図1は本発明の一実施例を示す巻紙輪転印刷機の折機及びシータの正断面図、図2はシータ部の拡大正断面図、図3は断裁部の展開平面図、図4はカッター胴の側断面図、図5は第1搬送部の展開平面図、図6は第1搬送部の側面図、図7はエア吹きノズルの説明図、図8はずれ重ね部の展開平面図、図9はブレーキローラの側断面図、図10はサクションローラの側断面図、図11は第2搬送部の側面図、図12はエアダクト及びエア吹きテーブルの側面図、図13は制御ブロック図、図14はエア配管図、図15Aは薄紙時の風量特性図、図15Bは厚紙時の風量特性図、図16Aは薄紙時の厚さに応じた風量特性図、図16Bは薄紙時のシータの運転速度に応じた風量特性図、図17はエア吹きテーブルの位置決め制御の動作フロー図、図18はエア吹きテーブルの最適位置の説明図、図19はエア吹きテーブルの不適正な間隔の説明図である。
図1に示すように、巻紙輪転印刷機に付設された折機10の右半上部(折丁搬送方向下流側の上部)にシータ30が一体的に組み付けられ、図示しない印刷ユニットを経たウェブ(被搬送体)Waが折機10を通らずに、シータ30においてシート(被搬送体)Wbに断裁された後ずれ重ねされてシート出し(排出)されるようになっている。
尚、折機10においては、印刷ユニットを経たウェブWaは、先ず、上部ローラ11に付設された三角板12やガイドローラ対13からなる三角折装置で搬送方向に2つ折り(縦折り)された後、3段からなるニッピングローラ対14a〜14cで、2つ折りされたウェブWaに折目が付けられる。次に、2つ折りされたウェブWaは鋸刃胴(断裁胴)15や裁断胴(兼折胴)16からなる断裁装置で所定の長さに横裁ちされた後、裁断胴(兼折胴)16やくわえ胴17からなるくわえ折り装置で平行折りされて折丁となる。次に、平行折りされて折丁は、上下に対をなす搬送テープ18で搬送され、この搬送下でチョッパブレード(チョッパ折装置)19でチョッパ折り(平行折りされた折丁をさらに断裁面と直角に折り畳む)されて羽根車20や排紙コンベア21a,21bからなる排紙装置で所定ピッチに並べられて排出されるか、又はチョッパブレード19でチョッパ折りされずに直に羽根車22や排紙コンベア21bからなる排紙装置で所定ピッチに並べられて排出される。
シータ30は、図2に示すように、インフィード部31と断裁部32と第1搬送部(搬送装置)33とずれ重ね部34と第2搬送部(搬送装置)35と排出部36とを主たる構成として、折機フレーム24とは別に、上部において扉37a,37bで開閉されるシータフレーム38の内部に収容されている。
インフィード部31は、シータ30の外部において上,下二つのガイドローラ39とニッピングローラ対40で送給されたウェブWaが、ガイドローラ41を介してニッピングローラ対42によりシータ30の内部に引き込まれるようになっている。ニッピングローラ対42は、シータフレーム38間に図示しないシータ駆動モータにより駆動回転可能に軸支されたドラッグローラ43と、シータフレーム38間に架設されたステー44上にブラケット45を介して回転可能に支持されると共に調整機構46によりニップ圧が調整可能なコロ47とからなり、当該コロ47はローラ軸方向に所定間隔離間して複数個設けられる。尚、シータ30の外部におけるニッピングローラ対40も前記ニッピングローラ対42と同様に構成される。
断裁部32は、断面四角形の角筒体48上に固定された固定刃49と、倍胴で構成されたカッター胴50上に固定された二つの回転刃51a,51bのいずれか一方との剪断作用により、シータ30の内部に引き込まれたウェブWaを所定の長さのシートWbに断裁するようになっている。
図3に示すように、前記角筒体48はシータフレーム38間に架設される。そして、前記固定刃49はウェブWaの最大紙幅に対応した長さの矩形板状に形成されて複数本(図示例では胴軸方向に5本)の固定ねじ52により角筒体48の一側面上に支持板53を介して固定される。また、固定刃49は一対の調整ねじ54によりその刃先の突出量が調整可能になっている。尚、図示例では、固定刃49は、角筒体48の長手方向に二つ並んで設けられ、印刷ユニットを出て図示しないスリッターで縦裁ちされた二本のウェブWaの処理が可能になっている。
前記カッター胴50は、シータフレーム38間に偏心軸受メタル55を介してベアリング56により回転可能に軸支され、図示しないシータ駆動モータによりタイミングベルト等の巻掛け伝動機構57を介して回転駆動されるようになっている。
そして、カッター胴50には、図4に示すように、ウェブWaの最大紙幅に対応した長さの矩形板状に形成された回転刃(カッター刃)51a,51bが、胴外周の点対称位置に形成された切欠き58a,58b内に位置して、その刃先を胴外周から相反方向に突出させて、複数本(図示例では胴軸方向に5本)の固定ねじ59により固定される。尚、図中60は後述する刃先調整用の長孔である。
