JP4070069B2 - 耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用電子燃料噴射弁等の耐食性を有する電磁部品に用いられる軟磁性ステンレス鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の排ガス規制の強化や省燃費などを背景として、自動車エンジンの電子制御による燃料噴射弁等の装置が、旧来のキャブレターに替わって、その装着率を伸ばしつつある。また、ABSセンサやトルクセンサ等の耐食性を必要とする磁気部品も需要を伸ばしてきている。
【0003】
前記した燃料噴射弁等の電磁部品としては、耐食性や磁気特性が重要となり、特公平5−10419号等に開示されている如く、クロム系の軟磁性ステンレス鋼が主に用いられ、塑性加工や切削加工等の機械成形方法により製造される。しかし、自動車用電子燃料噴射弁等の電磁部品は、部品形状が複雑で、精度が厳しいため、機械加工性と、耐食性や磁気特性の両立が困難であるともに加工費が高くなるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するため、特開平6−2077号等において、ステンレス鋼粉末を用いた粉末冶金による製造方法が提案されている。ただし、ステンレス鋼粉末は圧縮性が悪く、焼結密度が低いため耐食性及び磁気特性が悪くなる。また、粉末の焼結性は粉末の粒度が小さいほど良好であるが、流動性が悪く、型充填時にブリッジングが起こりやすく、特に、部品形状が複雑な場合、均一充填が難しいことも重なり、焼結品の寸法精度が悪くなる問題や、粉末が金型の隙間に入り込み金型を傷つけ金型寿命が短くなる問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を如何に解消するか検討を重ねてきた結果、焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末の組成構成及び造粒処理することにより、上記課題を解消できるとの確証に達し本発明を完成した。本発明の骨子は、磁気特性に優れた軟磁性ステンレス鋼微粉末の組成として、耐食性が維持される限度でCr量を低減させ、Alの含有を廃止し、磁気特性向上のためSi量を増量させた構成にし、更に造粒粉末として用いることにある。
【0006】
即ち、請求項1の発明は、原料粉末に成形潤滑剤を混合し、該混合物を金型内に投入し、上下パンチで圧粉成形して得られた圧粉体を還元雰囲気中または真空中で焼結して焼結密度比を90%以上にした焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法において、前記原料粉末として、質量比で、Cr:7〜15%、Si:1〜4%、および残部がFeおよび不可避不純物からなるとともに、前記不可避不純物としてMn:0.23%以下、Ni:0.21%以下を含む組成であり、粒度(平均粒径)が40μm以下の軟磁性ステンレス鋼微粉末のみを造粒して、平均粒径が10〜150μmの造粒粉末になっている耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末を用いることを特徴としている。
請求項2の発明は、原料粉末に成形潤滑剤を混合し、該混合物を金型内に投入し、上下パンチで圧粉成形して得られた圧粉体を還元雰囲気中または真空中で焼結して焼結密度比を90%以上にした焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法において、前記原料粉末として、質量比で、Cr:7〜15%、Si:1〜4%、および残部がFeおよび不可避不純物からなるとともに、前記不可避不純物としてMn:0.23%以下、Ni:0.21%以下を含む組成であり、粒度(平均粒径)が40μm以下の軟磁性ステンレス鋼微粉末と、粒度(平均粒径)が40μm以下のSi微粉末またはSi含有量が質量比で10%以上のFe−Si微粉末との混合粉末のみを造粒して、平均粒径が10〜150μmの造粒粉末であるとともに前記造粒粉末のSi量が1質量%を超え6.5質量%以下になっている耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末を用いることを特徴としている。
【0007】
