JP5698989B2 - 研磨液組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨液組成物の製造方法及び該製造方法により製造される研磨液組成物に関する。
近年のメモリーハードディスクドライブには、高容量・小型化が求められ、記録密度を上げるために磁気ヘッドの浮上量を低下させて、単位記録面積を小さくすることが求められている。それに伴い、磁気ディスク用基板の製造工程においても研磨後に要求される表面品質は年々厳しくなってきている。即ち、ヘッドの低浮上化に応じて、表面粗さ、微小うねり、ロールオフ及び突起を低減する必要があり、単位記録面積の減少に応じて、許容される基板面当たりのスクラッチ数は少なく、その大きさと深さはますます小さくなってきている。
また、半導体分野においても、高集積化と高速化が進んでおり、特に高集積化では配線の微細化が要求されている。その結果、半導体基板の製造プロセスにおいては、フォトレジストに露光する際の焦点深度が浅くなり、より一層の表面平滑性が望まれている。
このような要求に対して、表面平滑性の向上を目的に、被研磨物の表面に生じる傷(スクラッチ)の低減を図るべく、遠心分離や多段ろ過を用いて粗大粒子数を低減した研磨液組成物及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2006−075975号公報 特開2006−136996号公報
より高容量、高集積といった高密度化に対応するためには、基板表面のスクラッチのみならず、基板表面のパーティクルをも低減する必要がある。また、従来の方法では、研磨材スラリー原料を遠心分離や多段ろ過する必要があるため、生産時間が長く、高コストとなる。
したがって、本発明は、研磨後の被研磨物の表面粗さが小さく、且つ高密度化において重要となるパーティクルを効果的に低減できる研磨液組成物を経済的に製造できる研磨液組成物の製造方法、及び該製造方法により製造される研磨液組成物を提供する。
本発明は、一態様において、一次粒子の平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカを含有する被処理研磨液組成物を、ろ過助剤を含むフィルターでろ過処理する工程を有する研磨液組成物の製造方法であって、前記ろ過助剤は、BET比表面積が4.0m2/g以上であり、且つ窒素吸着法による0.15μm以下の積算細孔容積が0.3mL/g以上である研磨液組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、その他の態様において、本発明の研磨液組成物の製造方法によって製造されうる研磨液組成物に関する。
本発明によれば、被処理研磨液組成物中の粗大粒子及び澱を効果的に除去することができ、研磨後の基板表面のスクラッチ及びパーティクルを効果的に低減できる研磨液組成物を製造できる。
本発明は、研磨液組成物中の澱がパーティクルの原因であり、さらに、BET比表面積が4.0m2/g以上であり、且つ窒素吸着法による0.15μm以下の積算細孔容積が0.3mL/g以上であるろ過助剤を用いたフィルターでろ過処理することにより効果的に研磨液組成物中の澱を除去できる、という知見に基づく。
すなわち、本発明は、一態様において、一次粒子の平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカを含有する被処理研磨液組成物を、ろ過助剤を含むフィルターでろ過処理する工程を有する研磨液組成物の製造方法であって、前記ろ過助剤が、BET比表面積が4.0m2/g以上であり、且つ窒素吸着法による0.15μm以下の積算細孔容積が0.3mL/g以上である研磨液組成物の製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、被処理研磨液組成物中の粗大粒子及び澱を効果的に除去することができ、研磨後の基板表面のスクラッチ及びパーティクルを効果的に低減できる研磨液組成物を製造できる。また、遠心分離や多段ろ過をしなくても被処理研磨液組成物中の粗大粒子及び澱を効率的に除去することができるため、好ましくは、研磨液組成物の生産時間の短縮、コスト低減が可能である。
したがって、本発明の製造方法で製造された研磨液組成物を、例えば、高密度化又は高集積化用の精密部品基板の研磨工程に用いると、微細なスクラッチ及びパーティクルを効果的に低減でき、且つ、表面性状に優れた高品質のメモリーハードディスク基板及び半導体素子用基板等の精密部品基板を経済的に製造することができうる。
本発明の製造方法により研磨後の基板表面のスクラッチ及びパーティクルを低減できる研磨液組成物を経済的に製造できる理由は明らかではないが、前記所定の物性を有するろ過助剤を含むフィルター内部に存在する数十μmの間隙、すなわち、前記ろ過助剤粒子間に形成される粒子間隙、該粒子の2次凝集体のサブミクロン間隙、及び、該ろ過助剤粒子自体に存在するサブミクロン小孔の間隙などにより、スクラッチ及びパーティクルの原因となる澱が効率的に除去されるためと推定される。但し、本発明はこれらに限定されなくてもよい。
本明細書において「粗大粒子」とは、粒径0.5μm以上の粗大なコロイダルシリカ粒子であり、研磨液組成物(被処理研磨液組成物を含む)中の粗大粒子数は、後述の実施例に記載のPSS社製「アキュサイザー780APS」により定量評価することができ、0.45μmフィルター通液量によっても間接的に評価することができる。なお、本明細書中、研磨液組成物中のコロイダルシリカ粒子とは、一次粒子のみならず、一次粒子が凝集した凝集粒子をも含むものとする。また、本明細書において「澱」とは、50〜500nmのシリカ凝集体であり、後述するΔCV値や研磨評価により澱の量を間接的に評価することができる。
本明細書において「スクラッチ」とは、特に、メモリーハードディスク基板又は半導体素子用基板において、高密度化又は高集積化に重要となる物性であり、深さが1nm以上、100nm未満、幅が5nm以上、500nm未満、長さが100μm以上の基板表面の微細な傷である。このスクラッチは、後述の実施例に記載の光学式全面欠陥検査機(OSA6100:KLA−Tencor製)で検出することができ、スクラッチ本数として定量評価できる。さらに原子間力顕微鏡(AFM)を用いて深さと幅を計測することができる。
本明細書において「パーティクル」とは、基板上の突起物であり、高密度化又は高集積化の障害となり得るものである。研磨後の基板上のパーティクルは、後述の実施例に記載の光学式全面欠陥検査機(OSA6100:KLA−Tencor製)による測定でパーティクル数として定量評価できる。パーティクル部分を走査型電子顕微鏡(SEM)で分析することで、突起物の材質(シリカ、アルミナ、チタニア、Fe化合物(ステンレス)、有機物、ニッケル化合物(NiP研磨くず、水酸化ニッケル等)の同定が可能である。さらに原子間力顕微鏡(AFM)を用いて突起物の長さと幅を計測することができる。
[研磨液組成物の製造方法]
本発明の研磨液組成物の製造方法(以下「本発明の製造方法」ともいう。)は、一次粒子の平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカを含有する被処理研磨液組成物を、BET比表面積が4.0m2/g以上であり、且つ窒素吸着法による0.15μm以下の積算細孔容積が0.3mL/g以上であるろ過助剤を含むフィルター(以下「ろ過助剤含有フィルター」とも言う。)でろ過処理する工程を有する。
[ろ過助剤]
