JP5704753B2 - 動物細胞を用いて外来遺伝子由来タンパク質を大量に生産するための発現ベクター、およびその利用 - Google Patents

動物細胞を用いて外来遺伝子由来タンパク質を大量に生産するための発現ベクター、およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、哺乳動物細胞宿主に外来遺伝子由来タンパク質の高レベル生産能を与える哺乳動物細胞用発現ベクターに関する。本発明の発現ベクターは、特に、大腸菌や酵母を宿主とした遺伝子組換では十分な活性が得られ難く、哺乳類独特の糖鎖修飾や折りたたみが必要である哺乳動物タンパク質の生産に適する。
組換えタンパク質生産用ベクターは数多く開発され、大腸菌を代表とする細菌、酵母を代表とする真核微生物および昆虫細胞を宿主とする発現系では、タンパク質の発現量も多い。しかしながら哺乳類独特のタンパク質を発現させる場合、正常な立体構造をとらなかったり、糖鎖付加等の翻訳後修飾に問題があることが多い。そこで哺乳類細胞を宿主とした発現系の確立が必要となるが、一般的に発現量が低い場合が多い。また、昆虫細胞よりも高等な動物細胞に対しては組換えウイルスベクターを用いた発現系も使用されるが、組換えウイルスベクターを発現タンパク質から除く作業は極めて煩雑であり、さらにウイルスベクター自体の危険性も否定できない。
哺乳動物細胞を宿主とした組換えタンパク質生産の事例は、組織性プラスミノーゲンアクチベータ(特許文献1)、エリスロポエチン(特許文献2、非特許文献1−3)、IFN-γ(非特許文献4)、IFN-β(特許文献3、非特許文献5)などに見られる。また、モノクローナル抗体の遺伝子組換え生産に関しても数多くの報告がある(特許文献4−6、非特許文献6−8)。さらに哺乳動物細胞用高発現ベクターとしてpNOW/CMV-AA(特許文献7)が挙げられる。このベクターを用いたコングルチニンの生産量は、培養4日間で最大11.8μg/mLであった。しかしながら、これらの事例において組換えタンパク質の十分な生産量が得られているとは考え難い。
なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
特開昭59-183693号 特開2002-45191号 特開平7-265084号 特開平7-67648号 特開平6-30788号 特開平6-217786号 特開平10-179169号
Fermentation Bioengineering,4,257頁,1989年 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,6465頁,1986年 Biotechnology,6,67頁,1988年, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 80,4564頁,1983年 Cytotechnology,4,173頁,1990年 Biotechnology,10,169頁,1992年 J.Immunol.Methods,125,191頁,1989年 Biotechnology,10,1455頁,1992年
哺乳動物細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞(以下CHO細胞)を用いた医薬品の製造は安全が確認されており、現在一般的な手法となっている。哺乳動物細胞を用いた組換えタンパク質製造において、その生産性を上げることは、コストの削減・医療費の抑制などの面から非常に重要である。そのため、効率的な遺伝子導入により高レベル生産能を有する形質転換体を作製するための発現ベクターの開発が必須である。
哺乳動物細胞において組換えタンパク質の高レベル生産を容易に行うためには、効率的な遺伝子導入が必要である。効率的な遺伝子導入とは、クローンのセレクションが容易であるにも拘わらず、高レベル生産性クローンが得られる確率が高いことである。すなわち、被形質転換細胞全体に対して薬剤選択後の生存細胞クローン数が相対的に少なく、それにより高レベル生産性クローンのセレクションが容易であること、さらに目的とするタンパク質を生産する細胞の数が少ないにも拘わらず高レベル生産性クローンが出現する期待値が大きいことである。得られる細胞の数が多いとその分セレクションに時間と労力を要することになり効率が悪く、また潜在的に高レベル生産能をもつクローンを見落とす可能性も高い。
高レベル生産能とは、遺伝子導入により得られた形質転換細胞クローンにおける組換えタンパク質の発現量が多いことであり、これはおもに発現ベクターの性質、性能に由来すると考えられる。遺伝子発現のレベルは染色体上の位置により著しく異なることが見出されており(Annu.Rev.Cell Biol.,6,679頁,1990年)、染色体上の転写活性の高い領域(以下、転写ホットスポット)に目的遺伝子が導入されることで、組換えタンパク質の生産レベルが高くなると予想される。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その課題は、哺乳動物細胞宿主に外来遺伝子由来タンパク質の高レベル生産能を与える哺乳動物細胞用発現ベクターを提供することにある。また、本発明は、該ベクターを利用した形質転換体の製造方法、および該ベクターを利用した外来遺伝子由来タンパク質の生産方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞染色体上の転写ホットスポットにプラスミドDNAが組み込まれ、ヒポキサンチン・チミジン(以下HTと記載する)不含培地生育株として、セレクトされる仕組みを持つ発現ベクターの開発に成功した。ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)は核酸塩基の生合成に必要なため、遺伝情報物質としてDNA を用いる全ての生物に必須の酵素である。そのためジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞は核酸の成分であるHTを含まない培地では生育することができない。目的タンパク質遺伝子とDHFR遺伝子を組込んだコンストラクトをジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞に導入し、HT不含条件で培養することによって、目的タンパク質を発現する細胞をセレクションすることができる。この方法は、目的タンパク質遺伝子とネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子を組込んだコンストラクトを導入し、G418でセレクションする方法に比べ、DHFR阻害剤であるMTXで遺伝子増幅することが可能であるため、目的タンパク質の高生産株を得るのにより適している。結果、高レベルで安定的なタンパク質の生産を可能にする発現ベクターを構築でき、本発明を完成した。
本発明は、より具体的には、下記〔1〕〜〔10〕の発明を提供するものである。
〔1〕下記(a)および(b)を含む、哺乳動物宿主細胞において外来遺伝子由来タンパク質の高レベル生産を可能にするための発現ベクター。
(a)コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変し発現を微弱化させた翻訳障害性ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子カセット(翻訳障害性DHFR遺伝子カセット)
(b)高転写活性プロモーターと高安定性ポリアデニレーションシグナルの間に外来遺伝子組み込み用クローニングサイトを含む遺伝子カセット
〔2〕〔1〕(a)に記載の翻訳障害性DHFR遺伝子カセットのコドンが、ヒトにおいて使用頻度が最も低いコドンに改変されたものであることを特徴とする〔1〕に記載の発現ベクター。
〔3〕〔1〕(a)に記載の翻訳障害性DHFR遺伝子カセットのコドンが、アラニンはGCA、アルギニンはCGA、アスパラギンはAAU、アスパラギン酸はGAU、システインはUGU、グルタミンはCAA、グルタミン酸はGAA、グリシンはGGU、ヒスチジンはCAU、ロイシンはUUA、リシンはAAA、プロリンはCCA、フェニルアラニンはUUU、セリンはUCA、トレオニンはACU、チロシンはUAU、および/又はバリンはGUAに改変されたものであることを特徴とする〔1〕に記載の発現ベクター。
〔4〕〔1〕(a)に記載の翻訳障害性DHFR遺伝子カセットが、プロモーターとして発現誘導性の低いプロモーターを使用していることを特徴とする〔1〕に記載の発現ベクター。
〔5〕前記活性の低いプロモーターとして、哺乳動物細胞ではほとんど発現しない遺伝子を由来とするプロモーター、又はエンハンサー部分を除去したプロモーターを使用することを特徴とする〔4〕に記載の発現ベクター。
〔6〕〔1〕(a)に記載の翻訳障害性DHFR遺伝子カセットにおいてコドンの改変領域が、遺伝子カセットの全長の30%以上であることを特徴とする、〔1〕に記載の発現ベクター。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程、および該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質の高レベル生産能およびHT不含培地生育能を有する形質転換体の製造方法。
〔8〕以下(a)〜(d)の工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質の生産方法。
(a)〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程
(b)該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程
(c)該形質転換体をHT不含培地で培養する工程
(d)培養された形質転換体から外来遺伝子由来タンパク質を回収する工程
〔9〕〔8〕(c)の工程において、Chemically Defined medium(CD培地)あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地で培養することを特徴とする、〔8〕に記載の方法。
〔10〕以下(a)〜(c)の工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質の高レベル生産能を有する形質転換体のスクリーニング方法。
(a)〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程
(b)該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程
(c)該形質転換体をHT不含培地で培養する工程
pDC1コンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、DHFR: ジヒドロ葉酸還元酵素cDNA、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC2コンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cdDHFR: DHFRの全塩基配列のコドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに全塩基配列を改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC5コンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd90DHFR: DHFRの塩基配列を5‘末端から90塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC6コンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5‘末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC7コンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd270DHFR: DHFRの塩基配列を5‘末端から270塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC1/hMBLコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hMBL: ヒトマンノース結合レクチンcDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、DHFR: ジヒドロ葉酸還元酵素cDNA、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC2/hMBLコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hMBL: ヒトマンノース結合レクチンcDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cdDHFR: DHFRの全塩基配列のコドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに全塩基配列を改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC5/hMBLコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hMBL: ヒトマンノース結合レクチンcDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd90DHFR: DHFRの塩基配列を5‘末端から90塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC6/hMBLコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hMBL: ヒトマンノース結合レクチンcDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5‘末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC7/hMBLコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hMBL: ヒトマンノース結合レクチンcDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd270DHFR: DHFRの塩基配列を5‘末端から270塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 pDC6/EPOコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hEPO: ヒトエリスロポエチンcDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5'末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 本発明の発現ベクターpDC6/hEPOをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhEPOのドットブロット法による検出例を示す図および写真である。 