また、カッター胴50の胴外周には、前記各切欠き58a,58bから90°位相がずれた位置に、切欠き62a,62bがそれぞれ形成され、これらの切欠き62a,62b内に、前記回転刃51a,51bの刃先の前記カッター胴50における半径方向の突出量(図中の回転軌跡C参照)を調整する複数本(図示例では胴軸方向に9本)の調節ボルト(調節装置)63a,63bがそれぞれ配置される。
前記各調節ボルト63a,63bは、各切欠き62a,62bに固設された胴軸方向に長い板状のナット部材64の雌ねじにそれぞれ螺合してカッター胴50を貫通し、その先端部が押圧部材65aを介して(又は直接)回転刃51a,51bの裏面に当接することで調整可能になっている。即ち、各調節ボルト63a,63bの螺子込み度合いにより、回転刃51a,51bの刃先側における当該回転刃51a,51bの厚さt方向の弾性変形量(撓み量)が変化することで、刃先の前記カッター胴50における半径方向の突出量が調整されるのである。
尚、板状のナット部材64には各調節ボルト63a,63bの本数分の雌ねじが長手方向に形成される。また、図中65bは各調節ボルト63a,63bをその調整位置で固定するロックナットである。さらに、回転刃51a,51bも、前述した固定刃49と同様に、カッター胴50の長手方向に二つ並んで設けられ、印刷ユニットを出て図示しないスリッターで縦裁ちされた二本のウェブWaの処理が可能になっている。
第1搬送部(搬送装置)33は、断裁部32を通過して未だ断裁されていないウェブWaの先端側や断裁されたシートWbに対し、フローティングテーブル66上を高速搬送すると共にニッピングローラ対67により送りをかけるようになっている。
図5及び図6に示すように、ニッピングローラ対67は、シータフレーム38間に軸受等を介して回転可能に軸支され、図示しないシータ駆動モータによりタイミングベルト等の巻掛け伝動機構68を介して回転駆動される送りローラ69と、シータフレーム38間に架設されたステー70上にブラケット71(図2参照)を介して回転可能に支持されると共に調整機構72(図2参照)によりニップ圧が調整可能なコロ73(図2参照)とからなる。
前記コロ73はローラ軸方向に所定間隔離間して複数個(例えば、後述するエア吹きテーブル75a〜75j間に位置して8個、即ち前述した一本のウェブWaに対し4個)設けられる。また、各コロ73はブラケット71における固定ねじ61(図2参照)を緩めることでステー70の長手方向へそれぞれ移動可能になっている。尚、送りローラ69はシータの運転速度(印刷機の速度)よりも若干周速を上げてウェブWaに張力を付与するようになっている。
フローティングテーブル66は、前記ステー70上にブラケット74a〜74jを介して複数個(図示例では前述した一本のウェブWaに対し5個)のエア吹きテーブル(案内部材)75a〜75jがステー70の長手方向へ所定間隔離間して支持されてなる。各エア吹きテーブル75a〜75jは、角パイプ状に形成されてウェブWa及びシートWbの搬送方向へ延設されると共に、後述する駆動手段76によりステー70の長手方向(被搬送体の幅方向)へそれぞれ移動可能になっている。ここで「ウェブWa及びシートWb」としたのは、エア吹きテーブル75a〜75jが断裁部32による断裁前のウェブWaと断裁後のシートWbを案内することになるからである。
各エア吹きテーブル75a〜75jの表面(案内面)にウェブWa及びシートWbの搬送方向へ複数個(図6中で中心線のみで示した例では12個)に亙って開口されたエア吹きノズル(エア吹き開口)77は、図7に示すように、扇状に形成されてエアを前記搬送方向下流側に向けて広角的に吹き出すようになっている。そして、前記搬送方向上流側では狭いピッチP1で開口され、下流側ではそれより広いピッチP2で開口されるようになっている。従って、エア吹きノズル77から吐出されるエア流は、エア吹きテーブル75a〜75jの表面に沿うエア流となり、このエア流によりウェブWa又はシートWbはエア吹きテーブル75a〜75jの表面に接触することなく引き寄せられると共にエアの流れ方向に搬送される。
前記駆動手段76は、ステー70の長手方向に延びて、当該ステー70に固設された一対のブラケット150a,150b間に回転自在に支持された上,下二本の送り棒151a,151bと、これら送り棒151a,151bをそれぞれ個別に回転駆動するためにブラケットを介してステー70に固設されたモータ145a,145bとを有する。これら送り棒151a,151bにはそれぞれ逆ねじ(左ねじと右ねじ)が形成されている。