請求項3と4は、請求項1と2の従属項として、前記した軟磁性ステンレス鋼微粉末の細部を特定したものである。請求項3は、軟磁性ステンレス鋼微粉末が更に質量比で、Mo:2.0%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下のうち少なくとも1種以上を含む構成である。請求項4は、前記軟磁性ステンレス鋼微粉末のCr量が、質量比で、7.0〜11.5%からなる構成である。
【0008】
【0009】
(構成説明)次に、以上の本発明を数値限定の根拠を含めて詳細に説明する。
【0010】
原料粉末中のCr(クロム)は、耐食性を付与するため必須であるが、含有量の特定が重要となる。通常はCr量が増加すると耐食性の点では有効であるが、磁気特性の点からは、Fe量が相対的に減少して磁束密度の低下要因となるためCrの含有量をできるだけ低減させた方が好ましい。即ち、焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末としては、Cr量は耐食性を維持できる最小限度の添加に止めて磁気特性を向上させることが有効である。本発明において、Cr量を7質量%〜15質量%とした。この理由は、試験検討から、Crの含有量が7質量%を下回ると耐食性が低下するため、下限を少なくとも7質量%以上とした。同時に、上限は上記した基地中のFe分の減少により磁束密度が低下するためその磁気特性との関係で最適となる15質量%以下とした。Cr量が15質量%を超えると、磁束密度の低下が著しく磁気特性の悪化が避けられないからである。また、Cr含有量の上限は特に磁気特性から11.5質量%以下が好ましい。
【0011】
原料粉末中のSi(珪素)は耐食性に対し有効で、かつ電気抵抗を増加させて電磁弁の応答性を改善するとともに、鉄損を減少させ固有抵抗、透磁率を高くする作用がある。但し、多量のSiを原料粉末に固溶して与えると粉末を硬くして圧縮性を損なう。このことから、本発明において、軟磁性ステンレス鋼微粉末のSi量は上記Crの低減による耐食性を補うとともに、固有抵抗、透磁率を高くするため1.0質量%以上含有させることとした。上限は、粉末の圧縮性を確保するため含有量を4質量%に止める。上記した作用をより一層発揮させるには、SiをSi微粉末として軟磁性ステンレス鋼微粉末の外部より与えることで軟磁性ステンレス鋼微粉末の圧縮性を損なわずより多量にSiを添加することもできる。しかし、全体組成中のSi量が6.5質量%を超えると、Fe分の減少による磁束密度の低下が大きく磁気特性が悪くなり、かつ焼結品の靭性を損なう。このため、Si含有量の上限は造粒粉末中のSi量で6.5質量%までとする。
【0012】
上記Si粉末に替えてFe−Si微粉末を用いることも可能である。Fe−Si微粉末はSi粉末よりも硬さが低いため圧縮性が改善されるが、Si含有量が10質量%未満のFe−Si微粉末を用いると、必要なSi量を確保するため添加するFe−Si量が多くなり、基地の耐食性を低下させるとともに、磁気特性も低下するため好ましくない。従って、Fe−Si微粉末としては、少なくともSi含有量が10質量%以上のものに特定される。
【0013】
なお、Alは耐食性の向上、及び固有抵抗の増加による磁気特性の向上、更に靭性の改善による冷間加工性の付与の目的で、特に溶製の軟磁性ステンレス鋼においては一般に原料粉末中に含有されている。しかし、Alは酸化しやすい元素であり、粉末中に固溶して与えた場合、粉末表面に強固な酸化被膜を形成しやすく、焼結の進行を阻害する要因となり、酸化被膜の除去のためには高真空での加熱が必要となる。本発明においては、ニアネットシェイプに製品を製造する粉末冶金法を採用していることから加工に必要な靭性の向上の効果よりも、焼結の進行を阻害する要因排除による効果の方が大きく、かつ、耐食性については上記Crにより確保され、また固有抵抗についても上記Siにより確保されることからも、Fe分の減少による磁束密度の低下を避けるためにも、Alの含有を省くことが性能向上重視から必須とした。但し、本発明は、Alが粉末作製時に溶湯中に脱酸剤として添加されることもあり、不可避不純物として粉末中に残留する程度のAlの含有については焼結性に影響しないため当然許容される。
【0014】