本発明の発現ベクターpDC6/hEPOをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhEPOのウエスタンブロット法による検出例を示す写真である。それぞれ、レーン1:分子量マーカー、レーン2:EPO標準品(R&D systems, 100ng)、レーン3:Cell Line No 27の3日間培養上清、レーン4:Cell Line No 36の3日間培養上清、レーン5:Cell Line No 50の3日間培養上清、レーン6:Cell Line No 60の3日間培養上清、レーン7:Cell Line No 62の3日間培養上清、レーン8:Cell Line No 67の3日間培養上清、レーン9:Cell Line No 72の3日間培養上清、レーン10:Cell Line No 77の3日間培養上清、レーン11:Cell Line No 78の3日間培養上清、レーン12:Cell Line No 82の3日間培養上清を示す。 pDC6/D-EPOコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、D-EPO: ダルベポエチンアルファcDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5'末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 本発明の発現ベクターpDC6/D-EPOをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたD-EPOのドットブロット法による検出例を示す図および写真である。 本発明の発現ベクターpDC6/D-EPOをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたD-EPOのウエスタンブロット法による検出例を示す写真である。それぞれ、レーン1:分子量マーカー、レーン2:ダルベポエチンアルファ(ネスプ静注用120μg/0.6mLプラシリンジ, 共和発光キリン, 100ng)、レーン3:Cell Line No 12の3日間培養上清、レーン4:Cell Line No 12の7日間培養上清、レーン5:Cell Line No 12の14日間培養上清、レーン6:Cell Line No 23の3日間培養上清、レーン7:Cell Line No 23の7日間培養上清、レーン8:Cell Line No 23の14日間培養上清、レーン9:Cell Line No 24の3日間培養上清、レーン10:Cell Line No 24の7日間培養上清、レーン11:Cell Line No 24の14日間培養上清、レーン12:Cell Line No 30の3日間培養上清、レーン13:Cell Line No 30の7日間培養上清、レーン14:Cell Line No 33の14日間培養上清、レーン15:Cell Line No 36の3日間培養上清、レーン16:Cell Line No 36の7日間培養上清、レーン17:Cell Line No 36の14日間培養上清を示す。 pDC6/hG-CSFコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hG-CSF: ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF) cDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5'末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 本発明の発現ベクターpDC6/hG-CSFをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhG-CSFのドットブロット法による検出例を示す図および写真である。 本発明の発現ベクターpDC6/hG-CSFをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhG-CSFのウエスタンブロット法による検出例を示す写真である。それぞれ、レーン1:分子量マーカー、レーン2:ヒト標準品G-CSF(Humanzyme, 50μg/Lane)、レーン3:Cell Line No6の3日間培養上清、レーン4:Cell Line No 6の7日間培養上清、レーン5:Cell Line No 6の14日間培養上清、レーン6:Cell Line No 13の3日間培養上清、レーン7:Cell Line No 13の7日間培養上清、レーン8:Cell Line No 13の14日間培養上清、レーン9:Cell Line No 14の3日間培養上清、レーン10:Cell Line No 14の7日間培養上清、レーン11:Cell Line No 14の14日間培養上清、レーン12:Cell Line No 16の3日間培養上清、レーン13:Cell Line No 16の7日間培養上清、レーン14:Cell Line No 16の14日間培養上清、レーン15:Cell Line No 17の3日間培養上清、レーン16:Cell Line No 17の7日間培養上清、レーン17:Cell Line No 17の14日間培養上清、を示す。 pDC6/hGM-CSFコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hGM-CSF: ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF) cDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5'末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 本発明の発現ベクターpDC6/hGM-CSFをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhGM-CSFのドットブロット法による検出例を示す図および写真である。 本発明の発現ベクターpDC6/hGM-CSFをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhGM-CSFのウエスタンブロット法による検出例を示す写真である。それぞれ、レーン1:分子量マーカー、レーン2:ヒト標準品GM-CSF(Humanzyme, 5μg/Lane)レーン3:CHO DG44細胞14日培養上清、レーン4:Sample buffer、レーン5:Cell Line No 3の3日間培養上清、レーン6:Cell Line No 3の7日間培養上清、レーン7:Cell Line No 3の14日間培養上清、レーン8:Cell Line No 6の3日間培養上清、レーン9:Cell Line No 6の7日間培養上清、レーン10:Cell Line No 6の14日間培養上清、レーン11:Cell Line No 11の3日間培養上清、レーン12:Cell Line No 11の7日間培養上清、レーン13:Cell Line No 11の14日間培養上清、レーン14:Cell Line No 17の3日間培養上清、レーン15:Cell Line No 17の7日間培養上清、レーン16:Cell Line No 17の14日間培養上清、レーン17:Cell Line No 36の3日間培養上清、レーン18:Cell Line No 36の7日間培養上清、レーン19:Cell Line No 36の14日間培養上清、レーン20:Cell Line No 48の3日間培養上清、レーン21:Cell Line No 48の7日間培養上清、レーン22:Cell Line No 48の14日間培養上清を示す。 pDC6/hIFNαコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hIFNα: ヒトインターフェロンα2b cDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5'末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 本発明の発現ベクターpDC6/hIFNαをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhIFNαのドットブロット法による検出例を示す図および写真である。 本発明の発現ベクターpDC6/hIFNαをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhIFNαのウエスタンブロット法による検出例を示す写真である。それぞれ、レーン1:分子量マーカー、レーン2:標準品ヒトIFNα (IFNα2B Expression in Human Cells, Cat HZ-1072, Human Zyme, IFN-α2b )、レーン3:標準品ヒトIFNα(iLite(登録商標) Alphabeta IFN stock solution (200 IU/ml), biomonitor)、レーン4:CHO DG44細胞14日培養上清、レーン5:Cell Line No 3rd-8の3日間培養上清、レーン6:Cell Line No 3rd-8の7日間培養上清、レーン7:Cell Line No 3rd-8の14日間培養上清、レーン8:Cell Line No 3rd-14の3日間培養上清、レーン9:Cell Line No 3rd-14の7日間培養上清、レーン10:Cell Line No 3rd-14の14日間培養上清、レーン11:Cell Line No 2nd-12の3日間培養上清、レーン12:Cell Line No 2nd-12の7日間培養上清、レーン13:Cell Line No 2nd-12の14日間培養上清上清を示す。 pDC6/hOPNコンストラクトを示す図である。それぞれ、PCMV: サイトメガロウイルスプロモーター、INRBG : ウサギ成長ホルモンイントロン、hOPN: ヒトオステオポンチン cDNA、PABGH : ウシ成長ホルモン遺伝子ポリA付加シグナル、PdSV: エンハンサーを欠失させたシミアンウイルス40プロモーター、cd180DHFR: DHFRの塩基配列を5'末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子、PASV: シアミンウイルス40ポリA付加シグナル、Ampr: 大腸菌中での選択マーカー(アンピシリン耐性)を示す。 本発明の発現ベクターpDC6/hOPNをトランスフェクションしたCHO細胞により発現されたhOPNのウエスタンブロット法による検出例を示す写真である。それぞれ、レーン1:分子量マーカー、レーン2:CHO DG44細胞14日培養上清、レーン3:Cell Line No32の3日間培養上清、レーン4:Cell Line No 32の7日間培養上清、レーン5:Cell Line No 32の14日間培養上清を示す。
本発明者らは、DHFR遺伝子のコドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変して、DHFRの発現性を極めて減衰させたものにすることにより、組み込まれるプラスミド遺伝子がジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞染色体上の極めて高い発現性をもつ位置に導入されない限り、形質転換体ではあってもHTが含まれない培地におけるセレクションに対して生存が困難であるようにした。
すなわち、本発明は、哺乳動物宿主細胞において遺伝子組換えタンパク質の高レベル生産を誘導するための発現ベクターを提供する。
本発明の発現ベクターは、バックボーンベクター上に、下記(a)および(b)を含むことによって構築される。
(a)コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変し発現を微弱化させた翻訳障害性ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子カセット(翻訳障害性DHFR遺伝子カセット)
(b)高転写活性プロモーターと高安定性ポリアデニレーションシグナルの間に外来遺伝子組み込み用クローニングサイトを含む遺伝子カセット
本発明は、DHFR遺伝子カセット(シストロン)の構成として、DHFR遺伝子のコドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いコドンに改変し、DHFRの発現誘導性を低下させたプロモーターを使用し、遺伝子導入により形質転換された宿主細胞におけるDHFRの発現機構を著しく障害せしめるものである。本発明において、「遺伝子カセット」とは、プロモーター、構造遺伝子、ポリアデニレーションシグナル(polyA)を基本構成とする転写・翻訳によりタンパク質を発現する単位を意味するが、これらのいずれかに関連するかもしくは任意のDNA配列を挿入配列として含んでいてもよい。本発明の、DHFR遺伝子カセットはプロモーターを弱化しただけのものとは異なり、転写ホットスポットへプラスミド遺伝子が導入されたHT不含培地生育株を特異的に獲得できるよう導くことから、「翻訳障害性DHFR遺伝子カセット」と定義する。
本発明において「哺乳動物において使用頻度の最も低いコドン」とは、ヒトにおいて使用頻度の最も低いコドンを好ましい例として挙げることができる。ヒトにおいて使用頻度の最も低いコドンとしては、Kimらの文献(Gene, 199,293頁,1997年)に開示されたコドンを挙げることができる。より具体的なコドンとして、アラニンはGCA、アルギニンはCGA、アスパラギンはAAU、アスパラギン酸はGAU、システインはUGU、グルタミンはCAA、グルタミン酸はGAA、グリシンはGGU、ヒスチジンはCAU、ロイシンはUUA、リシンはAAA、プロリンはCCA、フェニルアラニンはUUU、セリンはUCA、トレオニンはACU、チロシンはUAU、および/又はバリンはGUAを例示することができるが、コドンはこれらに限定されるものではない。
本発明において「発現を微弱化する」とは、遺伝子の発現が転写および/又は翻訳の段階で弱められていることを示し、具体的にはコドンを上記「哺乳動物において使用頻度の最も低いコドン」に改変することにより得ることができる。
該「翻訳障害性DHFR遺伝子カセット」において、コドンが改変される領域は特に制限されるものではないが、遺伝子カセットの全長の30%以上(例えば、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、又は100%)の領域におけるコドンが改変されることが好ましい。コドンの改変領域の範囲は、ベクターの他の条件を考慮して任意に決定することができる。
