JP5587408B2 - 有機ボラン−アミン錯体の解離方法 - Google Patents

有機ボラン−アミン錯体の解離方法 Download PDF

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Description

本発明は、コーティング組成物中の有機ボラン−アミン錯体を解離する方法に関する。より具体的には、有機ボラン−アミン錯体を解離し、ラジカル重合性化合物を重合させるのに使用されるラジカルが生成するように、コーティング組成物における二酸化炭素とフリーのアミン基との反応からカルバミン双性イオンをその場で生成させる。
自動車の仕上げと再仕上げは、製造される車両の数が増加しているためアメリカ及び他国において成長産業である。典型的には、オリジナル機器製造(OEM)の自動車の仕上げコーティング及び市場流通後の再仕上げの自動車コーティングは、2つの濃縮相の物理的な混合を必要とする2成分組成物である。この混合は典型的には、硬化の制御を制限し、効果時間を増大させ、複雑な形状及び離隔表面へのコーティングの形成を困難なものとする。
このように、UV硬化及び電子線技術等の急速硬化技術を使用することに対する関心が自動車用の仕上げ及び再仕上げのコーティングにおいて高まっている。これらの技術は、UV光によって生じるラジカルとしての又は電子線から生じる電子としての自由電子を利用し、重合させてコーティングを硬化している。これらの技術は、異なった手法で硬化される溶剤系及び水系コーティングと比べてコーティングの硬化時間を短縮するが、UVランプ、バキューム、フィラメント等の高価な装置を必要とする。そのため、これらの技術の使用は費用がかかり、時間を消費し、労働力を必要とし、またフィルム収縮及び酸素表面阻害を受け得る。
別の方法として、再仕上げコーティングは熱及び大きなオーブンを使用して硬化して、架橋を開始させることができる。典型的には、コーティングを自動車の部品に塗布し、続いてこの部品をオーブンに通してコーティングを硬化させる。しかしながら、オーブンの使用は非常にエネルギーを費やし、高価であり、また環境に対して不利な影響を有する。OEMの自動車製造設備では、オーブンは広い設置面積を占有し、使用するのに煩雑である。
別の技術もコーティングを硬化する速度及び効率を向上させるために開発されている。この技術はホウ素化合物、例えば有機ボラン開始剤を利用し、有機モノマーを重合させるラジカルを生成させてコーティングを硬化させる。有機ボラン開始剤は、有機モノマーを重合させるラジカルを生成する能力によって、フリーラジカル重合を開始させ、低い表面エネルギーの基材に対するコーティングの接着を促進させる。あらゆる特定の理論に縛られることなく、有機ボラン開始剤の拡散律速酸化及びこれから生じるラジカルの生成は、有機ボラン開始剤におけるホウ素−酸素結合の熱力学的安定性により引き起こされ、有機ボラン開始剤が酸素中で自然発火性となる原因となる。この反応性のため、有機ボラン開始剤が酸素の導入に左右されず且つ早過ぎるラジカルの生成を抑えるブロック剤で有機ボラン開始剤を安定化させるのが通常である。ブロック剤は制御された条件下(例えば、加熱で又は脱錯体剤への曝露により)で解離して有機ボラン開始剤を遊離し、酸素との反応を介してフリーラジカルの生成を開始する。
上記技術を使用した場合であっても、複雑な形状及び表面に又は複合部品パーツ上に施されるコーティングは通常、UV光をコーティングの全ての部分に行き渡らせることができないことから効果的に硬化することができない。あるいは、いくつかのコーティングは、損傷を被ることなくUV光に曝露することはできないので、硬化が非効率的となる傾向がある。更に、UV光を用いた硬化は酸素によって阻害され得る。このような酸素表面阻害は通常硬化不完全につながり、コーティングは粘性を帯び又は引っ掻き抵抗に欠けるものとなる。
その結果、酸素表面阻害を抑制するための技術が開発されてきている。この技術は、UV光と共にガス雰囲気を利用し、ガス雰囲気中でコーティングを照射することを含む。このガス雰囲気は、硬化中に存在する酸素の量を制限し、これにより酸素表面阻害を抑制する。しかしながら、この種の技術で使用されるUV及び放射源は通常、不完全な硬化が排除されないが抑制されるように、コーティングから遠く離れて配置される。放射源は通常、大量の熱を放出するので、放射源をガス雰囲気内に移動させ、放射源とコーティングとの間の距離を短くすることは困難である。放射源から生じる熱はガス雰囲気中で強い旋風を引き起こし、その雰囲気を酸素で不純化するので、この技術の利用価値をなくしてしまう。
特許文献1(米国公開公報第2007/0196579)に記載のように、この技術の一つの派生形では、有機ボラン−アミン錯体とガス状開始剤を利用して硬化を行っている。この技術でよく知られているように、有機ボラン−アミン錯体は通常、脱錯体剤(decomplexing agent)及び酸素と反応して解離することにより、ラジカルが生成する。ラジカルはコーティングの重合及び硬化を開始させる。最も一般的な脱錯体剤は、’579公報で使用されているもの等であり、酸、アルデヒド、ケトン、イソシアネート及び無水物である。’579公報には、これらの一般的な脱錯体剤を気体状で使用し、コーティング組成物の硬化を開始させることが記載されている。小規模でのコーティング組成物には効果的ではあるが、’579公報の技術は効率的に規模を大きくすることはできず、また、大規模なOEM製造装置で使用することはできない。その理由は脱錯体剤の費用と毒性のためである。例えば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、イソシアネート、無水マレイン酸、メチル(エチル)ケトン、無水フタル酸及びプロピオンアルデヒド等の上記脱錯体剤の多くは、環境保護庁によって有害大気汚染物質(HAPs)として分類されている。従って、これらを使用することは、大規模な製造装置においては厳しく制限されており、また、環境に悪影響を与える。
米国公開公報第2007/0196579
従って、熱、UV光、過酸化物又はアゾニトリル開始剤を必要とせず、複雑な形状及び離隔表面に使用することができるコーティング組成物の改善された硬化方法を開発する機会が残っている。また、環境に優しく且つ大規模の製造装置において最小限の放出及び汚染で使用することができる方法を開発する機会が残っている。
本発明は、コーティング組成物中の有機ボラン−アミン錯体を解離する方法を提供する。より具体的には、カルバミン双性イオンがその場で生成し、ラジカル重合性化合物の重合を開始するためのラジカルが生成する。この方法は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物、及び任意にアミンを基材上に導入し、コーティング組成物を調製する工程を含む。本方法はまた、コーティング組成物に存在するフリーのアミン基に対する二酸化炭素のモル比が少なくとも1:1において二酸化炭素をコーティング組成物に導入する工程を含む。二酸化炭素はフリーのアミン基と反応してその場で不安定なカルバミン双性イオンが生成し、そして有機ボラン−アミン錯体を解離し、これによりラジカルが生成する。このラジカルはラジカル重合性化合物を重合するのに用いられる。
本方法で使用される二酸化炭素は非毒性であり、有害な空気汚染物質として分類されないので、この方法は環境に優しいものとなり、また、この方法を大規模な製造設備において最小限の放出及び汚染で利用することが可能となる。また、二酸化炭素は安価であり、温室効果ガス及び環境汚染を低減するのに設計されたリサイクル過程から容易に利用可能である。更に、二酸化炭素の使用により、酸素表面阻害を最小限とすることができ、これにより本方法の効果が増大する。また、二酸化炭素の使用により、硬化速度の制御が改善し、硬化時間が低減される1成分(1K)系の使用が可能となる。更に、本方法で使用される二酸化炭素は、熱可逆反応により本方法から回収することができ、これにより放出及び汚染が更に低減される。