本発明の製造方法に用いられるろ過助剤としては、例えば、二酸化ケイ素、カオリン、酸性白土、珪藻土、パーライト、ベントナイト、タルク等の不溶性の鉱物性物質が挙げられる。前記ろ過助剤のうち、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライトが好ましく、珪藻土、パーライトがより好ましく、珪藻土がさらに好ましい。
前記ろ過助剤は、スクラッチ及びパーティクルの低減並びに研磨液組成物の生産性向上の観点から、酸で前処理されていることが好ましい。ろ過助剤を酸で前処理することにより、ろ過助剤の0.15μm以下の細孔容積を増大させ、粗大粒子や澱をより効果的に除去することができると推定される。但し、本発明はこのメカニズムに限定されなくてもよい。ここで、酸による前処理とは、ろ過助剤を無機酸や有機酸等の酸水溶液に一定時間浸漬させる処理のことであり、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、シュウ酸、クエン酸による処理等が挙げられる。スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸による処理がより好ましく、塩酸、硫酸、ホスホン酸による処理がさらに好ましい。
前記ろ過助剤のBET比表面積は、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、4.0m2/g以上であり、好ましくは10.0m2/g以上であり、より好ましくは15.0m2/g以上である。また、研磨液組成物の生産性向上の観点から、前記比表面積は、好ましくは1000.0m2/g以下、より好ましくは100.0m2/g以下、さらに好ましくは50.0m2/g以下である。したがって、前記比表面積は、好ましくは4.0〜1000.0m2/g、より好ましくは10.0〜100.0m2/g、さらに好ましくは15.0〜50.0m2/gである。なお、ろ過助剤のBET比表面積は、実施例に記載の方法により求めることができる。
前記ろ過助剤の窒素吸着法よる0.15μm以下の積算細孔容積は、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、0.3mL/g以上であり、好ましくは0.4mL/g以上、より好ましくは0.6mL/g以上である。また、前記積算細孔容積は、研磨液組成物の生産性向上の観点から、好ましくは100.0mL/g以下、より好ましくは50.0mL/g以下、さらに好ましくは10.0mL/g以下である。したがって、前記積算細孔容積は、好ましくは0.3〜100.0mL/g、より好ましくは0.4〜50.0mL/g、さらに好ましくは0.6〜10.0mL/gである。ここで、ろ過助剤の窒素吸着法による0.15μm以下の積算細孔容積とは、窒素吸着法によるろ過助剤の容積基準の細孔分布における0.15μm以下の細孔容積の総和であり、具体的には、実施例に記載の方法により求めることができる。
前記ろ過助剤に対して0.015MPaの条件で水をろ過させたときの前記ろ過助剤の水の透過率(以下、「前記ろ過助剤の透過率」とも言う。)は、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、好ましくは9.9×10-142以下であり、より好ましくは5.0×10-142以下であり、さらに好ましくは3.0×10-142以下である。また、研磨組成物の生産性向上の観点から、前記透過率は、好ましくは2.0×10-152以上であり、より好ましくは5.0×10-152以上であり、さらに好ましくは9.9×10-152以上である。したがって、前記透過率は、好ましくは2.0×10-15〜9.9×10-142であり、より好ましくは5.0×10-15〜5.0×10-142であり、さらに好ましくは9.9×10-15〜3.0×10-142である。ここで、前記ろ過助剤の透過率は、具体的には、実施例に記載の方法により求めることができる。
前記ろ過助剤のレーザー平均粒径は、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜18μm、さらにより好ましくは1〜16μm、さらにより好ましくは1〜13μmである。ここで、ろ過助剤の「レーザー平均粒径」とは、レーザー式粒度分布測定装置により測定されたろ過助剤粒子の平均粒径であり、実施例に記載の方法により測定することができる。
[ろ過助剤含有フィルター]
本発明に用いられるろ過助剤含有フィルターは、前記ろ過助剤をフィルター表面及び/又はフィルター内部に含有するものであれば特に制限されない。スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、フィルター目開きがろ過助剤の平均粒径の1/10以下であることが好ましく、1/20以下がより好ましく、1/30以下がさらに好ましい。ろ過助剤含有フィルターに加えて、さらにろ過助剤のボディーフィードを組み合わせて用いてもよい。
前記ろ過助剤含有フィルターにおけるろ過助剤の含有量(g/cm2)は、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、好ましくは0.001g/cm2以上、より好ましく0.005g/cm2以上、さらに好ましくは0.01g/cm2以上、さらにより好ましくは0.02g/cm2以上、さらにより好ましくは0.04g/cm2以上である。また、ろ過速度向上の観点からは、好ましくは1g/cm2以下、より好ましくは0.8g/cm2以下、さらに好ましくは0.6g/cm2以下、さらにより好ましくは0.4g/cm2以下、さらにより好ましくは0.2g/cm2である。したがって、ろ過助剤の含有量(g/cm2)は、好ましくは0.001〜1g/cm2、より好ましくは0.005〜0.8g/cm2、さらに好ましくは0.01〜0.6g/cm2、さらにより好ましくは0.02〜0.4g/cm2、さらにより好ましくは0.04〜0.2g/cm2である。
前記ろ過助剤含有フィルター内のろ過助剤は、一実施形態として、実質的に前述のろ過助剤からなることが挙げられる。また、その他の実施形態において、前記ろ過助剤含有フィルターは、本発明の効果を妨げない範囲において、前述のろ過助剤以外のろ過助剤を含有してもよく、前述のろ過助剤以外の物質を含有してもよい。前述のろ過助剤以外のろ過助剤としては、例えば、セルロース、活性炭等が挙げられる。フィルターからのろ過助剤の漏れ防止の観点から、セルロースが好ましい。
前記ろ過助剤含有フィルターのフィルター材料としては、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、セルロースアセテート、ナイロン、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)などのプラスティック、セラミック、金属メッシュ等が挙げられるが、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、セルロースアセテート、ナイロン、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)などのプラスティックが好ましく、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、セルロースアセテート、ナイロンがより好ましく、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがさらに好ましい。
