JP5705897B2 - 軟磁性鉄基焼結部材 - Google Patents
軟磁性鉄基焼結部材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5705897B2 JP5705897B2 JP2013047875A JP2013047875A JP5705897B2 JP 5705897 B2 JP5705897 B2 JP 5705897B2 JP 2013047875 A JP2013047875 A JP 2013047875A JP 2013047875 A JP2013047875 A JP 2013047875A JP 5705897 B2 JP5705897 B2 JP 5705897B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corrosion resistance
- powder
- less
- soft magnetic
- injection molding
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Fuel-Injection Apparatus (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
また、例えば、特許文献1には、Cr:15〜25%、Si:0.5〜5%、Mo:0.2〜3%、Ni:0.1〜3%、Cu:0.2〜1%を含み、磁気的特性に優れ、かつ耐食性に優れた電磁ステンレス鋼焼結体が記載されている。特許文献1に記載された技術では、耐食性と磁気特性がともに優れた焼結体となるとしている。
また、特許文献3には、質量比で、Cr:7〜15%、Si:1〜4%を含有するとともにAlを含有しない軟磁性ステンレス鋼微粉末を造粒して、平均粒径が10〜150μmの造粒粉末となっている、焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末が記載されている。特許文献3に記載された原料粉末を使用して、プレス成形、焼結工程を施すことにより、成形性が改善され、高密度で、耐食性を維持し、磁束密度の低下を防止でき、固有抵抗が高い軟磁性ステンレス鋼製部材が製造できるとしている。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、電子制御式燃料噴射装置のニードルバルブ等の電磁部材用として好適な、高い磁束密度、高い体積抵抗率とを兼備し、さらに高い耐食性を有し、かつ複雑な形状、高い要求精度に十分に対応できる安価な、軟磁性鉄基焼結部材を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高い磁束密度」とは、直流のB−H曲線を測定し、磁界強さ2000A/mにおける磁束密度B2000が1.10(T)以上である場合をいい、「高い体積抵抗率」とは、直流4端子法を用いて測定した体積抵抗率が0.60(μΩm)以上である場合をいい、「高い耐食性」とは、5%食塩水溶液の塩水噴霧試験(35℃×24h)を行って、発錆が認められない場合をいう。
(1)質量%で、Cr:8.0〜15.0%、Si:2.0〜7.0%を含み、さらに、Cu:0.3〜3.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の粉末を、金属粉末射出成形法で成形され焼結処理されてなり、焼結密度が相対密度で97.6%以上であることを特徴とする軟磁性鉄基焼結部材。
Cr:8.0〜15.0%
Crは、耐食性を向上させ、体積抵抗率を高める作用を有する元素であり、本発明では8.0%以上の含有を必要とする。8.0%未満の含有では所望の耐食性を確保できなくなる。一方、15.0%を超える含有は、磁束密度が低下し、所望の磁束密度を確保することができなくなる。このため、Crは8.0〜15.0%に限定した。なお、好ましくは9.0〜15%、より好ましくは9.0〜12.0%、さらに好ましくは10.0〜12.0%以上である。
Siは、鉄基合金の体積抵抗率を高くし、渦電流損失を小さくし電磁部品の応答性を向上させるとともに、さらに耐食性を向上させる作用を有する元素であり、本発明では2.0%以上の含有を必要とする。一方、7.0%を超える含有は、著しい延性の低下をもたらす。このため、Siは2.0〜7.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは3.0〜4.0%である。
Mo、Cuはいずれも、耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて含有できる。
Moは、Crと同様に耐食性、とくに耐孔食性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.5%以上含有することが好ましいが、3.0%を超える含有は、焼結の進行を阻害し、硬さを増加させるとともに、延性、磁束密度を低下させる。このため、含有する場合には、3.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは1.0〜2.0%である。