該「翻訳障害性DHFR遺伝子カセット」のプロモーターとしては、哺乳動物細胞では通常発現し難いタンパク質遺伝子のプロモーターを由来とするもの、または通常のプロモーターからエンハンサーを除去したものを使用でき、より具体的には、SV40のウイルス抗原プロモーターからエンハンサー領域を除去したものか(Mol.Cell Biol.,6,2593頁,1986年)、またはこれと同等に発現性の極めて低いプロモーターを使用することが好ましい。
プラスミドDNAのジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞染色体上の転写ホットスポットへの組み込みは、DHFR遺伝子カセットの持つ特性からHTを含まない培地におけるセレクションにより結果的に達成されることになるが、染色体上の転写ホットスポットにおける外来遺伝子由来タンパク質の発現自体は強力に誘導される必要がある。このため、タンパク質遺伝子を組み込むマルチクローニングサイト(以下、MCSと記載する)のプロモーターおよびポリアデニレーションシグナル(以下、polyAと称する)は最も強い発現誘導性をもつものの中から選択する。プロモーターとしては、ヒトサイトメガロウイルスImmediate Early(hCMV MIE:Cell,41,521頁,1985年)プロモーター、ヒトサイトメガロウイルスプロモーターとアデノウイルスプロモーターの融合プロモーターであるCMV5 プロモーター(Nucleic Acid Research, 30, 2頁, 2002年)、β-アクチンプロモーター(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,4831頁,1987年)、polyAにはウシ成長ホルモン由来のpolyA配列(DNA, 5,115頁,1986年)等が挙げられる。本明細書中ではこの目的とするタンパク質遺伝子を組み込むマルチクローニングサイトをもつDNA断片を「遺伝子発現カセット」と称する。
本発明の発現ベクターとしては、実施例で具体的に記載した発現ベクターを例示することができるが、これらに制限されるものではない。
また、本発明は、上記発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程、および該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質の高レベル生産能およびHTを含まない培地における生育能を有する形質転換体の製造方法を提供する。
具体的には、発現させたいタンパク質をコードする外来遺伝子を本発明の発現ベクターのマルチクローニングサイト(以下、MCSと記載)に組み込んだ後、トランスフェクション法(ここで言うトランスフェクション法とはリポフェクチン法、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション法など当業者が周知の方法を挙げることができる)を利用して該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換し、HTを含まない培地における耐性でセレクションを行い、タンパク質の高生産性形質転換体を得る方法が挙げられる。
本発明において宿主細胞としては、外来遺伝子由来タンパク質の発現に適した細胞であれば特に制限はないが、好ましくはジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損哺乳動物細胞、より好ましくはジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を欠損したチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を挙げることができる。
HT不含培地におけるセレクションで生存した形質転換細胞の多くは既に相対的にタンパク質の高い発現レベルを達成しているが、その中からさらに高レベル生産能をもつ形質転換細胞を選択するために、タンパク質の発現レベルの測定をしてもよい。
また、本発明は、以下(a)〜(d)の工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質の産生方法を提供する。
(a)本発明の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程
(b)該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程
(c)該形質転換体をHT不含培地で培養する工程
(d)培養された形質転換体から外来遺伝子由来タンパク質を回収する工程
本発明において、上記(c)の工程においては、HT不含培地で培養を行うことにより、高効率のタンパク質発現を示す形質転換体(コロニー)を選択することが出来る。選択された形質転換体は、引き続き同じ培地において培養を続けてもよいし、他の培地、例えば大量発現用の培地に移して培養を行ってもよい。
本発明において、形質転換体を培養又は馴化させる培地は特に制限されないが、好ましくは無血清培地、より好ましくはCD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を例示することができる。
本発明において培養された形質転換体から外来遺伝子由来タンパク質を回収する際には、当業者に公知の方法(フィルトレーション(濾過)、遠心分離、およびカラム精製等)でタンパク質を精製してもよい。外来遺伝子由来タンパク質は、精製を容易にするなどの目的で、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させることも可能である。
さらに、本発明は、以下(a)〜(c)の工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質の高レベル生産能を有する形質転換体のスクリーニング方法を提供する。
(a)本発明の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程
(b)該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程
(c)該形質転換体をHT不含培地で培養する工程
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明の実施例を説明する。
〔実施例1〕pDC1, pDC2, pDC5, pDC6, pDC7の構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC1, pDC2, pDC5, pDC6, pDC7を構築した。バックボーンベクターpDC1の全塩基配列を配列番号:1に記載する。pDC1は塩基配列No1784-No2347の間に野生型のDHFRのcDNAを有する(図1)。pDC2は、pDC1の塩基配列No1784-No2347の配列を、配列番号:2に記載の配列に置換したものである。pDC2の置換領域にはDHFRの全塩基配列のコドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに全塩基配列を改変した翻訳障害性DHFR遺伝子が導入されている(図2)。
pDC5は、pDC1の塩基配列No1784-No2347の配列を、配列番号:3に記載の配列に置換したものである。pDC5の置換領域にはDHFRの塩基配列を5‘末端から90塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子が導入されている(図3)。
pDC6は、pDC1の塩基配列No1784-No2347の配列を、配列番号:4に記載の配列に置換したものである。pDC6の置換領域にはDHFRの塩基配列を5‘末端から180塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子が導入されている(図4)。
pDC7は、pDC1の塩基配列No1784-No2347の配列を、配列番号:5に記載の配列に置換したものである。pDC7の置換領域にはDHFRの塩基配列を5‘末端から270塩基の範囲で、コドンを哺乳動物において使用頻度の最も低いものに改変した翻訳障害性DHFR遺伝子が導入されている(図5)。
〔実施例2〕pDC1/hMBL, pDC2/hMBL, pDC5/hMBL, pDC6/hMBL, pDC7/hMBLの構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC1, pDC2, pDC5, pDC6, pDC7の塩基配列No1267-No1275を配列番号:6に記載のヒトマンナン結合レクチン(MBL)をコードするcDNA(以下hMBLと記載する)に置換し、pDC1/hMBL(図6)、pDC2/hMBL(図7)、pDC5/hMBL(図8)、pDC6/hMBL(図9)、pDC7/hMBL(図10)を構築した。
〔実施例3〕pDC1/hMBL, pDC2/hMBL, pDC5/hMBL, pDC6/hMBL, pDC7/hMBLのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
10μgのpDC1/hMBL, pDC2/hMBL, pDC5/hMBL, pDC6/hMBL, pDC7/hMBLをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の500000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に1000 cells/well, 100 cells/wellの濃度で5枚ずつ計10枚(960ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。生存細胞から任意に50株のHT不含培地生育セルラインを選択し、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)ともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。各株に0.4mLを滅菌チューブに取り、200g、2分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.1mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、0.2mLを新しい24ウェルプレートに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。続いて培養上清中のMBLの生産量を測定した。
〔実施例4〕pDC1/hMBL, pDC5/hMBL, pDC6/hMBL, pDC7/hMBL形質導入セルラインによるMBLの生産量の測定
生産量の検定はELISAにて実施した。コーティングバッフアー(15 mM, Na2CO3, 35 mM NaHCO3, 0.05 % NaN3, pH 9.6)で希釈した1μg/mL抗ヒトMBL抗体(日本・旭川医大・大谷博士より譲渡)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)でブロッキングした後、72時間培養上清(1/1000-1/100000希釈)、精製したヒトMBL(旭川医大・大谷博士より譲渡)のCHO細胞用無血清培地IS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)による2倍希釈系列(20〜0.3125 ng/mL)およびIS CHO with Hydrolysate培地(IS Japan)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのビオチン化ヒトMBLモノクローナル抗体(旭川医大・大谷博士より譲渡)と37℃、1時間インキュベートした。37℃で30分間インキュベートしたVECTASTAION Elite ABC kit STANDARD(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、37℃で45分間反応させた。さらに室温で30分間インキュベートしたPEROXIDASE SUBSTRATE KIT TMB(2 drops of Buffer, 3 drops of TMB, 2 drops of HYDROGEN PEROXIDE / 5 mL, Vector)を100μL/wellずつアプライし、室温で15分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて行なった。表1にELISA法にて得られた結果、ヒトMBL生産量の高い上位3サンプルを示す。最も生産レベルの高かったセルラインは、コドン未改変のベクターと比較して優位に高い生産性が得られた。
Figure 0005704753
〔実施例5〕pDC1/hMBL, pDC5/hMBL, pDC6/hMBL, pDC7/hMBL形質導入細胞セルラインによるhMBLの生産量
本発明の発現ベクターpDC1, pDC5, pDC6, pDC7により発現されたhMBLの各セルラインの発現量の分布を表2に示す。
pDC1では50株のHT不含培地生育株のうち、28.0%はhMBLを0μg/mL以上5μg/mL未満で生産していた。また50株のうち36株(72.0%)は5μg/mL以上であった。また50株のうち19株(38.0%)は10μg/mL以上であった。また50株のうち12株(24.0%)は15μg/mL以上であった。また50株のうち2株(4.0%)は20μg/mL以上であった。最も高い生産レベルを示したものは20.5μg/mL/3dayであった。
pDC5では50株のHT不含培地生育株のうち70%はhMBLを0μg/mL以上5μg/mL未満で生産していた。また50株のうち15株(30.0%)は5μg/mL以上であった。また50株のうち3株(6.0%)は10μg/mL以上であった。最も高い生産レベルを示したものは11.8μg/mL/3dayであった。
pDC6では50株のHT不含培地生育株のうち、34.0%はhMBLを0μg/mL以上5μg/mL未満で生産していた。また50株のうち33株(66.0%)は5μg/mL以上であった。また50株のうち22株(44.0%)は10μg/mL以上であった。また50株のうち15株(30.0%)は15μg/mL以上であった。また50株のうち7株(14.0%)は20μg/mL以上であった。また50株のうち5株(10.0%)は25μg/mL以上であった。驚くべきことに50株のうち1株(2.0%)は50μg/mL以上であった。最も高い生産レベルを示したものは51.6μg/mL/3dayであった。
