる技術の開発が盛んに行われ
ている。
【0003】光ディスクの記録容量を高める技術として
は、記録再生光の短波長化、記録再生光照射光学系にお
ける対物レンズの高NA(開口数)化、記録層の多層
化、多値記録などが挙げられる。これらのうち記録層の
多層化による3次元記録は、短波長化や高NA化に比
べ、低コストで飛躍的な高容量化が可能である。3次元
記録媒体は、例えば特開平9−198709号公報に記
載されている。また、特開平8−255374号公報に
は、書き換え可能な情報記憶層と再生専用の情報記憶層
とを積層した媒体が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】記録層を多層化した多
層記録媒体を再生する場合、再生光を照射する光ピック
アップには再生対象以外の記録層、すなわち再生光が合
焦している記録層以外の記録層からの反射光も戻ること
になる。そのため、複数の記録層間において信号干渉が
生じ、これがクロストークとなる。その結果、再生信号
にノイズが混入してしまう。再生対象以外の記録層から
戻る反射光の影響は、記録層間の距離の2乗に反比例し
て小さくなる。したがって、ノイズの混入を抑えるため
には、記録層間の距離が大きいほど好ましい。例えば、
DVD等の従来の光ディスクの再生に用いられる通常の
構造の光ピックアップを用いる場合において、実用的な
信号品質を得るためには、記録層間の距離を少なくとも
30μm、好ましくは70μm以上とすることが望まし
い。実際、上記特開平9−198709号公報の実施例
では、記録層間に厚さ100μmの透明樹脂層を設けて
いる。また、上記特開平8−255374号公報では、
隣り合う2層の情報記憶層間の距離を30μm以上に設
定している。
【0005】しかし、記録層間距離を30μm以上と大
きくした場合、ディスクが厚くなりすぎることを防ぐた
めに記録層の積層数が制限され、そのため、ディスク全
体の記録容量も制限されてしまう。
【0006】また、記録層間に設ける透明樹脂層は、ス
ピンコートで形成したり、樹脂シートから構成したりす
ることが試みられているが、30μm以上、特に70μm
以上の厚い透明樹脂層を均一な厚さに形成することは困
難である。また、厚い樹脂層は内部応力が大きくなるた
め、媒体に反りが生じやすい。そのため光ディスクの機
械精度確保が難しいという問題がある。
【0007】また、単層の記録層を有する媒体では、記
録層が形成される樹脂基体にグルーブ(案内溝)を形成
しておくことにより、記録層にグルーブが転写される。
しかし、比較的厚い透明樹脂層を介して2層以上の記録
層を積層する場合、基体に設けたグルーブをすべての記
録層に転写することは困難である。すなわち、グルーブ
深さは光学的な要求から高々100nm程度であり、一
方、層間距離は上記のように30μm以上だからであ
る。そのため、例えば前記特開平9−198709号公
報に記載されているように、フォトポリマー(2P)法
などを利用して透明樹脂層にグルーブを形成しなければ
ならない。そのため、製造コストが著しく上昇してしま
う。
【0008】本発明は、複数の情報保持層を積層した多
層情報媒体において、情報保持層間のクロストークを増
大させることなく情報保持層間の距離を縮めることを目
的とし、また、このような多層情報媒体を低コストで提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。 (1) 記録情報および/またはサーボ情報を保持する
情報保持層が少なくとも2層積層されており、他の情報
保持層を透過した記録光または再生光により記録または
再生が行われる情報保持層が存在し、隣り合う情報保持
層間のうち少なくとも1つの層間にフィルタ層が存在
し、このフィルタ層の波長300〜1000nmの範囲で
の分光吸収特性において、吸収率が80%以上である波
長域と、吸収率が20%以下である波長域とが存在する
光情報媒体。 (2) 記録情報および/またはサーボ情報を保持する
情報保持層が少なくとも2層積層されており、他の情報
保持層を透過した記録光または再生光により記録または
再生が行われる情報保持層が存在し、隣り合う情報保持
層間のうち少なくとも1つの層間にフィルタ層が存在
し、波長の相異なる複数の記録・再生光により前記情報
保持層に対し記録または再生を行うシステムに用いら
れ、各フィルタ層は、そのフィルタ層に光入射側におい
て最も近い情報保持層の記録または再生に使用される記
録・再生光の吸収率が相対的に高く、かつ、そのフィル
タ層の光出射側に存在する情報保持層の記録または再生
に使用される記録・再生光の吸収率が相対的に低い光情
報媒体。 (3) 各フィルタ層は、そのフィルタ層に光入射側に
おいて最も近い情報保持層の記録または再生に使用され
る記録・再生光の吸収率が80%以上であり、かつ、そ
のフィルタ層の光出射側に存在する情報保持層の記録ま
たは再生に使用される記録・再生光の吸収率が20%以
下である上記(2)の光情報媒体。 (4) 前記フィルタ層の少なくとも1つが、紫外線硬
化型組成物と光重合開始剤とを含有する組成物を紫外線
硬化することにより形成された樹脂層である上記(1)
〜(3)のいずれかの光情報媒体。 (5) 前記フィルタ層の少なくとも1つが色素を含有
する上記(1)〜(4)のいずれかの光情報媒体。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明が適用される光情報媒体
は、情報保持層が少なくとも2層積層された構造をも
つ。本明細書における情報保持層には、データ層および
サーボ層が包含される。データ層とは、記録情報を保持
する記録マークやピットなどが存在する層であり、サー
ボ層とは、グルーブやピット等の凹凸からなるトラッキ
ングサーボパターンが存在する層である。ただし、サー
ボ層をデータ層に対して独立して設けない場合には、デ
ータ層にトラッキングサーボパターンが形成される。
【0011】本明細書では、データ層を読み出すための
光およびデータ層に記録を行うための光をデータ光と呼
び、サーボ層を読み出すための光をサーボ光と呼ぶ。ま
た、本明細書において記録・再生光とは、データ光およ
びサーボ光を包含する概念である。
【0012】本明細書における多層情報媒体とは、複数
の情報保持層を有し、かつ、他の情報保持層を透過した
記録・再生光により記録または再生が行われる情報保持
層が存在する媒体である。
【0013】本発明の光情報媒体には、光記録媒体と再
生専用型媒体とが包含される。光記録媒体では、データ
層に記録層が含まれる。再生専用型媒体では、データ層
に、データを保持するピットまたは記録マークがあらか
じめ形成されている。
【0014】図1に、本発明の多層媒体の構成例を断面
図として示す。図1に示す媒体は、トラッキング用のグ
ルーブが設けられた基体2上に、2層のデータ層DL−
1、DL−2が積層されており、両データ層間には、フ
ィルタ層FLが存在し、データ層DL−2上には、保護
層として機能する透明層TLが存在する。この媒体にお
いてデータ層DL−1、DL−2の再生は、図中下側か
ら、波長の相異なる2種の再生光を入射させ、その反射
光を光ピックアップにより検出することにより行う。ま
た、この媒体が光記録媒体である場合には、通常、記録
光と再生光とは同一の光ピックアップから照射され、か
つ、記録光と再生光とは同一波長とされる。
【0015】図1に示す本発明の媒体におけるフィルタ
層FLは、下側のデータ層DL−1を読み出すためのデ
ータ光の吸収率が、上側のデータ層DL−2を読み出す
ためのデータ光の吸収率よりも高い。そのため、データ
層DL−1を読み出す際に、データ層DL−2に到達す
る再生光の強度が低くなる結果、データ層DL−2から
の反射光の影響を抑えることができる。一方、データ層
DL−2を再生する際には、フィルタ層FLによるデー
タ光の吸収が少ないため、再生に支障は生じない。した
がって、データ層DL−1とデータ層DL−2との間の
距離を小さくしても、データ層間で生じるクロストーク
は少ない。これに対し、記録・再生光に対し透明性の高
い透明層をフィルタ層FLに替えて設けた場合、図中下
側のデータ層DL−1に合焦させて読み出しを行う際
に、上側のデータ層DL−2からの反射光も光ピックア
ップが拾ってしまい、これが再生ノイズとなる。
【0016】なお、上側のデータ層DL−2を再生する
際には、下側のデータ層DL−1からの反射光の影響を
受けてしまうが、記録密度が低ければクロストークの影
響は小さくなるので、図1に示す構成では、DL−2の
記録密度をDL−1よりも低く設定することが好まし
い。その場合、通常、DL−2の記録・再生に用いるデ
ータ光波長を、DL−1の記録・再生に用いるデータ光
波長よりも長くする。
【0017】図2に、本発明の媒体の他の構成例を示
す。図2に示す媒体は、基体2上に1層のデータ層DL
を設け、このデータ層DLの上に、フィルタ層FLを介
してサーボ基体20を積層したものである。サーボ基体
20には、グルーブおよび/またはピットからなるトラ
ッキングサーボパターンが設けられている。このサーボ
基体20の記録・再生光入射側表面には反射層が形成さ
れており、これがサーボ層SLとして機能する。
【0018】図2に示す媒体を再生する際には、データ
層DLを読み出すデータ光とは異なる波長のサーボ光
で、サーボ層SLを読み出す。この媒体におけるフィル
タ層FLは、上記データ光の吸収率が、上記サーボ光の