前記ろ過助剤含有フィルターの形状は特に限定されないが、取り扱い易さ、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、シート型、円筒型、円盤型、折込型が好ましく、シート型、円盤型、折込型がより好ましく、円盤型、折込型がさらに好ましい。
[ろ過処理]
前記ろ過助剤含有フィルターによるろ過の条件は、特に限定されないが、ろ過精度向上と生産性向上の両立の観点から、ろ過時の差圧は、0.01〜10MPaが好ましく、0.05〜1MPaがより好ましく、0.05〜0.5MPaがさらに好ましい。ろ過助剤含有フィルターの段数は、ろ過精度向上と生産性向上の両立の観点から、1〜5段が好ましく、1〜3段がより好ましく、1〜2段がさらの好ましい。ろ過速度は、ろ過精度向上と生産性向上の両立の観点から、0.1〜30L/(分・m2)が好ましく、0.5〜20L/(分・m2)がより好ましく、1〜10L/(分・m2)がさらに好ましい。
本発明の製造方法では、研磨液組成物の製造に従来から用いられているデプス型フィルターやプリーツ型フィルターをさらに組み合わせて使用することが、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から好ましい。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、デプス型フィルターで被処理研磨液組成物をろ過した後、前記ろ過助剤含有フィルターでろ過処理することが好ましく、デプス型フィルターで被処理研磨液組成物をろ過した後、前記ろ過助剤含有フィルターでろ過し、さらにプリーツ型フィルターでろ過することがより好ましい。デプス型フィルターで特に大きな粗大粒子を除去することで、前記ろ過助剤含有フィルターの優れた性能がさらに顕著に発揮され、効率的な粗大粒子及び澱の除去を可能にすると推定される。
本発明に用いられるデプス型のフィルターの具体例としては、バッグ式(住友スリーエム社等)の他、カートリッジ式(アドバンテック東洋社、日本ポール社、CUNO社、ダイワボウ社等)のフィルターが挙げられる。
デプス型フィルターとは、ろ過材の孔構造が入口側で粗く、出口側で細かく、且つ入口側から出口側へ向かうにつれて連続的に又は段階的に細かくなる特徴を持つ。即ち、粗大粒子の中でも大きな粒子は入口側付近で捕集され、小さな粒子は出口側付近で捕集されるため、効果的なろ過が可能である。デプス型フィルターの形状は、袋状のバッグタイプでもよく、また、中空円筒形状のカートリッジタイプでもよい。また、前記特徴を有するろ過材を単にヒダ状に成形加工したものは、デプス型フィルターの機能を有するためデプス型フィルターに分類される。
本発明の製造方法において、デプス型フィルターは、1段で用いてもよく、多段で組み合わせて(例えば直列配置で)用いてもよいが、生産性向上の観点からは異なる径のフィルターを大きい順番に多段にすることが好ましい。また、バッグタイプとカートリッジタイプとを組み合わせて用いてもよい。多段ろ過は、被処理研磨液組成物中の粗大粒子数に応じ、適宜フィルターの孔径とろ過材の構造を適切に選択し、更に該フィルターの処理順序を適切に選択することで、除去する粗大粒子の粒径制御(ろ過精度)と経済性を向上できる。即ち、孔構造が大きいフィルターを細かいフィルターより前段(上流側)で用いると、フィルターの寿命を製造工程全体として長くできる効果がある。
本発明の製造方法に用いられるプリーツ型フィルターとしては、一般にろ過材をヒダ状(プリーツ状)に成形加工して、中空円筒形状のカートリッジタイプ式にしたもの(アドバンテック東洋社、日本ポール社、CUNO社、ダイワボウ社等)を用いることができ、プリーツ型フィルターは、厚み方向の各部分で捕集するデプス型フィルターと異なり、ろ過材の厚みが薄く、フィルター表面での捕集が主体と言われており、一般的にろ過精度が高いことが特徴である。
プリーツ型フィルターは、1段で用いてもよく、多段で組合せて(例えば直列配置で)用いてもよい。また、多段ろ過は、粗大粒子数に応じ、適宜フィルターの孔径とろ過材の構造を適切に選択し、該フィルターの処理順序を適切に選択することで、本発明における研磨液組成物の生産性を向上することができる。即ち、孔構造が大きいフィルターを細かいフィルターより前段(上流側)で用いると、フィルターの寿命を全体として長くできる。さらに、後に用いるフィルターは、同孔径のフィルターを多段にすることで、研磨液組成物中の品質をより安定化させることができる。
ろ過工程全体では、デプス型フィルターろ過、前記ろ過助剤含有フィルターろ過、プリーツ型フィルターろ過の順に用いると、フィルターの寿命を全体として長くでき、本発明における研磨液組成物を経済的に生産できるため好ましい。
前記デプス型フィルター及びプリーツ型フィルターの孔径は、一般に99%除去可能なろ過精度として表され、例えば孔径1.0μmとは、直径1.0μmの粒子を99%除去可能なフィルターを示している。
前記デプス型フィルターの孔径は、粗大粒子除去負荷軽減の観点から、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下、更に好ましくは2.0μm以下である。
また、前記デプス型フィルターを多段(例えば直列配置)にする場合は、最終フィルターの孔径がサブミクロン以下のものを用いると、前記ろ過助剤含有フィルターを用いたろ過処理における粗大粒子除去負荷が更に軽減し、より生産性の向上を図ることができる。
前記プリーツ型フィルターの孔径は、粗大粒子低減の観点から1.0μm以下が好ましく、より好ましくは0.8μm以下、更に好ましくは0.6μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。
本発明の製造方法におけるろ過処理の方式としては、繰り返しろ過する循環式でもよく、1パス方式でもよい。また、1パス方式を繰り返すバッチ式を用いてもよい。通液方法は、加圧するために、循環式では好ましくはポンプが用いられ、1パス方式ではポンプを用いる他に、タンクに空気圧等を導入することでフィルター入口圧力の変動幅が小さい加圧ろ過法を用いることが出来る。
本発明の製造方法において、前記デプス型フィルターやプリーツ型フィルターを用いる他、一般的な分散あるいは粒子除去工程を設けてもよい。例えば、高速分散装置や高圧ホモジナイザー等の高圧分散装置を用いた分散法や、遠心分離装置等による沈降法も利用できる。これらを用いて処理する場合、それぞれ単独で処理しても2種以上を組み合わせて処理しても良く、組み合わせの処理順序についても何ら制限はない。また、その処理条件や処理回数についても、適宜選択して使用することができる。
[被処理研磨液組成物及びコロイダルシリカ]
本発明に使用される被処理研磨液組成物は、前記ろ過助剤含有フィルターによるろ過処理に供される前の研磨液組成物をいい、コロイダルシリカ及び水を含む。使用される水としては、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。被処理研磨液組成物の状態としては、コロイダルシリカが分散した状態が好ましい。被処理研磨液組成物は、一実施形態において、実質的にコロイダルシリカ及び水から構成されうる。本実施形態において、後述の研磨液組成物に配合され得る他の成分を前記ろ過処理後に添加して研磨液組成物を製造することができる。また、被処理研磨液組成物は、その他の実施形態において、後述の研磨液組成物に配合され得る他の成分の全部又は一部を含んでいてもよい。
