次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、遊技盤に設けられた各種入賞口に遊技球が入る(受け入れられる)ことを、「入賞」若しくは「入球」と表記することがある。このうち「入賞」とは、賞球の払い出しの前提となる入賞口に遊技球が入球することを示すもので、入賞口に遊技球が入る(受け入れられる)ことを示す点では、「入球」と実質的に同義である。
[第1実施例]
図1は本発明の第1実施例であるパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2は第1実施例のパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3は第1実施例のパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。以下、第1実施例では、第1種の遊技性と第2種の遊技性とを併せ持ったいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。なお、第1種の遊技性は、始動口に遊技球が入球したことを契機として特別図柄の変動表示を開始し、所定の大当り図柄で特別図柄が停止表示すると大当り遊技を開始する、いわゆるセブン機タイプの遊技性である。また、第2種の遊技性は、始動口に遊技球が入球したことを契機として可変入球装置に設けられた開閉部材(羽根)を開閉して小当り遊技を開始し、小当り遊技において開閉部材が開状態のときに可変入球装置内に入球した遊技球が可変入球装置内に設けられた特定領域(いわゆるV領域)を通過したことを契機として大当り遊技を開始する、いわゆる羽根物タイプの遊技性である。
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24aと、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン24bとが配設されている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の左部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図3参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ33a(図3参照)を有する普通図柄作動ゲート33と、遊技領域31の左下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の下側に配置され遊技球の入賞を検知する第1始動口スイッチ36a(図3参照)を有する第1始動口36と、第1始動口36の下側に配置され遊技球の入賞を検知する第2始動口スイッチ38a(図3参照)を有する第2始動口38と、第2始動口38に取り付けられた開閉可能なチューリップ式の普通電動役物39と、遊技領域31の右下部に開閉可能に配置され遊技球の入賞を検知する第1大入賞口スイッチ44a(図3参照)を有する第1大入賞口44と、遊技領域31の右部に開閉可能に配置され遊技球の入賞を検知する第2大入賞口スイッチ46a(図3参照)を有する第2大入賞口46と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口48と、を備える。また、遊技盤30は、この他に、一般入賞口49や遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘などが設けられている。なお、以下の説明では、第1大入賞口44や第2大入賞口46を単に大入賞口と称することがある。
普通電動役物39は、第2始動口38に設けられた左右一対の翼片部39aと、翼片部39aを作動させる普通電動役物ソレノイド39b(図3参照)と、を備える。普通電動役物39は、一対の翼片部39aが直立しているときには第2始動口38への遊技球の入球を不可能(図中点線で表示)とし、一対の翼片部39aが左右両側に開いているときには第2始動口38への遊技球の入球を可能(図中実線で表示)とするよう構成されている。なお、普通電動役物39により遊技球の入球が可能となった第2始動口38は、第1始動口36よりも遊技球の入賞の可能性が高い状態となる。なお、第2始動口38を開閉する開閉部材を左右一対の翼片部39aとしたが、板状の開閉板とするなど、第2始動口38を開閉できるもの(第2始動口38を遊技球が入球可能な状態と入球不能な状態とに変化させるもの)であれば、如何なる部材を用いるものとしても構わない。
第1大入賞口44は、通常は遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技(特別遊技)のときに、第1大入賞口ソレノイド44b(図3参照)によって遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となるよう駆動される。第1大入賞口44には、遊技球の入賞を検知すると共にその入賞数をカウントするための第1大入賞口スイッチ44a(図3参照)が取り付けられている。本実施例では、大当り遊技の処理として、第1大入賞口スイッチ44aが遊技球の入賞を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒)が経過するまでを1ラウンドとして第1大入賞口44を開放し、規定ラウンドまで第1大入賞口44の開放動作を繰り返す。なお、各ラウンドの間には、所定時間(例えば、2秒間)だけ第1大入賞口44を閉状態とする。
第2大入賞口46は、通常は遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、小当り遊技のときに、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)とされる。第2大入賞口46の開閉は、翼片部47aと、翼片部47aを作動させる第2大入賞口ソレノイド47b(図3参照)とを備える可動役物47により行われる。即ち、翼片部47aが直立しているときには第2大入賞口46を閉状態とし、第2大入賞口ソレノイド47bの駆動により翼片部47aを左側に開くことにより、第2大入賞口46を開状態とする。本実施例では、小当り遊技の処理として、第2大入賞口46を所定時間(例えば、5秒)に亘って開状態とする。第2大入賞口46には、遊技球の入賞を検知するための第2大入賞口スイッチ46a(図3参照)が取り付けられている。なお、本実施例では、第2大入賞口46を開閉する開閉部材を翼片部47aとしたが、板状の開閉板とするなど、第2大入賞口46を開閉できるもの(第2大入賞口46を遊技球が入球可能な状態と入球不能な状態とに変化させるもの)であれば、如何なる部材を用いるものとしても構わない。
第2大入賞口46に入球した遊技球は、振分装置50により特定領域(V領域)54か非特定領域(外れ領域)56かのいずれかに振り分けられるようになっている。図4は、振分装置50の構成の概略を示す構成図である。振分装置50は、図示するように、上面中央が窪んだ椀状体に形成され第2大入賞口46に入球した遊技球を上面で受ける受け皿52を備えており、受け皿52の上面には3つの落下孔58a〜58cが形成されている。3つの落下孔58a〜58cのうち1つの落下孔58aは遊技球を特定領域54に誘導し、他の2つの落下孔58b,58cは遊技球を非特定領域56に誘導する。本実施例では、遊技球を特定領域54に誘導する落下孔58aは、遊技球を非特定領域56に誘導する落下孔58b,58cに比して遊技球が入球しづらくなっており、第2大入賞口46に遊技球が入球しても、入球した遊技球が特定領域54を通過する確率は低確率(例えば、1/10や1/20など)となっている。なお、特定領域54には、特定領域54への遊技球の通過を検知するための特定領域通過スイッチ54a(図3参照)が設けられており、非特定領域56には、非特定領域56への遊技球の通過を検知するための非特定領域通過スイッチ56a(図3参照)が設けられている。
図柄表示装置40は、図5の構成図に例示するように、普通図柄の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示装置41と、特別図柄の変動表示および停止表示が可能な特別図柄表示装置42と、大当り遊技の規定ラウンド数(最大ラウンド数)を示す図柄を表示するラウンド表示装置43と、を備える。普通図柄表示装置41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41aおよび右普通図柄表示部41bを備える。図6に、普通図柄表示装置41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示装置41は、図示するように、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に消灯した表示態様(図6の上から1段目参照)と、左普通図柄表示部41aが点灯し右普通図柄表示部41bが消灯した表示態様(図6の上から2段目参照)と、左普通図柄表示部41aが消灯し右普通図柄表示部41bが点灯した表示態様(図6の上から3段目参照)と、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に点灯した表示態様(図6の上から4段目参照)の4通りの表示態様がある。普通図柄表示装置41は、遊技球が普通図柄作動ゲート32または普通図柄作動ゲート33を通過するのを検知したときに、4通りの表示態様を順次切り替えることにより普通図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のうちのいずれかの表示態様で普通図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された表示態様が特定の表示態様(例えば、図6の上から4段目に示す表示態様)であるときに、当りとして普通電動役物39を一定時間(例えば、0.5秒)に亘って開放する。なお、普通図柄の変動表示中に、遊技球が普通図柄作動ゲート32または普通図柄作動ゲート33を通過したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。
特別図柄表示装置42は、図5に示すように、7セグメント表示器を用いて構成された第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bとを備えており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数通りの表示態様(最大128通り)を表現している。特別図柄表示装置42は、第1始動口36か第2始動口38かのいずれかの入賞が検知されたときに、第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bのうち対応する特別図柄表示部の表示状態を順次切り替えることにより特別図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で特別図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された表示態様が特定の表示態様(当り特別図柄)である場合に、当りとなる。本実施例では、第1特別図柄表示部42aが第1始動口36への遊技球の入賞時に第1特別図柄を変動表示させる第1始動口入賞時用の表示部に対応し、第2特別図柄表示部42bが第2始動口38への遊技球の入賞時に第2特別図柄を変動表示させる第2始動口入賞時用の表示部に対応している。図7に、当り時における特別図柄表示装置43の表示態様の一例を示す。図7に示すように、第1特別図柄の大当り図柄は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様である(図7左上参照)。また、第2特別図柄の大当り図柄は、右下,左下の縦棒セグメントと上段の横棒セグメントとが点灯する表示態様であり(図7右上参照)、第2特別図柄の小当り図柄は、右下の縦棒セグメントと上段の横棒セグメントとが点灯する表示態様である(図7右下参照)。本実施例では、第1特別図柄については小当り図柄は用意されていない。なお、当り時における表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各当り時における表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。また、ラウンド表示装置43は、大当り遊技の開始に際して、7セグメント表示器を算用数字の形に点灯することによりその大当り遊技の規定ラウンド数が表示される。なお、特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口36か第2始動口38かのいずれかに入賞したときには、それぞれの始動口毎に対応する特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。後述するが、第1特別図柄の変動表示の保留数は第1保留図柄35aによって表示され、第2特別図柄の変動表示の保留数は第2保留図柄35bによって表示される。
第1および第2特別図柄の大当りは、第1大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、12ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われる当り態様である。また、第2特別図柄の小当りは、第2大入賞口46を1回だけ開放する小当り遊技が行われる当り態様である。また、小当り遊技において、第2大入賞口46に入球した遊技球が振分装置50を介して特定領域54を通過すると、大当りに発展し、第1大入賞口44の開放動作が第1および第2特別図柄の大当りよりも多いラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われる。したがって、第1特別図柄で大当りを引くよりも、時短状態にあるときに第2特別図柄で小当りを引き、小当り遊技を経由して大当りを獲得した方が遊技者にとって有利となる。勿論、第1特別図柄で大当りとなることにより行われる大当り遊技の方が、時短状態から小当り遊技を経由して行われる大当り遊技よりも有利な遊技態様としてもよいし、両者の有利の度合いを一致させるものとしてもよい。
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されている。演出表示装置34は、図8に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄とを有している。この演出表示装置34は、遊技球が第1始動口36に入賞したときと、遊技球が第2始動口38に入賞したときに、3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示され、変動表示の実行時間が経過すると停止表示される。このとき、3つの演出図柄34L,34M,34Rがいずれも一致しない図柄になったときにはリーチなしの単純な外れとなる(例えば、「358」)。また、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致して、中の演出図柄34Mが左右の演出図柄34L,34Rと一致しないときにはリーチありの外れとなる(例えば、「353」)。さらに、左の演出図柄34Lと中の演出図柄34Mとが一致して、右の演出図柄34Rが左の演出図柄34Lおよび中の演出図柄34Mと一致しないときには小当りとなる(例えば、「338」)。また、3つの演出図柄34L,34M,34Rのすべてが一致したときには大当りとなる(例えば、「777」)。なお、この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と一致する。
また、本実施例では、演出表示装置34の表示画面内に第1保留図柄35aと第2保留図柄35bも表示されている。第1保留図柄35aは、第1特別図柄の変動表示中に第1始動口36に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞時とは逆の順に消去される(古い保留情報に対応する保留図柄から順に消去される)。第2保留図柄35bも、第2特別図柄の変動表示中に第2始動口38に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞時とは逆の順に消去される。
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36は演出表示装置34の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側(演出表示装置34の左側領域)に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入賞させることができる。また、普通図柄作動ゲート32は演出表示装置34の左側に、普通図柄作動ゲート33は演出表示装置34の右側に、第2始動口38は第1始動口36の下側にそれぞれ配置されており、遊技者は左打ちをすることにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32を通過させることができ、発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちをすることにより、遊技球を普通図柄作動ゲート33を通過させることができる。そして、普通図柄が当りとなって普通電動役物39が第2始動口38を開放すると、遊技者は左打ちまたは右打ちをすることにより、遊技球を第2始動口38に入賞させることができる。なお、時短状態のときには、遊技者は右打ちをすることによって遊技を進行させるのが基本となる。さらに、第1大入賞口44は遊技領域31の右下部に配置されており、大当り遊技が開始されると、遊技者は右打ちすることにより、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて第1大入賞口44に入球させることができる。また、第2大入賞口46は遊技領域31の右部に配置されており、小当り遊技が開始されると、遊技者は右打ちすることにより、第2大入賞口46に入賞させることができる。
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。また、制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を図9に示す。
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、ゲートスイッチ32a,33aからの通過信号や第1始動口スイッチ36aからの入賞信号,第2始動口スイッチ38aからの入賞信号,第1大入賞口スイッチ44aからの入賞信号,第2大入賞口スイッチ46aからの入賞信号,特定領域通過スイッチ54aからの通過信号,非特定領域通過スイッチ56aからの通過信号などが中継端子板72を介して入力されている。主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や普通電動役物ソレノイド39bへの駆動信号,第1大入賞口ソレノイド44bへの駆動信号,第2大入賞口ソレノイド47bへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。また、主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24aや返却ボタン24bからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号が中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
サブ制御基板90は、図9に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93aを駆動したり可動式の装飾部材を作動させるための装飾モータ93bを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26からの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信している。
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。まず、遊技の流れについて説明する。図10は、第1始動口36への入球を伴う遊技の流れを示す説明図であり、図11は、第2始動口38への入球を伴う遊技の流れを示す説明図である。図10に示すように、遊技球が第1始動口36に入球すると(S10)、第1特別図柄の変動表示が開始される(S12)。第1特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S14)、外れとなる(S16)。一方、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(S18)、第1大入賞口46を開閉する大当り遊技が開始される(S20)。大当り遊技が終了すると、一定の条件下で時短状態を発生させる特定遊技が開始される。特定遊技は、大当り遊技が終了してから所定の特定遊技期間(例えば、特別図柄の変動回数が100回)が経過するまで継続し、特定遊技期間の経過後に終了する。ここで、時短状態は、特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮されると共に普通図柄が当りで停止表示されたときに普通電動役物39の開放時間が延長される状態であり、時短状態にあるときは、時短状態にないときに比べ第2始動口38への遊技球の入球が容易となる。この時短状態(入球容易状態)は、大当り遊技の終了後に直ちには開始されず、特定遊技期間中の所定時期に開始され、特定遊技期間の終了と共に終了する。特定遊技では、上述したS10〜S16と同様に、遊技球が第1始動口36に入球すると(S22)、第1特別図柄の変動表示が開始され(S24)、第1特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S26)、外れとなる(S28)。このとき、大当り遊技終了後の第1特別図柄の変動回数が所定回数N1未満の場合には(S30)、S22に戻り、第1特別図柄の変動回数が所定回数N1以上となると(S32)、時短状態が開始される(S34)。第1特別図柄の変動表示の結果、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(S36)、大当り遊技が開始され(S38)、S22に戻る。このように、時短状態でないときに大当り遊技が開始されると、大当り遊技が終了してからの第1特別図柄の変動回数が所定回数N1以上となったときに時短状態が開始されるのである。なお、所定回数N1は、時短状態の開始時期に相当し、後述する時短抽選処理により時短開始時期として決定される。