吸収率よりも高い。そのため、データ層DLの読み出し
に際して、サーボ層SLからのデータ光の反射に起因す
る再生ノイズが混入しにくい。
【0019】トラッキングサーボ情報等のサーボ情報の
読み出しは、データ層の読み出しに比べノイズの影響を
受けにくいため、図2に示す構成では、高記録密度のデ
ータ層を低ノイズで読み出せると共に、高精度のサーボ
が可能である。また、図2ではサーボ層SLを独立して
設けているため、データ層DLを平滑な層とすることが
できる。そのため、データ層DLの反射率が高くなる。
また、トラッキングサーボパターンの段差による干渉が
発生しない。また、トラッキングサーボパターンの崩れ
等の不規則形状、例えばグルーブの蛇行、などの影響に
よるノイズが発生しない。なお、図2に示す構成では、
通常、データ光の波長をサーボ光の波長よりも短くす
る。
【0020】ここで、本発明の多層情報媒体の記録およ
び再生に適用可能な光ピックアップの構成例を、図2に
示す構造の媒体と共に図4に示す。
【0021】この光ピックアップでは、データ光は、レ
ーザーダイオードLD1から出射される。データ光は、
レンズL1を透過して平行光とされ、さらに偏光ビーム
スプリッタPBS1を透過した後、1/4波長板QWP
1およびデータ光に対し透過性を有するダイクロイック
ミラーDCMを透過して、対物レンズL4に入射し、多
層情報媒体のデータ層DLに集光される。データ層DL
で反射したデータ光は、媒体への入射時とは逆の経路を
たどった後、偏光ビームスプリッタPBS1で反射し、
レンズL5により光検出器PD1に集光され、データ層
DLに対するフォーカスサーボ、またはこれと再生信号
の検出とが行われる。
【0022】図4に示す媒体では、データ層DLとサー
ボ層SLとの間にフィルタ層FLが存在するため、サー
ボ層SLで反射して光ピックアップに戻るデータ光はフ
ィルタ層FLを往復し、著しく減衰することになる。し
たがって、データ層DLを再生する際に、サーボ層から
の反射に起因するノイズ発生を著しく抑制することがで
きる。
【0023】一方、サーボ光は、レーザーダイオードL
D2から出射され、偏光ビームスプリッタPBS2で反
射してレンズL6および1/4波長板QWP2を透過し
た後、ダイクロイックミラーDCMにより反射され、対
物レンズL4に入射する。対物レンズL4から出射した
サーボ光は、サーボ層SLに集光される。サーボ層SL
で反射したサーボ光は、入射時とは逆の経路をたどった
後、偏光ビームスプリッタPBS2を透過して光検出器
PD2に集光され、トラッキングサーボおよびサーボ層
に対するフォーカスサーボが行われる。
【0024】このような構成の光ピックアップ、すなわ
ち、サーボ光は反射しデータ光は透過する分光特性を有
するダイクロイックミラーDCMを備える光ピックアッ
プを用いることは、データ層とサーボ層とを分離し、か
つ、データ光とサーボ光とを同時に照射しながら再生を
行う場合に有利である。すなわち、データ光検出用の光
検出器PD1にサーボ光の反射光が入射することを防ぐ
ことができ、また、サーボ光検出用の光検出器PD2に
データ光の反射光が入射することを防ぐことができる。
【0025】ただし、ダイクロイックミラーDCMは、
データ光を完全には透過できず、一部を反射してしま
う。そのため、図示するフィルタ層FLの替わりに透明
層が存在すると、サーボ層SLで反射したデータ光の一
部がサーボ用の光検出器PD2に到達し、トラッキング
サーボに悪影響を与えてしまう。特に、データ光の強度
が高い場合、例えば記録用のデータ光を照射する場合に
は、上記悪影響が大きくなる。これに対し、図示するよ
うにデータ層DLとサーボ層SLとの間にフィルタ層F
Lを設けてあれば、データ光はフィルタ層FLを往復す
ることにより著しく減衰するため、データ光がトラッキ
ングサーボに与える悪影響を著しく抑制することができ
る。
【0026】図3に、本発明の多層媒体の他の構成例を
示す。図3に示す媒体は、基体2上に、5層の透明層T
L−1〜TL−5が存在し、隣り合う透明層間に、4層
のデータ層DL−1〜DL−4がそれぞれ存在する。透
明層TL−5上には、フィルタ層FL、サーボ層SLお
よびサーボ基体20がこの順で存在する。サーボ基体2
0には、グルーブおよび/またはピットからなるトラッ
キングサーボパターンが設けられ、このパターンがサー
ボ層SLに転写されている。
【0027】図3に示す媒体は、データ層の数が多いほ
かは図2に示す媒体と同様な構成である。データ層の数
が2以上、特に3以上であると、データ層のそれぞれ
に、トラッキングサーボパターンを低コストで高精度に
形成することが難しいため、データ層とサーボ層とを独
立して設ける構造は有効である。
【0028】なお、図3では、データ層DL−4とサー
ボ層SLとの間にフィルタ層FLを設けているが、隣り
合うデータ層間にはフィルタ層を設けていない。そのた
め、データ層間の距離を短くするとクロストークが大き
くなってしまう。この構成においてクロストークを小さ
くするためには、各データ層の再生に、共焦点顕微鏡の
原理を応用した共焦点検出光学系を備える光ピックアッ
プを用いることが好ましい。共焦点検出光学系を備える
光ピックアップは、媒体の厚さ方向の解像度が極めて高
いため、データ層間のクロストークを著しく低減でき
る。多層情報媒体の再生に利用できる共焦点検出光学系
については、例えば特開平10−222856号公報
や、SOM'94 technicaldigest(1994)19に記載されてい
る。
【0029】図5に、共焦点検出光学系を備え、かつ、
多層情報媒体の記録および再生に適用可能な光ピックア
ップの構成例を媒体と共に示す。図示する媒体は、基体
2上に、データ層DL−1、透明層TL、データ層DL
−2、フィルタ層FL、サーボ層SLおよびサーボ基体
20がこの順で積層された構造である。
【0030】この光ピックアップは、データ光の光路に
おいて偏光ビームスプリッタPBS1と1/4波長板Q
WP1との間に、レンズL2、ピンホール板PHPおよ
びレンズL3を組み込んだほかは図4に示す光ピックア
ップと同様な構成である。
【0031】この光ピックアップでは、偏光ビームスプ
リッタPBS1を透過したデータ光は、レンズL2によ
り集光される。集光位置にはピンホールを有するピンホ
ール板PHPが配置されており、このピンホールを抜け
たデータ光は、レンズL3により平行光とされた後、図
4に示す光ピックアップと同様な経路を経て、多層情報
媒体の下側のデータ層DL−1に集光される。データ層
DL−1で反射したデータ光は、媒体への入射時とは逆
の経路をたどる。データ光は、再生対象のデータ層DL
−1を透過してデータ層DL−2にも到達し、その反射
光も光ピックアップに戻る。しかし、このデータ光はデ
ータ層DL−2に対してアウトフォーカスとなるので、
データ層DL−2からの反射光は、ピンホール板PHP
のピンホール位置に集光されず、ピンホール位置では広
がってしまうため、ピンホール板PHPにより大部分が
遮断されてしまう。したがって、共焦点検出光学系を備
える光ピックアップを用いることにより、データ層間で
のクロストークを抑制することができる。
【0032】次に、本発明の光記録媒体の各部の構成に
ついて詳細に説明する。
【0033】フィルタ層 図1〜図3に示すフィルタ層は、2種の記録・再生光
(2種のデータ光、またはデータ光およびサーボ光)の
うちの一方の吸収率が他方の吸収率よりも相対的に高い
層である。具体的には、一方の記録・再生光の吸収率
は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上
である。この吸収率が低すぎると、本発明の効果が不十
分となる。これに対し、他方の記録・再生光の吸収率
は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下
である。この吸収率が高すぎると、フィルタ層を通して
入射する記録・再生光による情報保持層の再生が困難と
なり、記録媒体の場合には記録も困難となる。
【0034】フィルタ層の構成材料は特に限定されず、
所望の分光吸収特性を示す材料を適宜選択すればよく、
例えば有機材料または無機材料からなる各種色素、特に
有機色素が好ましく、さらに、色素に加えて樹脂を含有
するものが好ましい。樹脂としては、紫外線等の活性エ
ネルギー線により硬化したものが好ましい。色素単独で
はなく樹脂を混合することにより、フィルタ層の形成が
容易となる。例えば紫外線硬化型組成物と色素との混合
物をスピンコートした後、紫外線を照射すれば、均質で
比較的厚いフィルタ層を短時間で形成することが可能で
ある。
【0035】フィルタ層に用いる色素は特に限定され
ず、フィルタ層に要求される分光吸収特性を満足するも
のであればよく、例えばシアニン系、フタロシアニン
系、アゾ系等の各種有機色素を用いればよい。また、樹
脂との相溶性を考慮して、色素に対し側鎖に置換基など
を設けるための変性を必要に応じて行ってもよい。ま
た、分光吸収特性の制御を容易にするために、分光吸収
特性の相異なる2層以上の色素層を積層してフィルタ層
としてもよい。
【0036】フィルタ層が色素と樹脂とを含有する場
合、色素含有量は特に限定されず、要求される分光吸収
特性を満足するように樹脂の種類に応じて適宜決定すれ
ばよいが、通常、1〜10質量%であることが好まし
い。色素含有量が少なすぎると、フィルタ層を厚くする