以上のような粉末構成では、上記成分を含有する軟磁性ステンレス鋼微粉末、もしくは軟磁性ステンレス鋼微粉末とSi微粉末またはFe−Si微粉末を用意し、それらの微粉末を造粒して造粒粉末とすることにより、ブリッジングの発生を防止するとともに金型へ傷を付けることもなく、焼結性を向上させて焼結密度比90%以上の製品を製造容易となる。焼結密度比は、90%を下回ると磁束密度等の磁気特性の低下が生じ、また気孔が増加することによる孔食腐蝕により耐食性も低下するため90%以上にすることを必須とした。
【0015】
更に詳述すると、上記軟磁性ステンレス鋼微粉末、もしくは上記軟磁性ステンレス鋼微粉末とSi微粉末またはFe−Si微粉末は、粒度(平均粒径)40μmより小さな微粉末で、造粒処理して平均粒径が10〜150μmの造粒粉末の形態で用いられる。ステンレス鋼微粉末とSi微粉末またはFe−Si微粉末は、粒度40μmを超える大きさであると基地中への均一分散性に欠け、造粒加工時の流動性等も悪くなる。また、造粒粉末としては、平均粒径10μm以下であると造粒の効果が乏しく、圧粉成形型への充填性も悪くなる。造粒粉末が平均粒径150μmを超えると、粉末成形時の充填密度が低下するため、焼結密度比が90%を下回ることとなり、磁気特性及び耐食性が低下するとともに寸法精度も悪くなる。
【0016】
上記した造粒は一般の造粒法が適用される。即ち、上記したステンレス鋼微粉末、また、ステンレス鋼微粉末とSi微粉末またはFe−Si微粉末との混合粉末は、バインダーとしてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ワックス等の有機物や前記有機物の水またはアルコール溶液を用いて、転動造粒機や混合撹拌造粒機等の造粒装置により造粒される。装置的には、ロータリープレスのような高速成形機でも差し支えない。また、前記バインダー中には適宜可塑剤や分散剤を添加してもよい。
【0017】
なお、焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末としては、上記した平均粒径が10〜150μmに造粒した造粒粉末において、Si量が1.0〜6.5質量%にすると、焼結性が改善され密度比90%以上の製品が確実に得られるとともにSiの分散が均一で磁気特性をより良好にでき、かつ、原料粉末の流動性が改善されるとともに、充填時のブリッジングの発生を防止して、均一充填を容易にし更に原料粉末が金型の隙間に入り込む虞を防いで金型寿命を延長可能となる。
【0018】
本発明の焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末に用いられる、上記のCr、Si、Al以外の成分については特に限定されるものではなく、焼結の進行を阻害するものでなければ、従来知られている範囲で他の元素を含有しても差し支えない。次に、その例として、本発明の焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末に推奨される組成範囲を概説する。
【0019】
Moは、耐食性を改善する元素であるが、多量の添加は磁気特性の悪化を招く。このため、含有させる際は上限を2.0質量%以下とする。Sは、耐食性を低下させるが、溶鋼の表面張力を下げ、アトマイズ法による粉末の微粉末化に効果があり、製品の被削性改善にも有効である。このため、含有させる場合は多くても0.1質量%以下に止めることが好ましい。
【0021】
TiやNbは磁気特性及び耐食性に有害なCと、磁気特性に有害なNの影響を抑制するため、添加することも有用である。即ち、TiやNbは、C及びNと炭化物または窒化物を形成し無害化させて耐食性及び磁気特性の改善に寄与する。しかし、Ti含有量が多くなるとアトマイズ法による溶湯のノズルの絞りや閉塞の問題が発生し、Nb含有量が多くなると粉末の硬さが増加して圧縮性が低下する問題が発生する。また、TiやNbの多量の含有は結晶粒を微細化させて、磁気特性をかえって低下させる。このため、含有させる場合は上限を0.5質量%とすることが好ましい。
【0022】
本発明は、以上の元素(Mo、S、Ti、Nb)を組成に含む軟磁性ステンレス鋼原料粉末を使用することにより、上記した耐食性及び磁気特性等により優れた焼結軟磁性ステンレス鋼を得ることができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明実施例により明らかにする。