時短状態では、図11に示すように、遊技球が普通図柄作動ゲート32または普通図柄作動ゲート33を通過すると(S40)、普通図柄の変動表示が開始される(S42)。なお、前述したように、時短状態では右打ちをして遊技を進めるのが基本となっていることから、この状態では遊技球が盤面右側の普通図柄作動ゲート33を通過するのが普通である。変動表示時間が経過して普通図柄が外れ図柄で停止表示されると(S44)、外れとなり(S46)、普通図柄が当り図柄で停止表示されると(S48)、普通電動役物39を開閉して(S50)、第2始動口38に遊技球が入球可能な状態とする。第2始動口38に遊技球が入球すると(S52)、第2特別図柄の変動表示が開始される(S54)。ここで、時短状態であっても、第1始動口36への遊技球の入球は可能であるが、第2特別図柄の変動表示が第1特別図柄の変動表示よりも優先される。第2特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(S56)、第1大入賞口44を開閉する大当り遊技が開始されて(S58)、大当り遊技の終了後にはS40に戻って時短状態を継続する。第2特別図柄が小当り図柄で停止表示されると(S60)、第2大入賞口46を開閉する小当り遊技が開始される(S62)。第2大入賞口46に入球した遊技球が特定領域54を通過すると(S64)、第1大入賞口44を開閉する大当り遊技が開始されて(S58)、大当り遊技の終了後にはS40に戻って時短状態を継続する。一方、第2大入賞口46に入球した遊技球が非特定領域56を通過すると(S66)、外れとなる。また、第2特別図柄が外れ図柄で停止表示された場合も(S70)、外れとなる。外れとなると、時短状態が開始されてからの第2特別図柄の変動回数が所定回数N2未満の場合には(S72)、S40に戻って時短状態を継続し、第2特別図柄の変動回数が所定回数N2以上となると(ステップ74)、これで時短状態を終了する(S76)。時短状態が終了すると、特定遊技も終了する。このように、時短状態にあるときに大当り遊技が開始されると、大当り遊技の終了後に直ちに時短状態が再開される。なお、所定回数N2は、時短状態の継続期間に相当し、後述する時短抽選処理により時短回数Nとして設定される。
[主制御処理]
図12は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、初期化処理などの電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S100)、遊技開始処理(S110)と、普通図柄遊技処理(S120)と、普通図柄当り遊技処理(S130)と、特別図柄遊技処理(S140)と、小当り遊技処理(S150)と、大当り遊技処理(S160)と、時短抽選処理(S170)と、時短開始処理(S180)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S110〜S180の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
[遊技開始処理]
S110の遊技開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(ゲートスイッチ32aや第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,第1大入賞口スイッチ44a,第2大入賞口スイッチ46aなど)の状態を検出してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種乱数値(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,小当り判定用乱数,小当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数,変動パターン決定用乱数など)を更新したりする。続いて、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,第1大入賞口スイッチ44a,第2大入賞口スイッチ46aなど)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球を演算して賞球情報としてRAM70cの所定の賞球情報記憶領域に保存し、賞球情報が値0でないときには賞球指定コマンド(賞球情報)を払出制御基板80に送信して遊技開始処理を終了する。払出制御基板80は、賞球指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入賞が検知されて主制御基板70から新たな賞球指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。遊技開始処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS120の普通図柄遊技処理に進む。
[普通図柄遊技処理]
S120の普通図柄遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄の保留が値0でない即ち値1以上あるか否かを判定し、保留が値1以上あるときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行なうと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄(図6参照)を決定する。普通図柄の当否判定は、時短状態にないときには当り確率の低い(例えば、約0.8%)低確率用の普通図柄当り判定テーブルを用いて行われ、時短状態にあるときには当り確率の高い(例えば、約99.2%)高確率用の普通図柄当り判定テーブルを用いて行われる。また、当否判定の結果が当りのときには、当り図柄を停止表示させる図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄のうちのいずれかを停止表示させる図柄に決定する。そして、普通図柄の変動表示時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動表示時間が経過するのを待つ。変動表示時間の設定は、時短状態にないときには長時間(例えば、30秒)に設定され、時短状態にあるときには短時間(例えば、1秒)に短縮される。変動表示時間が経過すると、決定した図柄で普通図柄を停止表示し、停止表示した図柄が当り図柄のときには、普通電動役物39の開放時間を設定し、普通電動役物39の開放を開始して普通図柄遊技処理を一旦終了し、停止表示した図柄が外れ図柄のときには、何もせずに普通図柄遊技処理を終了する。普通電動役物39の開放時間は、時短状態にないときには短時間(例えば0.5秒)に設定され、時短状態にあるときには長時間(例えば5秒)に延長される。また、普通電動役物39の開放は、上述したように、普通電動役物ソレノイド39bを駆動制御することによって、一対の翼片部39aを左右に開くことにより行なう。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS130の普通図柄当り遊技処理に進む。このように、時短状態においては、普通図柄の変動時間を短縮する変動時間機能を作動させると共に普通図柄の当選確率を向上させる確率変動機能を作動させ、且つ、普通電動役物39の開放時間を延長する開放延長機能を作動させる。このため、本実施例の時短状態を、開放延長機能作動状態または確変状態ともいう。また、これら3つの機能を同時に作動させる形態のみを例示したが、いずれか1つの機能またはいずれか2つの機能を作動させる形態とすることもできる。
[普通図柄当り遊技処理]
S130の普通図柄当り遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、普通電動役物39が開放を開始してからの経過時間(開放経過時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、8個)の遊技球が第2始動口38に入賞しているか否かを判定する。開放経過時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が第2始動口38に入賞してもいないと判定すると、普通電動役物39の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放経過時間が設定時間に達していると判定したり、開放経過時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が第2始動口38に入賞していると判定すると、普通電動役物39の駆動を停止して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS140の特別図柄遊技処理に進む。
[特別図柄遊技処理]
S140の特別図柄遊技処理は、図13〜図15に示すフローチャートに従って実行される。特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ36aからの検知信号を入力して第1始動口36に遊技球が入賞したか否かを判定する(S200)。第1始動口36に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S204)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納し(S206)、第1特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S208)。S206で取得される判定用乱数としては、第1始動口36への遊技球の入賞により行われる当り判定の際に用いられる当り判定用乱数や、当り判定の結果が大当りのときに第1特別図柄表示部42aに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,当り判定の結果が外れで演出表示装置34の表示画面に演出図柄を変動表示する際にリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ用乱数などが挙げられる。また、第1特別図柄保留発生時コマンドには、判定用乱数を示すコマンドや保留数を示すコマンドが含まれている。これらのコマンドは、共通のコマンドとして送信するものとしてもよいし、別個のコマンドとして送信するものとしてもよい。なお、S200で第1始動口36に遊技球が入賞していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S204〜S208の処理をスキップして次の処理に進む。
続いて、第2始動口スイッチ38aからの検知信号を入力して第2始動口38に遊技球が入賞したか否かを判定する(S210)。第2始動口38に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S214)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納し(S216)、第2特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S218)。S216で取得される判定用乱数としては、第2始動口38への遊技球の入賞により行われる当り判定の際に用いられる当り判定用乱数や、当り判定の結果が大当りのときに第2特別図柄表示部42bに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,当り判定の結果が小当りのときに第2特別図柄表示部42bに停止表示させる小当り図柄を決定するための小当り図柄決定用乱数,当り判定の結果が外れで演出表示装置34の表示画面に演出図柄を変動表示する際にリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ用乱数などが挙げられる。また、第2特別図柄保留発生時コマンドには、判定用乱数を示すコマンドや保留数を示すコマンドが含まれている。これらのコマンドは、共通のコマンドとして送信するものとしてもよいし、別個のコマンドとして送信するものとしてもよい。なお、S210で第2始動口38に遊技球が入賞していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S214〜S218の処理をスキップして次の処理に進む。
次に、大当り遊技および小当り遊技のいずれかが実行中であるか否か(S220)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(S222)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが停止表示時間中であるか否か(S224)をそれぞれ判定する。大当り遊技および小当り遊技のいずれかが実行中であると判定すると、これで特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の小当り遊技処理に進む。一方、大当り遊技および小当り遊技のいずれもが実行中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが変動表示中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが停止表示時間中でないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S226)。第2特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数(当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(S228)、図17に示す第2特別図柄の変動表示開始処理を実行して(S230)、特別遊技処理を一旦終了する。一方、第2特別図柄の保留数が値0と判定すると、第1特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S232)。第1特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第1特別図柄の判定用乱数(当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(S234)、図16に示す第1特別図柄の変動表示開始処理を実行して(S236)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。第1特別図柄の保留数も値0のときには、これで特別図柄遊技処理を終了する。S226〜S236では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0でないときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される。以下、図16の第1特別図柄の変動表示開始処理と図17の第2特別図柄の変動表示開始処理の詳細について説明する。
まず、第1特別図柄の変動表示開始処理を説明する。図16の第1特別図柄の変動表示開始処理では、まず、S234で読み出した当り判定用乱数と当り判定テーブルとを用いて当り判定を行って(S280)、その判定結果が大当りであるか否かを判定する(S281)。ここで、第1特別図柄用の当り判定テーブルの一例を図18に示す。第1特別図柄用の当り判定テーブルは、図示するように、当り判定用乱数が値0〜599のうち値0,1のときに大当りとするものとした(1/300の大当り確率)。
S281で当り判定の結果が大当りと判定したときには、判定用乱数記憶領域(RAM70c)から大当り図柄決定用乱数を読み出し(S282)、図示しない大当り図柄決定用テーブルを参照して読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を設定する(S283)。続いて、変動パターン決定用乱数を読み出し(S284)、図示しない大当り用の変動パターンテーブルを参照して読み出した変動パターン決定用乱数に基づいて大当り図柄の変動パターン(変動表示時間)を設定する(S285)。
一方、S281で当り判定の結果が大当りでないと判定すると、外れ図柄を設定する(S291)。なお、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することもできる。外れ図柄を設定すると、変動パターン決定用乱数とリーチ用乱数とを読み出し(S292)、図示しない外れ用の変動パターンテーブルを参照して読み出した変動パターン決定用乱数およびリーチ用乱数とに基づいて外れ図柄の変動パターン(変動表示時間)を設定する(S293)。
こうして大当り図柄およびその変動パターン或いは外れ図柄およびその変動パターンを設定すると、第1特別図柄の変動表示を開始すると共に(S294)、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし(S295)、図柄変動開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(S296)、第1特別図柄の変動表示開始処理を終了する。なお、図柄変動開始コマンドには、設定した各種図柄や変動パターン,変動時間などの情報が含まれる。この図柄変動開始時コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、コマンドを解析し、演出表示装置34の画面上で行う演出内容を決定し、演出表示装置34での図柄変動演出を開始させる。
次に、第2特別図柄の変動表示開始処理を説明する。この処理は、小当りに関する処理が追加されている点を除いて、第1特別図柄の変動表示開始処理と同様の処理が実行される。このため、第2特別図柄の変動表示開始処理の各処理のうち第1特別図柄の変動表示開始処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は重複するから省略する。図17の第2特別図柄の変動表示開始処理では、まず、S228で読み出した当り判定用乱数と当り判定テーブルとを用いて当り判定を行い(S280a)、当り判定の結果が大当りであるか否か(S281)、当り判定の結果が小当りであるか否か(S286)、をそれぞれ判定する。ここで、第2特別図柄用の当り判定テーブルの一例を図19に示す。第2特別図柄用の当り判定テーブルは、図示するように、当り判定用乱数が値0〜599のうち値0,1のときに大当りとし(1/300の大当り確率)、さらに、当り判定用乱数が値2〜597のときに小当りとするものとした(298/300(1/1.01)の小当り確率)。S281で当り判定の結果が大当りと判定したときには、前述した第1特別図柄の変動表示開始処理のS282〜S285の処理と同様の処理により、大当り図柄とその変動パターン(変動表示時間)を設定する。
一方、S286で当り判定の結果が小当りと判定すると、判定用乱数記憶領域(RAM70c)から小当り図柄決定用乱数を読み出し(S287)、図示しない小当り図柄決定用テーブルを参照して読み出した小当り判定用乱数に基づいて停止表示させる小当り図柄を設定する(S288)。続いて、変動パターン決定用乱数を読み出し(S289)、図示しない小当り用の変動パターンテーブルを参照して読み出した変動パターン決定用乱数に基づいて小当り図柄の変動パターン(変動表示時間)を設定する(S290)。S281で当り判定の結果が大当りでないと判定し、S286で当り判定の結果が小当りでもないと判定すると、外れであるから、第1特別図柄の変動表示開始処理のS291〜S293の処理と同様の処理により、外れ図柄とその変動パターン(変動表示時間)を設定する。
こうして大当り図柄およびその変動パターンまたは小当り図柄およびその変動パターン或いは外れ図柄およびその変動パターンを設定すると、第2特別図柄の変動表示を開始すると共に(S294a)、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし(S295a)、図柄変動開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(S296a)、第2特別図柄の変動表示開始処理を終了する。なお、図柄変動開始コマンドには、第1特別図柄の変動表示開始処理の図柄変動開始コマンドと同様に、設定した各種図柄や変動パターン,変動時間などの情報が含まれる。この図柄変動開始時コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、演出表示装置34での図柄変動演出を開始させる。
図13〜図15の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S222で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御基板70のCPU70aは、変動表示時間が経過したか否かを判定する(S238)。変動表示時間は特別図柄の変動パターンを決定する際に変動パターンに応じて決定されているから、変動表示時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と決定されている変動表示時間とを比較することにより行うことができる。変動表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動表示時間が経過していると判定すると、変動中の特別図柄の変動表示を停止し(S240)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(S242)。この図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、演出表示装置34での図柄変動演出を終了させる。そして、停止表示時間を設定し(S244)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(S246)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S224で停止表示時間中と判定するため、再びS246で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定すると、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S248)。
S248で大当り図柄であると判定すると、大当り遊技フラグをオンとすると共に(S250)、大当り遊技開始コマンドをサブ制御基板90に送信する(S252)。これにより、後述する大当り遊技処理によって大当り遊技が開始されることになる。また、大当り遊技中には時短機能や開放延長機能を停止させるために、変動短縮フラグがオンのときには変動短縮フラグをオフとすると共に開放延長フラグをオフとして(S254〜S258)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の小当り遊技処理に進む。
一方、S248で大当り図柄でないと判定すると、停止表示している特別図柄が小当り図柄であるか否かを判定する(S260)。小当り図柄と判定すると、小当り遊技フラグをオンとすると共に(S262)、小当り遊技開始コマンドをサブ制御基板90に送信する(S264)。これにより、S150の小当り遊技処理によって小当り遊技が開始されることになる。一方、S260で小当り図柄でないと判定したときには、外れ図柄と判断し、S262,S264の処理をスキップして、次のS266の処理に進む。
次に、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(S266)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンのときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(S268)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(S270)。ここで、変動短縮カウンタは、時短状態が終了するまでの特別図柄(第2特別図柄)の変動表示の残り回数を示すものであり、後述する時短開始処理により時短状態を開始させる際に設定される。変動短縮カウンタが値0でないときには、時短状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、時短状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(S272)、開放延長フラグをオフとする(S274)。そして、時短状態の終了と共に上述した特定遊技を終了させるため、特定遊技フラグをオフとし(S276)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S278)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を通常用の背景に設定する等の処理を行う。
[小当り遊技処理]
S150の小当り遊技処理は、図20に示すフローチャートに従って実行される。図20の小当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、小当り遊技フラグがオンであるか否かを判定する(S300)。小当り遊技がオフであると判定すると、このまま小当り遊技処理を終了する。一方、小当り遊技フラグがオンであると判定すると、第2大入賞口46が開放中であるか否かを判定し(S302)、第2大入賞口46が開放中でない、即ち閉鎖中と判定すると、第2大入賞口46が開放タイミングであるか否かを判定する(S304)。第2大入賞口46が開放タイミングと判定すると、第2大入賞口46が開放されるよう第2大入賞口ソレノイド47bを駆動制御して(S306)、小当り遊技処理を一旦終了する。これにより、遊技球が第2大入賞口46に入球可能な状態となる。第2大入賞口46を開放した後に小当り遊技処理が実行されると、S302で第2大入賞口46が開放中と判定し、次に、第2大入賞口46が閉鎖タイミングであるか否かを判定する(S308)。閉鎖タイミングは、本実施例では、第2大入賞口46が開放を開始してからの経過時間が所定の開放時間(例えば、5秒)に達したときに到来するものとした。第2大入賞口46の閉鎖タイミングでないと判定すると、第2大入賞口46の開放を維持したまま小当り遊技処理を一旦終了し、第2大入賞口46の閉鎖タイミングと判定すると、第2大入賞口46が閉鎖されるよう第2大入賞口ソレノイド47bを駆動制御する(S310)。そして、特定領域通過スイッチ54aからの検知信号を入力して、遊技球が特定領域54を通過したか否かを判定する(S312)。遊技球が特定領域54を通過していないと判定すると、小当り遊技フラグをオフとすると共に(S314)、小当り遊技終了コマンドをサブ制御基板90に送信して(S316)、小当り遊技処理を終了する。これにより、小当り遊技処理が終了されることになる。
一方、S312で遊技球が特定領域54を通過したと判定すると、小当り遊技フラグをオフとすると共に(S318)、小当り遊技終了コマンドをサブ制御基板90に送信する(S320)。そして、小当り遊技を経由して大当り遊技を実行するために、大当り遊技フラグをオンとすると共に(S322)、大当り遊技開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(S324)、小当り遊技処理を終了する。
[大当り遊技処理]
S160の大当り遊技処理は、図21に示すフローチャートに従って実行される。図24の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグがオンであるか否か、即ち大当り遊技中であるか否かを判定する(ステップ400)。大当り遊技フラグがオフであると判定すると、そのまま大当り遊技処理を終了する。一方、大当り遊技フラグがオフであると判定すると、第1大入賞口44が開放中であるか否かを判定し(S402)、第1大入賞口44が開放中でない、即ち閉鎖中であると判定すると、第1大入賞口44の開放タイミングであるか否かを判定する(S404)。この判定は、規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定することにより行われる。第1大入賞口44の開放タイミングであると判定すると、第1大入賞口44が開放されるよう大入賞口ソレノイド44aを駆動制御して(S406)、大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44の開放タイミングでないと判定すると、第1大入賞口44を閉鎖したまま大当り遊技処理を一旦終了する。
S402で第1大入賞口44が開放中であると判定すると、第1大入賞口44の閉鎖タイミングであるか否かを判定する(S408)。この判定は、規定の開放時間が経過したか、第1大入賞口44に入賞した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したかのいずれかの成立を判定することにより行われる。なお、開放時間は、本実施例では、25秒に設定されている。第1大入賞口44の閉鎖タイミングでないと判定すると、第1大入賞口44の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、第1大入賞口44の閉鎖タイミングであると判定すると、第1大入賞口44が閉鎖されるよう大入賞口ソレノイド44aを駆動制御し(S410)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判定する(S412)。大当り遊技の終了条件は、第1大入賞口44の開放と閉鎖の繰り返し回数(ラウンド数)が規定数(例えば、15回)に達したときに成立するものとした。大当り遊技の終了条件が成立していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技の終了条件が成立したと判定すると、図22に示す大当り遊技終了時処理を実行して(S414)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技処理が終了すると、主制御処理に戻ってS170の時短抽選処理に進む。
大当り遊技終了時処理では、大当り遊技フラグをオフとすると共に(S420)、特定遊技フラグをオンとし(S422)、大当り遊技終了コマンドをサブ制御基板90に送信して(S424)、大当り遊技処理を終了する。これにより、大当り遊技が終了し、代わって特定遊技が実行される(特定遊技期間が開始される)ことになる。
[時短抽選処理]
S170の時短抽選処理は、図23のフローチャートに従って実行される。図23の時短抽選処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、当否判定結果が大当りであるか否かを判定する(S500)。この判定は、図16の第1特別図柄の変動表示開始処理のS280による当り判定の結果が大当りの場合と、図17の第2特別図柄の変動表示開始処理のS280aによる当り判定の結果が大当りの場合と、第2特別図柄の変動表示開始処理のS280aによる当り判定の結果が小当りで且つ図20の小当り遊技処理のS312で遊技球が特定領域54と通過したと判定した場合に、大当りと判定する。当否判定結果が大当りでない場合には、時短抽選を行なうことなく、時短抽選処理を終了する。
一方、当否判定結果が大当りと判定すると、変動短縮フラグがオフであるか否かを判定する(S502)。変動短縮フラグがオフと判定すると、抽選により時短状態を付与するか否かの当否を判定する(S504)。外れ(時短状態を付与しない)と判定すると、このまま時短抽選処理を終了する。一方、当選(時短状態を付与する)と判定すると、時短回数Nを設定する(S506)。ここで、時短回数Nの設定は、抽選用乱数値を取得し、時短回数設定用テーブルを参照して取得した抽選用乱数値に基づいて設定することができる。時短回数設定用テーブルの一例を図24に示す。時短回数設定用テーブルは、図示するように、抽選用乱数値が値0〜99のうち値0〜24の場合に時短回数Nに70回が設定され、値25〜49の場合に時短回数Nに50回が設定され、値50〜74の場合に時短回数Nに30回が設定され、値75〜99の場合に時短回数Nに10回が設定される。こうして時短回数Nを設定すると、時短状態を開始させる特別図柄の変動回数(時短開始時期)を(Nmax+1−N)回目に設定し(S510)、これらの時短開始条件(時短開始時期および時短回数N)をRAM70cに記憶して(S512)、時短抽選処理を終了する。ここで、「Nmax」は特定遊技期間であり、本実施例では、時短状態は特定遊技期間の終了と共に終了する。したがって、特定遊技期間を100回とすると、時短開始時期(Nmax+1−N)は、時短回数Nが70回の場合には31回目となり、時短回数Nが50回の場合には51回目となり、時短回数Nが30回の場合には71回目となり、時短回数Nが10回の場合には91回目となる。なお、時短抽選処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS180の時短開始処理に進む。
S502で変動短縮フラグがオフでない、即ち変動短縮フラグがオンと判定すると、時短回数Nを特定遊技期間Nmaxに設定し(S514)、(Nmax+1−N)により時短開始時期を1回目に設定し(S510)、これらの時短開始条件(時短開始時期および時短回数N)をRAM70cに記憶して(S512)、時短抽選処理を終了する。このように、時短状態でないときに大当りを引くと、時短状態を付与するか否かおよび時短状態を付与する場合の時短回数Nを抽選するが、時短状態にあるときに大当りを引くと、100%の確率で時短状態が付与され且つ時短回数Nも特定遊技期間Nmaxの全期間とされる。
上述したように、時短抽選処理では、時短状態を付与するか否かの決定を、特別図柄遊技処理における大当り図柄の決定とは別処理により行う。したがって、遊技者は、特別図柄表示装置40の大当り図柄(図7参照)によって時短状態が付与されるか否かを判別することができないようになっている。
[時短開始処理]
S180の時短開始処理は、図25のフローチャートに従って実行される。図25の時短開始処理が実行されると、主制御基板70のCPU72は、まず、特定遊技フラグがオンであるか否かを判定する(S550)。特定遊技フラグは、上述したように、大当り遊技が終了したときに図22の大当り遊技終了時処理のS422によりオンとされるもので、オンとされているときは特定遊技期間中であるということになる。特定遊技フラグがオンでない、即ち特定遊技フラグがオフ(特定遊技期間中でない)と判定すると、時短状態を発生させることなく、時短開始処理を終了する。一方、特定遊技フラグがオン(特定遊技期間中である)と判定すると、変動短縮フラグがオフであるか否かを判定する(S552)。変動短縮フラグがオフでない、即ち変動短縮フラグがオンと判定すると、既に時短状態を発生させているから、時短開始処理を終了し、変動短縮フラグがオフと判定すると、図23の時短抽選処理のS512で記憶した時短開始条件(時短開始時期および時短回数N)を読み出すと共に読み出した時短開始条件が成立しているか否かを判定する(S554)。この判定は、大当り遊技終了後に特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)が変動表示された回数(変動表示回数)に基づいて時短開始時期が到来しているか否かを判定することにより行う。なお、本実施例では、図23の時短抽選処理のS504の時短抽選の結果が外れの場合には、時短開始条件が設定されないため、時短開始条件が成立することはない。時短開始条件が成立していないと判定すると、時短状態を発生させることなく、時短開始処理を終了する。
一方、時短開始条件が成立したと判定すると、図23の時短抽選処理のS508或いはS514で設定した時短回数Nを変動短縮カウンタの値に設定し(S556)、時短状態を開始させるために、変動短縮フラグをオンとすると共に(S558)、開放延長フラグをオンとし(S560)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S562)、時短開始処理を終了する。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を時短用の背景に設定する等の処理を行う。
以上説明した第1実施例のパチンコ機10によれば、1種2種混合タイプのパチンコ機において、第1始動口36への遊技球の入球を契機として行われる第1特別図柄の特別図柄遊技処理で第1特別図柄が大当り図柄で停止されて大当り遊技が実行された場合には、時短開始時期を決定し、大当り遊技が終了した後に時短開始時期が到来したときに時短状態を開始させる。即ち、大当り遊技の終了後であっても時短状態が発生しない期間が存在するから、この期間内で遊技が行われる限りにおいては、第2始動口38への遊技球の入球を契機として行われる第2特別図柄の特別図柄遊技処理から小当り遊技を経由して第2大当りを発生させる遊技に移行することがない。この結果、新規な遊技性を提供して、遊技興趣の向上を図ることができる。しかも、時短開始時期は抽選により決定され、その決定は遊技者に報知されないから、遊技者は時短状態が何時開始されるかを認識することができない。これにより、遊技者は大当り遊技の終了後も時短状態が発生するか否かを注目しながら遊技を進めることになり、遊技者の遊技意欲を高めることができる。さらに、時短状態を発生させるか否かを抽選により決定し、時短状態を発生させることを決定した場合に時短開始時期を決定するから、大当り遊技の終了後に時短状態を全く発生させないといった遊技性も付加することができ、遊技性を多様化させることができる。また、時短状態にあるときに第2始動口38への遊技球の入球を契機として行われる第2特別図柄の特別図柄遊技処理における当否判定の結果が大当りか、当否判定の結果が小当りで且つ遊技球が特定領域54を通過した場合には、大当り遊技の終了後に直ちに時短状態を開始させる。即ち、一旦、第1特別図柄で大当りを引くと、時短状態が続く限り、第2特別図柄に基づく遊技(第2特別図柄で大当りを引いたり、第2特別図柄の小当りを経由して大当りとなる遊技)が継続して発生することになる。したがって、こうした遊技性の付加により遊技性を多様化させ、遊技興趣をさらに向上させることができる。
[第2実施例]
図26は第2実施例であるパチンコ機の遊技盤30Bの構成の概略を示す構成図であり、図27は第2実施例のパチンコ機の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。以下、第2実施例では、第1種のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。第2実施例のパチンコ機は、大当り図柄に拘わらず、大当り遊技が終了したときに100%の確率をもって確変状態を発生させ、特別図柄の変動表示が所定回数に亘って行われたときに確変状態を終了させる(いわゆるST機)。
第2実施例のパチンコ機の遊技盤30Bは、図26に示すように、普通図柄作動ゲート32を備えておらず遊技領域31の右部だけに普通図柄作動ゲート33を配置している点と、小当り遊技に必要な部材である第2大入賞口46や可動役物47、振分装置50を備えない点を除いて第1実施例の遊技盤30と同一の構成であり、第2実施例のパチンコ機の制御回路は、普通図柄作動ゲート32や第2大入賞口46、可動役物47、振分装置50に関する各種センサ(ゲートスイッチ32aや第2大入賞口スイッチ46a,特定領域通過スイッチ54a,非特定領域通過スイッチ56a)やアクチュエータ(第2大入賞口ソレノイド47b)を備えない点を除いて第1実施例の制御回路と同一の構成である。したがって、第2実施例の遊技盤30Bや制御回路の構成については、第1実施例と重複するから、説明を省略する。
図28は、第2実施例のパチンコ機の第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の一例を示す説明図である。図28に示すように、第1の確変大当りとなる第1特別図柄は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下,左上の縦棒セグメントが点灯する表示態様であり(図28上段左側参照)、第1の確変大当りとなる第2特別図柄は、第2特別図柄表示部42bにおける左上,左下の縦棒セグメントと上段の横棒セグメントとが点灯する表示態様である(図28上段右側参照)。また、第2の確変大当りとなる第1特別図柄は、右下,左下の縦棒セグメントと上段の横棒セグメントとが点灯する表示態様であり(図28下段左側参照)、第2の確変大当りとなる第2特別図柄は、左下の縦棒セグメントと上段,下段の横棒セグメントとが点灯する表示態様である(図28下段右側参照)。なお、大当り時における特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各大当り時における特別図柄の表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。
第1の確変大当りは、第1大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、5ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、所定回数(例えば、100回)の特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の変動表示が行われるまで、大当り判定の結果が大当りとなる確率が通常よりも高くなる確変状態となる大当り態様である。また、第2の確変大当りは、第1大入賞口44の開放動作が第1の確変大当りよりも多いラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、所定回数(例えば、100回)の特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の変動表示が行われるまで、確変状態となる大当り態様である。ここで、第1特別図柄による確変大当りは、確変状態が開始されても直ちに時短状態が開始されるわけではなく、確変状態の継続期間の途中で一定の条件の下で時短状態が開始され、確変状態の終了と共に時短状態も終了する。一方、第2特別図柄による確変大当りは、確変状態の開始と共に時短状態も開始され、確変状態の終了と共に時短状態も終了する。
次に、こうして構成された第2実施例のパチンコ機の動作について説明する。まず、遊技の流れについて説明する。図29は、第1始動口36への入球を伴う遊技の流れを示す説明図であり、図30は、第2始動口38への入球を伴う遊技の流れを示す説明図である。なお、図29,30の各ステップのうち図10,11と同一のステップについては同一のステップ番号を付した。図29に示すように、遊技球が第1始動口36に入球すると(S10)、第1特別図柄の変動表示が開始される(S12)。第1特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S14)、外れとなる(S16)。一方、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(S18)、第1大入賞口46を開閉する大当り遊技が開始される(S20)。そして、大当り遊技が終了すると、確変状態が開始されるが(S21)、時短状態は開始されない。時短状態が開始される前の確変状態では、遊技球が第1始動口36に入球すると(S22)、第1特別図柄の変動表示が開始され(S24)、第1特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S26)、外れとなる(S28)。このとき、大当り遊技終了後の第1特別図柄の変動回数が所定回数N1未満の場合には(S30)、S22に戻り、第1特別図柄の変動回数が所定回数N1以上となると(S32)、時短状態が開始される。第1特別図柄の変動表示の結果、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(S36)、大当り遊技が開始され(S38)、S22に戻る。このように、時短状態でないときに大当り遊技が開始されると、大当り遊技の終了後に確変状態は開始されるが、大当り遊技が終了してからの第1特別図柄の変動回数が所定回数N1以上となるまで時短状態は開始されない。
時短状態では、図30に示すように、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過すると(S40)、普通図柄の変動表示が開始される(S42)。変動表示時間が経過して普通図柄が外れ図柄で停止表示されると(S44)、外れとなり(S46)、普通図柄が当り図柄で停止表示されると(S48)、普通電動役物39を開閉して(S50)、第2始動口38に遊技球が入球可能な状態とする。第2始動口38に遊技球が入球すると(S52)、第2特別図柄の変動表示が開始される(S54)。第2特別図柄が大当り図柄で停止表示されると(S56)、第1大入賞口44を開閉する大当り遊技が開始されて(S58)、大当り遊技の終了後にはS40に戻って確変状態が開始(再開)されると共に時短状態も同じタイミングで開始される。第2特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S70)、外れとなる。外れとなると、時短状態が開始されてからの第2特別図柄の変動回数が所定回数N2未満の場合には(S72)、S40に戻って確変状態および時短状態を継続し、第2特別図柄の変動回数が所定回数N2以上となると(S74)、これで確変状態および時短状態を終了する(S76B)。このように、時短状態が発生していないときに第1特別図柄が大当りとなって大当り遊技が行われると、大当り遊技が終了してから遅れて時短状態が開始されるが、時短状態が発生しているときに第2特別図柄が大当りとなって大当り遊技が行われると、大当り遊技の終了後に直ちに時短状態が開始されるのである。
図31は、第2実施例の主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。第2実施例の主制御処理は、小当り遊技処理を含まない点と、S140の特別図柄遊技処理の一部とS160の大当り遊技処理の一部とS180の時短開始処理の一部が異なる点とが、第1実施例の主制御処理と異なっている。以下、第2実施例の主制御処理について、第1実施例の主制御処理と異なる点を中心に説明する。
図32および図33は、第2実施例の主制御基板70のCPU70aにより実行される特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。図32および図33の特別図柄遊技処理の各処理のうち図14および図15の特別図柄遊技処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は重複するから省略する。なお、第2実施例の特別図柄遊技処理の第1始動口36への遊技球の入賞を判定する処理や第2始動口38への遊技球の入賞を判定する処理については図13のS200〜S218の処理と同一であるから、図示を省略した。また、第2実施例のパチンコ機では、小当り遊技は存在しないため、図32の特別図柄遊技処理のS220Bでは図14の特別図柄遊技処理のS220に代えて、大当り遊技が実行中であるか否かを判定する処理となる。
特別図柄遊技処理では、S248で停止表示している特別図柄が大当り図柄と判定すると、大当り遊技フラグをオンとし(S250)、大当り遊技開始コマンドをサブ制御基板90に送信した後(S252)、大当り遊技中に確変状態を停止させるために、確変フラグがオンのときには、確変フラグをオフとする処理を行う(S260B,S262B)。一方、S248で停止表示している特別図柄が大当り図柄でないと判定すると、第2実施例では、小当り図柄が存在しないため、図15の小当りに関するS260〜S264の処理を省略し、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(S266)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンのときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(S268)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(S270)。変動短縮カウンタが値0でないときには、時短状態および確変状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、時短状態および時短状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(S272)、開放延長フラグをオフとし(S274)、更に、確変フラグをオフとする(S276B)。
図34は、第2実施例の主制御基板70のCPU70aにより実行される第2特別図柄の変動表示開始処理の一例を示すフローチャートである。第2実施例では、第1特別図柄の変動表示開始処理については、図16の第1特別図柄の変動表示開始処理と同一のフローチャート(図示せず)を用いて実行され、第2特別図柄の変動表示開始処理についても、図16の第1特別図柄の変動表示開始処理と同様の図34のフローチャートを用いて実行される。図34の変動表示開始処理のS280の当り判定では、小当りのない図18の当り判定テーブルと同様のテーブルを用いて行われる。また、第2実施例では、第1特別図柄の変動表示開始処理で大当りと判定したときの大当り図柄の決定は、図35に例示する大当り図柄決定テーブルを用いて行われ、第2特別図柄の変動表示開始処理で大当りと判定したときの大当り図柄の決定(S283)は、図36に例示する大当り図柄決定テーブルを用いて行われる。第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルは、図35に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜203のときに図35の上段の図柄が選択されて第1の確変大当りとなり(約80%の振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値204〜255のときに図35の下段の図柄が選択されて第2の確変大当りとなる(約20%の振り分け確率)。一方、第2特別図柄の大当り図柄決定テーブルは、図36に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜63のときに図36の上段の図柄が選択されて第1の確変大当りとなり(25%の振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値64〜255のときに図36の下段の図柄が選択されて第2の確変大当りとなる(75%の振り分け確率)。このように、第1特別図柄用の大当り図柄決定テーブルでは第1の確変大当りが選択されやすく、第2特別図柄用の大当り図柄決定テーブルでは第2の確変大当りが選択されやすくなっている。上述したように、第2の確変大当りは第1の確変大当りに比して大当り遊技のラウンド数が多いため、時短状態でないときに第1特別図柄で大当りを引くよりも時短状態にあるときに第2特別図柄で大当りを引く方が遊技者にとって有利となる場合が多い。
第2実施例のS160の大当り遊技処理では、大当り遊技終了時処理のみが第1実施例と異なる。図37は、第2実施例の主制御基板70のCPU70aにより実行される大当り遊技終了時処理の一例を示すフローチャートである。図37の大当り遊技終了時処理は、図22の大当り遊技終了時処理のステップ422に代えて、大当り遊技が終了したときに確変状態を発生させるために確変フラグをオンとする処理を行って(S422B)、S424で大当り遊技終了時コマンドをサブ制御基板90に送信する。大当り遊技終了時コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を確変用の背景に設定する等の処理を行う。ここで、上述したように、確変状態が開始されても、時短状態でないときに第1特別図柄で大当りを引くよりも時短状態にあるときに第2特別図柄で大当りを引く方が遊技者にとって有利となる場合が多いから、時短状態でないときに大当りを引かない方が遊技者に有利であることを示唆するようなメッセージ等の演出を演出表示装置34に表示するものとしてもよい。
図38は、第2実施例の主制御基板70のCPU70aにより実行される時短開始処理の一例を示すフローチャートである。図38の時短開始処理では、図25の時短開始処理のS550に代えて、確変フラグがオンであるか否か、すなわち確変状態であるか否かを判定する処理を行う(S550B)。
以上説明した第2実施例のパチンコ機によれば、時短状態でないときに第1始動口36への遊技球の入球を契機として行われる特別図柄遊技処理で第1特別図柄が大当り図柄で停止されて大当り遊技が実行された場合には、時短開始時期を決定し、大当り遊技の終了後に確変状態を開始し、その後、決定した時短開始時期が到来したときに時短状態を開始し、特別図柄の変動回数が所定回数に達すると、確変状態および時短状態を終了する。一方、時短状態にあるときに第2始動口38への遊技球の入球を契機として行われる特別図柄遊技処理で第2特別図柄が大当り図柄で停止されて大当り遊技が実行された場合には、大当り遊技の終了後に確変状態の開始と共に時短状態を開始し、特別図柄の変動回数が所定回数に達すると、確変状態および時短状態を終了する。このとき、時短状態でないときに第1特別図柄で大当りを引くよりも時短状態にあるときに第2特別図柄で大当りを引く方が遊技者にとって有利とする。即ち、大当り遊技の終了後には、まず、確変状態は発生するが時短状態は発生していない期間を発生させ、その後に確変状態および時短状態が共に発生している期間を発生させる。この際、後者の期間で第2特別図柄の当否判定結果が当りとなって大当り遊技が実行される方が、前者の期間で第1特別図柄の当否判定結果が当りとなって大当り遊技が実行されるよりも遊技者にとって有利となり得る。これにより、時短状態にないときに第1特別図柄の当否判定結果が当りとなるか時短状態にあるときに第2特別図柄の当否判定結果が当りとなるかは、遊技者が有利に遊技を進める上で重要な要素となるから、遊技意欲を高め、興趣の向上を図ることができる。また、時短状態を発生させるか否かを抽選により決定し、時短状態を発生させることを決定した場合に時短開始時期を決定するから、大当り遊技の終了後に時短状態を全く発生させないといった遊技性も付加することができ、遊技性を多様化させることができる。
第2実施例のパチンコ機では、大当り図柄に拘わらず、大当り遊技が終了したときに100%の確率をもって確変状態を発生させ、特別図柄の変動表示が所定回数に亘って行われたときに確変状態を終了させるものとしたが、これに限定されるものではなく、大当り図柄として通常大当り図柄と確変大当り図柄とを用意し、確変大当り図柄で大当りとなると、確変状態を発生させると共に特別図柄の変動表示が所定回数に亘って行われたときに確変状態を終了させるものとし、通常大当り図柄で大当りとなると、確変状態を発生させずに低確率状態(通常状態)とするものとしてもよい。
[第3実施例]
第3実施例のパチンコ機は、第2実施例のパチンコ機と同一遊技盤および制御回路により構成されている。したがって、第3実施例の遊技盤や制御回路の構成については、第2実施例と重複するから、説明を省略する。第3実施例のパチンコ機は、通常大当りを引くと大当り遊技の終了後に確変状態を発生させず、確変大当りを引くと大当り遊技の終了後に次に大当りを引くまで確変状態とする。
図39は、第3実施例のパチンコ機の第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の一例を示す説明図である。図39に示すように、第1の通常大当りとなる第1特別図柄は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様であり(図39上段左側参照)、第1の通常大当りなる第2特別図柄は、第2特別図柄表示部42bにおける右上,左下の縦棒セグメントと中段の横棒セグメントとが点灯する表示態様である(図39上段右側参照)。また、第1の確変大当りとなる第1特別図柄は、右下,左下の縦棒セグメントと上段の横棒セグメントとが点灯する表示態様であり(図39中段左側参照)、第1の確変大当りとなる第2特別図柄は、左上,左下の縦棒セグメントと上段の横棒セグメントとが点灯する表示態様である(図39中段右側参照)。第2の確変大当りとなる第1特別図柄は、右下の縦棒セグメントと上段の横棒セグメントとが点灯する表示態様である(図39下段左側参照)。本実施例では、第2特別図柄は第2の確変大当りは用意されていない。なお、大当り時における特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各大当り時における特別図柄の表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。
第1の通常大当りは、第1大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には大当り判定の結果が大当りとなる確率が低い低確率状態(通常状態)となる。第1の確変大当りは、第1大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで大当り判定の結果が大当りとなる確率が通常よりも高くなる高確率状態(確変状態)となる大当り態様である。また、第2の確変大当りは、第1大入賞口44の開放動作が第1の通常大当りや第1の確変大当りよりも少ないラウンド数(例えば、5ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで確変状態となる大当り態様である。本実施例では、第1の確変大当りと第2の確変大当りについては、大当り遊技が終了した後に時短状態が付与される。ここで、第1特別図柄による確変大当りは、確変状態が開始されても直ちに時短状態が開始されるわけではなく、確変状態の継続期間の途中で一定の条件の下で時短状態が開始され、確変状態の終了と共に時短状態も終了する。一方、第2特別図柄による確変大当りは、確変状態の開始と共に時短状態も開始され、確変状態の終了と共に時短状態も終了する。
次に、こうして構成された第3実施例のパチンコ機の動作について説明する。まず、遊技の流れについて説明する。図40は、第1始動口36への入球を伴う遊技の流れを示す説明図であり、図41は、第2始動口38への入球を伴う遊技の流れを示す説明図である。なお、図40,41の各ステップのうち第2実施例の図29,30と同一のステップについては同一のステップ番号を付した。図40に示すように、遊技球が第1始動口36に入球すると(S10)、第1特別図柄の変動表示が開始される(S12)。第1特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S14)、外れとなる(S16)。第1特別図柄が通常大当り図柄で停止表示されたり、第1特別図柄が確変大当り図柄で停止表示されると(S18a,S18b)、第1大入賞口46を開閉する大当り遊技が開始される(S20a,S20b)。確変大当りの大当り遊技が終了すると、確変状態が開始されるが(S21)、時短状態は開始されない。確変状態では、遊技球が第1始動口36に入球すると(S22)、第1特別図柄の変動表示が開始され(S24)、第1特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S26)、外れとなる(S28)。このとき、大当り遊技終了後の第1特別図柄の変動回数が所定回数N1未満の場合には(S30)、S22に戻り、第1特別図柄の変動回数が所定回数N1以上となると(S32)、時短状態が開始される(S34)。第1特別図柄の変動表示の結果、第1特別図柄が通常大当り図柄で停止表示されると(S36a)、大当り遊技が開始され(S38a)、確変状態が終了する(S39)。一方、第1特別図柄の変動表示の結果、第1特別図柄が確変大当り図柄で停止表示されると(S36b)、大当り遊技が開始され(S38b)、S22に戻る。この場合、確変状態が継続される。このように、時短状態でないときに確変大当りにより大当り遊技が開始されると、大当り遊技の終了後に確変状態は開始されるが、大当り遊技が終了してからの第1特別図柄の変動回数が所定回数N1以上となるまで時短状態は開始されない。
時短状態では、図41に示すように、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過すると(S40)、普通図柄の変動表示が開始される(S42)。変動表示時間が経過して普通図柄が外れ図柄で停止表示されると(S44)、外れとなり(S46)、普通図柄が当り図柄で停止表示されると(S48)、普通電動役物39を開閉して(S50)、第2始動口38に遊技球が入球可能な状態とする。第2始動口38に遊技球が入球すると(S52)、第2特別図柄の変動表示が開始される(S54)。ここで、時短状態であっても、第1始動口36への遊技球の入球は可能であるが、第2特別図柄の変動表示が第1特別図柄の変動表示よりも優先される。第2特別図柄が通常大当り図柄で停止表示されると(S56a)、第1大入賞口44を開閉する大当り遊技が開始され(S58a)、確変状態が終了する(S59)。第2特別図柄が確変大当り図柄で停止表示されると(S56b)、大当り遊技が開始され(S58b)、大当り遊技の終了後に、S40に戻って確変状態が開始(再開)されると共に時短状態も同じタイミングで開始される。第2特別図柄が外れ図柄で停止表示されると(S70)、外れとなる。外れとなると、時短状態が開始されてからの第2特別図柄の変動回数が所定回数N2未満の場合には(S72)、S40に戻って確変状態および時短状態を継続し、第2特別図柄の変動回数が所定回数N2以上となると(S74)、これで時短状態を終了する(S76C)。なお、確変状態は大当りを引くまで継続する。このように、時短状態が発生していないときに第1特別図柄が確変大当りとなって大当り遊技が行われると、大当り遊技が終了してから遅れて時短状態が開始されるが、時短状態が発生しているときに第2特別図柄が確変大当りとなって大当り遊技が行われると、大当り遊技の終了後に直ちに時短状態が開始されるのである。
第3実施例のパチンコ機では、基本的には、第2実施例の主制御処理と同様の処理により遊技が進行されるが、通常大当りを引くと大当り遊技の終了後に確変状態を発生させず、確変大当りを引くと大当り遊技の終了後に次に大当りを引くまで確変状態とするため、図42の特別図柄遊技処理に示すように、S270で変動短縮カウンタが値0となっても、確変フラグをオフとしない点と、図45の大当り遊技終了時処理に示すように、大当り図柄が確変大当り図柄の場合に確変フラグをオンとし、大当り図柄が通常大当り図柄の場合には確変フラグをオンとしない処理(S422C,S423C)が追加されている点、図46の時短抽選処理に示すように、時短状態を付与する条件として確変大当りであること(S501)が追加されている点が第2実施例と異なる。なお、第3実施例のパチンコ機において、第1実施例または第2実施例と同一部分については図示を省略した。
また、第3実施例のパチンコ機では、第1特別図柄の変動表示開始処理で大当りと判定したときの大当り図柄の決定は、図43に例示する大当り図柄決定テーブルを用いて行われ、第2特別図柄の変動表示開始処理で大当りと判定したときの大当り図柄の決定は、図44に例示する大当り図柄決定テーブルを用いて行われる。第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルは、図43に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図39の上段左側の図柄が選択されて第1の通常大当りとなり(約40%の振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜153のときに図39の中段左側の図柄が選択されて第1の確変大当りとなり(約20%の振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値154〜255のときに図39の下段左側の図柄が選択されて第2の確変大当りとなる(役40%の振り分け確率)。一方、第2特別図柄の大当り図柄決定テーブルは、図44に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図39の上段右側の図柄が選択されて第1の通常大当りとなり(約40%の振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜255のときに図39の中段右側の図柄が選択されて第1の確変大当りとなる(約60%の振り分け確率)。このように、第1特別図柄用の大当り図柄決定テーブルと第2特別図柄用の大当り図柄決定テーブルは、いずれも、第1の通常大当りの振り分け確率はほぼ同一であるものの、第2特別図柄の確変大当りは大当り遊技時のラウンド数の多い第1の確変大当りだけ用意されているのに対して、第1特別図柄の確変大当りは第1の確変大当りと第1の確変大当りよりも大当り遊技時のラウンド数が少ない第2の確変大当りも用意されている。したがって、時短状態でないときに第1特別図柄で大当りを引くよりも時短状態にあるときに第2特別図柄で大当りを引く方が遊技者にとって有利となる場合が多い。
以上説明した第3実施例のパチンコ機によれば、時短状態でないときに第1始動口36への遊技球の入球を契機として行われる第1特別図柄の特別図柄遊技処理で第1特別図柄が確変大当り図柄で停止されて大当り遊技が実行された場合には、時短開始時期を決定し、大当り遊技の終了後に確変状態を開始し、その後、決定した時短開始時期が到来したときに時短状態を開始し、特別図柄の変動回数が時短回数Nに達すると、時短状態を終了する。一方、時短状態にあるときに第2始動口38への遊技球の入球を契機として行われる第2特別図柄の特別図柄遊技処理における当否判定の結果が確変大当り図柄で停止された大当り遊技が実行された場合には、大当り遊技の終了後に確変状態の開始と共に時短状態を開始し、特別図柄の変動回数が時短回数Nに達すると、時短状態を終了する。また、時短状態でないときに第1特別図柄で大当りとなるよりも時短状態であるときに第2特別図柄で大当りとなる方が、大当り遊技を遊技者に有利とする。即ち、遊技者にとっては確変状態の間に大当りを引きたいと考えるが、時短状態が開始された後に大当りを引いた方が大当り遊技が遊技者に有利となるから、こうした遊技性を付加することで、遊技者の遊技意欲を高めることができ、遊技興趣を向上させることができる。また、時短状態を発生させるか否かを抽選により決定し、時短状態を発生させることを決定した場合に時短開始時期を決定するから、大当り遊技の終了後に時短状態を全く発生させないといった遊技性も付加することができ、遊技性を多様化させることができる。
第3実施例のパチンコ機では、第1の通常大当りを引くと、大当り遊技の終了後に時短状態を発生させないものとしたが、これに限定されるものではなく、通常大当りに対しても時短状態を発生させるものとしてもよい。この場合、例えば、図46の時短抽選処理のS501を省略する(図23の時短抽選処理を実行する)ことにより、通常大当りについても時短抽選処理を適用するものとすればよい。
第3実施例のパチンコ機では、特別図柄が通常大当り図柄の場合に大当り遊技の終了後に大当り判定の結果が大当りなる確率を低確率状態(通常状態)とし、特別図柄が確変大当り図柄の場合に次回の大当りを引くまで大当り判定の結果が大当りとなる確率を高確率状態(確変状態)としたが、これに限られず、例えば、大当り遊技の終了後に確変状態とし、特別図柄が変動表示される度に抽選を行い、抽選に当選するまで確変状態を継続し、抽選に当選すると通常状態に戻す、いわゆる転落抽選を行うものとしてもよい。
第2または第3実施例のパチンコ機では、確変状態の終了時期と時短状態の終了時期とを一致させるものとしたが、これに限定されるものではなく、時短状態の終了時期を確変状態の終了時期よりも遅らせるものとしてもよい。
第1ないし第3実施例のパチンコ機では、時短抽選処理による時短状態を付与するか否かの決定や時短回数Nを遊技者に報知しないものとしたが、いずれか一方または両方を報知するものとしてもよい。
第1ないし第3実施例のパチンコ機では、時短抽選処理のS504で時短状態を発生させるか否かを抽選により決定するものとしたが、これに限定されるものではなく、時短状態は必ず発生させるものとしてもよい。この場合、時短抽選処理のS504,S506の処理を省略するものとすればよい。
第1ないし第3実施例のパチンコ機では、時短状態でないときに第1特別図柄で大当りとなって大当り遊技が実行されると、図23の時短抽選処理のS504,S506で時短状態を付与するか否かを抽選により決定するものとしたが、これに限定されるものではなく、必ず時短状態を付与するものとしてもよい。この場合、図23の時短抽選処理のS504,506を省略するものとすればよい。
第1ないし第3実施例のパチンコ機では、時短状態で第2特別図柄で当りとなって大当り遊技が実行されると、大当り遊技の終了後に直ちに時短状態を開始させるものとしたが、これに限定されるものではなく、時短状態の開始時期を変化させるものとしてもよい。この場合、例えば、図23の時短抽選処理のS502,S514を省略して、時短状態(変動短縮フラグがオン)での大当りについてもS504〜512を適用するものとしたり、時短状態での大当りについてはS504,S506の時短抽選処理をスキップしてS508〜S512の時短回数Nの抽選や時短開始時期の設定のみを行うものとしたりすることができる。これらの場合、時短状態(変動短縮フラグがオン)での大当りについては、時短状態でないときの大当りよりも、S506で時短状態を付与する確率を高くしたりS508で時短回数Nを多くしたりするものとしても構わない。
また、上記実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、第1始動口36が「第1の始動口」に相当し、第2始動口38が「第2の始動口」に相当し、第1始動口36への遊技球の入球を契機として第2実施例の大当り遊技処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「第1当り遊技実行手段」に相当し、第2始動口38への遊技球の入球を契機として第2実施例の大当り遊技処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「第2当り遊技実行手段」に相当し、図37の大当り遊技終了時処理のステップS422Bを実行する主制御基板70のCPU70aが「確変状態発生手段」に相当し、図38の時短開始処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「入球容易状態発生手段」に相当し、第2実施例の時短抽選処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「開始時期決定手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。