そして、上位の送り棒151aには最外側の2個のエア吹きテーブル75a,75eをそれぞれ支持するブラケット74a,74eの雌ねじ152aが螺合し、下位の送り棒151bには前記エア吹きテーブル75a,75eの内側の2個のエア吹きテーブル75b,75dをそれぞれ支持するブラケット74b,74dの雌ねじ152aが螺合している。真ん中のエア吹きテーブル75cを支持するブラケット74cは単にステー70に固定される。尚、図5中152cは前記2個のエア吹きテーブル75b,75dをそれぞれ支持するブラケット74b,74dに形成されたバカ孔である。
従って、上位の送り棒151aが正転することにより、最外側の2個のエア吹きテーブル75a,75eが互いに接近する方向に同じ量だけ移動するとともに、逆転することにより、互いに離反する方向に同じ量だけ移動して、それぞれ最適位置に位置決めされる。一方、下位の送り棒151bが正転することにより、前記内側の2個のエア吹きテーブル75b,75dが互いに接近する方向に同じ量だけ移動するとともに、逆転することにより、互いに離反する方向に同じ量だけ移動して、それぞれ最適位置に位置決めされる。また、図示例では、駆動手段76がステー70の長手方向に二つ並んで設けられ、前述した縦裁ちされた二本のウェブWaにそれぞれ対応可能になっている。
また、各エア吹きテーブル75a〜75jの前記搬送方向上流側の裏面にはエアホース78a〜78jの下流側端部がそれぞれ連通接続され、この各エアホース78a〜78jの上流側端部が、シータフレーム38間にそれぞれブラケット79を介して横架されたエアダクト80の各吹出口80a〜80jにそれぞれ連通接続されている。エアダクト80はエアホース81を介してブロア82(図14参照)に連通接続され、このブロア82は図示しないコンプレッサー等のエア供給源に連通接続される。そして、エアダクト80の各吹出口80a〜80jには、各エア吹きテーブル75a〜75jのエア吹きノズル77から吹き出すエア量(風量)を調整するとともにエア吐出を断接する制御弁(断接手段)83a〜83jが介装される。
ずれ重ね部34は、ブレーキローラ85とこれに対をなす倍胴からなるサクションローラ86とで、第1搬送部33から送られてきた先行シートWbの後端側に後行シートWbの先端側を順次重ねるようになっており、これにより、第2搬送部35と排出部36とでずれ重ねされた状態でシート出しが行われるようになっている。詳細には、第1搬送部33からサクションローラ86へと高速搬送される先行シートWbの後端側を、後述する帯状ブラシ108の落とし込みにより、サクションローラ86の1/10程度の周速で回転されるブレーキローラ85に吸引させることで当該先行シートWbを減速させ、この低速搬送下の先行シートWbの後端側に高速搬送されてくる後行シートの先端側をサクションローラ86による吸引作用下で重ねるのである。
図8に示すように、ブレーキローラ85は先端側が蓋体87により閉塞された内筒88と高摩擦材製のスリーブ89で被嵌されて基端側が蓋体90により閉塞された外筒91からなり、内筒88の基端側が作業側のシータフレーム38に支持筒92を介して回転不能に支持されると共に、外筒91の基端側が原動側のシータフレーム38に軸受メタル93を介してベアリング94により回転可能に軸支される。前記内筒88の基端部外周と外筒91の先端部内周との間にはシールリング95とベアリング96が介装されると共に、内筒88先端の蓋体87と外筒91基端の蓋体90の軸部外周との間にはベアリング97が介装される。尚、図中98は内筒88の蓋体87にねじ止めされて内,外筒88,91の周間隙を端面側において閉塞するシールリングである。そして、外筒91は図示しないシータ駆動モータによりタイミングベルト等の巻掛け伝動機構99を介して回転駆動される。
前記内筒88の基端側は、制御弁100を介装した支持筒92及び図示しないバキュームホースを介して図示しないバキュームポンプに連通接続される。また、内筒88には、図9に示すように、筒軸方向に長いスリット状の連通孔101が周方向に一箇所形成される。図示例では、連通孔101が筒軸方向に二つ並んで設けられ、前述した縦裁ちされた二本のウェブWaにおけるそれぞれのシートWbに対応可能になっている。一方、外筒91には、周方向に多数の吸引孔102が形成される。これらの吸引孔102は前述した縦裁ちされた二本のウェブWaにおけるそれぞれのシートWbに対応して筒軸方向に複数列(図示例では前述した一本のウェブWaに対し13列)形成される。