本発明においては、一次粒子の平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカを含有する被処理研磨液組成物をろ過助剤含有フィルターに供することで、研磨液組成物を製造することができる。具体的には、コロイダルシリカ、水、及び他の成分を混合して製造された被処理研磨液組成物をろ過に供したり、或いは、コロイダルシリカ及び水を含有した被処理研磨液組成物をろ過に供したりした後、得られたろ過物に他の成分を混合することで研磨液組成物を製造することができる。
本発明において使用されるコロイダルシリカは、例えば珪酸水溶液から生成させる製法によって得ることができる。また、これら研磨粒子を官能基で表面修飾あるいは表面改質したもの、界面活性剤や他の研磨材で複合粒子化したもの等も用いることができる。
コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、スクラッチを低減する観点及び表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra、Peak to Valley値:Rmax)を低減する観点から、1〜100nmであり、1〜50nmが好ましい。さらに、研磨速度を向上させる観点から、より好ましくは3〜50nm、さらに好ましくは5〜40nm、さらに好ましくは5〜30nmである。ここで、コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、実施例に記載の方法により測定される値である。
前記被処理研磨液組成物中のコロイダルシリカの含有量は、スクラッチ及びパーティクルを低減する観点及び生産性を向上する観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは20〜40重量%、さらにより好ましくは、30〜40重量%である。
〔pH〕
前記被処理研磨液組成物のpHは、粗大粒子の発生抑制及びコロイダルシリカの安定性向上の観点から、好ましくは9〜11、より好ましくは9.2〜10.8、さらに好ましくは9.4〜10.6、さらにより好ましくは9.5〜10.5である。また、本発明において製造される研磨液組成物のpHについて特に制限はないが、当該研磨液組成物を研磨に使用する場合、pHは0.1〜7で使用することが好ましい。アルカリ性においては、酸性に比べてスクラッチが発生しやすい傾向にある。その発生機構は明らかではないが、研磨粒子同士が表面電荷によって強く反発し合うアルカリ性雰囲気下では、研磨液組成物中に含有される研磨一次粒子の凝集物あるいは粗大研磨一次粒子が研磨部において密な充填ができずに、研磨圧力下で局部荷重を受けやすくなるためと推定される。pHは、被研磨物の種類や要求特性に応じて決定することが好ましく、被研磨物の材質が金属材料では、研磨速度を向上させる観点から、pHは、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下、さらにより好ましくは3以下である。また、人体への影響や研磨装置の腐食防止の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは1.4以上である。特に、ニッケル−リン(Ni-P)メッキされたアルミニウム合金基板のように被研磨物の材質が金属材料の精密部品用基板においては、前記観点を考慮してpHは、0.5〜6が好ましく、より好ましくは1.0〜5、さらに好ましくは1.4〜4、さらにより好ましくは1.4〜3である。
[研磨液組成物]
本発明は、その他の態様において、上述の本発明の製造方法により製造される或いはされうる研磨液組成物(以下、「本発明の研磨液組成物」とも言う。)に関する。本発明の研磨液組成物は、一実施形態において、コロイダルシリカ及び水に加え、後述する酸若しくはその塩又はアルカリ、アニオン性基を有する水溶性高分子、及び/又は酸化剤を含む形態が挙げられる。但し、本発明の研磨液組成物はこれらの形態に限定されない。
被研磨物を研磨する際の本発明の研磨液組成物中のコロイダルシリカの含有量は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、また、経済的に表面品質を向上させる観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは13重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下である。従って、研磨速度を向上させ、且つ経済的に表面品質を向上させる観点からは、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜13重量%、さらにより好ましくは5〜10重量%である。ここで、コロイダルシリカの含有量は、研磨液組成物製造時における含有量あるいは使用時における含有量のいずれであってもよく、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈して用いる場合が多い。
本発明の研磨液組成物及び前記被処理研磨液組成物に使用される水としては、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。研磨液組成物中の水の含有量は、100重量%から研磨材及び他の成分を除いた残部に相当し、60〜99重量%が好ましく、80〜97重量%がより好ましい。
本発明の研磨液組成物は、酸若しくはその塩、又はアルカリを含んでもよい。前記酸及びその塩としては、具体的には、硝酸、硫酸、亜硝酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸又はそれらの塩、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸又はそれらの塩、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸又はそれらの塩、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸又はそれらの塩、などが挙げられる。中でもスクラッチを低減する観点から、本発明の研磨液組成物は、無機酸又は有機ホスホン酸及びそれらの塩を含むことが好ましい。
前記無機酸又はそれらの塩の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸又はそれらの塩がより好ましく、前記有機ホスホン酸又はそれらの塩の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はそれらの塩がより好ましい。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
前記酸の塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニア、アルキルアミンとの塩が挙げられる。金属の具体的な例としては、周期律表(長周期型)の1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。スクラッチを低減する観点から、アンモニア又は1A族に属する金属が好ましい。
本発明の研磨液組成物中における前記酸及びその塩の含有量は、研磨速度向上、並びに研磨後の基板表面のスクラッチ低減の観点から、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜4重量%であり、さらに好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2.0重量%である。
