JP5702579B2 - コラーゲンペプチドとビタミンcを含有する顆粒又は粉末製剤 - Google Patents

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本発明は、コラーゲンペプチドとビタミンCを含有する顆粒又は粉末製剤に関する。
コラーゲンは生体を構成する細胞外の構造蛋白質で、ヒフや筋肉、骨などを構成している。コラーゲンは近年、平均分子量1500以下のペプチド組成物として、なかんずくコラーゲンの繰り返し構造であるGly−Pro−Hypの配列をもつトリペプチドを主体とするペプチドを経口的に摂取すると効率よく吸収され、生体内で再度コラーゲンとして再構成されるといわれている(特許文献1)。また、コラーゲンはヒフの保湿性をコントロールしており、コラーゲンの生体内での合成が不足すると、ヒフのタルミやシワの発生など、若年齢であっても老人様の外貌を呈するようになる。さらに、コラーゲンの合成が遅れると、骨格がもろくなり、骨折しやすくなるなどの問題が発生する。近年、抗老化を目的として積極的にコラーゲンを摂取することが進められており、精製したコラーゲンや、コラーゲンを加水分解したコラーゲンペプチドを高濃度に含有する健康食品が販売されている。
またコラーゲンは、生体内で合成されるためにはビタミンCが必須であり、ビタミンCが不足するとコラーゲンの構成が不完全となり、血管からの出血などを引き起こす壊血病を発症する。このため食品としてコラーゲンやコラーゲンを摂取する場合には、積極的にビタミンCを併用することが勧められている。
例えば、特許文献2(特開2004−23836号公報)には、魚由来のコラーゲンペプチドとビタミンC、ビタミンBを含有する組成物が、特許文献3(特開2007-320891号公報)には低分子化コラーゲンとビタミンCを含有する組成物が、特許文献4(特開2005−232089号公報)にはコラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン、ビタミンCを含有する骨量増加組成物が開示されている。
さらにまた、特許文献5(特開2005−119983号公報)にはコラーゲンと鉄、ビタミンCを含有する組成物が開示されている。
特開2002−255847号公報 特開2004−23836号公報 特開2007-320891号公報 特開2005−232089号公報 特開2005−119983号公報
本発明者は、コラーゲンペプチドとビタミンCを含有する粉末又は顆粒状の形状をしている飲食品の開発を進めたところ、保管中に顕著な褐変を呈し、製品の外観状の品質が低下することを知見した。本発明は、この褐変を抑制したコラーゲンペプチドとビタミンCを含有する粉末状または顆粒状組成物を提供することを目的とする。
本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)コラーゲンペプチドとビタミンC粉末を含有する粉末状又は顆粒状の組成物であって、ビタミンC粉末は、日本工業規格100メッシュの篩を通過するものが30質量%以下であることを特徴とする粉末状又は顆粒状の組成物。
(2)組成物が食品である(1)記載の組成物
(3)組成物医薬品である(1)記載の組成物
なお、本発明でいうコラーゲンペプチドとは、哺乳動物又は魚類由来のコラーゲンを酵素又は酸で加水分解し、平均分子量を1500以下としたものをいう。
本発明のコラーゲンペプチドとビタミンC粉末を含有する粉末状又は顆粒状の組成物は、保存中の変色や褐変を抑制することができた。
食品や医薬品に適応した場合に、変色や褐変が抑制されるので、外見の変質を防止でき、保存期間を長期間にすることができる。
ビタミンC結晶の粉砕程度がコラーゲンペプチドの褐変に及ぼす影響を確認した図面である。 ビタミンCの粒子中に占める100メッシュパスの粒子の含有量と褐変の進行の度合い(ΔE)の相関関係を確認した図である。
本発明は、コラーゲンペプチドとビタミンCを含有する粉末状又は顆粒状の組成物に関する。
コラーゲンペプチドは動物由来のコラーゲンをプロテアーゼ、特に好ましくはコラゲナーゼで酵素的に加水分解し、平均分子量を1500以下にしたペプチドを乾燥し、粉末としたものである。ペプチドはその構造中に複数アミノ基を有しており、ビタミンCの構造中に存在するカルボキシル基と反応する。この反応はアミノカルボニル反応又はメイラード反応と呼ばれており、食品に通常発生する反応である。この反応は、蛋白質又はペプチドと糖質(カルボキシル基を有する糖)と微量の水分と酸素が共存すると自動的に進行する。これを抑制するために、乾燥した酸化還元電位が還元状態に食品を置くことが効果的であるといわれている。
しかし、この反応を完全に抑制することは困難である。コラーゲンペプチドとビタミンC(アスコルビン酸)を混合するにあたり、アスコルビン酸の粒子サイズをコントロールすることで褐変を顕著に抑制することができることをはじめて見出した。
本発明の組成物に用いるビタミンCは、アスコルビン酸の結晶を物理的に粉砕し、篩い分けを行い、粉末の粒子径を調整したものを用いる。この粉末の粒子径が重要である
結晶ビタミンC(アスコルビン酸)は市販されているものを用いることができる。またアスコルビン酸の塩であっても良いが結晶化したものが好ましい。この結晶をローラーミル、ボールミル、ピンミル、スピードミルなどの粉砕機を用いて粉砕し、粉末とする。粉末の粒子径を、各種分級装置を用いて粒子径を調整し、粉末中の細かな粒子を除去することが好ましい。この場合ビタミンCの粒子を篩い分けしたとき、日本工業規格100メッシュの篩を通過するものが30%以下であることが好ましく、さらにはビタミンCの粒子を篩い分けしたとき、日本工業規格150メッシュの篩を通過するものが17%以下であることが好ましく、さらには篩い分けしたとき、日本工業規格200メッシュの篩を通過するものが13%以下であることが特に好ましい。
コラーゲンペプチドは上記したように、平均分子量が1500以下のペプチド組成物が好ましい。コラーゲンペプチドとビタミンC以外の賦形剤としては、特には限定されないが、酸化還元電位の高い物質、例えば金属塩などは好ましくない。コラーゲンペプチドとビタミンCの配合比率は特に限定されない。
本発明のコラーゲンペプチドとビタミンCを含有する組成物は健康食品、美容補助食品、医薬品などに使用することが好ましい。特に、夏場の高温多湿環境下で、変色を抑えることができ保存性を向上させることができる。
[褐変抑制効果とビタミンCの粒子サイズの関係性確認試験]
BASF社製の市販の結晶ビタミンC粉末及び結晶ビタミンCをピンミル(奈良機械製作所製)及びスピードミル(岡田精工製)で粉砕して、メッシュサイズの異なるビタミンC粉末を調製した。各粉末のメッシュサイズ(篩いを通過する率)を表1に示した。
上記で調整した各ビタミンCの粉末、並びに各篩い上に篩い分けされた粒子サイズのビタミンCとコラーゲンペプチド、ならびに添加物を下記表2の組成で混合し、アルミ蒸着袋に3グラムずつ充填し、ヒートシールをして密封し試験用サンプルとした。
HASP-FL1は、コラーゲンをコラゲナーゼにより平均分子量1500になるまで加水分解したものである(ゼライス株式会社製)。イーミックス―ALは、ビタミンEを粉末化した製剤である(エーザイフード・ケミカル株式会社製)。またその他賦形剤は、糖蜜フレーバー・スクラロース・アセスルファムカリウム・ソーマチン・エリスリトールを含有する混合物である。
保存試験は、40℃、50℃、60℃の恒温槽に保存し、2週間後に取り出し、褐変の状況を観察するとともに、色差計を用いて、各サンプルのスタート時の数値に対する色差ΔEを測定した。結果を下記表3、4、図1、図2に示す。なお図2はビタミンC粒子中に占める100メッシュパスの粒子の割合と褐変の度合いを示すΔEの変化の相関関係を確認したものである。この図からあきらかなように、ビタミンCの粒子サイズに対応して褐変が進行し、100メッシュパスのサイズのビタミンC粒子が少ないほど褐変の進行が少ないことが明らかとなった。
表3、表4の結果から、ビタミンCの粒子サイズはコラーゲンペプチドの褐変に大きな影響を及ぼし、100メッシュの篩いを通過する粒子径のビタミンCは、褐変に大きな影響を及ぼすことが判明した。また表1並びに表2から、このような微細なビタミンCの含有量はビタミンC粉末の30質量%以下とすべきことが判明した。
[製剤調製例]
表2の処方に基づいて粉末を秤量後、流動造粒法により造粒し顆粒状のコラーゲンとビタミンCを含有する顆粒状のコラーゲンペプチド含有食品を調製した。このコラーゲンペプチド含有食品を5g、アルミラミネートポリエチレンフィルムで密封包装し、密封製品とした。この密封製品を試験例と同様に、40℃、50℃、60℃の恒温槽に保存し、同様にしてΔEを測定するとともに、肉眼で褐変の度合いを観察した。いずれの温度帯でも肉眼上の褐変は認められずΔEも変化しなかった。
本発明は、顆粒状の組成物に対しても褐変を効果的抑制することが確認できた。

Claims (3)

  1. コラーゲンペプチドとビタミンC粉末を含有する粉末状又は顆粒状の組成物であって、ビタミンC粉末は、日本工業規格100メッシュの篩を通過するものが30質量%以下であることを特徴とする粉末状又は顆粒状の組成物。
  2. 組成物が食品である請求項1記載の組成物
  3. 組成物医薬品である請求項1記載の組成物
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