上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物として、C:0.05%以下、P:0.04%以下、S:0.03%以下、N:0.05%以下、O:0.3%以下、Mn:1.0%以下、Ni:0.6%以下が許容できる。なお、Cが0.05%を超えて多量に含有される場合には、とくに磁気特性に悪影響を及ぼすため、Cは0.05%以下に調整することが好ましい。なお、より好ましくは磁気特性が変化しない範囲である、0.04%以下、さらに好ましくは0.03%以下である。
本発明の軟磁性鉄基焼結部材の製造に使用する原料粉は、上記した組成の溶湯を水アトマイズ法あるいはガスアトマイズ法で噴霧して得られた鉄基合金粉末とすることが好ましいが、本発明ではこれに限定されるものではない。また、アトマイズ純鉄粉あるいはカルボニル鉄粉に、Fe−Si粉末、Fe−Cr粉末、Fe−Mo粉末等の合金粉末および/またはSi粉、Cr粉、Cu粉、Mo粉等の金属粉を、上記した組成となるように配合した混合粉を用いてもよい。なお、用いる粉末は、平均粒径で12μm以下、好ましくは10μm以下とすることが焼結性の観点から好ましい。ここでいう平均粒径は、レーザ回折散乱法(マイクロトラック法)を用いて測定した値とする。
バインダの一部を除去された成形体は、ついで適正な温度に加熱され、バインダの残部を除去されるとともに、適正な温度条件で焼結され、焼結体とされる、焼結工程を施される。なお、加熱による脱脂と焼結とは、連続的に行っても、バッチ的に行ってもよい。溶剤による脱脂工程を行わず、加熱による脱脂工程を行う場合には、加熱による脱脂工程を行ったのち、適正なヒートバターン(条件)で焼結工程を行うことが好ましい。焼結工程は、組成に応じて所定の焼結密度を確保できる、適正範囲の焼結条件(焼結温度、保持時間)を選定して行えばよく、とくに限定する必要はない。
好ましくは上記した製造方法で得られる、本発明の軟磁性鉄基焼結部材としては、電子制御式燃料噴射装置の電磁部材である、ニードルバルブが例示できる。ニードルバルブの一例を図2に示す。ニードルバルブ20は、ニードルシール部21、ニードル部22、プランジャー部23から構成される。ニードルバルブ20全体を、上記した組成の鉄基焼結体で構成しても、あるいはニードル部22、プランジャー部23を上記した組成の鉄基焼結体で構成しても、あるいはニードルシール部21、ニードル部22を上記した組成の鉄基焼結体で構成しても、いずれでもよい。
水アトマイズ法で製造された、表1に示す組成を有する粉末を原料粉として用いた。なお、原料粉は、平均粒径で10μm以下のものを使用した。この原料粉に、バインダを配合し、混練機(加圧型ニーダー)を用いて180℃で混練し、得られた混練物を冷却した。なお、バインダは、PP樹脂と、パラフィンワックスと、植物油とを混合したものを使用した。冷却され固化した混練物を、ついで粉砕し、射出成形用原料とした。得られた射出成形用原料を、射出成形機に供給し、射出成形機により所定形状の金型に射出し、冷却固化して、成形体を得た。なお、射出成形温度は165℃とした。
得られた焼結体について、磁束密度、体積抵抗率、耐食性、延性および焼結密度を調査した。磁束密度は、直流のB−H曲線を測定し、磁界強さ2000A/mにおける磁束密度B2000(T)を求めた。また、体積抵抗率は直流4端子法を用いて測定した。また、耐食性は、5%食塩水溶液の塩水噴霧試験(35℃×24h)を行い、発錆状況を目視で観察し、発錆が認められる場合を×、発錆が認められない場合を○として評価した。延性は、ISO2740に規定する試験片を用いてJIS Z 2241の規定に準拠して、引張試験を実施し、伸びを求め、伸び5%未満を×、5%以上〜7%未満を△、7%以上を○として、延性を評価した。焼結密度はアルキメデス法で測定し、相対密度で表示した。
得られた結果を表2に示す。
一方、本発明の範囲を外れる比較例は、B2000が1.10T未満であるか、体積抵抗率が0.60μΩm未満であるか、発錆が認められ、耐食性が劣化しているか、延性が著しく低下しているか、あるいは焼結密度が95.0%未満と低くなっている。
(実施例2)
水アトマイズ法で製造された、表3に示す組成を有する粉末を原料粉として用いた。なお、原料粉は、平均粒径で10μm以下のものを使用した。この原料粉に、バインダを配合し、混練機(加圧型ニーダー)を用いて180℃で混練し、得られた混練物を冷却した。なお、バインダは、PP樹脂と、パラフィンワックスと、植物油とを混合したものを使用した。
得られた成形体に溶剤による脱脂工程を施し、ついで減圧窒素ガス雰囲気中において、適正な焼結温度、時間で、焼結する焼結工程を施し、焼結体とした。
21 ニードルシール部
22 ニードル部
22a 連通口
23 プランジャー部
Claims (2)
- 質量%で、Cr:8.0〜15.0%、Si:2.0〜7.0%を含み、さらに、Cu:0.3〜3.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の粉末を、金属粉末射出成形法で成形され焼結処理されてなり、焼結密度が相対密度で97.6%以上であることを特徴とする軟磁性鉄基焼結部材。
