JP5705808B2 - ガスバリア性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性フィルム、およびガスバリア性フィルムの製造方法に関する。
高分子樹脂フィルムの表面に金属酸化物等のガスバリア性薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。
また、ガスバリア性フィルムは、包装以外にも、液晶表示素子、有機光電変換素子、有機EL素子等の電子デバイスの用途に広く使用されている。
そして、真空蒸着法やスパッタリング法等のドライコーティング法で形成したアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属または金属酸化物の薄膜は、優れたガスバリア性を有することが知られている。
このため、ガスバリア性フィルムとしては、例えば、基材である高分子樹脂フィルムの表面に、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属または金属酸化物のガスバリア性薄膜を、真空蒸着法やスパッタリング法等のドライコーティング法で形成した構成ものが広く用いられている。
しかしながら、基材である高分子樹脂フィルムの表面に、単に直接、金属または金属酸化物の薄膜を積層しただけでは、積層された金属または金属酸化物の薄膜が、容易に剥離し、脱落してしまい、ガスバリア性の機能を長期間にわたり安定的に発揮することができない。
そこで、高分子樹脂フィルムとその表面に積層される金属または金属酸化物の薄膜との密着性を高めるために、薄膜を積層しようとする高分子樹脂フィルムの表面に、予めアンダーコート層と呼ばれる層を設けることが一般的に行われている。
例えば、特許文献1に開示されているように、高分子樹脂フィルム/アンダーコート層/蒸着薄膜層、という構成であって、アンダーコート層が有機官能基と加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の水系溶液を用いて形成した塗膜層であるバリア性積層体が、提案されている。
特開平7−268608号公報
しかしながら、上記の特許文献1に開示された技術は、アンダーコート層を形成する塗料が水系溶液であるので、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子樹脂フィルムに対する濡れ性が十分でない。このため、アンダーコート層にピンホールが生じやすく、このピンホールによりのガスバリア機能の低下を生じる。そして、濡れ性を改善しピンホールの発生を防止するために、高分子樹脂フィルムに対してコロナ放電処理、プラズマ活性化処理、グロー放電処理等の表面活性化処理、またはコーティング剤の塗布などの前処理を施すことが一般的に行われている。
すなわち、特許文献1に開示の技術は、濡れ性を改善しピンホールの発生を防止するために高分子樹脂フィルムの前処理の工程が必要であるという課題があり、また、前処理を施しても、ピンホールの発生を完全に防止することは困難であり、ガスバリア層に欠陥が生じやすく、ガスバリア機能が低下しやすいという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するもので、高分子樹脂フィルムに対する前処理工程が不要であるとともに、アンダーコート層およびガスバリア層のピンホール等の欠陥の発生を防止でき、優れたガスバリア機能を有するガスバリア性フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明のガスバリア性フィルムは、基材となる高分子樹脂フィルムの表面に、少なくとも、アンダーコート層とガスバリア層とをこの順に備えたガスバリア性フィルムであって、前記アンダーコート層は、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンとを含有する非水系塗料を用いて形成されたことを特徴とする。
そして、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、基材となる高分子樹脂フィルムの表面にアンダーコート層を形成する第1の工程と、前記アンダーコート層の上にガスバリア層を形成する第2の工程とを有し、前記第1の工程において、前記アンダーコート層は、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンとを含有する非水系塗料を用いて形成することを特徴とする。
本発明のガスバリア性フィルムによれば、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンとを含有する非水系塗料を用いてアンダーコート層を形成しているので、高分子樹脂フィルムとガスバリア層の両方との良好な密着力を確保できるとともに、アンダーコート層とガスバリア層にピンホール等の欠陥が無く、優れたガスバリア機能を有するガスバリア性フィルムとなる。
そして、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法によれば、高分子樹脂フィルムに対する特別な前処理工程が不要で、比較的簡易な方法で、アンダーコート層およびガスバリア層のピンホール等の欠陥の発生を防止でき、優れたガスバリア機能を有するガスバリア性フィルムを安価に製造することができる。
以下、本発明のガスバリア性フィルムの実施の形態について、詳細に説明する。
本実施の形態のガスバリア性フィルムは、基材となる高分子樹脂フィルムの表面に、少なくとも、アンダーコート層とガスバリア層とをこの順で備えている。そして、高分子樹脂フィルムとガスバリア層の両方との良好な密着力を確保し、ピンホール等の欠陥の発生を防止するために、アンダーコート層は、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンとを含有する非水系塗料を用いて形成された構成としている。
以下、本実施の形態におけるガスバリア性フィルムとその製造方法について、それぞれの構成毎に順に説明する。
基材となる高分子樹脂フィルムとしては、下記のアンダーコート層の形成に用いる塗料に対する耐溶剤性を備えた樹脂フィルムを用いることができる。具体的な樹脂の種類としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ナイロン等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れ、安価でかつ透明性と柔軟性も兼ね備えている等の観点から、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。また、高分子樹脂フィルムの厚みは12〜200μmの範囲にあることが好ましい。
そして、特に、本実施の形態のガスバリア性フィルムにおいては、高分子樹脂フィルムとガスバリア層の両方との良好な密着力を確保するために、アンダーコート層を設けている。また、このアンダーコート層のピンホール等の欠陥の発生を防止するために、アンダーコート層は、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンとを含有する非水系塗料を用いて形成する。