必要が生じ、好ましくない。一方、色素含有量が多すぎ
ると、ポットライフが短くなってしまう。
【0037】吸収対象波長が比較的短い場合、例えば4
50nm以下の波長域において急峻な吸収特性を得ようと
する場合には、色素を含有しない紫外線硬化型樹脂層か
らフィルタ層を構成することもできる。紫外線硬化型樹
脂層は、紫外線硬化型組成物と光重合開始剤とを含有す
る組成物の塗膜を紫外線硬化させることにより形成す
る。光重合開始剤は、硬化に用いる光の波長付近で大き
な吸収を示す。そして、硬化後の塗膜も、その波長付近
で大きな吸収を示す。これは、光重合開始剤が硬化の際
に完全には分解せず、一部が残存ないし変性した状態で
残存するためと考えられる。そのため、短波長域におい
て選択的に大きな吸収を示すフィルタ層として使用する
ことができる。
【0038】フィルタ層に用いる光重合開始剤は特に限
定されず、例えば、安息香酸エステル類、ベンゾフェノ
ン誘導体、ベンゾイン誘導体、チオキサントン誘導体、
アセトフェノン誘導体、プロピオフェノン誘導体および
ベンジルなどの通常の光重合開始剤から、吸収対象波長
に応じて適宜選択すればよい。
【0039】フィルタ層の厚さは、要求される分光吸収
特性を満足するように適宜決定すればよいが、樹脂を含
有し、色素または光重合開始剤を吸収材料として使用す
るフィルタ層では、1〜30μmの範囲内に設定するこ
とが好ましい。フィルタ層が薄すぎると、十分な吸収特
性を得ることが困難となる。一方、フィルタ層が厚すぎ
ると、媒体が厚くなってしまうので、データ層の積層数
が制限され、好ましくない。
【0040】また、吸収対象波長が例えば450nm以下
と比較的短い場合には、金属(半金属を含む)元素の少
なくとも1種を含有する金属層を、フィルタ層として利
用することもできる。金属には、例えばAuのように短
波長域において急激に吸収率が高くなるものが存在す
る。したがって、吸収対象波長域において十分な吸収率
を確保でき、かつ、透過対象波長域において十分な透過
率を確保できるように金属種およびフィルタ層の厚さを
選択すればよい。フィルタ層に好ましく用いられる金属
としては、例えばAu、Pt、Cuなどが挙げられる。
なお、分光吸収特性の制御を容易にするために、分光吸
収特性の相異なる2種以上の金属層を積層してフィルタ
層としてもよい。
【0041】フィルタ層として使用する金属層の厚さ
は、使用する金属種によっても異なるが、好ましくは1
0〜200nm、より好ましくは20〜100nmである。
金属層が薄すぎると、吸収対象波長域において十分な吸
収率が得られず、金属層が厚すぎると、透過対象波長域
において十分な透過率が得られない。
【0042】また、このほか、干渉フィルタをフィルタ
層として利用することもできる。干渉フィルタとして
は、誘電体多層膜や、Ag等からなる2層の金属薄膜の
間に誘電体膜を挟んだものなどが挙げられる。
【0043】なお、図3では、データ層とサーボ層との
間だけ、すなわち、隣り合う情報保持層間の1つだけに
フィルタ層を設けているが、必要に応じ、他の情報保持
層間に設けてもよい。すなわち、フィルタ層を2以上設
け、かつ、記録または再生光として波長の異なる3種以
上の光を用いてもよい。例えば、光入射側からデータ層
DL−1、DL−2、DL−3をこの順に設け、DL−
1とDL−2との間にフィルタ層FL−1を、DL−2
とDL−3との間にフィルタ層FL−2をそれぞれ設
け、かつ、DL−1を波長400nmで、DL−2を波長
600nmで、DL−3を波長800nmでそれぞれ再生す
る場合、フィルタ層FL−1は、波長400nm付近では
吸収率が高く、波長600nm付近および波長800nm付
近では吸収率が低いものであればよい。一方、フィルタ
層FL−2は、波長400nm付近における吸収率は特に
限定されないが、波長600nm付近で吸収率が高く、波
長800nm付近で吸収率が低いものであればよい。
【0044】すなわち、例えばフィルタ層の数がnであ
って、波長の相異なる記録・再生光をn+1用いるシス
テムに適用する媒体では、各フィルタ層は、そのフィル
タ層に光入射側において最も近い情報保持層に使用され
る記録・再生光の吸収率が相対的に高く、かつ、そのフ
ィルタ層の光出射側に存在する情報保持層に使用される
記録・再生光の吸収率が相対的に低ければよい。なお、
この説明において、相対的に高い吸収率とは、好ましく
は80%以上、より好ましくは90%以上であり、相対
的に低い吸収率とは、好ましくは20%以下、より好ま
しくは10%以下である。
【0045】フィルタ層を複数設ける場合、すべてのフ
ィルタ層に同種の光吸収材料を用いる必要はない。例え
ば、金属層や干渉フィルタと色素含有フィルタ層とを組
み合わせて用いてもよい。
【0046】なお、図3において、データ層とサーボ層
との間にフィルタ層を設ける替わりに、サーボ基体20
表面に設けた反射層(サーボ層SL)を、フィルタ層と
して利用することもできる。また、本発明を再生専用型
媒体に適用する場合には、透明層またはフィルタ層にピ
ットを形成し、そのピット形成面にスパッタ法等により
半透明の反射層を形成して、この反射層をデータ層とし
て利用することがあるが、この場合、金属、半金属等か
ら構成した反射層をフィルタ層としても利用することが
できる。これらの場合、情報保持層を兼ねる各フィルタ
層は、そのフィルタ層に使用される記録・再生光の反射
率が相対的に高く、かつ、そのフィルタ層に光入射側に
おいて最も近い情報保持層に使用される記録・再生光の
反射率が相対的に低ければよい。また、そのフィルタ層
の光出射側にさらに情報保持層が存在する場合には、そ
れらの情報保持層に使用される記録・再生光の透過率が
相対的に高ければよい。
【0047】波長の相異なる複数の記録・再生光それぞ
れの具体的波長は特に限定されないが、各記録・再生光
の波長の差は好ましくは50〜700nm、より好ましく
は100〜400nmである。この波長差が小さすぎる
と、フィルタ層に急峻な分光吸収特性が必要となるた
め、フィルタ層構成材料の選択が困難となる。一方、こ
の波長差が大きすぎると、媒体全体としての記録密度を
高くできなくなったり、十分なサーボ精度が得られなく
なったりする。
【0048】複数の記録・再生光が存在する波長域は、
好ましくは300〜1000nm、より好ましくは400
〜800nmである。これより短い波長のレーザー光を発
振する半導体レーザーは入手が困難であり、一方、長い
波長のレーザー光を用いると、高密度の記録および高密
度記録された情報の再生が困難となる。
【0049】透明層 図3における透明層は、記録・再生光に対し透過率の高
い材料から構成することが好ましい。透明層の構成材料
は特に限定されないが、透明層は比較的厚い必要がある
ことから、樹脂を用いることが好ましい。透明層の形成
方法は特に限定されないが、均質な透明層を短時間で形
成できることから、樹脂、特に紫外線硬化型樹脂等の活
性エネルギー線硬化型樹脂から構成することが好まし
い。ただし、透明層は樹脂シートから構成してもよい。
【0050】なお、基体2に接して透明層が存在する場
合、両者の界面での反射を抑えるために、記録・再生光
の波長において、透明層の屈折率と基体の屈折率との差
が0.1以下であることが好ましい。
【0051】紫外線硬化型樹脂から構成された透明層
は、フィルタ層の説明において述べたように、光重合開
始剤の影響により短波長域において比較的急峻な吸収を
示すことになる。したがって、短波長域の記録・再生光
に対し透明性を確保するためには、利用する記録・再生
光の波長に応じ光重合開始剤の種類を適宜選択する必要
がある。
【0052】透明層の厚さは特に限定されず、データ層
間のクロストークが許容範囲に収まるように設定すれば
よい。具体的には、通常の光ピックアップを使用する場
合、透明層の厚さは30μm以上であることが好まし
い。ただし、透明層が厚すぎると、厚さ分布が大きくな
りやすく、また、内部応力が大きくなりやすく、また、
媒体の全厚が大きくなってしまうため、透明層の厚さは
100μm以下であることが好ましい。
【0053】一方、共焦点検出光学系を用いる場合、そ
の深さ方向の分解能に応じ、データ層間のクロストーク
が許容範囲に収まるように透明層の厚さを設定すればよ
い。具体的には、データ光の波長および共焦点検出光学
系の構成によっても異なるが、例えば、データ光の波長
を300〜1000nm程度とする場合には、透明層の厚
さは5μm以上であることが好ましい。共焦点検出光学
系を使う場合には、透明層の厚さは30μm未満とする
ことができ、20μm以下としても問題はない。
【0054】媒体がディスク状である場合、樹脂からな
る透明層はスピンコート法により形成することが好まし
い。スピンコート法では、比較的均質な透明層を形成で
きる。しかし、スピンコート法により形成した透明層
は、ディスク内周部に比べディスク外周部で厚くなって
しまう。すなわち、ディスク径方向において厚さ分布が
生じてしまう。データ層の積層数が多くなるにしたがっ
て透明層の数も増えるため、透明層の厚さ分布が累積さ
れてしまう。その結果、ディスク外周部においてデータ
光が基体2に垂直に入射したとしても、データ層表面で
反射したデータ光は基体2に垂直とはならず、その結
果、光ピックアップへの戻り光量が少なくなってしま
う。そのため、内周部と外周部とで再生出力が変動して
しまうことになる。
【0055】共焦点検出光学系を備える光ピックアップ