【0024】
[実施例1]この実施例は本発明の請求項1、3、4に対応しており、ステンレス鋼用原料粉末の組成及び造粒粉末、それを用いたステンレス鋼性能を調べた試験例である。試験では、まず、表1に示す組成のステンレス鋼粉末(ステンレス鋼微粉末)を用い、バインダーとしてメチルアルコールを溶媒とするポリビニルピロリドン5%溶液を転動流動造粒装置に連続的供給しながら造粒して、表1の左欄に記した平均粒径の造粒粉末を得た。次いで、得られた各造粒粉末に成形潤滑剤としてステアリン酸亜鉛0.8質量%を添加して混合した混合粉末について、成形圧力5t/cmで、φ50mm×φ30mm×t5mmのリング形状に成形し、水素ガス雰囲気中で1350℃で3時間焼結した後、真空中で850℃×2時間の焼鈍してリング形状試験片(本発明1〜5と比較例1〜4)を作成した。
【0025】
【表1】
Figure 0004070069
【0026】
評価は、上記各試験片について、1次側100回、2次側50回巻線し、直流と交流のB−H曲線を測定して行った。表2において、直流磁気特性としては各試験片の磁界強さ2000(A/m)における磁束密度をB2000、保磁力をHc、透磁率をμmで示している。交流磁気特性としては周波数50Hzで励磁磁束密度1T(1テスラ)の鉄損値をW(1T/50Hz)とし、周波数10kHzで励磁磁束密度50mTの鉄損値をW(50mT/10kHz)として示している。また、表2には焼結密度比%と耐食性を併記した。耐蝕性は、5%食塩水溶液の塩水噴霧試験を行い、35℃×30時間で発錆状況を目視により判断した。目視結果は、錆の発生が認められないものについては○印、ほぼ全面に錆が発生したものについては×印、全面ではないがある程度の錆が発生したものについては△印を付けた。
【0027】
【表2】
Figure 0004070069
【0028】
表1,2より、本願発明に対応する軟磁性ステンレス鋼微粉末を造粒した造粒粉末を用いた試験片(本発明1〜5)は、耐食性が良好で磁気特性も優れていることが判る。比較例のうち、通常の大きさの粉末を用いた試験片(比較例4)では、焼結密度比が上がらず耐食性の低下、磁束密度の低下が認められる。微粉末を用いても造粒を行わない試験片(比較例1)でも、同様に焼結密度比が上がらず耐食性の低下、磁束密度の低下が認められる。Cr量が少ない試験片(比較例2)では耐食性が悪く錆が発生してしまう。また、Si量が多すぎる試験片(比較例3)では粉末の圧縮性が悪くなり、焼結密度比が低下するとともに、磁束密度の低下、高周波側での交流磁気特性の低下が認められる。即ち、この実施例1からは、本願発明の軟磁性ステンレス鋼微粉末を造粒した造粒粉末を用いること、組成成分のうちCrとSiの質量%を特定することの優位性が明らかである。
【0029】
[実施例2]この実施例は本発明の請求項2に対応しており、前記と同様にステンレス鋼用原料粉末の組成及び造粒粉末、それを用いたステンレス鋼性能を調べた試験例である。即ち、ここでは、実施例1で用いた本発明の試験片4の軟磁性ステンレス鋼微粉末を用いて、表3に示すSi粉末(比較例6は平均粒径76で、それ以外は平均粒径40μm以下の微粉末)またはFe−Si粉末(平均粒径40μm以下の微粉末)を添加し、実施例1と同じ条件で造粒粉末を作成し、また、各試験片の作成及び評価も実施例1と同様に行ったものである。その結果は表4に示した。なお、表4には比較のため上記実施例1の本発明試験片4の値を併記してある。
【0030】
【表3】
Figure 0004070069
【0031】
【表4】
Figure 0004070069
【0032】