本実施の形態おけるアンダーコート層の形成に用いる非水系塗料について、以下に詳細に説明する。アンダーコート層の形成に用いる非水系塗料は、少なくとも、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンの3成分、および溶剤として非水溶媒を含有する。
チタンアルコキシドのポリマーとしては、テトラ−i−プロポキシチタンの重合体、またはテトラ−n−ブトキシチタンの重合体を使用することができる。チタンアルコキシドのポリマーを配合する理由は、チタンアルコキシドのポリマーの加水分解物はクラスターを形成しやすく、硬化後の塗膜の微視的な硬さと厚みを得やすい。塗膜に厚みが得られるので、アンダーコート層のピンホール等の欠陥の発生を防止できる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。エポキシ基を有するシランカップリング剤を配合する理由は、アミン等により開環しヒドロキシ基が得られ直鎖状の分子構造を形成しやすいため、アンダーコート層が有機物的な特性を有するものとなり、高分子樹脂フィルムとの良好な密着力が得られるためである。
なお、本実施の形態おける非水系塗料におけるエポキシ基を有するシランカップリング剤の配合比率は、チタンアルコキシドのポリマーの重量1に対する重量比で0.1〜5の範囲であることが好ましく、0.5〜2の範囲であることが特に好ましい。重量比で0.1より少ないと、加水分解後のチタンアルコキシドポリマーの縮合に伴う収縮の影響でアンカーコート層の脱落が起こりやすいので好ましくない。また、重量比で5より多いと、膜の硬化が進行しにくいため好ましくない。
シラザンとしては、ヘキサメチルジシラザン、パーヒドロポリシラザン、オルガノシラザンやポリシラザン等を用いることができる。特に、パーヒドロポリシラザンはガスバリア層との密着性が優れるので好ましい。シラザンは、主に水と反応してアンモニアを排出しアシル化剤として作用することで、縮合反応の末端を終端させることができる。これにより、縮合反応の副作用として生じる内部応力を抑制することが可能であり、塗膜の割れやすさを抑制する働きを有する。このため、アンダーコート層の厚みを厚くすることができので、アンダーコート層のピンホール等の欠陥の発生を防止できる。
なお、本実施の形態おける非水系塗料におけるシラザンの配合比率は、チタンアルコキシドのポリマーの重量1に対する重量比で0.001〜5の範囲であることが好ましく、0.001〜2の範囲であることが特に好ましい。重量比で0.001より少ないと、加水分解の進行が遅くなることに加えて、縮合反応による内部応力の変化等、欠陥を増大させる経時変化が生じるので好ましくない。また、重量比で5より多いと、分子のネットワークが十分に形成されないことや、アンモニア発生の際に吸着する水分によって疎水性部分と親水性部分の分離が生じて表面状態が悪くなるため好ましくない。
本実施の形態おける塗料の溶媒としては、非水溶媒を用い、非水系塗料としている。非水溶媒を用い非水系塗料としている理由は、塗料の含有成分であるチタンアルコキシドのポリマーの塗料の液中での加水分解を防止するためである。非水溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等を用いることができる。溶媒の配合比率は、アンダーコート層を形成する際の塗布方法、および形成すべき膜厚に応じて、好ましい塗料の粘度にあわせて、決定することが望ましいが、チタンアルコキシドのポリマーの重量1に対する重量比で10〜100の範囲であることが好ましい。溶媒の量が少な過ぎると、早すぎる加水分解反応により親水性部分と疎水性部分の分離が生じる不具合があり、溶媒の量が多すぎると、アンダーコート層の膜厚が薄くなりすぎてプライマーとしての効果が低減するためである。
そして、上記の非水系塗料を用いて、基材となる高分子樹脂フィルムに塗布し、乾燥および縮合反応させて、アンダーコート層を形成する。形成するアンダーコート層の膜厚としては、25〜1000nmの範囲が好ましい。これより膜厚が大きいと、膜が割れやすくなる、また、これより膜厚が小さいと、摩擦によって膜が剥がれやすいので、好ましくない。
なお、塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗布方法を採用することができる。
そして、本実施の形態のガスバリア性フィルムにおいては、アンダーコート層の上にガスバリア層を備えている。ガスバリア層の材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、コバルト、亜鉛、金、銀、銅等の金属、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫化物等が適用できる。また、それらから選ばれた二種以上の複合体も適用できる。これらの材料の中でも、アルミニウム、酸化硅素、酸化アルミニウム等は、ガスバリア性に優れ、比較的安価に形成できるので好ましい。
ガスバリア層の膜厚は、ガスバリア機能として有効な厚さであれば特に制限はなく材料によって異なるが、例えば、酸化珪素の場合は20〜200nmの範囲が好ましい。20nm未満では、ガスバリア性が十分でなく、200nmを超えると、ガスバリア層の柔軟性が損なわれ、クラック等の欠陥が発生しやすくなる。
ガスバリア層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等が適用できる。ガスバリア層の成膜材料の種類、成膜のし易さ、コスト等を考慮して選択すればよい。
なお、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、基材となる高分子樹脂フィルムの表面に、アンダーコート層とガスバリア層とをこの順で備えた上記本実施の形態のガスバリア性フィルムの構成に加えて、例えば表面保護層などを備えた構成としても良い。
以下、本発明のガスバリア性フィルムとその製造方法について、実施例に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
実施例1のガスバリア性フィルムは、以下のようにして作製した。まず、基材として、12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。
一方、アンダーコート層の形成に用いる非水系塗料を、以下のようにして作製し、準備した。エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製)を1重量部と、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマー(日本曹達株式会社製)を1重量部と、シラザンとしてヘキサメチルジシラザン(有機合成薬品工業株式会社製)を1重量部とを配合し、これを溶剤として30重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。
そして、この非水系塗料を、上記のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーターを用いて塗布し、その後、120℃のオーブンで約2分間処理して乾燥および縮合反応させ、厚さが約150nmのアンダーコート層を形成した。