では、光学系内にピンホールを配置し、このピンホール
を通った光により再生を行う。そのため、共焦点検出光
学系を備える光ピックアップを用いる場合は、フォーカ
スサーボの追従範囲が狭くなるので、透明層の厚さの均
一性がより高いことが要求される。
【0056】このような事情から、隣り合う2層のデー
タ層の記録情報保持領域(記録トラック存在領域)間、
または、データ層の記録情報保持領域とサーボ層との間
において、透明層の最大厚さと最小厚さとの差は、好ま
しくは3μm以下であり、より好ましくは2μm以下であ
る。透明層の厚さ分布をこの範囲とすることにより、再
生出力変動が臨界的に抑制される。透明層の最大厚さと
最小厚さとの差は小さいほど好ましいが、スピンコート
法を用いる場合には、上記差をゼロにすることは困難で
ある。また、上記差が上記した限定範囲内にあれば、再
生出力変動に与える影響は小さい。したがって、上記差
は1μm未満にする必要はない。ディスク状媒体では、
記録情報保持領域は環状であり、その幅は20〜50mm
程度とするのが一般的である。
【0057】なお、透明層以外の樹脂層、例えば、樹脂
またはこれと色素とを含有するフィルタ層、媒体表面に
設けられることのある保護層、接着層などもスピンコー
トにより形成することがあるが、これらの樹脂層におい
ても、厚さ分布が透明層と同様に小さいことが望まれ
る。
【0058】透明層、フィルタ層等の樹脂層の厚さ分布
を上記範囲内に抑えるためには、下記装置を用いて下記
の方法でスピンコートを行うことが好ましい。
【0059】以下、図3に示す媒体の透明層TL−1を
形成する場合を例に挙げて説明する。この方法では、ま
ず、図6および図7に示すように、回転テーブル200
上に、中心孔101を有する基体2を載置する。なお、
TL−1以外の透明層を形成する際には、基体2表面に
は情報保持層、またはこれと樹脂層とが設けられてい
る。基体2は、中心孔101が回転テーブル200の環
状の突起201に填め込まれて固定される。なお、これ
らの図は断面図であるが、断面に現れる端面だけを表示
し、奥行き方向の図示は省略してある。これ以降の断面
図においても同様である。
【0060】次いで、閉塞手段300により中心孔10
1を塞ぐ。この閉塞手段300は、中心孔101を塞ぐ
ための円板部301と、その中央に一体化された支持軸
302と、中心孔101に対向する側において円板部3
01に一体化された凸部303とを有する。凸部303
を、突起201の内周部に嵌合することにより、閉塞手
段300は回転テーブル200に固定されると共に、基
体2と閉塞手段300との位置決めを行うことができ
る。ただし、基体2および閉塞手段300の回転テーブ
ル200への固定方法は特に限定されず、例えば、基体
2と閉塞手段300とが嵌合した状態で、閉塞手段30
0を回転テーブル200に嵌合させるものであってもよ
い。
【0061】次に、図8に示すように、樹脂または樹脂
溶液からなる塗布液500を、吐出手段であるノズル4
00から吐出し、支持軸302の外周面に塗布液500
を供給する。このとき、回転テーブル200を比較的低
速、好ましくは20〜100rpmで回転させ、円板部3
01上に一様に塗布液が行き渡るようにする。
【0062】次いで、図9に示すように、回転テーブル
200を比較的高速で回転させることにより塗布液50
0を展延する。これにより、基体2上に透明層TL−1
が形成される。
【0063】塗布液の展延条件は特に限定されない。ス
ピンコート法において塗布液の粘度以外の条件を同一と
した場合、理論的には、塗膜の厚さは塗布液の粘度の平
方根に比例することが知られている。一方、回転数が大
きいほど、また、回転時間が長いほど塗膜は薄くなる。
したがって、スピンコート時の回転数および回転時間
は、形成する透明層TL−1の厚さおよび塗布液の粘度
に応じて適宜決定すればよい。
【0064】次に、図10に示すように閉塞手段300
を基体2から離間する。円板部301の外周縁の離間に
伴って、透明層TL−1の内周縁が盛り上がり、図示す
るように環状凸部600が形成される。環状凸部600
は、透明層TL−1を構成する樹脂が連続的に盛り上が
っている領域である。
【0065】用いる塗布液が紫外線硬化型樹脂を含有す
る場合、図11に示すように紫外線を照射して透明層T
L−1を硬化する。図11では、回転テーブル200上
で紫外線を照射しているが、回転テーブルとは別に硬化
用ステージを設けて、その上で硬化してもよい。また、
基体を回転させながら閉塞手段を離間してもよい。
【0066】この方法で形成される環状凸部600は、
その断面の輪郭が図示するように滑らかな曲線(弧状)
となる。一方、透明層TL−1を硬化した後に閉塞手段
300を離間した場合、環状に連続した凸部は形成され
ず、凸部が形成されるとしてもそれはバリの発生による
ものであり、周方向に連続する環状の凸部とはならな
い。また、この場合、硬化後の樹脂が破片となって基体
2上に飛散しやすいという問題もある。
【0067】環状凸部600の高さ、すなわち、環状凸
部近傍で最も低い樹脂層表面から環状凸部頂部までの高
さは、通常、1〜100μmとなる。環状凸部600の
幅、すなわち、透明層表面の環状凸部近傍で最も低い位
置から透明層の内周縁までの距離は、通常、0.5〜3
mmとなる。なお、通常、樹脂層が厚いほど環状凸部の高
さおよび幅が大きくなる。
【0068】1層目の透明層TL−1を形成した後、ス
パッタ法等を用いて1層目のデータ層DL−1を形成す
る。データ層は、その内周縁が透明層の内周縁よりも外
周側に位置するように形成される。
【0069】次いで、再び閉塞手段300を用いて2層
目の透明層TL−2を形成する。このとき、1層目の透
明層TL−1の内周縁には環状凸部600が存在する。
そのため、TL−1の形成に使用したものと同じ閉塞手
段300を用いると、環状凸部600によって樹脂の展
延が妨げられ、TL−2の形成に支障が生じやすい。ま
た、TL−2にも環状凸部が生じるため、TL−1の環
状凸部とTL−2の環状凸部とが重なってしまうため、
ディスク内周付近における樹脂層の厚さが設計値から大
きく外れ、データ層間の距離がディスク内周付近で広が
ってしまう。
【0070】このような問題を解決するために、本発明
では、複数の樹脂層を形成するに際し、各層の環状凸部
を互いにずらして形成する。図12に、透明層TL−1
〜TL−4とデータ層DL−1〜DL−4とを交互に設
けた基体2について、内周縁付近の断面図を示す。同図
では、基体2から遠い透明層ほど内径が大きくなってお
り、その結果、各透明層を積層した状態において、透明
層積層体の内周縁部は階段状となる。そして、この階段
状部のステップ面に、環状凸部600が露出している。
このように、他の透明層の環状凸部を被覆しないように
各透明層を階段状に積層すれば、上記問題を解決するこ
とができる。
【0071】透明層積層体の内周縁部をこのように階段
状とするためには、2層目の透明層TL−2を形成する
に際し、図13に示すような閉塞手段300を用いれば
よい。図13に示す工程は、透明層TL−1を設けた基
体2を用いるほかは図6に示す工程とほぼ同様である
が、用いる閉塞手段300が異なる。この閉塞手段30
0は、透明層TL−1よりも内径の大きな透明層を形成
するために、図6に示すものより円板部301の直径が
大きい。また、環状凸部600を跨いで透明層TL−1
の平坦部に接することができるように、円板部301の
下面をくり抜いた形状としてある。3層目以降の透明層
を形成する際には、同様な形状で、かつ、その直前に形
成された透明層の環状凸部をカバーできる円板部をもつ
閉塞手段を用いればよい。
【0072】上記方法において用いる閉塞手段は、ディ
スク基板の中心孔を塞ぐための円板部を少なくとも有す
るものであればよく、そのほかの構成は特に限定されな
い。ディスク基板の中心孔を塞ぐ閉塞手段を用いてスピ
ンコートする方法は、例えば特開平10−320850
号公報、同10−249264号公報、同10−289
489号公報、同11−195250号公報、同11−
195251号公報に記載されている。これらの公報に
は、樹脂層の径方向での厚さむらを低減するため、ディ
スク基板の中心孔を、板状部材、円板部、閉塞板、キャ
ップ等の閉塞手段により塞ぎ、この閉塞手段の中央付
近、すなわち回転中心付近に樹脂を供給する方法が記載
されている。なお、これら各公報には、多層情報媒体に
ついての記載はなく、また、スピンコートの際に樹脂層
の内周縁に環状凸部が形成される旨の記載もない。ま
た、これら各公報に記載された閉塞手段には、以下に説
明する問題点もある。
【0073】上記特開平10−320850号公報、特
開平10−249264号公報、特開平11−1952
50号公報には、閉塞手段である板状部材ないしキャッ
プをスピンコート後に取り外す方法が記載されておら
ず、工業的に利用することが困難である。また、これら
の公報には、閉塞手段をディスク基板から離間した後に
樹脂層を硬化することは記載されていない。
【0074】上記特開平10−289489号公報に
は、スピンコート後、閉塞手段である円板部を打ち抜き
または電磁石による吸着により取り外した後、ディスク
基板を回転させながら樹脂層を硬化することが記載され
ている。しかし、打ち抜きおよび電磁石により閉塞手段
を取り外す際には、閉塞手段に大きな加速度が加わるた
め、樹脂塗膜に乱れが生じやすい。