pDC7では50株のHT不含培地生育株のうち、56.0%はhMBLを0μg/mL以上5μg/mL未満で生産していた。また50株のうち22株(44.0%)は5μg/mL以上であった。また50株のうち16株(32.0%)は10μg/mL以上であった。また50株のうち13株(26.0%)は15μg/mL以上であった。また50株のうち8株(16.0%)は20μg/mL以上であった。また50株のうち6株(12.0%)は25μg/mL以上であった。また50株のうち3株(6.0%)は30μg/mL以上であった。また50株のうち2株(4.0%)は35μg/mL以上であった。また50株のうち1株(2.0%)は45μg/mL以上であった。最も高い生産レベルを示したものは33.2μg/mL/3dayであった。
これは文献等で報告されている代表的な発現ベクターによる遺伝子増幅前の初期クローンのデータと比較して最も高い水準であった(DNA,7,651頁,1988年;Biotechnology,10.1455頁,1992年;Biotechnology,8,662頁,1990年;Gene,76,19頁,1989年;Biotechnology,9,64頁,1991年)。
遺伝子増幅による組換細胞のスクリーニングには通常6ヶ月から1年を要し、かつ培養条件や増幅刺激剤濃度による差異が大きいため、発現ベクターのプライマリーな性能比較は増幅前の初期クローンの発現レベルで行うのが適当と考えられる。これにより本発明の発現ベクターの性能は極めて高いことが判明した。この結果、本発明のベクターは、得られるHT不含培地生育株の数が極めて低い一方、非常に高い効率で目的物質タンパク質の高生産性細胞株の確立を可能にすることが確かめられた。これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。
Figure 0005704753
〔実施例6〕pDC6/hEPOの構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC6の塩基配列No1267-No1275を配列番号:7に記載のヒトエリスロポエチン(EPO)をコードするcDNA(以下hEPOと記載する)に置換し、pDC6/hEPO(図11)を構築した。
〔実施例7〕pDC6/hEPOのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
2.5μgのpDC6/hEPOをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。
生存細胞から任意に82株のHT不含培地生育セルラインを選択し、Dotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )に組換えヒトEPO標準品(Recombinat Human EPO, Cat. 287-TC, R & D systems)の2倍希釈系列(10〜0.16 ng/mL)および任意に選択した82株の培養上清をそれぞれ1μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mL抗EPOウサギポリクローナル抗体(EPO(H-162):, rabbit polyclonal IgG, Cat.sc-7956, Santa Cruz Biotechnology)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-RABBIT IgG F8c, Cat. 611-1303, Rock Land)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。図12にDotblotで得られた像を示す。
Dotblotにおいて発光強度が高い上位10株を、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。各株に0.4mLを滅菌チューブに取り、200g、2分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.1mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、0.2mLを新しい24ウェルプレートに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。続いて産生量を測定した。
〔実施例8〕pDC6/hEPO形質導入セルラインによるhEPOの産生量の測定
産生量の検定はELISAにて実施した。固相抗体溶液(D-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ))で希釈した1μg/mL抗ヒトEPO抗体(rhEPO MAb R6K, 扶桑薬品工業社製)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。ブロッキング液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:3の比率で混合)でブロッキングした後、72時間培養上清(1/1000-1/100000希釈)、精製したヒトEPO(扶桑薬品工業社製)の抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)、D-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)による2倍希釈系列(500〜15.6 mIU/mL)および抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)をそれぞれ100μLずつアプライし、25℃で2時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのペルオキシダーゼ標識ヒトEPOモノクローナル抗体(POD-rhEPO MAb R2C, 扶桑薬品工業社製)と25℃、2時間インキュベートした。Sure Blue TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450nmの吸光度を測定した。表3にELISAにて得られた結果、ヒトEPO産生量の高い上位10サンプルを示す。最も産生量が高いセルラインでは3,727±109 IU/mL/3daysを示した。この値は、クローン化していない初期のセルラインであってしかも遺伝子増幅していない状態において、文献等で報告されている代表的なエリスロポエチンの産生量と比較して非常に高い水準を示していた(特開2002−45191、J Microbiol Biotechnol. 2008 Jul;18(7):1342-1351、 Biotechnol Appl Biochem. 2000 Dec;32 ( Pt 3):167-172、Proc Natl Acad Sci U S A. 1986 Sep;83(17):6465-6469)。これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。続いて培養上清中のhEPOのWesternblottingを行い、タンパク質の発現を確認した。
Figure 0005704753
〔実施例9〕pDC6/hEPO形質導入細胞培養上清のウエスタンブロッティング
上記実施例8において採取したヒトEPO産生量上位10サンプルの3日間培養上清をウエスタンブロッティングによって解析した。培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。さらに標準品rhEPO(Recombinant human EPO, Cat 287-TC, R&D systems)100ng/10μLに5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) 10〜20% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液と標準品をSuper(登録商標)10〜20% 17well(Wako)に20μL添加し、40mAで55分間電気泳動を行った(電源装置:MyRun、COSMO BIO CO., LTDを使用)。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8mLのメタノール(Wako)で15秒、8mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間の順に振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸して活性化させた。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、活性化させたImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に浸した泳動後のゲル及び転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)を陰極側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で1時間半電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で1000倍希釈した10mLのEpo (H-162) rabbit polyclonal IgG (Santa Cruz Biotechnology)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で5000倍希釈したPeroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-Rabbit IgG F(c)〔Goat〕(Rock Land)を10mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に2mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で30秒間写真を撮影した。図13にウエスタンブロットで得られた像を示す。標準品と同様のバンドが検出された。
〔実施例10〕7日間および14日間培養におけるhEPO産生量の測定
高いEPO産生量を示しかつ増殖の速いセルライン(No 27, 36, 50, 78, 82)を選択し、さらに7日間培養と14日間培養を行い、培養上清中のhEPO濃度を測定した。培養方法は、まず細胞数を計測した後細胞数を0.5 x 105 cells/mLに合わせて培地で希釈後、7.5 mLを新しいT75フラスコに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、7日間および14日間培養し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。産生量の検定はELISAにて実施した。固相抗体溶液(D-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ))で希釈した1μg/mL抗ヒトEPO抗体(rhEPO MAb R6K, 扶桑薬品工業社製)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。ブロッキング液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:3の比率で混合)でブロッキングした後、7日間および14日間培養上清(1/1,000-1/100,000希釈)、精製したヒトEPO(扶桑薬品工業社製)の抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)による2倍希釈系列(500〜15.6 mIU/mL)および抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)をそれぞれ100μLずつアプライし、25℃で2時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのペルオキシダーゼ標識ヒトEPOモノクローナル抗体(POD-rhEPO MAb R2C, 扶桑薬品工業社製)と25℃、2時間インキュベートした。Sure Blue TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450nmの吸光度を測定した。表4にELISAにて得られた結果、7日間および14日間培養の産生量を表に示す。最も産生量が高いセルラインでは31,590±444 IU/mL/14daysを示した。この値は、クローン化していない初期のセルラインであってしかも遺伝子増幅していない状態において、文献等で報告されている代表的なエリスロポエチンの産生量と比較して非常に高い水準を示していた(特開2002−45191、J Microbiol Biotechnol. 2008 Jul;18(7):1342-1351、Biotechnol Appl Biochem. 2000 Dec;32 ( Pt 3):167-172、Proc Natl Acad Sci U S A. 1986 Sep;83(17):6465-6469)。通常、クローン化後にMTXによる遺伝子増幅を行って産生量の増大を図るが、遺伝子増幅したクローンは産生量が安定しないこともある。また遺伝子増幅による組換細胞のスクリーニングには6ヶ月から1年を要する。その点、当該ベクターをトランスフェクトすることで得られた細胞は、遺伝子増幅の必要がない程高い産生量を示し、短期間で容易に高産生細胞を得ることに成功した。これにより本発明の発現ベクターの性能は極めて高いことが判明した。
Figure 0005704753
〔実施例11〕hEPO高産生セルラインの作出
さらに高産生能を有する細胞を作出するために、スクリーニングする細胞の数を増加させることで、hEPO高産生セルラインの作出を試みた。
2.5μgのpDC6/hEPOをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の16,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に16000 cells/wellの濃度で45枚(4320ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。
細胞を播いたプレートのすべての株に対しDotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )にすべての株の培養上清をそれぞれ2μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mL抗EPOウサギポリクローナル抗体(EPO(H-162):, rabbit polyclonal IgG, Cat.sc-7956, Santa Cruz Biotechnology)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-RABBIT IgG F8c, Cat. 611-1303, Rock Land)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。撮影した画像をImage J (NIH)によって解析を行い、発光強度を比較した。発光強度が高い上位450株を、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで5%炭酸ガス存在下で37℃、静置培養で培養した。