次に、このアンダーコート層の上に、電子銃式真空蒸着装置を用いて酸化珪素を蒸着し、厚さが約30nmの酸化珪素のガスバリア層を形成した。以上により、実施例1のガスバリア性フィルムを作製した。
〈実施例2〉
実施例2のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料であり、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの配合量である。その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、実施例2のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例2では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを0.5重量部と、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーを1重量部と、シラザンとしてヘキサメチルジシラザンを1重量部とを配合し、これを溶剤として30重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。
〈実施例3〉
実施例3のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料であり、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの配合量である。その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、実施例3のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例3では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを2重量部と、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーを1重量部と、シラザンとしてヘキサメチルジシラザンを1重量部とを配合し、これを溶剤として30重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。
〈実施例4〉
実施例4のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料の希釈溶剤であるキシレンの配合量と、これに伴い形成したアンダーコート層の厚さである。その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、実施例4のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例4では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1重量部と、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーを1重量部と、シラザンとしてヘキサメチルジシラザンを1重量部とを配合し、これを溶剤として20重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。そして、この塗料を用いて、縮合反応後の厚さが約250nmのアンダーコート層を形成した。
〈実施例5〉
実施例5のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料の希釈溶剤であるキシレンの配合量と、これに伴い形成したアンダーコート層の厚さである。その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、実施例5のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例5では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1重量部と、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーを1重量部と、シラザンとしてヘキサメチルジシラザンを1重量部とを配合し、これを溶剤として45重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。そして、この塗料を用いて、縮合反応後の厚さが約100nmのアンダーコート層を形成した。
〈実施例6〉
実施例6のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料であり、シラザンとしてパーヒドロポリシラザンを配合したことと、その配合量である。その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、実施例6のガスバリア性フィルムを作製した。
実施例6では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1重量部と、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーを1重量部と、シラザンとして無触媒パーヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN110)を固形分濃度換算で0.001重量部とを配合し、これを溶剤として30重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。そして、この塗料を用いて、縮合反応後の厚さが約150nmのアンダーコート層を形成した。
〈比較例1〉
比較例1のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料のみであり、その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、比較例1のガスバリア性フィルムを作製した。
比較例1では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、エポキシ基を有するシランカップリング剤を配合しなかった。具体的には、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーを1重量部と、シラザンとしてヘキサメチルジシラザンを1重量部とを配合し、これを溶剤として30重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。
〈比較例2〉
比較例2のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料のみであり、その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、比較例2のガスバリア性フィルムを作製した。
