JP5708980B2 - 有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイス - Google Patents

有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP5708980B2
JP5708980B2 JP2010187464A JP2010187464A JP5708980B2 JP 5708980 B2 JP5708980 B2 JP 5708980B2 JP 2010187464 A JP2010187464 A JP 2010187464A JP 2010187464 A JP2010187464 A JP 2010187464A JP 5708980 B2 JP5708980 B2 JP 5708980B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
precursor
film
organic
organic semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010187464A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011071501A (ja
Inventor
後藤 大輔
大輔 後藤
山本 諭
諭 山本
匂坂 俊也
俊也 匂坂
拓司 加藤
拓司 加藤
岡田 崇
崇 岡田
雅人 篠田
雅人 篠田
真二 松本
真二 松本
匡貴 毛利
匡貴 毛利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2010187464A priority Critical patent/JP5708980B2/ja
Publication of JP2011071501A publication Critical patent/JP2011071501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5708980B2 publication Critical patent/JP5708980B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)

Description

本発明は脱離可能な溶解性基を有する前駆体膜(以下前駆体膜)を酸または塩基の存在
下で後処理することで、有機膜を得る有機電子デバイスの製造方法、およびそれによって
得られた有機電子デバイスに関する。
本発明の製造方法は、光電変換素子、薄膜トランジスタ素子、発光素子など種々の有機
電子デバイスの製造において有用である。
近年、有機半導体材料を利用した有機薄膜トランジスタの研究開発が盛んである。
これまでに、低分子誘導体の有機半導体材料として、ペンタセン等のアセン系材料が報告されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。
このペンタセンを有機半導体層として利用した有機薄膜トランジスタは、比較的高移動度であることが報告されているが、これらアセン系材料は汎用溶媒に対しきわめて溶解性が低く、それを有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層として薄膜化する際には、真空蒸着工程を経る必要がある。ゆえに、塗布や印刷などの簡便なプロセスで薄膜を形成できるという有機半導体材料への期待に応えるものではない。
さらに、ペンタセンと同様のアセン系材料の一つとして、ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの誘導体である下記式(1)の構造の2,7−ジフェニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(特許文献2、非特許文献2参照)は、オクタデシルトリクロロシランで処理した基板上に蒸着することにより、ペンタセンに匹敵する移動度(約2.0cm/V・s程度)を示し、また大気下での長期安定性も有する。
しかしながら、これは、ペンタセン同様真空蒸着工程を経る必要があり、塗布や印刷などの簡便なプロセスで薄膜を形成できるという有機半導体材料への期待に応えるものではない。
Figure 0005708980
ところで、有機半導体材料は、印刷法、スピンコート法、インクジェット法等のウェッ
トプロセスによる簡便な方法で容易に薄膜形成が可能であり、従来の無機半導体材料を利
用した薄膜トランジスタと比し、製造プロセス温度を低温化できるという利点がある。こ
れにより、一般に耐熱性の低いプラスチック基板上への形成が可能となり、ディスプレイ
等のエレクトロニクスデバイスが軽量化や低コスト化できるとともに、プラスチック基板
のフレキシビリティーを活かした用途等、多様な展開が期待できる。
そこで、液晶性を有し、かつ高い溶解性を有し、スピンコート、キャストなどで塗布可
能であり、同じくペンタセンに匹敵する移動度(約2.0cm/V・s程度)を示す同
じ誘導体である下記式(2)の構造の2,7−ジアルキル[1]ベンゾチエノ[3,2−
b][1]ベンゾチオフェンを塗工法により用いることが提案(非特許文献3参照)され
ている
Figure 0005708980
しかしながら、この場合は液晶相を発現する温度が100℃程度と比較的低く、製膜後も熱処理により膜構造の変化が生じ得るため、有機半導体デバイス作製におけるプロセス適応性に問題がある。
このように、近年、溶媒溶解性の高い低分子化合物を半導体前駆体とし、これを溶剤などに溶解し塗布プロセスで膜を形成し、そののち半導体に変換して有機半導体膜を得、電界効果トランジスタを作製する方法が報告されている。
例えば、ペンタセンあるいは類似の芳香族炭化水素(特許文献3、非特許文献4、5参照)、ポルフィリン(例えば、非特許文献6、7参照)、オリゴチオフェン(例えば特許文献3、非特許文献8参照)等を用いた例がある。
非特許文献4に記載されるように、有機半導体材料における電荷移動性(mobility)は、有機材料被膜の規則的な分子配列性(結晶化等のordering)に依存するので蒸着法によれば膜中の材料の分子配列性を確保することはできるが、他方、分子配列性を持つ有機材料は一般的に有機溶媒可溶性が低い。つまり、有機材料膜の半導体特性と膜成形容易性(塗工法による)とは一般的に相容れ難い。したがって、双方を両立させるには、唯一、可溶性基を有する前駆体を用いた塗工液により塗膜を形成後、塗膜中の前駆体を有機半導体材料に変換することが考えられる。これら文献の開示するところをそのような意味のものまで演繹して思考解釈すると、これら文献の貢献度は低くない。
しかしながら、これら特許文献3、非特許文献4〜5の具体例におけるペンタセン前駆体からはテトラクロロベンゼン分子が脱離するが、テトラクロロベンゼンは、沸点が高く反応系外に取り除くことが難しいことに加え、その毒性が懸念される。
加えて、これらのいずれの例も変換後の半導体分子が酸素や水に対して安定ではないため、大気下での取り扱いが難しいことに加え、前駆体膜を半導体膜に変換するためには、少なくとも150℃〜200℃程度の加熱処理が必要であるため、この加熱温度に耐える絶縁膜や樹脂基板材料などの支持体はポリイミドなどの耐熱性を有するものに限られてしまうことに問題があった。
すなわち、有機半導体層の製膜に限っても、上記したプロセス上での耐熱性の問題があり、変換する温度の低温化が求められているのが現状である、さらに加えて、この低温化の課題は絶縁膜、保護膜の形成時においても同様である。
本発明は上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、脱離性基を有する前駆体を用いた有機電子デバイスにおいて、特定範囲の前駆体を選択使用し、これに特定の変換手段を適用することにより、用いられる支持基板の耐熱温度が低い場合においても、前駆体膜を種々の機能を有する有機膜へと変換し、良好な特性の有機電子デバイスを提供すること、およびその製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、選択された特定の溶解性官能基を有する前駆体からなる薄膜を形成したのち、酸または塩基の存在で薄膜を後処理することにより、驚くべきことに従来よりもより低温での有機膜への変換が可能になり、半導体層、絶縁膜や支持体へのダメージを伴うことなく良好な特性を有する有機膜を形成できることを見出して、本発明に到達した。
すなわち、上記課題は以下の(1)〜()により達成される。
(1)「支持基板上に前駆体を成分として含む薄膜を形成する工程と、前記薄膜の後処理工程を含む有機電子デバイスの製造方法であって、
前記前駆体が、下記一般式(I)からなる基を少なくとも一つ有している化合物であり、前記後処理工程における前記薄膜の後処理を、酸の存在下加熱することを特徴とする有機電子デバイスの製造方法
Figure 0005708980
(式中、nは0以上の整数であり、Arは置換基を有していてもよい二価の芳香環または複素環基であり、Arはnが2以上の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Zは酸素原子または硫黄原子であり、 水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖または分岐の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、Rは水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1以上の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のアルコキシル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のチオアルコキシル基から選択される基である。)」、
)「前記第(1)項に記載の製造方法により形成された薄膜が、半導体膜、絶縁膜、保護膜のいずれかであることを特徴とする有機電子デバイスの製造方法」、
)「前記第(1)項に記載の製造方法により製造された有機電子デバイス」。