そして、前記内筒88の外周面には、連通孔101の両側に位置して、外筒91との周間隙を周方向に仕切る二つのシールバー103a,103bが筒軸方向に延設される。即ち、図9中の矢印方向に回転する外筒91の吸引孔102の全てが、連通孔101を介して負圧状態下にある内筒88の内部空間に連通して吸引作用を奏するのではなく、外筒91の回転により二つのシールバー103a,103bがなす角度θ1の範囲内に位置する吸引孔102だけが連通孔101を介して内筒88の内部空間に連通して吸引作用を奏するのである。図示例では、吸引終了位置となるシールバー103bが吸引開始位置となるシールバー103aより連通孔101に近接して設けられている。
サクションローラ86は、先端側が蓋体104により閉塞された内筒105と基端側が蓋体106により閉塞された外筒107からなる。外筒107の外周面には、筒断面の点対称位置に筒軸方向に長い帯状ブラシ108が基板部108aにおいて埋設され、ブラシ部108bを外筒107の外周面から所定の長さ突出させている(図10参照)。図示例では、帯状ブラシ108が筒軸方向に二つ並んで設けられ、前述した縦裁ちされた二本のウェブWaにおけるそれぞれのシートWbに対応可能になっている。
内筒105の基端側が作業側のシータフレーム38に支持筒109を介して回転不能に支持されると共に、外筒107の基端側が原動側のシータフレーム38に軸受メタル110を介してベアリング111により回転可能に軸支される。前記内筒105の基端部外周と外筒107の先端部内周との間にはシールリング112とベアリング113が介装されると共に、内筒105先端の蓋体104と外筒107基端の蓋体106の軸部外周との間にはベアリング114が介装される。尚、図中115は内筒105の蓋体104にねじ止めされて内,外筒105,107の周間隙を端面側において閉塞するシールリングである。そして、外筒107は図示しないシータ駆動モータによりタイミングベルト等の巻掛け伝動機構116を介して回転駆動される。
前記内筒105の基端側は、制御弁117を介装した支持筒109及び図示しないバキュームホースを介して図示しないバキュームポンプに連通接続される。また、内筒105には、図10に示すように、筒軸方向に長いスリット状の連通孔118が周方向に一箇所形成される。図示例では、連通孔118が筒軸方向に二つ並んで設けられ、前述した縦裁ちされた二本のウェブWaにおけるそれぞれのシートWbに対応可能になっている。一方、外筒107には、周方向に多数の吸引孔119が形成される。これらの吸引孔119は前述した縦裁ちされた二本のウェブWaにおけるそれぞれのシートWbに対応して筒軸方向に複数列(図示例では前述した一本のウェブWaに対し24列)形成される。
そして、前記内筒105の外周面には、連通孔118の両側に位置して、外筒107との周間隙を周方向に仕切る二つのシールバー120a,120bが筒軸方向に延設される。即ち、図10中の矢印方向に回転する外筒107の吸引孔119の全てが、連通孔118を介して負圧状態下にある内筒105の内部空間に連通して吸引作用を奏するのではなく、外筒107の回転により二つのシールバー120a,120bがなす角度θ2の範囲内に位置する吸引孔119だけが連通孔118を介して内筒105の内部空間に連通して吸引作用を奏するのである。図示例では、吸引終了位置となるシールバー120bが吸引開始位置となるシールバー120aより連通孔118に近接して設けられている。
第2搬送部35は、ずれ重ね部34でずれ重ねされたシートWb列を後述するフローティングテーブル121で排出部36へ搬送するようになっている。詳細には、図11に示すように、原動側と作業側のシータフレーム38にピン支持部122を介してL型レバー123における水平レバー部123aの基端側が回動自在に支持される。L型レバー123における垂直レバー部123bの基(上)端側には、ヘッド部基端がシータフレーム38にピン124支持された流体圧シリンダ125のピストンロッド先端がピン126結合される。従って、流体圧シリンダ125の伸縮作動によりL型レバー123が揺動し、図示例では、流体圧シリンダ125の伸長によりL型レバー123がピン支持部122を中心に図2及び図11中反時計方向(退避方向)に回動して後述するフローティングテーブル121及びスクレーパ127が退避可能になっている。図中128はL型レバー123の時計方向(作用位置方向)の回動を規制するストッパで、この規制によりフローティングテーブル121及びスクレーパ127は作用位置にセットされる。ストッパ128はストッパボルトであり、その螺子込み量を変えることによりフローティングテーブル121及びスクレーパ127の作用位置を微調整することができる。