本発明の研磨液組成物は、研磨後の基板のスクラッチ、パーティクル及び表面粗さの最大値(AFM‐Rmax)の低減の観点から、アニオン性基を有する水溶性高分子(以下、「アニオン性高分子」とも言う。)を含有することが好ましい。ここで「水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。該高分子は、研磨時の摩擦振動を低減して研磨パッドの開孔部からのシリカ凝集体の脱落を防止し、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さの最大値(AFM‐Rmax)を低減するものと推定される。
前記アニオン性高分子のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられるが、スクラッチ低減の観点から、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有するものがより好ましく、スルホン酸基を有するものがさらに好ましい。なお、これらのアニオン性基は中和された塩の形態を取ってもよい。
前記アニオン性高分子が塩の形態である場合、好ましい塩としては、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。前記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられ、アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの金属の中でも、表面粗さ、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から1A、3B、又は8族に属する金属が好ましく、1A族に属するナトリウム及びカリウムがより好ましい。これらの塩の中では、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましい。
前記アニオン性高分子は、アニオン性基を有する単量体を公知の手段により重合することにより製造することができる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
また、前記アニオン性高分子は、上記以外の構成単位成分を含有することができる。その他の構成単位成分として使用できる単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物が挙げられる。
生産性を損なうことなく研磨後の基板のスクラッチ、パーティクル及び表面粗さの最大値(AFM‐Rax)を低減する観点から、前記アニオン性高分子の好ましい具体例としては、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル/スチレンスルホン酸共重合体が挙げられるが、同様の観点から、ポリアクリル酸、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、スチレン/イソプレンスルホン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上がより好ましく、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
前記アニオン性高分子が、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体である場合、(メタ)アクリル酸と2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との重合モル比((メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)は、研磨後の基板表面のスクラッチ及びパーティクルの低減の観点から、95/5〜40/60が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40がさらに好ましく、95/5〜70/30がさらにより好ましく、95/5〜75/25がさらにより好ましく、95/5〜80/20がさらにより好ましく、95/5〜85/15がさらにより好ましい。
前記アニオン性高分子の重量平均分子量は、スクラッチ及びパーティクル低減及び生産性維持の観点から、500以上10万以下が好ましく、より好ましくは500以上5万以下、さらに好ましくは500以上2万以下、さらにより好ましくは1000以上1万以下、さらにより好ましくは1000以上8000以下、さらにより好ましくは1000以上5000以下、さらにより好ましくは1000以上4000以下、さらにより好ましくは1000以上3000以下である。該重量平均分子量は、具体的には、実施例に記載の測定方法により測定される。
本発明の研磨液組成物中における、前記アニオン性高分子の含有量は、スクラッチ及びパーティクル低減と生産性との両立の観点から、0.001〜1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは0.008〜0.2重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.1重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.075重量%である。
前記研磨液組成物は、研磨速度向上の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。研磨速度を向上させる観点から、本発明の研磨液組成物に使用できる好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
前記研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、基板の表面粗さ低減の観点から、好ましくは4重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。従って、表面品質を保ちつつ研磨速度を向上させるためには、上記含有量は、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
また、前記研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。例えば、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。
本発明の研磨液組成物の、0.45μmフィルター通液量は、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、25mL以上であることが好ましく、30mL以上がより好ましく、50mL以上がさらに好ましく、70mL以上がさらにより好ましく、100mL以上がさらにより好ましい。ここで、研磨液組成物のフィルター通液量とは、実施例に記載の方法により測定される値である。
また、本発明の研磨液組成物における粗大粒子の含有量は、スクラッチ低減の観点から、好ましくは0.5〜10万個/mL、より好ましくは0.5〜5万個/mL、さらに好ましくは0.5〜4万個/mL、さらにより好ましくは0.5〜3万個/mLである。ここで、研磨液組成物における粗大粒子の含有量は、実施例に記載の方法により測定される。
また、本発明の研磨液組成物のΔCV値は、スクラッチ及びパーティクルを低減する観点及び生産性を向上する観点から、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.1〜4%、さらにより好ましくは0.1〜3%、さらにより好ましくは0.1〜2%である。研磨液組成物のΔCV値と、粗大粒子や澱に由来すると考えられるコロイダルシリカ凝集体(非球状粒子)の含有量との間には相関関係があるため、研磨液組成物のΔCV値を前記所定範囲にすることで、研磨後のスクラッチ及びパーティクルを低減できると考えられる。
ここで、前記研磨液組成物のΔCV値とは、動的光散乱法による検出角30度(前方散乱)の散乱強度分布に基づく測定で得られる、標準偏差を平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値(CV30)と、検出角90度(側方散乱)の散乱強度分布に基づく測定で得られる、標準偏差を平均粒径で除して100を掛けた変動係数の値(CV90)との差(ΔCV=CV30−CV90)であり、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。
動的光散乱法では、原理的に200nm以下の真球状粒子分散溶液を測定した場合、散乱強度分布は検出角に関係なくほぼ一定の結果が得られるため測定結果は検出角に依存しない。しかし、非球状粒子を含む真球状粒子分散溶液の動的光散乱の散乱強度分布は非球状粒子の存在により検出角によって大きく変化し、低角の検出角ほど散乱強度分布は分布がブロードになる。そのため、動的光散乱の散乱強度分布の測定結果は検出角に依存することとなり、「動的光散乱法により測定される散乱強度分布の角度依存性」の指標の1つであるΔCV値を測定することで、球状粒子分散溶液中に存在するわずかな非球状粒子を測定できると考えられる。なお、本発明はこれらのメカニズムに限定されない。
本明細書において「散乱強度分布」とは、動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)又は準弾性光散乱(QLS:Quasielastic Light Scattering)により求められるサブミクロン以下の粒子の3つの粒径分布(散乱強度、体積換算、個数換算)のうち散乱強度の粒径分布のことをいう。通常、サブミクロン以下の粒子は溶媒中でブラウン運動をしており、レーザー光を照射すると散乱光強度が時間的に変化する(ゆらぐ)。この散乱光強度のゆらぎを、例えば、光子相関法(JIS Z 8826)を用いて自己相関関数を求め、キュムラント(Cumulant)法解析により、ブラウン運動速度を示す拡散係数(D)を算出して、さらにアインシュタイン・ストークスの式を用い、平均粒径(d:流体力学的径)を求めることができる。また、粒径分布解析は、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)のほかに、ヒストグラム法(Marquardt法)、ラプラス逆変換法(CONTIN法)、非負最小2乗法(NNLS法)等がある。
動的光散乱法の粒径分布解析では、通常、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)が広く用いられている。しかしながら、粒子分散液中にわずかに存在する非球状粒子の検出を可能とする検出方法においては、ヒストグラム法(Marquardt法)やラプラス逆変換法(CONTIN法)による粒径分布解析から平均粒径(d50)と標準偏差を求め、CV値(Coefficient of variation:標準偏差を平均粒径で割って100をかけた数値)を算出し、その角度依存性(ΔCV値)を用いることが好ましい。
本明細書において「粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性」とは、動的光散乱法により異なる検出角で前記粒子分散液の散乱強度分布を測定した場合の、散乱角度に応じた散乱強度分布の変動の大きさをいう。例えば、検出角30度と検出角90度とでの散乱強度分布の差が大きければ、その粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性は大きいといえる。
[研磨方法]
本発明の製造方法にて得られた研磨液組成物は、例えば、不織布の有機高分子系研磨布等(研磨パッド)と被研磨基板との間に供給され、即ち、研磨液組成物が研磨パッドを貼り付けた研磨盤で挟み込まれた基板研磨面に供給され、所定の圧力の下で研磨盤及び/又は基板を動かすことにより、基板に接触しながら研磨する工程に用いられる。この研磨によりスクラッチ及びパーティクルの発生を顕著に抑えることができる。したがって、本発明は、さらにその他の態様において、基板の研磨方法であって、本発明の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして研磨することを含む基板の研磨方法に関する。
[基板の製造方法]
本発明の研磨液組成物は、特に精密部品用基板の製造に好適である。例えば磁気ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、光ディスク、フォトマスク基板、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板などの精密部品基板の研磨に適している。半導体基板の製造においては、シリコンウエハ(ベアウエハ)のポリッシング工程、埋め込み素子分離膜の形成工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込み金属配線の形成工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において本発明の製造方法にて得られた研磨液組成物を用いることができる。
本発明の研磨液組成物は、ポリッシング工程において特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えばラッピング工程等にも同様に適用することができる。
本発明の研磨液組成物を用いる好適な被研磨物の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨物に好適である。例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板により適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板が更に適している。
被研磨物の形状には特に制限は無く、例えばディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状のものに本発明の研磨液組成物は用いられる。中でも、ディスク状の被研磨物の研磨に優れている。
基板の製造工程において、複数の研磨工程がある場合、2工程目以降に本発明の製造方法にて得られた研磨液組成物を用いるのが好ましく、スクラッチ及びパーティクルを顕著に低減し、優れた表面平滑性を得る観点から、仕上げ研磨工程に用いられるのがより好ましい。仕上げ研磨工程とは、複数の研磨工程がある場合、少なくとも一つの最後の研磨工程を指す。
その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、各工程毎に基板を洗浄することが好ましい。なお、研磨機としては、特に限定されない。このようにして製造された基板は、スクラッチ及びパーティクルが顕著に低減されており、且つ表面平滑性に優れたものである。即ち、研磨後の表面粗さ(AFM-Ra)は、例えば1Å以下、好ましくは0.9Å以下、より好ましくは0.8Å以下である。