【0075】上記特開平11−195251号公報に
は、円形状のキャップの中央に支持体を一体化した構造
の閉塞手段が記載されている。同公報には、この支持体
を設けることにより、閉塞手段の着脱や位置合わせが容
易になる旨が記載されている。この支持体は、少なくと
も1つの孔を有する中空筒状のものであるか、複数の棒
状体である。中空筒の内部または複数の棒状体で包囲さ
れた領域に樹脂を注入した後、ディスク基板と閉塞手段
とを一体的に回転させることにより、ディスク基板上に
樹脂層が形成される。この閉塞手段を用いれば、閉塞手
段の取り外しは容易となる。同公報では、閉塞手段をデ
ィスク基板から離間した後、ディスク基板を静止させた
状態で樹脂層を硬化することが記載されている。
【0076】同公報では、閉塞手段の中空筒に設けられ
た孔または隣り合う棒状体の間から樹脂を流出させてス
ピンコートを行う。したがって、支持体の壁(孔以外の
領域)または棒状体に樹脂が堰き止められてしまう。ま
た、堰き止められた樹脂が、予測できないタイミングで
一挙にディスク基板上に流出することがある。そのた
め、塗膜にむらが生じやすい。また、この閉塞手段は、
樹脂と接触する面の形状が複雑であり、かつ、樹脂と接
触する面積が大きいため、閉塞手段の洗浄が困難であ
る。閉塞手段表面に樹脂が残存すると、塗膜にむらが生
じやすい。また、同公報の表1には、中空筒の外径が4
〜16mmの場合について塗膜の厚さ変動を調べている
が、この結果から、塗膜の厚さむらは中空筒の外径に依
存し、外径が大きいほど厚さむらが大きくなることがわ
かる。すなわち、中空筒の内部に樹脂を供給しても、塗
布開始位置は回転中心とは一致せず、中空筒の外周位置
が塗布開始位置となると考えられる。なお、樹脂は粘度
が比較的高いことを考慮すると、中空筒の外径を4mm未
満とすることは困難であるため、同公報記載の方法で
は、樹脂塗膜の厚さむらを著しく小さくすることは難し
い。
【0077】このような従来の閉塞手段に対し、図6に
示す閉塞手段300は、円板部301に支持軸302を
設けるため、媒体製造工程における閉塞手段300の取
り扱いが容易となり、特に、スピンコート後に閉塞手段
300を取り外すことが容易となる。
【0078】前記特開平11−195251号公報に
は、中空筒状の支持体または複数の棒状体からなる支持
体をキャップと一体化した閉塞手段が記載されている
が、これに比べ、図6に示す閉塞手段には以下に説明す
る利点がある。
【0079】前記特開平11−195251号公報で
は、支持体の壁または棒状体により樹脂が堰き止められ
てしまうため、前述したように塗膜にむらが生じやす
い。これに対し図6に示す閉塞手段では、支持軸の外周
面に塗布液を供給してスピンコートを行うため、塗膜に
むらが生じにくい。また、図6に示す閉塞手段では、樹
脂が付着するのは支持軸の外周面であるため、前記特開
平11−195251号公報に比べ閉塞手段の洗浄が容
易である。また、前記特開平11−195251号公報
では、中空筒状の支持体の内部に塗布液を供給するの
で、粘度の比較的高い塗布液の流動性を確保するために
支持体の外径を小さくすることができず、そのため、塗
布開始位置が回転中心から比較的遠くなってしまう。こ
れに対し図6に示す閉塞手段では、同公報に比べ支持軸
の外径を著しく小さくできるので、塗膜の厚さむらを著
しく低減できる。
【0080】なお、このような効果は、図6に示す構成
に限らず、円板部と支持軸とを有する閉塞手段であれば
実現する。図6に示す閉塞手段300は、円錐台状の円
板部301と、円柱状の支持軸302とを有するもので
あるが、このほか、例えば図14(A)〜図14(D)
にそれぞれ示す構成の閉塞手段も使用可能である。
【0081】図14(A)に示す閉塞手段は、図13に
示すものと同様に、下面をくり抜いた円錐台状の円板部
301と、逆円錐台状の支持軸302とを有する。この
閉塞手段を用いると、塗布液の塗布開始位置を円板部3
01の中央により近づけることができるので、塗膜の厚
さむらをさらに低減できる。しかも、支持軸302の全
体を細くする場合と異なり、支持軸302の機械的強度
の低下を抑えることができる。また、支持軸302をチ
ャック等により把持する場合に、落下しにくくなるの
で、閉塞手段の着脱および搬送の際に有利である。な
お、支持軸302の全体が逆円錐台状である必要はな
い。すなわち、支持軸302の少なくとも一部が円板部
301に向かって直径が漸減する円錐台状であって、か
つ、それより円板部に近い領域において支持軸の直径が
大きくならなければよい。
【0082】図14(B)に示す閉塞手段は、円板部3
01の断面形状が図14(A)とは異なる。円板部30
1上に塗布液をむらなく展延するためには、外周部に向
かって円板部301の厚さが漸減することが好ましい。
その場合、円板部301の断面において、塗布液が展延
される上縁の形状は、図14(A)に示すように直線状
であってもよく、図14(B)に示すように曲線状であ
ってもよい。また、図14(C)に示すように、円板部
301の外周が垂直面であってもよい。ただし、図14
(C)において円板部301の外周における厚さtは、
好ましくは0.4mm以下である。厚さtが大きすぎる
と、樹脂層をむらなく塗布することが難しくなる。ま
た、図14(D)に示すように円板部301の厚さを均
一としてもよい。
【0083】図14(A)〜図14(D)にそれぞれ示
す閉塞手段は、2層目以降の樹脂層の形成に対応させる
ために、円板部301の下面をくり抜いた形状としてあ
る。
【0084】閉塞手段において、円板部301近傍にお
ける支持軸302の最小直径は、好ましくは4mm未満、
より好ましくは2mm以下である。円板部301近傍にお
ける支持軸302の直径が大きすぎると、塗布開始位置
が円板部301の中央から離れることになり、樹脂層の
径方向における厚さむらが大きくなってしまう。ただ
し、円板部301近傍における支持軸302の直径が小
さすぎると、支持軸302の機械的強度が不十分となる
ので、上記最小直径は好ましくは0.5mm以上、より好
ましくは0.7mm以上である。支持軸302の長さは特
に限定されず、その外周面への塗布液の供給が容易とな
るように、また、把持する際の取り扱いの容易さなどを
考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜100
mm、より好ましくは10〜30mmとする。支持軸302
が短すぎると、外周面への塗布液の供給がしにくくな
り、また、把持もしにくくなる。一方、支持軸302が
長すぎると、取り扱いが面倒になる。
【0085】円板部301の直径は、ディスク基板の中
心孔101の直径よりも大きく、かつ、ディスク基板が
有する環状の情報記録面の内径よりも小さければよい。
ただし、塗布液500が円板部301の下面に回り込ん
で中心孔101の周面(ディスク基板の内周面)を汚染
することがあるので、円板部301の直径は中心孔10
1の直径よりも4mm以上、特に8mm以上大きいことが好
ましい。また、円板部301を取り外す際に、その近傍
の樹脂層の形状に乱れが生じやすいので、円板部301
の直径は情報記録面の内径よりも3mm以上、特に5mm以
上小さいことが好ましい。具体的な寸法は、中心孔の直
径および情報記録領域の内径によっても異なるが、通
常、直径60〜130mm程度の光ディスクの製造に適用
する場合には、円板部301の直径は20〜40mm、特
に25〜38mmの範囲内とすることが好ましい。
【0086】閉塞手段の構成材料は特に限定されず、金
属、樹脂、セラミックス等のいずれであってもよく、こ
れらの2種以上を用いた複合材料であってもよい。ま
た、円板部301と支持軸302とを相異なる材料から
構成してもよい。ただし、機械的強度、耐久性、寸法精
度が良好であることから、閉塞手段は金属から構成する
ことが好ましい。金属としては、例えばステンレス合
金、アルミニウム、アルミニウム合金が好ましい。
【0087】閉塞手段300の表面、特に円板部301
の全表面は、塗布液よりも表面張力が低いことが好まし
い。閉塞手段300の表面が塗布液に対し濡れにくけれ
ば、閉塞手段の表面に付着した塗布液の洗浄が容易とな
る。表面張力の制御は、閉塞手段の構成材料を適宜選択
することによっても可能であるが、表面張力を低くした
い領域にテフロン(登録商標)加工等の撥水・撥油処理
を施すことが好ましい。
【0088】サーボ層 サーボ層は、トラッキングサーボ情報を保持する凹凸が
設けられたサーボ基体20表面に形成された反射層であ
り、前記凹凸に対応するトラッキングサーボ情報を保持
する。前記凹凸としては、グルーブおよび/またはピッ
トが一般的である。
【0089】サーボ層を構成する反射層の構成は特に限
定されず、従来の光情報媒体に設けられる反射層と同様
とすればよく、通常、Al、Au、Ag、Pt、Cu、
Ni、Cr、Ti、Si等の金属または半金属の単体あ
るいはこれらの1種以上を含む合金などから構成すれば
よい。反射層の厚さは、通常、10〜300nmとするこ
とが好ましい。厚さが前記範囲未満であると十分な反射
率を得にくくなる。また、前記範囲を超えても反射率の
向上は小さく、コスト的に不利になる。反射層は、スパ
ッタ法や蒸着法等の気相成長法により形成することが好
ましい。
【0090】データ層 本発明を光記録媒体に適用する場合、データ層には記録
材料を含有する記録層が少なくとも含まれる。本発明が
適用される光記録媒体は特に限定されず、例えば、相変
化型記録材料を用いた書き換え可能型媒体または追記型
媒体、光磁気記録材料を用いた書き換え可能型媒体、有
機色素を記録材料として用いた追記型媒体等のいずれで
あってもよい。ただし、他の記録材料に比べ光透過率が
高く、そのため記録層の積層数を多くできることから、
相変化型記録材料を用いることが好ましい。
【0091】相変化型記録材料の組成は特に限定されな
いが、少なくともSbおよびTeを含有するものが好ま
しい。SbおよびTeだけからなる記録層は、結晶化温
度が130℃程度と低く、保存信頼性が不十分なので、
他の元素を添加することが好ましい。この場合の添加元
素としては、元素M(元素Mは、In、Ag、Au、B
i、Se、Al、P、Ge、H、Si、C、V、W、T
a、Zn、Ti、Ce、Tb、Sn、Pb、Pdおよび
Yから選択される少なくとも1種の元素である)が好ま
しい。これらのうちでは、保存信頼性向上効果が高いこ
とから、特にGeが好ましい。
【0092】記録層構成元素の原子比を 式I SbaTebc で表し、 a+b+c=1 としたとき、好ましくは a=0.2〜0.85、 b=0.1〜0.6、 c=0〜0.25 であり、より好ましくは c=0.01〜0.25 である。Sb含有量が少なすぎると、結晶化速度が十分
に速くならないため、オーバーライトが困難となる。一
方、Sb含有量が多すぎると、結晶化速度が速くなりす
ぎて、非晶質記録マークを形成することが難しくなる。
M含有量が少なすぎると、M添加による効果が不十分と
なり、M含有量が多すぎると、相変化に伴なう反射率変
化が小さくなって十分な変調度が得られにくい。Te含
有量が少なすぎると、非晶質化が困難となって記録マー
クを形成することが難しくなる。一方、Te含有量が多
すぎると、結晶化速度が遅くなってオーバーライトが困
難となる。
【0093】相変化型記録媒体は、一般に書き換え可能
型媒体として使用されるが、本発明では、追記型媒体と
して使用してもよい。この場合の追記型媒体とは、記録
は可能であるが、いったん記録された記録マークの消去
については保証されない媒体であり、記録済みの記録ト
ラックの記録マークを消去して再度記録することはしな
い媒体である。追記型媒体として使用することによる利
点を、以下に説明する。
【0094】多層記録媒体では記録層を複数重ねるた
め、記録・再生光の光量損失が大きくなる。そのため、
記録層はできるだけ薄くする必要がある。しかし、記録
層を薄くすると、記録光照射後の記録層の冷却速度が速
くなってしまう。冷却速度が速くなると結晶化しにくく
なるため、消去率を確保するために記録層を結晶化しや
すい組成とする必要がある。すなわち、記録層の結晶化
速度を比較的速くする必要がある。しかし、結晶化速度
の速い記録層には、以下に説明するセルフイレーズが発
生しやすいという問題がある。記録時には、記録光のビ
ームスポットから記録層面内方向に熱が拡散し、この熱
によって記録マークの冷却が阻害される。記録層の結晶
化速度が速いと、この冷却阻害により記録マークの一部
が再結晶化してしまい、記録マークが縮小してしまう。
具体的には、記録マーク先端部(ビームスポットが先に
照射された部位)が消去されたり、記録マーク後端部が
消去されたりする。このような現象を、本明細書ではセ
ルフイレーズという。セルフイレーズが生じると、C/
N低下やジッタ増大が生じる。
【0095】このように、記録層を薄くした場合には、
消去特性を十分に確保し、かつ、セルフイレーズを抑制
することは困難である。これに対し、相変化型記録層を
有する媒体を追記型媒体として使用する場合には、記録
マークを消去する必要がないので記録層の結晶化速度を
考慮する必要がなくなる。そのため、記録層の組成制御
により、セルフイレーズの影響が実質的に生じない程度
まで記録層の結晶化速度を低下させても問題はない。ま
た、オーバーライトを行う場合には、記録時の媒体の線
速度が速いほど記録層の結晶化速度を速くする必要があ
り、そのためセルフイレーズも生じやすくなる。しか
し、オーバーライトではなく1回記録だけを行うのであ
れば、セルフイレーズの生じにくい比較的遅い結晶化速
度をもつ記録層に、高線速度、例えば10m/s程度以上
の線速度で記録を行うことができるので、高いデータ転
送レートを容易に実現できる。
【0096】本発明では、上述したように記録層を複数
重ねるため、記録・再生光の光量損失が大きくなる。そ
のため、記録層としての機能が損なわれない範囲におい
て、記録層はできるだけ薄いことが好ましい。ただし、
薄すぎると記録層としての機能が損なわれる。そのた
め、記録層の厚さは、好ましくは2〜50nm、より好ま
しくは4〜20nmとする。
【0097】相変化型の記録層を用いる場合、データ層
は図3にDL−1として例示する構造とすることが好ま
しい。このデータ層は、記録層4を第1誘電体層31お
よび第2誘電体層32で挟んだ構造である。この構造に
おいて、記録層および各誘電体層はスパッタ法により形
成することが好ましい。誘電体層に用いる誘電体として
は、例えば、Si、Ge、Zn、Al、希土類元素等か
ら選択される少なくとも1種の金属成分を含む各種化合
物が好ましい。化合物としては、酸化物、窒化物、硫化
物またはフッ化物が好ましく、これらの化合物の2種以
上を含有する混合物を用いることもできる。各誘電体層
の厚さは10〜500nmであることが好ましい。
【0098】また、図1に示す構造において、記録/再
生光入射側から見て最も奥に存在するデータ層DL−2
は、通常、図中上側から反射層、誘電体層、記録層、誘
電体層の順に積層した構造とする。一方、図1に示すデ
ータ層DL−1には、記録/再生光を透過させる必要が
あることから、通常、反射層は設けないが、必要に応
じ、記録/再生光に対し半透明な反射層を設けて、DL
−2と同様な構造とすることもある。
【0099】本発明では、記録・再生光の光量損失を低
減するために記録層を薄くすることが好ましいが、相変
化型記録層を薄くすると変調度が低くなってしまう。す
なわち、非晶質記録マークと結晶質領域とで反射率の差
が小さくなってしまう。この変調度を高くするために
は、誘電体層を、屈折率の異なる複数の層の積層体とす
ることが好ましい。また、このような多層構造とするこ
とにより、光学的設計の自由度が向上し、データ層全体
の光透過率を向上させることも可能である。多層構造の
誘電体層としては、例えば、フッ化マグネシウム層、フ
ッ化マンガン層、窒化酸化ゲルマニウム層および酸化ケ
イ素層から選択される少なくとも1層と、ZnS−Si
2層との積層体が挙げられる。
【0100】記録層を複数積層すると、各記録層に到達
する記録光の強度は、その記録層が媒体の記録光入射側
表面から遠いほど低くなる。そのため、到達する記録光
の強度に応じて、記録層の記録感度を調整することが好
ましい。相変化型記録材料などヒートモード記録が行わ
れる記録材料では、記録層を厚くすれば蓄熱性が向上す
るため、記録感度が向上する。そのため、必要に応じ、
記録光入射側表面から遠い記録層ほど相対的に厚くする
ことが好ましい。ただし、隣り合う2層の記録層は同じ
厚さとしてもよい。また、光入射側表面から遠い記録層
は、他の記録層を透過した記録・再生光を利用すること
になるので、各記録層の再生特性を均一化するために
は、光入射側表面に近い記録層ほど光透過率が高いこと
が好ましい。そのためにも、記録光入射側表面から遠い
記録層ほど厚くすることが好ましい。
【0101】なお、記録層の記録感度調整および透過率
調整は、記録層の組成を制御することにより行うことも
できる。その場合、すべての記録層の厚さを同一として
もよく、組成制御と厚さ制御とを組み合わせてもよい。
【0102】本発明は、再生専用型媒体にも適用でき
る。その場合のデータ層は、記録情報を保持するピット
を有する層であってもよく、追記型媒体にあらかじめデ
ータを記録した層であってもよい。前者の場合、通常、
透明層ないしフィルタ層にピットを形成し、そのピット
形成面にスパッタ法等により半透明の反射層を形成す
る。その場合、反射層がデータ層となる。半透明の反射
層としては、例えば極薄の金属層やSi層が挙げられ
る。このような再生専用型媒体では、再生信号出力を平
準化するために、データ層の反射率を制御してもよい。
その場合、到達する光量が少ないデータ層ほど反射率を
高くすればよい。また、反射率をこのように制御すれ
ば、光入射側表面に近いデータ層ほど光透過率を高くで
きるので、光入射側表面から遠いデータ層に到達する光
量の著しい減衰を防ぐことができる。
【0103】本発明において情報保持層の積層数は特に
限定されず、2層以上のいずれであってもよい。ただ
し、積層数が多すぎると媒体が厚くなりすぎ、また、ス
ピンコート法により形成される透明層の厚さ分布の影響
が大きくなるので、情報保持層の積層数は好ましくは1
0以下、より好ましくは6以下である。
【0104】情報保持層を複数重ねた場合には、情報保
持層からの反射光量が少なくなる。しかし、本発明者ら
の研究によれば、情報保持層の最大反射率が5%以下で
あっても、データ層では十分なC/Nが得られ、また、
サーボ層では十分なサーボ信号強度が得られることがわ
かった。ただし、反射率が低すぎるとC/Nやサーボ信
号強度が十分に確保できないので、情報保持層の最大反
射率は0.1%以上であることが好ましい。
【0105】基体2およびサーボ基体20 記録・再生光は基体2を通して照射されるので、基体2