- 請求項1に記載の軟磁性鉄基焼結部材を少なくとも一部に使用したことを特徴とする電子制御式燃料噴射弁用ニードルバルブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013047875A JP5705897B2 (ja) | 2007-06-11 | 2013-03-11 | 軟磁性鉄基焼結部材 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007154186 | 2007-06-11 | ||
JP2007154186 | 2007-06-11 | ||
JP2013047875A JP5705897B2 (ja) | 2007-06-11 | 2013-03-11 | 軟磁性鉄基焼結部材 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008081337A Division JP5289807B2 (ja) | 2007-06-11 | 2008-03-26 | 軟磁性鉄基焼結部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013174015A JP2013174015A (ja) | 2013-09-05 |
JP5705897B2 true JP5705897B2 (ja) | 2015-04-22 |
Family
ID=40359160
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008081337A Active JP5289807B2 (ja) | 2007-06-11 | 2008-03-26 | 軟磁性鉄基焼結部材 |
JP2013047875A Active JP5705897B2 (ja) | 2007-06-11 | 2013-03-11 | 軟磁性鉄基焼結部材 |
Family Applications Before (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008081337A Active JP5289807B2 (ja) | 2007-06-11 | 2008-03-26 | 軟磁性鉄基焼結部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (2) | JP5289807B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5196668B2 (ja) * | 2008-11-07 | 2013-05-15 | 株式会社日立メタルプレシジョン | フェライトステンレス系軟磁性材およびその製造方法 |
TWI574287B (zh) * | 2010-06-09 | 2017-03-11 | Sintokogio Ltd | Iron - based soft magnetic powder material |
JP6722548B2 (ja) * | 2016-08-30 | 2020-07-15 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 軟磁性扁平粉末、磁性シートおよびその製造方法 |
JP7314678B2 (ja) * | 2019-07-23 | 2023-07-26 | 新東工業株式会社 | 軟磁性合金粉末及びそれを用いた電子部品 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6021201B2 (ja) * | 1977-03-15 | 1985-05-25 | 大同特殊鋼株式会社 | 球状磁性ステンレス鋼粉末の製造方法 |
JPS5850006B2 (ja) * | 1978-10-31 | 1983-11-08 | 富士通株式会社 | 耐候性のある焼結軟磁性材料 |
JPS55113803A (en) * | 1979-02-23 | 1980-09-02 | Fujitsu Ltd | Production of magnetic material |
JPS5976862A (ja) * | 1982-10-25 | 1984-05-02 | Hitachi Ltd | 自動車の燃料噴射用電磁弁 |
JPH0551703A (ja) * | 1991-08-27 | 1993-03-02 | Daido Steel Co Ltd | 軟質磁性材料用粉末 |
JPH062077A (ja) * | 1992-06-19 | 1994-01-11 | Kobe Steel Ltd | 焼結用軟磁性ステンレス鋼粉末 |
JP3708562B2 (ja) * | 1993-10-20 | 2005-10-19 | 東北特殊鋼株式会社 | 粉末焼結電磁ステンレス鋼 |
JPH07238352A (ja) * | 1994-02-28 | 1995-09-12 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 高耐食性電磁ステンレス鋼焼結体 |
JP3913953B2 (ja) * | 1999-12-28 | 2007-05-09 | 日本ピストンリング株式会社 | ニードルバルブ |
JP4070069B2 (ja) * | 2001-03-21 | 2008-04-02 | 日立粉末冶金株式会社 | 耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法 |