そして、原動側と作業側のL型レバー123における垂直レバー部123bの先(下)端部間にステー129が架設され、このステー129上に前述したフローティングテーブル121及びスクレーパ127が支持される。
前記フローティングテーブル121は、複数個(図示例では前述した一本のウェブWaに対し5個)のエア吹きテーブル130a〜130jがステー129の長手方向へ所定間隔離間して支持されてなる。各エア吹きテーブル130a〜130jは角パイプ状に形成されてシートWbの搬送方向へ延設される。
また、各エア吹きテーブル130a〜130jの表面(案内面)に、シートWbの搬送方向へ複数個(図示例では6個)に亙って開口されたエア吹きノズル(エア吹き開口)133は、扇状に形成されてエアを前記搬送方向下流側に向けて広角的に吹き出すようになっている(図7参照)。
また、各エア吹きテーブル130a〜130jの前記搬送方向中間部の裏面には、図12に示すように、エアホース131a〜131jの下流側端部がそれぞれ連通接続され、この各エアホース131a〜131jの上流側端部が、原動側と作業側のL型レバー123における水平レバー部123a間にそれぞれブラケット136を介して横架されたエアダクト132の各吹出口132a〜132jにそれぞれ連通接続されている。エアダクト132はエアホース133を介してブロア82(図14参照)に連通接続され、このブロア82は図示しないコンプレッサー等のエア供給源に連通接続される。そして、エアダクト132の各吹出口132a〜132jには、各エア吹きテーブル130a〜130jのエア吹きノズル133から吹き出すエア量(風量)を調整するとともにエア吐出を断接ずる制御弁(断接手段)134a〜134jが介装される。
前記スクレーパ127は、サクションローラ86に吸引されたシートWbの先端側がそのままサクションローラ86に巻き付いて搬送されるのを防止して、シートWbを第2搬送部35へ円滑に移送するもので、サクションローラ86の所定の回転位相でスクレーパ127の先端部を当該サクションローラ86の外周面とシートWbの先端側との間に臨入させてシートWbの先端側をサクションローラ86の外周面から強制的に剥がすようになっている。
図示例では、スクレーパ127が二本と三本とに適宜組み合わされて、前述した縦裁ちされた二本のウェブWaにおけるそれぞれのシートWbに対応してステー129の長手方向に複数個(図示例では前述した一本のウェブWaに対し5個(二本組が2個で三本組が3個))取り付けられる。これらのスクレーパ127に対応して、前述したサクションローラ86における外筒107の外周面と帯状ブラシ108にはスクレーパ127の先端部との干渉を回避する案内溝107a,108cがスクレーパ127に対応した数だけ形成されている。
排出部36は、上下に対をなす搬送テープ135a,135bを有し、第2搬送部35からずれ重ね状態で低速搬送されてきたシートWb列をそのままの状態を維持して図示しない紙積み装置へ排出するようになっている。
そして、本実施例では、図14に示すように、図示しないエア供給源から単一のブロア82を介して第1搬送部33のフローティングテーブル66における各エア吹きテーブル75a〜75jへ送られるエア量(風量)とエア吐出の断接は、第1搬送部33のエアダクト80における各吹出口80a〜80jに介装した制御弁83a〜83jにより個別に調整・制御される。
即ち、図13に示すように、ブロア82及び制御弁83a〜83jと前述したモータ145a,145bは、CPU、ROM及びRAM、入出力装置及びインタフェースからなるマイクロコンピュータ等の制御装置(制御手段)140により駆動制御される。この制御装置140には、ウェブWaの厚さを入力する厚さ入力手段141とシータ30の運転速度を検出する速度検出手段142とウェブWa(シートWb)の大きさを入力する紙サイズ入力手段143とモータ145a,145bに内蔵されてその角度位置を検出するエンコーダ144a,144bからの検出信号がそれぞれ入力される。厚さ入力手段141としては、オペレータによる手入力や機械上での自動厚さ測定が用いられる。尚、図13及び図14において、制御弁83a〜83jを制御弁1〜10と併記し、これに対応させてエア吹きテーブル75a〜75jをエア吹きテーブル1〜10と併記したのは、説明の便宜上、後述する図15A,図15B及び図16A,図16Bの風量特性図、図17のエア吹きテーブルの位置決め制御の動作フロー図、図18のエア吹きテーブルの最適位置の説明図における制御弁及びエア吹きテーブル番号1〜10の数字にそれぞれ対応させるためである。
