JP2007177675A - ニードルバルブ用ニードルシールおよびニードルバルブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁式燃料噴射弁用ニードルバルブにおいて、ニードルシール部203を、金属射出成形法により成形され、C:0.95〜1.4%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:16〜18%を含み、さらにNb:0.02〜3%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成のニードルシール部とする。これにより、焼結後に変形の発生、寸法精度を低下させることなく、焼結後に7.65〜7.75g/cm3という高密度のニードルシール部が得られる。
【選択図】図3
Description
ニードルバルブ20は、磁性材料製のプランジャー部201が電磁石12により吸引されているときは、燃料噴射口10bとニードルシール部203との当接が解かれ、燃料噴射口10bが開放され、燃料を吸気マニフォールドに噴射でき、プランジャー部201が電磁石12により吸引されていないときは、ニードルシール部203が燃料噴射口10bに当接し、燃料噴射口10bが塞さがれ、燃料を吸気マニフォールドに噴射できないように、構成されている。なお、202aは連通口、11は、圧縮ばねである。
しかし、ニードルシール部203をニードル部202にレーザ溶接等で接合することは、接合の手間を要するため、生産性向上の観点から製造工程の簡略化が要望されていた。
(1)電磁式燃料噴射弁用ニードルバルブに用いられるニードルシールであって、質量%で、C:0.95〜1.4%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:16〜18%を含み、さらにNb:0.02〜3%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、焼結後の密度が7.65〜7.75g/cm3を有し、金属射出成形法により成形されてなることを特徴とするニードルバルブ用ニードルシール。
(3)電磁式燃料噴射弁に用いられるニードルバルブ用ニードルシールであって、同一材料で金属射出成形法によりニードルと一体成形されてなり、質量%で、C:0.95〜1.4%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:16〜18%を含み、さらにNb:0.02〜3%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、焼結後の密度が7.65〜7.75g/cm3を有することを特徴とするニードル一体型ニードルシール。
(5)電磁式燃料噴射弁用のニードルバルブであって、略円筒形状で、磁性材料で構成されるプランジャー部と、先端を電磁式燃料噴射弁の燃料噴射口を塞ぐ形状に形成され、該燃料噴射口を開閉するニードルシール部と、略円筒形状で該プランジャー部とニードルシール部とをほぼ同軸的に接続し、内部に燃料を通過させるニードル部とを有し、該ニードルシール部が、質量%で、C:0.95〜1.4%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:16〜18%を含み、さらにNb:0.02〜3%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、焼結後の密度が7.65〜7.75g/cm3を有し、金属射出成形法により成形されてなることを特徴とするニードルバルブ。
Nb:0.02〜3%
Nbは、本発明では重要な元素であり、Nb炭化物を形成し、焼結時のCr炭化物の粗大化を阻止し、原料粉末の適正焼結温度範囲を拡大する作用を有し、製品の機械的特性の劣化、変形の防止に寄与する。また、Nb含有により、Nb炭化物が析出し硬さが増加すると共に、耐食性が向上する。このような効果は0.02%以上の含有で顕著となるが、3%を超える含有は、基地の硬さを低下させてしまう。このため、Nbは、0.02〜3%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.5〜3.0%、より好ましくは1.0〜3.0%、さらに好ましくは1〜2%である。
C:0.95〜1.4%
Cは、鋼中に固溶し基地組織の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上させる元素であり、このような効果を得るためには、0.95%以上の含有を必要とする。一方、1.4%を超えて含有すると、靱性が低下する。このため、Cは0.95〜1.4%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.95〜1.2%である。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、基地組織の硬さを増加させる元素であり、このような効果を得るためには、0.3%以上含有することが好ましい。一方、1%を超える含有は、靱性を低下させる。このため、Siは1%以下に限定した。なお、好ましくは0.3%〜0.6%である。
Mnは、鋼中に固溶して基地組織の硬さを増加させるとともに、焼入れ性を向上させて、マルテンサイト組織の形成を促進させる元素であり、0.3%以上の含有が望ましい。一方、1.0%を超えて含有しても効果が飽和する。このため、Mnは1.0%以下に限定した。なお、好ましくは0.3〜0.6%である。
Crは、耐食性を向上させる元素であり、本発明では16%以上の含有を必要とする。一方、18%を超えて含有すると硬さが低下する。このため、Crは16〜18%の範囲に限定した。
上記した成分に加えて、必要に応じて、Ni:0.6%以下、Mo:1.0%以下のうちの1種または2種を含有できる。Ni、Moはいずれも硬さを増加させる元素であり、必要に応じて、選択して含有できる。Niを0.6%、Moを1.0%超えて含有すると、効果が飽和するため、上限とした。
上記した組成のニードルシール部とするには、上記した組成の溶湯を水アトマイズ法あるいはガスアトマイズ法で噴霧して得た合金粉末を、原料粉として使用することが好ましい。なお、水アトマイズ法あるいはガスアトマイズ法で製造されたSUS 440C粉末に、上記したNb含有量となるように、Nb粉末あるいはフェロニオブ粉末を配合してもよい。
