JP2002260276A - 光情報媒体 - Google Patents

光情報媒体

Info

Publication number
JP2002260276A
JP2002260276A JP2001229596A JP2001229596A JP2002260276A JP 2002260276 A JP2002260276 A JP 2002260276A JP 2001229596 A JP2001229596 A JP 2001229596A JP 2001229596 A JP2001229596 A JP 2001229596A JP 2002260276 A JP2002260276 A JP 2002260276A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
recording
light
data
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001229596A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Hayashida
直樹 林田
Takeshi Komaki
壮 小巻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2001229596A priority Critical patent/JP2002260276A/ja
Publication of JP2002260276A publication Critical patent/JP2002260276A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 捻れを伴う反りの小さい多層情報媒体を提供
する。また、このような多層情報媒体を低コストで提供
する。 【解決手段】 基体上または一対の基体の間に、記録情
報および/またはトラッキングサーボ情報を保持する情
報保持層を少なくとも2層有し、他の少なくとも1層の
情報保持層を透過した記録光または再生光により記録ま
たは再生が行われる情報保持層が少なくとも1層存在
し、それぞれの情報保持層の少なくとも一方の側に、樹
脂を含有する中間層が存在し、前記中間層の少なくとも
1層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する硬化中
間層であり、この硬化中間層の少なくとも1層は、引張
破壊伸びが15〜200%かつ引張弾性率が20〜10
00MPaである光情報媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録層等の情報保
持層を少なくとも2層有する多層情報媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクに対する高密度化およ
び大容量化の要求が著しい。現在、コンパクトディスク
の約7倍に相当する片面約4.7GBの記録容量をもつD
VD(Digital Versatile Disk)が発売されているが、
より多くの情報を記録できる技術の開発が盛んに行われ
ている。
【0003】光ディスクの記録容量を高める技術として
は、記録再生光の短波長化、記録再生光照射光学系にお
ける対物レンズの高NA(開口数)化、記録層の多層
化、多値記録などが挙げられる。これらのうち記録層の
多層化による3次元記録は、短波長化や高NA化に比
べ、低コストで飛躍的な高容量化が可能である。3次元
記録が行える多層情報媒体は、例えば特開平9−198
709号公報に記載されている。また、特開平8−25
5374号公報には、書き換え可能な情報記憶層と再生
専用の情報記憶層とを積層した媒体が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】多層情報媒体では、記
録情報を保持するデータ層が複数存在し、隣り合うデー
タ層間には記録・再生光に対し透明な樹脂層が設けられ
る。この樹脂層は、生産性が高く、また、比較的均質な
層が形成できることから、紫外線硬化型樹脂等の活性エ
ネルギー線硬化型樹脂の塗膜から構成することが好まし
い。
【0005】しかし、活性エネルギー線硬化型樹脂から
樹脂層を構成すると、硬化時に発生する収縮のために媒
体に反りが発生する。また、媒体を高温・高湿環境下で
保存した場合にも、反りが発生する。媒体に反り、特に
捻れを伴う反りが発生すると、媒体回転時の面振れが大
きくなり、また、面振れ加速度が大きくなってしまう。
その結果、読み取りエラーが生じやすくなり、読み取り
不能となってしまうこともある。多層情報媒体では、隣
り合うデータ層間でのクロストークを抑えるために樹脂
層を比較的厚くする必要があり、また、3層以上のデー
タ層を積層する場合には複数の樹脂層を設ける必要があ
るため、捻れを伴う反りが大きくなりやすい。
【0006】ところで、単層の記録層を有する媒体で
は、記録層が形成される樹脂基体にグルーブ(案内溝)
を形成しておくことにより、記録層にグルーブが転写さ
れる。しかし、比較的厚い樹脂層を介して2層以上のデ
ータ層を積層する場合、基体に設けたグルーブをすべて
のデータ層に転写することは困難である。すなわち、グ
ルーブ深さは光学的な要求から高々100nm程度であ
り、一方、層間距離はこれに比べ著しく厚いからであ
る。そのため、例えば前記特開平9−198709号公
報に記載されているように、フォトポリマー(2P)法
などを利用して透明樹脂層にグルーブを形成しなければ
ならない。そのため、製造コストが著しく上昇してしま
う。
【0007】本発明は、捻れを伴う反りの小さい多層情
報媒体を提供することを目的とし、また、このような多
層情報媒体を低コストで提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜
(7)により特定される。 (1) 基体上または一対の基体の間に、記録情報およ
び/またはトラッキングサーボ情報を保持する情報保持
層を少なくとも2層有し、他の少なくとも1層の情報保
持層を透過した記録光または再生光により記録または再
生が行われる情報保持層が少なくとも1層存在し、それ
ぞれの情報保持層の少なくとも一方の側に、樹脂を含有
する中間層が存在し、前記中間層の少なくとも1層は、
活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する硬化中間層であ
り、この硬化中間層の少なくとも1層は、引張破壊伸び
が15〜200%かつ引張弾性率が20〜1000MPa
である光情報媒体。 (2) 基体の数が1であり、媒体の一方の表面が、樹
脂を含有する保護層から構成され、この保護層は、前記
硬化中間層よりも引張弾性率が高い上記(1)の光情報
媒体。 (3) 前記硬化中間層が複数存在し、基体から遠いほ
ど前記硬化中間層の引張弾性率が高い上記(2)の光情
報媒体。 (4) 前記保護層が活性エネルギー線硬化型樹脂を含
有する上記(2)または(3)の光情報媒体。 (5) 前記中間層に樹脂シートが含まれる上記(1)
〜(4)のいずれかの光情報媒体。 (6) 前記樹脂シートの引張破壊伸びが15〜200
%である上記(5)の光情報媒体。 (7) 前記情報保持層が、記録情報を保持する少なく
とも1層のデータ層と、サーボ情報を保持する少なくと
も1層のサーボ層とを独立して有する上記(1)〜
(6)のいずれかの光情報媒体。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明が適用される光情報媒体
は、情報保持層が少なくとも2層積層された構造をも
つ。本明細書における情報保持層には、データ層および
サーボ層が包含される。データ層とは、記録情報を保持
する記録マークやピットなどが存在する層であり、サー
ボ層とは、グルーブやピット等の凹凸からなるトラッキ
ングサーボパターンが存在する層である。ただし、サー
ボ層をデータ層に対して独立して設けない場合には、デ
ータ層にトラッキングサーボパターンが形成される。
【0010】本明細書では、データ層を読み出すための
光およびデータ層に記録を行うための光をデータ光と呼
び、サーボ層を読み出すための光をサーボ光と呼ぶ。ま
た、本明細書において記録・再生光とは、データ光およ
びサーボ光を包含する概念である。
【0011】本明細書における多層情報媒体とは、複数
の情報保持層を有し、かつ、他の情報保持層を透過した
記録・再生光により記録または再生が行われる情報保持
層が存在する媒体である。
【0012】本発明の光情報媒体には、光記録媒体と再
生専用型媒体とが包含される。光記録媒体では、データ
層に記録層が含まれる。再生専用型媒体では、データ層
に、データを保持するピットまたは記録マークがあらか
じめ形成されている。
【0013】図1に、本発明の多層情報媒体の構成例を
断面図として示す。図1に示す媒体は、トラッキング用
のグルーブが設けられた基体2上に、2層のデータ層D
L−1、DL−2が積層されており、両データ層間には
フィルタ層FLが存在し、上側のデータ層DL−2上に
は透明層TLが存在する。図1におけるフィルタ層FL
は、色素および樹脂を含有し、本発明における中間層に
包含される。また、図1における透明層TLは樹脂から
構成され、本発明における保護層として機能する。
【0014】図2に、本発明の媒体の他の構成例を示
す。図2に示す媒体は、基体2上に1層のデータ層DL
を設け、このデータ層DLの上に、フィルタ層FLを介
してサーボ基体20を積層したものである。サーボ基体
20には、グルーブおよび/またはピットからなるトラ
ッキングサーボパターンが設けられている。このサーボ
基体20の記録・再生光入射側表面には反射層が形成さ
れており、これがサーボ層SLとして機能する。また、
フィルタ層FLは、本発明における中間層に包含され
る。
【0015】図3に、本発明の多層媒体の他の構成例を
示す。図3に示す媒体は、基体2上に、5層の透明層T
L−1〜TL−5が存在し、隣り合う透明層間に、4層
のデータ層DL−1〜DL−4がそれぞれ存在する。透
明層TL−5上には、フィルタ層FL、サーボ層SLお
よびサーボ基体20がこの順で存在する。サーボ基体2
0には、グルーブおよび/またはピットからなるトラッ
キングサーボパターンが設けられ、このパターンがサー
ボ層SLに転写されている。
【0016】図3に示す媒体は、データ層および透明層
の数が多いほかは図2に示す媒体と同様な構成である。
データ層の数が2以上、特に3以上であると、データ層
のそれぞれに、トラッキングサーボパターンを低コスト
で高精度に形成することが難しいため、データ層とサー
ボ層とを独立して設ける構造は有効である。
【0017】本発明は、図1〜図3にそれぞれ示される
媒体のように、複数の情報保持層それぞれの少なくとも
一方の側に、樹脂を含有する中間層(透明層またはフィ
ルタ層)を有する媒体に適用される。すなわち、中間層
は、隣り合う2層の情報保持層間に存在し、さらに、少
なくとも一方の基体と、これに隣り合う情報保持層との
間にも存在しうる。
【0018】本発明の媒体において、中間層の少なくと