そして、制御装置140は、図15Aに示すように、厚さ入力手段141に入力されたウェブWa(シートWb)の厚さが、基準値よりも小さい場合(薄紙時)に、ウェブWa(シートWb)の幅方向両端側に対応するエア吹きテーブル(エア吹きノズル)1,6及び5,10から吹き出される風量、即ち制御弁1,5及び6,10により制御される風量が、ウェブWa(シートWb)の幅方向中央側に対応するエア吹きテーブル(エア吹きノズル)2,3,4及び7,8,9から吹き出される風量、即ち制御弁2,3,4及び7,8,9により制御される風量よりも小さくなるように各制御弁83a〜83jの開度を制御する。
一方、図15Bに示すように、厚さ入力手段141に入力されたウェブWa(シートWb)の厚さが、基準値よりも大きい場合(厚紙時)には、後述する紙厚やシータ30の運転速度に関係なく、すべてのエア吹きテーブル(エア吹きノズル)1〜10から吹き出される風量が最大風量となるように、各制御弁83a〜83jを全開制御するようになっている。
また、制御装置140は、図16Aに示すように、前述した薄紙時の制御において、厚さ入力手段141に入力されたウェブWa(シートWb)の厚さt1,t2,t3(t3>t2>t1)に応じた風量となるように各制御弁83a〜83jの開度を制御しても良い。即ち、薄紙であっても、紙厚が薄くなるほど相対的に風量が小さくなるように、そして紙厚が厚くなるほど相対的に風量が大きくなるように制御されるのである。
また、制御装置140は、図16Bに示すように、前述した薄紙時の制御において、速度検出手段142で検出されたシータ30の運転速度v1,v2(v2>v1)に応じた風量となるように各制御弁83a〜83jの開度を制御しても良い。即ち、薄紙であっても、シータ30の運転速度が遅くなるほど相対的に風量が小さくなるように、そしてシータ30の運転速度が速くなるほど相対的に風量が大きくなるように制御されるのである。
尚、前述した薄紙時の制御において、図16A及び図16Bに示したように、ウェブWa(シートWb)の厚さやシータ30の運転速度に応じて風量を相対的に可変制御する場合、各制御弁83a〜83jの開度制御に代えて、ブロア82の出力を制御することで行っても良い。
また、制御装置140は、紙サイズ入力手段143とエンコーダ144a,144bからの検出信号に基づいてモータ145a,145bと電磁弁83a〜83j(83cと83hを除く)を駆動制御し、エア吹きテーブル75a〜75j(75cと75hを除く)を最適位置に位置決めするとともにエア吹きテーブル75a〜75j(75cと75hを除く)からのエア吐出を断接するようになっている。
即ち、図17のエア吹きテーブルの位置決め制御の動作フロー図に示すように、先ず、ステップP1で紙サイズ入力手段143からの入力信号によりウェブWa(シートWb)の紙サイズを読み込み、その後ステップP2で紙サイズが所定値以上か否かを判断する。ここで所定値とは、エア吹きテーブル1(6)、5(10)を後述する紙端位置(最適位置)に合せて、全テーブルを等間隔(一本のウェブWa(シートWb)に対し)に位置決めした時に、その間隔が25mm以上になる紙サイズである。尚、間隔が25mm以上かつ60mm以下であれば全テーブルが等間隔である必要はなく、ばらばらでも良い。
次に、前記ステップP2で可であれば、ステップP3でウェブWa(シートWb)両端のエア吹きテーブル1(6)、5(10)を駆動手段76により即ち、モータ145aにより送り棒151aを正転又は逆転させて紙端位置(最適位置)に位置決めした後、ステップP4でエア吹きテーブル1(6)〜5(10)が等間隔となるようエア吹きテーブル2(7)、4(9)を駆動手段76により即ち、モータ145bにより送り棒151bを正転又は逆転させて位置決めする。
そして、ステップP5でエア吹きテーブル1(6)〜5(10)に対応する制御弁1(6)〜5(10)を開く。
一方、前記ステップP2で否であれば、ステップP6でウェブWa(シートWb)両端のエア吹きテーブル1(6)、5(10)を駆動手段76により即ち、モータ145aにより送り棒151aを正転又は逆転させてウェブWa(シートWb)側方の退避位置に位置決めした後、ステップP7でエア吹きテーブル2(7)、4(9)を駆動手段76により即ち、モータ145bにより送り棒151bを正転又は逆転させて紙端位置(最適位置)に位置決めする。ここで、退避位置とは、エア吹きテーブルがウェブWa(シートWb)の幅方向で当該ウェブWa(シートWb)の外側に位置付けられる位置である。
そして、ステップP8で退避位置に位置付けられたエア吹きテーブル1(6)、5(10)に対応する制御弁1(6)、5(10)を閉じる一方、エア吹きテーブル2(7)〜4(9)に対応する制御弁2(7)〜4(9)を開く。