また、製造された基板はスクラッチが極めて少ないものである。従って、該基板が、例えば、メモリーハードディスク基板である場合には、記録密度750GB/Disk(3.5インチ)、さらには1TB/Disk(3.5インチ)のものにも対応することができる。
下記ろ過助剤を用いてろ過助剤含有フィルターを作製し、該フィルターで被処理研磨液組成物を処理して研磨液組成物を得て、該研磨液組成物で被研磨基板を研磨した。
[被処理研磨液組成物]
被処理研磨液組成物として、コロイダルシリカスラリーA(日揮触媒化成社製、一次粒子の平均粒径24nm、シリカ粒子濃度40重量%品)及びコロイダルシリカスラリーB(日揮触媒化成社製、一次粒子の平均粒径50nm、シリカ粒子濃度40重量%品)を用いた。被処理研磨研磨液組成物及び研磨液組成物におけるコロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径、ΔCV値、粗大粒子量、0.45μmフィルター通液量は、以下のように測定した。
〔コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径の測定方法〕
まず、コロイダルシリカスラリーA又はBを固形分で1.5g分を200mLビーカーに採取し、イオン交換水100mLを加えてスターラーで混合する。次に、電位差滴定装置を用いて、0.1mol/Lの塩酸標準溶液で試料溶液のpHを3.0に調整する。塩化ナトリウム30.0gを加えスターラーで溶解して、ビーカーの150mLの標線までイオン交換水を加えスターラーで混合する。恒温水槽(20±2℃)に約30分間浸漬する。電位差滴定装置を用いて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム標準溶液で滴定をおこない、pHが4.0から9.0まで変化するときに使用された水酸化ナトリウム標準溶液の量(g)(A)を読み取る。同時に空試験をおこない、空試験の滴定に要した水酸化ナトリウム標準溶液の量(g)(B)を読み取る。そして、下記計算式により平均粒子径(nm)を算出する。
平均粒子径(nm)=3100÷26.5×(A−B)÷試料採取量(g)
〔ΔCV値の測定方法〕
測定試料は、ろ過助剤を含むフィルターでろ過処理する前(又は後)のコロイダルシリカスラリーを、硫酸(和光純薬工業社製 特級)、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、サーモスジャパン製)、過酸化水素水(旭電化製 濃度:35重量%)をイオン交換水で希釈した水溶液に添加し、これらを混合した後に1.20μmフィルター(ザルトリウス社製 Minisart 17593)でろ過して調製した。コロイダルシリカ、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ、5重量%、0.4重量%、0.1重量%、0.4重量%とした。得られた測定試料20mLを専用の21φ円筒セルに入れて、大塚電子社製動的光散乱装置DLS−6500にセットした。同装置に添付された説明書に従い、200回積算した際の検出角90度におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求めた。また、検出角90度におけるコロイダルシリカのCV値(CV90)を、上記測定法に従って測定した散乱強度分布における標準偏差を前記粒径で除して100をかけた値として算出した。前記CV90の測定法と同様に、検出角30度におけるコロイダルシリカのCV値(CV30)を測定し、CV30からCV90を引いた値を求め、シリカ粒子のΔCV値とした。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time : 4(μm)
Correlation Channel : 256(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature : 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time : 10(μm)
Correlation Channel : 1024(ch)
Correlation Method : TI
Sampling temperature : 26.0(℃)
〔粗大粒子量の測定方法〕
測定試料は、ろ過助剤を含むフィルターでろ過処理する前(又は後)のコロイダルシリカスラリーを6mLのシリンジで下記測定機器に注入し、粗大粒子量を測定した。
・測定機器:PSS社製「アキュサイザー780APS」
・インジェクション・ループ・ボリューム(Injection Loop Volume):1mL
・フローレート(Flow Rate):60mL/min
・データ・コレクション・タイム(Data Collection Time):60 sec
・チャンネル数(Number Channels):128
〔フィルター通液量の測定方法〕
測定試料は、ろ過助剤を含むフィルターでろ過処理する前(又は後)のコロイダルシリカスラリーを所定のフィルター(アドバンテック社製 親水性PTFE0.45μmフィルター、型式:25HP045AN、)で、エアー圧力0.25MPaの一定圧力の下でフィルターに通液させ、フィルターが閉塞するまでの通液量を求めた。
[ろ過助剤含有フィルター]
下記ろ過助剤a〜iを用いてろ過含有フィルターa〜iを作製した(下記表1)。ろ助剤のBET比表面積、0.15μm以下の積算細孔容積、及び、透過率の測定は以下のように測定した。また、ろ過助剤の酸処理及びフィルターの作製は以下のように行った。
〔ろ過助剤のBET比表面積の測定方法〕
精秤した約1gの各ろ過助剤をASAP2020(株式会社島津製作所社製、比表面積・細孔分布測定装置)にセットし、多点法でBET比表面積を測定し、BET定数Cが正になる範囲で値を導出した。なお、試料の前処理は、10℃/分で昇温させ100℃で2時間保持させて行った。また、60℃の時点で500μmHgまで脱気を行なった。脱気を行なった。
〔ろ過助剤のレーザー平均粒径の測定方法〕
各ろ過助剤をレーザー回折/散乱式粒度分布計(商品名LA−920、堀場製作所製)で測定して得られた体積基準のメジアン径として得られた値をレーザー平均粒径とした。
〔0.15μm以下の積算細孔容積の測定方法〕
ろ過助剤の0.15μm以下の積算細孔容積は、窒素吸着法により測定した。具体的には、精秤した約1gの各ろ過助剤をASAP2020(株式会社島津製作所社製、比表面積・細孔分布測定装置)にセットし、窒素吸着等温線からBJH法のHalsey式により求めた0.15μm以下の細孔容積の総和を、0.15μm以下の積算細孔容積とした。なお、試料の前処理は、10℃/分で昇温させ100℃で2時間保持させて行った。また、60℃の時点で500μmHgまで脱気を行なった。
〔ろ過助剤の透過率の測定方法〕
アドバンテック社製 親水性PTFE0.20μmフィルター(25HP020AN)でろ過した超純水を0.015MPaの条件下で、ろ過助剤を用いてろ過測定を行なった。このときの超純水のろ過時間から、ろ過助剤の透過率を下記数式(1)より算出した。
k=1/A * dV/dθ* uL/P ・・・(1)
A:透過層断面積〔m2
V:透過量〔m2
θ:透過時間〔s〕
k:透過率〔m2
P:透過層の圧力損失〔Pa〕
u:透過流体の粘度〔Pa・s〕
L:透過層厚さ〔m〕
なお、ろ過を行なう際、ろ過助剤はアドバンテック社製No.5A濾紙により上下で挟みCuno社製90φ用濾過ホルダーにセットし、ろ過を行なった。