も1層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する硬化
中間層である。この硬化中間層のうち少なくとも1層に
おいて、引張破壊伸びは15%以上、好ましくは20%
以上であり、引張弾性率は1000MPa以下、好ましく
は800MPa以下である。引張破壊伸びが小さすぎる
と、媒体に捻れを伴う反りが発生しやすく、特に、高温
・高湿等の悪条件下で保存したときに大きな反りが発生
してしまう。その結果、面振れが大きくなる。また、引
張破壊伸びが小さすぎると、中間層にクラックや剥離が
発生しやすくなる。引張弾性率が大きすぎると、媒体に
捻れを伴う反りが発生しやすくなり、その結果、媒体の
面振れが大きくなる。
【0019】一方、引張破壊伸びが大きすぎる場合、硬
化中間層が柔らかくなりすぎて、強度が不十分となる。
そのため、引張破壊伸びは200%以下、好ましくは1
50%以下とする。硬化中間層の引張弾性率が低すぎる
場合、かえって反り量が大きくなってしまい、また、硬
化中間層が柔らかくなりすぎるので、引張弾性率は20
MPa以上とする。
【0020】なお、本明細書における引張破壊伸びおよ
び引張弾性率は、JIS K7127-1989において規定されたも
のである。これらを測定するに際しては、 試験片の長さ:60mm、 試験片の幅:10mm、 標線間距離:40±1mm、 掴み具間距離:44±1mm、 引張速度:30mm/min とし、そのほかの測定条件はJIS K7127-1989の規定に従
えばよい。これらの条件をJIS K7127-1989と異なるもの
とするのは、媒体から剥離した硬化樹脂で測定できるよ
うに、媒体(光ディスク)の寸法(通常、直径12cm程
度)を考慮したためである。
【0021】硬化中間層のうち、上記物性(引張破壊伸
びおよび引張弾性率)を有するものが少なくとも1層存
在すれば、本発明の効果は実現する。ただし、より強力
な効果を得るためには、硬化中間層の好ましくは半数以
上、より好ましくはすべてが上記物性を有することが望
ましい。
【0022】生産性を考慮すると、中間層のすべてが硬
化中間層であることが好ましいが、中間層の一部は樹脂
シートから構成してもよい。樹脂シートからなる中間層
は、硬化しないため硬化に伴う収縮が生じないので、反
りの発生を抑えることができる。樹脂シートの引張弾性
率は特に限定されないが、引張破壊伸びは好ましくは1
5〜200%、より好ましくは20〜150%である。
この引張破壊伸びの上下限の限定理由は、硬化中間層に
おけるものと同様である。樹脂シートとしては、熱可塑
性樹脂を含有するものが好ましい。
【0023】図2および図3に示すように、保護層を設
けず、機械的強度の比較的高い一対の基体で情報保持層
および中間層を挟む貼り合わせ構造とする場合、一方ま
たは両方の基体に情報保持層および中間層を設けた後、
情報保持層が内側となるように両基体を接着する。この
ような媒体では、一方の媒体の機械精度が高くても、他
方の媒体に反りが存在すると、貼り合わせによって反り
を矯正することは極めて困難である。そのため、貼り合
わせ型媒体においても本発明は有効である。
【0024】図1に示すように、基体2から最も遠い情
報保持層(データ層DL−2)上に、樹脂を含有する保
護層(透明層TL)を有する場合、この保護層は、上記
中間層よりも引張弾性率が高いことが好ましく、保護層
の引張弾性率は、好ましくは400MPa以上、より好ま
しくは800MPa超、さらに好ましくは1000MPa超で
ある。
【0025】保護層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を
含有するものであってもよく、樹脂シートを含むもので
あってもよい。なお、保護層とは別に、保護層の情報保
持層側の表面に接して樹脂シートまたは硬化樹脂層が設
けられていてもよい。このように、保護層とこれに隣り
合う情報保持層との間に存在する樹脂シートおよび硬化
樹脂層は、本発明における中間層に包含される。
【0026】なお、図示例は基体2を通して記録・再生
光が入射する構成であるが、保護層を通して記録・再生
光が入射する構成としてもよい。
【0027】保護層の厚さは特に限定されず、十分な保
護効果が得られるように適宜決定すればよい。例えば、
活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する保護層では、好
ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5
μmである。保護層が薄すぎると、保護効果が不十分と
なる。一方、保護層が厚すぎると、媒体の反りが大きく
なりやすい。樹脂シートの厚さは、30μm以上である
ことが好ましい。樹脂シートが薄すぎると十分な保護効
果が得られない。また、樹脂シートを通して記録・再生
光を入射させる構成では、樹脂シートが薄いと、その表
面に付着した塵埃による光学的な影響が大きくなる。た
だし、樹脂シートは300μmを超える厚さとする必要
はない。樹脂シートを通して記録・再生光を入射させる
構成において樹脂シートを厚くすると、記録・再生光学
系の高NA(開口数)化による高記録密度達成が難しく
なる。
【0028】保護層を有し、かつ、硬化中間層が複数存
在する場合、硬化中間層の引張弾性率は、十分な強度が
確保できる範囲でできるだけ低くすることが好ましく、
一方、保護層は、十分な保護効果を得るために硬化中間
層よりも引張弾性率を高くする。しかし、保護層とこれ
に隣り合う硬化中間層との間で著しく引張弾性率が異な
ると、発生する応力により保護層や硬化中間層にクラッ
クが発生しやすい。これに対し、保護層に近い硬化中間
層ほど引張弾性率を高くすれば、引張弾性率の不連続性
が緩和されるためクラックの発生を抑えることができ、
しかも、媒体の反りを十分に抑えることができる。
【0029】なお、媒体表面を構成する基体2表面に、
基体2を保護するための耐擦傷層を設けてもよい。この
耐擦傷層は、例えば上記した保護層と同様に引張弾性率
の比較的高い樹脂を含むものが好ましく、また、活性エ
ネルギー線硬化型樹脂を含有するものが好ましい。耐擦
傷層の厚さは十分な耐擦傷効果が得られるように決定す
ればよいが、通常、上記保護層と同程度とすればよい。
【0030】本発明の媒体では、反り量および面振れ量
が小さく、特に面振れ量が著しく小さいため、面振れ加
速度が小さくなる。その結果、フォーカスエラーが発生
しにくい。なお、径方向における測定位置が等しい場
合、媒体の反り量と面振れ量との間には直接的な相関は
ない。反り量が大きい媒体では面振れ量が大きくなる傾
向はあるが、例えばディスク状媒体が傘状に反った場合
には面振れ量はほとんど増大しない。一方、ディスク状
媒体に捻れを伴う反りが発生すると、反り量として測定
される値が小さくても面振れ量は大きくなる。
【0031】本発明は、中間層の引張破壊伸びや引張弾
性率を前記範囲内とすることを特徴とし、これにより上
記効果が実現する。したがって、中間層を構成する樹脂
の具体的組成および中間層の形成方法は特に限定されな
い。例えば、硬化後に樹脂となる組成物を塗布した後、
硬化する方法や、あらかじめ作製した樹脂シートを、紫
外線硬化型接着剤や粘着剤等で貼付する方法などのいず
れを用いてもよい。ただし、引張破壊伸びおよび引張弾
性率が本発明で限定する範囲内である硬化中間層を得る
ためには、紫外線硬化型組成物等の活性エネルギー線硬
化型組成物をスピンコート法により塗布し、その後、紫
外線等の活性エネルギー線により硬化することによって
硬化中間層を形成する方法が好ましい。
【0032】活性エネルギー線硬化型組成物には、通
常、それぞれ単官能または多官能のモノマー、オリゴマ
ーおよびポリマーの少なくとも1種が含有され、さら
に、光重合開始剤、光重合開始助剤、重合禁止剤等が含
有される。このような組成物は、例えば特開平8−19
4968号公報に記載された高密度光ディスク用保護コ
ート剤の構成材料から選択することができる。本発明で
用いる組成物としては、両端に官能基を有する線状の2
官能オリゴマーと、単官能モノマーとを少なくとも含有
するものが好ましい。上記2官能オリゴマーの含有量が
少なすぎたり、2官能オリゴマーの分子量が小さすぎた
りすると、硬化後の引張破壊伸びが小さくなってしま
う。一方、単官能モノマーの添加により、硬化中間層と
それが形成される面との間の接着性が向上する。ただ
し、単官能モノマーの添加量が多すぎると、硬化後の引
張破壊伸びが小さくなってしまう。したがって、本発明
において要求される中間層の物性に応じて、2官能オリ
ゴマーの含有量、分子量、単官能モノマーの含有量など
を適宜選択すればよい。なお、このような組成物は、市
販のものから選択することができる。
【0033】活性エネルギー線硬化型組成物に用いるオ
リゴマーやモノマーとしては、例えば以下のものが挙げ
られる。
【0034】2官能オリゴマーとしては、ポリエステル
アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリ
レートが挙げられる。ポリエステルアクリレートとして
は、東亜合成化学工業(株)製のアロニックスM−620
0、アロニックスM−6400X、アロニックスM−6410X、
アロニックスM−6420Xが挙げられる。エポキシアクリ
レートとしては、昭和高分子(株)製のリポキシSP−15
06、リポキシSP−1509、リポキシSP−1519−1、リポキ
シSP−1563、リポキシVR−77、リポキシVR−60、リポキ
シVR−90;大坂有機化学工業(株)製のビスコート54
0;日本化薬(株)製のカヤラッドR−167;共栄社油脂
(株)製のエポキシエステル3002A、エポキシエステル3
002M、エポキシエステル80MFA;長瀬産業(株)製のナ
デコールDM−851、ナデコールDA−811、ナデコールDM−
811、ナデコールDA−721、ナデコールDA−911が挙げら
れる。ウレタンアクリレートとしては、根上工業(株)
製のアートレンジUN−1000PEP、アートレンジUN−9000P
EP、アートレンジUN−9200A、アートレンジUN−2500、
アートレンジUN−5200、アートレンジUN−llO2、アート
レンジUN−380G、アートレンジUN−500、アートレンジU
N−9832;東亜合成(株)製のアロニックスM−1200;サ
ートマー社製のケムリンク9503、ケムリンク9504、ケム
リンク9505が挙げられる。
【0035】単官能モノマーとしては、べンジルアクリ
レート、ベンジルメタクリレート、ブトキシエチルアク
リレート、ブトキシエチルメタクリレート、ブタンジオ
ールモノアクリレート、シクロへキシルアクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルア
クリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、脂環
式変性ネオペンチルグリコールアクリレート、ジシクロ
ペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチ
ルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタア
クリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エ
トキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、2−ヒロソキシプロピルアクリレート、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソボルニル
アクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシ
ルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソオク
チルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ラウ
リルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−メト
キシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコー
ルメタクリレート、メトキシエチレングリコールアクリ
レート、モルフォリンアクリレート、フェノキシヒドロ
キシプロピルアクリレート、フィノキシエチルアクリレ
ート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジ
エチレングリコールアクリレート、EO変性フタル酸ア
クリレート、EO変性フタル酸メタクリレート、ステア
リルアクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラ
ヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリ
ルメタクリレート、ビニルアセテート、N−ビニルピロ
リドンが挙げられる。
【0036】硬化中間層の形成に好ましく用いられる活
性エネルギー線硬化型組成物は、粘度が比較的高くな
り、具体的には25℃において500〜30,000cP
程度となる。これに対し上記特開平8−194968号
公報には、組成物の25℃における好ましい粘度として
5〜300cPの範囲が開示されている。
【0037】一方、保護層の形成に用いる組成物では、
多官能オリゴマーおよび/または多官能モノマーの比率
を比較的高くすることが好ましい。これにより、保護層
の硬度を高くすることができる。また、単官能モノマー
の比率を比較的高くすれば、保護層の接着性が向上す
る。
【0038】なお、上記特開平8−194968号公報
には、光ディスクの保護コートを引張破壊伸び15%以
上とすることにより、高温・高湿環境下での保存による
光ディスクの反り発生を抑制できる旨が記載されてい
る。同公報に記載された引張破壊伸びの範囲は、本発明
で限定する範囲と重複する。しかし、上記したように、
同公報記載の保護コート形成用組成物と本発明で用いる
組成物とは粘度が異なるため、同公報記載の組成物を硬
化して形成される樹脂層は、本発明における中間層の物
性を備えるとは考えられない。しかも、同公報には、反
りが小さくなった旨の記載はあるが、面振れおよび面振
れ加速度についての記載はない。
【0039】次に、図1〜図3に示す媒体の具体的特徴
について説明する。
【0040】図1に示す本発明の媒体におけるフィルタ
層FLは、下側のデータ層DL−1を読み出すためのデ
ータ光の吸収率が、上側のデータ層DL−2を読み出す
ためのデータ光の吸収率よりも高い。そのため、データ
層DL−1を読み出す際に、データ層DL−2に到達す
る再生光の強度が低くなる結果、データ層DL−2から
の反射光の影響を抑えることができる。一方、データ層
DL−2を再生する際には、フィルタ層FLによるデー
タ光の吸収が少ないため、再生に支障は生じない。した
がって、データ層DL−1とデータ層DL−2との間の
距離を小さくしても、データ層間で生じるクロストーク
は少ない。これに対し、記録・再生光に対し透明性の高
い透明層をフィルタ層FLに替えて設けた場合、透明層
を十分に厚くしないと、図中下側のデータ層DL−1に
合焦させて読み出しを行う際に、上側のデータ層DL−
2からの反射光も光ピックアップが拾ってしまい、これ
が再生ノイズとなる。
【0041】なお、上側のデータ層DL−2を再生する
際には、下側のデータ層DL−1からの反射光の影響を
受けてしまうが、記録密度が低ければクロストークの影
響は小さくなるので、図1に示す構成では、DL−2の
記録密度をDL−1よりも低く設定することが好まし
い。その場合、通常、DL−2の記録・再生に用いるデ
ータ光波長を、DL−1の記録・再生に用いるデータ光
波長よりも長くする。
【0042】図2に示す媒体を再生する際には、データ
層DLを読み出すデータ光とは異なる波長のサーボ光
で、サーボ層SLを読み出す。この媒体におけるフィル
タ層FLは、上記データ光の吸収率が、上記サーボ光の
吸収率よりも高い。そのため、データ層DLの読み出し
に際して、サーボ層SLからのデータ光の反射に起因す
る再生ノイズが混入しにくい。
【0043】トラッキングサーボ情報等のサーボ情報の
読み出しは、データ層の読み出しに比べノイズの影響を
受けにくいため、図2に示す構成では、高記録密度のデ
ータ層を低ノイズで読み出せると共に、高精度のサーボ
が可能である。また、図2ではサーボ層SLを独立して
設けているため、データ層DLを平滑な層とすることが
できる。そのため、データ層DLの反射率が高くなる。
また、トラッキングサーボパターンの段差による干渉が
発生しない。また、トラッキングサーボパターンの崩れ
等の不規則形状、例えばグルーブの蛇行、などの影響に
よるノイズが発生しない。なお、図2に示す構成では、
通常、データ光の波長をサーボ光の波長よりも短くす
る。
【0044】ここで、本発明の多層情報媒体の記録およ
び再生に適用可能な光ピックアップの構成例を、図2に
示す構造の媒体と共に図4に示す。
【0045】この光ピックアップでは、データ光は、レ
ーザーダイオードLD1から出射される。データ光は、
レンズL1を透過して平行光とされ、さらに偏光ビーム
スプリッタPBS1を透過した後、1/4波長板QWP
1およびデータ光に対し透過性を有するダイクロイック
ミラーDCMを透過して、対物レンズL4に入射し、多
層情報媒体のデータ層DLに集光される。データ層DL
で反射したデータ光は、媒体への入射時とは逆の経路を
たどった後、偏光ビームスプリッタPBS1で反射し、
レンズL5により光検出器PD1に集光され、データ層
DLに対するフォーカスサーボ、またはこれと再生信号
の検出とが行われる。
【0046】図4に示す媒体では、データ層DLとサー
ボ層SLとの間にフィルタ層FLが存在するため、サー
ボ層SLで反射して光ピックアップに戻るデータ光はフ
ィルタ層FLを往復し、著しく減衰することになる。し
たがって、データ層DLを再生する際に、サーボ層から
の反射に起因するノイズ発生を著しく抑制することがで
きる。
【0047】一方、サーボ光は、レーザーダイオードL
D2から出射され、偏光ビームスプリッタPBS2で反
射してレンズL6および1/4波長板QWP2を透過し
た後、ダイクロイックミラーDCMにより反射され、対
物レンズL4に入射する。対物レンズL4から出射した
サーボ光は、サーボ層SLに集光される。サーボ層SL
で反射したサーボ光は、入射時とは逆の経路をたどった
後、偏光ビームスプリッタPBS2を透過して光検出器
PD2に集光され、トラッキングサーボおよびサーボ層
に対するフォーカスサーボが行われる。
【0048】このような構成の光ピックアップ、すなわ
ち、サーボ光は反射しデータ光は透過する分光特性を有
するダイクロイックミラーDCMを備える光ピックアッ
プを用いることは、データ層とサーボ層とを分離し、か
つ、データ光とサーボ光とを同時に照射しながら再生を
行う場合に有利である。すなわち、データ光検出用の光
検出器PD1にサーボ光の反射光が入射することを防ぐ
ことができ、また、サーボ光検出用の光検出器PD2に
データ光の反射光が入射することを防ぐことができる。
【0049】ただし、ダイクロイックミラーDCMは、
データ光を完全には透過できず、一部を反射してしま
う。そのため、図示するフィルタ層FLの替わりに透明
層が存在すると、サーボ層SLで反射したデータ光の一
部がサーボ用の光検出器PD2に到達し、トラッキング
サーボに悪影響を与えてしまう。特に、データ光の強度
が高い場合、例えば記録用のデータ光を照射する場合に
は、上記悪影響が大きくなる。これに対し、図示するよ
うにデータ層DLとサーボ層SLとの間にフィルタ層F
Lを設けてあれば、データ光はフィルタ層FLを往復す
ることにより著しく減衰するため、データ光がトラッキ
ングサーボに与える悪影響を著しく抑制することができ
る。
【0050】図3に示す媒体は、データ層の数が多いほ
かは図2に示す媒体と同様な構成である。データ層の数
が2以上、特に3以上であると、データ層のそれぞれ
に、トラッキングサーボパターンを低コストで高精度に
形成することが難しいため、データ層とサーボ層とを独
立して設ける構造は有効である。
【0051】なお、図3では、データ層DL−4とサー
ボ層SLとの間にフィルタ層FLを設けているが、隣り
合うデータ層間にはフィルタ層を設けていない。そのた
め、データ層間の距離を短くするとクロストークが大き
くなってしまう。この構成においてクロストークを小さ
くするためには、各データ層の再生に、共焦点顕微鏡の
原理を応用した共焦点検出光学系を備える光ピックアッ
プを用いることが好ましい。共焦点検出光学系を備える
光ピックアップは、媒体の厚さ方向の解像度が極めて高
いため、データ層間のクロストークを著しく低減でき
る。多層情報媒体の再生に利用できる共焦点検出光学系
については、例えば特開平10−222856号公報
や、SOM'94 technicaldigest(1994)19に記載されてい
る。
【0052】図5に、共焦点検出光学系を備え、かつ、
多層情報媒体の記録および再生に適用可能な光ピックア
ップの構成例を媒体と共に示す。図示する媒体は、基体
2上に、データ層DL−1、透明層TL、データ層DL
−2、フィルタ層FL、サーボ層SLおよびサーボ基体
20がこの順で積層された構造である。
【0053】この光ピックアップは、データ光の光路に
おいて偏光ビームスプリッタPBS1と1/4波長板Q
WP1との間に、レンズL2、ピンホール板PHPおよ
びレンズL3を組み込んだほかは図4に示す光ピックア
ップと同様な構成である。
【0054】この光ピックアップでは、偏光ビームスプ
リッタPBS1を透過したデータ光は、レンズL2によ
り集光される。集光位置にはピンホールを有するピンホ
ール板PHPが配置されており、このピンホールを抜け
たデータ光は、レンズL3により平行光とされた後、図
4に示す光ピックアップと同様な経路を経て、多層情報
媒体の下側のデータ層DL−1に集光される。データ層
DL−1で反射したデータ光は、媒体への入射時とは逆
の経路をたどる。データ光は、再生対象のデータ層DL
−1を透過してデータ層DL−2にも到達し、その反射
光も光ピックアップに戻る。しかし、このデータ光はデ
ータ層DL−2に対してアウトフォーカスとなるので、
データ層DL−2からの反射光は、ピンホール板PHP
のピンホール位置に集光されず、ピンホール位置では広
がってしまうため、ピンホール板PHPにより大部分が
遮断されてしまう。したがって、共焦点検出光学系を備
える光ピックアップを用いることにより、データ層間で
のクロストークを抑制することができる。
【0055】次に、本発明の光記録媒体の各部の構成に
ついて詳細に説明する。
【0056】フィルタ層 図1〜図3に示すフィルタ層は、2種の記録・再生光
(2種のデータ光、またはデータ光およびサーボ光)の
うちの一方の吸収率が他方の吸収率よりも相対的に高い
層である。具体的には、一方の記録・再生光の吸収率
は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上
である。この吸収率が低すぎると、フィルタ層を設けた
ことによる効果が不十分となる。これに対し、他方の記
録・再生光の吸収率は、好ましくは20%以下、より好
ましくは10%以下である。この吸収率が高すぎると、
フィルタ層を通して入射する記録・再生光による情報保
持層の再生が困難となり、記録媒体の場合には記録も困
難となる。
【0057】フィルタ層の構成材料は特に限定されず、
所望の分光吸収特性を示す材料を適宜選択すればよく、
例えば有機材料または無機材料からなる各種色素、特に
有機色素が好ましく、さらに、色素に加えて樹脂を含有
するものが好ましい。樹脂としては、紫外線等の活性エ
ネルギー線により硬化したものが好ましい。色素単独で
はなく樹脂を混合することにより、フィルタ層の形成が
容易となる。例えば紫外線硬化型組成物と色素との混合
物をスピンコートした後、紫外線を照射すれば、均質で
比較的厚いフィルタ層を短時間で形成することが可能で
ある。
【0058】フィルタ層に用いる色素は特に限定され
ず、フィルタ層に要求される分光吸収特性を満足するも
のであればよく、例えばシアニン系、フタロシアニン
系、アゾ系等の各種有機色素を用いればよい。また、樹
脂との相溶性を考慮して、色素に対し側鎖に置換基など
を設けるための変性を必要に応じて行ってもよい。ま
た、分光吸収特性の制御を容易にするために、分光吸収
特性の相異なる2層以上の色素層を積層してフィルタ層
としてもよい。
【0059】フィルタ層が色素と樹脂とを含有する場
合、色素含有量は特に限定されず、要求される分光吸収
特性を満足するように樹脂の種類に応じて適宜決定すれ
ばよいが、通常、1〜10質量%であることが好まし
い。色素含有量が少なすぎると、フィルタ層を厚くする
必要が生じ、好ましくない。一方、色素含有量が多すぎ
ると、ポットライフが短くなってしまう。
【0060】吸収対象波長が比較的短い場合、例えば4
50nm以下の波長域において急峻な吸収特性を得ようと
する場合には、色素を含有しない紫外線硬化型樹脂層か
らフィルタ層を構成することもできる。紫外線硬化型樹
脂層は、紫外線硬化型組成物と光重合開始剤とを含有す
る組成物の塗膜を紫外線硬化させることにより形成す
る。光重合開始剤は、硬化に用いる光の波長付近で大き
な吸収を示す。そして、硬化後の塗膜も、その波長付近
で大きな吸収を示す。これは、光重合開始剤が硬化の際
に完全には分解せず、一部が残存ないし変性した状態で
残存するためと考えられる。そのため、短波長域におい
て選択的に大きな吸収を示すフィルタ層として使用する
ことができる。
【0061】フィルタ層に用いる光重合開始剤は特に限
定されず、例えば、安息香酸エステル類、ベンゾフェノ
ン誘導体、ベンゾイン誘導体、チオキサントン誘導体、
アセトフェノン誘導体、プロピオフェノン誘導体および
ベンジルなどの通常の光重合開始剤から、吸収対象波長
に応じて適宜選択すればよい。
【0062】フィルタ層の厚さは、要求される分光吸収
特性を満足するように適宜決定すればよいが、樹脂を含
有し、色素または光重合開始剤を吸収材料として使用す
るフィルタ層では、1〜30μmの範囲内に設定するこ
とが好ましい。フィルタ層が薄すぎると、十分な吸収特
性を得ることが困難となる。一方、フィルタ層が厚すぎ
ると、媒体が厚くなってしまうので、データ層の積層数
が制限され、好ましくない。
【0063】また、吸収対象波長が例えば450nm以下
と比較的短い場合には、金属(半金属を含む)元素の少
なくとも1種を含有する金属層を、フィルタ層として利
用することもできる。金属には、例えばAuのように短
波長域において急激に吸収率が高くなるものが存在す
る。したがって、吸収対象波長域において十分な吸収率
を確保でき、かつ、透過対象波長域において十分な透過
率を確保できるように金属種およびフィルタ層の厚さを
選択すればよい。フィルタ層に好ましく用いられる金属
としては、例えばAu、Pt、Cuなどが挙げられる。
なお、分光吸収特性の制御を容易にするために、分光吸
収特性の相異なる2種以上の金属層を積層してフィルタ
層としてもよい。
【0064】フィルタ層として使用する金属層の厚さ
は、使用する金属種によっても異なるが、好ましくは1
0〜200nm、より好ましくは20〜100nmである。
金属層が薄すぎると、吸収対象波長域において十分な吸
収率が得られず、金属層が厚すぎると、透過対象波長域
において十分な透過率が得られない。
【0065】また、このほか、干渉フィルタをフィルタ
層として利用することもできる。干渉フィルタとして
は、誘電体多層膜や、Ag等からなる2層の金属薄膜の
間に誘電体膜を挟んだものなどが挙げられる。
【0066】なお、図3では、データ層とサーボ層との
間だけ、すなわち、隣り合う情報保持層間の1つだけに
フィルタ層を設けているが、必要に応じ、他の情報保持
層間に設けてもよい。すなわち、フィルタ層を2以上設
け、かつ、記録または再生光として波長の異なる3種以
上の光を用いてもよい。例えば、光入射側からデータ層
DL−1、DL−2、DL−3をこの順に設け、DL−
1とDL−2との間にフィルタ層FL−1を、DL−2
とDL−3との間にフィルタ層FL−2をそれぞれ設
け、かつ、DL−1を波長400nmで、DL−2を波長
600nmで、DL−3を波長800nmでそれぞれ再生す
る場合、フィルタ層FL−1は、波長400nm付近では
吸収率が高く、波長600nm付近および波長800nm付
近では吸収率が低いものであればよい。一方、フィルタ
層FL−2は、波長400nm付近における吸収率は特に
限定されないが、波長600nm付近で吸収率が高く、波
長800nm付近で吸収率が低いものであればよい。
【0067】すなわち、例えばフィルタ層の数がnであ
って、波長の相異なる記録・再生光をn+1用いるシス
テムに適用する媒体では、各フィルタ層は、そのフィル
タ層に光入射側において最も近い情報保持層に使用され
る記録・再生光の吸収率が相対的に高く、かつ、そのフ
ィルタ層の光出射側に存在する情報保持層に使用される
記録・再生光の吸収率が相対的に低ければよい。なお、
この説明において、相対的に高い吸収率とは、好ましく
は80%以上、より好ましくは90%以上であり、相対
的に低い吸収率とは、好ましくは20%以下、より好ま
しくは10%以下である。
【0068】フィルタ層を複数設ける場合、すべてのフ
ィルタ層に同種の光吸収材料を用いる必要はない。例え
ば、金属層や干渉フィルタと色素含有フィルタ層とを組
み合わせて用いてもよい。
【0069】なお、図3において、データ層とサーボ層
との間にフィルタ層を設ける替わりに、サーボ基体20
表面に設けた反射層(サーボ層SL)を、フィルタ層と
して利用することもできる。また、本発明を再生専用型
媒体に適用する場合には、透明層またはフィルタ層にピ
ットを形成し、そのピット形成面にスパッタ法等により
半透明の反射層を形成して、この反射層をデータ層とし
て利用することがあるが、この場合、金属、半金属等か
ら構成した反射層をフィルタ層としても利用することが
できる。これらの場合、情報保持層を兼ねる各フィルタ
層は、そのフィルタ層に使用される記録・再生光の反射
率が相対的に高く、かつ、そのフィルタ層に光入射側に
おいて最も近い情報保持層に使用される記録・再生光の
反射率が相対的に低ければよい。また、そのフィルタ層
の光出射側にさらに情報保持層が存在する場合には、そ
れらの情報保持層に使用される記録・再生光の透過率が
相対的に高ければよい。
【0070】波長の相異なる複数の記録・再生光それぞ
れの具体的波長は特に限定されないが、各記録・再生光
の波長の差は好ましくは50〜700nm、より好ましく
は100〜400nmである。この波長差が小さすぎる
と、フィルタ層に急峻な分光吸収特性が必要となるた
め、フィルタ層構成材料の選択が困難となる。一方、こ
の波長差が大きすぎると、媒体全体としての記録密度を
高くできなくなったり、十分なサーボ精度が得られなく
なったりする。
【0071】複数の記録・再生光が存在する波長域は、
好ましくは300〜1000nm、より好ましくは400
〜800nmである。これより短い波長のレーザー光を発
振する半導体レーザーは入手が困難であり、一方、長い
波長のレーザー光を用いると、高密度の記録および高密
度記録された情報の再生が困難となる。
【0072】透明層 図3における透明層は、記録・再生光に対し透過率の高
い材料から構成することが好ましい。透明層の構成材料
は特に限定されないが、透明層は比較的厚い必要がある
ことから、樹脂を用いることが好ましい。透明層の形成
方法は特に限定されないが、均質な透明層を短時間で形
成できることから、樹脂、特に紫外線硬化型樹脂等の活
性エネルギー線硬化型樹脂から構成することが好まし
い。
【0073】紫外線硬化型樹脂から構成された透明層
は、フィルタ層の説明において述べたように、光重合開
始剤の影響により短波長域において比較的急峻な吸収を
示すことになる。したがって、短波長域の記録・再生光
に対し透明性を確保するためには、利用する記録・再生
光の波長に応じ光重合開始剤の種類を適宜選択する必要
がある。
【0074】なお、基体2に接して透明層が存在する場
合、両者の界面での反射を抑えるために、記録・再生光
の波長において、透明層の屈折率と基体の屈折率との差
が0.1以下であることが好ましい。
【0075】透明層の厚さは特に限定されず、データ層
間のクロストークが許容範囲に収まるように設定すれば
よい。具体的には、通常の光ピックアップを使用する場
合、透明層の厚さは30μm以上であることが好まし
い。ただし、透明層が厚すぎると、厚さ分布が大きくな
りやすく、また、内部応力が大きくなりやすく、また、
媒体の全厚が大きくなってしまうため、透明層の厚さは
100μm以下であることが好ましい。
【0076】一方、共焦点検出光学系を用いる場合、そ
の深さ方向の分解能に応じ、データ層間のクロストーク
が許容範囲に収まるように透明層の厚さを設定すればよ
い。具体的には、データ光の波長および共焦点検出光学
系の構成によっても異なるが、例えば、データ光の波長
を300〜1000nm程度とする場合には、透明層の厚
さは5μm以上であることが好ましい。共焦点検出光学
系を使う場合には、透明層の厚さは30μm未満とする
ことができ、20μm以下としても問題はない。
【0077】媒体がディスク状である場合、樹脂からな
る透明層はスピンコート法により形成することが好まし
い。スピンコート法では、比較的均質な透明層を形成で
きる。スピンコート法では、回転テーブルに固定した基
体の表面に樹脂を供給し、基体を回転させて、遠心力に
より樹脂を展延する。基体には、駆動装置に装填する際
に利用する中心孔が形成されているため、樹脂を回転中
心(基体の中央)に供給することはできず、回転中心か
ら等距離に環状に供給することになる。しかし、樹脂供
給位置が回転中心から離れるほど、ディスク内周部に比
べディスク外周部が厚くなってしまう。すなわち、透明
層の径方向での厚さむらが大きくなる。多層情報媒体で
はデータ層の積層数が多くなるにしたがって透明層の数
も増えるため、透明層の厚さ分布が累積されてしまう。
その結果、ディスク外周部においてデータ光が基体2に
垂直に入射したとしても、データ層表面で反射したデー
タ光は基体2に垂直とはならず、その結果、光ピックア
ップへの戻り光量が少なくなってしまう。そのため、内
周部と外周部とで再生出力が変動してしまうことにな
る。
【0078】共焦点検出光学系を備える光ピックアップ
では、光学系内にピンホールを配置し、このピンホール
を通った光により再生を行う。そのため、共焦点検出光
学系を備える光ピックアップを用いる場合は、フォーカ
スサーボの追従範囲が狭くなるので、透明層の厚さの均
一性がより高いことが要求される。
【0079】このような事情から、隣り合う2層のデー
タ層の記録情報保持領域(記録トラック存在領域)間、
または、データ層の記録情報保持領域とサーボ層のサー
ボ情報保持領域との間において、透明層の最大厚さと最
小厚さとの差は、好ましくは3μm以下であり、より好
ましくは2μm以下である。透明層の厚さ分布をこのよ
うに小さくすることにより、再生出力変動を抑制するこ
とができる。透明層の最大厚さと最小厚さとの差は小さ
いほど好ましいが、スピンコート法を用いる場合には、
上記差をゼロにすることは困難である。また、上記差が
上記した限定範囲内にあれば、再生出力変動に与える影
響は小さい。したがって、上記差は1μm未満にする必
要はない。ディスク状媒体では、記録情報保持領域は環
状であり、その幅は20〜50mm程度とするのが一般的
である。
【0080】なお、透明層以外の中間層、例えば、樹脂
またはこれと色素とを含有するフィルタ層、媒体表面に
設けられることのある保護層、接着層などもスピンコー
トにより形成することがあるが、これらの層において
も、厚さ分布が透明層と同様に小さいことが望まれる。
【0081】透明層、フィルタ層等の中間層の厚さ分布
を上記範囲内に抑えるためには、下記装置を用いて下記
の方法でスピンコートを行うことが好ましい。
【0082】以下、図3に示す媒体の透明層TL−1を
形成する場合を例に挙げて説明する。この方法では、ま
ず、図6および図7に示すように、回転テーブル200
上に、中心孔101を有する基体2を載置する。なお、
TL−1以外の透明層を形成する際には、基体2表面に
は情報保持層、またはこれと中間層とが設けられてい
る。基体2は、中心孔101が回転テーブル200の環
状の突起201に填め込まれて固定される。なお、これ
らの図は断面図であるが、断面に現れる端面だけを表示
し、奥行き方向の図示は省略してある。これ以降の断面
図においても同様である。
【0083】次いで、閉塞手段300により中心孔10
1を塞ぐ。この閉塞手段300は、中心孔101を塞ぐ
ための円板部301と、その中央に一体化された支持軸
302と、中心孔101に対向する側において円板部3
01に一体化された凸部303とを有する。凸部303
を、突起201の内周部に嵌合することにより、閉塞手
段300は回転テーブル200に固定されると共に、基
体2と閉塞手段300との位置決めを行うことができ
る。ただし、基体2および閉塞手段300の回転テーブ
ル200への固定方法は特に限定されず、例えば、基体
2と閉塞手段300とが嵌合した状態で、閉塞手段30
0を回転テーブル200に嵌合させるものであってもよ
い。
【0084】次に、図8に示すように、樹脂または樹脂
溶液からなる塗布液500を、吐出手段であるノズル4
00から吐出し、支持軸302の外周面に塗布液500
を供給する。このとき、回転テーブル200を比較的低
速、好ましくは20〜100rpmで回転させ、円板部3
01上に一様に塗布液が行き渡るようにする。
【0085】次いで、図9に示すように、回転テーブル
200を比較的高速で回転させることにより塗布液50
0を展延する。これにより、基体2上に透明層TL−1
が形成される。
【0086】塗布液の展延条件は特に限定されない。ス
ピンコート法において塗布液の粘度以外の条件を同一と
した場合、理論的には、塗膜の厚さは塗布液の粘度の平
方根に比例することが知られている。一方、回転数が大
きいほど、また、回転時間が長いほど塗膜は薄くなる。
したがって、スピンコート時の回転数および回転時間
は、形成する透明層TL−1の厚さおよび塗布液の粘度
に応じて適宜決定すればよい。
【0087】次に、図10に示すように閉塞手段300
を基体2から離間する。円板部301の外周縁の離間に
伴って、透明層TL−1の内周縁が盛り上がり、図示す
るように環状凸部600が形成される。環状凸部600
は、透明層TL−1を構成する樹脂が連続的に盛り上が
っている領域である。
【0088】用いる塗布液が紫外線硬化型樹脂を含有す
る場合、図11に示すように紫外線を照射して透明層T
L−1を硬化する。図11では、回転テーブル200上
で紫外線を照射しているが、回転テーブルとは別に硬化
用ステージを設けて、その上で硬化してもよい。また、
基体を回転させながら閉塞手段を離間してもよい。
【0089】この方法で形成される環状凸部600は、
その断面の輪郭が図示するように滑らかな曲線(弧状)
となる。一方、透明層TL−1を硬化した後に閉塞手段
300を離間した場合、環状に連続した凸部は形成され
ず、凸部が形成されるとしてもそれはバリの発生による
ものであり、周方向に連続する環状の凸部とはならな
い。また、この場合、硬化後の樹脂が破片となって基体
2上に飛散しやすいという問題もある。
【0090】環状凸部600の高さ、すなわち、透明層
表面から環状凸部頂部までの高さは、通常、1〜100
μmとなる。環状凸部600の幅、すなわち、透明層表
面の環状凸部近傍で最も低い位置から透明層の内周縁ま
での距離は、通常、0.5〜3mmとなる。なお、通常、
透明層が厚いほど環状凸部の高さおよび幅が大きくな
る。
【0091】1層目の透明層TL−1を形成した後、ス
パッタ法等を用いて1層目のデータ層DL−1を形成す
る。データ層は、その内周縁が透明層の内周縁よりも外
周側に位置するように形成される。
【0092】次いで、再び閉塞手段300を用いて2層
目の透明層TL−2を形成する。このとき、1層目の透
明層TL−1の内周縁には環状凸部600が存在する。
そのため、TL−1の形成に使用したものと同じ閉塞手
段300を用いると、環状凸部600によって樹脂の展
延が妨げられ、TL−2の形成に支障が生じやすい。ま
た、TL−2にも環状凸部が生じるため、TL−1の環
状凸部とTL−2の環状凸部とが重なってしまうため、
ディスク内周付近における透明層の厚さが設計値から大
きく外れ、データ層間の距離がディスク内周付近で広が
ってしまう。
【0093】このような問題を解決するために、本発明
では、複数の中間層を形成するに際し、各層の環状凸部
を互いにずらして形成する。図12に、透明層TL−1
〜TL−4とデータ層DL−1〜DL−4とを交互に設
けた基体2について、内周縁付近の断面図を示す。同図
では、基体2から遠い透明層ほど内径が大きくなってお
り、その結果、各透明層を積層した状態において、透明
層積層体の内周縁部は階段状となる。そして、この階段
状部のステップ面に、環状凸部600が露出している。
このように、他の透明層の環状凸部を被覆しないように
各透明層を階段状に積層すれば、上記問題を解決するこ
とができる。
【0094】透明層積層体の内周縁部をこのように階段
状とするためには、2層目の透明層TL−2を形成する
に際し、図13に示すような閉塞手段300を用いれば
よい。図13に示す工程は、透明層TL−1を設けた基
体2を用いるほかは図6に示す工程とほぼ同様である
が、用いる閉塞手段300が異なる。この閉塞手段30
0は、透明層TL−1よりも内径の大きな透明層を形成
するために、図6に示すものより円板部301の直径が
大きい。また、環状凸部600を跨いで透明層TL−1
の平坦部に接することができるように、円板部301の
下面をくり抜いた形状としてある。3層目以降の透明層
を形成する際には、同様な形状で、かつ、その直前に形
成された透明層の環状凸部をカバーできる円板部をもつ
閉塞手段を用いればよい。
【0095】上記方法において用いる閉塞手段は、ディ
スク基板の中心孔を塞ぐための円板部を少なくとも有す
るものであればよく、そのほかの構成は特に限定されな
い。ディスク基板の中心孔を塞ぐ閉塞手段を用いてスピ
ンコートする方法は、例えば特開平10−320850
号公報、同10−249264号公報、同10−289
489号公報、同11−195250号公報、同11−
195251号公報に記載されている。これらの公報に
は、樹脂層の径方向での厚さむらを低減するため、ディ
スク基板の中心孔を、板状部材、円板部、閉塞板、キャ
ップ等の閉塞手段により塞ぎ、この閉塞手段の中央付
近、すなわち回転中心付近に樹脂を供給する方法が記載
されている。なお、これら各公報には、多層情報媒体に
ついての記載はなく、また、スピンコートの際に樹脂層
の内周縁に環状凸部が形成される旨の記載もない。ま
た、これら各公報に記載された閉塞手段には、以下に説
明する問題点もある。
【0096】上記特開平10−320850号公報、特
開平10−249264号公報、特開平11−1952
50号公報には、閉塞手段である板状部材ないしキャッ
プをスピンコート後に取り外す方法が記載されておら
ず、工業的に利用することが困難である。また、これら
の公報には、閉塞手段をディスク基板から離間した後に
樹脂層を硬化することは記載されていない。
【0097】上記特開平10−289489号公報に
は、スピンコート後、閉塞手段である円板部を打ち抜き
または電磁石による吸着により取り外した後、ディスク
基板を回転させながら樹脂層を硬化することが記載され
ている。しかし、打ち抜きおよび電磁石により閉塞手段
を取り外す際には、閉塞手段に大きな加速度が加わるた
め、樹脂塗膜に乱れが生じやすい。
【0098】上記特開平11−195251号公報に
は、円形状のキャップの中央に支持体を一体化した構造
の閉塞手段が記載されている。同公報には、この支持体
を設けることにより、閉塞手段の着脱や位置合わせが容
易になる旨が記載されている。この支持体は、少なくと
も1つの孔を有する中空筒状のものであるか、複数の棒
状体である。中空筒の内部または複数の棒状体で包囲さ
れた領域に樹脂を注入した後、ディスク基板と閉塞手段
とを一体的に回転させることにより、ディスク基板上に
樹脂層が形成される。この閉塞手段を用いれば、閉塞手
段の取り外しは容易となる。同公報では、閉塞手段をデ
ィスク基板から離間した後、ディスク基板を静止させた
状態で樹脂層を硬化することが記載されている。
【0099】同公報では、閉塞手段の中空筒に設けられ
た孔または隣り合う棒状体の間から樹脂を流出させてス
ピンコートを行う。したがって、支持体の壁(孔以外の
領域)または棒状体に樹脂が堰き止められてしまう。ま
た、堰き止められた樹脂が、予測できないタイミングで
一挙にディスク基板上に流出することがある。そのた
め、塗膜にむらが生じやすい。また、この閉塞手段は、
樹脂と接触する面の形状が複雑であり、かつ、樹脂と接
触する面積が大きいため、閉塞手段の洗浄が困難であ
る。閉塞手段表面に樹脂が残存すると、塗膜にむらが生
じやすい。また、同公報の表1には、中空筒の外径が4
〜16mmの場合について塗膜の厚さ変動を調べている
が、この結果から、塗膜の厚さむらは中空筒の外径に依
存し、外径が大きいほど厚さむらが大きくなることがわ
かる。すなわち、中空筒の内部に樹脂を供給しても、塗
布開始位置は回転中心とは一致せず、中空筒の外周位置
が塗布開始位置となると考えられる。なお、樹脂は粘度
が比較的高いことを考慮すると、中空筒の外径を4mm未
満とすることは困難であるため、同公報記載の方法で
は、樹脂塗膜の厚さむらを著しく小さくすることは難し
い。
【0100】このような従来の閉塞手段に対し、図6に
示す閉塞手段300は、円板部301に支持軸302を
設けるため、媒体製造工程における閉塞手段300の取
り扱いが容易となり、特に、スピンコート後に閉塞手段
300を取り外すことが容易となる。
【0101】前記特開平11−195251号公報に
は、中空筒状の支持体または複数の棒状体からなる支持
体をキャップと一体化した閉塞手段が記載されている
が、これに比べ、図6に示す閉塞手段には以下に説明す
る利点がある。
【0102】前記特開平11−195251号公報で
は、支持体の壁または棒状体により樹脂が堰き止められ
てしまうため、前述したように塗膜にむらが生じやす
い。これに対し図6に示す閉塞手段では、支持軸の外周
面に塗布液を供給してスピンコートを行うため、塗膜に
むらが生じにくい。また、図6に示す閉塞手段では、樹
脂が付着するのは支持軸の外周面であるため、前記特開
平11−195251号公報に比べ閉塞手段の洗浄が容
易である。また、前記特開平11−195251号公報
では、中空筒状の支持体の内部に塗布液を供給するの
で、粘度の比較的高い塗布液の流動性を確保するために
支持体の外径を小さくすることができず、そのため、塗
布開始位置が回転中心から比較的遠くなってしまう。こ
れに対し図6に示す閉塞手段では、同公報に比べ支持軸
の外径を著しく小さくできるので、塗膜の厚さむらを著
しく低減できる。
【0103】なお、このような効果は、図6に示す構成
に限らず、円板部と支持軸とを有する閉塞手段であれば
実現する。図6に示す閉塞手段300は、円錐台状の円
板部301と、円柱状の支持軸302とを有するもので
あるが、このほか、例えば図14(A)〜図14(D)
にそれぞれ示す構成の閉塞手段も使用可能である。
【0104】図14(A)に示す閉塞手段は、図13に
示すものと同様に、下面をくり抜いた円錐台状の円板部
301と、逆円錐台状の支持軸302とを有する。この
閉塞手段を用いると、塗布液の塗布開始位置を円板部3
01の中央により近づけることができるので、塗膜の厚
さむらをさらに低減できる。しかも、支持軸302の全
体を細くする場合と異なり、支持軸302の機械的強度
の低下を抑えることができる。また、支持軸302をチ
ャック等により把持する場合に、落下しにくくなるの
で、閉塞手段の着脱および搬送の際に有利である。な
お、支持軸302の全体が逆円錐台状である必要はな
い。すなわち、支持軸302の少なくとも一部が円板部
301に向かって直径が漸減する円錐台状であって、か
つ、それより円板部に近い領域において支持軸の直径が
大きくならなければよい。
【0105】図14(B)に示す閉塞手段は、円板部3
01の断面形状が図14(A)とは異なる。円板部30
1上に塗布液をむらなく展延するためには、外周部に向
かって円板部301の厚さが漸減することが好ましい。
その場合、円板部301の断面において、塗布液が展延
される上縁の形状は、図14(A)に示すように直線状
であってもよく、図14(B)に示すように曲線状であ
ってもよい。また、図14(C)に示すように、円板部
301の外周が垂直面であってもよい。ただし、図14
(C)において円板部301の外周における厚さtは、
好ましくは0.4mm以下である。厚さtが大きすぎる
と、中間層をむらなく塗布することが難しくなる。ま
た、図14(D)に示すように円板部301の厚さを均
一としてもよい。
【0106】図14(A)〜図14(D)にそれぞれ示
す閉塞手段は、2層目以降の中間層の形成に対応させる
ために、円板部301の下面をくり抜いた形状としてあ
る。
【0107】閉塞手段において、円板部301近傍にお
ける支持軸302の最小直径は、好ましくは4mm未満、
より好ましくは2mm以下である。円板部301近傍にお
ける支持軸302の直径が大きすぎると、塗布開始位置
が円板部301の中央から離れることになり、中間層の
径方向における厚さむらが大きくなってしまう。ただ
し、円板部301近傍における支持軸302の直径が小
さすぎると、支持軸302の機械的強度が不十分となる
ので、上記最小直径は好ましくは0.5mm以上、より好
ましくは0.7mm以上である。支持軸302の長さは特
に限定されず、その外周面への塗布液の供給が容易とな
るように、また、把持する際の取り扱いの容易さなどを
考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜100
mm、より好ましくは10〜30mmとする。支持軸302
が短すぎると、外周面への塗布液の供給がしにくくな
り、また、把持もしにくくなる。一方、支持軸302が
長すぎると、取り扱いが面倒になる。
【0108】円板部301の直径は、ディスク基板の中
心孔101の直径よりも大きく、かつ、ディスク基板が
有する環状の情報保持層の内径よりも小さければよい。
ただし、塗布液500が円板部301の下面に回り込ん
で中心孔101の周面(ディスク基板の内周面)を汚染
することがあるので、円板部301の直径は中心孔10
1の直径よりも4mm以上、特に8mm以上大きいことが好
ましい。また、円板部301を取り外す際に、その近傍
の中間層の形状に乱れが生じやすいので、円板部301
の直径は情報保持層の内径よりも3mm以上、特に5mm以
上小さいことが好ましい。具体的な寸法は、中心孔の直
径および情報記録領域の内径によっても異なるが、通
常、直径60〜130mm程度の光ディスクの製造に適用
する場合には、円板部301の直径は20〜40mm、特
に25〜38mmの範囲内とすることが好ましい。
【0109】閉塞手段の構成材料は特に限定されず、金
属、樹脂、セラミックス等のいずれであってもよく、こ
れらの2種以上を用いた複合材料であってもよい。ま
た、円板部301と支持軸302とを相異なる材料から
構成してもよい。ただし、機械的強度、耐久性、寸法精
度が良好であることから、閉塞手段は金属から構成する
ことが好ましい。金属としては、例えばステンレス合
金、アルミニウム、アルミニウム合金が好ましい。
【0110】閉塞手段300の表面、特に円板部301
の全表面は、塗布液よりも表面張力が低いことが好まし
い。閉塞手段300の表面が塗布液に対し濡れにくけれ
ば、閉塞手段の表面に付着した塗布液の洗浄が容易とな
る。表面張力の制御は、閉塞手段の構成材料を適宜選択
することによっても可能であるが、表面張力を低くした
い領域にテフロン(登録商標)加工等の撥水・撥油処理
を施すことが好ましい。
【0111】サーボ層 サーボ層は、トラッキングサーボ情報を保持する凹凸が
設けられたサーボ基体20表面に形成された反射層であ
り、前記凹凸に対応するトラッキングサーボ情報を保持
する。前記凹凸としては、グルーブおよび/またはピッ
トが一般的である。
【0112】サーボ層を構成する反射層の構成は特に限
定されず、従来の光情報媒体に設けられる反射層と同様
とすればよく、通常、Al、Au、Ag、Pt、Cu、
Ni、Cr、Ti、Si等の金属または半金属の単体あ
るいはこれらの1種以上を含む合金などから構成すれば
よい。反射層の厚さは、通常、10〜300nmとするこ
とが好ましい。厚さが前記範囲未満であると十分な反射
率を得にくくなる。また、前記範囲を超えても反射率の
向上は小さく、コスト的に不利になる。反射層は、スパ
ッタ法や蒸着法等の気相成長法により形成することが好
ましい。
【0113】データ層 本発明を光記録媒体に適用する場合、データ層には記録
材料を含有する記録層が少なくとも含まれる。本発明が
適用される光記録媒体は特に限定されず、例えば、相変
化型記録材料を用いた書き換え可能型媒体または追記型
媒体、光磁気記録材料を用いた書き換え可能型媒体、有
機色素を記録材料として用いた追記型媒体等のいずれで
あってもよい。ただし、他の記録材料に比べ光透過率が
高く、そのため記録層の積層数を多くできることから、
相変化型記録材料を用いることが好ましい。
【0114】相変化型記録材料の組成は特に限定されな
いが、少なくともSbおよびTeを含有するものが好ま
しい。SbおよびTeだけからなる記録層は、結晶化温
度が130℃程度と低く、保存信頼性が不十分なので、
他の元素を添加することが好ましい。この場合の添加元
素としては、元素M(元素Mは、In、Ag、Au、B
i、Se、Al、P、Ge、H、Si、C、V、W、T
a、Zn、Ti、Ce、Tb、Sn、Pb、Pdおよび
Yから選択される少なくとも1種の元素である)が好ま
しい。これらのうちでは、保存信頼性向上効果が高いこ
とから、特にGeが好ましい。
【0115】記録層構成元素の原子比を 式I SbaTebc で表し、 a+b+c=1 としたとき、好ましくは a=0.2〜0.85、 b=0.1〜0.6、 c=0〜0.25 であり、より好ましくは c=0.01〜0.25 である。Sb含有量が少なすぎると、結晶化速度が十分
に速くならないため、オーバーライトが困難となる。一
方、Sb含有量が多すぎると、結晶化速度が速くなりす
ぎて、非晶質記録マークを形成することが難しくなる。
M含有量が少なすぎると、M添加による効果が不十分と
なり、M含有量が多すぎると、相変化に伴なう反射率変
化が小さくなって十分な変調度が得られにくい。Te含
有量が少なすぎると、非晶質化が困難となって記録マー
クを形成することが難しくなる。一方、Te含有量が多
すぎると、結晶化速度が遅くなってオーバーライトが困
難となる。
【0116】相変化型記録媒体は、一般に書き換え可能
型媒体として使用されるが、本発明では、追記型媒体と
して使用してもよい。この場合の追記型媒体とは、記録
は可能であるが、いったん記録された記録マークの消去
については保証されない媒体であり、記録済みの記録ト
ラックの記録マークを消去して再度記録することはしな
い媒体である。追記型媒体として使用することによる利
点を、以下に説明する。
【0117】多層記録媒体では記録層を複数重ねるた
め、記録・再生光の光量損失が大きくなる。そのため、
記録層はできるだけ薄くする必要がある。しかし、記録
層を薄くすると、記録光照射後の記録層の冷却速度が速
くなってしまう。冷却速度が速くなると結晶化しにくく
なるため、消去率を確保するために記録層を結晶化しや
すい組成とする必要がある。すなわち、記録層の結晶化
速度を比較的速くする必要がある。しかし、結晶化速度
の速い記録層には、以下に説明するセルフイレーズが発
生しやすいという問題がある。記録時には、記録光のビ
ームスポットから記録層面内方向に熱が拡散し、この熱
によって記録マークの冷却が阻害される。記録層の結晶
化速度が速いと、この冷却阻害により記録マークの一部
が再結晶化してしまい、記録マークが縮小してしまう。
具体的には、記録マーク先端部(ビームスポットが先に
照射された部位)が消去されたり、記録マーク後端部が
消去されたりする。このような現象を、本明細書ではセ
ルフイレーズという。セルフイレーズが生じると、C/
N低下やジッタ増大が生じる。
【0118】このように、記録層を薄くした場合には、
消去特性を十分に確保し、かつ、セルフイレーズを抑制
することは困難である。これに対し、相変化型記録層を
有する媒体を追記型媒体として使用する場合には、記録
マークを消去する必要がないので記録層の結晶化速度を
考慮する必要がなくなる。そのため、記録層の組成制御
により、セルフイレーズの影響が実質的に生じない程度
まで記録層の結晶化速度を低下させても問題はない。ま
た、オーバーライトを行う場合には、記録時の媒体の線
速度が速いほど記録層の結晶化速度を速くする必要があ
り、そのためセルフイレーズも生じやすくなる。しか
し、オーバーライトではなく1回記録だけを行うのであ
れば、セルフイレーズの生じにくい比較的遅い結晶化速
度をもつ記録層に、高線速度、例えば10m/s程度以上
の線速度で記録を行うことができるので、高いデータ転
送レートを容易に実現できる。
【0119】本発明では、上述したように記録層を複数
重ねるため、記録・再生光の光量損失が大きくなる。そ
のため、記録層としての機能が損なわれない範囲におい
て、記録層はできるだけ薄いことが好ましい。ただし、
薄すぎると記録層としての機能が損なわれる。そのた
め、記録層の厚さは、好ましくは2〜50nm、より好ま
しくは4〜20nmとする。
【0120】相変化型の記録層を用いる場合、データ層
は図3にDL−1として例示する構造とすることが好ま
しい。このデータ層は、記録層4を第1誘電体層31お
よび第2誘電体層32で挟んだ構造である。この構造に
おいて、記録層および各誘電体層はスパッタ法により形
成することが好ましい。誘電体層に用いる誘電体として
は、例えば、Si、Ge、Zn、Al、希土類元素等か
ら選択される少なくとも1種の金属成分を含む各種化合
物が好ましい。化合物としては、酸化物、窒化物、硫化
物またはフッ化物が好ましく、これらの化合物の2種以
上を含有する混合物を用いることもできる。各誘電体層
の厚さは10〜500nmであることが好ましい。
【0121】本発明では、記録・再生光の光量損失を低
減するために記録層を薄くすることが好ましいが、相変
化型記録層を薄くすると変調度が低くなってしまう。す
なわち、非晶質記録マークと結晶質領域とで反射率の差
が小さくなってしまう。この変調度を高くするために
は、誘電体層を、屈折率の異なる複数の層の積層体とす
ることが好ましい。また、このような多層構造とするこ
とにより、光学的設計の自由度が向上し、データ層全体
の光透過率を向上させることも可能である。多層構造の
誘電体層としては、例えば、フッ化マグネシウム層、フ
ッ化マンガン層、窒化酸化ゲルマニウム層および酸化ケ
イ素層から選択される少なくとも1層と、ZnS−Si
2層との積層体が挙げられる。
【0122】記録層を複数積層すると、各記録層に到達
する記録光の強度は、その記録層が媒体の記録光入射側
表面から遠いほど低くなる。そのため、到達する記録光
の強度に応じて、記録層の記録感度を調整することが好
ましい。相変化型記録材料などヒートモード記録が行わ
れる記録材料では、記録層を厚くすれば蓄熱性が向上す
るため、記録感度が向上する。そのため、必要に応じ、
記録光入射側表面から遠い記録層ほど相対的に厚くする
ことが好ましい。ただし、隣り合う2層の記録層は同じ
厚さとしてもよい。また、光入射側表面から遠い記録層
は、他の記録層を透過した記録・再生光を利用すること
になるので、各記録層の再生特性を均一化するために
は、光入射側表面に近い記録層ほど光透過率が高いこと
が好ましい。そのためにも、記録光入射側表面から遠い
記録層ほど厚くすることが好ましい。
【0123】なお、記録層の記録感度調整および透過率
調整は、記録層の組成を制御することにより行うことも
できる。その場合、すべての記録層の厚さを同一として
もよく、組成制御と厚さ制御とを組み合わせてもよい。
【0124】本発明は、再生専用型媒体にも適用でき
る。その場合のデータ層は、記録情報を保持するピット
を有する層であってもよく、追記型媒体にあらかじめデ
ータを記録した層であってもよい。前者の場合、通常、
透明層ないしフィルタ層にピットを形成し、そのピット
形成面にスパッタ法等により半透明の反射層を形成す
る。その場合、反射層がデータ層となる。半透明の反射
層としては、例えば極薄の金属層やSi層が挙げられ
る。このような再生専用型媒体では、再生信号出力を平
準化するために、データ層の反射率を制御してもよい。
その場合、到達する光量が少ないデータ層ほど反射率を
高くすればよい。また、反射率をこのように制御すれ
ば、光入射側表面に近いデータ層ほど光透過率を高くで
きるので、光入射側表面から遠いデータ層に到達する光
量の著しい減衰を防ぐことができる。
【0125】本発明において情報保持層の積層数は特に
限定されず、2層以上のいずれであってもよい。ただ
し、積層数が多すぎると媒体が厚くなりすぎ、また、ス
ピンコート法により形成される透明層の厚さ分布の影響
が大きくなるので、情報保持層の積層数は好ましくは1
0以下、より好ましくは6以下である。
【0126】情報保持層を複数重ねた場合には、情報保
持層からの反射光量が少なくなる。しかし、本発明者ら
の研究によれば、情報保持層の最大反射率が5%以下で
あっても、データ層では十分なC/Nが得られ、また、
サーボ層では十分なサーボ信号強度が得られることがわ
かった。ただし、反射率が低すぎるとC/Nやサーボ信
号強度が十分に確保できないので、情報保持層の最大反
射率は0.1%以上であることが好ましい。
【0127】基体2およびサーボ基体20 記録・再生光は基体2を通して照射されるので、基体2
は、これらの光に対して実質的に透明である材質、例え
ば、樹脂やガラスなどから構成することが好ましい。こ
れらのうち、取り扱いが容易で安価であることから、樹
脂が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ポリカーボ
ネート、エポキシ樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂を
用いればよい。ただし、例えば450nm程度以下の短波
長の記録・再生光を使用する場合、ポリカーボネートで
は記録・再生光の吸収率が高くなるため、その場合には
短波長域における光吸収率が低い材料、例えばアモルフ
ァスポリオレフィンを用いることが好ましい。
【0128】基体2の形状および寸法は特に限定されな
いが、通常、ディスク状であり、その厚さは、通常、5
μm以上、好ましくは30μm〜3mm程度、直径は50〜
360mm程度である。
【0129】図3に示すサーボ基体20は、基体2と同
様に樹脂やガラスから構成すればよいが、サーボ情報を
保持する凹凸を射出成形により容易に形成できることか
ら、樹脂から構成することが好ましい。なお、サーボ基
体20は、透明である必要はない。サーボ基体20の厚
さは特に限定されず、例えば基体2の説明において挙げ
た範囲内で適宜設定すればよい。ただし、基体2の剛性
が低い場合には、サーボ基体20を比較的厚くして、媒
体全体としての剛性を確保することが好ましい。
【0130】なお、以上では、フィルタ層を備え、波長
の相異なる複数の記録・再生光を用いるシステムに用い
られる多層情報媒体を例に挙げて説明した。しかし、本
発明による主要な効果は、多層情報媒体において中間層
に所定の物性をもたせることにより実現するので、本発
明はフィルタ層をもたない媒体についても有効である。
【0131】
【実施例】実施例1 サンプルNo.1 以下の手順で、図3に示す構造の光記録ディスクサンプ
ルを作製した。
【0132】両側表面を強化加工した厚さ1.2mm、直
径120mmのポリカーボネートディスクからなる基体2
の一方の面に、4層の透明層TL−1〜TL−4と4層
のデータ層DL−1〜DL−4とを交互に形成した。
【0133】各透明層は、紫外線硬化型樹脂をスピンコ
ートにより塗布後、紫外線を照射することにより形成し
た。硬化後の透明層の厚さは15μmであった。なお、
この厚さは、記録情報保持領域(ディスク中心から半径
20〜58mmの領域)の中間位置における値である。紫
外線硬化型樹脂は、TL−1には日本化薬社製B8(2
5℃における粘度4,900cP)を、TL−2には日本
化薬社製B16(25℃における粘度4,000cP)
を、TL−3には日本化薬社製B7(25℃における粘
度5,000cP)を、TL−4には日本化薬社製B5
(25℃における粘度8,400cP)をそれぞれ用い
た。各透明層の引張破壊伸びおよび引張弾性率を表1に
示す。
【0134】データ層に含まれる記録層4の組成(原子
比)は、 Sb22.1Te56.0Ge21.9 とした。記録層4の厚さは、データ光入射側表面に最も
近いものから順に、5nm、5nm、7nmおよび13nmとし
た。記録層4はマグネトロンスパッタによって形成し、
その厚さは、スパッタ時の投入電力、圧力、スパッタ時
間を制御することにより調整した。
【0135】各データ層に含まれる第1誘電体層31お
よび第2誘電体層32の厚さは、記録層の吸収率を確保
した上でデータ層全体の光透過率が高くなるように、7
5〜271nmの範囲内で設定した。これらの誘電体層は
いずれもマグネトロンスパッタにより形成し、組成はい
ずれもZnS(80モル%)−SiO2(20モル%)
とした。
【0136】一方、射出成形により形成され、幅0.7
6μm、深さ183nmのグルーブを設けた厚さ1.2m
m、直径120mmのポリカーボネートディスクからなる
サーボ基体20を用意した。このサーボ基体20のグル
ーブ形成面に、厚さ50nmのAu膜をスパッタにより形
成し、サーボ層SLとした。この反射層表面に、フィル
タ層FLを形成した。フィルタ層FLは、フタロシアニ
ン系色素(日本化薬社製のBlue-N)と紫外線硬化型樹脂
との混合物(色素含有量3質量%)をスピンコート塗布
した後、紫外線を照射することにより形成した。硬化後
のフィルタ層FLの厚さは11μmであった。フィルタ
層FLの引張破壊伸びは89.3%、引張弾性率は33
6MPaであった。フィルタ層FLの吸収率は、波長66
0nmにおいて95%、波長780nmにおいて8%であっ
た。なお、この吸収率は、透明板上に上記条件でフィル
タ層を単独で形成し、これについて測定した値である。
【0137】次に、基体2を含む積層体の最上面(最上
層のデータ層DL−4表面)に、紫外線硬化型樹脂(日
本化薬社製のB15)を滴下した後、サーボ基体20を
含む積層体を芯出ししながら載せ、全体を回転させた。
次いで、基体2を通して紫外線を照射することにより上
記紫外線硬化型樹脂を硬化した。これにより、基体2を
含む積層体とサーボ基体20を含む積層体とが、厚さ3
5μmの透明層TL−5を介して貼り合わされ、図3に
示す構造の光記録ディスクサンプルが形成された。透明
層TL−5の引張破壊伸びは3.4%、引張弾性率は1
324MPaであった。
【0138】サンプルNo.2(比較) 透明層TL−1〜TL−4に日本化薬社製B5を用いた
ほかはサンプルNo.1と同様にして作製した。
【0139】サンプルNo.3 データ層DL−4および透明層TL−4を設けなかった
ほかはサンプルNo.1と同様にして作製した。
【0140】サンプルNo.4(比較) データ層DL−4および透明層TL−4を設けなかった
ほかはサンプルNo.2と同様にして作製した。評価 上記各サンプルについて、情報保持領域の全域における
最大面振れ量と反り角を小野測器社製LM1200によ
り測定した。結果を表1に示す。
【0141】
【表1】
【0142】表1から、本発明にしたがって硬化中間層
の物性を制御することにより、反り角および面振れ量を
著しく低減できることがわかる。
【0143】
【発明の効果】本発明では、多層情報媒体における反り
角および面振れ量を著しく低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報媒体の構成例を示す部分断面図
である。
【図2】本発明の光情報媒体の構成例を示す部分断面図
である。
【図3】本発明の光情報媒体の構成例を示す部分断面図
である。
【図4】本発明の光情報媒体に対し記録または再生を行
うための光ピックアップの構成例を示す図である。
【図5】本発明の光情報媒体に対し記録または再生を行
うための光ピックアップの構成例を示す図である。
【図6】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図7】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図8】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図9】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図10】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図11】透明層の形成工程を説明する断面図である。
【図12】透明層およびデータ層を設けた基体の内周縁
付近を示す断面図である。
【図13】2層目の透明層の形成工程を説明する断面図
である。
【図14】(A)〜(D)は閉塞手段の構成例を示す断
面図である。
【符号の説明】
DL、DL−1、DL−2、DL−3、DL−4 デー
タ層 TL、TL−1、TL−2、TL−3、TL−4、TL
−5 透明層 FL フィルタ層 SL サーボ層 2 基体 20 サーボ基体 31 第1誘電体層 32 第2誘電体層 4 記録層 101 中心孔 200 回転テーブル 201 突起 300 閉塞手段 301 円板部 302 支持軸 303 凸部 400 ノズル 500 塗布液 600 環状凸部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上または一対の基体の間に、記録情
    報および/またはトラッキングサーボ情報を保持する情
    報保持層を少なくとも2層有し、他の少なくとも1層の
    情報保持層を透過した記録光または再生光により記録ま
    たは再生が行われる情報保持層が少なくとも1層存在
    し、それぞれの情報保持層の少なくとも一方の側に、樹
    脂を含有する中間層が存在し、 前記中間層の少なくとも1層は、活性エネルギー線硬化
    型樹脂を含有する硬化中間層であり、この硬化中間層の
    少なくとも1層は、引張破壊伸びが15〜200%かつ
    引張弾性率が20〜1000MPaである光情報媒体。
  2. 【請求項2】 基体の数が1であり、媒体の一方の表面
    が、樹脂を含有する保護層から構成され、この保護層
    は、前記硬化中間層よりも引張弾性率が高い請求項1の
    光情報媒体。
  3. 【請求項3】 前記硬化中間層が複数存在し、基体から
    遠いほど前記硬化中間層の引張弾性率が高い請求項2の
    光情報媒体。
  4. 【請求項4】 前記保護層が活性エネルギー線硬化型樹
    脂を含有する請求項2または3の光情報媒体。
  5. 【請求項5】 前記中間層に樹脂シートが含まれる請求
    項1〜4のいずれかの光情報媒体。
  6. 【請求項6】 前記樹脂シートの引張破壊伸びが15〜
    200%である請求項5の光情報媒体。
  7. 【請求項7】 前記情報保持層が、記録情報を保持する
    少なくとも1層のデータ層と、サーボ情報を保持する少
    なくとも1層のサーボ層とを独立して有する請求項1〜
    6のいずれかの光情報媒体。
JP2001229596A 2000-08-01 2001-07-30 光情報媒体 Pending JP2002260276A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001229596A JP2002260276A (ja) 2000-08-01 2001-07-30 光情報媒体

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000233784 2000-08-01
JP2000-233784 2000-12-25
JP2000392950 2000-12-25
JP2000-392950 2000-12-25
JP2001229596A JP2002260276A (ja) 2000-08-01 2001-07-30 光情報媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002260276A true JP2002260276A (ja) 2002-09-13

Family

ID=27344238

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001229596A Pending JP2002260276A (ja) 2000-08-01 2001-07-30 光情報媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002260276A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7859983B2 (en) 2003-07-15 2010-12-28 Sharp Kabushiki Kaisha Optical disk and optical disk recording and reproducing device
WO2013190626A1 (ja) * 2012-06-18 2013-12-27 パイオニア株式会社 記録媒体及び記録再生装置
WO2014049851A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 パイオニア株式会社 記録媒体及び記録再生装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7859983B2 (en) 2003-07-15 2010-12-28 Sharp Kabushiki Kaisha Optical disk and optical disk recording and reproducing device
WO2013190626A1 (ja) * 2012-06-18 2013-12-27 パイオニア株式会社 記録媒体及び記録再生装置
WO2013190949A1 (ja) * 2012-06-18 2013-12-27 パイオニア株式会社 記録媒体及び記録再生装置
WO2014049851A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 パイオニア株式会社 記録媒体及び記録再生装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4043175B2 (ja) 光情報媒体およびその製造方法
JP2002050053A (ja) 光情報媒体
US6667952B2 (en) Optical storage medium having a specific light transmitting layer for small laser beam and high linear velocity
US6590856B2 (en) Optical information medium
US6731591B2 (en) Optical information medium
JP4642539B2 (ja) 光記録媒体
US20040002018A1 (en) Manufacturing method of optical disc and optical disc thereby
US6603733B2 (en) Optical information medium
JP2002063738A (ja) 光情報媒体
JP2002117585A (ja) 光情報媒体
JP2002260276A (ja) 光情報媒体
JP4150514B2 (ja) 光情報媒体
WO2007058309A2 (ja) 光記録媒体の製造方法及び製造装置
US7993818B2 (en) Optical disk manufacturing method
JPH09288846A (ja) 情報記録媒体及びその再生方法
JPH1031844A (ja) 多層構造光情報媒体
JP4075007B2 (ja) 光情報記録媒体
JP2002092945A (ja) 光学記録媒体およびその製造方法
JP2005158226A (ja) 光学記録媒体および光学記録媒体の製造方法
WO2002035539A1 (fr) Procede de production de disques optiques
JP2004030729A (ja) 貼り合わせ光記録媒体
JP2004246960A (ja) 光ディスク
JP2007149148A (ja) 光記録媒体の製造方法
JP2001084653A (ja) 光学的情報記録媒体の製造方法
JP2007250031A (ja) 光ディスク製造装置、回転塗布装置および光ディスクの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040601

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060530