上位450株に対しDotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )にすべての株の培養上清をそれぞれ2μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mL抗EPOウサギポリクローナル抗体(EPO(H-162):, rabbit polyclonal IgG, Cat.sc-7956, Santa Cruz Biotechnology)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-RABBIT IgG F8c, Cat. 611-1303, Rock Land)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。撮影した画像をImageJ(NIH)によって解析を行い、発光強度を比較した。発光強度が高い上位200株を、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで5%炭酸ガス存在下で37℃、90min-1の震盪培養で培養した。
上位200株に対しDotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )にすべての株の培養上清をそれぞれ2μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mL抗EPOウサギポリクローナル抗体(EPO(H-162):, rabbit polyclonal IgG, Cat.sc-7956, Santa Cruz Biotechnology)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-RABBIT IgG F8c, Cat. 611-1303, Rock Land)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。撮影した画像をImageJ(NIH)によって解析を行い、発光強度を比較した。発光強度が高い上位80株を、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで37℃、5%CO2、90min-1の震盪培養で培養した。さらに、発光強度が高い上位80株を、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともに6ウェルプレートの2ウェル分に移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで37℃、5%CO2、90min-1の震盪培養で培養した。さらに、発光強度が高い上位80株を、4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともに6ウェルプレートの6ウェル分に移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで5%炭酸ガス存在下で37℃、90min-1の震盪培養で培養した。
上位80株に対しDotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )にすべての株の培養上清をそれぞれ2μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mL抗EPOウサギポリクローナル抗体(EPO(H-162):, rabbit polyclonal IgG, Cat.sc-7956, Santa Cruz Biotechnology)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-RABBIT IgG F8c, Cat. 611-1303, Rock Land)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。撮影した画像をImageJ(NIH)によって解析を行い、発光強度を比較した。発光強度が高い上位40株において、それぞれの株0.4mLを滅菌チューブに取り、200g、2分間遠心した。上清を捨て、細胞を0.1 mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、0.2 mLを新しい24ウェルプレートに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。産生量を測定した。
〔実施例12〕EPO高産生セルラインのhEPO産生量の測定
産生量の検定はELISAにて実施した。固相抗体溶液(D-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ))で希釈した1μg/mL抗ヒトEPO抗体(rhEPO MAb R6K, 扶桑薬品工業社製)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。ブロッキング液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:3の比率で混合)でブロッキングした後、72時間培養上清(1/40000-1/160000希釈)、精製したヒトEPO(扶桑薬品工業社製)の抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)、D-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)による2倍希釈系列(500〜15.6 mIU/mL)および抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)をそれぞれ100μLずつアプライし、25℃で2時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのペルオキシダーゼ標識ヒトEPOモノクローナル抗体(POD-rhEPO MAb R2C, 扶桑薬品工業社製)と25℃、2時間インキュベートした。Sure Blue TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL)を100 μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450nmの吸光度を測定した。表5にELISAにて得られた結果、ヒトEPO産生量の高い上位40サンプルを示す。
Figure 0005704753
上記のスクリーニングを重ねて作出した40株のHT不含培地生育株のうち、15%はhEPOを0 IU/mL/3days以上2,000 IU/mL/3days未満で産生していた。また40株のうち34株(85%)は2,000 IU/mL/3days以上であった。また40株のうち19株(47.5%)は4,000 IU/mL/3days以上であった。また40株のうち11株(27.5%)は6,000 IU/mL/3days以上であった。また40株のうち4株(10%)は8,000 IU/mL/3days以上であった。また40株のうち3株(7.5%)は10,000 IU/mL/3days以上であった。驚くべきことに40株のうち2株(5.0%)は12,000 IU/mL/3days以上であった。最も産生量が高いラインでは13,744±123 IU/mL/3daysを示した。この値は、クローン化していない初期のセルラインであってしかも遺伝子増幅していない状態において、文献等で報告されている代表的なエリスロポエチンの産生量と比較して非常に高い水準を示していた(特開2002-45191、J Microbiol Biotechnol. 2008 Jul;18(7):1342-1351、Biotechnol Appl Biochem. 2000 Dec;32 ( Pt 3):167-172、Proc Natl Acad Sci U S A. 1986 Sep;83(17):6465-6469)。これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。
〔実施例13〕pDC6/D-EPOの構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC6の塩基配列No1267-No1275を配列番号:8に記載のダルベポエチンアルファ(D-EPO)をコードするcDNA(以下D-EPOと記載する)に置換し、pDC6/D-EPO(図14)を構築した。
〔実施例14〕pDC6/D-EPOのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
2.5μgのpDC6/D-EPOをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。
生存細胞から任意に84株のHT不含培地生育セルラインを選択し、Dotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )に組換えヒトEPO標準品(Recombinat Human EPO, Cat. 287-TC, R & D systems)の2倍希釈系列(10〜0.16 ng/mL)および任意に選択した84株の培養上清をそれぞれ1μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mL抗EPOウサギポリクローナル抗体(EPO(H-162): rabbit polyclonal IgG, Cat.sc-7956, Santa Cruz Biotechnology)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-RABBIT IgG F8c, Cat. 611-1303, Rock Land)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。図15にDotblotで得られた像を示す。
Dotblotにおいて発光が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともにT75Flask(BD)に移し、細胞が各ウェルの1.0x106 cells/mL以上を占めるまで培養した。
各株15 mLを15 mLチューブに取り、1,100rpm、7分間遠心した。上清を捨て、細胞を15 mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、7.5 mLを新しいT75Flaskに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、14日間培養した。培養3、7、14日に培養液を1 mL ずつ採取し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。続いて産生量を測定した。
〔実施例15〕pDC6/D-EPO形質導入セルラインによるD-EPOの産生量の測定
産生量の検定はELISAにて実施した。固相抗体溶液(D-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ))で希釈した1μg/mL抗ヒトEPO抗体(rEPO MAb R6K, 扶桑薬品工業社製)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate, Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。ブロッキング液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:3の比率で混合)でブロッキングした後、3、7、14日間培養上清(1/1000-1/100000希釈)、ダルベポエチンアルファ(ネスプ静注用120μg/0.6mLプラシリンジ, 共和発光キリン)の抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)による2倍希釈系列(10〜0.156 ng/mL)および抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)をそれぞれ100μLずつアプライし、25℃で2時間インキュベートした。さらに0.1μg/mLのペルオキシダーゼ標識ヒトEPOモノクローナル抗体(POD-rEPO MAb R2C, 扶桑薬品工業社製)と25℃、2時間インキュベートした。Sure Blue TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL)を100 μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450nmの吸光度を測定した。表6にELISAにて得られた結果、D-EPO産生量の高い上位5サンプルを示す。もっとも産生量が高いラインでは22±0.3μg/mL/3days, 135±3.3μg/mL/7days, 170±3.7μg/mL/14daysを示した。続いて培養上清中のD-EPOのWesternblottingを行い、タンパク質の発現を確認した。
Figure 0005704753
〔実施例16〕pDC6/D-EPO形質導入細胞培養上清のウエスタンブロッティング
上記実施例15において採取したD-EPO産生量上位5サンプルの3、7、14日間培養上清をウエスタンブロッティングにて解析した。培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。さらに標準品ダルベポエチンアルファ(ネスプ静注用120μg/0.6mLプラシリンジ, 協和発酵キリン)100ng/10μLに5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) 10〜20% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液と標準品をSuper(登録商標) 10〜20% 17well(Wako)に20μL添加し、40mAで55分間電気泳動を行った(電源装置:MyRun、COSMO BIO CO., LTDを使用)。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。
Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8mLのメタノール(Wako)で15秒、8mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間の順に振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸して活性化させた。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、活性化させたImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に浸した泳動後のゲル及び転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)を陰極側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で1時間半電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で1000倍希釈した10mLのEpo (H-162) rabbit polyclonal IgG (Santa Cruz Biotechnology)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で5000倍希釈したPeroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-Rabbit IgG F(c)(Goat)(Rock Land)を10mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に2mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で5秒間写真を撮影した。図16にウエスタンブロットで得られた像を示す。標準品と同様のバンドが検出された。
〔実施例17〕pDC6/hG-CSFの構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC6の塩基配列No1267-No1275を配列番号:9に記載のヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)をコードするcDNA(以下hG-CSFと記載する)に置換し、pDC6/hG-CSF(図17)を構築した。
〔実施例18〕pDC6/hG-CSFのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
2.5μgのpDC6/hG-CSFをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。
生存細胞から任意に50株のHT不含培地生育セルラインを選択し、Dotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )に組換えヒトG-CSF標準品(Recombinant human G-CSF, Cat 1001C, APOLLO)の2倍希釈系列(10〜0.0390625 μg/mL)および任意に選択した50株の培養上清をそれぞれ2μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.5 mg/mL 抗ヒトG-CSFマウスモノクローナル抗体 (Monoclonal Anti-human G-CSF Antibody, Cat MAB214, R & D)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Goat anti-Mouse IgG (H+L), Cat 115-036-062, Jackson)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。図18にDotblotで得られた像を示す。
Dotblotにおいて発光が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen)とともにT75Flask(BD)に移し、細胞が各ウェルの1.0x106 cells/mL以上を占めるまで培養した。
各株15 mLを15 mLチューブに取り、1,100rpm、7分間遠心した。上清を捨て、細胞を15 mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むCD Opti CHO AGT培地(Invitrogen))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、7.5 mLを新しいT75Flaskに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、14日間培養した。培養3、7、14日に培養液を1 mL ずつ採取し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。産生量を測定した。
〔実施例19〕pDC6/hG-CSF形質導入セルラインによるhG-CSFの産生量の測定
産生量の検定はELISAにて実施した。コーティングバッフアー(15 mM, Na2CO3, 35 mM NaHCO3, 0.05 % NaN3, pH 9.6)で希釈した0.5μg/mL抗ヒトG-CSF抗体(Anti-human G-CSF monoclonal Antibody, Cat No. MAB214, R&D system)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。ブロッキング液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:3の比率で混合)でブロッキングした後、3、7、14日間培養上清(1/10,000-1/200,000希釈)、組換えヒトG-CSF標準品(Recombinant human G-CSF, Cat 1001C, APOLLO)の抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)による2倍希釈系列(5〜0.078125 ng/mL)および抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)をそれぞれ100μLずつアプライし、25℃で1時間インキュベートした。さらに0.25μg/mLのビオチン化ヒトG-CSF抗体(Biotinylated Anti-human G-CSF Antibody, Cat No BAF214, R&D system)と25℃、1時間インキュベートした。25℃で30分間インキュベートしたStandard Ultra-Sensitive ABC Staining kit(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 10 mL, Pro#32050, PIERCE)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた。Sure Blue TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450nmの吸光度を測定した。表7にELISAにて得られた結果、ヒトG-CSF産生量の高い上位10サンプルを示す。最も産生量が高いラインでは34.7±1.1 μg/mL/3days, 193.6±0.6 μg/mL/7days, 235.5±14.8 μg/mL/14daysを示した。この値は、クローン化していない初期のセルラインであってしかも遺伝子増幅していない状態において、文献等で報告されている代表的なG-CSFの産生量と比較して非常に高い水準を示していた(J Biosci Bioeng. 2000;89(6):534-538、Gene. 1996 Nov 21;180(1-2):145-150、Mol Biotechnol. 1997 Jun;7(3):231-240、特表平01-500483)。
これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。続いて培養上清中のhG-CSFのWesternblottingを行い、タンパク質の発現を確認した。
Figure 0005704753
〔実施例20〕pDC6/hG-CSF形質導入細胞培養上清のウエスタンブロッティング
上記実施例19において採取したヒトG-CSF産生量上位5サンプルの3、7、14日間培養上清をウエスタンブロッティングにて解析した。培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98度で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。さらに組換えヒトG-CSF標準品(Recombinant human G-CSF, Cat 1001C, APOLLO)10 μg/10 μLに5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98度で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) 10〜20% 17well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液と標準品をSuper(登録商標)10〜20% 17well(Wako)に20μL添加し、40mAで55分間電気泳動を行った(電源装置:MyRun、COSMO BIO CO., LTDを使用)。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8mLのメタノール(Wako)で15秒、8mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間の順に振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸して活性化させた。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、活性化させたImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に浸した泳動後のゲル及び転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で1時間半電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で2,000倍希釈した10mLの抗ヒトG-CSFマウスモノクローナル抗体 (Monoclonal Anti-human G-CSF Antibody, Cat MAB214, R & D)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で5,000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Goat anti-Mouse IgG (H+L), Cat 115-036-062, Jackson)を10mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に2mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で30秒間写真を撮影した。図19にウエスタンブロットで得られた像を示す。標準品と同様のバンドが検出された。
〔実施例21〕pDC6/hGM-CSFの構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC6の塩基配列No1267-No1275を配列番号:10 に記載のヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードするcDNA(以下hGM-CSFと記載する)に置換し、pDC6/hGM-CSF(図20)を構築した。
〔実施例22〕pDC6/hGM-CSFのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
2.5μgのpDC6/hGM-CSFをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。
生存細胞から任意に48株のHT不含培地生育セルラインを選択し、Dotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )に組換えヒトGM-CSF標準品(Recombinant human GMCSF, Cat No. 071-04111, Wako)の2倍希釈系列(100〜0.16 ng/mL)および任意に選択した48株の培養上清をそれぞれ2μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した1μg/mL抗ヒトGM-CSFヤギポリクローナル抗体(Anti-human GMCSF Neutralizing Antibody, Cat. AB-215-NA, R&D systems)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ヤギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-Goat IgG [Rabbit])を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。図21にDotblotで得られた像を示す。
Dotblotにおいて発光が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともにT75Flask (BD)に移し、細胞が各ウェルの1.0x106 cells/mL以上を占めるまで培養した。
各株15 mLを15 mLチューブに取り、1,100rpm、7分間遠心した。上清を捨て、細胞を15 mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、7.5 mLを新しいT75Flaskに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、14日間培養した。培養3、7、14日に培養液を1 mL ずつ採取し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。産生量を測定した。
〔実施例23〕pDC6/hGM-CSF形質導入セルラインによるhGM-CSFの産生量の測定
産生量の検定はELISAにて実施した。コーティングバッフアー(15 mM, Na2CO3, 35 mM NaHCO3, 0.05 % NaN3, pH 9.6)で希釈した0.5μg/mL抗ヒトGM-CSF抗体(Mouse Anti-hGM-CSF Capture mAb, Cat No. 404CE14G12, invitrogen)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。ブロッキング液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:3の比率で混合)でブロッキングした後、72時間培養上清(1/1,000-1/25,000希釈)、遺伝子組換え型ヒトGM-CSF(Recombinant Human GM-CSF Expressed in Human Cell, Cat No. HZ-1001, HumanZyme Inc.)の抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)による2倍希釈系列(10〜0.15625 ng/mL)および抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)をそれぞれ100μLずつアプライし、25℃で1時間インキュベートした。さらに0.25μg/mLのビオチン化ヒトGM-CSF抗体(Mouse Anti-hGM-CSF Biotin conjugate, Cat No 404CE10A8, invitrogen)と25℃、1時間インキュベートした。25℃で30分間インキュベートしたStandard Ultra-Sensitive ABC Staining kit(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 10 mL, Pro#32050, PIERCE)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた。Sure Blue TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450nmの吸光度を測定した。表8にELISAにて得られた結果、ヒトGM-CSF産生量の高い上位6サンプルを示す。もっとも産生量が高いラインでは33.1±0.8 μg/mL/3days, 171.7±3.0 μg/mL/7days, 321.7±2.1 μg/mL/14daysを示した。この値は、クローン化していない初期のセルラインであってしかも遺伝子増幅していない状態において、文献等で報告されている代表的なGM-CSFの産生量と比較して非常に高い水準を示していた(Journal of Biotechnology 109 (2004) 179-191、Biotechnol. Prog. 2005, 21, 17-21、Eur. J. Biochem. 271, 907-919 (2004)
J Biosci Bioeng. 2002;94(3):271-274)。
これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。続いて培養上清中のhGM-CSFのWesternblottingを行い、タンパク質の発現を確認した。
Figure 0005704753
〔実施例24〕pDC6/hGM-CSF形質導入細胞培養上清のウエスタンブロッティング
上記実施例23において採取したヒトGM-CSF産生量上位6サンプルの3、7、14日間培養上清をウエスタンブロッティングにて解析した。培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。さらに標準品ヒトGM-CSF(Recombinant Human GM-CSF Expressed in Human Cell, Cat No. HZ-1001, HumanZyme Inc.)10 μg/10 μLに5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) 10〜20% 17 well(Wako)をセットし、加熱処理したサンプル溶液と標準品をSuper(登録商標)10〜20% 17 well(Wako)に20μL添加し、40 mAで55分間電気泳動を行った(電源装置:MyRun、COSMO BIO CO., LTDを使用)。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8 mLのメタノール(Wako)で15秒、8 mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間の順に振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸して活性化させた。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、活性化させたImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に浸した泳動後のゲル及び転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で1時間半電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8 mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で2,000倍希釈した10mLの抗ヒトGM-CSF抗体(Anti-human GM-CSF Neutralizing Antibody, Cat No.AB-215-NA, R & D systems)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で5,000倍希釈したペルオキシダーゼ標識済ウサギ抗ヤギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-Goat IgG, Cat No.605-4302, ,Rock Land)を10mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に2 mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で5秒間写真を撮影した。図22にウエスタンブロットで得られた像を示す。標準品と同様のバンドが見られ、バンドの濃さも培養日数に比例して濃いことが示唆された。
〔実施例25〕pDC6/hIFNαの構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC6の塩基配列No1267-No1275を配列番号:11 に記載のヒトインターフェロンα2b(hIFNα)をコードするcDNA(以下hIFNαと記載する)に置換し、pDC6/hIFNα(図23)を構築した。
〔実施例26〕pDC6/hIFNαのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
2.5μgのpDC6/hIFNαをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4 mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。
生存細胞から任意に66株のHT不含培地生育セルラインを選択し、Dotblotにより発現の確認を行った。メンブレン(Nytran N, ITEM NO.10416196, SCHLEICHER & SCHUELL )に組換えヒトIFNα2b標準品(IFN-α2b (hBA-165), Cat. sc-4624, Santa Cruz Biotechnology)および IFNα2B Expression in Human Cells, Cat HZ-1072, Human Zyme, IFN-α2b , Cat 5002C, APOLLO)の2倍希釈系列(10〜0.16 ng/mL)および任意に選択した66株の培養上清をそれぞれ2μLずつアプライし、室温で30分インキュベートした後、4% Block Ace(大日本住友製薬株式会社)で、室温で30分ブロッキングした。さらにPBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した1μg/mL抗ヒトIFNαウサギポリクローナル抗体((Rabbit polyclonal antibody against human interferon alpha (PBL, Cat 31130-1,)を加えて室温で30分間震盪した。PBST (D-PBS, 0.05% Tween20)で希釈した0.2μg/mLペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Peroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-RABBIT IgG F8c, Cat. 611-1303, Rock Land)を加えて30分間震盪した。室温で5分間反応させたImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate (2 mL Luminol Reagent, 2 mL Peroxide Solution, MILLIPORE, Cat.WBKLS0050, MILLIPORE)を加えて室温で5分インキュベートし、化学発光を検出器(ATTO Light-Capture, AE-6981FC, ATTO)によって撮影した。図24にDotblotで得られた像を示す。
Dotblotにおいて発光が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan)とともにT75Flask(BD)に移し、細胞が各ウェルの1.0x106 cells/mL以上を占めるまで培養した。
各株15 mLを15 mLチューブに取り、1,100 rpm、7分間遠心した。上清を捨て、細胞を15 mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO-CD w/ Hydrolysate培地(IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、7.5 mLを新しいT75Flaskに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、14日間培養した。培養3、7、14日に培養液を1 mL ずつ採取し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。産生量を測定した。
〔実施例27〕pDC6/hIFNα形質導入セルラインによるhIFNαの産生量の測定
産生量の検定はELISAにて実施した。コーティングバッフアー(15 mM, Na2CO3, 35 mM NaHCO3, 0.05 % NaN3, pH 9.6)で希釈した0.5μg/mL抗ヒトIFNα抗体(Monoclonal Antibody to Human Interferon-α, Pro. 3423-3, MABTECH)で96ウェルプレート(F96 MAXI SORP Nunc-Immuno plate,Cat no. 442404, Nunc)に4℃、16時間でコートした。ブロッキング液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:3の比率で混合)でブロッキングした後、72時間培養上清(1/40,000-1/640,000希釈)、遺伝子組換え型インターフェロンα-2b(イントロンA注射用1,000, シェリング・プラウ株式会社)の抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)による2倍希釈系列(80〜1.25 IU/mL)および抗原抗体希釈液(4% ブロックエース(大日本住友製薬株式会社)とD-PBS(ダルベッコリン酸緩衝液、シグマアルドリッチ)を1:9の比率で混合)をそれぞれ100μLずつアプライし、25℃で1時間インキュベートした。さらに0.5μg/mLのビオチン化ヒトIFNαモノクローナル抗体(Monoclonal Antibody to Human Interferon-α Biotin conjugate, Pro. 3423-6, MABTECH)と25℃、1時間インキュベートした。25℃で30分間インキュベートしたStandard Ultra-Sensitive ABC Staining kit(Reagent A 2 drops,Regent B 2 drops / 10 mL, Pro#32050, PIERCE)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた。Sure Blue TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL)を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、1Mリン酸を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450 nmの吸光度を測定した。表9にELISAにて得られた結果、ヒトIFNα産生量の高い上位3サンプルを示す。もっとも産生量が高いラインでは(56.3±5.0) x104 IU/mL/3days, (219.3±11.1) x104 IU/mL/7days, (436.5±17.1)x104 IU/mL/14daysを示した。この値は、クローン化していない初期のセルラインであってしかも遺伝子増幅していない状態において、文献等(J Gen Virol. 1985 Apr;66 ( Pt 4):685-691、Nucleic Acids Res. 1983 Feb 11;11(3):555-573、Phil.Trans.R.Soc.Lond.B299,7-28(1982)、特表2003-530070)で報告されている代表的なインターフェロンαの産生量と比較して非常に高い水準を示していた。
これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。続いて培養上清中のhIFNαのWesternblottingを行い、タンパク質の発現を確認した。
Figure 0005704753
〔実施例28〕pDC6/hIFNα形質導入細胞培養上清のウエスタンブロッティング
上記実施例27において採取したヒトhIFNα産生量上位10サンプルの3、7、14日間培養上清をウエスタンブロッティングにて解析した。培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。さらに標準品ヒトIFNα (IFNα2B Expression in Human Cells, Cat HZ-1072, Human Zyme, IFN-α2b ) 10 μg/10 μLおよび標準品ヒトIFNα(iLite(登録商標) Alphabeta IFN stock solution (200 IU/ml), biomonitor)200 IU/ml/10 μLに5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98℃で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) 10〜20% 17well(Wako, )をセットし、加熱処理したサンプル溶液と標準品をSuper(登録商標)10〜20% 17well(Wako)に20μL添加し、40mAで55分間電気泳動を行った(電源装置:MyRun、COSMO BIO CO., LTDを使用)。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8mLのメタノール(Wako)で15秒、8mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間の順に振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸して活性化させた。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、活性化させたImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に浸した泳動後のゲル及び転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で1時間半電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で2,000倍希釈した10mLのRabbit polyclonal antibody against human interferon alpha (Cat No. 31130-1, PBL)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で5,000倍希釈したPeroxidase Conjugated Affinity Purified Anti-Rabbit IgG F(c)(Goat)(Rock Land)を10mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に2 mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で3秒間写真を撮影した。図25にウエスタンブロットで得られた像を示す。標準品と同様のバンドが検出された。
〔実施例29〕pDC6/hOPNの構築
当業者に周知の方法を用いて本発明のベクターであるpDC6の塩基配列No1267-No1275を配列番号:12 に記載のヒトオステオポンチン(OPN)をコードするcDNA(以下hOPNと記載する)に置換し、pDC6/hOPN(図26)を構築した。
〔実施例30〕pDC6/hOPNのCHO細胞への導入と、CD培地あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地を用いた、HT不含培地におけるセレクション
2.5μgのpDC6/hOPNをリポフェクチン法(Lipofectamine(登録商標) LTX, Invitrogenを使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の4,000,000個のCHO細胞(CHO DG44 cell)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。遺伝子導入48時間後、細胞数を計測した後、細胞を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO CD w/H (IS Japan)にて希釈した。96ウェルマイクロタイタープレート中に4000 cells/wellの濃度で5枚(480ウェル)播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、生存した細胞が見られた(HT不含培地生育セルライン)。
増殖の見られた細胞をすべてにおいて、Westernblottingにより発現の確認を行った。Westernblottingにおいて発光が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO CD w/H (IS Japan)とともに24ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO CD w/H (IS Japan)とともに6ウェルプレートに移し、細胞が各ウェルの1/3以上を占めるまで培養した。さらに増殖が見られた株を4mM Gluta MAX(登録商標)-I (Invitrogen)を含むIS CHO CD w/H (IS Japan)とともにT75Flask(BD)に移し、細胞が各ウェルの1.0x106 cells/mL以上を占めるまで培養した。
各株15 mLを15 mLチューブに取り、1,100rpm、7分間遠心した。上清を捨て、細胞を15 mLの新しい培地(4 mM Gluta MAX(登録商標)-I ((Invitrogen)を含むIS CHO CD w/H (IS Japan))に懸濁し、細胞数を計測した後、細胞数を5 x 105 cells/mLになるように培地で希釈後、7.5 mLを新しいT75Flaskに移し、5%炭酸ガス存在下で37℃、14日間培養した。培養3、7、14日に培養液を1 mL ずつ採取し、9300g、2分間の遠心後に上清を回収した。産生量を測定した。
〔実施例31〕pDC6/hOPN形質導入セルラインによるhOPNの産生量の測定
産生量の検定はELISA Kit (Human Osteopontin Assay Kit, Code 27158, IBL) にて実施した。抗体プレート (抗Human OPN (O-17) Rabbit IgG A.P.固相)に対し、3、7、14日間培養上清(1/10-1/8,000希釈)、組換えヒトOPN標準品(Recombinant human OPN)の希釈用緩衝液 (1 % BSA, 0.05 % Tween-20 含有PBS)による2倍希釈系列(5〜320 ng/mL)をそれぞれ100μLずつアプライし、37℃で1時間インキュベートした。さらに標識抗体 (HRP 標識抗Human OPN (10A16) Mouse IgG MoAb Fab A.P.)と4℃、1時間インキュベートした。TMB 基質液を100μL/wellずつアプライし、25℃で30分間反応させた後、停止液 (1N H2SO4)を100μL/wellずつ入れて反応を停止させた。タンパク質濃度の測定はマイクロプレートリーダー(Model680, BioRad社製)を用いて、マイクロプレートリーダーで波長655nmを対照として波長450nmの吸光度を測定した。ライン32では1.12±0.07 μg/mL/3days, 7.40±0.24 μg/mL/7days, 13.75±0.03 μg/mL/14daysを示した。続いて培養上清中のhOPNのWesternblottingを行い、タンパク質の発現を確認した。
〔実施例32〕pDC6/hOPN形質導入細胞培養上清のウエスタンブロッティング
上記実施例31において採取したライン32の3、7、14日間培養上清をウエスタンブロッティングにて解析した。培養上清10μLそれぞれに、5%の2-メルカプトエタノール(wako)を含むLaemmli Sample Buffer(BIO-RAD)10μLを混合して98度で5分間加熱(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL、TaKaRa BIOMEDICALS)して還元した。泳動層(DPE-1020、DAIICHI PURE CHEMICALS CO., LTD)に泳動緩衝液(Tris/Glycine/SDS、BIO-RAD)とSuper Sep(登録商標) 10〜20% 17well(Wako, )をセットし、加熱処理したサンプル溶液と標準品をSuper(登録商標)10〜20% 17well(Wako)に20μL添加し、40mAで55分間電気泳動を行った(電源装置:MyRun、COSMO BIO CO., LTDを使用)。その後、ゲルをガラス板から外して転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に5分間振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸した。Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)をそれぞれ8mLのメタノール(Wako)で15秒、8 mLのMilliQ水(MILLIPORE)で2分間、8 mLの転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で5分間の順に振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら浸して活性化させた。転写装置(TRANS-BLO、 SD SEMI-DRY TRANSFER CELL、BIO-RAD)に転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)、活性化させたImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)、転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))に浸した泳動後のゲル及び転写緩衝液(メタノール(Wako)を30%含んだTris/Glycin Buffer(BIO-RAD))で浸したろ紙(Extra Thick Blot Paper Criterion(登録商標) Size、BIO-RAD)をマイナス側から順に敷き、カバーを被せて80mA(PowerPac HC(登録商標)、BIO-RAD)で1時間半電気泳動を行い、分離したタンパク質をImmobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)上に転写させた。転写後、Immobilon-P Transfer Membrane(MILLIPORE)を8mLのImmunoBlock(登録商標、大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部)に浸して4℃で18時間ブロッキングを行い、0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で2,000倍希釈した10mLの抗ヒトOPNマウスモノクローナル抗体 (Anti-Human Osteopontin (10A16) Mouse IgG MoAb, Cat 10011, IBL)と膜上のタンパク質を室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に0.05%Tween20(Polyoxyethylene (20) Sorbitan Mocolaurate、Wako)を含むD-PBS(Wako)で5,000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Goat anti-Mouse IgG (H+L), Cat 115-036-062, Jackson)を10mL添加して室温で振とう(ROTO-SHAKE GENIE、Scientific Industries)させながら1時間反応させた。結合しなかった抗体を除いた後に2 mLのImmobilon(登録商標) Western Chemiluminescent HRP Substrate(MILLIPORE)を添加して化学発光させ、Light-Capture ATTO Cooled CCD Camera System(ATTO)のノーマル設定で30秒間写真を撮影した。図27にウエスタンブロットで得られた像を示す。
本発明により、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損哺乳動物細胞を宿主として高レベルの外来遺伝子由来タンパク質生産を可能にする発現ベクターを提供することができる。また、哺乳動物本来の翻訳後修飾および高い生物活性を有するタンパク質を生産できる。それゆえ、バイオ医薬品等のタンパク質性有用物質の生産原価を大幅に引き下げることができる。
さらに、本発明によるタンパク質の生産方法は、ウイルスや微生物を使用しないため、安全性の高いタンパク質生産が可能である。

Claims (6)

  1. 下記(a)および(b)を含む、哺乳動物宿主細胞において外来遺伝子由来タンパク質を生産するための発現ベクター
    (a)コドンを改変した翻訳障害性ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子カセット(翻訳障害性DHFR遺伝子カセット)であって、翻訳障害性DHFR遺伝子カセットのコドンが、アラニンはGCA、アルギニンはCGA、アスパラギンはAAU、アスパラギン酸はGAU、システインはUGU、グルタミンはCAA、グルタミン酸はGAA、グリシンはGGU、ヒスチジンはCAU、ロイシンはUUA、リシンはAAA、プロリンはCCA、フェニルアラニンはUUU、セリンはUCA、トレオニンはACU、チロシンはUAU、および/又はバリンはGUAに改変されており、コドンの改変領域が、DHFR遺伝子の5'末端からDHFR遺伝子の全長の30%以上である、翻訳障害性DHFR遺伝子カセット;
    (b)写活性プロモーターと定性ポリアデニレーションシグナルの間に外来遺伝子組み込み用クローニングサイトを含む遺伝子カセット
  2. 請求項1(a)に記載の翻訳障害性DHFR遺伝子カセットが、プロモーターとして非哺乳動物細胞の遺伝子を由来とするプロモーター、又はエンハンサー部分を除去したプロモーターを使用していることを特徴とする請求項1に記載の発現ベクター。
  3. 請求項1または2に記載の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程、および該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質を生産する形質転換体の製造方法。
  4. 以下(a)〜(d)の工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質の生産方法
    (a)請求項1または2に記載の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程
    (b)該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程
    (c)該形質転換体をヒポキサンチン・チミジン不含培地で培養する工程
    (d)培養された形質転換体から外来遺伝子由来タンパク質を回収する工程
  5. 請求項(c)の工程において、Chemically Defined medium(CD培地)あるいはCD培地に非動物性の添加物を加えた培地で培養することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  6. 以下(a)〜(c)の工程を含む、外来遺伝子由来タンパク質を生産する形質転換体のスクリーニング方法
    (a)請求項1または2に記載の発現ベクターに外来遺伝子を組み込む工程
    (b)該発現ベクターによりジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子欠損宿主細胞を形質転換させる工程
    (c)該形質転換体をヒポキサンチン・チミジン不含培地で培養する工程
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