比較例2では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、チタンアルコキシドのポリマーを配合しなかった。具体的には、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1重量部と、シラザンとしてヘキサメチルジシラザンを1重量部とを配合し、これを溶剤として30重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。
〈比較例3〉
比較例3のガスバリア性フィルムが、実施例1と異なる点は、アンダーコート層の形成に用いた塗料のみであり、その他の条件および方法は、実施例1と全く同様にして、比較例3のガスバリア性フィルムを作製した。
比較例3では、アンダーコート層の形成に用いる塗料として、シラザンを配合しなかった。具体的には、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1重量部と、チタンアルコキシドのポリマーとしてテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーを1重量部とを配合し、これを溶剤として30重量部のキシレンで希釈して非水系塗料を作製した。
以上により作製した、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、比較例1、比較例2、および比較例3の9種のガスバリア性フィルムについて、水蒸気透過率(WVTR、単位:g/m/day)と、ガスバリア層の密着性を評価した。評価結果を、そのアンダーコート層の内容とともに、(表1)に示す。(表1)においては、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランをGLYEOと、テトラ−n−ブトキシチタンのポリマーをTBTと、ヘキサメチルジシラザンまたはパーヒドロポリシラザンをシラザンと略記した。
なお、水蒸気透過率(WVTR)は、差圧式の水蒸気透過率測定装置(Technolox社製DELTAPERM)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
そして、ガスバリア層の密着性の評価は、JIS K5600−5−6に準じてクロスカット法により評価した。具体的には、それぞれのガスバリア性フィルムのガスバリア層およびアンダーコート層に、金属製のカッターガイドを用い1mmの幅で縦横垂直に切り傷を入れて碁盤目状に100分割にした。これにセロハンテープを圧着したのちセロハンテープを引き剥がし、JIS K5600−5−6に準じて殆ど剥離が認められないものを0、剥離が多く認められるものを5として評価点を与えた。
Figure 0005705808
(表1)の評価結果に示したように、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランとテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーとヘキサメチルジシラザンの3成分を配合した非水系塗料を用いてアンダーコート層を形成した実施例1〜実施例5のガスバリア性フィルムは、いずれも、ガスバリア層が優れた密着性を有しているとともに、アンダーコート層とガスバリア層にピンホール等の欠陥が無く、水蒸気透過率(WVTR)は、0.1g/m/day未満であり、優れたガスバリア機能を有するガスバリア性フィルムであることが確認できた。また、シラザンとしてパーヒドロポリシラザンを配合した非水系塗料を用いてアンダーコート層を形成した実施例6のガスバリア性フィルムは、特に、ガスバリア層の密着性に優れ、水蒸気透過率(WVTR)も小さく優れたガスバリア機能を有することが確認できた。
一方、テトラ−n−ブトキシチタンのポリマーとヘキサメチルジシラザンの2成分を配合した非水系塗料を用いてアンダーコート層を形成した比較例1のガスバリア性フィルム、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランとヘキサメチルジシラザンの2成分を配合した非水系塗料を用いてアンダーコート層を形成した比較例2のガスバリア性フィルム、および3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランとテトラ−n−ブトキシチタンのポリマーの2成分を配合した非水系塗料を用いてアンダーコート層を形成した比較例3のガスバリア性フィルムは、いずれも、ガスバリア層の密着性が悪く、水蒸気透過率(WVTR)も、実施例に比較しておおよそ10〜1000倍以上であり、ガスバリア機能が劣っていた。
これは、アンダーコート層の形成に用いた塗料が2成分であったため、アンダーコート層とガスバリア層との密着性が十分でなく、ガスバリア層にクラックや剥離等の欠陥が生じ、これによってガスバリア機能が劣化したものと考えられる。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、ガスバリア層のピンホール、クラック等の欠陥の発生を防止でき、優れたガスバリア機能を有するガスバリア性フィルムであり、包装材料および各種デバイスの保護材料として産業上有用である。

Claims (5)

  1. 基材となる高分子樹脂フィルムの表面に、少なくとも、アンダーコート層とガスバリア層とをこの順に備えたガスバリア性フィルムであって、前記ガスバリア層が、金属、またはその酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、またはそれらから選ばれた二種以上の複合体からなり、前記アンダーコート層は、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンとを含有する非水系塗料を用いて形成されたことを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記ガスバリア層が、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、コバルト、亜鉛、金、銀、銅、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、炭化珪素であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記非水系塗料における各成分の含有比率は、チタンアルコキシドのポリマーの重量1に対し、シランカップリング剤は重量比で0.1〜5の範囲であり、シラザンは重量比で0.001〜5の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記アンダーコート層の膜厚は、25〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 基材となる高分子樹脂フィルムの表面にアンダーコート層を形成する第1の工程と、前記アンダーコート層の上にガスバリア層を形成する第2の工程とを有し、前記第1の工程において、前記アンダーコート層は、チタンアルコキシドのポリマーとエポキシ基を有するシランカップリング剤とシラザンとを含有する非水系塗料を用いて形成することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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