表3,4において、本発明の試験片4と試験片6,7を比較すると、Siの添加により磁束密度及び透磁率は増加し、保磁力及び鉄損は減少が認められ、磁気特性向上の効果が認められる。また、Si粉末に替えてFe−10Siを用いた本発明試験片8は磁束密度が同じであるが、保磁力及び透磁率の増加、鉄損の減少が認められ磁気特性を向上できることが判る。しかし、Siが平均粒径76μmと大きい粉末を用いた試験片(比較例6)では焼結密度比が向上せず、耐食性が低下して錆の発生も認められ、鉄損が低下する。また、Siに変えてFe−5Siを用いた試験片(比較例5)では、全体組成中のSi量を等しくするためには多量のFe−5Siが必要となり、その結果、耐食性に劣る部分が多くなりすぎて耐食性が劣化し錆が発生している。また、焼結密度比,磁気特性も全て低下している。以上より本発明軟磁性ステンレス鋼微粉末にSi粉末微粉を添加して共に造粒することにより、磁気特性をより向上させることができることが確認できる。また、Si微粉末に替えてSi量が10質量%以上のFe−Si微粉末を用いても同様の効果が得られることも確認できる。更に、全体組成中のSi量が6.5%の本発明試験片9は本発明試験片4,6に比べて透磁率が最大で鉄損が低下し優れた磁気特性を示すが、Siの増加につれて磁束密度が低下するため全体組成中のSi量が6.9%の試験片(比較例7)では磁束密度の低下が著しく、また透磁率もSi量が6.5%を越えると著しく低下することが確認できる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明の耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼製造方法では、特に、Cr量及びSi量を最適化したことで、耐食性を維持したまま磁束密度の低下を防止し、更に、ステンレス鋼微粉末を造粒したことや、請求項2の如く圧縮性を損なうSiを外部添加として与えて造粒したことで粉末の流動性等の粉末特性を良好に維持するとともに成形性を改善し、高密度で、固有抵抗値及び磁束密度が高く、鉄損の低い軟磁性ステンレス鋼を製造できる。

Claims (4)

  1. 原料粉末に成形潤滑剤を混合し、該混合物を金型内に投入し、上下パンチで圧粉成形して得られた圧粉体を還元雰囲気中または真空中で焼結して焼結密度比を90%以上にした焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法において、
    前記原料粉末として、質量比で、Cr:7〜15%、Si:1〜4%、および残部がFeおよび不可避不純物からなるとともに、前記不可避不純物としてMn:0.23%以下、Ni:0.21%以下を含む組成であり、粒度(平均粒径)が40μm以下の軟磁性ステンレス鋼微粉末のみを造粒して、平均粒径が10〜150μmの造粒粉末になってい焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末を用いることを特徴とする耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法。
  2. 原料粉末に成形潤滑剤を混合し、該混合物を金型内に投入し、上下パンチで圧粉成形して得られた圧粉体を還元雰囲気中または真空中で焼結して焼結密度比を90%以上にした焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法において、
    前記原料粉末として、質量比で、Cr:7〜15%、Si:1〜4%、および残部がFeおよび不可避不純物からなるとともに、前記不可避不純物としてMn:0.23%以下、Ni:0.21%以下を含む組成であり、粒度(平均粒径)が40μm以下の軟磁性ステンレス鋼微粉末と、粒度(平均粒径)が40μm以下のSi微粉末またはSi含有量が質量比で10%以上のFe−Si微粉末との混合粉末のみを造粒して、平均粒径が10〜150μmの造粒粉末であるとともに前記造粒粉末のSi量が1質量%を超え6.5質量%以下になっている焼結軟磁性ステンレス鋼用原料粉末を用いることを特徴とする耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法。
  3. 前記軟磁性ステンレス鋼微粉末が、更に質量比で、Mo:2.0%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下のうち少なくとも1種以上を含む請求項1又は2に記載の耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法
  4. 前記軟磁性ステンレス鋼微粉末のCr量が、質量比で、7.0〜11.5%である請求項1から3の何れかに記載の耐食性に優れた焼結軟磁性ステンレス鋼の製造方法
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