JP5706430B2 - 工作機械のプローブ機構 - Google Patents

Description

本発明は、歯車や他の歯付き物品を製造する機械等の工作機械に関する。特に、そのような工作機械のプローブ機構を開示する。

工作機械で様々な機能を実行するための接触型及び非接触型のプローブ機構が知られている。ワークは、所望の寸法を得るために必要な研削量を判断するために、加工前にプローブ検査を行うことがある。ワークは、最終寸法を確認するために、加工後にプローブ検査を行うことがある。また、工作機械のプローブを使用して、機械を調整したり、工具の形状や寸法を監視したりすることができる。

歯車製造機械において、機械の調整及び／又はストック分割等の作業を行うための１つ以上の機載（ｏｎ−ｍａｃｈｉｎｅ）プローブが知られている。ストック分割とは、部分的に仕上げ加工（例えば、切削）された歯車を、仕上げサイクル（例えば、研削）の開始前に、工具（例えば研削砥石）に対して適切に位置決めすることである。例えば、特許文献１には、ワークのプローブ検査及び機械の調整のための接触型及び非接触型プローブであって、ある位置へと、また該位置から揺動する関節アームに配置されたプローブが開示されている。シリンダ又は伸縮装置を利用してプローブを作業位置に前進させたり該作業位置から後退させたりする他の配置構成も知られている。

米国特許第５，２９７，０５５号

しかしながら、関節アームや望遠鏡型（伸縮式）シリンダ等の位置決め装置では、位置決めの精度や再現性に一貫性が無い場合がある。更に、当該産業におけるトレンドがよりコンパクトな装置に向かうにつれて、プローブ検査システムを含む、機械のシステムのコンパクト性も同様に対応させる必要がある。また、例えば、プローブ検査システムの動作に必要な被制御軸方向運動の数を減らすことによって、プローブ検査システムを簡略化することも望ましい。

接触型又は非接触型プローブが、面取り装置等の加工装置のスピンドル、好ましくは工具スピンドルに取り付けられ、加工（例えば、面取り）プロセスの経路から後退した原点位置と、加工（例えば、面取り）プロセスの前後においてワークと接触可能な動作位置とを有する。

本発明のプローブ機構がその原点位置にある状態の工作機械の一種を例示する。 本発明のプローブ機構がその作業位置にある状態の図１の工作機械を例示する。 本発明のプローブ機構が位置付けられた、工作機械のスピンドルの拡大図を示す。 その後退位置にある本発明のプローブ機構の断面図を示す。 その前進位置にある本発明のプローブ機構の断面図を示す。 その作業位置にある本発明のプローブ機構の断面図を示す。

本発明のあらゆる特徴及び少なくとも１つの構成を詳細に説明する前に、本発明はその用途において、以下の説明に記載するとともに図面に例示する構成要素の詳細な構成及び配置に限定されないことは理解されたい。本発明は、他の構成が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書において使用される表現及び用語は、説明の目的のものであり限定と見なすべきではないことも理解されよう。

本明細書における「含む」、「有する」、及び「備える」並びにそれらの変形表現の使用は、以下に列記する項目及びそれらの均等表現並びに追加の項目を包含することを意図するものである。図面を説明する際、上側、下側、上方、下方、後方、ボトム、トップ、前、後等の方向について以下に参照するが、これらの参照は便宜上、（普通に見た）図面に対してなされる。これらの方向は、文字通り受け取られたり、いかなる形においても本発明を限定したりすることを意図するものではない。また、「第１」、「第２」、「第３」等の表現は、本明細書において説明の目的で使用されるものであり、重要性や重大さを示したり暗示したりするものではない。

本発明において、接触型又は非接触型プローブは、面取り装置等の加工装置に取り付けられて、加工（例えば、面取り）プロセスの経路から後退した原点位置と、加工（例えば、面取り）プロセスの前後においてワークと接触可能な動作位置とを有する。

図１及び図２は、本発明に係るプローブ機構２を示し、該プローブ機構２は、面取り装置等の加工装置４に取り付けられる。加工装置４は、独立した機械でも、米国特許第６，６６９，４１５号及び６，７１２，５６６号に開示の種類の歯車切削機又は研削機等の他の機械の一部を構成するものでもよい。米国特許第６，６６９，４１５号及び６，７１２，５６６号の開示は、本明細書に参照により組み込まれる。プローブ機構２は、加工工具８のスピンドル６上に位置付けられる。加工工具８は、図１において、面取り工具、好ましくは歯車又は他の歯付き物品用面取り工具である。図１は、後退位置にある状態のプローブ機構２を示し、図２は動作位置にある状態のプローブ機構を示す。

