JP5698230B2 - ラジカル重合可能な化合物および有機ボラン−アミン錯体を含む被覆組成物の硬化方法 - Google Patents

ラジカル重合可能な化合物および有機ボラン−アミン錯体を含む被覆組成物の硬化方法 Download PDF

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Description

本発明は一般には、ラジカル重合可能な化合物および有機ボラン−アミン錯体を含む被覆組成物を硬化させる方法に関する。より具体的には、本発明は、有機ボラン−アミン錯体を分解(錯体解離:decomplex)させるために分解剤(錯体解離剤:decomplexing agent)をインサイチュ形成(現場形成)させ、ラジカル重合可能な化合物の重合を開始させる方法に関する。
自動車の仕上げおよび再仕上げが、増大し続ける数の車輌が製造されるために合衆国およびその他の国々では成長産業である。典型的には、相手先商標製品製造(OEM)での自動車仕上げ被覆およびアフターマーケットでの再仕上げ自動車被覆が、2つの濃厚な相を物理的に混合することを必要とする一液型組成物または二液型組成物から形成される。この混合は典型的には、硬化の制御を制限し、硬化時間を増大させ、また、被覆組成物を複雑な形状および引っ込んだ表面に塗布することを困難にしている。
そのようなものとして、迅速硬化技術、例えば、UV硬化技術および電子ビーム技術などを使用することにおける関心が、自動車の仕上げ被覆および再仕上げ被覆では生じている。これらの技術では、UV光によって形成されるラジカルとしてであるか、または、電子ビームから形成される電子としてであるかにかかわらず、自由電子が、被覆組成物を重合させ、硬化させるために利用される。これらの技術は、これらとは異なる方法で硬化させた溶媒系被覆組成物および水系被覆組成物と比較した場合、被覆組成物の硬化時間を最小限に抑えるが、高価な設備、例えば、UVランプ、真空、フィラメントなどを必要とする。従って、これらの技術の使用は費用がかかり、時間がかかり、かつ、労働集約的であり、また、塗膜収縮および酸素表面阻害を生じさせることがある。
硬化させるために熱を必要とする仕上げ被覆および再仕上げ被覆では、典型的ではあるが、架橋を開始させるために、自動車全体またはその構成部品を収容し得る大型オーブンの使用が用いられる。典型的には、被覆組成物が自動車構成部品に塗布され、その後、自動車構成部品が、被覆組成物を硬化させ、それにより、硬化した被覆を形成するためにオーブンに通される。しかしながら、オーブンの使用は非常にエネルギー集約的であり、費用がかかり、また、環境に対する悪影響を有する。OEM自動車製造施設において、オーブンは大きな設置面積を占め、また、使用が面倒である。
その他の技術もまた、被覆組成物の硬化速度および硬化効率を改善するために開発されている。この技術では、ホウ素化合物、例えば、有機ボラン開始剤が、有機モノマーを重合させ、被覆組成物を硬化させるラジカルを形成させるために利用される。様々な有機ボラン開始剤が被覆組成物におけるフリーラジカル重合を開始させ、また、低い表面エネルギーの基体への生じた硬化被覆の接着を促進させる。これは、有機ボラン開始剤はラジカルを生じさせることができ、そして、このラジカルが有機モノマーを重合させるからである。何らかの特定の理論によっての拘束を意図しないが、拡散によって制限される有機ボラン開始剤の酸化および有機ボラン開始剤からのラジカルの生成が有機ボラン開始剤におけるホウ素−酸素結合の熱力学的安定性によって進行し、また、有機ボラン開始剤が酸素中において自然発火性であることを生じさせていると考えられる。この反応性のために、有機ボラン開始剤を酸素挿入および早まったラジカル生成をより受けにくくするブロック剤により有機ボラン開始剤を安定化することが公知である。ブロック剤は、酸素との反応により有機ボラン開始剤を放出させ、かつ、フリーラジカル形成を開始させるために、制御された条件(例えば、熱を加えることを伴うが、または、錯体解離剤にさらすことによる制御された条件)のもとで有機ボラン開始剤から分離させられる。
上記技術を使用する場合でさえ、複雑な形状および表面に対して、または、多成分部分に塗布される被覆組成物は典型的には、UV光が被覆組成物のすべての部分に達すことができないために、効果的な硬化を行うことができない。代替において、いくつかの被覆組成物は、損傷を被ることなく、UV光にさらすことができず、従って、これらもまた、効果的な硬化をもたらさない傾向がある。なお更には、UV光の使用による硬化が、塗布された被覆組成物の表面の酸素によって阻害され得る。そのような酸素表面阻害は典型的には、被覆組成物の不完全な硬化を生じさせ、このことは、粘着性であるか、または、耐ひっかき性を有しない硬化した被覆をもたらす。
結果として、酸素表面阻害を緩和するための技術もまた開発されている。この技術は、ガス雰囲気をUV光とともに使用すること、および、ガス雰囲気中において被覆組成物に照射することを含む。ガス雰囲気により、硬化期間中に存在する酸素の量が制限され、それにより、酸素表面阻害が制限される。しかしながら、このタイプの技術において使用されるUV源および線源は典型的には、被覆組成物からの大きな距離で配置され、その結果、不完全な硬化が排除されないが、軽減されるようにされる。線源は典型的には多量の熱を発するので、線源をガス雰囲気の中に入れ、線源と、硬化させるべき被覆組成物との距離を短くすることが困難である。線源からの熱はガス雰囲気における強い渦巻きを生じさせ、雰囲気を酸素で汚し、従って、この技術を使用することの利益を打ち消す。
この技術の1つの派生では、有機ボラン−アミン錯体と、硬化を達成するためのガス状開始剤とが利用される。当技術分野では公知であるように、また、上記で暗に示されるように、有機ボラン開始剤を放出させ、かつ、フリーラジカル形成を開始させるための錯体解離剤(分解剤)にさらすことにより、ブロック剤を有機ボラン錯体における有機ボラン開始剤から分離または錯体解離させることができる。ラジカルにより、被覆組成物の重合および硬化が開始させられる。最も一般的な錯体解離剤が、酸、アルデヒド、ケトン、イソシアナートおよび無水物である。錯体解離剤は、被覆組成物の硬化を開始させるためにガス形態で使用することができる。小規模での被覆組成物においては効果的であるが、そのような技術を用いる既存の技術は、錯体解離剤の費用および毒性のために、効果的にスケールアップすることができず、また、大規模なOEM製造施設では使用することができない。例えば、上記錯体解離剤の多くが、例えば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、イソシアナート、マレイン酸無水物、メチルケトン(エチルケトン)、フタル酸無水物およびプロピオンアルデヒドなどが、有害大気汚染物質(HAP)として環境保護局によって分類される。従って、それらの使用は大型の製造施設では厳しく制限され、また、環境に優しくない。更には、錯体解離剤としての使用について公知である多くの酸は、その腐食性のために硬化被覆および/または下地基体の性質にとって有害であり、また、この酸が硬化被覆に存在することは、硬化被覆および/または下地基体の性質にとって有害となる場合がある。
従って、外部加熱、UV光、ペルオキシドまたはアゾニトリル系開始剤の非存在下で行われることがあり、かつ、複雑な形状および引っ込んだ表面とともに使用することができる、被覆組成物を硬化させる改善された方法を開発する可能性が残されている。環境に優しく、かつ、最小限の放出および汚染を伴って大型の製造施設において使用可能であるそのような方法を開発する可能性もまた残されている。硬化被覆および/または下地基体の性質にとって有害となり得る硬化被覆中の酸の存在を軽減または排除するそのような方法を開発する可能性もまた残されている。
本発明は、被覆組成物を硬化させる方法、および、硬化した被覆を自動車構成部品の表面で形成させる方法を提供する。被覆組成物は、ラジカル重合可能な化合物と、有機ボラン開始剤およびアミンブロック剤を有する有機ボラン−アミン錯体と、水とを含む。そのような被覆組成物を硬化させる本発明の方法は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水を一緒にして、被覆組成物を形成する工程を含む。二酸化炭素が被覆組成物に導入されるか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に導入される。二酸化炭素は、有機ボラン−アミン錯体のアミンブロック剤との少なくとも500:1のモル比で被覆組成物に存在する。炭酸が、被覆組成物の温度および/または被覆組成物を取り囲む雰囲気の圧力に基づく所定の量(予め設定された量)で被覆組成物内においてインサイチュ形成される。有機ボラン−アミン錯体が炭酸により錯体解離させられ、それにより、有機ボラン開始剤と、アミンブロック剤とが分離させられる。ラジカル重合可能な化合物が、有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合させられる。
本発明の方法において使用される二酸化炭素は無毒であり、有害大気汚染物質として分類されておらず、従って、これらのことは本方法を環境に優しくし、かつ、本方法が、最小限の放出および汚染を伴って大型の製造施設において利用されることを可能にする。加えて、二酸化炭素は安価であり、また、温室ガスおよび環境汚染を減らすために設計される様々な再循環努力から容易に入手可能である。加えて、二酸化炭素の使用は硬化の酸素表面阻害を最小限に抑え、それにより、本方法の効率を増大させる。その上、二酸化炭素の使用は硬化速度の制御を改善し、硬化時間を短くする一成分(1K)システムの使用について可能にする。なおさらに、本方法において使用される二酸化炭素は、熱可逆的反応を介して本方法から再生利用することができ、それにより、放出および汚染をさらに減らすことができる。
加えて、二酸化炭素は水和平衡定数が非常に低く、そのため、被覆組成物に存在する炭酸の量が、被覆組成物に存在する二酸化炭素の量に依存している。被覆組成物における二酸化炭素の量を減らすことにより、被覆組成物に存在する炭酸の量が減少する。被覆組成物に存在する炭酸の量はまた、被覆組成物がさらされる温度および圧力に基づいて変化させることができる。そのようなものとして、有機ボラン−アミン錯体が錯体解離させられると、硬化被覆における炭酸の存在を低下させるか、または排除することが可能である。このようにして、錯体解離剤として使用される公知である酸に伴う有害な影響を回避することができ、または最小限に抑えることができる。
本発明は、ラジカル重合可能な化合物と、有機ボラン開始剤およびアミンブロック剤を含む有機ボラン−アミン錯体と、水とを含む被覆組成物を硬化させる方法を提供する。硬化が、炭酸を、有機ボラン−アミン錯体を錯体解離(分解)させるために被覆組成物においてインサイチュ形成させ、それにより、有機ボラン開始剤と、アミンブロック剤とを分離させることにより達成される。ラジカル重合可能な化合物が、有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合させられる。有機ボラン−アミン錯体、炭酸、および、炭酸が形成される様式、ならびに、ラジカル重合可能な化合物が、下記においてより詳しく記載される。
被覆組成物は、ラジカル重合可能な化合物、有機ボラン−アミン錯体および水を含むどのような組成物であってもよく、また、被覆組成物は、いずれかの特定の産業においていずれかの特定の適用に対して限定されない。被覆組成物は様々な適用において使用することができ、これらには、相手先商標製品製造(OEM)での「仕上げ」被覆、アフターマーケットでの「再仕上げ」被覆、自動車被覆、保護被覆、塗膜、カプセル化材、ゲル、シーラント、剥離被覆、相似被覆およびそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。典型的には、被覆組成物は、プライマー、ベースコート、クリアコートおよび/またはシーラントとして、自動車のOEM仕上げ被覆として、あるいは、自動車の再仕上げ被覆として使用される。
被覆組成物は水系または溶媒系であってもよく、一成分(1K)システムまたは二成分(2K)システムとして使用することができる。典型的には、組成物は溶媒系であり、1Kシステムである。被覆組成物は典型的には、基体に塗布され、硬化した被覆を形成するために硬化させられる。例えば、2Kシステムである被覆組成物は、互いに反応性である2つの成分を含み、例えば、1つの成分は、上記で示されるようなラジカル重合可能な化合物を含むことができ、別の成分は、この2Kシステムを硬化させることが、それらがない場合には十分に達成され得ない架橋剤またはその他の化合物を含むことができる。代替において、1Kシステムである被覆組成物は、ラジカル重合可能な化合物を含み、この場合、十分な硬化が、2Kシステムにおいて必要とされるような第2の成分との混合がなくても達成される。当然のことではあるが、1Kシステムである被覆組成物は2つ以上のラジカル重合可能な化合物を含み得ること、また、架橋剤および/または触媒を含み得ることを理解しなければならない。なおさらにその他の実施形態において、1Kシステムおよび/または2Kシステムは、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UVAパッケージ、流動添加剤、湿潤化剤、顔料、架橋剤および触媒などを含むことができる。
最初に上記で記したように、ラジカル重合可能な化合物が被覆組成物に存在する。ラジカル重合可能な化合物は典型的には、分子あたり1つまたは複数のエチレン性不飽和基(すなわち、C=C基)を含む。ラジカル重合可能な化合物は2つのエチレン性不飽和基または3つ以上のエチレン性不飽和基を含み得ることが意図される。当技術分野では周知であるように、エチレン性不飽和基は求電子性であり、電子を重合の過程で供与することができる。ラジカル重合可能な化合物はまた、1つまたは複数のアルキニル基(すなわち、C≡C基)を含むことができる。ラジカル重合可能な化合物は、ラジカル重合可能な化合物が依然としてラジカル重合を行うことができる限り、モノマー、ダイマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、星形ポリマー、グラフトポリマー、ランダムコポリマーおよびそれらの組合せの群から選択することができる。1つの実施形態において、ラジカル重合可能な化合物はモノマーである。別の実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は部分的に重合され、オリゴマーまたはポリマーであり、しかし、さらに重合される能力を依然として保持する。さらなる実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、少なくとも1つのラジカル重合可能な官能基を有するモノ不飽和およびポリ不飽和のグリセロールまたはリン脂質、ホスホルジエステル、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの組合せの群から選択される。
なおさらにさらなる実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、アクリラート、カルバマート、エポキシドおよびそれらの組合せの群から選択される。カルバマートおよびエポキシドの好適な限定されない例が、少なくとも1つのラジカル重合可能な官能基と、典型的には、エステル、エーテル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、アミドおよびウレア、アクリル、イオウ基、リン基ならびにそれらの組合せの群から選択される1つまたは複数の官能基とを有するものである。カルバマートは、脂肪族基、脂環族基および芳香族基を含むことができ、また、分岐型炭化水素官能性、ヒドロキシル官能性、カルボキシラート官能性、カルバマート官能性および/またはエステル官能性(これらに限定されない)を含めて、様々な官能性を伴う線状構造または枝分かれ構造を有することができる。さらなる実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、α,β−不飽和脂肪族化合物、ビニルエステル、置換スチレン、メタクリル酸のエステル、アクリル酸のエステルおよびそれらの組合せの群から選択される。好適なα,β−不飽和脂肪族化合物の例としては、1−オクテン、1−ヘキセン、1−デセンおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適なビニルエステルおよびスチレン系化合物の限定されない例としては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびそれらの組合せが挙げられる。
その他の実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、アクリラート、ハロゲン置換アクリラート、アルケノアート、カルボナート、フタラート、アセタート、イタコナートおよびそれらの組合せの群から選択される。アクリラートの好適な例としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、イソシアナート含有アクリラート(例えば、イソシアナトアクリラートなど)およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、ジアクリラート、トリアクリラート、ポリアクリラート、ウレタンアクリラート、不飽和ポリエステルおよびそれらの組合せの群から選択される。ジアクリラート、トリアクリラートおよびポリアクリラートの好適な例としては、ヘキサンジオールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラートおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ウレタンアクリラートの好適な限定されない例としては、UCB Chemicalsから市販されているEbercryl8402およびEbercryl8301、ならびに、Akcros Chemicalsから市販されているActilane251が挙げられる。不飽和ポリエステルの好適な限定されない例としては、無水マレイン酸を用いて調製されるポリエステルが挙げられる。さらなる実施形態において、ラジカル重合可能な化合物はさらに、OH−アクリル樹脂およびジペンタエリトリトールペンタ/ヘキサアクリラートの混合物として定義される。さらに別の実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、不飽和なアクリル酸エステル樹脂およびメタクリル酸エステル樹脂、機能的なアクリル酸エステルモノマーおよびメタクリル酸エステルモノマー、ならびに、それらの組合せの群から選択される。
なおさらにその他の実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、ブチレングリコールジアクリラート、ブチレングリコールジメタクリラート、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ネオペンチルグリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジメタクリラート、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、カプロラクトンアクリラート、アクリル酸ペルフルオロブチル、メタクリル酸ペルフルオロブチル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、テトラヒドロペルフルオロアクリラート、アクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、ビスフェノールAアクリラート、ビスフェノールAジメタクリラート、エトキシル化ビスフェノールAアクリラート、エトキシル化ビスフェノールAメタクリラート、ヘキサフルオロビスフェノールAジアクリラート、ヘキサフルオロビスフェノールAジメタクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジメタクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、ジプロピレングリコールジメタクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジメタクリラート、ポリプロピレングリコールジアクリラート、ポリプロピレングリコールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリラート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールトリメタクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、ペンタエリトリトールテトラメタクリラートおよびそれらの組合せの群から選択される。好適なアクリラートのその他の例としては、アクリルアミド系化合物およびメタクリルアミド系化合物、例えば、N−イソプロピルアクリルアミドおよびN,N−ジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。1つの実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、アルキレングリコールジアルキルアクリラート、アルキレングリコールジアクリラートおよびそれらの組合せの群から選択される。最も典型的には、ラジカル重合可能な化合物はアクリラートまたはメタクリラートである。
アルケノアートの好適な例としては、アルキル−N−アルケノアート、メチル−3−ブテノアートおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。カルボナートの好適な例としては、アルキルカルボナート、アリルアルキルカルボナート(例えば、アリルメチルカルボナートなど)、ジアリルピロカルボナート、ジアリルカルボナートおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において使用される好適なイタコナートには、イタコン酸アルキル(例えば、イタコン酸ジメチルなど)が含まれるが、これに限定されない。好適なアセタートの限定されない例としては、酢酸アルキル系化合物、酢酸アリル系化合物、アセト酢酸アリル系化合物およびそれらの組合せが挙げられる。フタラートの限定されない例としては、フタル酸アリル系化合物、フタル酸ジアリル系化合物およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
ラジカル重合可能な化合物にはまた、特にアクリルモノマーと併せて使用されるときには、スチレンおよび置換スチレンが含まれ得る。代替において、ラジカル重合可能な化合物には、イソシアナート反応性のアクリラートモノマー、アクリラートオリゴマーまたはアクリラートポリマー(例えば、ヒドロキシアクリラートなど)をイソシアナート官能性プレポリマーと反応することによって調製されるアクリラート末端のポリウレタンプレポリマーが含まれ得る。同様にまた有用なものが、分子あたり平均して少なくとも1つのフリーラジカル重合可能な基を有し、かつ、電子、イオン、正孔および/またはフォノンを輸送する能力を有する導電性のモノマー、ドーパント、オリゴマー、ポリマーおよびマクロモノマーのクラスである。限定されない例としては、4,4’,4’’−トリス[N−(3(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)フェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンおよび4,4’,4’’−トリス[N−(3(ベンゾイルオキシフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
ラジカル重合可能な化合物には、アクリルオキシアルキル基(例えば、アクリルオキシプロピル基など)、メタクリルオキシアルキル基(例えば、メタクリルオキシプロピル基など)および/または不飽和有機基(これには、2個〜12個の炭素原子を有するアルケニル基(これには、ビニル基、アリル基、ブテニル基およびへキセニル基が含まれる)、および、2個〜12個の炭素原子を有するアルキニル基(これには、エチルニル基、プロピニル基およびブチニル基が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない)ならびにそれらの組合せを含む化合物が含まれ得ることもまた意図される。不飽和有機基は、ラジカル重合可能な基を、アリルオキシポリ(オキシアルキレン)基、そのハロゲン置換アナログおよびそれらの組合せを含むオリゴマーポリエーテルおよび/またはポリマーポリエーテルにおいて含むことができる。別の実施形態において、ラジカル重合可能な化合物には、ポリマー骨格を有する有機化合物をラジカル重合可能な化合物と共重合して、その結果、コポリマーあたり平均して少なくとも1つのフリーラジカル重合可能な基が存在するようにすることによって形成される化合物が含まれる。好適な有機化合物には、炭化水素系ポリマー、例えば、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンポリプロピレンコポリマーなど)、ポリスチレン、スチレンブタジエンなど、ならびに、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアクリラート、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラートおよびポリブチレンテレフタラートなど)、ポリアミド、ポリカルボナート、ポリイミド、ポリウレア、ポリメタクリラート、部分フッ素化ポリマーまたはペルフッ素化ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレンなど)、フッ素化ゴム、末端不飽和炭化水素、オレフィン、ポリオレフィン、ならびに、それらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。当然のことではあるが、ラジカル重合可能な化合物は上記化合物に限定されず、ラジカル重合可能な化合物には、当技術分野において公知であるどのようなその他のものでも含まれ得ることを理解しなければならない。
被覆組成物は上記のラジカル重合可能な化合物のいずれかの2つ以上の組合せを含み得ることを理解しなければならない。様々な実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は典型的には、被覆組成物の総重量に基づいて20重量パーセント〜99重量パーセントの量で被覆組成物に存在し、代替では50重量パーセント〜99重量パーセントの量で被覆組成物に存在し、代替では60重量パーセント〜99重量パーセントの量で被覆組成物に存在し、代替では80重量パーセント〜99重量パーセントの量で被覆組成物に存在する。別の実施形態において、ラジカル重合可能な化合物は、組成物の100重量部あたり50重量部〜80重量部の量で存在する。この実施形態において、組成物の20重量部は典型的には、溶媒を含む。2つ以上のラジカル重合可能な化合物が被覆組成物に存在するとき、上記で示される量は、被覆組成物に存在するすべてのラジカル重合可能な化合物の総量を表し得ることを理解しなければならない。
有機ボラン−アミン錯体に戻ると、本発明は、被覆組成物における有機ボラン−アミン錯体を錯体解離させることに関する。簡単には上記で記載されるように、有機ボラン−アミン錯体は、有機ボラン開始剤と、アミンブロック剤とを有する。より具体的には、有機ボラン−アミン錯体はさらに、有機ボラン開始剤(すなわち、有機ボラン(R3B))と、好適なアミンブロック剤との間で形成される錯体として定義することができる。アミンブロック剤により、有機ボラン−アミン錯体が、周囲条件において、また、ラジカル重合可能な化合物の様々な溶液において、同様にまた、酸素の存在下において安定化され、その結果、有機ボラン開始剤に酸素の存在下でさらされることによるラジカル重合可能な化合物の早まった重合が抑えられるようになる。
有機ボラン開始剤には典型的には、下記の一般的な構造を有する三官能性ボランが含まれる:
Figure 0005698230
式中、R1、R2およびR3の少なくとも1つが1個または複数個の炭素原子を含み、ホウ素に共有結合するように、R1〜R3のそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有し、かつ、R1〜R3のそれぞれが独立して、水素原子、シクロアルキル基、1個〜12個の炭素原子を骨格に有する線状または枝分かれしたアルキル基、脂肪族基および芳香族基、アルキルアリール基、ホウ素への共有結合架橋として機能し得るアルキレン基、ならびに、それらのハロゲン置換された同族体のうちの1つを含む。R1〜R3のうちの2つまでがまた独立して、R1〜R3の少なくとも1つがホウ素−炭素の共有結合を提供するようなアルコキシ基(例えば、メトキシ基またはエトキシ基など)であり得る。脂肪族および/または芳香族の炭化水素基は、線状、枝分かれおよび/または環状であり得る。有機ボラン開始剤はさらに、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−sec−ブチルボラン、トリドデシルボラン、フェニルジエチルボランおよびそれらの組合せとして定義することができるが、これらに限定されない。その他の好適な例としては、ヘキサン(hexanes)におけるモノマーの9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンとして0.5M溶液での9−BBN、テトラヒドロフランにおけるモノマーの9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンとして0.5M溶液での9−BBN、トルエンにおけるモノマーの9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンとして0.5M溶液での9−BBN、n−ヘプタンにおける0.5M溶液でのジブチルボロントリフラート(DBBT)、塩化メチレンにおける0.5M溶液でのジブチルボロントリフラート(DBBT)、トルエンにおける0.5M溶液でのジブチルボロントリフラート(DBBT)、ヘキサン(hexanes)における0.5M溶液でのジシクロヘキシルボロントリフラート(DCBT)、ヘキサン(hexanes)における1M溶液でのジシクロヘキシルクロロボラン(DCBCL)、純液体としてのメトキシジエチルボラン(MDEB)、テトラヒドロフランにおけるメトキシジエチルボラン(MDEB)の50wt%溶液、純液体としてのトリエチルボラン(TEB)、テトラヒドロフランにおける純液体としてのトリエチルボラン(TEB)、ヘキサン(hexanes)における1M溶液でのトリエチルボラン(TEB)、純液体としてのトリ−n−ブチルボラン(TNBB)、純液体としてのトリ−sec−ブチルボラン(TSBB)が挙げられる。典型的には、有機ボランはさらに、トリ−n−ブチルボランとして定義される。記載目的のためだけであるが、トリ−n−ブチルボランの構造が下記に示される:
Figure 0005698230
有機ボラン開始剤は、広く公知であるヒドロホウ素化技術によって合成することができる。1つの合成経路は、ジエチルボランをTHF中で末端アルケン化合物と反応することを含む。そのような反応は一般には、ホウ素が末端から2番目のα位または末端のβ位のどちらかの二重結合の炭素に付加することに由来する化合物の混合物を生じさせ得ることが公知である。β−生成物、または、α−生成物およびβ−生成物の混合物もまた、有機ボラン開始剤に含まれ得ることを理解しなければならない。
アミンブロック剤は、有機ボラン−アミン錯体を形成することが当技術分野では公知であるいずれかのそのような作用因であり得る。典型的には、アミンブロック剤は、アルキル基、アルコキシ基、アミジン基、ウレイド基およびそれらの組合せの少なくとも1つを含む。1つの実施形態において、アミンはジアミンである。別の実施形態において、アミンはモノアミンである。特に好ましいアミンブロック剤には、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、イソホロンジアミン、少なくとも1つのアミン官能基(例えば、3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、アミノメチル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル、2−エチルピリジン)を含むアミン官能性化合物およびそれらの組合せなどが含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、アミンは、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、ヘプチルアミン、メトキシプロピルアミン、2−メチルアミノエタノール、システアミンおよびそれらの組合せの群から選択される。しかしながら、本発明は、有機ボラン−アミン錯体を形成するためのどのような特定のアミンに対しても限定されないことを理解しなければならない。
有機ボラン−アミン錯体そのものに戻るが、本発明は、当技術分野において公知であるどのような有機ボラン−アミン錯体も利用することができ、上記で記載されるか、または、下記で示されるそのような実施形態に限定されない。様々な実施形態において、有機ボラン−アミン錯体は、ジアルキルボランおよびトリアルキルボランなどから形成される。その上、有機ボラン開始剤はアミンと錯化させることができ、同時にまた、別の原子および/またはブロック基に結合させることができる。これらのその他の原子および/またはブロック基は、炭素化合物、ハロゲン化化合物および遷移金属化合物などを含めて、当技術分野では公知であるどのようなものであってもよい。
有機ボラン−アミン錯体は典型的には、下記の式を有する:
Figure 0005698230
式中、Bはホウ素を表し、R1〜R3のそれぞれは、上記で記載されるのと同じであり得る。同様に、R4〜R6のそれぞれは、アミンが上記のいずれかであり、かつ、第一級アミン、第二級アミンまたは第三級アミンであるようないずれかの基であり得る。1つの代わりの実施形態において、R1〜R6のそれぞれが独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールアルキル基、アルキレン基、それらのハロゲン化同族体およびこれらの組合せの群から選択される。代替において、R4〜R6のそれぞれが独立して、窒素官能性および/またはイオウ官能性であり得る。様々な実施形態において、R4〜R6はジアミン官能性である。なおさらにその他の実施形態において、有機ボラン−アミン錯体は下記の式を有する:
Figure 0005698230
式中、R1〜R3のそれぞれは上記で記載される通りであり、かつ、アミンはさらに、環状アミンとして定義される。
有機ボラン−アミン錯体の好適な限定されない例としては、純液体としてのN,N−ジエチルアニリンボラン(DEANB)、純液体としてのピリジンボラン(PYB)、ピリジンにおけるピリジンボラン(PYB)の50wt%溶液、粉末としてのtert−ブチルアミンボラン(TBAB)、純液体としてのトリエチルアミンボラン(TEAB)、純液体としてのトリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体(TEB−DAP)、粉末としてのトリメチルアミンボラン(TMAB)、トリ−n−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)およびこれらの組合せが挙げられる。有機ボラン−アミン錯体のさらなる好適な一例が、ジイソプロピルアミンと錯化されたトリエチルボランである。有機ボラン−アミン錯体のさらなる好適な一例は下記の式を有する:R3BH2NCH2CH2CH2NH2BR3、式中、それぞれのRは、独立して1個〜20個の炭素原子を有することができ、また、独立して、水素原子、シクロアルキル基、1個〜12個の炭素原子を骨格に有する線状または枝分かれしたアルキル基、脂肪族基および芳香族基、アルキルアリール基、ホウ素への共有結合架橋として機能し得るアルキレン基、ならびに、それらのハロゲン置換された同族体であり得る。1つの実施形態において、有機ボラン−アミン錯体はモノアミン錯体であり、上記で示される有機ボラン−アミン錯体から選択することができる。上記で示される有機ボラン−アミン錯体は、本明細書中に記載されるのとは異なる錯体解離機構を介して作用するその他の有機ボラン−アミン錯体との協調様式で作用するように使用され得ることを理解しなければならない。
有機ボラン−アミン錯体は、作業時間を抑えるために、同様にまた、貯蔵期間中に分離することがないように液相の有機ボラン−アミン錯体を安定化させるために、固体粒子(例えば、相担体など)に物理的および/または化学的に付着(結合)させることができる。付着を、その場または前もってのどちらであっても、数多くの公知である基体処理によって達成することができる。固体粒子が官能基を含むならば、本来的にアミン反応性である添加物(例えば、基体処理剤など)または不純物は、付着しつつある有機ボラン−アミン錯体の早まった錯体解離を回避するための適切な注意を必要とする場合がある。アミン反応性の物質を含む固体粒子を、有機ボラン−アミン錯体を付着させる前に精製または中和することができる。代替において、有機ボラン−アミン錯体の付着を無酸素環境において行うことができる。
有機ボラン−アミン錯体は、被覆組成物を形成するための任意の量で使用することができる。典型的には、有機ボラン−アミン錯体は、被覆組成物の総重量に基づいて0.01重量パーセント〜95重量パーセントに等しい量で使用され、より典型的には0.1重量パーセント〜80重量パーセントに等しい量で、一層より典型的には0.1重量パーセント〜30重量パーセントに等しい量で、さらにより典型的には1重量パーセント〜20重量パーセントに等しい量で、一層より典型的には1重量パーセント〜15重量パーセントに等しい量で、最も典型的には2重量パーセント〜5重量パーセントに等しい量で使用される。有機ボラン−アミン錯体の量は、有機ボラン−アミン錯体の分子量および官能性、ならびに、被覆組成物におけるその他の成分(例えば、フィラーなど)の存在に依存する。
有機ボラン−アミン錯体は、有機ボラン開始剤と、ブロック剤とを分離するために、下記においてより詳しく記載されるように炭酸により錯体解離させられる。有機ボラン開始剤は、ラジカル重合可能な化合物の重合または架橋を開始させることができる。何らかの特定の理論によって限定されることを意図しないが、三置換ボランは三重項酸素の存在下では、ホウ素−炭素結合における二分子均等開裂を受けて、対応するペルオキシル、アルコキシル、ケトンの三重項ラジカルおよび/またはチイル(thiyl)ラジカル(これはまた、スルフェニルラジカルとして公知である)を生じさせることができると考えられる。これらのラジカルは、トリアルキルボラートで停止するまで、さらなる有機ボラン開始剤と反応することによって成長することができる。有機ボラン−アミン錯体の錯体解離が下記においてさらに詳しく記載される。
様々な実施形態において、有機ボラン−アミン錯体がラジカル重合および連鎖移動のために使用される。様々な実施形態において、有機ボラン−アミン錯体が、ラジカル重合可能な化合物を重合させて、さらにラジカル重合させることが依然として可能であり得るか、または、もはや可能でなくてもよいダイマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、星形ポリマー、グラフトポリマー、ランダムコポリマーおよび/またはそれらの組合せを形成するために使用される。
被覆組成物はさらに水を含み、この場合、この水は、下記においてさらに詳しく記載されるように、(その他の可能な酸の中でも)炭酸を被覆組成物において形成させるために使用される。水は典型的には、下記においてさらに詳しく記載されるように、被覆組成物に存在する二酸化炭素との少なくとも112:1のモル比で被覆組成物に存在する。より典型的には、水は、被覆組成物に存在する二酸化炭素との、112:1を超えるモル比で存在する。被覆組成物に存在する炭酸は、被覆組成物におけるより多くの量の水が炭酸のより大きな安定化と相関するように水により安定化され、そのため、被覆組成物に存在する二酸化炭素との112:1のモル比よりも少ない水の量は、本発明の目的のための炭酸の不十分な安定化をもたらす。
上記化合物に加えて、被覆組成物はまた、1つまたは複数の添加物を含むことができる。そのような1つまたは複数の添加物は、均展剤、溶媒、界面活性剤、フィラー、安定剤、溶媒、可塑剤、消泡剤、湿潤化添加物、触媒、レオロジー制御剤、顔料、光相乗剤(photosynergist)、定着剤、顔料分散物、流動助剤、酸官能性ポリマー、添加物ポリマー、触媒およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。好適な界面活性剤の限定されない例としては、Air Products and Chemicals,Inc.(ペンシルベニア州アレンタウン(Allentown、PA))から市販されているSurfynol(登録商標)界面活性剤が挙げられる。可塑剤の好適な限定されない例としては、Cook Composites and Polymers(ミズーリ州セントルイス(St.Louis、MO))から市販されているCoroc(登録商標)アクリル可塑剤樹脂が挙げられる。
1つまたは複数の添加物にはまた、硬化を高めるための触媒が含まれ得る。だが、被覆組成物は好ましくは、触媒を含まない。触媒が使用されるとき、好適な触媒の例としては、当技術分野では周知であるが、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスファート、マレイン酸モノブチル、リン酸ブチル、ヒドロキシホスファートエステルおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。被覆組成物において有用であり得るその他の触媒には、ルイス酸、遷移金属の塩(例えば、亜鉛塩およびスズ塩など)およびその組合せが含まれるが、これらに限定されない。触媒は、ブロック型、非ブロック型または部分ブロック型であり得る。触媒は、アミンまたはその他の好適なブロック剤(例えば、オキシラン系改質物質など)によりブロックすることができ、または、部分的にブロックすることができる。触媒が含まれるならば、触媒は好ましくは、被覆組成物の総重量に基づいて0.1重量パーセント〜1.2重量パーセントの量で含まれ、より好ましくは0.1重量パーセント〜0.9重量パーセントの量で、最も好ましくは0.2重量パーセント〜0.7重量パーセントの量で含まれる。
上記で記載されるように被覆組成物に含まれる水に加えて、被覆組成物は、さらなる溶媒を1つまたは複数の添加物として含むことができる。好適なさらなる溶媒は、当技術分野では公知であるどのようなものであってもよい。1つの実施形態において、さらなる溶媒には、極性の有機溶媒が含まれる。別の実施形態において、さらなる溶媒には、極性の脂肪族溶媒が含まれる。さらなる実施形態において、さらなる溶媒には、極性の芳香族溶媒が含まれる。さらに別の実施形態において、さらなる溶媒は、ケトン、エステル、アセタート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、非プロトン性アミンおよびそれらの組合せの群から選択される。有用なさらなる溶媒の限定されない例としては、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸m−アミル、エチレングリコールブチルエーテル−アセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、キシレン、N−メチルピロリドン、2−エチルヘキサノール、n−ブタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ExxonMobil(Irving)から市販されているSC150溶媒、ナフサ、重質(heavy)ベンゼン、エトキシプロピオン酸エチル、ブチルグリコールアセタート、ブチルグリコール、芳香族炭化水素のブレンド混合物(例えば、Aromatic100など)、ブチルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ミネラルスピリット、2−ブトキシエタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジブチルエーテル、2−エチルヘキサノールおよびそれらの組合せが挙げられる。さらなる溶媒が含まれるならば、さらなる溶媒は典型的には、被覆組成物の総重量に基づいて60重量パーセントまでの量で含まれ、より典型的には5重量パーセント〜50重量パーセントの量で、最も典型的には10重量パーセント〜40重量パーセントの量で含まれる。
さらに、1つまたは複数の添加物には、顔料が含まれ得る。例えば、被覆組成物がベースコートとして使用されるとき、顔料には、有機化合物および/または無機化合物、有色物、フィラー、金属および/または無機のフレーク物(例えば、雲母またはアルミニウムのフレークなど)ならびにそれらの組合せが含まれ得る。好適な顔料の限定されない例としては、カーボンブラック顔料、二酸化チタンおよびその他の無機有色顔料(例えば、酸化鉄、クロムイエロー、モリ(moly)オレンジ、チタンイエロー、チタン酸ニッケルイエローおよびクロムグリーンなど)が挙げられる。顔料が含まれるならば、顔料は典型的には、被覆組成物の総重量に基づいて60重量パーセントまでの量で含まれ、より典型的には5重量パーセント〜50重量パーセントの量で、最も典型的には10重量パーセント〜40重量パーセントの量で含まれる。
なおもさらに、1つまたは複数の添加物には、均展剤が含まれ得る。均展剤には、ビニルアクリルコポリマーなどが含まれ得るが、これらに限定されない。均展剤が含まれるならば、均展剤は典型的には、被覆組成物の総重量に基づいて20重量パーセントまでの量で含まれ、より典型的には1重量パーセント〜10重量パーセントの量で、最も典型的には2重量パーセント〜5重量パーセントの量で含まれる。
代替において、1つまたは複数の添加物には、安定剤が含まれ得る。安定剤には、ヒンダードアミン系光安定剤(HAL)が含まれ得る。HALが含まれるならば、HALは、当技術分野では公知であるどのようなものも含まれ得る。好ましくは、HALが含まれるならば、HALは300g/モル未満の分子量を有し、より好ましくは260g/モル未満の分子量を有する。本発明における使用のために好適である市販されているHALの例示的な例としては、Sandoz LTD.Corporation(スイス、バーゼル(Basel、Switzerland)から市販されているSanduvor(登録商標)3058、ならびに、Ciba−Geigy Corporation(ニューヨーク、アーズリー(Ardsley、NY))から市販されているTinuvin(登録商標)123、同292および同384が挙げられるが、これらに限定されない。安定剤が含まれるならば、安定剤は典型的には、被覆組成物の総重量に基づいて20重量パーセントまでの量で含まれ、より典型的には1重量パーセント〜10重量パーセントの量で、最も典型的には2重量パーセント〜5重量パーセントの量で含まれる。
方法そのものに戻ると、本発明の方法は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水を一緒にして、被覆組成物を形成する工程を含む。有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水は、どのような様式でも一緒にすることができる。例えば、被覆組成物を基体に、例えば、自動車構成部品などに塗布することができる。有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水は、別々に、または、一緒に、または、様々な組合せで塗布することができる。さらに、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水の供給源は異なっていてもよい。例えば、水は基体そのものの表面に存在していてもよく、これに対して、有機ボラン−アミン錯体およびラジカル重合可能な化合物を基体に噴霧することができる。被覆組成物の構成成分を基体に別々に塗布することの一例として、有機ボラン−アミン錯体およびラジカル重合可能な化合物を含有する層を基体に塗布し、その後、水を含有する別の組成物を、有機ボラン−アミン錯体およびラジカル重合可能な化合物を含有する層に塗布することができる。好適な塗布方法には、噴霧コーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、静電噴霧およびそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水が最初に一緒にされ、基体に塗布される。代替において、機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水をインピンジメントスプレーガンのノズルにおいて一緒にすることができる。
1つの実施形態において、基体はさらに、リアクターおよび/または容器として定義することができる。リアクターおよび/または容器は実験室的サイズまたは工業的サイズであり得る。典型的には、基体がさらに、リアクターおよび/または容器として定義されるとき、ラジカル重合可能な化合物はリアクターまたは容器において重合される。重合された化合物が形成されると、重合された化合物はその後、当業者によって選択されるようにさらに使用することができる。1つの実施形態において、重合された化合物が、リアクターにおいて形成された後で自動車構成部品に適用される。
代替において、上記で示されるように、基体はさらに、自動車構成部品そのものとして定義することができる。自動車構成部品は、ドア、ボンネット、屋根およびパネルなどであり得る。この実施形態において、本発明の方法は典型的には、容器またはリアクターにおいてではなく、自動車構成部品の表面において、被覆組成物を形成し、ラジカル重合可能な化合物を重合することを含む。しかしながら、上記で記載されるように、本発明の方法はそのような実施形態に限定されない。
基体が形成され得る材料に関して、1つの実施形態において、基体は、有機材料または無機材料(例えば、炭素繊維、スチールおよびアルミニウムなど)のシートである。基体は被覆または非被覆であってもよく、また、処理または非処理であってもよく、また、これらの組合せであってもよい。様々な実施形態において、基体は、プラスチック、金属(例えば、スチール、鉄およびアルミニウムなど)およびそれらの組合せの群から選択される。代替において、基体には、スチール、および/または、押出し成形された自動車構成部品が含まれ得る。様々な実施形態において、基体は、その他の層(例えば、プライマー層および/またはエレクトロコート層など)により事前に被覆されることがある。
本発明の方法において、二酸化炭素が被覆組成物に導入されるか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に導入される。この二酸化炭素は水と反応して、インサイチュ炭酸(その場で生じる炭酸)を被覆組成物において形成するか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物において形成する。用語「インサイチュ」は、炭酸を被覆組成物において形成するか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物において形成することを示す。
二酸化炭素は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水が既に一緒にされている後の被覆組成物に導入することができる。代替において、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水を一緒にする工程は、二酸化炭素を導入する工程と同時に行われる。代替においてはなおさらに、二酸化炭素は、被覆組成物を形成する前に、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つに導入することができ、その結果、これらの化合物が一緒にされるとき、二酸化炭素が被覆組成物に導入されるようにすることができる。
二酸化炭素を導入する工程はさらに、被覆組成物を、周囲の雰囲気空気における二酸化炭素の濃度よりも大きい濃度で存在する二酸化炭素を含有する制御されたガス雰囲気にさらすこととして定義することができ、ただし、この場合、制御されたガス雰囲気は、酸素が、約25℃の温度における制御されたガス雰囲気の総重量に基づいて0重量パーセントよりも大きい量で、典型的には0.1重量パーセント〜5.0重量パーセントの量でその中に存在する。この実施形態において、二酸化炭素を、制御されたガス雰囲気から被覆組成物の中に浸透させことができる。典型的には、二酸化炭素は、約25℃の温度における制御されたガス雰囲気の総重量に基づいて少なくとも50重量パーセントの量で、代替では50重量パーセント〜99重量パーセントの量で、代替では90重量パーセント〜99重量パーセントの量で、制御されたガス雰囲気に存在する。制御されたガス雰囲気に存在する二酸化炭素の量は、被覆組成物に導入されるべき二酸化炭素の総量に依存して、また、その他の要因に基づいて、例えば、制御されたガス雰囲気の温度および圧力ならびに被覆組成物などに基づいて変化し得ることを理解しなければならない。二酸化炭素を含む制御されたガス雰囲気は、「組成物を被覆するためのシステムおよび方法」と題される特許出願(これは、本出願とともに同じ日に出願され、出願番号61/220929を有する)において記載されるようなガスシンクに収容され得る。しかしながら、制御されたガス雰囲気を形成および収容するどのような様式も使用され得ることを理解しなければならない。
代替において、二酸化炭素を導入する工程はさらに、二酸化炭素を被覆組成物に注入するか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に注入すること、あるいは、二酸化炭素を基体上の被覆組成物に噴霧すること、あるいは、それらの組合せとして定義することができる。1つの実施形態において、二酸化炭素を導入する工程はさらに、二酸化炭素をスプレーガン(例えば、インピンジメントスプレーガンなど)のノズルから噴霧することとして定義される。ノズルおよびインピンジメントスプレーガンは、当技術分野では公知であるどのようなものであってもよい。
本発明において使用される二酸化炭素は典型的にはガス状であり、しかし、超臨界流体であってもよい。例えば、1つの実施形態において、二酸化炭素を導入する工程はさらに、超臨界の二酸化炭素を被覆組成物に導入するか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に導入することとして定義される。加えて、二酸化炭素は、ドライアイス、超臨界流体に由来することができ、または、石炭火力発電所において生じる煙道ガスから抽出することができる。例えば、1つの実施形態において、二酸化炭素を導入する工程はさらに、固体の二酸化炭素を被覆組成物に導入するか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に導入することとして定義される。別の実施形態において、石炭の燃焼から生じる低圧のガス(約1bar)が二酸化炭素の供給源として役立ち得る。その他の実施形態において、二酸化炭素が、調節器を含むガスタンクから、または、副次的な化学反応の副産物として、または、生物学的プロセスの副産物として、または、製造操作の副産物として、または、二酸化炭素発生装置から、または、天然ガスの燃焼からの副産物として、または、石炭のガス化からの副産物として、または、様々な炭素含有燃料源の副産物として、または、煙道ガスの流れ(例えば、アバタブル(abatable)煙道ガスの流れなど)から、または、それらの組合せから提供される。
代替において、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水を導入する工程はさらに、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水を基体に噴霧することとして定義することができる。この実施形態において、二酸化炭素を導入する工程はさらに、二酸化炭素をスプレーガンのノズルから噴霧することとして定義される。この実施形態においてはまた、二酸化炭素を噴霧する工程はさらに、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水が噴霧されているとき、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水を二酸化炭素とともに形状化することとして定義される。本発明の関連では、有機ボラン−アミン錯体およびラジカル重合可能な化合物は水とは別個に噴霧されてもよく、この場合、水はスプレーガン以外の供給源に由来し得ることを理解しなければならない。
二酸化炭素は、有機ボラン−アミン錯体のアミンブロック剤との少なくとも500:1のモル比で、代替では少なくとも588:1のモル比で、代替では500:1から1765:1までのモル比で、代替では1176:1から1765:1までのモル比で被覆組成物に存在する。当技術分野では公知であるように、炭酸が、時間とともに、水と、二酸化炭素との平衡状態で形成し、水における二酸化炭素の水和平衡定数が25℃で1.7×10-3である。炭酸と、水および二酸化炭素との間における平衡は、下記の式によって表すことができる:
nH2O+CO2⇔H2CO3+(n−1)H2
そのようなものとして、炭酸が被覆組成物内においてインサイチュ形成される。「インサイチュ」によって、炭酸そのものが、被覆組成物に直接加えられるのではなく、むしろ、水もまた被覆組成物に存在する被覆組成物に二酸化炭素を導入することの結果として被覆組成物内において形成することが意味される。炭酸のインサイチュ形成は有機ボラン錯体解離反応の優れた制御を可能にし、かつ、酸が被覆組成物に直接導入されることを必要とするシステムを上回る多くのその他の利点をもたらす(これらの利点には、取り扱いおよび作業者の安全性などが含まれる)。二酸化炭素が、25℃で、有機ボラン−アミン錯体におけるアミンブロック基に対して500:1のモル比で存在するとき、炭酸が、有機ボラン−アミン錯体におけるアミンブロック基に対して0.85:1のモル比で被覆組成物に存在する(ただし、被覆組成物に存在する水のモル量が、炭酸を安定化するために十分であることを仮定する)。しかしながら、温度および/または圧力が、炭酸と、水および二酸化炭素との平衡を移動させるために調節され得ることを理解しなければならない。そのようなものとして、本発明によれば、炭酸が、被覆組成物の温度および/または被覆組成物を取り囲む雰囲気の圧力に基づく予め設定された量(所定の量)で形成される。「予め設定された(所定の)」は、本明細書中で使用される場合、水および二酸化炭素の相対的な量、ならびに、上記の温度変数および圧力変数が、被覆組成物における炭酸の意図された収率に基づいて設定されることを意味することが意図される。典型的には、被覆組成物に存在する炭酸の所定の量はさらに、有機ボラン−アミン錯体のアミンブロック剤に対する炭酸の少なくとも1:1のモル比として、代替では少なくとも2:1のモル比として、代替では少なくとも3:1のモル比として定義され、そのような量は、下記においてさらに詳しく記載されるように、有機ボラン−アミン錯体を錯体解離させるために十分な量である。炭酸は典型的には、約1atmの大気圧および約−78℃〜約30℃の温度で被覆組成物において形成される。しかしながら、炭酸が形成される温度および圧力は、本発明の範囲から逸脱することなく変化させられ得ることを理解しなければならない。
炭酸と、水および二酸化炭素との平衡が典型的には、比較的長期間にわたって達成される。そのようなものとして、様々な工程を、被覆組成物におけるラジカル重合可能な化合物の重合を促進させるという目的のために、炭酸と、水および二酸化炭素との平衡を被覆組成物において達成するために要する時間を短くするために選ぶことができる。例えば、被覆組成物を増大した圧力に供して、被覆組成物における二酸化炭素の溶解性を増大させ、それにより、炭酸の形成を、二酸化炭素のより多くの量が被覆組成物に存在することために増大させることができる。典型的には、インサイチュ炭酸が60分以下の期間内に所定の量で形成され、より典型的には約5分〜約30分の期間内に、最も典型的には約5分〜約15分の期間内に形成される。
有機ボラン−アミン錯体が、上記で記載されるように、有機ボラン開始剤と、アミンブロック剤とを分離させるために錯体解離または解離させられる(すなわち、分解される)。有機ボラン−アミン錯体が、被覆組成物における炭酸がアミンブロック剤と反応することにより被覆組成物において錯体解離させられる。何らかの特定の理論によっての拘束を意図しないが、炭酸が、ただ1つだけのアミンブロック剤と反応するためのただ1つだけのプロトンを与えると考えられ、だが、少量の炭酸が、2つのアミンブロック剤と反応するための2つのプロトンを与えるかもしれないことが可能である(しかし、多分、起こらないであろう)。具体的には、炭酸が1つまたは2つのどちらかでのプロトンを水分子に与え、それにより、酸性の化学種を形成し、これが次に、アミンブロック剤と反応して、有機ボラン−アミン錯体を錯体解離させると考えられる。従って、上記で示されるように、炭酸は典型的には、有機ボラン−アミン錯体におけるアミンブロック剤に対して少なくとも1:1のモル比で存在し、より典型的には、上記で示される量または範囲で存在する。
本発明の方法はまた、第2のガスを被覆組成物に導入するか、または、被覆組成物を形成する前の、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に導入する工程を含むことができる。第2のガスは無水硫酸であり得る。第2のガスは、二酸化炭素を導入する工程に関して上記で記載されるどのような方法によってでも導入することができる。具体的には、第2のガスを、制御されたガス雰囲気において二酸化炭素と一緒に含むことができる。代替において、第2のガスを、上記で記載されるような二酸化炭素を含有する制御されたガス雰囲気とは別個に、さらなる制御されたガス雰囲気において含むことができる。何らかの特定の理論によっての拘束を意図しないが、第2のガスは、二酸化炭素と類似した機構を介して水と反応し得ると考えられる。
本発明の方法はまた、ラジカル重合可能な化合物を、有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合する工程を含む。1つの実施形態において、重合する工程はさらに、−78℃〜35℃の温度で重合することとして定義される。別の実施形態において、重合する工程はさらに、15℃〜30℃の温度で重合することとして定義される。さらに別の実施形態において、重合する工程はさらに、室温付近で重合することとして定義される。代替において、本発明の方法は、ラジカル重合可能な化合物を重合するために、熱および/または放射線を被覆組成物および/またはラジカル重合可能な化合物に加える工程を含むことができる。ラジカル重合可能な化合物を重合する工程はさらに、被覆組成物を自動車構成部品の表面で硬化させるために重合することとして定義することができる。
有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合する工程はさらに、フリーラジカル重合によって重合することとして定義することができる。フリーラジカル重合の機構は当技術分野では広く知られており、典型的には、開始、成長および停止の3つの段階を含む。典型的には、また、上記で記載されるように、均等開裂的な切断反応が、三重項酸素と、有機ボラン開始剤との間で生じ、それにより、重合を開始することに関わるラジカル(R・)を形成させる。ラジカル(R・)は典型的には、ラジカル重合可能な化合物およびいずれかの第2、第3またはさらなるラジカル重合可能な化合物のさらなる均等開裂反応を介して、成長しつつあるポリマー鎖を成長させる。停止段階は、2つのラジカルが互いに反応し、これにより、ただ1つの分子を形成するカップリングを含むことがある。代替において、鎖の不均化が生じることがあり、この場合、2つのラジカルがぶつかり、プロトンを交換する。
1つの実施形態において、本発明の方法はまた、被覆組成物に存在する酸素の量を制限する工程を含む。これは、被覆組成物における酸素の存在が、ラジカル形成を、重合を阻害する、反応性がより低いラジカル種を形成することによって阻害し得ると考えられるからである。同様に、本発明の方法はまた、直ぐ上記で記載された同じ理由から、基体に持ち込まれる酸素の量を制限する工程を含むことができる。酸素は典型的には、有機ボラン開始剤との1:1から5:1のモル比で被覆組成物に存在する。被覆組成物に存在する酸素の量が制限され得る1つの様式が、被覆組成物を取り囲む雰囲気に存在する酸素の量を制限することによるものである。これらの目的のために、酸素は、被覆組成物を取り囲む雰囲気の総重量に基づいて0.1重量パーセント〜5.0重量パーセントの量で、被覆組成物を取り囲むことができる。
被覆組成物についての総硬化時間が典型的には、被覆組成物の具体的性質およびその意図された使用に依存して変化する。しかしながら、被覆組成物についての総硬化時間は典型的には60分以下であり、代替では30分未満であり、最も典型的には約5分〜約30分である。
本発明の方法の1つの実施形態において、有機ボラン錯体を錯体解離させる工程が、外部加熱の非存在下で、例えば、オーブンなどからの外部加熱の非存在下で行われる。説明するために、炭酸が当然のこととして、水および二酸化炭素の存在下で被覆組成物において形成する。炭酸が形成すると、炭酸は、外部下熱の非存在下でアミンブロック剤と反応して、有機ボラン−アミン錯体を錯体解離させる1つまたは2つのプロトンを与える。さらに、有機ボラン開始剤は、アミンブロック剤から分離された後もまた、ラジカル重合可能な化合物との反応性を酸素の存在下および外部加熱の非存在下で有する。加えて、ラジカル重合可能な化合物を、有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合する工程は、被覆組成物の外部加熱の非存在下で行うことができる。しかしながら、外部加熱は、ラジカル重合可能な化合物を重合するために用いられ得ることを理解しなければならない。
代わりの実施形態において、本発明の方法はまた、本方法において使用される二酸化炭素の少なくとも一部を再生利用する工程を含む。二酸化炭素の少なくとも一部を、炭酸の熱可逆的反応を介して再生利用することができる。上記で示されるように、炭酸は非常に低い水和平衡定数を有しており、被覆組成物に存在する炭酸の量が、被覆組成物に存在する水および二酸化炭素の量に依存している。被覆組成物における水および/または二酸化炭素の量における低下は、被覆組成物に存在する炭酸の量における低下をもたらし、それにより、被覆組成物および/または硬化した被覆に存在する炭酸の量を減らすための数多くの選択肢を提供する。そのようなものとして、有機ボラン−アミン錯体が錯体解離させられると、硬化被覆における炭酸の存在を減らすか、または排除することが可能である。このようにして、錯体解離剤として使用される公知である酸に伴う有害な影響を回避することができ、または、最小限に抑えることができる。
下記の実施例は、本発明の範囲を例示するために意図され、本発明の範囲を限定するためには意図されない。
被覆組成物が、下記に記載される方法に従って形成され、基体に塗布される。被覆組成物1および被覆組成物2が下記のように形成される:
組成物1が、10.03グラムのLaromer(登録商標)UA9061と、有機ボラン−アミン錯体としての0.51グラムのトリ−n−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)錯体と、0.13グラムの水とを一緒にすることによって形成される。Laromer(登録商標)UA9061は脂肪族ポリウレタンアクリラート樹脂であり、BASF Corprationから市販されている。Laromer(登録商標)UA9061が、ラジカル重合可能な化合物として組成物1に含まれる。特筆すべきことに、光開始剤が組成物1には含まれない。
組成物2が、9.93グラムの1K型UV硬化性クリアコート再仕上げシステムと、有機ボラン−アミン錯体としての0.52グラムのトリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン(TEB−DAP)錯体と、0.54グラムの水とを一緒にすることによって形成される。この1K型UV硬化性クリアコート再仕上げシステムは、Laromer(登録商標)UA9061をラジカル重合可能な化合物として含む。特筆すべきことに、組成物1の場合のように、光開始剤が組成物2には含まれない。
形成後、これらの被覆組成物を次に、エレクトロコート層がその表面に形成されている金属パネルに個々に塗布する。被覆組成物を塗布した後、被覆組成物のそれぞれを#8バーとともに引き下ろす。続いて、被覆組成物1をその中に配置されて含む被覆された基体を、ドライアイスを含むバケツに約20分間入れる。この時間は、バケツ内の二酸化炭素が有機ボラン−アミン錯体のアミンブロック剤との少なくとも500:1のモル比で被覆組成物1の中に拡散し、それにより、インサイチュ炭酸を被覆組成物1において形成するための十分な時間であり、かつ、被覆組成物1が硬化するための十分な時間でもある。20分後、被覆組成物1を、観察可能な硬化が生じているかどうかを明らかにするために目視評価により評価する。上記評価の結果から、被覆組成物1が観察可能な硬化を示すことが示される。
被覆組成物2をその中に配置されて含む被覆基体を、ドライアイスを含むバケツに約45分間入れる。この時間は、バケツ内の二酸化炭素が有機ボラン−アミン錯体のアミンブロック剤との少なくとも500:1のモル比で被覆組成物2の中に拡散し、それにより、インサイチュ炭酸を被覆組成物2において形成するための十分な時間であり、かつ、被覆組成物2が硬化するための十分な時間でもある。45分後、被覆組成物2を、観察可能な硬化が生じているかどうかを明らかにするために目視評価により評価する。上記評価の結果から、被覆組成物2が観察可能な硬化を示すことが示される。
比較例
被覆組成物2はまた、二酸化炭素の非存在下で基体に塗布される。より詳細には、これらの基体は、周囲量で存在する二酸化炭素を含む雰囲気空気に置かれる。雰囲気空気に置かれると、被覆組成物2は数日間にわたって硬化させられる。数日後、被覆組成物2を、観察可能な硬化が生じているかどうかを明らかにするために目視評価により評価する。上記評価の結果から、被覆組成物2は、雰囲気空気に置かれるとき、被覆組成物2の中への二酸化炭素の拡散が不十分なために、観察可能な硬化を示さないことが示される。
従って、上記で示されるデータは、本発明の方法が、ラジカル重合可能な化合物を効果的に重合させ、かつ、被覆組成物の効率的かつ効果的な硬化について可能にすることを示している。加えて、被覆組成物1および被覆組成物2は、非毒性であり、かつ、有害大気汚染物質として分類されていない二酸化炭素を使用して硬化し、従って、このことは、本方法を環境に優しくし、かつ、本方法が、最小限の放出および汚染を伴って大型の製造施設において利用されることを可能にする。加えて、二酸化炭素は安価であり、また、温室ガスおよび環境汚染を減らすために設計される様々な再循環努力から容易に入手可能である。加えて、二酸化炭素の使用は硬化の酸素表面阻害を最小限に抑え、それにより、本方法の効率を増大させる。その上、二酸化炭素の使用は硬化速度の制御を改善し、かつ、硬化時間を短くする一成分(1K)システムの使用について可能にする。
本発明が例示的様式で記載されており、使用されている用語は、本質的には限定の言葉ではなく、むしろ、記述の言葉であることが意図されることを理解しなければならない。本発明の多くの改変および変化が上記教示に照らして可能であり、また、本発明は、具体的に記載されるのとは別途異なる方法で実施することができる。

Claims (12)

  1. ラジカル重合可能な化合物と、有機ボラン開始剤及びアミンブロック剤を有する有機ボラン−アミン錯体と、水とを含む被覆組成物を硬化させる方法であって、下記の工程、
    A.前記有機ボラン−アミン錯体、前記ラジカル重合可能な化合物および水を一緒にして、前記被覆組成物を形成する工程、
    B.前記被覆組成物を、雰囲気空気における二酸化炭素の濃度よりも大きい濃度で存在する二酸化炭素を含有する制御されたガス雰囲気にさらす工程、
    C.前記有機ボラン−アミン錯体を工程Bで生成した炭酸で分解(decomplex)させ、これにより、前記有機ボラン開始剤と、前記アミンブロック剤とを分離させる工程、および
    D.前記ラジカル重合可能な化合物を、前記有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合する工程
    を含む方法。
  2. ラジカル重合可能な化合物と、有機ボラン開始剤及びアミンブロック剤を有する有機ボラン−アミン錯体と、水とを含む被覆組成物を硬化させる方法であって、下記の工程、
    A.前記有機ボラン−アミン錯体、前記ラジカル重合可能な化合物および水を一緒にして、前記被覆組成物を形成する工程、
    B.超臨界の二酸化炭素を前記被覆組成物に導入するか、または、前記被覆組成物を形成する前の、前記有機ボラン−アミン錯体、前記ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に導入する工程、
    C.前記有機ボラン−アミン錯体を工程Bで生成した炭酸で分解(decomplex)させ、これにより、前記有機ボラン開始剤と、前記アミンブロック剤とを分離させる工程、および
    D.前記ラジカル重合可能な化合物を、前記有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合する工程
    を含む方法。
  3. ラジカル重合可能な化合物と、有機ボラン開始剤及びアミンブロック剤を有する有機ボラン−アミン錯体と、水とを含む被覆組成物を硬化させる方法であって、下記の工程、
    A.前記有機ボラン−アミン錯体、前記ラジカル重合可能な化合物および水を一緒にして、前記被覆組成物を形成する工程、
    B.固体の二酸化炭素を前記被覆組成物に導入するか、または、前記被覆組成物を形成する前の、前記有機ボラン−アミン錯体、前記ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に導入する工程、
    C.前記有機ボラン−アミン錯体を工程Bで生成した炭酸で分解(decomplex)させ、これにより、前記有機ボラン開始剤と、前記アミンブロック剤とを分離させる工程、および
    D.前記ラジカル重合可能な化合物を、前記有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合する工程
    を含む方法。
  4. ラジカル重合可能な化合物と、有機ボラン開始剤及びアミンブロック剤を有する有機ボラン−アミン錯体と、水とを含む被覆組成物を硬化させる方法であって、下記の工程、
    A.前記有機ボラン−アミン錯体、前記ラジカル重合可能な化合物および水を一緒にして、前記被覆組成物を形成する工程、
    B.二酸化炭素を前記被覆組成物にインピンジメント(impingement)スプレーガンのノズルから噴霧することにより導入するか、または、前記被覆組成物を形成する前の、前記有機ボラン−アミン錯体、前記ラジカル重合可能な化合物および水のうちの少なくとも1つを含む組成物に前記噴霧により導入する工程、
    C.前記有機ボラン−アミン錯体を工程Bで生成した炭酸で分解(decomplex)させ、これにより、前記有機ボラン開始剤と、前記アミンブロック剤とを分離させる工程、および
    D.前記ラジカル重合可能な化合物を、前記有機ボラン開始剤を酸素の存在下で使用して重合する工程
    を含む方法。
  5. 前記炭酸が約1atmの大気圧および−78℃〜30℃の温度で形成される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記被覆組成物に存在する酸素の量を制限する工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記有機ボラン−アミン錯体が、下記の式:
    Figure 0005698230
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のそれぞれが独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールアルキル基、アルキレン基、これらのハロゲン化同族体、および、それらの組合せの群から選択される)
    を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記ラジカル重合可能な化合物が、不飽和なアクリル酸エステル樹脂、クリル酸エステルモノマーおよびそれらの組合せの群から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記ラジカル重合可能な化合物が前記被覆組成物の総重量に基づいて90重量パーセント〜97重量パーセントの量で存在し、かつ、前記有機ボラン−アミン錯体が前記被覆組成物の総重量に基づいて2重量パーセント〜5重量パーセントの量で存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記有機ボラン錯体を分解させる前記工程が前記反応性組成物の外部加熱の非存在下で行われる、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 工程A)がさらに、前記被覆組成物を自動車構成部品に塗布することを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 請求項11に記載される方法に従ってその表面に形成される硬化した被覆を含む自動車構成部品。
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