なお、使用する合金粉末等の平均粒径は3.0〜30.0μmとすることが好ましい。より好ましくは5.0〜12.0μmである。
ニードルシールド部の材料として、Nbを所定量含有した原料粉を使用することにより、適正焼結温度範囲が従来の10℃幅から、少なくとも30℃幅まで拡大でき、量産用の焼結炉においても適正な焼結温度を確保できる。このため、本発明によれば、液相焼結による製品(焼結体)の変形や寸法精度の低下、あるいは焼結不足による低密度化といった現象を回避でき、寸法精度が低下することなく、焼結後の密度を、7.65〜7.75g/cm3の高密度を有するニールドシール部とすることができる。さらに、寸法精度が低下することなく、焼結、熱処理後の硬さを550HV0.1以上の高硬度とすることもできる。なお、この場合、熱処理条件は窒素ガス雰囲気中で1050℃で45min保持後急冷(又は空冷)、さらに150℃で30min保持後急冷(又は空冷)とすることが望ましい。
本発明のニードルバルブでは、プランジャー部は、従来のニードルバルブと同様に磁性材料で構成され、金属射出成形法を用いて成形されることが好ましい。また、プランジャー部は、図3(b)に示すように、金属射出成形法でニードル部と一体成形したものを用いてもよい。なお、プランジャー部を構成する磁性材料としては、軟磁性特性に優れたPBパーマロイ相当材粉末を用いることが好ましい。なお、PCパーマロイ相当材粉末、センダスト相当材粉末、電磁ステンレス鋼相当材を用いてもなんら問題ない。
上記のようにして得られた各成形体に、溶剤脱脂を施した後、プランジャー部成形体にニードル一体型ニードルシール部成形体を、あるいはプランジャー部とニードル部との一体成形体にニードルシール部成形体を重ね合わせて組立物とし、これら組立て物に、適正なヒートパターンの焼結を施し、同時に焼結拡散による接合を行うことが好ましい。また、各成形体を重ね合わせたのち、加熱脱脂し、ついで焼結を行ってもよい。
ニードルシール部を、適正量のNbを含有する高炭素マルテンサイト系ステンレス鋼で構成することにより、ニードルシール部とは異なる材質のプランジャー部との焼結による一体化が可能となる。これは、ニードルシール部の適正焼結温度範囲が拡大し、ニードルシール部とプランジャー部とで重複する焼結温度範囲を確保することができ、ニードルシール部の溶融による変形品や焼結不足による低焼結密度品の発生、あるいは材質の違いによる適正焼結温度範囲の相違に起因する焼結不具合品や寸法異常品の発生が防止できるためと考えられる。これにより、製造工程が省略でき、生産性が向上する。
得られたニードルシールに溶剤脱脂を施したのち、表2に示す焼結温度で、窒素雰囲気中で焼結(焼結時間:3h)し焼結体とした。
得られた焼結体について、組織観察、密度測定および外観観察を行い、品質を判定した。なお、組織観察は、焼結体断面を研磨し、マーブル液で腐食し、金属顕微鏡で組織を観察して、結晶粒度を測定した。また、密度測定はアルキメデス法で、外観観察は目視で行った。得られた結果を表2に併記する。
10 本体
10a 燃料通路
10b 燃料口
11 圧縮ばね
12 電磁石
20 ニードルバルブ
201 プランジャー部
202 ニードル部
203 ニードルシール部
202a 連通口
Claims (6)
- 電磁式燃料噴射弁用ニードルバルブに用いられるニードルシールであって、質量%で、
C:0.95〜1.4%、 Si:1.0%以下、
Mn:1.0%以下、 Cr:16〜18%
を含み、さらにNb:0.02〜3%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、焼結後の密度が7.65〜7.75g/cm3を有し、金属射出成形法により成形されてなることを特徴とするニードルバルブ用ニードルシール。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:0.6%以下、Mo:1.0%以下のうちの1種または2種を含有する組成を有することを特徴とする請求項1に記載のニードルシール。
- 電磁式燃料噴射弁に用いられるニードルバルブ用ニードルシールであって、同一材料で金属射出成形法によりニードルと一体成形されてなり、質量%で、
C:0.95〜1.4%、 Si:1.0%以下、
Mn:1.0%以下、 Cr:16〜18%
を含み、さらにNb:0.02〜3%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、焼結後の密度が7.65〜7.75g/cm3有することを特徴とするニードル一体型ニードルシール。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:0.6%以下、Mo:1.0%以下のうちの1種または2種を含有する組成を有することを特徴とする請求項3に記載のニードル一体型ニードルシール。
- 電磁式燃料噴射弁用のニードルバルブであって、略円筒形状で、磁性材料で構成されるプランジャー部と、先端を電磁式燃料噴射弁の燃料噴射口を塞ぐ形状に形成され、該燃料噴射口を開閉するニードルシール部と、略円筒形状で該プランジャー部とニードルシール部とをほぼ同軸的に接続し、内部に燃料を通過させるニードル部とを有し、該ニードルシール部が、質量%で、C:0.95〜1.4%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:16〜18%を含み、さらにNb:0.02〜3%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、焼結後の密度が7.65〜7.75g/cm3を有し、金属射出成形法により成形されてなることを特徴とするニードルバルブ。
- 前記ニードルシール部が、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:0.6%以下、Mo:1.0%以下のうちの1種または2種を含有する組成を有することを特徴とする請求項5に記載のニードルバルブ。
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