更に、有機ボラン−アミン錯体は、空気中とラジカル重合性化合物の多くの溶液中の両方で化学的に安定である。有機ボラン−アミン錯体はまた、マイケル付加を介する室温での不純物との反応に耐性がある。この安定性により、ラジカル重合性化合物の早過ぎる重合が起こる機会が減少するので、コーティング組成物の保存期間が長くなる。また、この安定性により、コーティング組成物を硬化するのに用いられるべきより十分で予測可能で再現性のある重合反応が可能となる。有機ボラン−アミン錯体により、可視光、UV光、光開始剤、電子ビーム触媒及び/又は硬化オーブンを要せずに、室温でラジカル重合性化合物を重合させることが可能となる。これにより製造コスト、複雑さ及び時間が著しく減少し、必要とされる合成工程の数が減少し、生成物の収率及び濃度が上昇する。また、これにより本発明のカーボンフットプリントが減少し、エネルギーが節約される。更に、有機ボラン−アミン錯体によりコーティング組成物を低温度で急速に効果させることができ、様々な基材に接着させることができる。これにより、製造効率及び速度が上昇し、硬化のための加熱及び/又は放射の使用に関連する製造コスト及びエネルギー使用が更に抑えられる。
本発明の他の利点は、添付の図面に関連させて考慮した場合には以下の詳細な説明を参照することによってより理解されるであろう。
図1は、二酸化炭素とフリーの(第1級)アミンとを反応させてカルバミン双性イオンを生成し、有機ボラン−アミン錯体のブロックアミンとの反応を介してカルバミン双性イオンからプロトンを引き抜き、O2の存在下でアミンから有機ボランを解離することによってラジカルを生成することを含む第一の理論的な反応機構を説明する図である。 図2は、二酸化炭素とフリーの(第1級)アミンとを反応させてカルバミン双性イオンを生成し、水との反応を介してカルバミン双性イオンからプロトンを引き抜き、アミンから有機ボランを解離することによってラジカルを生成することを含む第2の理論的な反応機構を説明する図である。 図3は、二酸化炭素とフリーの(第1級)アミンとを反応させてカルバミン双性イオンを生成し、カルバミン双性イオンの窒素原子からカルバミン双性イオンの酸素原子までプロトンが移動することにより、カルバミン酸型化合物が生成し、アミンから有機ボランを解離することによってラジカルを生成することを含む第3の理論的な反応機構を説明する図である。 図4は、有機ボラン開始剤を利用するラジカルの形成及び生長の理論化された反応機構を説明し、更に有機ボラン開始剤と酸素との間に起こり得る副反応を説明する図である。
本発明は、コーティング組成物中の有機ボラン−アミン錯体をカルバミン双性イオンのその場での生成を介して解離し、ラジカル重合性化合物の重合を開始するためのラジカルを形成する方法を提供する。有機ボラン−アミン錯体、カルバミン双性イオン及びラジカル重合性化合物を以下により詳細に説明する。
コーティング組成物(以下、「組成物」と称する。)はあらゆる産業で使用することができる。組成物は、限定されないが、オリジナル機器製造(OEM)の「仕上げ」コーティング(塗装)、市場に出た後の「再仕上げ」コーティング、自動車のコーティング、保護コーティング、フィルム、カプセル用材料、ゲル、シーラント、剥離コーティング、コンフォーマルコーティング及びこれらの組み合わせ等、様々な用途に使用されてよい。最も典型的には、組成物は、プライマー、下塗り、クリアコート及び/又はシーラントとして、自動車のOEMの仕上げコーティングとして又は自動車の再仕上げコーティングとして使用される。
組成物は水性型でも溶剤型でもよく、1成分(1K)系又は2成分(2K)系として使用してよい。典型的には、組成物は溶剤型であり1K系である。組成物は典型的には基材に施され、硬化してフィルムを形成する。ある実施の形態では、組成物は2K系であり、互いに反応性である2つの成分、例えば、上記で説明したラジカル重合性化合物、以下により詳細に説明する脱ブロック剤及び有機ボラン−アミン錯体を含む。別の実施の形態では、2K系は、一方の成分中に架橋剤を含み、他方の成分中にラジカル重合性化合物を含む。この実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は架橋剤(多官能アクリレート)、ラジカル重合性化合物又はその両方と共に存在してよい。また別の実施の形態では、組成物は1K系であり、ラジカル重合性化合物を含む。更に別の実施の形態では、組成物は1K系であり、ラジカル重合性化合物及び有機ボラン−アミン錯体を含む。更なる実施の形態では、1K系はラジカル重合性化合物、架橋剤及び脱ブロック剤を含んでいる。また他の実施の形態では、1K又は2K系は、ラジカル重合性化合物及び有機ボラン−アミン錯体から本質的になるか、あるいはラジカル重合性化合物及び有機ボラン−アミン錯体からなる。用語「本質的になる」とは、1K又は2K系が、その系の基礎的及び新規な性質に実質的な影響を与えない化合物、例えばオレフィン、ポリオレフィン、アルキン、アクリレート、不飽和アクリル酸エステル樹脂、官能性アクリル酸エステルモノマー等のみを含んでいることをいう。更に別の実施の形態では、1K及び/又は2K系は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、UVAパッケージ、流動添加剤、湿潤剤、顔料、架橋剤、触媒等を含んでいてもよい。更に、1K及び/又は2K系は、ラジカル重合性化合物としてアクリレート及び/又はメタクリレートを含んでいてよい。
最初に説明したように、ラジカル重合性化合物はコーティング組成物中に存在する。ラジカル重合性化合物は典型的には1分子当たり1つ以上のエチレン性不飽和基、すなわちC=C基を含む。ラジカル重合性化合物は、2個のエチレン性不飽和基又は3個以上のエチレン性不飽和基を含んでいてよいことが意図される。ラジカル重合性化合物は1個以上のアルキニル基、即ちC≡C基も含んでいてよい。ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合ができる限り、モノマー、ダイマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、星型ポリマー、グラフトポリマー、ランダムコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。ある実施の形態では、ラジカル重合性化合物はモノマーである。別の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、部分的に重合し、オリゴマー又はポリマーであるが、更に重合する性質をなお保有する。他の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有する、モノ−及びポリ−不飽和グリセロール又はリン脂質、リン酸ジエステル、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、及びこれらの組み合わせの群から選択される。
更に別の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、アクリレート、カルバメート、エポキシド及びこれらの組み合わせの群から選択される。カルバメート及びエポキシドの好適な非制限例は、少なくとも1つのラジカル重合性官能基と、エステル、エーテル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、アミド及びウレア、アクリル、硫黄基、リン基、及びこれらの組み合わせの群から選択される1種以上の官能基とを有するものである。カルバメートは、脂肪族、脂環式及び芳香族基を含んでいてよく、分岐状炭化水素官能基、ヒドロキシル官能基、カルボキシレート官能基、カルバメート官能基及び/又はエステル官能基を含むがこれらに限定されない様々な官能基を有する直鎖状又は分岐状構造を有していてよい。更なる実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、α,β−不飽和脂肪族化合物、ビニルエステル、置換スチレン、メタクリル酸のエステル、アクリル酸のエステル及びこれらの組み合わせの群から選択される。好適なα,β−不飽和脂肪族化合物の例としては、1−オクテン、1−ヘキセン、1−デセン、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。好適なビニルエステル及びスチレンの非制限例としては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