今回の実験系では、以下の値を導入して透過率kを算出した(θ・Lはサンプルごとで異なる値を示す)。
A:0.0055〔m2
V:0.0005〔m2
θ:変数
P:15000〔Pa〕
u:0.001〔Pa・s〕
L:変数
〔ろ過助剤〕
a:Celite500 fine (SIGMA-ALDRICH社製)
b:ラジオライト DX−P5(昭和化学工業社製)
c:Celpure300(SIGMA-ALDRICH社製)
d:NA−500(ADVANTEC社製)
e:ラジオライト No.200(昭和化学工業社製)
f:ラジオライト No.500(昭和化学工業社製)
g:ラジオライト Dx−50W(昭和化学工業社製)
h:ラジオライト New Ace(昭和化学工業社製)
i:ロカヘルプB419(林化成株式会社)
〔酸処理〕
上記a〜iの各ろ過助剤50gに17.5%塩酸水溶液200mLに加え、撹拌・混合する。撹拌を止めて48時間ほど静置した後、上澄みを除去する。イオン交換水を加えてスターラーで5分間撹拌し、上澄みが透明になるまで静置した後、上澄み液を除去し、ろ過助剤を洗浄した。この操作を上澄みが中性(pH=5〜8)になるまで繰り返した。最後にろ紙上にろ過して自然乾燥させ、酸処理したろ過助剤を得た。
〔ろ過助剤を含有するフィルターの作製〕
前記酸処理したろ過助剤10gに100mLのイオン交換水を加え、撹拌・混合しろ過助剤分散水溶液を得た。次に、90mmφの平板型SUS製ハウジング(住友3M社製INLET90−TL)にろ紙(No.5A:アドバンテック社製)をセットし、0.1MPa以下の圧力でろ過助剤分散水溶液をろ過して濾紙上にろ過助剤の均一なケーク層を形成させた後、1〜2Lのイオン交換水で洗浄し、ろ過助剤を含有するフィルターa〜iを得た。
[ろ過処理]
〔コロイダルシリカA及びBのろ過条件〕
作製した前記ろ過助剤含有フィルターを乾燥させずに洗浄水で濡れたままの状態で、0.1MPaの圧力で前記コロイダルシリカスラリーA及びBを1L分ろ過し、研磨液組成物に使用するためのコロイダルシリカ分散液を得た。
〔フィルター通液量の測定方法〕
上記ろ過により得られた研磨液組成物を所定のフィルター(アドバンテック社製 親水性PTFE0.45μmフィルター、型式:25HP045AN、)で、エアー圧力0.25MPaの一定圧力の下でフィルターに通液させ、フィルターが閉塞するまでの通液量を求めた。
[研磨液組成物の調製方法]
イオン交換水に、アニオン性高分子であるアクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(モル比90/10、重量平均分子量2000、東亞合成社製)を0.02重量%、硫酸を0.4重量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を0.05重量%、過酸化水素を0.4重量%添加、混合した水溶液の撹拌下に、前記ろ過助剤含有フィルターでろ過したろ過済みコロイダルシリカを5重量%になるように添加して、実施例1〜5及び比較例1〜5の研磨液組成物を調製した。なお、各実施例及び比較例で使用したコロイダルシリカのろ過処理に用いたろ過助剤は、下記表1に示す。また、前記アニオン性高分子の重量平均分子量は下記条件で測定した。
〔アニオン性高分子の重量平均分子量の測定方法〕
アニオン性高分子の重量平均分子量は、下記測定条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
(GPC条件)
カラム:TSKgel G4000PWXL+TSKgel G2500PWXL(東ソー製)
ガードカラム:TSKguardcolumn PWXL(東ソー製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1(体積比)
温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料サイズ:5mg/mL
検出器:RI
換算標準:ポリアクリル酸Na(分子量(Mp):11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学及びAmerican Polymer Standards Corp.製))
[研磨液組成物を用いた基板の研磨]
上記のように調製した実施例1〜5及び比較例1〜5の研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨を行い、研磨後の基板のスクラッチ数及びパーティクル数を評価した。評価結果を下記表2に示す。被研磨基板として、アルミナ研磨材を含有する研磨液であらかじめ粗研磨し、AFM−Raが5〜15Åとした、厚さ1.27mmの外径95mmφで内径25mmφのNi−Pメッキアルミニウム合金基板を用いた。研磨条件、スクラッチ及びパーティクルの測定方法は以下のとおりである。
〔研磨条件〕
・研磨試験機:スピードファム社製、両面9B研磨機
・研磨パッド:フジボウ社製、ウレタン製仕上げ研磨用パッド
・上定盤回転数:32.5r/分
・研磨液組成物供給量:100mL/分
・本研磨時間:4分
・本研磨荷重:7.8kPa
・投入した基板の枚数:10枚
〔スクラッチの測定条件〕
・測定機器:KLA−Tencor社製Candela OSA6100
・評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。
〔パーティクルの測定条件〕
・測定機器:KLA−Tencor社製Candela OSA6100
・評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、その4枚の基板の各々両面にあるパーティクル数(個)の合計を8で除して、基板面当たりのパーティクル数を算出した。
Figure 0005698989
Figure 0005698989
上記表2に示すとおり、実施例1〜5で得られた研磨液組成物は、比較例1〜5で得られた研磨液組成物に比べて、0.45μmフィルターの通液量が顕著に増加して処理前の5倍を超え、スクラッチ及びパーティクルを効果的に低減できることが示された。
本発明の製造方法により製造される研磨液組成物は、例えば、高密度化又は高集積化用の精密部品基板の研磨工程に用いることができる。

Claims (5)

  1. 一次粒子の平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカを含有する被処理研磨液組成物を、ろ過助剤を含むフィルターでろ過処理する工程を有する研磨液組成物の製造方法であって、
    前記ろ過助剤は、BET比表面積が4.0m2/g以上であり、且つ窒素吸着法による0.15μm以下の積算細孔容積が0.3mL/g以上である、研磨液組成物の製造方法。
  2. 前記ろ過助剤に対して0.015MPaの条件で水をろ過させたときの前記ろ過助剤の水の透過率が、5.0×10-142以下である、請求項1記載の研磨液組成物の製造方法。
  3. 前記ろ過助剤が珪藻土を含む、請求項1又は2に記載の研磨液組成物の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の製造方法により製造される研磨液組成物。
  5. コロイダルシリカと、酸と、酸化剤と、アニオン性基を有する水溶性高分子とを含有する請求項4記載の研磨液組成物。
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