本発明によれば、前駆体膜から有機半導体膜への変換を比較的低温で行なうことができるため、支持体にプラスティックフィルムが使用でき、軽量かつ柔軟性に優れた壊れにくいデバイスを製造できる利点がある。
本発明で用いる前駆体は、必ずしも変換後に有機半導体として用いられる有機薄膜に限られるものではなく、保護膜、絶縁膜として用いる材料の前駆体であってもよい。
本発明の製造方法によれば、薄くて可撓性のある電界効果トランジスタが製造できるため、これを各画素のスイッチング素子に応用することで、可撓性のあるアクティブマトリックス表示素子が作製可能であるなど、幅広い応用ができる。
本発明の前駆体Precursor 1のトリフルオロ酢酸添加時のアニール前後のIRスペクトルおよび脱離したカルボン酸のIRスペクトルである。 本発明の有機薄膜トランジスタの概略図である。 本発明の製造方法により作製した有機薄膜トランジスタのI−V伝達特性図である。
以下、本発明の有機電子デバイスの製造方法、それによって製造された有機電子デバイスについて詳細に説明する。
本発明の製造方法には、上記のように、特定範囲の前駆体薄膜の形成工程と特定の後処理工程とが含まれる。
以下、本発明で用いられる前駆体が有機半導体前駆体である場合の各工程について詳細に説明するが、特に、別記ない限り、絶縁膜、保護膜についても同様の方法を用いることができる。ここで、保護膜とは、有機半導体層の上部に形成され、酸素・水等の透過、暴露を防ぐ膜のことを指す。
[薄膜形成工程]
薄膜形成工程においては、支持基板上に有機半導体の前駆体薄膜が形成される。
本工程に用いられる薄膜形成法は、前駆体薄膜の剥離が容易に生じないように支持基板上に形成可能なものであれば特に限定されるものではない。
しかし、先述のとおり有機半導体材料は、印刷法、スピンコート法等のウェットプロセスによる簡便な方法で容易に薄膜形成が可能であり、製造プロセス温度を低温化できるという利点を生かし、有機半導体の前駆体を溶媒に溶解させる等して、液状にし、これを塗布するプロセスを用いることが好ましい。
本発明の後述の後処理工程において、加熱時間、添加物を最適化することにより、支持体に過剰な熱を加えることなく、前駆体薄膜を有機半導体膜に変換することが可能であるため、前駆体薄膜形成工程においても、支持基板に過剰な熱を加えることなく製膜可能な方法を用いることが、耐熱性の低い支持基板であっても有機電子デバイスの支持基板として用いることができるようになる点で好ましい。
これら有機半導体前駆体薄膜の作製に用いる塗工液としては、通常有機半導体前駆体を溶媒に溶解させた液を用いる。
スプレーコート、スピンコート、ブレードコート、ディップコート、キャストティング、ロールコート、バーコート、ダイコート等の各種コーティング法、インクジェット印刷、ディスペンス、スクリーン印刷、凸版印刷、フレキソ印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法などのソフトリソグラフィーの手法等が挙げられ、さらに上記各手法を複数組み合わせて用いることができる。また、材料に応じて、適した上記製膜方法と、上記溶媒から適切な溶媒が選択される。
溶媒としては、前駆体と反応し得るような官能基を有さず、かつ適度に溶解あるいは分散させられることができるようなものであれば特に限定されることはなく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、アニソール等のアルコールおよびエーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、酢酸等に加えて、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等のエステル類ヘキサン、n−ドデカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラリン、ジメチルテトラリン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。
これらの溶媒は単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。またこれらの溶媒はあらかじめ乾燥、脱気処理を行なうことが望ましい。
形成される前駆体薄膜の厚みは、用途に応じて変えることが可能であるが、下限としては通常3nm以上、好ましくは5nm以上、上限が通常10μm以下、好ましくは1μm以下とされる。
以上は、絶縁膜、保護層の各前駆体についても同様である。
(有機半導体膜、絶縁膜、保護膜の前駆体の構造)
本工程に用いられる有機半導体膜および絶縁膜および保護膜の前駆体は、下記一般式(I)乃至(III)からなる群から選択される基を少なくとも一つ有していることを特徴とする。
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
(式中、nは0以上の整数であり、Arは置換基を有していてもよい二価の芳香族環基であり、Arはnが2以上のとき、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Zは酸素原子または硫黄原子であり、R乃至Rは水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖または分岐の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、Rは水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1以上の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のアルコキシル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のチオアルコキシル基から選択される基であり、Rは炭素数1以上の直鎖または分岐のアルコキシル基である。)
ここで、一般式(I)においてはR1はArで示される基と環を形成していてもよく、例えば、ArとR1でテトラリンのような芳香環と脂肪族炭化水素環が縮合したものであってもよい。
上記一般式(I)乃至(III)中の、Arが二価の官能基を表わす場合、Arとしては、以下のものを挙げることができる。
ベンゼン、ナフタレン、ピレン、フルオレン、9,9−ジメチルフルオレン、アズレン、アントラセン、トリフェニレン、クリセン、9−ベンジリデンフルオレン、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン、[2,2]−パラシクロファン、トリフェニルアミン、チオフェン、チエノチオフェン、ベンゾチオフェン、ジチエニルベンゼン、(フラン、ベンゾフラン、カルバゾール)、ベンゾジチアゾール等の2価基が挙げられ、これらは置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、ハロゲン基を置換基として有していてもよい。
上記置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素数が1以上の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、これらのアルキル基は更にハロゲン原子(たとえばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、シアノ基、フェニル基又は直鎖乃至分岐のアルキル基で置換されたフェニル基を含有してもよい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデカン基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロオクチル基、トリフルオロドデシル基、トリフルオロオクタデシル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、置換もしくは無置換のアルコキシ基またはチオアルコキシ基である場合は、上記アルキル基の結合位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアルコキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
上記一般式(I)乃至(III)中のR乃至Rとしては特に限定されないが、具体的には水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖または分岐の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基の具体的としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデカン基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロオクチル基、トリフルオロドデシル基、トリフルオロオクタデシル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベン また、炭素数1以上の直鎖または分岐のアルコキシル基または炭素数1以上の直鎖または分岐のチオアルコキシル基である場合は、上記に例示した官能基中で、ハロゲン原子を含まないアルキル基の結合位に酸素原子あるいは硫黄原子を挿入してアルコキシ基あるいはチオアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
直鎖または脂環式のアルケニル基としては、上記した炭素数2以上のアルキル基および炭素数2以上の脂環式のアルキル基の任意の炭素−炭素単結合を1つ以上二重結合としたものがあげられる。具体的には、エテニル基(ビニル基)、プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、1−シクロアリル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、1−シクロヘプテニル基、2−シクロヘプテニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロヘプテニル基等が挙げられる。なお、該アルケニル基はトランス体およびシス体が存在する場合は、トランス体およびシス体の何れであってもよく、またそれらの任意の割合の混合物であってもよい。
上記一般式(I)乃至(III)で示されるオキソカルボ−オキシエステル基もしくは−チオエステル基、カルボキシエステル基、又はチオカルボチオエステル基を少なくとも1つ以上含むことが要され、結晶性の低減、溶解性の観点から2つ以上含むことが好ましい。
上記(I)乃至(III)で表わされる基を有していることにより、上記有機半導体の前駆体は溶解性が高く、配列化(例えば典型的には結晶化)しにくいため、溶液から塗布することによりアモルファス状態ないしはアモルファスに近い良好な前駆体薄膜を形成することができるためである。
このようにして形成された前駆体薄膜は、後述の加熱工程において、エステル分解反応を行なうことにより、容易に分子配列性(例えば典型的には結晶性)の高い有機半導体膜に変換することができる。
また、同様の方法で材料を選択することにより絶縁膜、保護膜を得ることができる。
上記した官能基を有する前駆体の具体例としては、下記のものが挙げられるが、本発明の要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
(支持基板)
次に、本工程で用いられる支持基板について説明する。
支持基板の材料としては、前駆体薄膜が剥離することなく形成されるものであれば特に限定はされないが、例えば、ガラス、シリコン、樹脂、あるいはそれらの複合素材等の一般に用いられる基板を利用できる。また、導電性基板を用いることにより、ゲート電極と兼ねること、さらにはゲート電極と導電性基板とを積層した構造にすることもできる。
中でも、樹脂材料からなる板やフィルム、樹脂と無機材料の複合材料など各種組み合わせからなる複合材等を用いると、素子に可撓性を持たせることができるうえ、得られる積層体が軽量かつ柔軟なものになることから特に好ましい材料であるといえる。
本工程に用いられる支持基板は樹脂を含んでいてもよく、樹脂の含有量は特に制限されないが、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。
樹脂材料としては、このような材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂が挙げられる。
上記樹脂材料は、1種単独でも2種類以上を組みあせて用いることができる。
また、樹脂材料の他にSiOなどの微粒子等を含有させることもできる。充填剤の配合量は、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。
支持基板の厚みは、用途により適宜変えることができるが、下限として通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、最も好ましくは100μm以上であり、上限としては、通常1000μm以下、好ましくは、500μm以下、より好ましくは150μm以下である。支持基板の厚みが1μm以下であると、プロセス上のハンドリングが困難になり、また1mm以上では、デバイス化した際の厚み、重量がともに大きくなるため好ましくない。
支持基板は、加熱による前処理を行なったものが好ましい。加熱による前処理によって、支持基板の寸法変化率の低減が図れるためである。この前処理としては、デバイスを作製する際の加熱処理温度またはそれよりも高い温度で寸法変化率が充分に小さくなるまで加熱することが望ましい。加熱の方法としては、オーブン内で行なったり、インラインで行なうことができる。
また加熱処理後の支持基板の平滑性を示す指標であるRaは、0.1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以下、さらに好ましくは0.01μm以下である。電気伝導を担うキャリア(ホールおよび電子)は半導体と絶縁膜の界面近傍を移動するため、界面の凹凸は、移動度を下げる要因となり得、好ましくないためである。
一方で、表面荒さは好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上である。ロール等で搬送する場合においては、密着しないように多少の表面荒さを持たせる必要があるためである。
[後処理工程]