他の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、アクリレート、ハロゲン置換アクリレート、アルケノエート、カーボネート、フタレート、アセテート、イタコネート、及びこれらの組み合わせの群から選択される。アクリレートの好適な例としては、ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソシアナトアクリレート等のイソシアネート含有アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。更なる実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、ジアクリレート、トリアクリレート、ポリアクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。ジ−、トリ−及びポリ−アクリレートの好適な例としては、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。ウレタンアクリレートの好適な非制限例としては、UCB Chemicalsから市販されているEbercryl 8402及びEbercryl 8301並びにAkcros Chemicalsから市販されているActilane251が挙げられる。不飽和ポリエステルの好適な非制限例としては無水マレイン酸で製造されるポエリエステルが挙げられる。更なる実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、更にOH−アクリル樹脂とジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレートの混合物として定義される。また別の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、不飽和アクリル酸及びメタクリル酸エステル樹脂、官能性アクリル酸及びメタクリル酸エステルモノマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
更に他の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、パーフルオロブチルアクリレート、パーフルオロブチルメタクリレート、1H−,1H−,2H−,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、1H−,1H−,2H−,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、テトラヒドロパーフルオロアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ビスフェノールAアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAメタクリレート、ヘキサフルオロビスフェノールAジアクリレート、ヘキサフルオロビスフェノールAジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好適なアクリレートの他の例としては、アクリルアミド及びメタクリルアミド、例えばN−イソプロピルアクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミドである。ある実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、アルキレングリコールジアルキルアクリレート、アルキレングリコールジアクリレート及びこれらの組み合わせの群から選択される。最も典型的には、ラジカル重合性化合物はアクリレート又はメタクリレートである。
アルケノエートの好適な例としては、アルキル−N−アルケノエート、メチル−3−ブテノエート、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。カーボネートの好適な例は、アルキルカーボネート、アリルアルキルカーボネート、例えばアリルメチルカーボネート、ジアリルピロカーボネート、ジアリルカーボネート、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。本発明に使用するための好適なイタコネートとしては、アルキルイタコネート、例えばジメチルイタコネートが挙げられるがこれに限定されない。好適なアセテートの非制限例としては、アルキルアセテート、アリルアセテート、アリルアセトアセテート及びこれらの組み合わせが挙げられる。フタレートの非制限例としては、アリルフタレート、ジアリルフタレート及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
ラジカル重合性化合物としては、特にアクリルモノマーと共に使用する場合には、スチレン及び置換スチレンも挙げられる。あるいはラジカル重合性化合物としては、ヒドロキシアクリレート等のイソシアネート反応性アクリレートモノマー、オリゴマー又はポリマーをイソシアネート官能性プレポリマーと反応させることにより調製されるアクリレートトチップトポリウレタンプレポリマーも挙げられる。更に有用なものは、一分子当たり平均で少なくとも1個のフリーラジカル重合性基、並びに電子、イオン、正孔及び/又はフォノンを輸送する能力を有する導電性モノマー、ドーパント、オリゴマー、ポリマー及びマクロモノマーの部類である。非制限例として、4,4’,4”−トリス[N−(3(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)フェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン、及び4,4’,4”−トリス[N−(3(ベンゾイルオキシフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンが挙げられるがこれらに限定されない。
ラジカル重合性化合物としては、アクリロキシプロピル基等のアクリロキシアルキル基、メタクリロキシプロピル基等のメタクリロキシアルキル基、及び/又は、次のものに限定されないが、2〜12個の炭素原子を有するアルケニル基(ビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等)、2〜12個の炭素原子を有するアルキニル基(エチニル基、プロピニル基及びブチニル基等)を含む不飽和有機基、並びにこれらの組み合わせを含む化合物が挙げられる。不飽和有機基としては、アリルオキシポリ(オキシアルキレン)基、このハロゲン置換類似体、及びこれらの組合せを含むオリゴマーの及び/又はポリマーのポリエーテル内のラジカル重合性基が挙げられる。別の実施の形態では、ラジカル重合性化合物として、共重合体当たり平均で少なくとも1個のフリーラジカル重合性基が存在するように、ポリマー主鎖を有する有機化合物とラジカル重合性化合物とを共重合することにより形成される化合物が挙げられる。好適な有機化合物としては、炭化水素を基礎とするポリマー、例えばポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンポリプロピレン共重合体、ポリスチレン、スチレンブタジエン、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアクリレート、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリウレア、ポリメタクリレート、部分フッ素化又は完全フッ素化ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ゴム、末端不飽和炭化水素、オレフィン、ポリオレフィン、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。当然ながら、ラジカル重合性化合物は上記化合物に制限されず、この技術において知られているあらゆるものが挙げられることを理解されたい。
上記ラジカル重合性化合物に加えて、組成物は、第二の、第三の又は3つを超えるラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。第二の、第三の及びあらゆる追加的なラジカル重合性化合物は、上記のラジカル重合性化合物と同一でも異なっていてもよい。種々の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は典型的には、組成物100質量部に対して、20〜99質量部の量で、あるいは50〜99質量部の量で、あるいは60〜99質量部の量で、あるいは80〜99質量部の量で組成物中に存在している。別の実施の形態では、ラジカル重合性化合物は、組成物100質量部に対して、50〜80質量部の量で存在する。この実施の形態では、組成物の20質量部には典型的には溶媒が含まれる。また別の実施の形態では、組成物は典型的には、上記量に存在するラジカル重合性化合物の総量と共に第二の、第三の及び/又は更なるラジカル重合性化合物を含む。
有機ボラン−アミン錯体に説明を戻すと、本発明は組成物中の有機ボラン−アミン錯体を解離することに関するものである。有機ボラン−アミン錯体は典型的には、更に有機ボラン開始剤(即ち、有機ボラン(R3B))と好適なアミンとの間に形成される錯体として定義される。アミンはブロック剤として作用し、有機ボラン−アミンを、周囲環境条件において及びラジカル重合性化合物の様々な溶液において安定にする。
有機ボラン開始剤は典型的には、一般構造:
Figure 0005587408
(但し、R1〜R3のそれぞれは独立して1〜20個の炭素原子を有し、R1〜R3のそれぞれは独立して水素原子、シクロアルキル基、主鎖に1〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基、脂肪族基及び芳香族基、アルキルアリール基、ホウ素と共有架橋として機能することのできるアルキレン基、及びこれらのハロゲン置換同族体のうち一つを含み、そしてR1、R2及びR3のうち少なくとも1つは1個以上の炭素原子を含み、ホウ素と共有結合する。R1〜R3のうち2つまでが独立してメトキシ又はエトキシ基等のアルコキシ基であってもよく、これによりR1〜R3の少なくとも1つはホウ素−炭素共有結合を提供する。脂肪族及び/又は芳香族炭化水素基は、直鎖状、分岐状及び/又は環状であってよい。有機ボラン開始剤は、トリ−メチルボラン、トリ−エチルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−sec−ブチルボラン、トリ−ドデシルボラン、フェニルジエチルボラン、及びこれらの組み合わせとして更に定義され得るがこれらに限定されない。他の好適な例としては、モノマー9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.5Mヘキサン溶液、モノマー9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.5Mテトラヒドロフラン溶液、モノマー9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)の0.5Mトルエン溶液、ジブチルボロントリフラート(DBBT)の0.5Mn−ヘプタン溶液、ジブチルボロントリフラートの0.5M塩化メチレン溶液、ジブチルボロントリフラート(DBBT)の0.5Mトルエン溶液、ジシクロヘキシルボロントリフラート(DCBT)の0.5Mヘキサン溶液、ジシクロヘキシルクロロボランの1Mヘキサン溶液、メトキシジエチルボラン(MDEB)の純液体、メトキシジエチルボラン(MDEB)の50重量%テトラヒドロフラン溶液、トリエチルボラン(TEB)の純液体、テトラヒドロフラン中のトリエチルボラン(TEB)の純液体、トリエチルボランの1Mヘキサン溶液、トリ−n−ブチルボラン(TNBB)の純液体、トリ−sec−ブチルボラン(TSBB)の純液体が挙げられる。典型的には、有機ボランは更にトリ−n−ブチルボランとして定義される。説明のため、トリ−n−ブチルボランの構造を以下に示す:
Figure 0005587408
更に、その技術分野で知られているあらゆるアミンを、有機ボラン−アミン錯体を形成させ「結合」アミンとして機能させるために使用することができる。有機ボラン−アミン錯体を形成するために使用されるアミンは、第1級、第2級又は第3級アミンであってよい。典型的には、アミンはアルキル基、アルコキシ基、アミジン基、ウレイド基又はこれらの組み合わせのうち少なくとも1種を含む。特に好適なアミンとしては、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、イソホロンジアミン、少なくとも1つのアミン官能基(3−アミノプロピル、6−アミノヘキシル、11−アミノウンデシル、3−(N−アリルアミノ)プロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、アミノメチル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチル、p−アミノフェニル等)を含むアミン官能化合物、2−エチルピリジン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。種々の実施の形態において、アミンは、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、ヘプチルアミン、メトキシプロピルアミン、2−メチルアミノエタノール、システアミン、及びこれらの組み合わせの群から選択される。ある実施の形態では、アミンはジアミンである。別の実施の形態では、アミンはモノアミンである。
有機ボラン−アミン錯体それ自体に説明を戻すと、本発明は、当技術で知られているあらゆる有機ボラン−アミン錯体を利用することができ、前述した又は後述する実施の形態のものに限定されない。種々の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体はジアルキルボラン、トリアルキルボラン等から形成される。また、有機ボラン開始剤は、アミンと錯体になってよく、同時に別の原子及び/又はブロック基に結合していてよい。これらの他の原子及び/又はブロック基はその技術で知られているあらゆるものであってよく、これには炭素化合物、ハロゲン化化合物、遷移金属化合物等が含まれる。
有機ボラン−アミン錯体は、有機アミン開始剤がアミンから解離した後、ラジカル重合性化合物の重合又は架橋を開始させることが可能である。あらゆる特定の理論によって制限されることを意図せず、三置換ホウ素は、三重項酸素の存在下において、ホウ素−炭素結合での2分子ホモリティック開裂を受け、対応するペルオキシル、アルコキシル、アルキル、ケトン三重項及び/又はチイル(スルフェニルとしても知られる)ラジカルを生成する。これらのラジカルは、アミンから解離する有機ボラン開始剤と反応することにより、最終的にトリアルキルボレートになるまで生長し得る。ラジカルの生成と連鎖の理論反応式を発生し得る副反応と共に図4に示す。あらゆる特定の理論に結びつくことなく、アルキルラジカル(R・)は典型的には、ラジカル重合性化合物の重合を開始させると考えられる。
有機ボラン−アミン錯体は典型的には下記式を有する:
Figure 0005587408
式中、Bはホウ素を表し、R1〜R3のそれぞれは上述したものと同一であってよい。同様に、R4〜R6のそれぞれは、そのアミンが上述したものであり且つ第1級、第2級又は第3級アミンとなるものであってよい。ある別の実施の形態では、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のそれぞれは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールアルキル基、アルキレン基、これらのハロゲン化同族体、及びこれらの組み合わせの群から独立して選択される。あるいは、R4、R5及び/又はR6のそれぞれは独立して窒素及び/又は硫黄含有官能基であってよい。種々の実施の形態では、R4、R5及び/又はR6はジアミン官能性であってよい。また別の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は式:
Figure 0005587408
(式中、R1〜R3のそれぞれは上述した通りであり、アミンは更に環式アミンとして定義される。)を有する。
有機ボラン−アミン錯体の好適な非制限例としては、純液体としてのN,N−ジエチルアニリンボラン(DEANB)、純液体としてのピリジンボラン(PYB)、ピリジンボラン(PYB)の50重量%ピリジン溶液、粉末としてのtert−ブチルアミンボラン(TBAB)、純液体としてのトリエチルアミンボラン(TEAB)、純液体としてのトリエチルボラン−1,3−ジアミノプロパン錯体(TEB−DAP)、粉末としてのトリメチルアミンボラン(TMAB)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有機ボラン−アミン錯体の更なる好適例はジイソプロピルアミンとトリエチルボランの錯体である。
ある実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は、トリ−n−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)、トリ−sec−ブチルボランメトキシプロピルアミン(TsBB−MOPA)、トリ−n−ブチルボランメトキシプロピルアミン(TnBB−MOPA)、トリエチルボランシステアミン(TEB−CA又はTEB−システアミン)、トリ−n−ブチルボランシステアミン(TnBB−CA)、トリエチルボランジアミノプロパン(TEB−DAP)、トリ−sec−ブチルボランジアミノプロパン(TsBB−DAP)、及びこれらの組み合わせの群から選択される。説明のため、これらの有機ボラン−アミン錯体の化学構造を以下に示す:
Figure 0005587408
Figure 0005587408
好ましくは、有機ボラン−アミン錯体はジアミン官能性である。特に好適な例としては、ジアミノプロパン(DAP)部分を含む有機ボラン−アミン錯体が挙げられるが、これに限定されない。ある実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は、TEB−DAP、TnBB−DAP、TsBB−DAP及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。あらゆる特定の理論に縛られることなく、DAP部分は、以下に詳細に説明するように、結合及びフリーのアミン(基)の存在により特に好ましいと考えられる。ジアミン官能有機ボラン−アミン錯体の2つのアミンを隔てさせる(−CH2)単位の数は多様であってよく、特に制限されない。ある実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は次の式:
3BH2NCH2CH2CH2NH2BR3を有し、各Rは独立して1〜20個の炭素原子を有していてよく、独立して、水素原子、シクロアルキル基、主鎖に1〜12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基、脂肪族基、及び芳香族基、アルキルアリール基、ホウ素と共有架橋(covalent bridge)として機能することが可能なアルキレン基、並びにこれらのハロゲン置換同族体であってよい。
有機ボラン−アミン錯体は典型的には5〜25、より典型的には10〜20、最も典型的には10〜15kcal/molの結合エネルギーを有している。その技術分野でよく知られているように、有機ボラン−アミン錯体の結合エネルギーとは、有機ボラン−アミン錯体をその構成要素に、即ち有機ボラン開始剤とアミンに分解するのに必要とされるエネルギーの正味量のことをいう。当然ながら本発明は上述した結合エネルギーに限定されない。
有機ボラン−アミン錯体は、作用時間を制御するため及び貯蔵中の分離に対して液相の有機ボラン−アミン錯体を安定化させるための相支持体等の固体粒子に物理的及び/又は化学的に付随(結合)していてよい。付随は、その場で又は事前に知られている多くの基材処理により行うことができる。固体粒子が官能基を含む場合、基材処理剤等の添加剤又は本質的にアミン反応性である不純物は、付随している有機ボラン−アミン錯体の早過ぎる脱錯体化を避けるために適切な事前防止策を必要とする場合がある。アミン反応性物質を含む固体粒子は、有機ボラン−アミン錯体を付随させる前に浄化又は中和をすることができる。あるいは、有機ボラン−アミン錯体の付随は、酸素のない環境で行ってよい。
有機ボラン−アミン錯体は組成物を形成するのにあらゆる量で使用してよい。典型的には、有機ボラン−アミン錯体は、組成物100質量部に対して、0.01〜95、より典型的には0.1〜80、更により典型的には0.1〜30、また更に典型的には1〜20、より特に典型的には1〜15、最も典型的には2〜5質量部に相当する量で使用する。有機ボラン−アミン錯体の量は、有機ボラン−アミン錯体の分子量及び官能性並びにフィラー等の組成物中の他の成分の存在に依存する。
本発明の有機ボラン開始剤は周知のヒドロホウ素化技術により合成することができる。一つの合成経路としては、末端アルケン化合物とTHF中のジエチルボランとの反応が挙げられる。このような反応は一般に、二重結合の炭素のα−末端から二番目の位置かβ末端位の何れかへのホウ素の付加から誘導される生成物の混合物を製造することができることが知られている。β−生成物又はα−及びβ−生成物の混合物は、有機ボラン開始剤に含まれていてもよい。
種々の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体はラジカル重合及び連鎖移動に使用される。種々の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体はラジカル重合性化合物を重合するのに使用されて、二量体、オリゴマー、プレポリマー、ポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、星形ポリマー、グラフトポリマー、ランダムコポリマー、及び/又はこれらの組み合わせ(更にラジカル重合可能であってもなくてもよい)を形成する。
ある実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は、置換メラミン及びアクリレートを重合させるのに使用される。このような重合の例を以下に示す:
Figure 0005587408
別の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)及び/又はヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)等のヒドロキシアクリレートモノマーと、IPDI三量体、HDI三量体等の多官能のイソシアヌレートとの間に反応より生じる付加生成物を重合するために使用される。更なる実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体は、イソシアヌレートアクリレートモノマーと、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエチレントリアミン等の多ヒドロキシ又はアミノ官能モノマーを重合するのに使用する。また更なる実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体はグリシジルメタクリレートを重合するのに使用する。アクリレートモノマーは、最初に置換メラミン、イソシアヌレート又は類似する多官能部分と反応し、次いでUV又は他の放射線あるいは加熱をせずに架橋コーティング組成物に硬化し得る多アクリレート中間体を生成し得ると考えられる。
最初に記述したように、用語「フリーのアミン基」とは、(1)更なる反応に利用可能であり(2)有機ボラン開始剤に配位結合(例えば、供与又は配位共有結合を介する)していない、あらゆるアミン基のことをいう。ここで、用語「フリーのアミン」及び「フリーのアミン基」は互換可能に用いることができる。上述したように、フリーのアミン基は、第1級又は第2級アミンであってよく、アンモニアであってよい。典型的には、フリーのアミン基は第1級アミンである。ある実施の形態では、錯体のアミンが2、3、4又は多官能性である場合にはフリーのアミン基は有機ボラン−アミン錯体に存在する。例えば、有機ボラン−アミン錯体は、有機ボラン開始剤に配位結合する第一のアミン基を含み、更に配位結合しない1つ以上の追加的アミン基を含んでいてもよい。これらの更なるアミン基は上記フリーアミン基として機能する。
ある実施の形態では、組成物はフリーのアミン源を提供する任意のアミンを含む。上述したように、フリーのアミン源は有機ボラン−アミン錯体の「未結合の」アミンであってよいように、フリーのアミン源は必ずしも任意のアミンではないことを理解されたい。任意のアミンは有機ボラン−アミン錯体のあらゆるアミンとは異なる。異なる点は、任意のアミンが、結合していようと非結合であろうと、有機ボラン−アミン錯体の一部ではない点である。しかしながら、任意のアミンは、有機ボラン−アミン錯体の一部であるアミンと化学的に同一であってよい。あるいは、任意のアミンは有機ボラン−アミン錯体の一部であるアミンと異なっていてよい。
典型的には、任意の及び/又はフリーのアミンは、カルバミン双性イオンを形成する反応を促進する。すなわち、以下により詳細に説明するように、任意の及び/又はフリーのアミンは、二酸化炭素と反応して双性イオンを形成し得る。典型的には、任意のアミンは、有機ボラン−アミン錯体のアミンが2,3又は多アミン官能性である場合には、組成物中に含まれない。この場合、有機ボラン−アミン錯体の更なるアミン基(ジ,トリ,等)はフリーのアミン基として機能するので、任意のアミンは必要とされない。しかしながら、たとえ有機ボラン−アミン錯体のアミンが2,3又は多アミン官能性であっても、任意のアミンはそれでも含んでいてよい。任意の及び/又はフリーのアミンは典型的には第1級アミンであるが、第2級アミン、又は第1級及び第2級アミンの組み合わせであってもよい。ある実施の形態では、任意のアミンはアンモニアである。別の実施の形態では、任意のアミンは、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン又は2−アミノエタノール、プロピルアミン、2−プロピルアミン、トリスアミン、ジメチルアミン、メチルエタノールアミン又は2−(メチルアミノ)エタノール、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ベンジルアミン、メトキシプロピルアミン、システアミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリドン、ピペリジン、ジメチルエタノールアミン(DMEA)又は2−(ジメチルアミノ)エタノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。任意の及び/又はフリーのアミンは、典型的には有機ボラン−アミン錯体に対して約1:1の化学量論比で(すなわち有機ボラン−アミン錯体の結合アミンに対して)組成物中に含まれる。あらゆる特定の理論に縛られることなく、化学量論的過剰量の任意の及び/又はフリーのアミンは、図1〜3のメカニズムと競合するメカニズムを促進することにより、有機ボラン−アミン錯体の解離と競合すると考えられる。すなわち、化学量論的過剰量の任意の及び/又はフリーのアミンがある場合には、その後のプロトンの移動が、有機ボラン−アミン錯体及びカルバミン酸型化合物とではなく、フリーのアミンの間に生じ得る。しかしながら、化学量論的過剰量の任意の及び/又はフリーのアミンは、本発明における当業者により利用されてよい。更なる実施の形態では、任意の及び/又はフリーのアミンは、二酸化炭素に対して様々な化学量論比、例えば1:2、1:3、1:4、1:5等で含まれる。典型的には、化学量論的過剰量の二酸化炭素が好ましい。
ある実施の形態では、有機ボラン開始剤はジアミノブロック剤でブロックされており、以下に示すようにこのブロック剤の一方の末端は有機ボランに結合し、他方の末端がフリーのアミンとして機能する。
Figure 0005587408
別の実施の形態では、有機ボラン開始剤は単官能性アミノブロック剤でブロックされており、このブロック剤のアミノ末端が有機ボランと結合する。この実施の形態では、フリーのアミンも独立して存在する。このフリーのアミンは第1級又は第2級アミンであり、「二酸化炭素−親和性」であることが好ましい。非制限例を以下に示す:
Figure 0005587408
また別の実施の形態では、有機ボラン開始剤はジアミン官能性アミノブロック剤でブロックされており、このブロック剤の一方の末端は有機ボランと結合し、他方の末端はフリーのアミンとして機能する。この実施の形態では、任意のアミンもまた、有機ボラン−アミン錯体の一部であり有機ボラン開始剤に結合していないフリーのアミン基とは別に独立して存在する。この第二のフリーアミンは第1級又は第2級アミンであり、「二酸化炭素−親和性」であることが好ましい。この実施の形態を以下に示す:
Figure 0005587408
有機ボラン開始剤は、本願と共に同日出願された仮特許出願(タイトル:自動車用部品に硬化コーティング組成物を形成する方法)に記載されており、この出願は代理人整理番号がIN−6484である。
別の実施の形態では、この方法は、(1)ジアミン官能性アミノブロック剤でブロックされた有機ボラン開始剤及び(2)任意のアミンを同時使用しない。前述したように、この実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体の結合アミンに対するフリーのアミンの化学量論量比が約1:1である。
他の種々の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体に対する(すなわち有機ボラン−アミン錯体の(結合)アミンに対する)任意の及び/又はフリーのアミンの準化学量論(モル)比を用いることができる。これらの実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体(例えば、RNH2:BR3を使用)に対して準化学量論量比の任意の及び/又はフリーのアミンを含む組成物が、硬化性質の向上を示す一方で自然発火性の低下を示すことは驚くべきことであり、本発明者にとって予想外なものある。ある実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体に対する任意の及び/又はフリーのアミンの準化学量論比は0.5:1〜1:1である。別の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体に対する任意の及び/又はフリーのアミンの準化学量論比は0.6〜0.85:1である。更に別の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体に対する任意の及び/又はフリーのアミンの準化学量論比は0.7〜0.8:1である。他の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体に対する任意の及び/又はフリーのアミンの準化学量論比が約1:1未満である。また、これらの実施の形態の有機ボラン−アミン錯体並びに任意の及び/又はフリーのアミンは特に制限されず、その技術分野で好適であるものであってよいことを理解されたい。
上記3つの実施の形態のそれぞれにおいて、フリーのアミン基に対する二酸化炭素のモル比が少なくとも1:1であることが必要とされる。同様に、フリーの及び結合アミン(即ち、有機ボラン開始剤に結合したアミン)の合計に対する二酸化炭素のモル比が少なくとも1:2であることも必要とされる。上述したように、有機ボラン−アミン錯体の結合アミンに対するフリーのアミンの化学量論比は約1:1であることが好ましい。
上記化合物に加えて、組成物には1種以上の添加剤を含んでいてもよい。1種以上の添加剤は、レベリング剤、溶媒、界面活性剤、フィラー、安定化剤、溶媒、可塑剤、消泡剤、湿潤添加剤、触媒、レオロジー制御剤、顔料、光相乗剤、接着促進剤、顔料分散剤、流動助剤、酸官能ポリマー、添加ポリマー、触媒及びこれらの組み合わせからなる群から選択してよい。好適である非限定的溶媒の例としては、二酸化炭素の溶解度が高いものが挙げられ、例えば酢酸ブチル、酢酸アミル及び酢酸エチル並びにこれらの組み合わせが挙げられる。当然ながら他の溶媒も使用してよい。好適な界面活性剤の非限定例としては、Allentown PAのAir Products and Chemicals, Inc.から市販されているSurfynol(登録商標)Surfactantが挙げられる。好適な可塑剤の非限定例としては、St.Louis,MOのCook Composite and Polymersから市販されているCoroc(登録商標)Acrylic Plasticizer Resinsが挙げられる。
また、1種以上の添加剤としては硬化性を向上させる触媒も挙げられる。このような触媒は従来技術でよく知られており、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニルリン酸、マレイン酸モノブチル、リン酸ブチル、ヒドロキシリン酸エステル及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。通常、有機ボラン−アミン錯体に干渉する酸は使用から除外される。しかしながら、このような酸は使用してもよいことが考えられる。組成物に有用であり得る他の触媒としては、ルイス酸、亜鉛塩及びスズ塩等の遷移金属塩、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。触媒は、ブロックされていてもよく、ブロックされていなくてもよく、部分的にブロックされていてもよい。触媒は、アミン又は他の好適なブロック剤、例えばオキシラン変性物質でブロック又は部分的にブロックされていてよい。触媒を含む場合には、触媒は組成物100質量部に対して0.1〜1.2質量部、より好ましくは0.1〜0.9質量部、最も好ましくは0.2〜0.7質量部の量で含まれていることが好ましい。
組成物が1種以上の添加剤として溶媒を含む場合には、溶媒は当業者に知られているあらゆるものであってよく、水が挙げられ、HAPを含まないものであってよい。ある実施の形態では、溶媒として極性の有機溶媒が挙げられる。別の実施の形態では、溶媒として極性の脂肪族溶媒が挙げられる。更なる実施の形態では、溶媒として極性の芳香族溶媒が挙げられる。また別の実施の形態では、溶媒は、ケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、非プロトン性アミン及びこれらの組合せからなる群から選択される。有用な溶媒の非制限例として、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、2−エチルヘキサノール、n−ブタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、Irving,TXのExxon Mobilから市販されているSC150溶媒、ナフサ、重質ベンゼン、エチルエトキシプロピオネート、ブチルグリコールアセテート、ブチルグリコール、Aromatic100等の芳香族炭化水素のブレンド、ブチルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ミネラルスピリット、2−ブトキシエタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジブチルエーテル、2−エチルヘキサノール及びこれらの組合せが挙げられる。溶媒を含む場合には、溶媒は通常、組成物100質量部に対して多くても60質量部、より典型的には5〜50質量部、最も典型的には10〜40質量部の量で含む。
更に、1種以上の添加剤は顔料を含んでいてもよい。例えば、組成物を下塗りとして使用する場合には、顔料としては有機及び/又は無機化合物、着色物質、フィラー、金属製及び/又は無機フレーク材料、例えばマイカ又はアルミニウムフレーク及びこれらの組合せが挙げられる。好適な含量の非制限例としては、カーボンブラック顔料、二酸化チタン及び他の無機着色顔料、例えば酸化鉄、クロムイエロー、モリーオレンジ、チタンイエロー、ニッケルチタネートイエロー、クロムグリーン等が挙げられる。顔料を含む場合には、顔料は組成物100質量部に対して、60質量部以下、より典型的には5〜50質量部、最も典型的には10〜40質量部の量で含む。
また更に、1種以上の添加剤にはレベリング剤が含まれていてもよい。レベリング剤はビニルアクリル共重合体等が挙げられるがこれに限定されない。レベリング剤を含む場合には、レベリング剤は典型的には組成物100質量部に対して20質量部以下、より典型的には1〜10質量部以下、最も典型的には2〜5質量部の量で含む。
また別に、1種以上の添加剤には安定化剤が含まれていてもよい。安定化剤としては、ヒンダードアミン光安定化剤(HALS)が挙げられる。HALSを含む場合には、その技術で知られているものが挙げられる。好ましくはHALSを含む場合には、HALSは300g/mol未満、より好ましくは260g/mol未満の分子量を有する。本発明に使用するのに好適な市販されているHALSの実例としては、スイス、バーゼルのSandoz LTD.Corporationから市販されているSanduvor(登録商標)3058及びArdsley,NYのCiba−Geigyから市販されているTinuvin(登録商標)123、292及び384が挙げられるがこれらに限定されない。安定化剤を含む場合には、安定化剤は組成物100質量部に対して20質量部以下、より典型的には1〜10質量部、最も典型的には2〜5質量部の量で含む。
方法それ自体に説明を戻すと、本方法は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意にアミンを基材上に導入して組成物を調製する工程を含む。有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンは、別々に、一緒に又は様々な組合せで基材上に導入することができる。導入工程としては、この技術で知られているあらゆる塗布方法が挙げられる。好適な塗布方法としては、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、静電スプレー及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。ある実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンを押出しコーティング用の静電噴霧によって基材に塗布する。
様々な実施の形態では、基材は更に反応器又は容器として定義される。反応器及び/又は容器は実験用のサイズでも工業用のサイズでもよい。典型的には、基材が更に反応器及び/又は容器として定義される場合には、ラジカル重合性化合物はその反応器又は容器内で重合する。形成するとすぐに、重合した化合物は次いで当業者により選択されて更に使用される。ある実施の形態では、重合した化合物は反応器内で形成した後に自動車用部品に施す。
あるいは、基材は更に自動車用部品それ自体として定義されてよい。自動車用部品は、ドア、ボンネット、天井、パネル等であってよい。この実施の形態では、本方法は典型的には、容器又は反応器内ではなく自動車用部品上において、コーティング組成物を調製する工程、ラジカル重合性化合物を重合させる工程を含む。しかしながら、上記したように、本方法はこのような実施の形態に限定されない。