好適な実施例において、図１又は図２の加工装置４は、工具ヘッド１０と、スピンドル６と、工具軸Ｔ周りに回転可能な面取り・バリ取り工具等の工具８とを有する面取り・バリ取り装置を備える。工具８は、好ましくはサーボモータ（不図示）によって、又は直接駆動によって回転駆動される。工具ヘッド１０は、枢軸Ｐ周りに回動可能であり、好ましくはサーボモータ（不図示）によって駆動される。工具ヘッド１０は、好ましくはサーボモータ（不図示）によって駆動される直線運動により、コラム１６に取り付けられたレール１４に沿って第１直線方向Ｙに移動可能である。コラム１６と、従って工具ヘッド１０とは、好ましくはサーボモータ（不図示）を介して第２直線方向Ｚに移動可能である。コラム１６は、フレーム２０に取り付けられたレール１８上を移動可能である。フレーム２０は、油圧ピストンやサーボモータ（不図示）を介して、例えばレール（不図示）上を第３直線方向Ｘに移動可能であってもよい。

スピンドル１２は、好ましくはサーボモータ（不図示）によって軸Ａ周りに回転駆動される。好ましくは、スピンドル１２は、サーボモータ（不図示）を介してレール２２上を方向Ｘに直線移動可能である。若しくは、スピンドル１２は、直接駆動されてもよい。好ましくは、方向Ｘ，Ｙ，及びＺは、互いに対して相互に垂直であるが、それらのうち１つ以上がその垂直配向に対して傾斜していてもよい。例示の目的で、全ての図においてＹ方向が鉛直方向である。

工具ヘッド１０の方向Ｙの移動、コラム１６の方向Ｚの移動、スピンドル１２の方向Ｘの移動、工具ヘッド１０の軸Ｐ周りの回動、並びに工具８の軸Ｔ周りの回転及びスピンドル１２の軸Ａ周りの回転は、それぞれ別の駆動モータ（不図示）によってなされる。上記の部品は互いに独立して移動可能であってもよいし、互いに同時に移動してもよい。各モータのそれぞれは、好ましくは、コンピュータ数値制御（ＣＮＣ）システムの一部としての枢軸エンコーダ２４等のリニア又はロータリーエンコーダといったフィードバック装置と協働する。コンピュータ数値制御（ＣＮＣ）システムは、ファナックモデル３０ｉ（Ｆａｎｕｃ Ｍｏｄｅｌ ３０ｉ）（不図示）等のコンピュータ制御装置（すなわち、ＣＮＣ）に入力される命令に従って駆動モータの動作を管理制御する。

本発明のプローブ検査機構２の詳細を図３〜６に示す。図３は、プローブヘッド３０及びプローブベース３２を介して外側スピンドル２８に取り付けられる接触型のプローブ２６を備える本発明の概略構造を示す。図４から分かるように、外側スピンドル２８は、プローブ２６を保持し、好ましくは、内側スピンドルハウジング又はノーズ３６の周囲のボールスリーブ３４上に設置される。内側スピンドル６は、面取りカッター８を運搬し、モータによって直接又はドライブトレインを介して駆動される。外側スピンドル２８は、軸Ｔ方向に軸方向変位可能であるとともに該軸Ｔ周りに回転変位可能である。例えば皿バネ等のバネ３９（好ましくは２つ以上）の力によって軸方向に後退すると、非回転主軸ハウジング４０の面４３（図５又は６を参照）から突出するピン３８が、外側スピンドル２８の後方面４５（図５又は６を参照）に形成されたボア４２と係合して、それが回転するのが防止される。この位置において、内側スピンドル６は、面取りの最中、外側スピンドル２８に接続されずに独立して回動する。好ましくは、外側スピンドル２８と内側スピンドル６との間に、空隙又はラビリンス５３が、この空隙から流出する空気を供給して切屑や流体等の残渣が流入するのを防ぐ手段と共に設けられる。この空気流のための加圧空気の源は、独立したものでもあってもよいし、空気ピストンを前進させる空気通路４１から取りこんでもよい。

図５に示すように、外側スピンドル２８は、例えば外側スピンドル２８と主軸ハウジング４０との間の境界面に通路４１を介して加圧空気（又は他の流体）を導入する等によって、軸方向に前進する。圧力下で、外側スピンドル２８は、空気ピストンとして働き、バネ３９を圧縮してピン３８をボア４２から係合解除する。ボールスリーブ３４は、外側スピンドル２８と共に軸方向に移動してもよい。シール４９及び５１が、空気ピストン内の圧力を維持するのを助け、また、外側スピンドル２８と共に軸方向に移動する。そして、外側スピンドル２８は自由に回転できるようになる。ボア４２から解放されたピン３８は、外側スピンドル２８のスロット４４内に依然として延在しているので、外側スピンドル２８の回転運動は、スロットの端部によって規制されている。例えば、スロット４４は、弓形状で、１８０度といった所定量だけ延在している。外側スピンドル２８の軸方向前方への運動は、外側スピンドル２８のストップ面４６が、回転内側スピンドル６の一部である軸方向ハードストップ５０の内側面４８に接触することによって制限される。またこの位置において、外側スピンドル２８上の前方ピン又はキー５２が内側スピンドル６のスロット５４（又は同様の特徴）と係合することで、２つのスピンドルは互いに回転係止される。この状態で、外側スピンドル２８は内側スピンドル６と共に回転するが、ピン３８は依然として外側スピンドルのスロット４４に係合しており、軸Ｔ周りの両方の回転方向における移動を制限する（例えば１８０度）。

内側スピンドル６は、空気圧を印加して外側スピンドル２８を前進させた時に外側スピンドル２８の前方ピン又はキー５２が軸方向の干渉無く内側スピンドル６のスロット５４と適切に配列される位置となるように、既知の係合位置に予め位置付けてもよい。近接スイッチを利用して位置決めを検出するようにしてもよい。

面取りを行う際、プローブ２６及び外側スピンドル２８は、概して面取りスピンドル（図１）の上方且つ面取りプロセスの経路外であるそれぞれの原点位置又は後退位置に留まっている。内側の面取りスピンドル６を使用してワークに面取りを施す。

ワークをプローブ検査するために、内側スピンドル６を規定された係合位置まで回転させ、上述のように空気圧を作動させることにより外側スピンドル２８を前進させて内側スピンドル６と係止係合させる。前進させた後、関連のＮＣ制御等によって面取りカッタースピンドル６を回転させ、それにより、そこに取り付けられた外側スピンドル２８及びプローブ２６を一緒に運搬する。互いに回転係止された２つのスピンドル６，２８は、スロット４４内の内側ピン３８による移動の終点に達する（図６）まで、回動する。この位置において（図２も参照）、好ましくは、外側スピンドル２８をスロット４４内のその回転方向ハードストップに対して位置決めするための所定のトルク量をＮＣ制御により維持し、且つ、外側スピンドル２８をその軸方向ハードストップ４８に対して位置決めするための既知の力を空気圧により維持した状態で、加工装置４の利用可能な運動を利用しながら、プローブ２６を使用して必要に応じてワークに係合させて測定することができる。必要ならば、１つ以上の低摩擦スペーサ４７をバネ３９と共に組み込んで、主軸４０の部品等の隣接する部品に対する外側スピンドル２８の回転を容易にしてもよい。

プローブ検査後、回転方向に連結されたスピンドル６，２８を逆に回転させて、プローブ機構２をその原点位置（図１）に位置付ける。そして空気圧を除くことによって、バネ３９を伸長させ、それによりスピンドル６，２８の連結を（ピン又はキー５２をスロット５４から後退させることによって）解除し、外側スピンドル２８をその後退位置（図４）に戻るように付勢する。この後退位置において、ピン３８はボア４２に挿入される。

代替として、ピン３８を外側スピンドル２８の後方面４５に設け該後方面４５から突出させるとともに、ボア４２及びスロット４４を非回転主軸ハウジング４０の面４３に形成してもよい。

本発明を、面取り装置のスピンドル周りに配置されたプローブ検査機構に関して例示及び説明してきたが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のプローブ検査機構は、多軸工作機械における切削工具軸や研削砥石軸等の任意の工具軸周りに位置付けることによって、加工前、加工中及び／又は加工後にワークをプローブ検査するようにしてもよい。更に、本発明のプローブ検査機構は、多軸工作機械におけるワーク軸周りに位置付けることによって、工具に対してプローブ検査を実行するようにしてもよい。接触型プローブを例示してきたが、本発明は、外側スピンドル２８上に位置付けられた非接触型プローブも考慮に入れている。

工作機械の種類にかかわらず、本発明によれば、プローブを前進・位置決めするための別体のモータが必要無くなる。本発明の機械的プローブ前進機構は、プローブを位置決めするために既存の工具又はワークスピンドルを利用することで、工作機械においてプローブを位置決めするための手段がより簡潔で、より低コスト、且つより正確なものとなる。

本発明を好適な実施例に関して説明してきたが、本発明はそれら特定の実施例に限定されないことは理解されたい。本発明は、添付の請求項の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の主題が属する技術分野における当業者には明らかであろう変形を包含することを意図するものである。

Claims (15)

1. ワーク軸周りにワークを回転させるためのワークスピンドルと、
   工具軸周りに工具を回転させるための工具スピンドルと、
   前記ワークスピンドル及び前記工具スピンドルのうちの少なくとも１つの周りに位置するプローブスピンドル上に位置付けられたプローブ機構と
   を備え
   前記プローブスピンドルは、前記ワークスピンドル及び前記工具スピンドルのうちの前記少なくとも１つの各回転軸の方向に変位可能であり、
   前記プローブスピンドルは、前記各回転軸周りに回転可能である、工作機械。
2. 前記プローブスピンドルは、前記プローブスピンドルの回転が防止される後退位置と、前記プローブスピンドルが前記ワークスピンドル及び前記工具スピンドルのうちの前記少なくとも１つに回転係止されるとともに前記少なくとも１つと共に回転可能な前進位置との間を、前記各軸の方向に変位可能である、請求項１に記載の工作機械。
3. 前記プローブスピンドルは、バネ力によって前記後退位置に維持される、請求項２に記載の工作機械。
4. 前記プローブスピンドルは、前記バネ力を克服するのに十分な量の流体圧を介して、前記前進位置へと変位する、請求項３に記載の工作機械。
5. 前記流体圧は空気圧を含む、請求項４に記載の工作機械。
6. 前記プローブスピンドルは、前記各軸周りを所定量だけ回転可能である、請求項２に記載の工作機械。
7. 前記所定量は、原点位置とプローブ検査位置との間に規定される、請求項６に記載の工作機械。
8. 前方面を有する非回転スピンドルハウジングを更に備える、前記ワークスピンドル及び前記工具スピンドルのうちの前記少なくとも１つと、
   後方面を更に備え、前記前方面と前記後方面とが互いに対向している前記プローブスピンドルと、
   前記前方面及び前記後方面のうちの一方から延在するピンと、
   前記前方面及び前記後方面のうちの他方に位置する、所定深さを有するボアと
   を更に備え、
   前記後退位置において前記ピンが前記ボアに挿入されることによって、前記プローブスピンドルの回転が防止される、請求項７に記載の工作機械。
9. 前記前進位置において、前記ピンは、前記ボアから引き出されて、前記ボアと同じ表面に位置する弓状スロット内に配置されるとともに前記弓状スロットに沿って移動可能となり、
   前記弓状スロットは、前記ボアと一致して前記原点位置を規定する第１端と、前記プローブ検査位置を規定する第２端とを有し、
   前記弓状スロットは、前記ボアよりも深さが浅い、請求項８に記載の工作機械。
10. 内側面を有するハードストップを更に備える、前記ワークスピンドル及び前記工具スピンドルのうちの前記少なくとも１つと、
    前記内側面に対向する前方ストップ面を更に備え、前記前方ストップ面と前記内側面との接触により前記プローブスピンドルの軸方向変位が停止することによって前記前進位置が規定されるようになっている、前記プローブスピンドルと
    を更に備える、請求項７に記載の工作機械。
11. 前記前方ストップ面及び前記内側面のうちの一方から突出する少なくとも１つのピン又はキーと、
    前記前方ストップ面及び前記内側面のうちの他方に位置する少なくとも１つの対応スロットと
    を更に備え
    前記前進位置において、前記少なくとも１つのピン又はキーが前記対応スロットに挿入されることによって、前記プローブスピンドルを前記ワークスピンドル及び前記工具スピンドルのうちの前記少なくとも１つに対して回転係止する、請求項１０に記載の工作機械。
12. 前記プローブ機構は接触プローブを備える、請求項１に記載の工作機械。
13. 前記プローブ機構は非接触プローブを備える、請求項１に記載の工作機械。
14. 前記プローブスピンドルと前記ワークスピンドル及び前記工具スピンドルのうちの前記少なくとも１つとの間に位置付けられたボールスリーブを更に備える請求項１に記載の工作機械。
15. 前記ワークスピンドルと前記工具スピンドルとは、１つ以上の相互に垂直な軸に沿って直線状に、また枢軸周りに角度をなすように、互いに相対移動可能である、請求項１に記載の工作機械。

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