尚、前述したエア吹きテーブル1(6)、5(10)又は2(7)、4(9)の紙端位置(最適位置)は、図18に示すように、小さい紙サイズW1であるウェブWa(シートWb)の幅方向両端に位置決めされたエア吹きテーブル2(7)、4(9)と、大きい紙サイズW2であるウェブWa(シートWb)の幅方向両端に位置決めされたエア吹きテーブル1(6)、5(10)のエア吹きノズル77が、ウェブWa(シートWb)に覆われるとともにウェブWa(シートWb)の幅方向端縁に近接する位置である。つまり、ウェブWa(シートWb)でエア吹きノズル77をぎりぎり隠す位置である。
また、エア吹きテーブル1(6)〜5(10)の間隔L1〜L4は、エア吹きノズル77から吹き出されたエアを逃がすとともにウェブWa(シートWb)の落ち込みを防止するために、25mm以上かつ60mm以下が好適である(薄紙だと25mm以上かつ50mm以下が望ましい)。即ち、図19に示すように、エア吹きテーブル1(6)〜5(10)の間隔L1〜L4が広すぎると、ウェブWa(シートWb)の自重と逃げるエアによりウェブWa(シートWb)が沈み込み、逆に狭すぎると、エアの逃げが不完全となってウェブWa(シートWb)が持ち上がり、不安定な搬送状態となるのである。
このように構成されるため、本実施例のシータ30によれば、インフィード部31のニッピングローラ対42によりシータ30の内部に引き込まれたウェブWaは、第1搬送部33のフローティングテーブル66の表面に引き寄せられるとともにエア流により搬送され、ニッピングローラ対67により若干加速されて張力が付与された状態で断裁部32の固定刃49と回転刃51a,51bにより所定の長さのシートWbに断裁される。次いで、断裁部32で順次断裁されたシートWbは、第1搬送部33のフローティングテーブル66とニッピングローラ対67により搬送されてずれ重ね部34に送られる。次いで、ずれ重ね部34のブレーキローラ85とサクションローラ86により第1搬送部33から送られてきた先行シートWbの後端側に後行シートWbの先端側を順次重ねられ、このずれ重ねされたシートWb列が第2搬送部35のフローティングテーブル121により低速されて排出部36へ送られる。最後に、排出部36の搬送テープ135a,135bにより、第2搬送部35から低速搬送されてきたシートWb列がずれ重ね状態を維持して紙積み装置へ排出される。
そして、本実施例では、第1搬送部33のフローティングテーブル66において、ウェブWa(シートWb)の厚さが、基準値よりも小さい場合(薄紙時)に、ウェブWa(シートWb)の幅方向両端側に対応するエア吹きテーブル(エア吹きノズル)1,6及び5,10から吹き出される風量が、ウェブWa(シートWb)の幅方向中央側に対応するエア吹きテーブル(エア吹きノズル)2,3,4及び7,8,9から吹き出される風量よりも小さくなるように、各制御弁83a〜83jの開度が制御される(図15A参照)。
これにより、薄く腰のないウェブWa(シートWb)であっても、シートWbの詰まりを無くしシートWbを整然として排出することができる。即ち、薄く腰のないウェブWa(シートWb)では、当該部での後方からの送り力のみが作用する場合にはウェブWa(シートWb)が折り曲げられてしまう(座屈してします)が、本実施例における構成では、薄く腰のないウェブWa(シートWb)に対して、当該部での後方からの送り力だけでなくエア吹きテーブル(エア吹きノズル)1〜10から吹き出されるエアにより、ウェブWa(シートWb)の先端側にも搬送力が作用するので、ウェブWa(シートWb)が折り曲げられる(座屈する)ことがないのである。
また、ウェブWa(シートWb)の両端側における風量を中央側よりも小さくすることにより、搬送力増大によるウェブWa(シートWb)の振動が防止されて、シートWbが不揃いになったり、紙詰まりを生じることが未然に回避されると共に、全体として風量を強くすることができ、ウェブWa(シートWb)の搬送に求められる最大限の風量を得ることができる。尚、前述したウェブWa(シートWb)の幅方向における風量制御によりウェブWa(シートWb)の振動を抑制できることは、本発明者等の幾多の実験等で確認済みである。
また、前述した薄紙時の制御において、ウェブWa(シートWb)の厚さやシータ30の運転速度に応じた風量となるように各制御弁83a〜83jの開度を制御すれことにより、より細かい制御が可能となり、省エネルギーが達成される。同様に、前述した薄紙時の制御において、ウェブWa(シートWb)の厚さやシータ30の運転速度に応じて風量を相対的に可変制御する場合、各制御弁83a〜83jの開度制御に代えて、ブロア82の出力を制御することで行うことにより、制御動作の簡略化が図れる。
また、本実施例では、ウェブWa(シートWb)の幅方向のサイズに基づいて、ウェブWa(シートWb)の搬送方向にエアを吹き出すエア吹きノズル77を備えた複数のエア吹きテーブル1(6)〜5(10)のうち、少なくともウェブWa(シートWb)の幅方向両端に位置するエア吹きテーブル1(6)、5(10)又は2(7)、4(9)を最適な位置に位置付けて、エア吹きノズル77からの吐出エアによる搬送力を効果的に得られるようにしたので、ウェブWa(シートWb)を安定して確実に搬送させることができる。加えて、前記エア吹きテーブル1(6)、5(10)又は2(7)、4(9)の最適位置の条件下で、全てのテーブルの間隔を25mm以上かつ60mm以下(薄紙だと25mm以上かつ50mm以下が望ましい)に設定するようにしたので、前述したウェブWa(シートWb)の安定搬送がより一層助長される。勿論、前述した風量制御と本位置制御(制御弁の断接制御も含む)を併せて実施すればすこぶる有効であることは言うまでもない。
また、本実施例では、断裁部32において、カッター胴50における回転刃51a,51bの刃先の前記カッター胴50における半径方向の突出量は、カッター胴50を貫通する各調節ボルト63a,63bの螺子込み度合いにより、回転刃51a,51bの刃先側が当該回転刃51a,51bの厚さt方向に弾性変形することで、調整可能になっている。
これにより、各調節ボルト63a,63bの螺子込み度合いを調整する即ち、調節ボルト63a,63bを締めるか緩めるかという簡単な動作で、回転刃51a,51bの刃先の前記カッター胴50における半径方向の突出量を増大させたり、又は減少させたりでき、調整が容易でありかつ短時間で行える。また、各調節ボルト63a,63bの調整操作は、回転刃51a,51bの取付部位から90°位相がずれた、即ち、回転刃51a,51bの反対側のカッター胴50の外周位置から行うので、広い作業スペースで安全かつ迅速に調整作業が行える。
また、本実施例では、ずれ重ね部34において、ブレーキローラ85とサクションローラ86に全周的に形成された吸引孔102及び119は、それぞれ外筒91及び107の回転により二つのシールバー103a,103b及び120a,120bがなす角度θ1及びθ2の範囲内に位置する吸引孔102及び119だけが吸引作用を奏するようになっている。
これにより、内,外筒88,91及び105,107間の周間隙に連通孔101及び118を挟んで二つのシールバー103a,103b及び120a,120bを設けるという簡単な構造により、必要時に所定期間に亙って効率よく吸引作用が奏せられ、省エネルギーが図れる
また、本実施例では、第2搬送部35において、流体圧シリンダ125の伸縮作動で揺動可能な一対のL型レバー123により、当該一対のレバー123にステー129を介して支持されたフローティングテーブル121及びスクレーパ127が作用位置と退避位置とに切替可能になっている。
これにより、紙詰まり等のトラブル時やメンテナンス時の作業が広い作業スペースで安全かつ迅速に行える。
また、第1搬送部33や第2搬送部35のエア吹きテーブル75a〜75j及び130a〜130jにおけるエア吹きノズル77及び133は扇状に形成されてエアを搬送方向下流側に向けて広角的に吹き出すようになっているので、エア吹きテーブル75a〜75j及び130a〜130jをウェブWa(シートWb)の幅方向にとびとびに配置しても十分な搬送力が得られる。加えて、第1搬送部33のエア吹きテーブル75a〜75jにおけるエア吹きノズル77は、前記搬送方向上流側では狭いピッチP1で開口され、下流側ではそれより広いピッチP2で開口されるようになっているので、断裁部32を通過するウェブWaの初速を早めて円滑に高速搬送できる。
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、回転刃51a,51bにおける刃先の半径方向の突出量を調整する調節ボルト63a,63bに代えて、回転刃51a,51bの刃先側を当該回転刃51a,51bの厚さt方向に弾性変形させられる他の構造の調整装置を用いても良い。また、ブロア82及び制御弁83a〜83jとモータ145a,145bを制御する制御装置140は、マイクロコンピュータに代えて他のコンロローラを用いても良い。また、第1搬送部33及び第2搬送部35のエア吹きテーブル75a〜75j及び130a〜130jの形状や個数を変更しても良い。また、第2搬送部25における制御弁134a〜134やエア吹きテーブル130a〜130jも第1搬送部33における制御弁83a〜83jやエア吹きテーブル75a〜75jと同様に制御しても良い。また、本発明はウェブを縦裁ちせずに一列にシート出しするシータにも適用できることは言うまでもない。