は、これらの光に対して実質的に透明である材質、例え
ば、樹脂やガラスなどから構成することが好ましい。こ
れらのうち、取り扱いが容易で安価であることから、樹
脂が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ポリカーボ
ネート、エポキシ樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂を
用いればよい。ただし、例えば450nm程度以下の短波
長の記録・再生光を使用する場合、ポリカーボネートで
は記録・再生光の吸収率が高くなるため、その場合には
短波長域における光吸収率が低い材料、例えばアモルフ
ァスポリオレフィンを用いることが好ましい。
【0106】基体2の形状および寸法は特に限定されな
いが、通常、ディスク状であり、その厚さは、通常、5
μm以上、好ましくは30μm〜3mm程度、直径は50〜
360mm程度である。
【0107】図3に示すサーボ基体20は、基体2と同
様に樹脂やガラスから構成すればよいが、サーボ情報を
保持する凹凸を射出成形により容易に形成できることか
ら、樹脂から構成することが好ましい。なお、サーボ基
体20は、透明である必要はない。サーボ基体20の厚
さは特に限定されず、例えば基体2の説明において挙げ
た範囲内で適宜設定すればよい。ただし、基体2の剛性
が低い場合には、サーボ基体20を比較的厚くして、媒
体全体としての剛性を確保することが好ましい。
【0108】
【実施例】実施例1 以下の手順で、図3に示す構造の光記録ディスクサンプ
ルを作製した。
【0109】両側表面を強化加工した厚さ1.2mm、直
径120mmのガラスディスクからなる基体2の一方の面
に、4層の透明層TL−1〜TL−4と4層のデータ層
DL−1〜DL−4とを交互に形成した。
【0110】各透明層は、紫外線硬化型樹脂(ソニーケ
ミカル社製のSK−5110)を回転数1500rpmで
2秒間スピンコートした後、紫外線を照射することによ
り形成した。硬化後の透明層の厚さは15μmであっ
た。なお、この厚さは、記録情報保持領域(ディスク中
心から半径20〜58mmの領域)の中間位置における値
である。
【0111】データ層に含まれる記録層4の組成(原子
比)は、Sb22.1Te56.0Ge21.9とした。記録層4の
厚さは、データ光入射側表面に最も近いものから順に、
5nm、5nm、7nmおよび13nmとした。記録層4はマグ
ネトロンスパッタによって形成し、その厚さは、スパッ
タ時の投入電力、圧力、スパッタ時間を制御することに
より調整した。
【0112】各データ層に含まれる第1誘電体層31お
よび第2誘電体層32の厚さは、記録層の吸収率を確保
した上でデータ層全体の光透過率が高くなるように、7
5〜271nmの範囲内で設定した。これらの誘電体層は
いずれもマグネトロンスパッタにより形成し、組成はい
ずれもZnS(80モル%)−SiO2(20モル%)
とした。
【0113】一方、射出成形により形成され、幅0.7
6μm、深さ183nmのグルーブを設けた厚さ1.2m
m、直径120mmのポリカーボネートディスクからなる
サーボ基体20を用意した。このサーボ基体20のグル
ーブ形成面に、厚さ100nmのAu膜をスパッタにより
形成し、サーボ層SLとした。この反射層表面に、フィ
ルタ層FLを形成した。フィルタ層FLは、フタロシア
ニン系色素(日本化薬社製のBlue-N)と紫外線硬化型樹
脂(ソニーケミカル社製のSK−5110)との混合物
(色素含有量3質量%)を、回転数2500rpmで5秒
間スピンコートした後、紫外線を照射することにより形
成した。硬化後のフィルタ層FLの厚さは11μmであ
った。フィルタ層FLの吸収率は、波長660nmにおい
て95%、波長780nmにおいて8%であった。なお、
この吸収率は、透明板上に上記条件でフィルタ層を単独
で形成し、これについて測定した値である。
【0114】次に、基体2を含む積層体の最上面(最上
層のデータ層DL−4表面)に、紫外線硬化型樹脂(日
本化薬社製のDVD-003)を滴下した後、サーボ基体20
を含む積層体を芯出ししながら載せ、全体を5000rp
mで2秒間回転させた。次いで、基体2を通して紫外線
を照射することにより上記紫外線硬化型樹脂を硬化し
た。これにより、基体2を含む積層体とサーボ基体20
を含む積層体とが、厚さ35μmの透明層TL−5を介
して貼り合わされ、図3に示す構造の光記録ディスクサ
ンプルが形成された。
【0115】このサンプルの記録層をバルクイレーザー
により初期化(結晶化)した後、各データ層およびサー
ボ層の波長660nmにおける反射率の最大値を測定した
ところ、 DL−1:1.1%、 DL−2:0.7%、 DL−3:0.9%、 DL−4:0.5%、 SL :0.05% であった。
【0116】ビット・コントラスト このサンプルの記録層をバルクイレーザーにより初期化
(結晶化)した後、サンプルを静止させた状態で、波長
660nm、パルス幅50nsの記録用データ光を基体2を
通して照射して記録を行い、同波長の再生用データ光を
照射して、各データ層ごとにビット・コントラストを測
定した。データ光の照射およびその反射光の検出には、
共焦点検出光学系を有する光ピックアップを用いた。こ
の光ピックアップの対物レンズの開口数は、0.52で
ある。結果を表1に示す。なお、表1に示すビット・コ
ントラストは、 (R0−R1)/R0 である。R0は、記録前の反射率であり、R1は記録後の
反射率である。また、表1に示す最小パワーPminは、
コントラストが現れる最小の記録用データ光パワーを表
す。
【0117】
【表1】
【0118】表1に示される結果から、4層のデータ層
のすべてにおいて十分なビット・コントラストが得られ
ることがわかる。また、データ層間での記録感度のばら
つきが小さいことがわかる。
【0119】C/N(carrier to noise ratio) 上記サンプルを回転させながら、一定の間隔で同じ長さ
のパルスが続く単一信号をサンプルの各データ層に記録
し、これを再生したときのC/Nを測定した。なお、記
録パルスはデューティー比50%とした。記録および再
生には、波長660nmのデータ光を用いた。また、記録
および再生の際には、波長780nmのサーボ光によって
サーボ層SLを読み出し、トラッキングサーボを行っ
た。
【0120】結果を表2に示す。表2に示す記録密度
は、上記単一信号のマーク長を、これと同じマーク長の
信号を最短信号として含む1−7変調信号のビット線密
度に換算して求めた値である。測定に際しては、ディス
クの回転速度を2000rpm(CAV)とし、記録密度
の変更は、上記単一信号の周波数を変更することにより
行った。なお、測定した記録トラックの位置はサンプル
の中心から半径42.5mmの位置なので、線速度は約
8.9m/sとなる。
【0121】
【表2】
【0122】表2から、80kBPIの高密度記録において
も、十分に高いC/Nが得られることがわかる。
【0123】ビットエラーレート 上記サンプルに1−7変調(マーク長2T〜8T)のラ
ンダム信号を記録し、これを再生したときのビットエラ
ーレート(BER)を測定した。結果を表3に示す。
【0124】
【表3】
【0125】表3から、84kBPIの高密度記録において
も、ビットエラーレートが十分に低いことがわかる。
【0126】実施例2 フィルタ層FLを以下の手順で形成したほかは実施例1
と同様にして、光記録ディスクサンプルを得た。
【0127】このサンプルにおけるフィルタ層FLは、
黄色系色素(日本化薬社製のYellow-2G)と紫外線硬化
型樹脂との混合物(色素含有量3質量%)を、回転数2
500rpmで5秒間スピンコートした後、紫外線を照射
することにより形成した。硬化後のフィルタ層FLの厚
さは10μmであった。フィルタ層FLの吸収率は、波
長405nmにおいて95%、波長650nmにおいて7%
であった。なお、この吸収率は、実施例1と同様にして
測定した。
【0128】このサンプルに対し、波長405nmのデー
タ光と波長650nmのサーボ光とを用いたほかは実施例
1と同様にして記録・再生特性を測定したところ、実施
例1と同様に良好な特性が得られた。
【0129】実施例3 フィルタ層FLを以下の手順で形成したほかは実施例1
と同様にして、光記録ディスクサンプルを得た。
【0130】このサンプルにおけるフィルタ層FLは、
光重合開始剤としてイルガキュア819(チバ・スペシ
ャリティ・ケミカルズ社製)を3質量%添加した紫外線
硬化型樹脂を、回転数2500rpmで5秒間スピンコー
トした後、紫外線を照射することにより形成した。硬化
後のフィルタ層FLの厚さは10μmであった。フィル
タ層FLの吸収率は、波長405nmにおいて93%、波
長650nmにおいて5%であった。なお、この吸収率
は、実施例1と同様にして測定した。
【0131】このサンプルに対し、波長405nmのデー
タ光と波長650nmのサーボ光とを用いたほかは実施例
1と同様にして記録・再生特性を測定したところ、実施
例1と同様に良好な特性が得られた。
【0132】実施例4 本発明サンプル 図1に示す構造の光記録ディスクサンプルを、以下の手
順で作製した。
【0133】表面にピッチ0.74μm、幅0.2μm、
深さ0.03μmのグルーブを有する、直径120mm、
厚さ0.6mmのポリカーボネートディスクを、射出成形