JP2007177675A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Nippon Piston Ring Co Ltd | ニードルバルブ用ニードルシールおよびニードルバルブ |
-
2008
- 2008-03-26 JP JP2008081337A patent/JP5289807B2/ja active Active
-
2013
- 2013-03-11 JP JP2013047875A patent/JP5705897B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5289807B2 (ja) | 2013-09-11 |
JP2009019264A (ja) | 2009-01-29 |
JP2013174015A (ja) | 2013-09-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6093405B2 (ja) | 窒素含有低ニッケル焼結ステンレス鋼 | |
JP6040163B2 (ja) | 粉末射出成型用鉄系粉末 | |
KR101673484B1 (ko) | 저합금강 분말 | |
CN108367356B (zh) | 用于粉末注射成型的铁基粉末 | |
JP5958144B2 (ja) | 粉末冶金用鉄基混合粉および高強度鉄基焼結体ならびに高強度鉄基焼結体の製造方法 | |
JP2010090470A (ja) | 鉄系焼結合金およびその製造方法 | |
KR102350989B1 (ko) | 소결 구성요소를 생성하는 방법 및 소결 구성요소 | |
JP5705897B2 (ja) | 軟磁性鉄基焼結部材 | |
CA2642254A1 (en) | Iron-based powder mixture, and method of manufacturing iron-based compacted body and iron-based sintered body | |
TWI397086B (zh) | 燒結軟磁性粉末成形體 | |
JP2007177675A (ja) | ニードルバルブ用ニードルシールおよびニードルバルブ | |
JP2011094187A (ja) | 高強度鉄基焼結体の製造方法 | |
CN104711485A (zh) | 低合金钢粉 | |
JP4201830B2 (ja) | クロム、モリブデンおよびマンガンを含む鉄基粉末、および、焼結体の製造方法 | |
US11248284B2 (en) | Non-magnetic austenitic steel with good corrosion resistance and high hardness | |
CN111771008A (zh) | 耐热烧结合金材料 | |
JPH0715121B2 (ja) | 射出成形用Fe―Co系合金微粉およびFe―Co系焼結磁性材料 | |
KR100978901B1 (ko) | 고인장강도 및 고경도를 가지는 철계 소결체 제조 방법 | |
US6770114B2 (en) | Densified sintered powder and method | |
KR101227616B1 (ko) | 고연소압 엔진 대응을 위한 고강도 커넥팅로드의 제조방법 | |
JP2006241533A (ja) | 高強度焼結部品用鉄基混合粉 | |
JP5929320B2 (ja) | 粉末冶金用合金鋼粉、及び粉末冶金用合金鋼粉の製造方法 | |
JP2007182593A (ja) | 高窒素焼結合金鋼の製造方法。 | |
JP2010255082A (ja) | 鉄系焼結合金およびその製造方法 | |
JPH0593241A (ja) | バルブシート用鉄基焼結合金の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20130924 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140218 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20140326 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140418 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141028 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141226 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150224 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150225 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5705897 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |