JP5708116B2 - 希土類磁石 - Google Patents

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本発明は、保護層を有する希土類磁石に関する。
希土類元素R、遷移金属T及びホウ素Bを含むR−T−B系磁石等の希土類磁石は、高い磁気特性を有することから、永久磁石として様々な分野で活用されている。このような希土類磁石は、通常、比較的容易に腐食される希土類元素を含有する。このため、永久磁石としての磁気特性の低下を抑制するために、磁石素体の上に種々の材質の保護層を設けることが提案されている。
例えば、下記特許文献1では、種々の金属を含む下地皮膜の上に、水素含有非晶質カーボン被膜を設けて、水素等に対する希土類磁石の耐食性を向上させることが試みられている。
特開平2007−158030号公報
しかしながら、上述の特許文献1のような希土類磁石の水素含有非晶質カーボン被膜は、価電子の数が4である元素同士の結合を有することから、元素間に強固な結合が形成されるものの、結合の自由度が低いために大きな内部応力(残留応力)が発生しやすく、構造欠陥が生じやすい傾向にある。このため、腐食環境下で使用した場合に、構造欠陥から腐食性の物質が侵入して磁石素体が腐食されてしまい、本来の希土類磁石の磁気特性を維持することが困難であった。つまり、水素等の腐食性の物質の磁石内部への侵入経路をカーボン被膜によって物理的に塞ぐ希土類磁石では、水素等に対する十分な耐食性を達成することは困難であった。
磁石素体の表面に設ける保護層の他の例としては、窒化ケイ素膜(ナイトライド膜)が挙げられる。しかしながら、保護層をナイトライド膜のような軽元素を有する化合物含む膜とした場合には、希土類元素を含む磁石素体と保護層との密着性が十分ではなく、磁石素体から保護層が剥離してしまい、磁石素体の腐食や磁気特性の低下の要因となり得ることが分かった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁石素体と保護層との密着性に優れるとともに、水素に対する耐食性に優れる希土類磁石を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、保護層の材質や構造を種々検討した。そして、磁石素体の表面に保護層として特定の化合物を含有する層を形成し、且つ磁石素体の表面近傍に特定の元素を拡散させることによって、保護層と磁石素体の間の密着性に優れ、且つ水素に対する優れた耐食性を有する希土類磁石が得られることを見出した。
すなわち、本願発明に係る希土類磁石は、希土類元素を含む磁石素体と、磁石素体を被覆する保護層と、を備える希土類磁石であって、保護層は、磁石素体の表面に形成された第1層と、第1層を挟んで磁石素体の反対側に位置する第2層と、を有し、磁石素体の表面領域は、Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素EAと、Nと、を含有し、第1層は、Al、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu及びZnからなる群より選ばれる1種以上の金属又は当該金属を含む合金を含有し、第2層は、ナイトライドを含有し、ナイトライドは、Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素E2を含有する。
上記本発明に係る希土類磁石は、磁石素体と保護層との密着性に優れるとともに、水素に対する耐食性に優れる。
上記本発明では、表面領域におけるNの含有率がXA原子%であり、表面領域における元素EAの含有率の合計値がYA原子%であり、第2層におけるNの含有率がX2原子%であり、第2層における元素E2の含有率の合計値がY2原子%であるとき、X2/Y2<XA/YAであることが好ましい。これにより、希土類磁石の水素に対する耐食性が向上し易くなる。
本発明によれば、磁石素体と保護層との密着性に優れるとともに、水素に対する耐食性に優れる希土類磁石を提供することができる。
本発明の希土類磁石の好適な実施形態を模式的に示す斜視図である。 図1に示す希土類磁石をII−II線に沿って切断した場合の模式断面図である。 本発明の希土類磁石の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
(希土類磁石)
図1に示すように、希土類磁石100は、磁石素体10と、該磁石素体10の表面を覆う保護層20とを備える。保護層20は、磁石素体10側から第1層22及び第2層24が順次積層された積層構造を有する。
磁石素体10の表面領域2には、Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素EAと、Nと、が拡散している。第1層22は、Al、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu及びZnからなる群より選ばれる1種以上の金属又は当該金属を含む合金を含有する。第2層24は、ナイトライドを含有する。当該ナイトライドは、Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素E2を含有する。
以下では、磁石素体10とその表面領域2、第1層22及び第2層24をそれぞれ詳説する。
磁石素体10は、希土類元素として、長周期型周期表の3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイドからなる群より選ばれる1種以上の元素を含む。ここで、ランタノイドは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)を含む。
磁石素体10は、希土類元素として、上述したもののうち、Nd、Pr、Ho及びTbから選ばれる少なくとも1種の元素、又は、La、Sm、Ce、Gd、Er、Eu、Tm、Yb及びYから選ばれる少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。
磁石素体10は、焼結磁石であってもよく、ボンド磁石であってもよい。磁石素体に含まれる磁性粒子としては、Sm−Co系の磁性粒子、Nd−Fe−B系の磁性粒子、Sm−Fe−N系の磁性粒子等が挙げられる。これらのなかでも、磁性粒子としては、SmCoやSmCo17で表されるSm−Co系の磁性粒子、又は、NdFe14Bで表されるNd−Fe−B系の磁性粒子が好ましい。
磁石素体10がNd−Fe−B系の焼結磁石である場合、磁石素体10中の希土類元素の含有割合は、好ましくは8〜40質量%であり、より好ましくは15〜35質量%である。希土類元素の含有割合が8質量%未満であると、高い保磁力(iHc)を有する希土類磁石100が得られ難くなる傾向にある。一方、希土類元素の含有割合が40質量%を超えると、Rリッチな非磁性相が多くなり、希土類磁石100の残留磁束密度(Br)が低下する傾向にある。
磁石素体10中のFeの含有割合は、好ましくは42〜90質量%であり、より好ましくは60〜80質量%である。Feの含有割合が42質量%未満であると希土類磁石100のBrが低下する傾向にあり、90質量%を超えると希土類磁石100のiHcが低下する傾向にある。
磁石素体10中のBの含有割合は、好ましくは0.5〜5質量%である。Bの含有割合が0.5質量%未満であると、希土類磁石100のiHcが低下する傾向にあり、5質量%を超えるとBリッチな非磁性相が多くなるため、希土類磁石100のBrが低下する傾向にある。
なお、Feの一部をコバルト(Co)で置換してもよい。これによって、希土類磁石100の磁気特性を損なうことなく温度特性を改善することができる。また、Bの一部を炭素(C)、リン(P)、硫黄(S)及び銅(Cu)からなる群より選ばれる1種以上の元素で置換してもよい。これによって、希土類磁石100の生産性が向上し、その生産コストを削減することができる。
希土類磁石100の保磁力の向上、生産性の向上及び低コスト化の観点から、磁石素体10は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、銅(Cu)及び/又はハフニウム(Hf)等のうちの1種以上の元素を含んでいてもよい。
磁石素体10中には、不可避的不純物として、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)及び/又はカルシウム(Ca)等が含まれていてもよい。
磁石素体の表面領域2は、Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素EAと、Nと、を含有する。元素EAは、第2層24に含まれる元素E2と同じあってもよく、異なっても良い。例えば、EAがSiであり、E2がSi及びTiであってもよい。EAがSi及びTiであり、E2がSiであってもよい。また、表面領域2中の元素EAとNとはナイトライドを形成していてもよく、形成していなくてもよい。
保護層20は、磁石素体10側から順に第1層22及び第2層24を有する。
第1層22は、Al、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属又は当該金属を含む合金を主成分として含有する。第1層22における金属及び合金の合計含有率は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。なお、上述のAl以外の金属元素は、長周期型周期表の第4周期のDブロックに属する金属元素である。このような金属元素は、磁石素体10に含まれる希土類元素よりも小さい原子半径を有するため、第1層22と第2層24の間、及び磁石素体10と第1層22の間の両方の密着性を高くすることができる。なお、第1層22は、実質的に窒素を含有しない。
第1層22は、上記の金属元素の中でも、Al,Ni,Cu及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属又は当該金属を含む合金を含むことがより好ましい。このような金属又は合金に含まれる金属元素は、第2層24に含まれる軽元素と原子半径が近似していることから、第1層22と第2層24との密着性を一層向上することができる。
第2層24は、ナイトライドを含有する。このナイトライドは、Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素E2を含有する。具体的なナイトライドとしては、シリコンナイトライド、アルミニウムナイトライド、タンタルナイトライド、チタンナイトライド、ジルコニウムナイトライド、ハフニウムナイトライド、ニオブナイトライド、マグネシウムナイトライド、クロムナイトライド、ニッケルナイトライド、モリブデンナイトライド、バナジウムナイトライド、タングステンナイトライド、鉄ナイトライド、ホウ素ナイトライド、ガリウムナイトライド、ゲルマニウムナイトライド、ビスマスナイトライド、マンガンナイトライド、バリウムナイトライド、ランタンナイトライド、イットリウムナイトライド、カルシウムナイトライド、ストロンチウムナイトライド、セリウムナイトライド及びベリリウムナイトライドからなる群より選ばれる1種以上のナイトライドが挙げられる。
第2層24における窒素の含有率X2は、第2層24の気密性を一層向上させる観点から、第2層24に含まれる総原子数を基準として、好ましくは10〜70原子%であり、より好ましくは20〜60原子%である。
第2層24における元素E2の含有率の合計値Y2は、第2層24の気密性を一層向上させる観点から、第2層24に含まれる総原子数を基準として、好ましくは10〜80原子%であり、より好ましくは20〜70原子%である。
第2層24は、炭素の含有量が低いものであることが好ましい。これは、炭素を有することによって、グラファイト構造等を形成すると、クラックが発生し易くなり、第2層24の十分に高い緻密性が損なわれる可能性があるためである。このような観点から、第2層24における炭素の含有率は、好ましくは5原子%以下、より好ましくは1原子%以下である。
第2層24は、水素及び酸素が含有されていてもよい。価電子数が1である水素及び価電子数が2である酸素が含有されることで、構成元素間の結合が形成されやすくなる。特に水素を含有することにより、結合末端を水素とすることができるために結合角が不安定である格子の数が低減されることで、ナイトライドを主成分とする第2層24の内部応力を低減することが可能となる。このような観点から、第2層24における水素及び酸素の合計含有量は0.1〜50原子%、より好ましくは1〜45原子%、さらに好ましくは3〜40原子%である。
第1層22と第2層24との界面は、市販の分析装置を用いて特定することができる。例えば、保護層20を厚み方向(積層方向)に削りながら組成分析をすることが可能なグロー放電発光分光分析により構成元素の含有量を測定し、厚み方向に沿って、構成元素の含有率が不連続に変化する箇所を、層の界面として特定することができる。
磁石素体10の寸法は、特に限定されないが、縦4〜50mm×横5〜100mm×厚さ0.5〜10mm程度である。表面領域2の厚さは、0.5〜20μm程度である。
第1層22の厚みは、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上である。通常、磁石素体10は、表面の算術平均粗さRaが0.7〜3μmであるため、厚みが0.1μm未満となると、特に磁石素体10の凸部において、密着性を向上する作用が十分に得られなくなる傾向にある。第1層22の厚みが0.3μm以上であると、保護層20と磁石素体10との密着性を十分に高くすることができる。
第1層22の厚みは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。当該厚みが50μmを超えると、所定のサイズの希土類磁石における磁石素体の体積比率が低下し、十分に優れた磁気特性が得られ難くなる傾向にある。当該厚みが30μm以下であると、十分に優れた密着性を有する希土類磁石100を低い製造コストで製造することができる。
第2層24の厚みは、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは1μm以上である。当該厚みが0.1μm未満であると、十分に優れた耐食性や耐湿性が損なわれる傾向にある。当該厚みが1μm以上であると、耐食性及び耐湿性を一層向上することができる。
第2層24の厚みは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。当該厚みが10μmを超えると、希土類磁石100の製造コストが高くなる傾向にある。第2層24の厚みが5μm以下であると、十分に優れた耐食性及び耐湿性を有する希土類磁石100を低い製造コストで製造することができる。
保護層20全体の厚みは、好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは1.3μm以上である。当該厚みが0.2μm未満であると、十分に優れた耐食性や耐湿性が損なわれる傾向にある。当該厚みが1.3μm以上であると、耐食性及び耐湿性を一層向上することができる。
保護層20全体の厚みは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。当該厚みが50μmを超えると、保護層20の厚さが大きくなり過ぎて、所定のサイズの希土類磁石における磁石素体の体積比率が低下し、十分に優れた磁気特性が得られ難くなる傾向にある。保護層20全体の厚みが30μm以下であると、十分に優れた磁気特性と、優れた耐食性及び耐湿性を有する希土類磁石100を低い製造コストで製造することができる。
本実施形態では、以下の理由から、ナイトライドを含有する第2層24が主に希土類磁石全体の耐食性の向上に寄与する、と本発明者らは考える。すなわち、第2層24は、ナイトライドを構成するN(窒素)と元素E2とを含有する。N原子はその価電子数が3であり、かつ孤立電子対をもつ。そのため、N原子と元素E2との結合自由度が高く、ナイトライドを構成する元素同士の結合が密になる。すなわち第2層24は緻密なナイトライド膜となる。そのため、仮に希土類磁石を腐食するH又はH(水素)やO又はO(酸素)が第2層24内に浸入した場合であっても、ナイトライド膜が緻密であるため、水素又は酸素は第2層24を透過し難い。また、ナイトライドの高い結合自由度により、水素又は酸素がナイトライドの内部に吸収される。つまり、第2層24は水素又は酸素を吸収する余地を有する。これらの理由から、磁石素体10に水素又は酸素が浸入することを抑制することができる。このような作用によって、希土類磁石100の耐食性が向上する。ただし、第2層24に係る作用効果は、上記のものに限定されるものではない。
本実施形態では、以下の理由から、第2層24よりも磁石素体10側に配置される第1層22が主に磁石素体と保護層20との密着性の向上に寄与する、と本発明者らは考える。すなわち、磁石素体10は原子量の大きい希土類元素を含有しているのに対し、第2層24はナイトライドを構成する元素E2や窒素のように、原子量の小さい元素を含有している。このため、仮に磁石素体10の表面上に直接第2層22を積層した場合、両者の良好な密着性が得られない傾向にある。しかしながら、本実施形態では、磁石素体10と第2層24との間に、磁石素体10に含まれる成分及び第2層24に含まれる成分の両方との相性に優れる所定の金属又は合金を含有する第1層22を設けている。つまり、第1層22は、金属元素を含んでいることから磁石素体10との密着性が良好である。そして、第1層22は、希土類元素よりも原子半径の小さい金属元素を含んでいることから、第2層24との密着性も良好である。このような作用によって、磁石素体10と保護層10との密着性が向上する。ただし、第1層22に係る作用効果は、上記のものに限定されるものではない。
本実施形態では、磁石の最表面に第2層24を配置するだけではなく、磁石素体10と第1層22との境界に表面領域2を配置することにより、希土類磁石を腐食する水素又は酸素の磁石素体10への侵入をより抑制することができる。すなわち、ナイトライドを構成し得るN及び元素EAを表面領域2中に拡散させることにより、表面領域2はその内部に水素又は酸素を吸収する余地を有する。そのため、水素又は酸素の侵入を、ナイトライドを含有する第2層24によって抑制しきれなかったとしても、第2層24の機能を表面領域2が補完するため、水素又は酸素が磁石素体10に浸入することが抑制される。ただし、表面領域2に係る作用効果は、上記のものに限定されるものではない。また、表面領域2中のN及び元素EAは、必ずしもナイトライドを構成しているわけではない。
本実施形態では、水素又は酸素に対する耐食性を向上させるために、磁石素体10と第1層22の間に、第2層24と同様にN及び元素E2からなる被覆層を形成する必要は無い。その代わりに、本実施形態では、第2層24内でナイトライドを構成する元素と同様のN及び元素EAを拡散させた表面領域2を形成することによって、耐食性を損なうことなく、第1層22を磁石素体10の表面に直接配置して、保護層20と磁石素体10との密着性を維持することが可能となる。このような作用によって、表面領域2は磁石素体10と保護層20との密着性、及び希土類磁石100の耐食性の向上に寄与する。ただし、表面領域2に係る作用効果は、上記のものに限定されるものではない。
本実施形態では、表面領域2におけるNの含有率がXA原子%であり、表面領域2における元素EAの含有率の合計値がYA原子%であり、第2層24におけるNの含有率がX2原子%であり、第2層24における元素E2の含有率の合計値がY2原子%であるとき、X2/Y2<XA/YAであることが好ましい。
第2層24に含まれるN及び元素E2の全てがナイトライドを構成している場合、X2は第2層24中のナイトライドを構成するNの含有率であり、Y2は第2層24中のナイトライドを構成する元素E2の含有率である。よって、第2層24中のナイトライドは、E2Y2X2と表すことができる。元素E2及びNの化学量論比Y2:X2は元素E2の種類によって一意的に特定される。一方、表面領域2では、N及び元素EAが必ずしもナイトライドを構成するわけではない。よって、表面領域2では、元素EAに対するNの比率を、EA及びNから構成されるナイトライドの化学量論比よりも大きい値に設定することができる。つまり、不等式X2/Y2<XA/YAは、元素E2及びNの数が化学量論比を満たす第2層24とは対照的に、表面領域2では、価電子数が3であり、かつ孤立電子対をもつN原子の元素EAに対する比率が化学量論比よりも高いことを意味する。これにより、表面領域2の内部に水素又は酸素を吸収する余地が大きくなる。その結果、水素又は酸素の侵入を抑制する第2層24の機能を、表面領域2によって効果的に補完することが可能となる。以上の理由から、X2/Y2<XA/YAである場合、水素又は酸素の磁石素体10への浸入をさらに抑制することができる。ただし、X2,Y2,XA及びYAの比率に係る作用効果は、上記のものに限定されない。
本実施形態に係る希土類磁石は、例えば、ハイブリッド自動車又は電気自動車に搭載される電磁継電器(電磁リレー装置)用の磁石に用いられる。電磁リレー装置では、リレーの接点付近の雰囲気の熱伝導率を向上させる目的で、水素ガスが封入された密閉構造内にリレーの接点が配置される。そして、密閉構造内では、永久磁石の磁場をアークに印加する。これにより、リレーの接点間で発生するアーク電圧がバッテリー電圧以上に制御され、直流高電圧が遮断される。このような電磁リレー装置では、水素ガス中における永久磁石の耐食性が要求される。よって、水素に対する耐食性に優れる本実施形態の希土類磁石は、電磁リレー装置に好適である。また、本実施形態の希土類磁石は、回転機又は往復動モータ用の磁石として好適である。耐食性に優れた希土類磁石を備える回転機又は往復動モータは、苛酷な環境下で使用しても、長期間に亘って優れた性能を維持することができる。
[希土類磁石100の製造方法]
次に、本実施形態の希土類磁石100の製造方法の一例を説明する。希土類磁石100の製造方法は、磁石素体10及びその表面領域2を製造する第1工程と、磁石素体10の表面上に第1層22を形成する第2工程と、第1層22の表面上に第2層24を形成する第3工程とを有する。以下、各工程の詳細について説明する。
第1工程では、磁石素体10がR−Fe−B系の磁性粒子を主成分とする焼結磁石である場合、以下に説明する焼結法によって磁石素体10を製造する。まず、希土類元素(R)、鉄(Fe)及びホウ素(B)や、上述の他の元素を所定の比率で含む組成物を鋳造し、インゴットを得る。得られたインゴットを、スタンプミル等を用いて粒径10〜100μm程度に粗粉砕し、続いて、ボールミル等を用いて粒径0.5〜5μm程度に微粉砕して磁性粉末を得る。
次に、得られた磁性粉末を、好ましくは磁場中にて成形して成形体を調製する。この場合、印加する磁場強度は10kOe以上であると好ましく、成形圧力は1〜5ton/cm2程度であると好ましい。
調製した成形体を、1000〜1200℃で0.5〜5時間程度焼結し、急冷する。なお、焼結雰囲気は、Arガス等の不活性ガス雰囲気であると好ましい。そして、好ましくは不活性ガス雰囲気中で、500〜900℃にて1〜5時間熱処理(時効処理)を行うことによって磁石素体10が得られる。
磁石素体10がボンド磁石である場合、以下に説明する方法によって、磁石素体10を製造することができる。まず、焼結磁石の製造と同様にして、磁性粉末を得る。得られた磁性粉末と、バインダー樹脂及び硬化剤等とを混合した後、加圧ニーダー等の混練機に投入して混練し、混練物を得る。磁性粉末とバインダー樹脂の混合比率は、磁性粉末とバインダー樹脂の合計100質量部に対し、磁性粉末を95〜98質量部とすることが好ましい。
次いで、この混錬物を、圧縮成形機等により圧縮成形する。この際、磁場中で圧縮成形を行うことにより着磁を同時に行ってもよい。なお、着磁は、圧縮成形後に別途行ってもよい。優れた磁気特性を有する磁石素体10を得る観点からは、784〜980MPa程度の高圧力で圧縮成形を行うことが好ましい。
バインダー樹脂としては、磁性粉末同士を結着させることができる熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を適用することができる。このようなバインダー樹脂としは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系のエラストマー、アイオノマー、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレン−エチルアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでも、熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂がより好ましい。
バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合には、圧縮成形後、得られた成形体を100〜250℃程度で加熱することによりバインダー樹脂を硬化させて、磁石素体10を得ることができる。バインダー樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には、このような熱硬化は行わなくてもよい。
次に、得られた磁石素体10に表面領域2を形成する。表面領域2の形成方法は特に限定されない。例えば、真空雰囲気中に保持した磁石素体10の表面を50〜500℃程度に加熱した状態で、上述した元素EAの化合物(例えば水素化物)のガスとNガスとを磁石素体10へ供給することにより、EA及びNが磁石素体10内へ拡散して、表面領域2が形成される。表面領域2の組成や厚さは、磁石素体10の温度、元素EAの化合物及びNの各供給量(ガス流量)、雰囲気の気圧等を調整することにより制御できる。なお、元素EA及びNのプラズマに磁石素体を暴露することで、表面領域を形成してもよい。
第2工程では、上述のようにして得られた磁石素体10の表面上に、Al、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属又は当該金属を含む合金を含有する第1層22を形成する。第1層22が金属めっき層である場合、通常の電解めっき又は無電解めっきによって第1層22を形成することができる。具体的には、電解Niめっき、無電解Niめっき、又は電解Cuめっきによって各めっき層を形成することができる。また、第1層22の形成方法は、上述の製造方法に限定されるものではなく、例えばスパッタや蒸着であってもよい。
例えば、電解Niめっき層は、ワット浴やスルファミン酸浴等のめっき浴を用いて形成することができる。好ましいめっき浴の組成は、以下の通りである。
NiSO・6HO: 200〜500g/l。
NiCl : 10〜100g/l。
BO : 10〜100g/l。
電解銅めっき層は、電解銅めっき液を準備し、バレル槽又は引っ掛け治具を用いて磁石素体を電解銅めっき液に浸漬して形成することができる。電解銅めっき液としては、硫酸銅濃度が20〜150g/Lであり、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤の濃度が30〜250g/Lのものを用いることができる。電解銅めっきにおける電流密度は0.1〜1.5A/dm、電解銅めっき浴の温度は10〜70℃とすることができる。
無電解Niめっき層は、ニッケルイオンを所定量含有するとともに、例えば、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤、クエン酸ナトリウム等の錯化剤、及び硫酸アンモニウム等を含有するニッケル化学めっき液(温度:80℃程度)に、磁石素体10を浸漬することによって形成することができる。
第1層22は、一種類のめっき層からなるものであってもよく、二種類以上のめっき層を組み合わせて積層したものであってもよい。また、上述のめっき層以外の層を、公知の方法によって形成し、第1層22としてもよい。
第3工程では、元素E2及びNから構成されるナイトライドを含有する第2層24を形成する。第2層24の原料としては、元素E2の化合物及びNガス等を用いればよい。第2層24の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法若しくは溶射法等の気相成長法、塗布法若しくは溶液析出法等の液相成長法、又はゾルゲル法等の公知の成膜技術を用いることができる。これらのなかで、組成の異なる層を連続的に形成できる点、及び磁石素体10の表面に多少の凹凸があっても、当該表面に保護層20を確実に形成できる点で、CVD法が好ましい。CVD法としては、プラズマCVD法、熱CVD法、又はCat−CVD法などを例示することができる。
例えば、シリコンナイトライドからなる第2層24をCVD法で形成する場合、原料ガスとして、例えばSiHガス、Nガス、NHガス、Hガス等を用い、これらを所定の条件で反応させて、磁石素体10の表面上に、構成元素としてケイ素、窒素及び水素を含む非晶質からなる第2層24を形成する。この際、SiHガス、Nガス、NHガス、Hガスの供給比率を調製し、第2層24における水素の含有率を、好ましくは0.1〜50原子%、より好ましくは1〜45原子%、さらに好ましくは3〜40原子%とする。このような組成を有する第2層を容易に形成するために、原料ガスとして、SiHガス、Hガス及びNHガスの混合ガスを用いることが好ましい。このような混合ガスを用いる場合、原料ガス全体に対するNHガスの体積比率は、所定の水素含有率を有する第2層24を効率よく形成する観点から、好ましくは0〜90体積%、より好ましくは5〜85体積%、さらに好ましくは10〜80体積%である。一方、原料ガス全体に対するHガスの体積比率は、好ましくは0〜30体積、より好ましくは0〜20体積%であり、原料ガス全体に対するSiHガスの体積比率は、好ましくは1〜30体積%、より好ましくは2〜12体積%である。このような原料ガスを用いることによって、所望の水素の含有率を有する第1層22を容易に形成することができる。他の元素E2の化合物のガスを用いて、上記と同様にCVD法を実施してもよい。
CVD法では、上述の原料ガスの他に、キャリアーガスとして、ArガスやHeガスを用いてもよい。なお、上述の混合ガスにおける各原料ガスの体積比率の計算にキャリアーガスの流量は用いない。すなわち、キャリアーガスの使用の有無にかかわらず、各原料ガスの体積比率の好適な範囲は上述の範囲となる。
以上の工程によって、磁石素体10の表面領域2上に、第1層22及び第2層24からなる保護層20を有する希土類磁石100を製造することができる。このような希土類磁石100は、ナイトライドを含有する緻密な第2層24と、第2層24と強固に密着する第1層22とを有する保護層20を備える。この保護層20は、磁石素体10との密着性に優れて、また第2層24及び表面領域2は耐食機能を有する。よって、本実施形態に係る希土類磁石100では、腐食環境下で使用しても、腐食物質による磁石素体10の腐食を十分に抑制することができる。すなわち、希土類磁石100は十分に優れた耐食性を長期間に亘って維持することができる。
次に、本発明の希土類磁石の別の実施形態を説明する。
図3は、本発明の希土類磁石のさらに別の実施形態を模式的に示す断面図である。希土類磁石300は、磁石素体10と、磁石素体10の上に保護層30を備える。保護層30は、磁石素体10側から、第1層32、中間層34、第2層36が順次積層された積層構造を有する。第1層32及び第2層36は、上記実施形態の第1層22及び第2層24と同様の層である。すなわち、希土類磁石300は、第1層32と第2層36の間に中間層34を有している点で、上記実施形態の希土類磁石100と相違する。
中間層34は、第1層32に含まれる金属Al、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の水素化物又は当該金属を含む合金の水素化物を主成分として含有する。この中間層34は、第1層32に含まれる金属又は合金の水素化物を含有していることから、第2層36の形成時に、第2層36に含まれる化合物に生じる歪を十分に低減することができる。
また、中間層34は、第1層32と同様の金属成分を含有していることから、第1層32と強固に密着することができる。さらに、中間層34は、水素を含有することから、第2層36とも強固に密着することができる。このように、保護層30は、層間の密着性が十分に優れていることから、希土類磁石300は、十分に優れた耐食性を有しており、優れた磁気特性を長期間に亘って維持することができる。
中間層34は、第1層32を形成した後、水素雰囲気中で、50〜300℃の温度で0.1〜1時間加熱する水素化処理を施すことによって、形成することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。水素化物は、希土類磁石300の中間層34のように層を形成せずに、例えば、希土類磁石100の第1層22の第2層24との接触面近傍に含まれていてもよい。また、希土類磁石100及び300は、保護層20及び30の上に、当該保護層を構成する層とは異なる組成を有する層(例えば構成元素として水素を含有しない化合物からなる層)を有していてもよい。
本発明の内容を実施例及び比較例を参照してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[希土類磁石の作製]
(実施例1)
<磁石素体の形成>
粉末冶金法によって、Nd−Dy−B−Fe系合金からなるインゴットを得た。このインゴットの組成は、Nd含有率:27.4質量%、Dy含有率:3質量%、B含有率:1質量%、Fe含有率:68.6質量%であった。このインゴットを、スタンプミル及びボールミルにより粉砕して、上記組成の合金微粉末を得た。
得られた合金微粉末を、磁場中でプレス成形して成形体を調製した。この成形体を、保持温度1100℃、保持時間1時間の条件下で焼結して焼結体を得た。その後、焼結体に、アルゴンガス雰囲気下、保持温度600℃、保持時間2時間の条件で時効処理を施した。時効処理を施した焼結体を、20×10×1(mm)のサイズの直方体形状に加工し、バレル研磨処理によって面取りを行って、磁石素体を得た。
<前処理>
磁石素体に、アルカリ脱脂処理、水洗、硝酸溶液による酸洗浄処理、水洗、超音波洗浄によるスマット除去処理、水洗を順次行う前処理を施した。前処理を施した磁石素体を、真空成膜チャンバーの内部に配置した後、当該真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。
<表面領域の形成>
排気後の真空成膜チャンバー内に、下記の条件で下記のガスを5分間導入し、Si及びNを拡散させた表面領域を形成した。
導入ガス:SiH(シラン)、N(窒素)。
導入ガスの流量:SiH=40ml/分、N=600ml/分。
(導入ガスの流量は、温度及び圧力を、25℃及び1気圧に換算した値である。)
チャンバー内の圧力:30Pa。
磁石素体の表面温度:100℃。
<第1層の形成>
表面領域を形成した後、真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。次いで、気相成長法である真空蒸着法を用いて、金属ニッケル層(第1層)を、その厚さが5μmとなるように磁石素体表面上に形成した。金属ニッケル層の形成は、金属ニッケル蒸着源に電子ビームを照射して行った。
<第2層の形成>
第1層を形成した後、真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。次いで、プラズマCVD気相成膜法によって、構成元素としてSi及びNを含むナイトライドからなる第2層(厚み:2μm)を第1層の表面上に形成した。プラズマCVD気相製膜法の条件は以下の通りとした。
導入ガス:SiH(シラン)、N(窒素)。
導入ガスの流量:SiH=40ml/分、N=600ml/分。
(導入ガスの流量は、温度及び圧力を、25℃及び1気圧に換算した値である。)
チャンバー内の圧力:30Pa。
磁石素体の表面温度:170℃。
高周波電力:300W。
このようにして、Si及びNを含む表面領域を有する磁石素体と、磁石素体の表面全体を覆うNiからなる第1層と、第1層全体を覆うSi及びNを含むナイトライドからなる第2層と、を備える実施例1の希土類磁石を得た。
(実施例2)
表面領域を形成する際の磁石素体の表面温度を200℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の希土類磁石を得た。
(実施例3)
実施例1と同様に、前処理を施した磁石素体を得た。この磁石素体を、真空成膜チャンバーの内部に配置した後、当該真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。
<表面領域の形成>
排気後の真空成膜チャンバー内に、下記の条件で下記のガスを5分間導入し、Si及びNを拡散させた表面領域を形成した。
導入ガス:SiH(シラン)、N(窒素)、NH(アンモニア)。
導入ガスの流量:SiH=40ml/分、N=600ml/分、NH=20ml/分。
(導入ガスの流量は、温度及び圧力を、25℃及び1気圧に換算した値である。)
チャンバー内の圧力:30Pa。
磁石素体の表面温度:100℃。
<第1層の形成>
表面領域を形成した後、実施例1と同様にして第1層を形成した。
<第2層の形成>
第1層を形成した後、真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。次いで、プラズマCVD気相成膜法によって、構成元素としてSi及びNを含むナイトライドからなる第2層(厚み:2μm)を第1層の表面上に形成した。プラズマCVD気相成膜法の条件は以下の通りとした。
導入ガス:SiH(シラン)、N(窒素)、NH(アンモニア)。
導入ガスの流量:SiH=40ml/分、N=600ml/分、NH=20ml/分。
(導入ガスの流量は、温度及び圧力を、25℃及び1気圧に換算した値である。)
チャンバー内の圧力:30Pa。
磁石素体の表面温度:250℃。
高周波電力:300W。
このようにして、Si及びNを含む表面領域を有する磁石素体と、磁石素体の表面全体を覆うNiからなる第1層と、第1層全体を覆うSi及びNを含むナイトライドからなる第2層と、を備える実施例3の希土類磁石を得た。
(実施例4)
実施例1と同様に、前処理を施した磁石素体を得た。この磁石素体を、真空成膜チャンバーの内部に配置した後、当該真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。
<表面領域の形成>
排気後の真空成膜チャンバー内に、下記の条件で下記のガスを導入した。
導入ガス:Ar(アルゴン)、N(窒素)。
導入ガスの流量:Ar=10ml/分、N2=10ml/分。
(導入ガスの流量は、温度及び圧力を、25℃及び1気圧に換算した値である。)
チャンバー内の圧力:1×10−3Pa
磁石素体の表面温度:100℃
金属チタン蒸着源に電子ビームを5分間照射することで金属チタンを蒸発させ、同時にイオン化電源にて上記の導入ガス及び金属チタンをイオン化することで、Tiイオン及びNイオンを含むプラズマ雰囲気を真空成膜チャンバーに形成した。このプラズマ雰囲気に磁石素体を暴露することで、Ti及びNを拡散させた表面領域を形成した。なお、実施例4の表面領域の形成方法は、被めっき基板(実施例4の磁石素体)にイオンプレーティング電圧を掛けない点を除いてアークイオンプレーティング法と同様の方法である。
<第1層の形成>
表面領域を形成した後、実施例1と同様にして第1層を形成した。
<第2層の形成>
第1層を形成した後、真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。次いで、アークイオンプレーティング法により、構成元素としてTi及びNを含むナイトライドからなる第2層(厚み:2μm)を第1層の表面上に形成した。アークイオンプレーティング法の条件は以下の通りとした。
導入ガス:Ar(アルゴン)、N(窒素)。
導入ガスの流量:Ar=10ml/分、N=10ml/分。
(導入ガスの流量は、温度及び圧力を、25℃及び1気圧に換算した値である。)
蒸着材:金属チタン。
チャンバー内の圧力:1×10−3Pa。
磁石素体の表面温度:300℃。
このようにして、Ti及びNを含む表面領域を有する磁石素体と、磁石素体の表面全体を覆うNiからなる第1層と、第1層全体を覆うTi及びNを含むナイトライドからなる第2層と、を備える実施例4の希土類磁石を得た。
(比較例1)
実施例1と同様に、前処理を施した磁石素体を得た。この磁石素体に、表面領域を形成することなく、実施例1と同様にして第1層のみを形成した。以上の工程により、磁石素体と、磁石素体の表面全体を覆うNiからなる第1層と、からなる比較例1の希土類磁石を得た。
(比較例2)
磁石素体に表面領域を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で、表面領域を有さない磁石素体と、磁石素体の表面全体を覆うNiからなる第1層と、第1層全体を覆うSi及びNを含むナイトライドからなる第2層と、を備える比較例2の希土類磁石を得た。
(比較例3)
実施例1と同様に、前処理を施した磁石素体を得た。この磁石素体に、表面領域を形成することなく、実施例1と同様にして第1層のみを形成した。
第1層を形成した後、真空成膜チャンバーの内部の圧力が所定値(1×10−3Pa)以下になるまで、当該真空成膜チャンバーの排気を行った。次いで、プラズマCVD気相成膜法によって、構成元素としてC及びHを含む第2層(厚み:2μm)を第1層の表面上に形成した。プラズマCVD気相成膜法の条件は以下の通りとした。
導入ガス:CH(メタン)。
導入ガスの流量:CH=100ml/分。
(導入ガスの流量は、温度及び圧力を、25℃及び1気圧に換算した値である。)
チャンバー内の圧力:10Pa。
磁石素体の表面温度:100℃。
このようにして、表面領域を有さない磁石素体と、磁石素体の表面全体を覆うNiからなる第1層と、第1層全体を覆うC及びHを含む第2層(DLC層:Diamond Like Carbon層)と、を備える比較例3の希土類磁石を得た。
(比較例4)
実施例1と同様に、前処理を施した磁石素体を得た。この磁石素体に、表面領域を形成することなく、実施例3の第2層の形成方法と同様の方法で、Si及びNを含むナイトライドからなる下地層を形成した。
下地層を形成した後、実施例3と同様にして、下地層上に第1層及び第2層を順次形成した。以上の工程より、表面領域を有さない磁石素体と、磁石素体の表面全体を覆うSi及びNを含むナイトライドからなる下地層と、下地層全体を覆うNiからなる第1層と、第1層全体を覆うSi及びNを含むナイトライドからなる第2層と、を備える比較例4の希土類磁石を得た。
[希土類磁石の組成分析]
グロー放電発光分光分析装置(JOBIN YVON社製、装置名:GD−PROFILER2)を用いて、各実施例及び各比較例の希土類磁石の表面領域、第1層及び第2層の各部分に含まれる元素と、各部分における各元素の含有率を分析した。結果を表1に示す。なお、分析条件は、下記のとおりであった。
グロー放電電力:20W。
放電範囲:直径2mm。
なお、表1において、XA(単位:原子%)とは、表面領域におけるNの含有率を意味する。YA(単位:原子%)とは、表面領域における元素EAの含有率の合計値を意味する。実施例1〜3及び比較例4の元素EAはSiのみである。実施例4の元素EAはTiのみである。なお、比較例4の下地層は、本発明における表面領域には該当しないが、便宜上、表1の表面領域の欄に、比較例4の下地層の組成を記載した。比較例4の下地層はSi、N及びHを含有しており、下地層におけるSiの含有率は30原子%、Nの含有率は40原子%、水素の含有率は30原子%であった。
表1において、X2(単位:原子%)とは、第2層におけるNの含有率を意味する。Y2(単位:原子)とは、第2層における元素E2の含有率の合計値を意味する。実施例1〜3及び比較例2,4の元素E2はSiのみである。実施例4の元素E2はTiのみである。なお、比較例3の第2層を構成するCは、本発明における元素E2には該当しないが、便宜上、表1のE2の欄に、比較例3の第2層におけるCの含有率(単位:原子%)を記載した。
[希土類磁石の特性評価]
各実施例及び各比較例の希土類磁石の耐食性及び磁石素体とその被覆層との密着性を以下の手順で評価した。
<密着性の評価>
各希土類磁石の磁石素体と被覆層との密着性を、JIS K5400に準拠して、碁盤目テープ法により評価した。具体的には、希土類磁石の表面における10mm四方の領域に、1mm間隔の碁盤目状(100箇所の目)の切込みを入れた。その上に、テープを1枚貼り、そのテープをはがす際に、被覆層が磁石素体から剥離しなかった箇所の数を求めた。100箇所の目のうち、被覆層が剥離しなかった箇所が95箇所以上であった磁石を「A」と判定した。被覆層が剥離しなかった箇所が94箇所以下であった磁石を「B」と判定した。判定結果を表1に示す。
<耐食性の評価>
JIS C0023の規格に準拠して、各希土類磁石についての塩水噴霧試験(SST)を行った。各希土類磁石を24時間、塩水が噴霧された雰囲気中に保持した後、各希土類磁石の表面状態を目視で観察して、錆、被覆層の剥離及び膨れの有無を評価した。試験に用いた塩水中のNaClの濃度は5質量%に調整した。試験温度(雰囲気の温度)は35℃に設定した。錆、被覆層の剥離及び膨れが観察されなかった磁石を「A」と判定した。錆、被覆層の剥離及び膨れの少なくとも一つが観察された磁石を「B」と判定した。判定結果を表1に示す。
<水素暴露試験>
各希土類磁石を、100℃,1気圧の水素雰囲気中で1時間保持した後、各希土類磁石の表面状態を目視で観察して、錆、被覆層の剥離または磁石崩壊の有無を評価した。錆、被覆層の剥離及び磁石崩落が観察されなかった試料を「A」、被覆層の剥離が観察された試料を「B」、磁石崩落が観察された試料を「C」と判定した。判定結果を表1に示す。
<磁気特性の評価>
水素暴露試験前の希土類磁石を20個準備した。そして、それぞれの磁石を2T(テスラ)で着磁し、7回巻きサーチコイル及びフラックスメータを用いて、磁石から0.5mm離れた位置における磁束[mWb・turn]を測定し、それぞれの測定値から平均値を算出した。同様の方法で、水素暴露試験後の希土類磁石20個の磁束の平均値を算出した。そして、水素暴露試験前の磁石の磁束の平均値(A)と水素暴露試験後である試料の磁束の平均値(B)とから、以下の式(1)によって磁束の低下率を算出した。磁束の低下率が1%未満であった磁石を「A」と判定した。磁束の低下率が1%よりも大きかった磁石を「B」と判定した。水素暴露試験中の被覆層の剥離又は磁石崩落により磁束の測定が不可能であった磁石を「C」と判定した。結果を表1に示す。
磁束の低下率(%)=[(A−B)/A]×100 (1)
Figure 0005708116
本発明に係る希土類磁石は、磁石素体と保護層との密着性に優れるとともに、水素に対する耐食性に優れるため、ハイブリッド自動車又は電気自動車等に搭載される電磁継電器(電磁リレー装置)、回転機又はモータ等に好適である。
2・・・磁石素体の表面領域、10・・・磁石素体、20,30・・・保護層、22,32・・・第1層、24,36・・・第2層、34・・・中間層、100,300・・・希土類磁石。

Claims (1)

  1. 希土類元素を含む磁石素体と、前記磁石素体を被覆する保護層と、を備える希土類磁石であって、
    前記保護層は、前記磁石素体の表面に形成された第1層と、前記第1層を挟んで前記磁石素体の反対側に位置する第2層と、を有し、
    前記磁石素体の表面領域は、
    Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素EAと、Nと、を含有し、
    前記第1層は、Al、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu及びZnからなる群より選ばれる1種以上の金属又は当該金属を含む合金を含有し、
    前記第2層は、ナイトライドを含有し、
    前記ナイトライドは、Si、Al、Ta、Ti、Zr、Hf、Nb、Mg、Cr、Ni、Mo、V、W、Fe、B、Ga、Ge、Bi、Mn、Ba、La、Y、Ca、Sr、
    Ce及びBeからなる群より選ばれる1種以上の元素E2を含有し、
    前記表面領域におけるNの含有率がXA原子%であり、
    前記表面領域における前記元素EAの含有率の合計値がYA原子%であり、
    前記第2層におけるNの含有率がX2原子%であり、
    前記第2層における前記元素E2の含有率の合計値がY2原子%であるとき、
    X2/Y2<XA/YAである、
    希土類磁石。
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