により形成した。このポリカーボネートディスクは、図
1における基体2である。この基体2のグルーブ形成面
に、スパッタにより第1の誘電体層、相変化型記録層お
よび第2の誘電体層をこの順で形成した。第1の誘電体
層はZnS(80モル%)−SiO2(20モル%)か
ら構成し、厚さは140nmとした。記録層はAg5Ge2
In2Sb67Te24(原子比)から構成し、厚さは8nm
とした。第2の誘電体層はZnS(80モル%)−Si
2(20モル%)から構成し、厚さは130nmとし
た。次いで、バルクイレーザにより記録層を初期化(結
晶化)した。基体2とデータ層DL−1との積層体を、
本実施例では第1のディスクと呼ぶ。
【0134】次に、表面にピッチ1.6μm、幅0.5
μm、深さ0.04μmのグルーブを有する、直径120
mm、厚さ0.6mmのポリカーボネートディスクを、射出
成形により形成した。このポリカーボネートディスク
は、図1における透明層TLである。この透明層TLの
グルーブ形成面に、スパッタにより反射層、第1の誘電
体層、相変化型記録層および第2の誘電体層をこの順で
形成し、データ層DL−2とした。反射層はAlから構
成し、厚さは100nmとした。第1の誘電体層はZnS
(80モル%)−SiO2(20モル%)から構成し、
厚さは70nmとした。記録層は、厚さを12nmとしたほ
かは上記第1のディスクの記録層と同じとした。第2の
誘電体層はZnS(80モル%)−SiO2(20モル
%)から構成し、厚さは140nmとした。次いで、バル
クイレーザにより記録層を初期化(結晶化)した。透明
層TLとデータ層DL−2との積層体を、本実施例では
第2のディスクと呼ぶ。
【0135】次に、第2のディスクのデータ層DL−2
上に、フタロシアニン系色素(日本化薬社製のBlue-N)
と紫外線硬化型樹脂(ソニーケミカル社製のSK−51
10)との混合物(色素含有量3質量%)を、回転数2
000rpmで2秒間スピンコートし、形成された膜上
に、データ層DL−1が接するように第1のディスクを
載置した後、紫外線を照射することによりスピンコート
膜を硬化した。これにより、第1のディスクと第2のデ
ィスクとがフィルタ層FLにより接着されたサンプルが
得られた。
【0136】硬化後のフィルタ層FLの厚さをレーザー
干渉計により測定したところ、30μmであった。フィ
ルタ層FLの吸収率は、波長660nmにおいて96%、
波長780nmにおいて15%であった。なお、この吸収
率は、透明板上に上記条件でフィルタ層を単独で形成
し、これについて測定した値である。
【0137】このサンプルについて、基体2を通してデ
ータ層DL−1およびDL−2にレーザー光を照射し、
それぞれの反射率を測定した。その結果、波長660nm
における反射率は、 DL−1:10%、 DL−2: 0.1% であった。また、光ディスク評価機を用い、規格書DV
D−RW ver.1.0に準拠してデータ層DL−1の記録再
生特性を評価した。その結果、クロックジッタは7%で
あり、良好な結果が得られた。
【0138】比較サンプル フィルタ層FLに替えて、色素を含有しない紫外線硬化
型樹脂からなる透明層を設けたほかは上記本発明サンプ
ルと同様にして、比較サンプルを作製した。この比較サ
ンプルの透明層は、紫外線硬化型樹脂(ソニーケミカル
社製のSK−5110)を回転数1200rpmで1秒間
スピンコートした後、硬化することにより形成したもの
であり、その厚さは上記フィルタ層FLの厚さと同じ3
0μmであった。この透明層では、波長660nmおよび
波長780nmのいずれにおいても吸収は観測されなかっ
た。
【0139】この比較サンプルについて、基体2を通し
てデータ層DL−1およびDL−2にレーザー光を照射
し、それぞれの反射率を測定した。その結果、波長66
0nmにおける反射率は、 DL−1:10%、 DL−2: 9% であった。また、光ディスク評価機を用い、規格書DV
D−RW ver.1.0に準拠してデータ層DL−1の記録再
生特性を評価した。その結果、クロックジッタは13%
であり、データ層DL−2からの反射光の漏れ込みによ
ると思われるノイズが観測された。
【0140】
【発明の効果】本発明では、複数の情報保持層を積層し
た多層記録媒体において、波長の相異なる複数の記録・
再生光を用いると共に、隣り合う情報保持層間に、前記
複数の記録・再生光に対し選択吸収性を示すフィルタ層
を設けるため、フィルタ層を挟んで存在する情報保持層
間で生じる信号干渉を、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報媒体の構成例を示す部分断面図
である。
【図2】本発明の光情報媒体の構成例を示す部分断面図
である。
【図3】本発明の光情報媒体の構成例を示す部分断面図
である。
【図4】本発明の光情報媒体に対し記録または再生を行
うための光ピックアップの構成例を示す図である。
【図5】本発明の光情報媒体に対し記録または再生を行
うための光ピックアップの構成例を示す図である。
【図6】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図7】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図8】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図9】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図10】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図11】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図12】透明層およびデータ層を設けた基体の内周縁
付近を示す断面図である。
【図13】2層目の透明層の形成工程を説明する断面図
である。
【図14】(A)〜(D)は閉塞手段の構成例を示す断
面図である。
【符号の説明】
DL、DL−1、DL−2、DL−3、DL−4 デー
タ層 TL、TL−1、TL−2、TL−3、TL−4、TL
−5 透明層 FL フィルタ層 SL サーボ層 2 基体 20 サーボ基体 31 第1誘電体層 32 第2誘電体層 4 記録層 101 中心孔 200 回転テーブル 201 突起 300 閉塞手段 301 円板部 302 支持軸 303 凸部 400 ノズル 500 塗布液 600 環状凸部
フロントページの続き (72)発明者 林田 直樹 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 小巻 壮 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5D029 JB01 JB13 KB08 NA30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録情報および/またはサーボ情報を保
    持する情報保持層が少なくとも2層積層されており、他
    の情報保持層を透過した記録光または再生光により記録
    または再生が行われる情報保持層が存在し、隣り合う情
    報保持層間のうち少なくとも1つの層間にフィルタ層が
    存在し、このフィルタ層の波長300〜1000nmの範
    囲での分光吸収特性において、吸収率が80%以上であ
    る波長域と、吸収率が20%以下である波長域とが存在
    する光情報媒体。
  2. 【請求項2】 記録情報および/またはサーボ情報を保
    持する情報保持層が少なくとも2層積層されており、他
    の情報保持層を透過した記録光または再生光により記録
    または再生が行われる情報保持層が存在し、隣り合う情
    報保持層間のうち少なくとも1つの層間にフィルタ層が
    存在し、波長の相異なる複数の記録・再生光により前記
    情報保持層に対し記録または再生を行うシステムに用い
    られ、 各フィルタ層は、そのフィルタ層に光入射側において最
    も近い情報保持層の記録または再生に使用される記録・
    再生光の吸収率が相対的に高く、かつ、そのフィルタ層
    の光出射側に存在する情報保持層の記録または再生に使
    用される記録・再生光の吸収率が相対的に低い光情報媒
    体。
  3. 【請求項3】 各フィルタ層は、そのフィルタ層に光入
    射側において最も近い情報保持層の記録または再生に使
    用される記録・再生光の吸収率が80%以上であり、か
    つ、そのフィルタ層の光出射側に存在する情報保持層の
    記録または再生に使用される記録・再生光の吸収率が2
    0%以下である請求項2の光情報媒体。
  4. 【請求項4】 前記フィルタ層の少なくとも1つが、紫
    外線硬化型組成物と光重合開始剤とを含有する組成物を
    紫外線硬化することにより形成された樹脂層である請求
    項1〜3のいずれかの光情報媒体。
  5. 【請求項5】 前記フィルタ層の少なくとも1つが色素
    を含有する請求項1〜4のいずれかの光情報媒体。
JP2001150437A 2000-06-09 2001-05-21 光情報媒体 Pending JP2002117585A (ja)

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