工事現場における仮設足場には、主としてビルの施工時などに用いられる枠組足場、主として住宅の施工時などに用いられる単管足場やくさび緊結式足場などがあり、また、システム支保工(「型枠支保工」ともいう。)、ローリングタワーなども仮設足場の一態様である。
このうち、枠組足場は縦柱(「建地材」ともいう。)と横桟(「横地材」ともいう。)から構成されるH形状や鳥居形状等の建枠を使用するタイプであり、また、くさび緊結式足場はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材と短尺の水平材(「つなぎ材」ともいう。また、短尺の水平材のことを特に「腕木材」ということがある。)を使用するタイプであり、いずれも対面する横桟の間又は水平材(腕木材)の間に床付き布枠(「布板」ともいう。)が架け渡されて、作業床や作業員の通路などとして使用される。
また、システム支保工はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材の連結金具の間を長短2種の水平材(「つなぎ材」ともいう。同じ長さでもよい。)で水平2方向に連結することによって形成される緊結構造物であって、対面する水平材(つなぎ材)の間に床付き布枠を適宜架け渡すことで作業床や作業員の通路などとして使用することができる。なお、支柱部材、水平材、建枠等には、鋼製やアルミニウム製などの管が用いられることが多い。
ここで、支柱部材の側面に設けられる連結金具としては、支柱部材の側面に複数個設けられるコマや、支柱部材の側面に環状に設けられるフランジ等を用いることができる。そして、水平部材の端部に設けられるクサビ金具をコマやフランジなどの連結金具に取付け、クサビで緊結することができる。
このように、これらの仮設足場には、通常、足場板として床付き布枠が架け渡されて、作業床や作業員の通路などとして使用される。
床付き布枠は、通常、長尺の主材の1本又は2本以上と、主材の長手方向の両端部に取付けられる掴み金具と断面コの字形の梁材から構成されている。主材は水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる。長尺の主材の両端部に断面コの字形の梁材が取付けられ、そして、長尺の主材の両端部の四隅に掴み金具がリベット等で固定されて取付けられる。なお、床付き布枠上を歩行する際に作業員が床付き布枠上で滑るのを防止するために、床材部の上面にはエンボス加工が施されることがある。また、床材部が幅方向に撓るのを防止するため、床材部の中央部の下側に桟木が設けられることがある。
このようにして形成された床付き布枠は、対面する横桟の間又は水平材の間に架け渡されて、仮設足場の足場板として使用される。このとき、床付き布枠は、仮設足場の作業床や通路の幅に応じて、1枚又は2枚以上並べて架け渡されることによって、作業床又は通路が形成される。
以下に、枠組足場、クサビ緊結式足場、システム支保工の順に、図面を用いて、その構造と組み立て方を説明する。
まず、図1に、鳥居形状の建枠(以下、「鳥居枠」という。)を用いて枠組足場を形成する一例を示す。(a)が正面図、(b)が右側面図である。
まず3個の鳥居枠24を建物14とは直角に等間隔に並べ、隣接する鳥居枠24との間に、建物とは反対側に筋違25をロック金具28bに取付け、そして建物側にも筋違25をロック金具28aに取付けて、1段目の鳥居枠24を自立させることによって、1段目の足場を形成する。なお、連結ピンタイプのホゾ材12は予め鳥居枠24の縦柱22の上端部に内嵌されている。その後、1段目の隣接する鳥居枠24の上部の横桟23の間に2段目の足場板となる床付き布枠9を架け渡した後、既に立設した1段目の鳥居枠24の縦柱22に、予めその上端部に内嵌されている連結ピンタイプのホゾ材12を介して、別途用意した鳥居枠24の縦柱22の下部を載置して固定することによって、2段目の鳥居枠24を立設する。その後、1段目と同様にして、建物とは反対側に筋違25をロック金具28bに取付け、そして、建物側にも筋違25をロック金具28aに取付けて、2段目の鳥居枠24を自立させることによって、2段目の足場を形成する。その後、2段目の隣接する鳥居枠24の上部の横桟23の間に3段目の足場板となる床付き布枠9を架け渡した後、既に立設した2段目の鳥居枠24の縦柱22に、予めその上端部に内嵌されている連結ピンタイプのホゾ材12を介して、別途用意した鳥居枠24の縦柱22の下部を連結することによって、3段目の鳥居枠24を立設する。その後、2段目と同様にして、建物とは反対側に筋違25をロック金具28bに取付け、そして、建物側にも筋違25をロック金具28aに取付けて、3段目の鳥居枠24を自立させることによって、3段目の足場を形成する。このようにして、必要な段数になるまで枠組足場を形成する。なお、ここでは筋違を用いることによって各段の枠組を自立させる手順を説明したが、筋違の一部を手摺枠に置き換えて各段の枠組を自立させてもよい。
次に、図2に、くさび緊結式足場の構造の一例を示す。(a)はくさび緊結式足場の正面図、(b)は(a)において円で示されたコマの周辺の拡大図、そして、(c)はくさび緊結式足場の右側面図である。
ここでは、くさび緊結式足場の支柱1が建物14の側とその反対側に各3本が立設されている。各々の支柱1は、複数のコマ4を有する支柱部材3を、予めその上端部に接合された埋め込みタイプのホゾ材11を介して縦方向に継ぎ足すことによって形成されている。建物側の支柱1と建物とは反対側の支柱1の間には、コマ4を介して水平材2が取付けられ、コマ4においてクサビ2aで緊結されている。建物側の隣接する支柱1の間には、コマ4を介してブレース材21が斜めに取付けられ、また、建物とは反対側の隣接する支柱1の間には、コマ4を介して手摺部材20が取付けられ、それぞれ、コマ4においてクサビで緊結されている。そして、隣接する水平材2の間に、床付き布枠9を1枚又は2枚以上架け渡すことで、1段目の足場が形成される。なお、ブレース材21は建物とは反対側の支柱1の間に取付ける場合もある。
2段目の足場は、1段目の足場と同様にして形成される。1段目の足場の支柱部材3の上部に接合された埋め込みタイプのホゾ材11を介して、別途用意した支柱部材3を縦方向に継ぎ足した上で、水平材2、ブレース材21、手摺部材20の足場構成部材をコマ4を介して取付け、そして、コマ4においてクサビ2aによってこれらの足場構成部材を緊結した後、隣接する水平材2の間に、床付き布枠9を1枚又は2枚以上架け渡すことによって、形成される。これを順次繰り返すことによって、複数段のくさび緊結式足場が組み立てられる。
そして、図3は、システム支保工の一例を示す正面図であり、図4は図3のシステム支保工の右側面図である。
この例では、このシステム支保工100は、コンクリート構造物(スラブともいう。)101の上部の型枠102の下面を支えるように、地上から数m〜十数mの高さで設置されている。
システム支保工100は、所定の間隔で複数の支柱1を行列状に配置し、そして、隣接する支柱1の間を複数の水平材2で水平2方向に連結することによって形成される。各支柱1は、埋め込みタイプのホゾ材11を介して縦方向に連結された複数の支柱部材3からなる。各支柱1の下端は、ジャッキベース5によって支持されている。各支柱1の上端には、大引受ジャッキ6が取付けられ、大引受ジャッキ6上に複数の大引材7が載置されている。また、複数の大引材7に直交するように、複数の大引材7上に複数の根太材8が載置され、複数の根太材8上に型枠102が載置されている。
支柱1の側面には、所定の間隔で4つのコマ4が十字状に形成されている。水平材2は、水平材2の両端部に接合されたクサビ部を介してコマ4に連結され、クサビ2aによって緊結されている。なお、ここでは、各支柱部材3の中央部のコマ4には水平材2が取付けられていないが、各支柱部材3の中央部のコマ4にも水平材2を取付けてもよい。
そして、対面する水平材2の間に床付き布枠9を架け渡す。同様にして、他の個所にも床付き布枠9を架け渡すことで、適宜必要な個所に作業床や作業員の通路などとして使用する足場を形成することができる。ここでは、対面する短尺の水平材2の間に2枚の床付き布枠が並べて架け渡されることによって1つの足場板が形成されていて、作業床又は通路として使用される。
このように、床付き布枠は対面する横桟の間又は水平材の間に、1枚又は2枚以上並べて架け渡されて、仮設足場の足場板として形成され、作業床や通路として使用される。
このとき、仮設足場においては、枠組足場、クサビ緊結式足場、システム支保工などを問わず、床付き布枠が架け渡されて形成される足場板の片側または両側の縁部に沿って幅木が設置される場合がある。幅木の設置は、幅木を縦にして床付き布枠の縁部に取付けるか、または、幅木を縦にして縦柱もしくは支柱に取付けることによってなされる。この幅木は、足場板の全長にわたってその縁部に設置されるので、作業者が仮設足場内を移動中に又は仮設足場を組立・解体する作業中に転倒したり、仮設足場の隙間から転落したりすることを防止するという機能を有している。また、幅木は仮設足場の隙間から工具や建築材等が落下するのを防止するという機能も有している。
図5に、建枠を用いる枠組足場に幅木(従来例)を設置したときの一例を示す。(a)が平面図であり、(b)は正面図、そして、(c)は(a)のA−A線矢視断面図(右側面図)である。
ここでは、1枚の床付き布枠9は、水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる長尺の主材の2本と、主材の長手方向の両端部に取付けられる掴み金具10と断面コの字形の梁材13から構成されている。そして、この床付き布枠9が2枚、対面する横桟23の間に並行に架け渡されて、仮設足場の足場板を形成し、作業床や通路として用いられる。
幅木30は、長尺の幅木本体31と、この幅木本体の両端部に取付けられた固定金具32からなる。長尺の幅木本体31は、厚さ0.8〜1.2mm程度の長尺の鋼板を折り曲げて、平らな面の幅が10〜15cm程度になるように成形したものである。そして、幅木30の長さは、対面する横桟23の間に架け渡される床付き布板9の長さに対応しており、通常、180〜183cm程度である。この幅木本体31は、上記の床付き布枠9の2枚を並べて形成された足場板の両縁部に、縦に設置される。そして、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23の上に固定される。
このように、幅木本体31が足場板の縁部に沿って縦に設置されるので、幅木本体31の設置後の高さは10〜15cm程度となる。したがって、作業者が足場板の上で足を滑らしても、幅木本体31に足の先が当たるので、作業者の転倒が防止されるし、もし転倒しても作業者が足場板の外に転落することが防止される。また、足場板の上に工具等が置かれていた場合に、作業者が誤ってつま先で蹴ってしまうおそれがあるが、これも幅木本体31によってガードされているので、工具等が落下することが防止される。
また、このような幅木30は、建枠を用いる枠組足場だけでなく、くさび緊結式足場やシステム支保工においても設置することができ、作業者の転倒・転落の防止とともに、工具や建築材等の落下防止を図ることができる。
しかしながら、図5に示した幅木30では、建枠を用いる枠組足場だけでなく、くさび緊結式足場やシステム支保工においても、縦柱22もしくは支柱部材3と、足場板の縁部に設置された幅木本体31との間には隙間16が生じる。
この隙間16が生じる理由は、次のとおりである。仮設足場においては、対面する横桟23または水平材2の間に1枚または複数枚の床付き布枠9が架け渡されて足場板が形成される。そして、足場板の幅は床付き布枠9の幅と枚数によって決定されるが、架け渡すことができる床付き布枠9の幅と枚数は横桟23または水平材2の長さの範囲内に制限される。
そして、床付き布枠9は通常、240mm幅と500mm幅の2種類が用いられ、これらのうちの1枚または複数枚を組み合わせて、対面する横桟23または水平材2の間に架け渡すことによって、種々の幅を有する足場板が形成される。たとえば、500mm幅を1枚、500mm幅1枚と240mm幅1枚、500mm幅を2枚といった組合せで、種々の幅を有する足場板が形成される。
これに対して、横桟23または水平材2の長さは、インチサイズとメーターサイズがあるが、インチサイズを例として挙げると、通常、610mm、914mm及び1219mmの3種類のものが揃えられている。このため、床付き布枠9を枠組足場の足場板として設置する場合、たとえば、610mm幅を形成するには500mm幅を1枚用いて架け渡すことになり、914mm幅を形成するには500mm幅1枚と240mm幅1枚を並べて架け渡すことになり、そして、1219mm幅を形成するには500mm幅を2枚並べて架け渡すことになる。
このように、1枚または複数枚の床付き布枠9が架け渡されて足場板が形成されるときの足場板の幅と、その床付き布枠9が架け渡される横桟23または水平材2の長さとのギャップによって、縦柱22または支柱部材3と、足場板の縁部に設置された幅木本体31との間には、隙間16が生じるのである。
したがって、縦柱22もしくは支柱部材3と、足場板の縁部に設置された幅木本体31との間に形成される隙間16に、作業者が足を踏み込んだり、あるいは、工具を落としたりするというおそれがある。また、この隙間16が生じる分だけ、設置できる足場板の幅が狭くなるため、縦柱22もしくは支柱部材3の内側に形成される空間のすべてを足場として使用することができない。
このため、長尺の幅木本体31に長尺の塞ぎ板(「水平板」ともいう。)36を直角に取付けてなるL型幅木34が提案されている。
図6に、建枠を用いる枠組足場にL型幅木(従来例)を設置したときの一例を示す。(a)が平面図であり、(b)は正面図、そして、(c)は(a)のB−B線矢視断面図(右側面図)である。
ここでは、このL型幅木34は、幅木本体31を足場板の縁部に設置するのではなく、縦柱22に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23の端部の上に固定される。そして、長尺の塞ぎ板36はその縁部を床付き布枠9の縁部の上に載置するので、幅木本体31と床付き布枠9の間には隙間が生じない。ここでは、縦柱22の内側に形成される空間を足場として広く使用することができるので、足場板の幅を狭めることはない。
しかしながら、このL型幅木34は幅木本体31と塞ぎ板36が90℃の固定角をなしているので、L型幅木34の運搬時や保管時には嵩張るという問題点がある。
これを解決するために、たとえば、特許文献1には、長尺の幅木本体に平行に長尺の塞ぎ板を取付ける際に、蝶番等を介することで塞ぎ板を折り畳み可能とする、ヒンジ構造を有するL型幅木が提案されている。この折り畳み可能なL型幅木によれば、塞ぎ板を展開したときには、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に載置するので、幅木本体31と床付き布枠9の間には隙間が生じない。また、縦柱または支柱材の内側に形成される空間を足場として広く使用することができるので、足場板の幅を狭めることはない。さらに、塞ぎ板は折り畳めるので、L型幅木34の運搬時や保管時には嵩張らない。
図7に、折り畳み可能なL型幅木(従来例)の一例を示す。(a)が正面図、(b)が塞ぎ板を展開したときの左側面図、そして、(c)が塞ぎ板を折り畳んだときの左側面図である。
この折り畳み可能なL型幅木34は、長尺の幅木本体31と、この幅木本体の両端部に取付けられた固定金具32と、長尺の幅木本体に取付けられた長尺の塞ぎ板36からなる。長尺の塞ぎ板36は蝶番37を介して、95゜の角度で開閉可能に取付けられている。長尺の幅木本体31は、厚さ0.8〜1.2mm程度の長尺の鋼板を折り曲げて、平らな面の幅は10〜15cm程度になるように成形したものである。そして、幅木本体31の長さは、仮設足場で使用する床付き布板9の長さに対応しており、通常、180〜183cm程度である。この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22または支柱部材3に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23または水平材2の端部の上に固定される。
この折り畳み可能なL型幅木34は、足場への設置時には、長尺の塞ぎ板36を開いて、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることによって、幅木本体31と床付き布枠9の間の隙間を塞ぐことで、作業者の転倒・転落の防止とともに、工具や建築材等の落下防止を図ることができる。
そして、この折り畳み可能なL型幅木34は、運搬時や保管時には嵩張らないように、長尺の塞ぎ板36を幅木本体31側に折り畳んで、その分、占有容積を小さくすることができる。
図8に、建枠を用いる枠組足場にこの折り畳み可能なL型幅木(従来例)を組み込んだときの一例を示す。(a)が平面図であり、(b)は正面図、そして、(c)は(a)のC−C線矢視断面図(右側面図)である。
ここで、1枚の床付き布枠9は、水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる長尺の主材の2本と、主材の長手方向の両端部に取付けられる掴み金具10と断面コの字形の梁材13から構成されている点と、そして、この床付き布枠9が2枚、対面する横桟23の間に並行に架け渡されて、仮設足場の作業床や通路として用いられる点は、図6と同じである。
折り畳み可能なL型幅木34の構成は、図7に示したとおりであり、長尺の幅木本体31と、この幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32と、長尺の幅木本体31に取付けられた長尺の塞ぎ板36からなる。そして、長尺の塞ぎ板36は蝶番37を介して、95゜の角度で開閉可能に取付けられている。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23または水平材2の端部の上に固定される。そして、長尺の塞ぎ板36を開いて、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることによって、幅木本体31と床付き布枠9の間に生じる隙間16を塞ぐものである。
したがって、折り畳み可能なL型幅木34を設置すると、幅木本体31に沿って隙間は生じない上に、縦柱22の内側に形成される空間を広く作業床や通路として使用することができるので、作業者の転倒・転落の防止とともに、工具や建築材等の落下防止を図ることができる。また、建枠を用いる枠組足場だけでなく、くさび緊結式足場やシステム支保工においても設置することができる。
この折り畳み可能なL型幅木は、足場への設置時には、塞ぎ板の基端部が支持点となり、塞ぎ板の縁部は床付き布枠の縁部の上に載置される。すなわち、塞ぎ板の縁部は床付き布枠の上に自重によって単に載置されているだけであるから、下方からの風の吹き上げにより、容易に浮き上がり、浮き上がった塞ぎ板と床付き布枠との間に隙間が生じてしまうおそれがある。したがって、作業者がこの隙間に足を突っ込んだり、足場板の上に置かれていた工具等を誤ってつま先で蹴ったりしてしまうというおそれがある。
また、この折り畳み可能なL型幅木は、運搬時や保管時には嵩張ることがないように、長尺の塞ぎ板を幅木本体側に折り畳んで、その分、占有容積を小さくすることができるものであるが、この折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板を幅木本体の側に折り畳んだ後の運搬時や保管時の取り扱い作業において、塞ぎ板の向きによっては塞ぎ板が開いてしまう場合があるので、運搬時や保管時の取り扱い作業が非効率になる。
本発明の第1の目的は、足場へ設置したときに、下方から風が吹き上げても塞ぎ板が浮き上がることを防止し、もって塞ぎ板と床付き布枠との間に隙間が生じることを防止する折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板並びにこのL型幅木を組み込んでなる仮設足場を提供することである。
そして、本発明の第2の目的は運搬時や保管時の取り扱い作業において、塞ぎ板の折り畳み後は、塞ぎ板の向きにかかわらず塞ぎ板が開くことを防止することによって、運搬時や保管時の取り扱い作業を効率化する折り畳み可能なL型幅木並びにこのL型幅木を組み込んでなる仮設足場を提供することである。
本発明者らは、上記のような問題点を解決するために種々の検討を重ねた。その結果、次の(a)〜(g)に示す知見を得た。
(a) まず、塞ぎ板を幅木本体の側に折り畳み可能なL型幅木とするためには、幅木本体に塞ぎ板を蝶番等でヒンジ構造として、塞ぎ板を幅木本体に対して回転可能とするのがよい。塞ぎ板の幅木本体からの回転可能角度は90〜100゜が好ましく、特に95゜程度とするのがより好ましい。また、折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板を展開して足場へ設置したときに塞ぎ板の縁と足場の間に生じる隙間を小さくするために、塞ぎ板の縁は下方に折り曲げるのが好ましい。蝶番等のヒンジ構造の設置数は、特に限定するものではない。1個所だけに設けてもよいが、複数個所に設けるのが好ましい。
(b) 折り畳み可能なL型幅木に関して、塞ぎ板の展開後に下方から風が吹き上げても塞ぎ板が浮き上がることを防止するためには、その展開状態を維持可能とすればよい。また、塞ぎ板の折り畳み後に、塞ぎ板の向きにかかわらず塞ぎ板が開くことを防止するためには、その折り畳み状態を維持可能とすればよい。
(c) 折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板を展開して足場の上へ載置した状態、すなわち、塞ぎ板の展開状態を維持するためには、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔する部材を、塞ぎ板の基端部に取付ければよい。
具体的には、上下に作動可能なロックピンをロックピン取付け金具を介して幅木本体に縦に取付けるとともに、ロックピンが取付けられた位置に対応する塞ぎ板の基端部の位置に、アングル(山形鋼)を取付け、そのアングルの一辺を幅木本体とロックピンの間に入れ込んでおくことによって、塞ぎ板が幅木本体の側に回転しようとしてもそのアングルの一辺がロックピン下端部に横から当たるので、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔することができる。なお、上下に作動可能なロックピンは、バネを取付けて下向きの付勢力を与えておくことによって、その作動範囲の最下端に留めておくのが好ましい。こうすれば、ロックピンを手作業でもって上方に引き上げない限り、展開状態にある塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔することができるからである。
ロックピンに取付けるバネとしては、ロックピンに下向きの付勢力を与えることができるものであればよい。特に限定するものではないが、たとえば、コイルバネを用いるのが好ましい。
なお、塞ぎ板を持ち上げて幅木本体の側に折り畳む際に、ロックピン自体の回転を防止できる機構として、たとえば、ロックピンの側面に小型ピンを備えるのが好ましい。この小型ピンを、ロックピン取付け金具の側面に縦方向に設けた長孔に嵌め込めば、長孔の中を移動することができるので、長孔の上端と下端の間で縦方向には移動できるが、水平方向には移動できない。したがって、ロックピンが水平方向に回転しようとしても、小型ピンがこの長孔の縁部に当たって、ロックピンの回転を防止することができる。
あるいは、ロックピンが取付けられた位置に対応する塞ぎ板の基端部の位置に、アングルを取付ける代わりに、その位置に対応する塞ぎ板の基端部の一部又は全部を上方に折り曲げ、その折り曲げ部を幅木本体とロックピンの間に入れ込んでおくことによって、塞ぎ板が幅木本体の側に回転しようとしてもその折り曲げ部がロックピン下端部に横から当たるので、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔することができる。この場合、塞ぎ板は薄板であることが多いため、少なくともロックピン下端部に当たる位置の塞ぎ板の折り曲げ部は、塞ぎ板補強板等でもって補強することが望ましい。
なお、ロックピンと、アングルまたは折り曲げ部は、1枚の幅木本体と1枚の塞ぎ板に対して、それぞれ、1個所または複数個所取付けることができるが、上述したとおり、塞ぎ板が幅木本体の側に回転しようとしたときに対応するアングルの一辺または塞ぎ板折り曲げ部がロックピン下端部に横から当たるように、ロックピンの位置と、アングルまたは折り曲げ部の位置を揃えるのがよい。
また、ロックピンの位置と、アングルまたは塞ぎ板折り曲げ部の位置は、蝶番等のヒンジ構造とも位置を揃えるのが望ましい。というのは、塞ぎ板は薄板のため、繰り返し使用による局部変形を起こす可能性があるが、蝶番等のヒンジ構造により塞ぎ板が幅木本体に接続されている個所は局部変形が抑制されるので、ロックピンの位置と、アングルまたは折り曲げ部の位置の関係が維持されやすいからである。
(d) 次に、足場の上に載置された折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板を幅木本体の側に折り畳む場合には、塞ぎ板を持ち上げる前に、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔する部材が機能しないようにすればよい。上述のロックピンとアングルとの組み合わせを例にとると、塞ぎ板が幅木本体の側に回転するときにアングルの一辺がロックピン下端部に横から当たることがないように、バネによる下向きの付勢力に抗してロックピンを手でもって上方に引き上げてから、塞ぎ板を持ち上げれば幅木本体の側に折り畳むことができる。
(e) そして、足場の上に載置された折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板を回転させて幅木本体の側に折り畳んだ後に、塞ぎ板の向きに関係なく、塞ぎ板がその折り畳み状態を維持できるようにするためには、折り畳んだ塞ぎ板が幅木本体から離れることを邪魔する部材を設ければよい。
具体的には、上述したロックピンの上端部に鉤を設け、この鉤を折り畳まれた塞ぎ板の縁部に引っ掛けることによって、折り畳んだ塞ぎ板が幅木本体から離れることを邪魔することができる。ロックピンは上下に作動可能であるから、ロックピンにバネを取付けて下向きの付勢力を与えておけば、ロックピンの上端部に設けた鉤を、折り畳まれた塞ぎ板の縁部に引っ掛けた状態となるので、塞ぎ板はその折り畳み状態を維持できる。なお、上下に作動可能なロックピンはバネ等を取付けて下向きの付勢力を与えると、塞ぎ板がどの方向に向いても、上下に作動可能なロックピンは常に最下位置にあることになる。したがって、ロックピンを手作業でもって上方に引き上げない限り、折り畳み状態にある塞ぎ板が幅木本体のから離れることを邪魔することができる。
ロックピンの上端部に設ける鉤としては、ロックピンとは別の鉤状の部材をロックピンの上端部に取付けてもよいが、ロックピンの上端部を下方に折り曲げて鉤状に成形してもよい。
なお、ロックピンの鉤の位置が折り畳まれた塞ぎ板の縁部の位置よりも低くなる場合には、ロックピンに設けた鉤を、折り畳まれた塞ぎ板の縁部に引っ掛けることができない。しかし、この場合でも、ロックピンの鉤の位置に対応する塞ぎ板の位置に、通し孔を開けて、この孔にロックピンの鉤を収納したのち、この孔の縁にロックピンの鉤を引っ掛けることによって、折り畳まれた塞ぎ板が幅木本体から離れることを邪魔することができる。
ここで、ロックピンの鉤を、折り畳まれた塞ぎ板の縁部または通し孔の縁部に引っ掛けるには、ロックピンを手で上方に引き上げた状態で、塞ぎ板の縁部を幅木本体の側に折り畳んだ後に、ロックピンを元に戻せばよい。上下に作動可能なロックピンはバネを取付けて下向きの付勢力を与えると、塞ぎ板がどの方向に向いてもその折り畳み状態を維持できることは上述したとおりである。
あるいは、ロックピンの鉤の底面を斜めに切断した形状とし、折り畳まれた塞ぎ板の縁部がこのロックピンの鉤の斜め底面に当たるように調節すれば、ロックピンを手で上方に引き上げた状態を保つのは、塞ぎ板の縁部を幅木本体の側に折り畳む際の初期だけでよい。
この初期だけロックピンを手で上方に引き上げていれば、塞ぎ板基端部のアングルまたは折り曲げ部がロックピン下端部に当たることはないので、折り畳み初期経過後にロックピンから手を離してロックピンが下方に戻っても、塞ぎ板を幅木本体の側に回転させることができる。そして、塞ぎ板が幅木本体に折り畳まれる直前には、折り畳まれる塞ぎ板の縁部または塞ぎ板の通し孔の縁部がロックピンの鉤の底面に当たることになるが、このロックピンの鉤の底面は斜めに切ってあるから、わざわざロックピンを手で上方に引き上げなくても、ロックピンがバネによる下向きの付勢力に抗して上方に移動して、塞ぎ板の縁部または塞ぎ板の通し孔の縁部を幅木本体の側に受け入れることができる。その後は、ロックピンがバネによる下向きの付勢力によって下方に移動するから、塞ぎ板はロックピンの鉤に引っ掛かったことになり、塞ぎ板はその折り畳み状態を維持することができる。なお、ロックピン自体が回転しないような機構を備えるのが好ましい。
(f) さらに、この幅木本体の側に折り畳まれた塞ぎ板を展開して足場の上に塞ぎ板の縁部を載置しようとするときには、折り畳んだ塞ぎ板が幅木本体から離れることを邪魔する部材が機能しないようにすればよい。
そのためには、上述のロックピンの上端部に設けられた鉤が、折り畳まれた塞ぎ板の縁部または塞ぎ板の通し孔の縁部に引っ掛かった状態を外せばよいので、ロックピンを上方に手で引き上げればよい。そして、幅木本体の側に折り畳まれた塞ぎ板を外側に回転させて展開することで、足場の上に塞ぎ板の縁部を載置することができる。
(g) このような展開状態と折り畳み状態のいずれをも維持可能にしてなる折り畳み可能なL型幅木は、横桟または水平材の端部の上に固定してもよいが、縦柱もしくは支柱部材または手摺部材もしくは手摺枠に固定してもよい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであって、その要旨は下記の(1)〜(8)の折り畳み可能なL型幅木および(9)の仮設足場にある。以下、(1)〜(9)にかかる発明を総称して本発明ということがある。
(1) 幅木本体と幅木本体にヒンジ構造によって取付けられている塞ぎ板からなる折り畳み可能なL型幅木であって、上端部に鉤を有する上下に作動可能なロックピンを、下向きの付勢力が付与されている状態で幅木本体に縦に取付けるとともに、このロックピンの取付け位置に対応する塞ぎ板の基端部の位置にアングルを取付け、そして、塞ぎ板の展開状態ではアングルがロックピンの下端部に当たることを可能にすることによって、また、塞ぎ板の折り畳み状態ではロックピンの鉤が塞ぎ板に引っ掛かることを可能にすることによって、展開状態と折り畳み状態のいずれをも維持可能にしたことを特徴とする、折り畳み可能なL型幅木。
(2) ヒンジ構造の設置位置が、ロックピンの位置およびアングルの位置に対応していることを特徴とする、上記(1)の折り畳み可能なL型幅木。
(3) 幅木本体と幅木本体にヒンジ構造によって取付けられている塞ぎ板からなる折り畳み可能なL型幅木であって、上端部に鉤を有する上下に作動可能なロックピンを、下向きの付勢力が付与されている状態で幅木本体に縦に取付けるとともに、このロックピンの取付け位置に対応する塞ぎ板の基端部の位置を折り曲げて塞ぎ板の折り曲げ部を形成し、そして、塞ぎ板の展開状態では塞ぎ板の折り曲げ部がロックピンの下端部に当たることを可能にすることによって、また、塞ぎ板の折り畳み状態ではロックピンの鉤が塞ぎ板に引っ掛かることを可能にすることによって、展開状態と折り畳み状態のいずれをも維持可能にしたことを特徴とする、折り畳み可能なL型幅木。
(4) ヒンジ構造の設置位置が、ロックピンの位置および塞ぎ板の折り曲げ部の位置に対応していることを特徴とする、上記(3)の折り畳み可能なL型幅木。
(5) 塞ぎ板を折り畳んだときにロックピンの鉤の位置に対応する塞ぎ板の位置に、通し孔を有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかの折り畳み可能なL型幅木。
(6) ロックピンの鉤の底面が斜め形状を有することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかの折り畳み可能なL型幅木。
(7) ロックピンの上端部に設ける鉤はロックピンの上端部を下方に折り曲げて鉤状に成形したものであることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかの折り畳み可能なL型幅木。
(8) 幅木本体と塞ぎ板との間の回転可能な角度が90〜100゜であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかの折り畳み可能なL型幅木。
(9) 上記(1)〜(8)のいずれかの折り畳み可能なL型幅木を組み込んだことを特徴とする仮設足場。
本発明に係る折り畳み可能なL型幅木によれば、塞ぎ板の展開状態を維持できるので、塞ぎ板を展開したのちに下方から風が吹き上げても塞ぎ板が浮き上がることを防止することができる。また、塞ぎ板を折り畳んだのちに、塞ぎ板の向きに無関係にその折り畳み状態を維持できるので、運搬時や保管時には嵩張ることがなく、運搬時や保管時の取り扱い作業を効率化することができる。
本発明に係る折り畳み可能なL型幅木及びこの折り畳み可能なL型幅木が組み込まれている仮設足場について、以下に、図面を用いて、説明する。
図9は、本発明に係る折り畳み可能なL型幅木の一例である。(a)が全体の正面図、(b)が(a)において円で示されたロックピンの拡大図(背面図と右側面図)と、そして、(c)がこのロックピンを上方に引き上げたときの拡大図(背面図と右側面図)である。
そして、図10は、図9に示す折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板を開閉する手順の説明図である。(a)が正面図であり、(b)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を展開した状態から折り畳む手順を示す。そして、(c)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を折り畳んだ状態から展開する手順を示す。
この折り畳み可能なL型幅木34は、図9(a)にみるごとく、長尺の幅木本体31と、この幅木本体の両端部に取付けられた固定金具32と、長尺の幅木本体に取付けられた長尺の塞ぎ板36を備えている。
長尺の塞ぎ板36は、長尺の幅木本体31との間にヒンジ構造として蝶番37が1個所ないし複数個所設けられていて、長尺の幅木本体31に開閉可能に取付けられているので、塞ぎ板36を外側に回転させることで展開することができ、また、塞ぎ板36を幅木本体31の側に回転させて折り畳むことができる。ここでは、幅木本体31と塞ぎ板36の間の回転可能角度は95゜である。長尺の幅木本体31は、厚さ0.8〜1.2mm程度の長尺の鋼板を折り曲げて、平らな面の幅は10〜15cm程度になるように成形したものである。そして、幅木本体31の長さは、仮設足場で使用する床付き布板9の長さに対応しており、通常、180〜183cm程度である。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22または支柱部材3に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23または水平材2の端部の上に固定することができる。なお、横桟23または水平材2の端部の上に固定する代わりに、縦柱22もしくは支柱部材3または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
この折り畳み可能なL型幅木34には、図9(b)にみるごとく、幅木本体の中央位置に上端部が塞ぎ板側に鉤状に折り曲げられた上下に作動可能なロックピン39の1個ないし複数個が、コイルバネ43によって下向きの付勢力が付与されている状態でロックピン取付け金具39dを介して幅木本体31に縦に取付けられており、そして、このロックピン39の取付け位置に対応する塞ぎ板36の基端部の位置にアングル40が取付けられている。なお、ここでは、ロックピン39およびアングル40の取付け位置は、蝶番37の取付け位置に対応している。
このロックピン39は、水平方向の回転を防止できる機構として、ロックピン39の側面に小型ピン44を備えている。この小型ピン44は、ロックピン取付け金具39dの側面に縦方向に設けた長孔45に嵌め込まれており、長孔45の中を移動することができる。この小型ピン44は、長孔の上端と下端の間で縦方向には移動できるが、水平方向には移動できない。したがって、ロックピン39が水平方向に回転しようとしても、小型ピン44がこの長孔45の縁部に当たるので、ロックピン39の回転を防止することができる。
また、コイルバネ43は、たとえば、次のようにして取り付けることができる。ロックピン39を、上方からロックピン取付け金具39dの上端に設けた孔に通し、次いでコイルバネ43の中心に通す。最後に、コイルバネ43をロックピン取付金具39dの上端と小型ピン44で挟み込むように、小型ピン44をロックピン39に設けた長孔45に嵌め込み、固定する。この時、ロックピン39の下端はロックピン取付け金具39dの下端に設けた孔に通しておく。
このようにして、コイルバネ43は小型ピン44とロックピン取付け金具39dを介して、ロックピン39に下向きの付勢力を与えることができる。また、図9(c)にみるごとく、ロックピン39を上方に引き上げると、小型ピン44はコイルバネ43を押し上げながら、ロックピン取付け金具39dの側面の長孔45内を上方へ動くことになる。
そして、図10(b)の最左端図にみるごとく、この折り畳み可能なL型幅木34は、ロックピン39の取付け位置に対応する塞ぎ板36の基端部の位置に取付けられているアングル40の作用によって、塞ぎ板36を展開した状態を維持することができる。というのは、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもそのアングル40の一辺がロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔することになるからである。
また、図10(c)の最左端図にみるごとく、幅木本体31に縦に取付けられている上下に作動可能なロックピン39の上端部に設けられた鉤39bによって、折り畳まれた塞ぎ板36の縁部が引っ掛けられた状態になっているので、塞ぎ板36を折り畳んだ状態を維持することができる。しかも、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36がどの方向に向いても塞ぎ板がロックピン39の鉤39bから外れることはない。したがって、この折り畳み可能なL型幅木34は、運搬時や保管時に塞ぎ板36がどの方向に向いてもその折り畳み状態を維持することができる。
次に、塞ぎ板36を幅木本体31の側に折り畳むためには、図10(b)に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げてから、塞ぎ板36を持ち上げれば幅木本体31の側に折り畳むことができる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、折り畳まれた状態となる。すなわち、ロックピン39の鉤39bによって折り畳まれた塞ぎ板36の縁部が引っ掛けられた状態になるので、塞ぎ板36の折り畳み状態を維持することができる。
また、塞ぎ板を展開するためには、図10(c)に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げ、ロックピン39の上端部に設けられた鉤39bが折り畳まれた塞ぎ板36の縁部に引っ掛かった状態を外したのち、塞ぎ板36を外側に回転させる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、展開された状態となる。すなわち、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもそのアングル40の一辺がロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板36が展開した状態を維持することができる。
次に、図11に、図9に示す折り畳み可能なL型幅木を建枠を用いる枠組足場に組み込んだときの一例を示す。(a)が平面図であり、(b)は右側面図、そして、(c)および(d)は(b)のD−D線矢視断面図である。なお、(a)〜(c)は塞ぎ板を展開してその縁部を床付き布枠の縁部の上に乗せ掛けた状態のものであり、(d)は塞ぎ板を幅木主材の側に折り畳んだときのものである。
ここで、1枚の床付き布枠9は、水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる長尺の主材の2本と、主材の長手方向の両端部に取付けられる掴み金具10と断面コの字形の梁材13から構成され、対面する横桟23の間に架け渡されて、仮設足場の作業床や通路として用いられている。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23の端部の上に固定される。そして、長尺の塞ぎ板36を開いて、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることによって、幅木本体31と床付き布枠9の間に生じる隙間16を塞ぐものである。なお、横桟23端部の上に固定する代わりに、縦柱22または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
このように、この折り畳み可能なL型幅木34を足場に設置すると、長尺の塞ぎ板36を展開して、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることができるだけでなく、その塞ぎ板の展開状態を維持することができるので、幅木本体31と床付き布枠9の間の隙間を確実に塞ぐことができる。したがって、作業者の転倒・転落の防止とともに、工具や建築材等の落下防止を図ることができる。また、縦柱22の内側に形成される空間を広く作業床や通路として使用することができるなお、この折り畳み可能なL型幅木34は建枠を用いる枠組足場だけでなく、くさび緊結式足場やシステム支保工においても設置することができる。
また、この折り畳み可能なL型幅木34は、足場から外して、運搬や保管をする際には嵩張らないように、塞ぎ板36を幅木本体31側に折り畳むことができるだけでなく、その折り畳み状態を塞ぎ板の向きに関係なく維持することができる。したがって、運搬時や保管時の運搬時や保管時の取り扱い作業において、塞ぎ板の折り畳み後は、その占有容積を小さくすることができ、また、塞ぎ板の向きにかかわらず塞ぎ板が開くことを防止することができるので、運搬時や保管時の取り扱い作業を効率化することができる。
図12は、本発明に係る折り畳み可能なL型幅木の他の例である。(a)が正面図、(b)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を展開した状態から折り畳む手順を示す、そして、(c)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を折り畳んだ状態から展開する手順を示す。
この折り畳み可能なL型幅木34は、図12(a)にみるごとく、長尺の幅木本体31と、この幅木本体の両端部に取付けられた固定金具32と、長尺の幅木本体に取付けられた長尺の塞ぎ板36を備えている。
長尺の塞ぎ板36は、長尺の幅木本体31との間にヒンジ構造として蝶番37が1個所ないし複数個所設けられていて、長尺の幅木本体31に開閉可能に取付けられているので、塞ぎ板36を外側に回転させることで展開することができ、また、塞ぎ板36を幅木本体31の側に回転させて折り畳むことができる。ここでは、幅木本体31と塞ぎ板36の間の回転可能角度は95゜である。長尺の幅木本体31は、厚さ0.8〜1.2mm程度の長尺の鋼板を折り曲げて、平らな面の幅は10〜15cm程度になるように成形したものである。そして、幅木本体31の長さは、仮設足場で使用する床付き布板9の長さに対応しており、通常、180〜183cm程度である。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22または支柱部材3に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23または水平材2の端部の上に固定することができる。なお、横桟23または水平材2の端部の上に固定する代わりに、縦柱22もしくは支柱部材3または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
この折り畳み可能なL型幅木34には、幅木本体の中央位置に上端部が塞ぎ板側に鉤状に折り曲げられた上下に作動可能なロックピン39の1個ないし複数個が、コイルバネ43によって下向きの付勢力が付与されている状態でロックピン取付け金具39dを介して幅木本体31に縦に取付けられており、そして、このロックピン39の取付け位置に対応する塞ぎ板の基端部が上方に折り曲げられて、塞ぎ板折り曲げ部36cが形成され、さらに、塞ぎ板補強板36dが取付けられることで補強されている。なお、ここでは、ロックピン39および塞ぎ板補強板36dの取付け位置は、蝶番37の取付け位置に対応している。
このロックピン39もロックピン39の側面に小型ピン44を備えており、実施例1と同様にして、水平方向の回転を防止できる。なお、コイルバネ43の取り付け方法も実施例1と同様である。したがって、コイルバネ43は小型ピン44とロックピン取付け金具39dを介して、ロックピン39に下向きの付勢力を与えることができる。また、ロックピン39を上方に引き上げると、小型ピン44はコイルバネ43を押し上げながら、ロックピン取付け金具39dの側面の長孔45内を上方へ動くことになる。
この折り畳み可能なL型幅木34は、図12(b)の最左端図にみるごとく、ロックピン39と塞ぎ板補強板36dの作用によって、塞ぎ板36を展開した状態を維持することができる。というのは、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもその塞ぎ板補強板36dがロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔することになるからである。
また、図12(c)の最左端図にみるごとく、幅木本体31に縦に取付けられている上下に作動可能なロックピン39の上端部に設けられた鉤39bによって、折り畳まれた塞ぎ板36の縁部が引っ掛けられた状態になっているので、塞ぎ板36を折り畳んだ状態を維持することができる。しかも、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36がどの方向に向いても塞ぎ板がロックピン39の鉤39bから外れることはない。したがって、この折り畳み可能なL型幅木34は、運搬時や保管時に塞ぎ板36がどの方向に向いてもその折り畳み状態を維持することができる。
次に、塞ぎ板36を幅木本体31の側に折り畳むためには、図12(b) に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げてから、塞ぎ板36を持ち上げれば幅木本体31の側に折り畳むことができる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、折り畳まれた状態となる。すなわち、ロックピン39の鉤39bによって折り畳まれた塞ぎ板36の縁部が引っ掛けられた状態になるので、塞ぎ板36の折り畳み状態を維持することができる。
また、塞ぎ板を展開するためには、図12(c) に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げ、ロックピン39の上端部に設けられた鉤39bが折り畳まれた塞ぎ板36の縁部に引っ掛かった状態を外したのち、塞ぎ板36を外側に回転させる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、展開された状態となる。すなわち、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもその塞ぎ板補強板36dがロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板36が展開した状態を維持することができる。
次に、図13に、図12に示す折り畳み可能なL型幅木を建枠を用いる枠組足場に組み込んだときの一例を示す。(a)が平面図であり、(b)は右側面図、そして、(c)および(d)は(b)のD−D線矢視断面図である。なお、(a)〜(c)は塞ぎ板を展開してその縁部を床付き布枠の縁部の上に乗せ掛けた状態のものであり、(d)は塞ぎ板を幅木主材の側に折り畳んだときのものである。
ここで、1枚の床付き布枠9は、水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる長尺の主材の2本と、主材の長手方向の両端部に取付けられる掴み金具10と断面コの字形の梁材13から構成され、対面する横桟23の間に架け渡されて、仮設足場の作業床や通路として用いられている。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23の端部の上に固定される。そして、長尺の塞ぎ板36を開いて、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることによって、幅木本体31と床付き布枠9の間に生じる隙間16を塞ぐものである。なお、横桟23端部の上に固定する代わりに、縦柱22または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
このように、この折り畳み可能なL型幅木34を足場に設置すると、長尺の塞ぎ板36を展開して、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることができるだけでなく、その塞ぎ板の展開状態を維持することができるので、幅木本体31と床付き布枠9の間の隙間を確実に塞ぐことができる。したがって、作業者の転倒・転落の防止とともに、工具や建築材等の落下防止を図ることができる。また、縦柱22の内側に形成される空間を広く作業床や通路として使用することができるなお、この折り畳み可能なL型幅木34は建枠を用いる枠組足場だけでなく、くさび緊結式足場やシステム支保工においても設置することができる。
また、この折り畳み可能なL型幅木34は、足場から外して、運搬や保管をする際には嵩張らないように、塞ぎ板36を幅木本体31側に折り畳むことができるだけでなく、その折り畳み状態を塞ぎ板の向きに関係なく維持することができる。したがって、運搬時や保管時の運搬時や保管時の取り扱い作業において、塞ぎ板の折り畳み後は、その占有容積を小さくすることができ、また、塞ぎ板の向きにかかわらず塞ぎ板が開くことを防止することができるので、運搬時や保管時の取り扱い作業を効率化することができる。
図14は、本発明に係る折り畳み可能なL型幅木の他の例である。(a)が正面図、(b)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を展開した状態から折り畳む手順を示す、そして、(c)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を折り畳んだ状態から展開する手順を示す。
この折り畳み可能なL型幅木34は、図14(a)にみるごとく、長尺の幅木本体31と、この幅木本体の両端部に取付けられた固定金具32と、長尺の幅木本体に取付けられた長尺の塞ぎ板36を備えている。
長尺の塞ぎ板36は、長尺の幅木本体31との間にヒンジ構造として蝶番37が1個所ないし複数個所設けられていて、長尺の幅木本体31に開閉可能に取付けられているので、塞ぎ板36を外側に回転させることで展開することができ、また、塞ぎ板36を幅木本体31の側に回転させて折り畳むことができる。ここでは、幅木本体31と塞ぎ板36の間の回転可能角度は95゜である。長尺の幅木本体31は、厚さ0.8〜1.2mm程度の長尺の鋼板を折り曲げて、平らな面の幅は10〜15cm程度になるように成形したものである。そして、幅木本体31の長さは、仮設足場で使用する床付き布板9の長さに対応しており、通常、180〜183cm程度である。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22または支柱部材3に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23または水平材2の端部の上に固定することができる。なお、横桟23または水平材2の端部の上に固定する代わりに、縦柱22もしくは支柱部材3または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
この折り畳み可能なL型幅木34には、幅木本体の中央位置に上端部が塞ぎ板側に鉤状に折り曲げられた上下に作動可能なロックピン39の1個ないし複数個が、コイルバネ43によって下向きの付勢力が付与されている状態でロックピン取付け金具39dを介して幅木本体31に縦に取付けられており、そして、このロックピン39の取付け位置に対応する塞ぎ板36の基端部の位置にアングル40が取付けられている。ここで、ロックピン39の上端部に設けられた鉤39bの底面39cは斜めに切断した形状を有する。なお、ロックピン39およびアングル40の取付け位置は、蝶番37の取付け位置に対応している。
このロックピン39もロックピン39の側面に小型ピン44を備えており、実施例1と同様にして、水平方向の回転を防止できる。なお、コイルバネ43の取り付け方法も実施例1と同様である。したがって、コイルバネ43は小型ピン44とロックピン取付け金具39dを介して、ロックピン39に下向きの付勢力を与えることができる。また、ロックピン39を上方に引き上げると、小型ピン44はコイルバネ43を押し上げながら、ロックピン取付け金具39dの側面の長孔45内を上方へ動くことになる。
この折り畳み可能なL型幅木34は、図14(b)の最左端図にみるごとく、ロックピン39の取付け位置に対応する塞ぎ板36の基端部の位置に取付けられているアングル40の作用によって、塞ぎ板36を展開した状態を維持することができる。というのは、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもそのアングル40の一辺がロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔することになるからである。
また、図14(c)の最左端図にみるごとく、幅木本体31に縦に取付けられている上下に作動可能なロックピン39の上端部に設けられた鉤39bによって、折り畳まれた塞ぎ板36の縁部が引っ掛けられた状態になっているので、塞ぎ板36を折り畳んだ状態を維持することができる。しかも、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36がどの方向に向いても塞ぎ板がロックピン39の鉤39bから外れることはない。したがって、この折り畳み可能なL型幅木34は、運搬時や保管時に塞ぎ板36がどの方向に向いてもその折り畳み状態を維持することができる。
次に、塞ぎ板36を幅木本体31の側に折り畳むためには、図14(b) に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げてから、塞ぎ板36を持ち上げれば幅木本体31の側に折り畳むことができる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、折り畳まれた状態となる。すなわち、ロックピン39の鉤39bによって折り畳まれた塞ぎ板36の縁部が引っ掛けられた状態になるので、塞ぎ板36の折り畳み状態を維持することができる。
なお、ロックピンの鉤の底面39cは斜めに切断した形状を有するので、折り畳まれた塞ぎ板の縁部がこのロックピンの鉤の斜め底面に当たるように調節すれば、ロックピン39を手で上方に引き上げた状態を保つのは、塞ぎ板36の縁部を幅木本体31の側に折り畳む際の初期だけでよい。この初期だけロックピン39を手で上方に引き上げていれば、塞ぎ板基端部36aに取付けられたアングル40がロックピン下端部39aに当たることはないので、折り畳み初期の経過後にロックピン39から手を離してロックピン39が下方に戻っても、塞ぎ板36を幅木本体31の側に回転させることができる。そして、塞ぎ板36が幅木本体31に折り畳まれる直前には、折り畳まれる塞ぎ板36の縁部がロックピンの鉤の底面39cに当たることになるが、このロックピンの鉤の底面39cは斜めに切ってあるから、わざわざロックピン39を手で上方に引き上げなくても、ロックピン39がコイルバネ43による下向きの付勢力に抗して上方に移動して、塞ぎ板36の縁部を幅木本体31の側に受け入れることができる。その後は、ロックピン39がコイルバネ43による下向きの付勢力によって下方に移動するから、塞ぎ板36はロックピンの鉤39bに引っ掛かったことになり、塞ぎ板36はその折り畳み状態を維持することができる。
また、塞ぎ板を展開するためには、図14(c) に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げ、ロックピン39の上端部に設けられた鉤39bが折り畳まれた塞ぎ板36の縁部に引っ掛かった状態を外したのち、塞ぎ板36を外側に回転させる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、展開された状態となる。すなわち、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもそのアングル40の一辺がロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板36が展開した状態を維持することができる。
次に、図15に、図14に示す折り畳み可能なL型幅木を建枠を用いる枠組足場に組み込んだときの一例を示す。(a)が平面図であり、(b)は右側面図、そして、(c)および(d)は(b)のD−D線矢視断面図である。なお、(a)〜(c)は塞ぎ板を展開してその縁部を床付き布枠の縁部の上に乗せ掛けた状態のものであり、(d)は塞ぎ板を幅木主材の側に折り畳んだときのものである。
ここで、1枚の床付き布枠9は、水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる長尺の主材の2本と、主材の長手方向の両端部に取付けられる掴み金具10と断面コの字形の梁材13から構成され、対面する横桟23の間に架け渡されて、仮設足場の作業床や通路として用いられている。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23の端部の上に固定される。そして、長尺の塞ぎ板36を開いて、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることによって、幅木本体31と床付き布枠9の間に生じる隙間16を塞ぐものである。なお、横桟23端部の上に固定する代わりに、縦柱22または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
このように、この折り畳み可能なL型幅木34を足場に設置すると、長尺の塞ぎ板36を展開して、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることができるだけでなく、その塞ぎ板の展開状態を維持することができるので、幅木本体31と床付き布枠9の間の隙間を確実に塞ぐことができる。したがって、作業者の転倒・転落の防止とともに、工具や建築材等の落下防止を図ることができる。また、縦柱22の内側に形成される空間を広く作業床や通路として使用することができるなお、この折り畳み可能なL型幅木34は建枠を用いる枠組足場だけでなく、くさび緊結式足場やシステム支保工においても設置することができる。
また、この折り畳み可能なL型幅木34は、足場から外して、運搬や保管をする際には嵩張らないように、塞ぎ板36を幅木本体31側に折り畳むことができるだけでなく、その折り畳み状態を塞ぎ板の向きに関係なく維持することができる。したがって、運搬時や保管時の運搬時や保管時の取り扱い作業において、塞ぎ板の折り畳み後は、その占有容積を小さくすることができ、また、塞ぎ板の向きにかかわらず塞ぎ板が開くことを防止することができるので、運搬時や保管時の取り扱い作業を効率化することができる。
図16は、本発明に係る折り畳み可能なL型幅木の他の例である。(a)が正面図、(b)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を展開した状態から折り畳む手順を示す、そして、(c)が(a)の矢視D−D断面図(左側面図)において塞ぎ板を折り畳んだ状態から展開する手順を示す。
この折り畳み可能なL型幅木34は、図16(a)にみるごとく、長尺の幅木本体31と、この幅木本体の両端部に取付けられた固定金具32と、長尺の幅木本体に取付けられた長尺の塞ぎ板36を備えている。ただし、本実施例4での塞ぎ板36は、幅木本体31と床付き布枠9の間に生じる隙間16が広いため、実施例1のものよりも幅が広いものが用いられている。
長尺の塞ぎ板36は、長尺の幅木本体31との間にヒンジ構造として蝶番37が1個所ないし複数個所設けられていて、長尺の幅木本体31に開閉可能に取付けられているので、塞ぎ板36を外側に回転させることで展開することができ、また、塞ぎ板36を幅木本体31の側に回転させて折り畳むことができる。ここでは、幅木本体31と塞ぎ板36の間の回転可能角度は95゜である。長尺の幅木本体31は、厚さ0.8〜1.2mm程度の長尺の鋼板を折り曲げて、平らな面の幅は10〜15cm程度になるように成形したものである。そして、幅木本体31の長さは、仮設足場で使用する床付き布板9の長さに対応しており、通常、180〜183cm程度である。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22または支柱部材3に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23または水平材2の端部の上に固定することができる。なお、横桟23または水平材2の端部の上に固定する代わりに、縦柱22もしくは支柱部材3または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
この折り畳み可能なL型幅木34には、幅木本体の中央位置に上端部が塞ぎ板側に鉤状に折り曲げられた上下に作動可能なロックピン39の1個ないし複数個が、コイルバネ43によって下向きの付勢力が付与されている状態でロックピン取付け金具39dを介して幅木本体31に縦に取付けられており、そして、このロックピン39の取付け位置に対応する塞ぎ板36の基端部の位置にアングル40が取付けられている。なお、ここでは、ロックピン39およびアングル40の取付け位置は、蝶番37の取付け位置に対応している。
ただし、この折り畳み可能なL型幅木34においては、幅木本体31の側に折り畳む塞ぎ板36の幅が広いので、ロックピンの鉤39bの位置が折り畳まれる塞ぎ板36の縁部の位置よりも低くなる。したがって、そのままではロックピンの鉤39bが折り畳まれる塞ぎ板36に当たってしまうので、ロックピンの鉤39bを折り畳まれる塞ぎ板36の縁部に引っ掛けることができない。このため、塞ぎ板36を幅木本体31の側に折り畳むときにロックピンの鉤39bの位置に対応する塞ぎ板36の位置に、通し孔36eを開けて、この通し孔36eにロックピンの鉤39bを収納したのち、この通し孔36eの縁にロックピンの鉤39bを引っ掛けることによって、折り畳まれた塞ぎ板36が幅木本体31から離れることを邪魔することができる。
このロックピン39もロックピン39の側面に小型ピン44を備えており、実施例1と同様にして、水平方向の回転を防止できる。なお、コイルバネ43の取り付け方法も実施例1と同様である。したがって、コイルバネ43は小型ピン44とロックピン取付け金具39dを介して、ロックピン39に下向きの付勢力を与えることができる。また、ロックピン39を上方に引き上げると、小型ピン44はコイルバネ43を押し上げながら、ロックピン取付け金具39dの側面の長孔45内を上方へ動くことになる。
この折り畳み可能なL型幅木34は、図16(b)の最左端図にみるごとく、ロックピン39の取付け位置に対応する塞ぎ板36の基端部の位置に取付けられているアングル40の作用によって、塞ぎ板36を展開した状態を維持することができる。というのは、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもそのアングル40の一辺がロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板が幅木本体の側に回転することを邪魔することになるからである。
また、図16(c)の最左端図にみるごとく、幅木本体31に縦に取付けられている上下に作動可能なロックピン39の上端部に設けられた鉤39bによって、折り畳まれた塞ぎ板36の通し孔36eの縁部が引っ掛けられた状態になっているので、塞ぎ板36を折り畳んだ状態を維持することができる。しかも、コイルバネ43によってこのロックピン39に対して下向きの付勢力が付与されているので、ロックピン下端部39aはその作動範囲の最下端に留まっており、塞ぎ板36がどの方向に向いても塞ぎ板がロックピン39の鉤39bから外れることはない。したがって、この折り畳み可能なL型幅木34は、運搬時や保管時に塞ぎ板36がどの方向に向いてもその折り畳み状態を維持することができる。
次に、塞ぎ板36を幅木本体31の側に折り畳むためには、図16(b)に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げてから、塞ぎ板36を持ち上げれば幅木本体31の側に折り畳むことができる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、折り畳まれた状態となる。すなわち、ロックピン39の鉤39bによって折り畳まれた塞ぎ板36の通し孔36eの縁部が引っ掛けられた状態になるので、塞ぎ板36の折り畳み状態を維持することができる。
また、塞ぎ板を展開するためには、図16(c) に示されているように、コイルバネ43による下向きの付勢力に抗してロックピン39を手でもって上方に引き上げ、ロックピン39の上端部に設けられた鉤39bが折り畳まれた塞ぎ板36の通し孔36eの縁部に引っ掛かった状態を外したのち、塞ぎ板36を外側に回転させる。その後、ロックピン39から手を離せば、コイルバネ43による下向きの付勢力によって、ロックピン39はその作動範囲の最下部に位置して、展開された状態となる。すなわち、塞ぎ板36が幅木本体の側に回転しようとしてもそのアングル40の一辺がロックピン下端部39aに横から当たるので、塞ぎ板36が展開した状態を維持することができる。
次に、図17に、図16に示す折り畳み可能なL型幅木を建枠を用いる枠組足場に組み込んだときの一例を示す。(a)が平面図であり、(b)は右側面図、そして、(c)および(d)は(b)のD−D線矢視断面図である。なお、(a)〜(c)は塞ぎ板を展開してその縁部を床付き布枠の縁部の上に乗せ掛けた状態のものであり、(d)は塞ぎ板を幅木主材の側に折り畳んだときのものである。
ここで、1枚の床付き布枠9は、水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる長尺の主材の2本と、主材の長手方向の両端部に取付けられる掴み金具10と断面コの字形の梁材13から構成され、対面する横桟23の間に架け渡されて、仮設足場の作業床や通路として用いられている。
この折り畳み可能なL型幅木34は、幅木本体31を縦柱22に近接して設置し、幅木本体31の両端部に取付けられた固定金具32によって、横桟23の端部の上に固定される。そして、長尺の塞ぎ板36を開いて、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることによって、幅木本体31と床付き布枠9の間に生じる隙間16を塞ぐものである。ここで、横桟23端部の上に固定する代わりに、縦柱22または手摺部材20もしくは手摺枠に固定してもよい。
なお、図17(d)にみるごとく、本実施例4においては幅木本体31と床付き布枠9の間に生じる隙間16が実施例1における隙間16よりも広いが、本実施例4に係る折り畳み可能なL型幅木の塞ぎ板36はその幅が広いため、この隙間16を十分に塞ぐことができる。
このように、この折り畳み可能なL型幅木34を足場に設置すると、長尺の塞ぎ板36を展開して、その縁部を床付き布枠9の縁部の上に乗せ掛けることができるだけでなく、その塞ぎ板の展開状態を維持することができるので、幅木本体31と床付き布枠9の間の隙間を確実に塞ぐことができる。したがって、作業者の転倒・転落の防止とともに、工具や建築材等の落下防止を図ることができる。また、縦柱22の内側に形成される空間を広く作業床や通路として使用することができるなお、この折り畳み可能なL型幅木34は建枠を用いる枠組足場だけでなく、くさび緊結式足場やシステム支保工においても設置することができる。
また、この折り畳み可能なL型幅木34は、足場から外して、運搬や保管をする際には嵩張らないように、塞ぎ板36を幅木本体31側に折り畳むことができるだけでなく、その折り畳み状態を塞ぎ板の向きに関係なく維持することができる。したがって、運搬時や保管時の運搬時や保管時の取り扱い作業において、塞ぎ板の折り畳み後は、その占有容積を小さくすることができ、また、塞ぎ板の向きにかかわらず塞ぎ板が開くことを防止することができるので、運搬時や保管時の取り扱い作業を効率化することができる。