本後処理工程においては、前記薄膜形成工程によって形成された有機半導体および絶縁膜、保護膜の前駆体薄膜を後処理する。
本発明における後処理工程とは、薄膜形成工程で得られた前駆体薄膜を酸または塩基の存在下で処理することを特徴とする。処理とは、酸または塩基と前駆体薄膜を接触させることができる方法であれば特に限定はされない。この処理を行なう際に、必要であれば、同時に熱を加えてもよく、この後処理に伴い、前記一般式(I)乃至(III)で示される基において、エステル分解反応が生じ、脱離成分を脱離して、下記一般式(IV)乃至(VI)で示されるように置換基の構造変化が生じる。
脱離成分としては、二酸化炭素、アルコール、カルボン酸、スルホン酸、チオールおよび硫化カルボニル、オレフィン構造を有する誘導体等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
上記脱離成分を脱離することによって得られる化合物が有する官能基は、アルケニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基等が挙げられ、下記に例示する。
Figure 0005708980
(IV)式においてアルケニル基は分子末端に形成されるのみならず、脂肪族炭化水素環の内部、すなわち脂環式アルケニル基および芳香環が形成されることは容易に推測可能である。すなわち下記に一例を挙げて説明される。
Figure 0005708980
Figure 0005708980
(式中、nは0以上の整数であり、Arは置換基を有していてもよい二価の基であり、Arはnが2以上の場合それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Zは酸素原子または硫黄原子であり、R乃至RおよびRは水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖または分岐の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、Rは水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1以上の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のアルコキシル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のチオアルコキシル基から選択される基であり、Rは炭素数1以上の直鎖または分岐のアルコキシル基である。)
ここでR6はArで示される基と環を形成していてもよい。
通常、このエステル分解反応には、官能基の構造に依存するが、触媒を添加しない場合においては概ね150℃〜200℃程度の加熱が必要となる。炭化水素環内部アルケンを形成するような場合にはそれ以上の加熱(例えば200℃〜300℃)が必要となることもある。
加熱の方法には、支持体上で加熱する方法、オーブン内で加熱する方法、マイクロ波の照射による方法、レーザを用いて光を熱に変換して加熱する方法、光熱変換層を用いる等種々の方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
上記の酸または塩基は前駆体分子におけるエステル分解反応の触媒として働き、より低温での変換が可能となる。この触媒のメカニズムはまだ詳細には判明していないが、脱離反応においてはおそらく反応の第一段階であるエステル部位の切断が律速となり、この段階を触媒しているものと思われる。
これらの使用方法は特に限定はされないが、そのまま添加してもよいし、任意の溶媒に溶解させ溶液にして添加してもよいし、気化させてその雰囲気中で加熱処理を行なってもよいし、光酸発生剤および光塩基発生剤等を添加し、光照射によって系内で酸および塩基を得てもよい。
上記、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、蟻酸、リン酸等、2−ブチルオクタン酸を用いることができる。
また塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等のアミジン類などを用いることができる。
光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等のイオン性発生剤とイオン性光酸発生剤イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジスルホニルジアゾメタン、ニトロベンジルスルホネート等の非イオン性発生剤を挙げることができる。
光塩基発生剤としては、カルバマート類、アシルオキシム類、アンモニウム塩等を挙げることができる。
中でも揮発性の塩基または酸の雰囲気中に行なうのが、反応後の酸塩基の系外への除去の容易さを考えると好ましい。
加熱温度については、通常500℃以下、本発明の趣旨に基づくと、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下であり、特に好ましくは200℃以下であり、最も好ましくは150℃以下である。加熱温度が高すぎると加熱の際に有機半導体の昇華や分解が起こり得、加えて支持基板への熱のダメージが起こり得る点から好ましくない。
加熱時間については、通常0.5〜120分、好ましくは1〜60分、特に好ましくは1分〜30分である。0.5分以下であると、前駆体薄膜から有機半導体薄膜への変換が不充分になり得、120分以上は基板等へのダメージやタクトタイムの点から考えて好ましくない。
加熱の際の雰囲気については、塩基または酸の存在下、大気下においても行なうことが可能であるが、酸化等の副反応および水分の影響を除くため、加えて脱離した成分および触媒である酸または塩基の系外への排除を促すために、不活性ガス雰囲気下また減圧下で行なうことが望ましい。
(有機半導体膜、絶縁膜、保護膜に含まれる化合物の構造)
前記前駆体を含む膜が加熱による前記脱離反応を経て、半導体膜、あるいは絶縁膜、保護膜へと変換された際に含有する成分の構造を以下に例示(例示中のOSCはOrganic Semi−Conductor材料の略であるがその用途は半導体に限られるものではない)する。
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
Figure 0005708980
以上のように、前駆体に導入された置換基に対応した構造の成分を含有する有機半導体膜または絶縁膜または保護膜が得られる。
[電子デバイス]
本発明の製造方法は、例えば、電子デバイスに適用することができる。
電子デバイスの例を挙げると、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置などが挙げられる。
また、例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子などが挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振等が挙げられる。
現在、シリコン等の無機半導体で実現されている対応するデバイスとしては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー等、あるいはこれらの素子の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。
また、光により起電力を生じる太陽電池や、光電流を生じるフォトダイオード、フォトトランジスター等の光素子も挙げることができる。
本発明の製造方法を適用するのに特に好適な電子デバイスの例としては、電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。以下、このFETについて詳細に説明する。
「トランジスタ構造」
図3の(A)〜(D)は本発明に係わる有機薄膜トランジスタの概略構造である。
本発明に係わる有機薄膜トランジスタの有機半導体層(1)は、本発明の製造方法で得られた有機半導体薄膜から成る。この有機薄膜トランジスタには、空間的に分離されたソース電極(2)、ドレイン電極(3)およびゲート電極(4)が設けられており、ゲート電極(4)と有機半導体層(1)の間には絶縁膜(5)が設けられていてもよい。有機薄膜トランジスタはゲート電極(4)への電圧の印加により、ソース電極(2)とドレイン電極(3)の間の有機半導体層(1)内を流れる電流がコントロールされる。
有機薄膜トランジスタは、支持体上に設けることができ、例えば、ガラス、シリコン、プラスチック等の一般に用いられる基板を利用できる。
また、導電性基板を用いることにより、ゲート電極と兼ねること、さらにはゲート電極と導電性基板とを積層した構造にすることもできるが、有機薄膜トランジスタが応用されるデバイスのフレキシビリティー、軽量化、安価、耐衝撃性等の特性が所望される場合、プラスチックシートを支持体とすることが好ましい。
プラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等からなるフィルム等が挙げられる。
「製膜方法:有機半導体層」
先述の薄膜形成工程と同様、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびキシレン等の溶剤に溶解して、支持体上に塗布することによって前駆体薄膜を形成することができる。
これら前駆体薄膜の作製方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、ディスペンス法等が挙げられ、材料に応じて、適した上記製膜方法と、上記溶媒から適切な溶媒が選択される。
その後に、先述の後処理工程を経て、前駆体薄膜を有機半導体膜へと変換して、有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層が形成される。
有機薄膜トランジスタにおいて、有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、均一な薄膜(即ち、有機半導体層のキャリア輸送特性に悪影響を及ぼすギャップやホールがない)が形成されるような厚みに選択される。有機半導体薄膜の厚みは、一般に1μm以下、特に5〜200nmが好ましい。
有機薄膜トランジスタにおいて、有機半導体層は、ソース電極、ドレイン電極および絶縁膜に接して形成される。
「電極」
有機薄膜トランジスタに用いられるゲート電極、ソース電極、ゲート電極としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等、およびこれらの合金やインジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物、あるいはドーピング等で導電率を向上させた無機および有機半導体、例えば、シリコン単結晶、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ゲルマニウム、グラファイト、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等が挙げられる。
ソース電極およびドレイン電極は、上記導電性の中でも半導体層との接触面において、電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の形成方法としては、上記材料を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。
また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフィーやレーザアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
また、有機薄膜トランジスタは、必要に応じて各電極からの引出し電極を設けることができる。
「絶縁膜」
有機薄膜トランジスタにおいて用いられる絶縁膜には、種々の絶縁膜材料を用いることができる。
例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコウム酸化チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等の無機系絶縁材料が挙げられる。
また、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、無置換またはハロゲン原子置換ポリパラキシリレン、ポリアクリロニトリル、シアノエチルプルラン等の高分子化合物を用いることができる。絶縁膜の前駆体を製膜し、その膜を後処理することにより絶縁膜を得てもよい。
さらに、上記絶縁材料を2種以上合わせて用いてもよい。特に材料は限定されないが、中でも誘電率が高く、導電率が低いものが好ましい。
上記材料を用いた絶縁膜層の作製方法としては、例えば、CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法、蒸着法のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、キャスト法、ブレードコート法、バーコート法等の塗布によるウェットプロセスが挙げられる。
「HMDS等 有機半導体/絶縁膜界面修飾」
有機薄膜トランジスタにおいて、絶縁膜と有機半導体層の接着性の向上、ゲート電圧の低減、リーク電流低減等の目的で、これら層間に有機薄膜を設けてもよい。有機薄膜は有機半導体層に対し、化学的影響を与えなければ、特に限定されないが、例えば、有機分子膜や高分子薄膜が利用できる。
有機分子膜としては、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン、フェニルトリクロロシラン等を具体的な例としたカップリング剤が挙げられる。
また、高分子薄膜としては、上述の高分子絶縁膜材料を利用することができ、これらが絶縁膜の一種として機能していてもよい。また、この有機薄膜をラビング等により、異方性処理を施していてもよい。
「保護層」
有機トランジスタは、大気中でも安定に駆動するものであるが、機械的破壊からの保護、水分やガスからの保護、またはデバイスの集積の都合上の保護等のため必要に応じて保護層を設けることもできる。保護膜の前駆体を製膜し、その膜を後処理することで保護膜を得てもよい。
「応用デバイス」
有機薄膜トランジスタは、液晶、有機EL、電気泳動等の表示画像素子を駆動するための素子として利用でき、これらの集積化により、いわゆる「電子ペーパー」と呼ばれるディスプレイを製造することが可能である。
また、ICタグ等のデバイスとして、本発明の有機薄膜トランジスタを集積化したICを利用することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
以下の実施例で用いるPrecursor 1乃至6は特願2008−107581に記載の方法に従って、合成を行なった。この出願に記載の合成法を援用して、以下、具体的に説明する。
本発明で用いる前駆体Precursorの製造方法としては、Suzukiカップリング反応による方法、Stilleカップリング反応よる方法、Kumadaカップリング反応、Negishiカップリング反応による方法、Hiyamaカップリング反応による方法、Sonogashira反応による方法、Heck反応による方法、などに代表される種々のカップリング反応を用いて行なう、公知の方法が例示される。これらのうち、Stilleカップリング反応を用いる方法が、誘導体化が容易であるのと、反応性、収率の観点から特に好ましい。
Stilleカップリング反応によって合成する例を以下に挙げる。
下記一般式(VII)で表わされる[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体(2,7−ハロゲン化[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン)と、下記一般式(VIII)で表わされる有機スズ誘導体とをパラジウム触媒の存在下で、反応させることにより本発明で用いた前駆体Precursorが製造される。
Figure 0005708980
(式中、Xは塩素原子、臭素原子あるいはヨウ素原子を表わす。)
Figure 0005708980
(式中、Arは置換基を有していてもよい二価の基を表わし、Yは有機スズ官能基を示す。)
Stilleカップリング反応による合成方法において、前記一般式(VII)で表わされるハロゲン化[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体におけるハロゲン原子としては、反応性の点からヨウ素あるいは臭素が好ましい。
前記一般式(VIII)で表わされる有機スズ誘導体としては、SnMe基やSnBu基などのアルキルスズ基を有する誘導体を用いることができる。
パラジウム触媒としては例えばパラジウムブロマイド、パラジウムクロライド、パラジウムヨージド、パラジウムシアニド、パラジウムアセテート、パラジウムトリフルオロアセテート、パラジウムアセチルアセトナト[Pd(acac)2]、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(OAc)2(PPh3)2]、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh3)4]、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム[Pd(CH3CN)2Cl2]、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム[Pd(PhCN)2Cl2]、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム[Pd(dppe)Cl2]、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム[Pd(dppf)Cl2]、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム〔Pd[P(C6H11)3]2Cl2〕、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh3)2Cl2]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム[Pd2(dba)3]、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)2]等が挙げられるが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh3)4]、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム[Pd(dppe)Cl2]、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh3)2Cl2]等のホスフィン系触媒が好ましい。
上記の他にパラジウム触媒として、反応系中においてパラジウム錯体と配位子の反応により合成されるパラジウム触媒を用いることができる。配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリス(n−ブチル)ホスフィン、トリス(tert−ブチル)ホスフィン、ビス(tert−ブチル)メチルホスフィン、トリス(i−プロピル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジフェニルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−メチルビフェニル、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノブタン、ジフェニルホスフィノエチレン、ジフェニルホスフィノフェロセン、エチレンジアミン、N,N’,N’’,N’’’−テトラメチルエチレンジアミン、2,2’−ビピリジル、1,3−ジフェニルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ジメチルジヒドロイミダゾリリデン、ジエチルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデンが挙げられ、これらの配位子のいずれかが配位したパラジウム触媒をクロスカップリング触媒として用いることができる。
反応溶媒としては、原料と反応し得るような官能基を有さず、かつ原料を適度に溶解させられるようなものが望ましく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のアルコールおよびエーテル系、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の他、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等をあげることができる。これらの溶媒は単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。またこれらの溶媒はあらかじめ乾燥、脱気処理を行なうことが望ましい。
上記反応の温度は、用いる原料の反応性、また、反応溶媒により適宜設定され、通常0℃〜200℃の範囲で行なうことが可能であるが、いずれの場合も溶媒の沸点以下に抑えることが好ましい。加えて脱離性基の脱離温度以下に抑えることが好ましく、具体的には室温〜150℃の範囲が好ましく、特に好ましくは50〜100℃の範囲である。
上記反応における反応時間は、用いる原料の反応性において適宜設定することができ、2〜72時間が好適であり、さらには、6〜24時間がより好ましい。
以上のようにして得られた前駆体Precursorは反応に使用した触媒、未反応の原料、また、反応時に副生する有機スズ誘導体等の不純物を除去して使用される。これらの精製は再沈澱法、カラムクロマト法、吸着法、抽出法(ソックスレー抽出法を含む)、限外濾過法、透析法、触媒を除くためのスカベンジャーの使用等をはじめとする従来公知の方法を使用できる。
<製造例1>
([1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンユニットの合成1)
表記[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンのジハロゲン誘導体は、Zh.Org.Khim.,16,2,383(1980)およびJ.Am.Chem.Soc.128,12604(2006)を参考にして下記の反応式(式中のDMFはジメチルホルムアミド)で行ない、下記誘導体7のジハロゲン体を得た。(収量5g、収率30.5%)
Figure 0005708980
上記反応式中に示されるジハロゲン誘導体7の分析結果を以下に示す。
H NMR (400 MHz, CDCl, TMS, δ):7.62 (d, 2H, J=8 Hz), 7.75 (dd, 2H, J1=8 Hz J2=4 Hz), 8.26 (d, 2H, J=4 Hz)
質量分析:GC−MS m/z = 492 (M+)
元素分析値:C,34.40;H,1.19(実測値)C,34.17;H,1.23(計算値)
融点300℃以上
以上の分析結果から、合成したものが、誘導体7の構造と矛盾がないことを確認した。
(溶解性脱離ユニットの合成1)
本発明で用いる前駆体Precursorを製造する際に用いられる溶解性の脱離性基ユニットは、Chem. Mater. 16, 4783(2004)およびJ.Am.Chem.Soc.126,1596(2006)を参考にして下記の反応式(式中のLAHはリチウムアルミニウムヒドライド、DMAPは4−ジメチルアミノピリジン、LDAはリチウムジイソプロピルアミド)に従って行ない、下記誘導体11のトリブチルスズ誘導体を得た。
Figure 0005708980
上記トリブチルスズ誘導体11の分析結果を以下に示す。
H NMR (400 MHz, CDCl, TMS, δ):7.13 (d, 1H, J=4 Hz), 7.00 (d, 1H, J=4 Hz), 6.03 (t, 1H, J=4 Hz), 2.23−2.39 (m, 1H), 1.92−2.05 (m, 2H), 0.78−1.53 (m, 55H)
質量分析:GC−MS m/z = 614.3 (M+)
以上の分析結果から、合成したものが、誘導体11の構造と矛盾がないことを確認した。
(前駆体Precursor 1の合成)
以下の反応式に従って、上記目的物の合成を行なった。
Figure 0005708980
3つ口フラスコに、7(1299mg,2.1mmol),1(492.5mg,1mmol),DMF/Toluene(10mL,1/1=v/v)を取り、30分間Arガスでバブリングを行なった後、Pd(dba)(2mol%,18.3mg),P(o−toly)(8mol%,24.4mg)、DMF/Toluene(4mL)を加え、Arガスで10分間バブリングし、80℃(±5℃)で12時間加熱を行なった。室温に戻し、トルエン100mLを加え、飽和食塩水200mLを加え、有機層を分液、水層をトルエンで3回抽出し、合わせた有機層をフッ化カリウム飽和水溶液200mLで洗浄し、さらに飽和食塩水で3回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、濾液を濃縮し、褐色の固体(1020mg)を得た。
カラム精製(溶離液:トルエン)を行ない、オレンジ色の固体(800mg)を得た。
さらに、リサイクルGPC(溶離液:THF、日本分析社製)により精製を行ない、オレンジ色の結晶(収量500mg、収率56.5%)を得た。
上記前駆体Precursor 1の分析結果を示す。
H NMR (400 MHz, CDCl, TMS, δ):8.09 (d, 2H, J =0.85 Hz), 7.84 (d, 1H, J = 4.2 Hz), 7.4(dd, 2H, J = 0.85 Hz, J = 4.2 Hz), 7.25 (d, 2H, J = 1.9 Hz), 7.04 (d, 2H, J = 1.9 Hz), 5.97 (t, 2H, J = 6.9), 2.34−2.37 (m, 2H), 1.96−2.07 (m, 4H), 1.60−1.63 (m, 4H), 1.43−1.46 (m, 4H), 1.17−1.26 (m, 24H), 1.00 (t, 6H, J =7.2 Hz), 0.78−0.85 (m, 12H)
元素分析値:C,70.40;H,7.94;S,14.2(実測値)C,0.54;H,7.74;S,14.49(計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、上記前駆体Precursor 1の構造と矛盾がないことを確認した。
<製造例2>
(溶解性脱離ユニットの合成2)
表記溶解性脱離ユニットは特願2009-209911に記載の方法に従って下記スキームに基づいて合成することが可能である。アルキル鎖の異なるものについても、対応するアルキル鎖を有するカルボン酸を用いることで合成が可能である。詳細は上記文献を参照。 式中、NBSはN-ブロモスクシンイミド、AIBNはアゾビスイソブチロニトリル、DMFはジメチルホルムアミドの略称である。
Figure 0005708980
化合物14から化合物15の合成
100mLの丸底フラスコにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物 (3.62 g, 20 mmol)、カプロン酸 (2.51 mL, 20 mmol)、DMF (30 mL)を入れ、アルゴン置換した後、室温で2.5時間攪拌した。そこへ、化合物14 (4.16 g, 10 mmol)を加え、さらに室温で16時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチル100 mLで希釈し、純水200 mLを加え、有機層を分離した。水層は酢酸エチル30 mLで4回抽出し合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾液を濃縮し、オレンジ色のオイルを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:トルエン→酢酸エチル/トルエン (5/95, v/v))にて精製することにより、無色のオイルとして化合物15を得た。(収量2.44 g, 収率50.2 %)
以下に化合物15の分析結果を示す。
H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, δ): 0.87-0.90 (m, 6H), 1.24-1.34 (m, 8H), 1.60-1.67 (m, 4H), 1.90-1.94 (m, 2H), 2.23-2.34 (m, 6H), 5.98 (d, 2H, J =3.5 Hz), 7.06 (d, 2H, J =8.0 Hz), 7.63-7.66 (m, 2H)
質量分析:GC-MS m/z = 486 (M+)

以上の分析結果から、合成したものが、化合物15の構造と矛盾がないことを確認した。
(ジトリメチルスタニル体の合成)
表記ジトリメチルスタニルユニットは特願2009-209911に記載の方法に従って下記スキームに基づいて合成することが可能である。チエノチオフェン以外の骨格(ジベンゾチオフェン、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン)についても同様に反応を行うことが可能であり、水素置換体以外にも臭素やヨウ素などのハロゲン体を用いることができる。詳細は上記文献を参照。
Figure 0005708980
化合物16の合成
十分に乾燥させた200 mLの丸底フラスコに、チエノ[3, 2-b]チオフェン(2.81 g, 20.0 mmol)を入れ、アルゴン置換を行った後、脱水テトラヒドロフラン(以下THF) (50 mL)を加え、アセトン-ドライアイス浴で-78 ℃まで冷却し、n-ブチルリチウム(2.2eq, 28.1 mL (1.6 Mヘキサン溶液), 44 mmol)を15分かけて滴下し、反応系内を室温まで昇温し、そのまま16時間攪拌を行った。再び-78℃に冷却し、トリメチルスズクロリド (2.5 eq, 50 mL (1.0 Mヘキサン溶液), 50 mmol)を一度に加え、反応系内を室温まで昇温させ、24時間攪拌を行った。
水(80 mL)を加えて、クエンチし、酢酸エチルを加えて有機層を分離した。有機層を飽和フッ化カリウム水溶液、続けて飽和食塩水で洗浄し、さらに硫酸ナトリウムで乾燥を行い、濾液を濃縮し、褐色の固体を得た。これをアセトニトリルから再結晶(繰り返し3回)することにより、無色の結晶として化合物16を得た。(収量5.0 g, 収率54.1 %)
以下に化合物16の分析結果を示す。
H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, δ): 0.38 (s, 18H), 7.23 (s, 2H)
質量分析:GC-MS m/z = 466(M+)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物16の構造と矛盾がないことを確認した。
(前駆体Precursor 8の合成)
Figure 0005708980
100 mLの丸底フラスコに、化合物15 (973 mg, 2.0 mmol)、化合物16 (466 mg, 1 mmol)、DMF (10 mL)を入れ、アルゴンガスを30分間バブリングした後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (18.3 mg, 0.02 mmol)、トリ(オルトトリル)ホスフィン (24.4 mg, 0.08 mmol)を加え、アルゴン雰囲気下室温で20時間攪拌した。反応溶液をクロロホルムで希釈し、セライト濾過で不溶物を除去し、水を加え、有機層を分離した。水層はクロロホルムで3回抽出を行い、合わせた有機層を飽和フッ化カリウム水溶液、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾液を濃縮し、赤色の液体を得た。これをカラムクロマトグラフィー(固定層:(中性シリカゲル(関東化学製)+10 wt%フッ化カリウム, 溶媒:ヘキサン/酢酸エチル, 9/1→8/2, v/v)にて精製することにより、黄色の固体を得た。これをヘキサン/エタノールから再結晶することにより、黄色の固体として前駆体Precusor8を得た。(収量680 mg, 収率79.3 %)
以下に前駆体Precusor8の分析結果を示す。
H NMR (500 MHz, CDCl3, TMS, δ): 0.87-0.89 (m, 12H), 1.28-1.33 (m, 16H), 1.61-1.69 (m, 8H), 1.96-2.01 (m, 4H), 2.28-2.36 (m, 12H), 6.08 (d, 4H, J =12.1 Hz), 7.37 (d, 2H, J =8.6 Hz), 7.48 (s, 2H), 7.57-7.59 (m, 4H)
元素分析(C50H64O8S2):C, 69.92; H, 7.67; O, 14.85; S, 7.44(実測値)、C, 70.06; H, 7.53; O, 14.93; S, 7.48(理論値)
融点:113.7-114.7 ℃
以上の分析結果から、合成したものが、前駆体Precusor8の構造と矛盾がないことを確認した。

以下、Precursor9、10についても対応する溶解性ユニットとジトリメチルスタニル体とのStilleカップリングにて合成が可能である。
<前駆体膜の有機半導体膜への変換における添加剤の効果>
前駆体Precursor 1(5mg)を、シリコンウェハ上に乗せ、シャーレ内に添加剤としての酸または塩基を満たした状態で、130℃または150℃のホットプレート上でそれぞれ30分間加熱し、サンプル調整を行なった。
上記サンプルおよび加熱前の前駆体、加えて脱離反応によって発生する2−ブチルオクタン酸のIRスペクトル(KBr法、パーキンエルマー社製)を測定した。これらの結果を表1に示す。
図1に無添加の場合と、トリフルオロ酢酸を加えたもの、遊離のカルボン酸である2−ブチルオクタン酸のIRスペクトルを示す。
Figure 0005708980
上記表1における有機半導体の変換(130℃または150℃)が○ということは、その条件で調整したサンプルのIRスペクトルにおいて、−0−結合に基づく吸収(1166cm−1)が消失し、かつC=O結合に基づく吸収(1730cm−1)が消え、遊離する2−ブチルオクタン酸のC=O結合に基づく1707〜1710cm−1へのシフトが見られ、末端二重結合に基づく788および815cm−1の吸収が見られたことを示す。
このIRスペクトルによって、前駆体分子とのエステル結合が切断され、カルボン酸が遊離し、末端がオレフィン構造の有機半導体OSC1へと変換されているかどうかが分かる。
IRスペクトルにおいて、−O−の吸収(1166cm−1)が消失し、C=Oの吸収のシフト(1730cm−1から1710cm−1への)が見られた。このことより、前駆体分子中より2−ブチルオクタン酸が遊離していることを示す。
表1より、酸または塩基の添加により、無添加のものと比べて変換温度の低減が図れていることは明らかである。
トリフルオロ酢酸添加時のアニール処理前後の偏光顕微鏡像を比較すると、アニール前は一面が暗い像が得られ、等方的な膜であった。従って、アニール処理を施す前の膜は非晶質であることが分かる。
一方アニール処理後は、色のついたドメインが複数観測された。従って、アニール処理を施した膜は結晶質であることが分かる。これは、前駆体分子が、溶解性基を脱離することにより、有機半導体分子に変換され、結晶質になったためである。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
前駆体Precursor 1を用いて、以下の要領で、図3−(A)の構造の電界効果型トランジスタを作製した。
濃硫酸に24時間浸漬洗浄した膜厚300nmの熱酸化膜を有するN型のシリコン基板をフェニルトリクロロシランのトルエン溶液(濃度1mM、液量8mL)に浸漬し、密封した容器に超音波を30分当てることでシリコン酸化膜表面を単分子膜処理した。
単分子膜処理を施したシリコン基板上に、例示した前駆体Precursor 1のクロロホルム溶液(0.2wt%)を滴下し、クロロホルムが蒸発することで、厚さ100nmの連続した前駆体膜が形成された。
この基板をトリフルオロ酢酸1mLを入れたシャーレに入れ、上部をもう一つのシャーレで覆い、130℃のホットプレート上で30分加熱することで、前駆体膜を有機半導体OSC1の膜へと変換した。
この有機半導体膜上部にシャドウマスクを用いて金を真空蒸着(背圧〜10−4Pa,蒸着レート1〜2Å/s、膜厚:50nm)することによりソース、ドレイン電極を形成した(チャネル長50μm,チャネル幅2mm)。電極とは異なる部位の有機半導体層およびシリコン酸化膜を削り取り、その部分に導電性ペースト(導電性ペースト、藤倉化成製)を付け溶媒を乾燥させた。この部分を用いて、ゲート電極としてのシリコン基板に電圧を印加した。
こうして得られたFET(電界効果型トランジスタ)素子の電気特性をAgilent社製 半導体パラメーターアナライザー4156Cを用いて評価した結果、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。有機薄膜トランジスタの電流−電圧(I−V)特性における飽和領域から、電界効果移動度を求めた。特性図を図3に示す。また、特性の結果を表2に示す。
なお、有機薄膜トランジスタの電界効果移動度の算出には、以下の式を用いた。
Ids=μCinW(Vg−Vth)2/2L
(ただし、Cinはゲート絶縁膜の単位面積あたりのキャパシタンス、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Vgはゲート電圧、Idsはソースドレイン電流、μは移動度、Vthはチャネルが形成し始めるゲートの閾値電圧である。)
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 2を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 3を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 4を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 5を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 6を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 8を使用し、加熱温度を150℃にした以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。結果を表2に示す。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 9を使用し、加熱温度を150℃にした以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。結果を表2に示す。
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 10を使用し、加熱温度を150℃にした以外は、実施例1に記載の方法により、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例2に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。結果を表2に示す。
次に、酸または塩基の添加効果の有効性を検証するために、参考比較例1乃至9において添加物を含まない条件でトランジスタの作製を行なった。
[比較例1]
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
実施例2において、前駆体膜から有機半導体膜への加熱変換を行なう際に、トリフルオロ酢酸を添加しないこと以外は、実施例2に記載の方法と同様に電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
[比較例2]
<有機薄膜トランジスタの作製・評価>
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 2を使用した以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
[比較例3]
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 3を使用した以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 4を使用した以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
[比較例5]
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 5を使用した以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
[比較例6]
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 6を使用した以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。
結果を表2に示す。
[比較例7]
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 8を使用し、加熱温度を150℃にした以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。結果を表2に示す。
[比較例8]
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 9を使用し、加熱温度を150℃にした以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。結果を表2に示す。
[比較例9]
比較例1において、有機半導体膜の形成に際して、前駆体Precursor 1を使用する代わりに、前駆体Precursor 10を使用し、加熱温度を150℃にした以外は、比較例1に記載の方法と同様に、対応する有機半導体膜を有する電界効果型トランジスタを作製し、同様に比較例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。結果を表2に示す。
Figure 0005708980
本発明の方法に依らず作製したトランジスタの特性は、移動度、電流オン/オフ比ともに本発明の方法で製造したそれと比べて、著しく劣るものであった。これは、前駆体膜から有機半導体膜への変換が不充分なためであると考えられる。
一方、本発明の製造方法で作製した電界効果トランジスタは従来よりも低い加熱温度にも関わらず、いずれも高いホール移動度、電流オンオフ比を有し、有機トランジスタとして優れた特性を有しており、本発明の製造方法の有用性が明らかとなった。
<製造例3>
(保護膜前駆体Precurosr7の合成)
下記反応スキーム1に示されるブロモ体18は特願2008−107581に記載の方法で合成した。下記スキームに従って保護膜前駆体Precursor 7の合成を行なった。
Figure 0005708980
3つ口フラスコに、上記17で表されるホウ酸エステル体(778mg、3.9mmol)、上記18のブロモ体(1192mg、3.0mmol)、NaCO(700mg,6.6mmol)、テトラヒドロフラン(60mL)、水(6mL),を取り、30分間アルゴンガスでバブリングを行なった後、Pd(PPh(0.15mmol、173mg)を加え、アルゴンガスで10分間バブリングし、80℃で3時間加熱を行なった。室温に戻し、水100mLを加え、酢酸エチル100mLで抽出(3回)を行ない、合わせた有機層を飽和食塩水100mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾過し、濾液を濃縮することで、無色の固体を得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:トルエン)で精製し、無色の結晶を得た。収量:560mg、収率38.2%。
得られた前駆体Precursor 7の分析結果を示す。
H NMR (500 MHz, CDCl, TMS, δ):7.94 (s, 1H), 7.8 (d, J= 8.6 Hz, 2H), 7.68 (dd, J=8.6 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 7.65 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.42 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.15−7.18 (m, 2H), 5.73 (t, J =6.3 Hz, 1H), 4.17 (q, J= 3.6 Hz, 2H), 2.36−2.39 (m, 1H), 1.95−2.01 (m, 1H), 1.85−1.89 (m, 1H), 1.55−1.67 (m, 2H), 1.49 (t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.45−1.48 (m, 2H), 1.13−1.32 (m, 12H), 0.95 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 0.91−0.88 (m, 6H)
質量分析:GC−MS m/z = 488 (M+)
元素分析値:C, 81.40; H, 9.25; O, 9.99 (実測値) C, 81.10; H, 9.07; O, 9.82 (計算値)
融点:75.5−78.0 ℃
以上の分析結果より、合成した化合物がPrecursor7であることを確認した。
<保護膜の作製>
実施例2において、有機トランジスタの作製までは同様にして、さらに金電極上部に、前記製造例3で合成した保護膜の前駆体Precursor 7のトルエン溶液(4wt%)をスピンコーティング(回転条件:3000回転×30秒)し、100℃で30分乾燥を行ない、膜厚300nmの前駆体Precursor 7からなる膜を得た。
この基板をトリフルオロ酢酸1mLを入れたシャーレに入れ、上部をもう一つのシャーレで覆い、130℃のホットプレート上で30分加熱することで、前駆体膜をOSC6からなる保護膜へと変換した。以下、実施例2と同様にトランジスタ特性を測定し、移動度を算出した。また、大気中(気温25℃、湿度50%)で30日放置した後のトランジスタ特性の測定も同様に行なった。結果を表3に示す。
[比較例11]
実施例11において、保護膜の前駆体膜から保護膜への加熱変換を行なう際に、トリフルオロ酢酸を添加しないこと以外は、実施例11に記載の方法と同様に電界効果型トランジスタを作製し、同様に実施例1に記載の方法によりトランジスタ素子特性を測定し、移動度の算出を行なった。結果を表3に示す。
Figure 0005708980
表3より、本発明の製造法を用いて保護膜を設けた場合は130 ℃程度の加熱によって、初期のトランジスタ特性を長期に渡って保持するのに充分な保護膜を得ることができる。
一方、従来の方法で得た保護層に置いては、30日経過後において、トランジスタ特性の低下がより顕著であった。温度が低く変換が不十分であったため、保護膜としての性能が発揮されていないと考えられる。
このことより、本発明の製造法は保護膜の製膜においても、有用であるといえる。
本発明の製造方法によれば、より低い温度での前駆体薄膜の有機薄膜への変換が可能になるため、柔軟で可撓性に富んだフレキシブルな樹脂フイルムを支持体として用いることが可能になる。
この製造法は有機電子デバイスへの適用が考えられ、特に半導体などの電子デバイス、EL発光素子などの光学−電子デバイスへの適用が考えられる。
また、本発明の製造方法で作成した有機半導体層および絶縁膜および保護膜を有する有機トランジスタは、高い移動度、大きな電流オンオフ比を有しているため、液晶表示素子、EL発光素子、電子ペーパー、各種センサー、RFIDs(radio frequency identification)などに応用できる可能性がある。
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 ゲート絶縁膜
特開平5−055568号公報 WO2006/077888 特開2006−352143号公報
Appl.Phys.Lett.72,p1854(1998) J.Am.Chem.Soc.128,p12604(2006) J.Am.Chem.Soc.129,p15732(2007) Optical Materials 12(1999)p189 J.Appl.Phys.79,p2136(1996) J.Appl.Phys.100,p034502(2006) Appl.Phys.Lett.84,12,p2085(2004) J.Am.Chem.Soc.126,p1596(2004)

Claims (3)

  1. 支持基板上に前駆体を成分として含む薄膜を形成する工程と、前記薄膜の後処理工程を含む有機電子デバイスの製造方法であって、
    前記前駆体が、下記一般式(I)からなる基を少なくとも一つ有している化合物であり、前記後処理工程における前記薄膜の後処理を、酸の存在下加熱することを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
    Figure 0005708980
    (式中、nは0以上の整数であり、Arは置換基を有していてもよい二価の芳香環または複素環基であり、Arはnが2以上の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Zは酸素原子または硫黄原子であり、 水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖または分岐の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、Rは水素原子、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1以上の脂肪族アルキル基および脂環式のアルキル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のアルコキシル基、炭素数1以上の直鎖または分岐のチオアルコキシル基から選択される基である。)
  2. 請求項1に記載の製造方法により形成された薄膜が、半導体膜、絶縁膜、保護膜のいずれかであることを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  3. 請求項1に記載の製造方法により製造された有機電子デバイス。
JP2010187464A 2009-08-24 2010-08-24 有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイス Expired - Fee Related JP5708980B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010187464A JP5708980B2 (ja) 2009-08-24 2010-08-24 有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイス

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009192758 2009-08-24
JP2009192758 2009-08-24
JP2010187464A JP5708980B2 (ja) 2009-08-24 2010-08-24 有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011071501A JP2011071501A (ja) 2011-04-07
JP5708980B2 true JP5708980B2 (ja) 2015-04-30

Family

ID=44016420

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010187464A Expired - Fee Related JP5708980B2 (ja) 2009-08-24 2010-08-24 有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5708980B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103080068A (zh) * 2010-06-15 2013-05-01 株式会社理光 含有离去取代基的化合物,由其形成的有机半导体材料,使用所述有机半导体材料的有机电子器件、有机薄膜晶体管和显示器,制备膜样产品的方法,π-电子共轭化合物以及制备所述π-电子共轭化合物的方法
JP2013138173A (ja) 2011-11-28 2013-07-11 Ricoh Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6069971B2 (ja) * 2012-03-19 2017-02-01 株式会社リコー 有機膜の製造方法
JP2013201363A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Ricoh Co Ltd 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタアレイおよび表示装置
JP6187130B2 (ja) 2013-01-09 2017-08-30 株式会社リコー 分解性ポリマー
WO2014136942A1 (ja) * 2013-03-07 2014-09-12 国立大学法人 千葉大学 有機薄膜の形成方法
WO2022050146A1 (ja) * 2020-09-01 2022-03-10 富士フイルム株式会社 光電変換素子、撮像素子、光センサ、化合物

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101219035B1 (ko) * 2005-05-03 2013-01-07 삼성디스플레이 주식회사 유기 박막 트랜지스터 표시판 및 그 제조 방법
KR101174871B1 (ko) * 2005-06-18 2012-08-17 삼성디스플레이 주식회사 유기 반도체의 패터닝 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011071501A (ja) 2011-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5487655B2 (ja) [1]ベンゾチエノ[3,2‐b][1]ベンゾチオフェン化合物およびその製造方法、それを用いた有機電子デバイス
KR101421845B1 (ko) 신규한 유기 반도체 재료 및 이것을 이용한 전자 디바이스
JP5708980B2 (ja) 有機電子デバイスの製造方法および有機電子デバイス
JP5811542B2 (ja) ジチエノベンゾジチオフェン誘導体からなる有機半導体材料前駆体、インク、絶縁部材、電荷輸送性部材の製造方法
EP2975017B1 (en) Leaving substituent-containing compound, organic semiconductor material, organic semiconductor film containing the material, organic electronic device containing the film, method for producing film-like product, pi-electron conjugated compound and method for producing the pi-electron conjugated compound
TWI674266B (zh) 有機化合物及其用途
JP5733553B2 (ja) 置換基脱離化合物および有機半導体材料およびその膜およびそれを用いた有機トランジスタ
JP2010254599A (ja) ジチエノナフトジチオフェン誘導体とこれを用いた有機電子デバイス、有機薄膜トランジスタ及びディスプレイ装置
KR20130021439A (ko) 치환기 이탈 화합물, 이로부터 형성되는 유기 반도체 재료, 이 유기 반도체 재료를 이용한 유기 전자 장치, 유기 박막 트랜지스터 및 표시 장치, 막형 제품의 제조 방법, pi-전자 공액 화합물 및 pi-전자 공액 화합물의 제조 방법
KR20110132615A (ko) 테트라티아풀바렌 유도체, 유기막 및 유기 트랜지스터
JP5664897B2 (ja) ベンゼン環を有するπ電子共役系化合物を含有する膜状体の製法、及び該π電子共役系化合物の製法。
JP5891646B2 (ja) 新規な有機半導体材料およびそれを用いた電子デバイス
EP3159334A1 (en) Intermediates of heteroacene compounds and synthetic method for the preparation of heteroacene compounds using the intermediates
JP2018052926A (ja) 縮合多環芳香族化合物及びその用途
JP5578414B2 (ja) テトラチアフルバレン誘導体を用いた有機トランジスタ及びその製造方法
JP5948765B2 (ja) π電子共役系化合物前駆体を用いた電子デバイス用インク組成物、有機膜の製造方法、及び電界効果トランジスタの製造方法
JP2012193316A (ja) π電子共役系化合物前駆体を用いた電子デバイス用インク組成物ならびにその用途
JP2013026448A (ja) 薄膜トランジスタ及びそれを用いた電子デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140722

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150218

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5708980

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees