工事現場における仮設足場には、主としてビルの施工時などに用いられる枠組足場、主として住宅の施工時などに用いられる単管足場やくさび緊結式足場などがあり、また、システム支保工(「型枠支保工」ともいう。)、ローリングタワーなども仮設足場の一態様である。
このうち、枠組足場は縦柱(「建地材」ともいう。)と横桟(「横地材」ともいう。)から構成されるH形状や鳥居形状等の建枠を使用するタイプであり、また、くさび緊結式足場はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材と短尺の水平材(「つなぎ材」ともいう。また、短尺の水平材のことを特に「腕木材」ということがある。)を使用するタイプでありいずれも対面する横桟の間又は水平材(腕木材)の間に床付き布枠(「布板」ともいう。)が架け渡されて、作業床や作業員の通路などとして使用される。
また、システム支保工はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材の連結金具の間を長短2種の水平材(「つなぎ材」ともいう。同じ長さでもよい。)で水平2方向に連結することによって形成される緊結構造物であって、対面する水平材(つなぎ材)の間に床付き布枠を適宜架け渡すことで作業床や作業員の通路などとして使用することができる。なお、支柱部材、水平材、建枠等には、鋼製やアルミニウム製などの管が用いられることが多い。
ここで、支柱部材の側面に設けられる連結金具としては、支柱部材の側面に複数個設けられるコマや、支柱部材の側面に環状に設けられるフランジ等を用いることができる。そして、水平部材の端部に設けられるクサビ金具をコマやフランジなどの連結金具に取り付け、クサビで緊結することができる。
このように、これらの仮設足場には、通常、床付き布枠が架け渡されて、作業床や作業員の通路などとして使用される。
床付き布枠は、通常、長尺の主材の1本又は2本以上と、主材の長手方向の両端部に取り付けられる掴み金具と断面コの字形の梁材から構成されている。主材は水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる。長尺の主材の両端部に断面コの字形の梁材が取り付けられ、そして、長尺の主材の両端部の四隅に掴み金具がリベット等で固定されて取り付けられる。なお、床付き布枠上を歩行する際に作業員が床付き布枠上で滑るのを防止するために、床材部の上面にはエンボス加工が施されることがある。また、床材部が幅方向に撓るのを防止するため、床材部の中央部の下側に桟木が設けられることがある。
このようにして形成された床付き布枠は、対面する水平材の間又は横桟の間に架け渡されて、仮設足場の作業床や通路として使用される。このとき、仮設足場の作業床や通路の幅に応じて、床付き布枠を1枚又は2枚以上並べて架け渡すことによって、作業床又は通路が形成される。
しかしながら、床付き布枠の両端部の掴み金具を水平材又は横桟に取り付けることによって床付き布枠を架け渡すと、床付き布枠の端面間には隙間が生じる。また、床付き布枠を架け渡した後に、その隣に支柱を挟む形で、その床付き布枠と平行して別の床付き布枠を並べて架け渡すことがあるが、この場合にも並行する床付き布枠の縁面間には隙間が生じる。
このような隙間があると、作業員が仮設足場を組立若しくは解体する作業中に又は仮設足場内を移動中に、その隙間から工具や建築資材等を落下させたり、作業員がその隙間につまづいたりするおそれがある。特に、並行する床付き布枠の縁面間には大きな隙間が形成されるため、隙間が形成されることによる問題が大きい。
以下に、図面を用いて、システム支保工およびくさび緊結式足場を例にとって、床付き布枠の端面間および並行する床付き布枠の縁面間に生じる隙間について説明する。
図1は、従来例にかかるシステム支保工を示す平面図である。
このシステム支保工100は、コマ10と呼ばれる連結金具を4個、周側面に設けた支柱部材3を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材3のコマ10の間を長短2種の水平材(「つなぎ材」ともいう。)15b、15aで水平2方向に連結することによって形成される緊結構造物である。
各支柱の下端は、ジャッキベース(図示せず)によって地面上に支持されている。システム支保工100を組み立てる際には、まず、作業者が地面上に複数の支柱部材3を立設し、隣接する支柱部材3の間を短尺の水平材(「腕木材」ともいう。)15aおよび長尺の水平材15bによって、それぞれ支柱部材3に対して直角に連結する。そして、対面する短尺の水平材15aの間に床付き布枠9を架け渡す。同様にして、他の個所にも床付き布枠9を架け渡すことで、適宜必要な個所に作業床や作業員の通路などとして使用する足場を形成することができる。ここでは、対面する短尺の水平材15aの間に幅の異なる2種の床付き布枠9a、9bが1枚ずつ並べて架け渡されることによって1つの足場が形成されていて、作業床又は通路として使用される。
次に、作業者はこのようにして形成した足場(床付き布枠)に登り、既に立設されている支柱部材3の上端に別の支柱部材3を上段に連結して、この上段の支柱部材3において、隣接する支柱部材3のコマ10の間を、短尺の水平材15aおよび長尺の水平材15bによって連結する。これらの手順を繰り返すことにより、所望の高さの支保工を組み立てることができる。このようにして組み立てられた上段にも、適宜必要な個所に床付き布枠9を架け渡すことができる。なお、床付き布枠を架け渡した個所は、作業床や作業員の通路などとして使用する足場となるので、作業員の転落防止のための手摺を設けることができる。
ここでは、4つのコマ10が支柱部材3の周囲に十字状に設けられている。そして、水平材15はその両端部に端部金具17が接合されており、この端部金具17をコマ10に引っ掛けた後に、クサビ19を打ち込むことによって、コマ10に緊結される。なお、水平材15に接合されている端部金具17をコマ10に緊結するために用いるクサビ19は、水平材15の運搬時や保管時には、水平材15の端部近傍に設けられたクサビ収納孔20に差し込まれている。
しかしながら、このシステム支保工100には、床付き布枠の端面間に隙間25が形成されるだけでなく、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間には大きな隙間26が生じている。
このように、システム支保工において床付き布枠の縁面間には大きな隙間26が生じる場合があるので、その隙間を塞ぐための対策が必要となる。また、床付き布枠の端面間にも隙間25が生じる場合があるので、その隙間を塞ぐための対策が必要となる。
図2は、従来例に係るくさび緊結式足場を示す平面図である。
このくさび緊結式足場101には、6本の支柱部材3が立設されている。それぞれの支柱部材3の周側面にはコマ10(図示せず。)と呼ばれる連結金具がそれぞれ4個設けられ、これらのコマ10(図示せず。)に短尺の水平材(「腕木材」ともいう。)15aと長尺の水平材15bを水平2方向に連結し、くさび12で緊結した後、対面する短尺の水平材15aの間に、2枚の床付き布枠9が並べて架け渡されることで、1段目の足場が形成される。なお、この足場には、ブレース材(斜材)や手摺部材等の足場構成部材を、コマ10を介して取り付けることができる。
2段目の足場は、1段目の足場と同様にして形成される。1段目の足場の支柱部材3の上端に、別途用意した支柱部材3をホゾ材(図示せず。)を介して縦方向に継ぎ足した上で、1段目と同様にして、継ぎ足してなる支柱部材3のコマ10(図示せず。)に短尺の水平材15aと長尺の水平材15bを水平2方向に連結し、くさび12で緊結した後、対面する短尺の水平材15aの間に、2枚の床付き布枠9が並べて架け渡されることで、2段目の足場が形成される。これを順次繰り返すことによって、複数段のくさび緊結式足場が組み立てられる。なお、床付き布枠9を架け渡した個所は、作業床や作業員の通路などとして使用する足場となる。
このように、くさび緊結式足場において床付き布枠の縁面間には大きな隙間26が生じる場合があるので、その隙間を塞ぐための対策が必要となる。
なお、このくさび緊結式足場101においては、床付き布枠の両端部に取り付けられる断面コの字形の梁材の上面のみを幅広にすることによってひさし11を形成してなる床付き布枠9が架け渡されているので、床付き布枠9の端面間には隙間は生じない。しかしながら、このような対策を採らない場合には、床付き布枠の端面間にも隙間25が生じる場合があるので、床付き布枠の端面間の隙間を塞ぐための対策も別途必要となる。
なお、床付き布枠の端面間の隙間については、枠組足場に関してではあるが、次のとおり、その隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材が提案されている。
特許文献1には、枠組足場に関して、床付き布枠の端面間の隙間の上に設置してその隙間を塞ぐことができる隙間塞ぎ材が提案されている。この隙間塞ぎ材は、カバー材の下方にカバー材と一体に形成された断面がフック形状の板体の全体を建枠の管状の横桟(横地材)に上方から嵌め込むことによって、カバー材を床付き布枠の端面間の隙間の上に固定することが提案されている。
そして、特許文献2には、カバー材の下方にフック形状を有する板状の掴み金具本体をカバー材とは直角に溶接接合し、この掴み金具本体を枠組足場の作業床支え材(管状の横桟)に嵌め込むことによって、カバー材を足場作業床(床付き布枠)の端面間の隙間の上に固定することが提案されている。この際、掴み金具本体に取付けフック(落下錠)を設けることによって、この落下錠が枠組足場の作業床支え材(管状の横桟)から外れることを防止することも提案されている。
しかしながら、特許文献1および2に記載の隙間塞ぎ材は、カバー材の下方にカバー材と一体に形成されたフック又は溶接接合された掴み金具本体を備え、このフック又は掴み金具本体を、枠組足場の建枠の横桟に嵌め込むことによって、カバー材を床付き布枠の端面間に固定しようとするものである。
したがって、いずれの隙間塞ぎ材も枠組足場で使用するものであって、システム支保工やくさび緊結式足場において使用する隙間塞ぎ材については記載されていない。また、いずれの隙間塞ぎ材も枠組足場における床付き布枠の端面間の隙間を塞ぐためのものに過ぎず、床付き布枠の縁面間の隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材については記載されていない。
加えて、上記の隙間塞ぎ材は、フック又は掴み金具本体がカバー材に対して直角に設けられているが、隙間塞ぎ材は嵩張るので、積み重ね性が悪く、保管時および輸送時に場所をとるという問題がある。
特に、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間を塞ぐことのできる隙間塞ぎ材については、全く触れられていない。
本発明は、このような状況に鑑み、システム支保工やくさび緊結式足場において用いることができる隙間塞ぎ材であって、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間をも塞ぐことができ、かつ保管時および運搬時の積み重ね性がよい隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題点を解決するために種々の検討を重ねた。その結果、次の(a)〜(j)に示す知見を得た。
(a) 仮設足場の床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材は、床付き布枠の隙間の上にカバー材を安定的に固定できるとともに、下方から風が吹き上げた場合であっても床付き布枠からカバー材が大きく浮き上がることがないものがよい。特に、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間には大きな隙間が形成されるので、その隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材はより堅固なものとする必要がある。
そのためには、カバー材の下方に、仮設足場を構成する部材のうち、水平に設けられる部材を掴むことのできる掴み金具本体をカバー材に対して直角に備えるのがよい。この際、一旦掴んだその部材から掴み金具本体が外れることのないように、落下錠を掴み金具本体に備えるのが好ましい。
なお、床付き布枠の縁面間または端面間に形成される一つの隙間に対して、一枚の隙間塞ぎ材でもって塞いでもよいが、2枚以上の隙間塞ぎ材を連接して塞いでもよい。
(b) 仮設足場を構成する部材のうち、水平に設けられる部材としては、システム支保工やくさび緊結式足場のように、コマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を用いる仮設足場の場合には、コマ等の連結金具の間を連結する水平材(つなぎ材)が支柱部材間に設置されている。
すなわち、システム支保工においては、支柱部材のコマ等の連結金具の間を長短2種の水平材(同じ長さの水平材でもよい。)で水平2方向に連結するから、床付き布枠の端面間に形成される隙間だけでなく、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される隙間にも水平材が位置する。また、くさび緊結式足場においては、支柱部材と水平材(腕木材)からなる枠組を形成し、対面する水平材(腕木材)の間に床付き布枠を架け渡して仮設足場を形成するから、床付き布枠の端面間の隙間には水平材(腕木材)が位置する。
したがって、カバー材の下方に備える掴み金具本体をこれらの水平材に掴ませることができるので、カバー材と掴み金具本体からなる隙間塞ぎ材をこれらの隙間の上に固定することができることに思い至った。
なお、通常、くさび緊結式足場には長い方の支柱部材間に水平材が設けられていないので、くさび緊結式足場において、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材を設置する際には、予め長い方の支柱部材間にも水平材を設けておけばよい。
(c) しかしながら、隙間塞ぎ材のカバー材の下方に掴み金具本体を備えると、その分、嵩張ることになるので、隙間塞ぎ材の保管時および運搬時の積み重ね性が悪くなるという問題がある。
(d) 本発明者等は、隙間塞ぎ材の保管時および運搬時の積み重ね性を改善するためには、隙間塞ぎ材のカバー材の下方に備える掴み金具本体を回転可能にして、保管時および運搬時には折り畳んでおけば積み重ね性が改善されることを着想した。
すなわち、掴み金具本体自体は薄肉であるので、隙間塞ぎ材の保管時および運搬時には、掴み金具本体をカバー材の側に回転させて折り畳み、カバー材に平行に密着させて収納することで、積み重ね性を改善することができる。一方、隙間塞ぎ材の使用時には、掴み金具本体をカバー材に対して直角にし、この掴み金具本体を支柱部材間に設けられた水平材に掴ませることによって、隙間塞ぎ材のカバー材を隙間の上に固定することができる。この際、この掴み金具本体に落下錠を設ければ、隙間塞ぎ材の使用時には一旦掴んだその水平材から掴み金具本体が外れることを防止することができる。落下錠自体も薄肉であるので、掴み金具本体とともにカバー材の側に回転させて折り畳み、カバー材に平行に密着させて収納することができるから、積み重ね性を改善することができる。
なお、掴み金具本体は1枚のカバー材につき1個設ければよいが、掴み金具本体を2個以上設けてもよい。掴み金具本体を2個以上設ければ、その分、水平材を強固に掴むことができるから、隙間塞ぎ材は隙間の上により安定的に固定することができる。
(e) 隙間塞ぎ材のカバー材の下方に、掴み金具本体を回転可能に設けるためには、カバー材の下方に芯金を水平に設け、この芯金に掴み金具本体を取り付けて、掴み金具本体をこの芯金を軸として、回転できる構造とするのがよい。その回転角度としては、カバー材に対して、少なくとも角度0〜90゜の間で回転できればよい。このとき、芯金が掴み金具本体とともに回転してもよいし、芯金は回転せずに掴み金具本体だけが回転してもよい。また、掴み金具本体はカバー材に対して垂直(角度90゜)あるいは水平(角度0゜)に固定できるようにしてもよい。
芯金が掴み金具本体とともに回転する場合を例にとって、その具体的な構成を考えてみると、芯金に掴み金具本体を溶接等で接合し、そして、芯金を回転可能な状態で、カバー材の下方に取り付ければよい。なお、芯金と掴み金具本体とを溶接等で接合する代わりに、予め一体に形成してもよい。
次に、掴み金具本体を接合した芯金を回転可能な状態で、カバー材に対して取り付けるには、例えば、カバー材の下方に、芯金を水平方向に通すことのできる芯金挿し通し孔が穿たれた芯金取付材を少なくとも2個取り付けて、これらの芯金挿し通し孔に掴み金具本体を接合した芯金を挿し通せば、掴み金具本体を接合した芯金をカバー材に対して、長さ方向に移動自在かつ回転自在に取り付けることができる。芯金取付材をカバー材に固定する手段は、格別に限定するものではなく、たとえば、リベットを用いることができる。
(f) 隙間塞ぎ材の使用時に、掴み金具本体は自重によりあるいは手動によりカバー材に対して垂直となるので、支柱部材間に設置されている水平材を容易に掴むことができるし、この掴み金具本体に落下錠を設ければ、一旦掴んだその水平材から掴み金具本体が外れることを防止することができる。
なお、隙間塞ぎ材の使用時に、特に掴み金具本体をカバー材に対して垂直の状態で固定したい場合には、芯金取付材に下向きの切り欠き部を設け、この切り欠き部に直交する形で掴み金具本体の上辺の一部を嵌合させればよい。また、掴み金具本体を芯金に対して上下方向に遊びを持たせたいときは、芯金取付材の芯金挿し通し孔を縦方向に長い長孔とすればよい。長孔の形状としては、たとえば、長円形または長方形を用いることができる。
掴み金具本体は芯金の長さ方向に対して移動自在であるが、掴み金具本体は芯金の長さ方向に固定することができる。たとえば、掴み金具本体の位置を一方の芯金取付材に寄せて固定したいときは、バネを設けて、その付勢力を利用して掴み金具本体の位置を固定することができる。バネの付勢力を利用するためには、たとえば、他方の芯金取付材と掴み金具本体の間の芯金の外周にコイルバネを設けて、そのバネの付勢力を利用して掴み金具本体の位置を、一方の芯金取付材に寄せて固定することができる。
なお、隙間塞ぎ材の使用時に、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材上を踏むと、その踏み込み角度によってはカバー材が水平方向に滑って移動する場合が考えられる。これは、芯金取付材と掴み金具本体との間に芯金の長さ方向の遊びがあるからである。この芯金取付材と掴み金具本体との間の芯金の長さ方向の遊びをなくすためには、掴み金具本体に上向きの凸部を設け、この凸部を芯金取付材と直交させればよい。
(g) 隙間塞ぎ材の保管時および運搬時には、隙間塞ぎ材の掴み金具本体をカバー材の側に折り畳んだ状態のままとすることができるのが好ましい。そのためには、たとえば、芯金取付材の下端を芯金長さの中心方向へ折り曲げることによって、芯金取付材の下端に「返し」を設けておけばよい。隙間塞ぎ材の掴み金具本体をカバー材の側に折り畳んだときに、バネの付勢力によって掴み金具本体が芯金取付材の下端の返しに引っかかるので、折り畳んだ状態のままとすることができる。あるいは、芯金取付材の下端に芯金長さの中心方向の突起を溶着やプレス等で形成しておくと、隙間塞ぎ材の掴み金具本体をカバー材の側に折り畳んだときに、同様に、掴み金具本体が芯金取付材の下端の突起に引っかかるので、折り畳んだ状態のままとすることができる。
(h) 上述の通り、掴み金具本体に落下錠を設ければ、一旦掴んだ水平材から掴み金具本体が外れることを防止することができる。掴み金具本体に落下錠を設けた場合、掴み金具本体を上方から水平材に掴ませるという作業をするだけで、落下錠はその自重により水平材の下方に回り込んで施錠がなされる。しかしながら、落下錠を解除する場合には、落下錠を上方に持ち上げて、水平材から掴み金具本体を外すという作業が必要となる。
隙間塞ぎ材の役目を終えた後は、隙間塞ぎ材を床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間から外すことになるが、このとき、作業員は作業足場の上から、すなわち、隙間塞ぎ材の上方から、この解錠作業をすることができることが好ましい。
このためには、隙間塞ぎ材のカバー材に開口部を設け、この開口部から作業員が解錠作業をできるようにすればよい。なお、落下錠の最上部には「返し」を形成しておけば、作業員の手の指に掛かりやすいので、解錠作業がさらに容易になる。
(i) 次に、隙間塞ぎ材のカバー材に関しては、システム支保工やくさび緊結式足場においては支柱部材が用いられるから、矩形のカバー材でもって床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間をあまねく塞ごうとすると、支柱部材の回りに隙間が一部残ることになる。
これを避けるためには、矩形のカバー材の端面の一方または両方に、支柱部材の形状に合わせて外向きの切り欠き部を形成しておけばよい。この切り欠き部に支柱部材を当て嵌めれば、支柱部材の回りに隙間が一部残ることはなくなるからである。
ここで、床付き布枠の縁面間または端面間に形成される一つの隙間に対して、一枚の隙間塞ぎ材でもって塞いでもよいが、2枚または3枚以上の隙間塞ぎ材を連接して塞いでもよい。同じカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよいが、異なるカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよい。
なお、このように外向きの切り欠き部を端面に形成したカバー材を2枚または3枚以上連接して一つの隙間を塞ぐ場合には、その連接部にこの切り欠き部によって開口部が形成されることになる。これを避けるためには、外向きの切り欠き部を端面に形成したカバー材を用いるときは、切り欠き部に支柱部材を当て嵌めない場合に開口部が形成されないように、切り欠き部を形成したカバー材の端面の一方または両方に端面切り欠き部隠し板を適宜に設けるのが好ましい。
たとえば、支柱部材の側に形成された外向きの切り欠き部には支柱部材が当て嵌まるので、2枚の隙間塞ぎ材を連接して塞ぐ際には、外向きの切り欠き部を端面に形成したカバー材の端面の少なくとも一方に端面切り欠き部隠し板を設けるだけで、連接部に開口部が形成されるのを防止することができる。これに対して、3枚の隙間塞ぎ材を連接して塞ぐ際には、そのうちの中央部に設置される1枚は、外向きの切り欠き部を端面に形成したカバー材の端面の両方に端面切り欠き部隠し板を設けて初めて、連接部に開口部が形成されるのを防止することができる。
端面切り欠き部隠し板は、蝶番またはスライド形式でカバー材に固定するのがよい。蝶番で固定するときは、風が吹き上げても浮き上がることのないように、バネで下方に付勢しておくのがよい。
(j) 隙間塞ぎ材の上を歩行する際に作業員がカバー材上で滑るのを防止するために、隙間塞ぎ材のカバー材の上面にはエンボス加工を施すのが好ましい。あるいは、滑り止めテープを貼り付けても良い。
また、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材上を踏むときにカバー材が撓ることを防止するために、カバー材の下方に撓み防止材を取り付けてもよい。この撓み防止材の下には、水平材が設けられているので、カバー材が撓ることを防止することができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであって、その要旨は下記の(1)〜(11)の隙間塞ぎ材および下記(12)のこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場にある。以下、総称して、本発明という。
(1) 仮設足場の床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材であって、カバー材と、そのカバー材の下方に芯金を介して取り付けられた掴み金具本体からなり、その掴み金具本体はカバー材に対して回転可能に設けられていることを特徴とする隙間塞ぎ材。
(2) 掴み金具本体が落下錠を備えることを特徴とする、上記(1)の隙間塞ぎ材。
(3) 芯金は芯金挿し通し孔の穿たれた芯金取付材によってカバー材に取り付けられていることを特徴とする、上記(1)または(2)の隙間塞ぎ材。
(4) 芯金は芯金挿し通し孔の穿たれた芯金取付材によってカバー材に対して、長さ方向に移動自在かつ回転自在に取り付けられていることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの隙間塞ぎ材。
(5) 芯金挿し通し孔の穿たれた芯金取付材が下向きの切り欠き部を有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかの隙間塞ぎ材。
(6) 芯金挿し通し孔の穿たれた芯金取付材が上向きの凸部を有することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかの隙間塞ぎ材。
(7) 芯金取付材に穿たれた芯金挿し通し孔の少なくとも一つは長孔であることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかの隙間塞ぎ材。
(8) 芯金の外周の一部にコイルバネが設けられていることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかの隙間塞ぎ材。
(9) カバー材の表面に開口部を有することを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかの隙間塞ぎ材。
(10) カバー材の端面に外向きの切り欠きを有することを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれかの隙間塞ぎ材。
(11) カバー材の端面の外向きの切り欠きを隠すことができる切り欠き端面隠し板が設けられていることを特徴とする、上記(10)の隙間塞ぎ材。
(12) 上記(1)〜(11)のいずれかの隙間塞ぎ材を備えることを特徴とする仮設足場。
本発明によれば、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間をも塞ぐことができ、かつ保管時および運搬時の積み重ね性がよい隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場を提供する。
以下、本発明の実施の形態に係る隙間塞ぎ材および仮設足場について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
図3は、本発明に係る隙間塞ぎ材の一例である。(a)が平面図、(b)がA−A矢視断面図(側面図)、(c)がB−B矢視断面図(側面図)、そして、(d)が使用時におけるB−B矢視断面図(側面図)である。
図4は、図3に示す隙間塞ぎ材の使用時における掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が正面図、(b)がC−C矢視断面図(側面図)、(c)がD−D矢視断面図(側面図)、そして、(d)がE−E矢視断面図(側面図)である。
図5は、図3に示す隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を示す。(a)が折り畳み直前の正面図、(b)が折り畳み直後の正面図、そして、(c)が折り畳み直後のC−C矢視断面図(側面図)である。 この隙間塞ぎ材30の平面形状は図3(a)に示すとおりであり、910mmの長さを有する。したがって、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間を塞ぐことができる。この隙間塞ぎ材30は、カバー材31と、そのカバー材31の中央部の下方に芯金43を介して取り付けられた、カバー材31に対して回転可能な掴み金具本体41からなる。このカバー材31は、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間をも塞ぐことができるように、広幅(幅:560mm)に形成されている。
このカバー材31の断面形状は図3(b)および(c)に示すとおりである。そして、隙間塞ぎ材の使用時には、図3(d)に示すとおり、カバー材31が床付き布枠の縁面間に形成される隙間26の上に水平に設置される。このとき、カバー材31の中央部が仮設足場を構成する水平材15の真上に位置し、カバー材31の両縁部が、それぞれ、支柱を挟む形で並行する床付き布枠9の縁部の上に位置し、そして、カバー材31の中央部の下方に取り付けられた掴み金具本体41は、自重によりカバー材31に対して角度90゜(垂直)に垂れ下がる。なお、ここでは、カバー材31の中央部の下方に山形鋼からなる撓み防止材59がリベット36によって取り付けられており、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材31の上面を踏んでも、カバー材31は撓み防止材59の下方に位置する水平材15に当たるので、カバー材31が撓ることを防止することができる。
そして、カバー材31の中央部の下方に設けられる芯金43には、落下錠42を備えた掴み金具本体41が溶接によって接合されている。図3(c)にみるように、カバー材31の下方には、リベット36によって芯金取付材46が左右2個取り付けられている。そして、図4に示されるように、第1の芯金取付材46aと第2の芯金取付材46bには、それぞれ、第1の芯金挿し通し孔45aと第2の芯金挿し通し孔45bが穿たれており、芯金43はこれらの左右の2つの芯金取付材46a、46bの両方の芯金挿し通し孔45a、45bを水平方向に挿し通されている。
したがって、芯金43はカバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となるので、芯金43に接合された掴み金具本体41と、掴み金具本体41に備えられた落下錠42もまた、カバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となる。
このように、掴み金具本体41は芯金43の長さ方向に対して移動自在であるが、芯金43の長さ方向に対して固定したいときは、たとえば、バネ材を設けて、その付勢力を利用して掴み金具本体の位置を固定することができる。ここでは、第1の芯金取付材46aと掴み金具本体41の間の芯金43の外周には、コイルバネ44が設けられており、このコイルバネ44の右方向への付勢力を利用して掴み金具本体41の位置を、第2の芯金取付材46bに寄せて固定している。
なお、芯金43が左方向に移動したときに、第1の芯金取付材46aに隣接するバネ材44がそれ以上の芯金43の移動を阻止するので、芯金43の長さを芯金43の先端が第2の芯金取付材46bから外れないだけの長さに設定すれば、芯金43が芯金取付材46から外れることはない。
次に、隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を説明する。図5(a)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に少し横移動させた後、図5(b)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に回転させて、カバー材31に対して角度0゜(水平)にまで折り畳む。カバー材31の中央部の下方に取り付けられた回転可能な掴み金具本体41は薄肉であるので、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているが、図5(b)および(c)に示すとおり、落下錠42は掴み金具本体41と同様に薄肉であるので、落下錠42を掴み金具本体41とともにカバー材31の側に回転させて折り畳み、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。
また、ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているので、一旦掴んだ水平材15から外れることを防止することができる。この場合、掴み金具本体41を上方から水平材15に掴ませるという作業をするだけで、落下錠42はその自重により水平材15の下方に回り込んで施錠がなされる。しかしながら、落下錠42を解除する場合には、落下錠のリベット42bを外してから落下錠42を上方に持ち上げて、水平材15から掴み金具本体を外すという作業が必要となる。
このため、カバー材31に開口部53を設け、この開口部53から作業員が解錠作業をできるようにしている。ここでは、落下錠の最上部には返し42aが形成されているので、落下錠42を上方に持ち上げる際に作業員の手の指に掛かりやすいので、解錠作業がさらに容易になる。
さらに、ここでは、カバー31の両端面に外向きの切り欠き部55が形成されている。これは、この外向きの切り欠き部55に支柱部材を位置させることによって、隙間をあまねく塞ぐためのものである。
以上は、長さ910mmの隙間塞ぎ材30の1枚により、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐ場合について説明してきた。しかしながら、床付き布枠の縁面間に形成される一つの隙間に対して、2枚または3枚以上の隙間塞ぎ材を連接して塞いでもよい。同じカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよいが、異なるカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよい。
たとえば、長さ1829mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐためには、長さ910mmの隙間塞ぎ材の2枚を連接してもよいし、長さ606mmの隙間塞ぎ材の3枚を連接してもよい。あるいは、長さ1215mmの隙間塞ぎ材の1枚と長さ606mmの隙間塞ぎ材の1枚を連接してもよい。
図6は、図3に示す隙間塞ぎ材の2枚を連接してくさび緊結式足場に使用したときの一例である(平面図)。
長さ910mmの隙間塞ぎ材の2枚を連接して、支柱部材3を挟む形で、長さ1829mmの床付き布枠9の縁面間に形成される隙間を塞ぐことができることが分かる。なお、外向きの切り欠き部55を端面に形成したカバー材31を2枚連接して一つの隙間を塞ぐ場合には、この外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることになる。これを避けるためには、ここでは、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定している。
図7に、隙間塞ぎ材の2枚を連接してくさび緊結式足場に使用したときの連接部の拡大図を示す。
このうち、図7(a)は図6の中央部の連接部拡大図であり、端面切り欠き部隠し板57を設けた例であり、その連接部に開口部が形成されないことが分かる。これに対して、図7(b)は端面切り欠き部隠し板を設けない例であり、その連接部に開口部56が形成されることが分かる。
なお、この隙間塞ぎ材は床付き布枠の端面間に形成される隙間を塞ぐ場合にも用いることができることは言うまでもない。
図8は、本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。(a)が平面図、(b)がA−A矢視断面図(側面図)、(c)がB−B矢視断面図(側面図)、そして、(d)が使用時におけるB−B矢視断面図(側面図)である。
図9は、図8に示す隙間塞ぎ材の使用時における掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が正面図、(b)がC−C矢視断面図(側面図)、(c)がD−D矢視断面図(側面図)、そして、(d)がE−E矢視断面図(側面図)である。
図10は、図8に示す隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を示す掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が折り畳み直前の正面図、(b)が折り畳み直後の正面図、そして、(c)が折り畳み直後のC−C矢視断面図(側面図)である。
この隙間塞ぎ材30の平面形状は図8(a)に示すとおりであり、910mmの長さを有する。したがって、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間を塞ぐことができる。この隙間塞ぎ材30は、カバー材31と、そのカバー材31の中央部の下方に芯金43を介して取り付けられた、カバー材31に対して回転可能な掴み金具本体41からなる。このカバー材31は、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間をも塞ぐことができるように、広幅(幅:560mm)に形成されている。
このカバー材31の断面形状は図8(b)および(c)に示すとおりである。そして、隙間塞ぎ材の使用時には、図8(d)に示すとおり、カバー材31が床付き布枠の縁面間に形成される隙間26の上に水平に設置される。このとき、カバー材31の中央部が仮設足場を構成する水平材15の真上に位置し、カバー材31の両縁部が、それぞれ、支柱を挟む形で並行する床付き布枠9の縁部の上に位置し、そして、カバー材31の中央部の下方に取り付けられた掴み金具本体41は、自重によりカバー材31に対して角度90゜(垂直)に垂れ下がる。なお、ここでは、カバー材31の中央部の下方に山形鋼からなる撓み防止材59がリベット36によって取り付けられており、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材31の上面を踏んでも、カバー材31は撓み防止材59の下方に位置する水平材15に当たるので、カバー材31が撓ることを防止することができる。
そして、カバー材31の中央部の下方に設けられる芯金43には、落下錠42を備えた掴み金具本体41が溶接によって接合されている。図8(c)にみるように、カバー材31の下方には、リベット36によって芯金取付材46が左右2個取り付けられている。そして、図9に示されるように、第1の芯金取付材46aと第2の芯金取付材46bには、それぞれ、第1の芯金挿し通し孔45aと第2の芯金挿し通し孔45bが穿たれており、芯金43はこれらの左右の2つの芯金取付材46a、46bの両方の芯金挿し通し孔45a、45bを水平方向に挿し通されている。
したがって、芯金43はカバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となるので、芯金43に接合された掴み金具本体41と、掴み金具本体41に備えられた落下錠42もまた、カバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となる。 このように、掴み金具本体41は芯金43の長さ方向に対して移動自在であるが、芯金43の長さ方向に対して固定したいときは、たとえば、バネ材を設けて、その付勢力を利用して掴み金具本体の位置を固定することができる。ここでは、第1の芯金取付材46aと掴み金具本体41の間の芯金43の外周には、コイルバネ44が設けられており、このコイルバネ44の右方向への付勢力を利用して掴み金具本体41の位置を、第2の芯金取付材46bに寄せて固定している。
なお、芯金43が左方向に移動したときに、第1の芯金取付材46aに隣接するバネ材44がそれ以上の芯金43の移動を阻止するので、芯金43の長さを芯金43の先端が第2の芯金取付材46bから外れないだけの長さに設定すれば、芯金43が芯金取付材46から外れることはない。
次に、隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を説明する。図10(a)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に少し横移動させた後、図10(b)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に回転させて、カバー材31に対して角度0゜(水平)にまで折り畳む。カバー材31の中央部の下方に取り付けられた回転可能な掴み金具本体41は薄肉であるので、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているが、図10(b)および(c)に示すとおり、落下錠42は掴み金具本体41と同様に薄肉であるので、落下錠42を掴み金具本体41とともにカバー材31の側に回転させて折り畳み、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。
なお、隙間塞ぎ材の使用時に、掴み金具本体41をカバー材31に対して垂直の状態で固定しておくことができる。ここでは、第2の芯金取付材46bに下向きの切り欠き部50を設け、この下向きの切り欠き部50に直交する形で掴み金具本体41の上辺の一部を嵌合させている。
また、ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているので、一旦掴んだ水平材15から外れることを防止することができる。この場合、掴み金具本体41を上方から水平材15に掴ませるという作業をするだけで、落下錠42はその自重により水平材15の下方に回り込んで施錠がなされる。しかしながら、落下錠42を解除する場合には、落下錠のリベット42bを外してから落下錠42を上方に持ち上げて、水平材15から掴み金具本体を外すという作業が必要となる。
このため、カバー材31に開口部53を設け、この開口部53から作業員が解錠作業をできるようにしている。ここでは、落下錠の最上部には返し42aが形成されているので、落下錠42を上方に持ち上げる際に作業員の手の指に掛かりやすいので、解錠作業がさらに容易になる。
さらに、ここでは、カバー31の両端面に外向きの切り欠き部55が形成されている。これは、この外向きの切り欠き部55に支柱部材を位置させることによって、隙間をあまねく塞ぐためのものである。
以上は、長さ910mmの隙間塞ぎ材30の1枚により、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐ場合について説明してきた。しかしながら、床付き布枠の縁面間に形成される一つの隙間に対して、2枚または3枚以上の隙間塞ぎ材を連接して塞いでもよい。同じカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよいが、異なるカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよい。
たとえば、長さ1829mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐためには、長さ910mmの隙間塞ぎ材の2枚を連接してもよいし、長さ606mmの隙間塞ぎ材の3枚を連接してもよい。あるいは、長さ1215mmの隙間塞ぎ材の1枚と長さ606mmの隙間塞ぎ材の1枚を連接してもよい。
ただし、外向きの切り欠き部55を端面に形成したカバー材31を2枚連接して一つの隙間を塞ぐ場合には、この外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることになる。これを避けるためには、ここでは、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部56が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定している。 図8に示す隙間塞ぎ材の2枚を連接してくさび緊結式足場に使用したときの態様は、実施例1の図6と同様であり、床付き布枠9の縁面間に形成される隙間を塞ぐことができる。また、外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることを避けるために、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定することができる。端面切り欠き部隠し板の設置の有無によって、連接部における開口部の形成が左右されることは、実施例1の図7と同様である。
なお、この隙間塞ぎ材は床付き布枠の端面間に形成される隙間を塞ぐ場合にも用いることができることは言うまでもない。
図11は、本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。(a)が平面図、(b)がA−A矢視断面図(側面図)、(c)がB−B矢視断面図(側面図)、そして、(d)が使用時におけるB−B矢視断面図(側面図)である。
図12は、図11に示す隙間塞ぎ材の使用時における掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が正面図、(b)がC−C矢視断面図(側面図)、(c)がD−D矢視断面図(側面図)、そして、(d)がE−E矢視断面図(側面図)である。
図13は、図11に示す隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を示す掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が折り畳み操作の初期段階の正面図、(b)が折り畳み直前の正面図、(c)が折り畳み直後の正面図、そして、(d)が折り畳み直後のC−C矢視断面図(側面図)である。
この隙間塞ぎ材30の平面形状は図11(a)に示すとおりであり、910mmの長さを有する。したがって、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間を塞ぐことができる。この隙間塞ぎ材30は、カバー材31と、そのカバー材31の中央部の下方に芯金43を介して取り付けられた、カバー材31に対して回転可能な掴み金具本体41からなる。このカバー材31は、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間をも塞ぐことができるように、広幅(幅:560mm)に形成されている。
このカバー材31の断面形状は図11(b)および(c)に示すとおりである。そして、隙間塞ぎ材の使用時には、図11(d)に示すとおり、カバー材31が床付き布枠の縁面間に形成される隙間26の上に水平に設置される。このとき、カバー材31の中央部が仮設足場を構成する水平材15の真上に位置し、カバー材31の両縁部が、それぞれ、支柱を挟む形で並行する床付き布枠9の縁部の上に位置し、そして、カバー材31の中央部の下方に取り付けられた掴み金具本体41は、自重によりカバー材31に対して角度90゜(垂直)に垂れ下がる。なお、ここでは、カバー材31の中央部の下方に山形鋼からなる撓み防止材59がリベット36によって取り付けられており、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材31の上面を踏んでも、カバー材31は撓み防止材59の下方に位置する水平材15に当たるので、カバー材31が撓ることを防止することができる。
そして、カバー材31の中央部の下方に設けられる芯金43には、落下錠42を備えた掴み金具本体41が溶接によって接合されている。図11(c)にみるように、カバー材31の下方には、リベット36によって芯金取付材46が左右2個取り付けられている。そして、図12に示されるように、第1の芯金取付材46aと第2の芯金取付材46bには、それぞれ、第1の芯金挿し通し孔45aと第2の芯金挿し通し孔45bが穿たれており、芯金43はこれらの左右の2つの芯金取付材46a、46bの両方の芯金挿し通し孔45a、45bを水平方向に挿し通されている。
したがって、芯金43はカバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となるので、芯金43に接合された掴み金具本体41と、掴み金具本体41に備えられた落下錠42もまた、カバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となる。 このように、掴み金具本体41は芯金43の長さ方向に対して移動自在であるが、芯金43の長さ方向に対して固定したいときは、たとえば、バネ材を設けて、その付勢力を利用して掴み金具本体の位置を固定することができる。ここでは、第1の芯金取付材46aと掴み金具本体41の間の芯金43の外周には、コイルバネ44が設けられており、このコイルバネ44の右方向への付勢力を利用して掴み金具本体41の位置を、第2の芯金取付材46bに寄せて固定している。
なお、芯金43が左方向に移動したときに、第1の芯金取付材46aに隣接するバネ材44がそれ以上の芯金43の移動を阻止するので、芯金43の長さを芯金43の先端が第2の芯金取付材46bから外れないだけの長さに設定すれば、芯金43が芯金取付材46から外れることはない。
また、掴み金具本体41を芯金43に対して上下方向に遊びを持たせることができる。ここでは、第2の芯金取付材46bの第2の芯金挿し通し孔45bを縦方向に長い長孔とすることによって、遊びを持たせている。
次に、隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を説明する。図13(a)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に、上記の遊びの分だけ、少し下方移動させた後、図13(b)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に少し横移動させ、その後、図13(c)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に回転させて、カバー材31に対して角度0゜(水平)にまで折り畳む。カバー材31の中央部の下方に取り付けられた回転可能な掴み金具本体41は薄肉であるので、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているが、図13(c)および(d)に示すとおり、落下錠42は掴み金具本体41と同様に薄肉であるので、落下錠42を掴み金具本体41とともにカバー材31の側に回転させて折り畳み、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。
隙間塞ぎ材の使用時に、掴み金具本体41をカバー材31に対して垂直の状態で固定しておくことができる。ここでは、第2の芯金取付材46bに下向きの切り欠き部50を設け、この下向きの切り欠き部50に直交する形で掴み金具本体41の上辺の一部を嵌合させている。
また、隙間塞ぎ材の使用時に、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材31の上面を踏むと、その踏み込み角度によってはカバー材31が水平方向に滑って移動する場合が考えられる。これは、芯金取付材46と掴み金具本体41との間に芯金43の長さ方向の遊びがあるからである。ここでは、この芯金43の長さ方向の遊びをなくすために、掴み金具本体41に上向きの凸部51を設け、この上向きの凸部51を第2の芯金取付材46bと直交させている。
また、ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているので、一旦掴んだ水平材15から外れることを防止することができる。この場合、掴み金具本体41を上方から水平材15に掴ませるという作業をするだけで、落下錠42はその自重により水平材15の下方に回り込んで施錠がなされる。しかしながら、落下錠42を解除する場合には、落下錠のリベット42bを外してから落下錠42を上方に持ち上げて、水平材15から掴み金具本体を外すという作業が必要となる。
このため、カバー材31に開口部53を設け、この開口部53から作業員が解錠作業をできるようにしている。ここでは、落下錠の最上部にはかえし42aが形成されているので、落下錠42を上方に持ち上げる際に作業員の手の指に掛かりやすいので、解錠作業がさらに容易になる。
さらに、ここでは、カバー31の両端面に外向きの切り欠き部55が形成されている。これは、この外向きの切り欠き部55に支柱部材を位置させることによって、隙間をあまねく塞ぐためのものである。
以上は、長さ910mmの隙間塞ぎ材30の1枚により、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐ場合について説明してきた。しかしながら、床付き布枠の縁面間に形成される一つの隙間に対して、2枚または3枚以上の隙間塞ぎ材を連接して塞いでもよい。同じカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよいが、異なるカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよい。
たとえば、長さ1829mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐためには、長さ910mmの隙間塞ぎ材の2枚を連接してもよいし、長さ606mmの隙間塞ぎ材の3枚を連接してもよい。あるいは、長さ1215mmの隙間塞ぎ材の1枚と長さ606mmの隙間塞ぎ材の1枚を連接してもよい。
ただし、外向きの切り欠き部55を端面に形成したカバー材31を2枚連接して一つの隙間を塞ぐ場合には、この外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることになる。これを避けるためには、ここでは、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部56が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定している。
図11に示す隙間塞ぎ材の2枚を連接してくさび緊結式足場に使用したときの態様は、実施例1の図6と同様であり、床付き布枠9の縁面間に形成される隙間を塞ぐことができる。また、外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることを避けるために、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定することができる。端面切り欠き部隠し板の設置の有無によって、連接部における開口部の形成が左右されることは、実施例1の図7と同様である。
なお、この隙間塞ぎ材は床付き布枠の端面間に形成される隙間を塞ぐ場合にも用いることができることは言うまでもない。
図14は、本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。(a)が平面図、(b)がA−A矢視断面図(側面図)、(c)がB−B矢視断面図(側面図)、そして、(d)が使用時におけるB−B矢視断面図(側面図)である。
図15は、図14に示す隙間塞ぎ材の使用時における掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が正面図、(b)がC−C矢視断面図(側面図)、(c)がD−D矢視断面図(側面図)、そして、(d)がE−E矢視断面図(側面図)である。
図16は、図14に示す隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を示す掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が折り畳み操作の初期段階の正面図、(b)が折り畳み直前の正面図、(c)が折り畳み直後の正面図、(d)が折り畳み固定後の正面図、そして、(e)が折り畳み固定後のC−C矢視断面図(側面図)である。
この隙間塞ぎ材30の平面形状は図14(a)に示すとおりであり、910mmの長さを有する。したがって、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間を塞ぐことができる。この隙間塞ぎ材30は、カバー材31と、そのカバー材31の中央部の下方に芯金43を介して取り付けられた、カバー材31に対して回転可能な掴み金具本体41からなる。このカバー材31は、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間をも塞ぐことができるように、広幅(幅:560mm)に形成されている。
このカバー材31の断面形状は図14(b)および(c)に示すとおりである。そして、隙間塞ぎ材の使用時には、図14(d)に示すとおり、カバー材31が床付き布枠の縁面間に形成される隙間26の上に水平に設置される。このとき、カバー材31の中央部が仮設足場を構成する水平材15の真上に位置し、カバー材31の両縁部が、それぞれ、支柱を挟む形で並行する床付き布枠9の縁部の上に位置し、そして、カバー材31の中央部の下方に取り付けられた掴み金具本体41は、自重によりカバー材31に対して角度90゜(垂直)に垂れ下がる。なお、ここでは、カバー材31の中央部の下方に山形鋼からなる撓み防止材59がリベット36によって取り付けられており、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材31の上面を踏んでも、カバー材31は撓み防止材59の下方に位置する水平材15に当たるので、カバー材31が撓ることを防止することができる。
そして、カバー材31の中央部の下方に設けられる芯金43には、落下錠42を備えた掴み金具本体41が溶接によって接合されている。図14(c)にみるように、カバー材31の下方には、リベット36によって芯金取付材46が左右2個取り付けられている。そして、図15に示されるように、第1の芯金取付材46aと第2の芯金取付材46bには、それぞれ、第1の芯金挿し通し孔45aと第2の芯金挿し通し孔45bが穿たれており、芯金43はこれらの左右の2つの芯金取付材46a、46bの両方の芯金挿し通し孔45a、45bを水平方向に挿し通されている。
したがって、芯金43はカバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となるので、芯金43に接合された掴み金具本体41と、掴み金具本体41に備えられた落下錠42もまた、カバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となる。
また、第2の芯金取付材46bの下端は芯金長さの中心方向へ折り曲げられていて、返し46cが設けられている。隙間塞ぎ材の掴み金具本体をカバー材の側に折り畳んだときに、バネの付勢力によって掴み金具本体11が芯金取付材の下端の返し46cに引っかかるので、掴み金具本体41をカバー材31の側に折り畳んだ状態のまま、固定することができる。
このように、掴み金具本体41は芯金43の長さ方向に対して移動自在であるが、芯金43の長さ方向に対して固定したいときは、たとえば、バネ材を設けて、その付勢力を利用して掴み金具本体の位置を固定することができる。ここでは、第1の芯金取付材46aと掴み金具本体41の間の芯金43の外周には、コイルバネ44が設けられており、このコイルバネ44の右方向への付勢力を利用して掴み金具本体41の位置を、第2の芯金取付材46bに寄せて固定している。
なお、芯金43が左方向に移動したときに、第1の芯金取付材46aに隣接するバネ材44がそれ以上の芯金43の移動を阻止するので、芯金43の長さを芯金43の先端が第2の芯金取付材46bから外れないだけの長さに設定すれば、芯金43が芯金取付材46から外れることはない。
また、掴み金具本体41を芯金43に対して上下方向に遊びを持たせることができる。ここでは、第2の芯金取付材46bの第2の芯金挿し通し孔45bを縦方向に長い長孔とすることによって、遊びを持たせている。
次に、隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を説明する。図16(a)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に、上記の遊びの分だけ、少し下方移動させた後、図13(b)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に少し横移動させ、その後、図13(c)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に回転させて、カバー材31に対して角度0゜(水平)にまで折り畳む。カバー材31の中央部の下方に取り付けられた回転可能な掴み金具本体41は薄肉であるので、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているが、図13(d)および(e)に示すとおり、落下錠42は掴み金具本体41と同様に薄肉であるので、落下錠42を掴み金具本体41とともにカバー材31の側に回転させて折り畳み、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。このとき、バネの付勢力によって掴み金具本体11が芯金取付材の下端の返し46cに引っかかるので、掴み金具本体41をカバー材31の側に折り畳んだ状態のまま、固定することができる。なお、折り畳み状態を外すには、バネの付勢力に抗して掴み金具本体41を左方に横移動させればよい。
隙間塞ぎ材の使用時に、掴み金具本体41をカバー材31に対して垂直の状態で固定しておくことができる。ここでは、第2の芯金取付材46bに下向きの切り欠き部50を設け、この下向きの切り欠き部50に直交する形で掴み金具本体41の上辺の一部を嵌合させている。
また、隙間塞ぎ材の使用時に、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材31の上面を踏むと、その踏み込み角度によってはカバー材31が水平方向に滑って移動する場合が考えられる。これは、芯金取付材46と掴み金具本体41との間に芯金43の長さ方向の遊びがあるからである。ここでは、この芯金43の長さ方向の遊びをなくすために、掴み金具本体41に上向きの凸部51を設け、この上向きの凸部51を第2の芯金取付材46bと直交させている。
また、ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているので、一旦掴んだ水平材15から外れることを防止することができる。この場合、掴み金具本体41を上方から水平材15に掴ませるという作業をするだけで、落下錠42はその自重により水平材15の下方に回り込んで施錠がなされる。しかしながら、落下錠42を解除する場合には、落下錠のリベット42bを外してから落下錠42を上方に持ち上げて、水平材15から掴み金具本体を外すという作業が必要となる。
このため、カバー材31に開口部53を設け、この開口部53から作業員が解錠作業をできるようにしている。ここでは、落下錠の最上部にはかえし42aが形成されているので、落下錠42を上方に持ち上げる際に作業員の手の指に掛かりやすいので、解錠作業がさらに容易になる。
さらに、ここでは、カバー31の両端面に外向きの切り欠き部55が形成されている。これは、この外向きの切り欠き部55に支柱部材を位置させることによって、隙間をあまねく塞ぐためのものである。
以上は、長さ910mmの隙間塞ぎ材30の1枚により、支柱間距離が914mmの仮設足場に架け渡された、長さ914mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐ場合について説明してきた。しかしながら、床付き布枠の縁面間に形成される一つの隙間に対して、2枚または3枚以上の隙間塞ぎ材を連接して塞いでもよい。同じカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよいが、異なるカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよい。
たとえば、長さ1829mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐためには、長さ910mmの隙間塞ぎ材の2枚を連接してもよいし、長さ606mmの隙間塞ぎ材の3枚を連接してもよい。あるいは、長さ1215mmの隙間塞ぎ材の1枚と長さ606mmの隙間塞ぎ材の1枚を連接してもよい。
ただし、外向きの切り欠き部55を端面に形成したカバー材31を2枚連接して一つの隙間を塞ぐ場合には、この外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることになる。これを避けるためには、ここでは、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部56が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定している。
図11に示す隙間塞ぎ材の2枚を連接してくさび緊結式足場に使用したときの態様は、実施例1の図6と同様であり、床付き布枠9の縁面間に形成される隙間を塞ぐことができる。また、外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることを避けるために、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定することができる。端面切り欠き部隠し板の設置の有無によって、連接部における開口部の形成が左右されることは、実施例1の図7と同様である。
なお、この隙間塞ぎ材は床付き布枠の端面間に形成される隙間を塞ぐ場合にも用いることができることは言うまでもない。
図17は、本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。(a)が平面図、(b)がA−A矢視断面図(側面図)、(c)がB−B矢視断面図(側面図)、そして、(d)が使用時におけるB−B矢視断面図(側面図)である。
図18は、図17に示す隙間塞ぎ材の使用時における掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が正面図、(b)がC−C矢視断面図(側面図)、(c)がD−D矢視断面図(側面図)、そして、(d)がE−E矢視断面図(側面図)である。
図19は、図17に示す隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を示す掴み金具本体周辺の拡大図である。(a)が折り畳み操作の初期段階の正面図、(b)が折り畳み直前の正面図、(c)が折り畳み直後の正面図、そして、(d)が折り畳み直後のC−C矢視断面図(側面図)である。
この隙間塞ぎ材30の平面形状は図17(a)に示すとおりであり、606mmの長さを有する。したがって、支柱間距離が610mmの仮設足場に架け渡された、長さ610mmの床付き布枠の縁面間または端面間に形成される隙間を塞ぐことができる。この隙間塞ぎ材30は、カバー材31と、そのカバー材31の中央部の下方に芯金43を介して取り付けられた、カバー材31に対して回転可能な掴み金具本体41からなる。このカバー材31は、支柱を挟む形で並行する床付き布枠の縁面間に形成される大きな隙間をも塞ぐことができるように、広幅(幅:560mm)に形成されている。
このカバー材31の断面形状は図17(b)および(c)に示すとおりである。そして、隙間塞ぎ材の使用時には、図17(d)に示すとおり、カバー材31が床付き布枠の縁面間に形成される隙間26の上に水平に設置される。このとき、カバー材31の中央部が仮設足場を構成する水平材15の真上に位置し、カバー材31の両縁部が、それぞれ、支柱を挟む形で並行する床付き布枠9の縁部の上に位置し、そして、カバー材31の中央部の下方に取り付けられた掴み金具本体41は、自重によりカバー材31に対して角度90゜(垂直)に垂れ下がる。
そして、カバー材31の中央部の下方に設けられる芯金43には、落下錠42を備えた掴み金具本体41が溶接によって接合されている。図17(c)にみるように、カバー材31の下方には、リベット36によって芯金取付材46が左右2個取り付けられている。そして、図18に示されるように、第1の芯金取付材46aと第2の芯金取付材46bには、それぞれ、第1の芯金挿し通し孔45aと第2の芯金挿し通し孔45bが穿たれており、芯金43はこれらの左右の2つの芯金取付材46a、46bの両方の芯金挿し通し孔45a、45bを水平方向に挿し通されている。
したがって、芯金43はカバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となるので、芯金43に接合された掴み金具本体41と、掴み金具本体41に備えられた落下錠42もまた、カバー材31に対して、回転自在かつ長さ方向に移動自在となる。 このように、掴み金具本体41は芯金43の長さ方向に対して移動自在であるが、芯金43の長さ方向に対して固定したいときは、たとえば、バネ材を設けて、その付勢力を利用して掴み金具本体の位置を固定することができる。ここでは、第1の芯金取付材46aと掴み金具本体41の間の芯金43の外周には、コイルバネ44が設けられており、このコイルバネ44の右方向への付勢力を利用して掴み金具本体41の位置を、第2の芯金取付材46bに寄せて固定している。
なお、芯金43が左方向に移動したときに、第1の芯金取付材46aに隣接するバネ材44がそれ以上の芯金43の移動を阻止するので、芯金43の長さを芯金43の先端が第2の芯金取付材46bから外れないだけの長さに設定すれば、芯金43が芯金取付材46から外れることはない。
また、掴み金具本体41を芯金43に対して上下方向に遊びを持たせることができる。ここせは、第2の芯金取付材46bの第2の芯金挿し通し孔45bを縦方向に長い長孔とすることによって、遊びを持たせている。
次に、隙間塞ぎ材の掴み金具の折り畳み手順を説明する。図19(a)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に、上記の遊びの分だけ、少し下方移動させた後、図19(b)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に少し横移動させ、その後、図19(c)に示すとおり、掴み金具本体41を矢印の方向に回転させて、カバー材31に対して角度0゜(水平)にまで折り畳む。カバー材31の中央部の下方に取り付けられた回転可能な掴み金具本体41は薄肉であるので、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているが、図19(c)および(d)に示すとおり、落下錠42は掴み金具本体41と同様に薄肉であるので、落下錠42を掴み金具本体41とともにカバー材31の側に回転させて折り畳み、カバー材31の中央部の下方に収納することができる。
隙間塞ぎ材の使用時に、掴み金具本体41をカバー材31に対して垂直の状態で固定しておくことができる。ここでは、第2の芯金取付材46bに下向きの切り欠き部50を設け、この下向きの切り欠き部50に直交する形で掴み金具本体41の上辺の一部を嵌合させている。
また、隙間塞ぎ材の使用時に、作業員が歩行中に隙間塞ぎ材のカバー材31の上面を踏むと、その踏み込み角度によってはカバー材31が水平方向に滑って移動する場合が考えられる。これは、芯金取付材46と掴み金具本体41との間に芯金43の長さ方向の遊びがあるからである。ここでは、この芯金43の長さ方向の遊びをなくすために、掴み金具本体41に上向きの凸部51を設け、この上向きの凸部51を第2の芯金取付材46bと直交させている。
また、ここでは、掴み金具本体41は落下錠42を備えているので、一旦掴んだ水平材15から外れることを防止することができる。この場合、掴み金具本体41を上方から水平材15に掴ませるという作業をするだけで、落下錠42はその自重により水平材15の下方に回り込んで施錠がなされる。しかしながら、落下錠42を解除する場合には、落下錠のリベット42bを外してから落下錠42を上方に持ち上げて、水平材15から掴み金具本体を外すという作業が必要となる。
このため、カバー材31に開口部53を設け、この開口部53から作業員が解錠作業をできるようにしている。ここでは、落下錠の最上部にはかえし42aが形成されているので、落下錠42を上方に持ち上げる際に作業員の手の指に掛かりやすいので、解錠作業がさらに容易になる。
さらに、ここでは、カバー31の両端面に外向きの切り欠き部55が形成されている。これは、この外向きの切り欠き部55に支柱部材を位置させることによって、隙間をあまねく塞ぐためのものである。
以上は、長さ606mmの隙間塞ぎ材30の1枚により、支柱間距離が610mmの仮設足場に架け渡された、長さ610mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐ場合について説明してきた。しかしながら、床付き布枠の縁面間に形成される一つの隙間に対して、2枚または3枚以上の隙間塞ぎ材を連接して塞いでもよい。同じカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよいが、異なるカバー材面積を有する隙間塞ぎ材を複数用いて連接してもよい。
たとえば、長さ1219mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐためには、長さ606mmの隙間塞ぎ材30の2枚を連接してもよい。また、長さ1829mmの床付き布枠の縁面間に形成される隙間を塞ぐためには、長さ910mmの隙間塞ぎ材の2枚を連接してもよいし、長さ606mmの隙間塞ぎ材の3枚を連接してもよい。あるいは、長さ1215mmの隙間塞ぎ材の1枚と長さ606mmの隙間塞ぎ材の1枚を連接してもよい。
ただし、外向きの切り欠き部55を端面に形成したカバー材31を2枚連接して一つの隙間を塞ぐ場合には、この外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることになる。これを避けるためには、ここでは、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部56が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定している。
図17に示す隙間塞ぎ材の2枚を連接してくさび緊結式足場に使用したときの態様は、実施例1の図6と同様であり、床付き布枠9の縁面間に形成される隙間を塞ぐことができる。また、外向きの切り欠き部55によってその連接部に開口部56が形成されることを避けるために、外向きの切り欠き部55に支柱部材を当て嵌めない場合にその連接部に開口部が形成されないように、端面切り欠き部隠し板57を設け、蝶番によりカバー材31に固定することができる。端面切り欠き部隠し板の設置の有無によって、連接部における開口部の形成が左右されることは、実施例1の図7と同様である。
なお、この隙間塞ぎ材は床付き布枠の端面間に形成される隙間を塞ぐ場合にも用いることができることは言うまでもない。