ある実施の形態では、基材は、カーボンファイバー、スチール、アルミニウム等の有機又は無機材料のシートである。基材は被覆されていてもされていなくてもよく、処理されていてもされていなくてもよく、これらの組合せであってもよい。様々な実施の形態では、基材は、プラスチック、スチール、鉄及びアルミニウム等の金属及びこれらの組合せからなる群から選択される。あるいは、基材はスチール製の及び/又は押出された自動車用部品を含んでよい。別の実施の形態では、基材は更に自動車用部品として定義される。また別の実施の形態では、基材には車体パネルが含まれ、好ましくは下塗り又は電着されている。
上記で詳述したように、本発明の方法では、有機ボラン−アミン錯体は解離して(即ち開裂して)アミンから有機ボラン開始剤が遊離する。有機ボラン−アミンは、カルバミン双性イオンのその場での形成を介してコーティング組成物中で解離する。用語「その場」とは、カルバミン双性イオンがコーティング組成物中で生成することをいう。カルバミン双性イオンは典型的には、二酸化炭素と組成物中に存在するフリーのアミン基(有機ボラン−アミン錯体の一部として又は任意のアミンの一部として未結合である)の反応から生じる。従って、本発明の方法はまた、組成物中に存在するフリーのアミン基に対する二酸化炭素のモル比が少なくとも1:1において、コーティング組成物に(基材上に)二酸化炭素を導入する工程を含む。より典型的には、二酸化炭素は、組成物中に存在するフリーの及び結合アミンの両方の総計に対するモル比が少なくとも1:2においてコーティング組成物に(基材上に)導入する。典型的には、二酸化炭素をフリーのアミン基及び/又はフリーの及び結合アミンの両方の総計に対して化学量論的大過剰量(>10:1)で利用する。ある実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンを導入する工程は、二酸化炭素を導入する工程と同時に行う。この実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンが基材上に存在する前に二酸化炭素はフリーのアミン基と反応を開始して、カルバミン双性イオンを生じ得る。別の実施の形態では、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物、及び任意のアミンを導入する工程を、二酸化炭素を導入する工程の前に行う。二酸化炭素は、組成物とは別に有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンのうち1つ以上に導入してもよく、これによりこれらの化合物が混合されたときに、続いて二酸化炭素が組成物に導入される。
二酸化炭素を組成物に導入する工程は、二酸化炭素を大気から組成物中に浸透させる工程として、組成物に二酸化炭素を注入する工程として、組成物上に二酸化炭素を噴霧する工程として、又はこれらの組み合わせとして更に規定されてよい。通常、基材上の組成物は、二酸化炭素が組成物中に浸透するように、二酸化炭素雰囲気中に置かれる。ある実施の形態では、二酸化炭素を導入する工程は、衝撃スプレーガン(impingement spray gun)等のスプレーガンのノズルから二酸化炭素を噴霧する工程として更に規定される。ノズル及び衝撃スプレーガンはその技術分野で知られているものであってよい。別の実施の形態では、二酸化炭素を導入する工程は、本願と同日に出願されたタイトル:組成物硬化システム及び方法の特許出願(USシリアルナンバー61/220,929)に更に記載されているように、ガスシンク内で二酸化炭素の雰囲気に組成物を曝露する工程として更に規定される。
あるいは、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンを導入する工程は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンを基材上に噴霧する工程として更に規定されてよい。この実施の形態では、二酸化炭素を導入する工程は、二酸化炭素をスプレーガンのノズルから噴霧する工程として更に規定される。またこの実施の形態では、二酸化炭素を噴霧する工程は、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物、及び任意のアミンが噴霧されているときに、有機ボラン−アミン錯体、ラジカル重合性化合物及び任意のアミンを二酸化炭素で形状化する工程として更に規定される。
本発明で使用する二酸化炭素は通常ガス状であるが、超臨界流体であってもよい。また、二酸化炭素はドライアイスから生じたもの、超臨界流体から生じたものであってよく、石炭火力発電所で生じた燃焼排ガスから取り出したものであってもよい。ある実施の形態では、石炭の燃焼から生じた低圧ガス(〜1bar)は、二酸化炭素源としての役割を有し得る。他の実施の形態では、二酸化炭素は、調整器を含むガスタンクから、付随的化学反応の副生成物として、生物学的プロセスの副生成物として、製造工程の副生成物として、二酸化炭素発生機から、天然ガスの燃焼から生じる副生成物として、石炭のガス化から生じる副生成物として、様々な二酸化炭素含有燃料源の副生成物として、低減可能な燃焼排ガス流等の燃焼排ガス流から、又はこれらの組み合わせから供給される。
あらゆる特定の理論に縛られることなく、以下により詳細に説明するように、図1に示すメカニズムを介して、一つのフリーのアミン基は、一つの二酸化炭素分子と反応し、カルバミン双性イオンを形成する。従って、フリーのアミン基に対する二酸化炭素の比が少なくとも1:1であることが必要である。当然ながら、この二酸化炭素はフリーのアミン基に対してモル過剰量で存在してよい。様々な実施の形態では、二酸化炭素は、フリーのアミン基に対して少なくとも2:1を超え約10:1までのモル比で存在する。他の実施の形態では、二酸化炭素は、フリーのアミン基に対して約10:1を超え約1000:1までのモル比で存在する。更に他の実施の形態では、二酸化炭素は、フリーのアミン基に対して1000:1を超えるモル比で存在する。典型的には、化学量論的過剰量の二酸化炭素が望ましい。いかなる化学量論的過剰量の二酸化炭素は容易に回収及び再使用することができるので排出及び汚染が低減される。
本発明の方法はまた、二酸化炭素とフリーのアミン基とを反応させて、その場でカルバミン双性イオンを形成し、これによりラジカルを生成する工程を含む。より具体的には、カルバミン双性イオンが一度その場で形成されると、有機ボラン−アミン錯体は解離し、これによりラジカルを生成する。あらゆる特定の理論に制限されることなく、カルバミン双性イオンは脱ブロック剤及びプロトン(H+)源として機能し、有機ボラン−アミン錯体の結合アミンと反応することにより、有機ボラン−アミン錯体を有機ボラン開始剤及びアミンとカルバミン双性イオンとの反応生成物に分裂(解離)すると考えられる。有機ボラン−アミン錯体の解離の正確なメカニズムは分かっていないが、考えられる一つのメカニズムを図1に示す。これとは別に、図2に示すように、カルバミン双性イオンからのプロトンは、フリーのアミン基又は水に移動し、これにより解離を引き起こす、有機ボラン−アミン錯体の結合アミンをプロトン化する酸性種が形成する。また、図3に示すように、プロトンはカルバミン双性イオンの窒素原子からカルバミン双性イオンの酸素原子に移動し、これにより解離を引き起こす、有機ボラン−アミン錯体の結合アミンをプロトン化する不安定な「カルバミン酸型化合物」を生成すると考えられる。
あらゆる特定の理論に縛られることなく、カルバミン双性イオンは、最初に説明したように、図1に示すメカニズムを介して形成されると考えられる。すなわち、フリーのアミンの孤立電子対の電子の一つが二酸化炭素の炭素原子を攻撃して、C=O結合のうち一つの電子対の酸素原子への移動を引き起こすことにより、全体の正味電荷が0であるが正電荷及び負電荷を別の原子に有するカルバミン双性イオンを形成する。この方法に対して、カルバミン双性イオンは以下の構成を有すると考えられる。
Figure 0005587408
上述した工程に加えて、本方法はまた、第二のガスを組成物及び/又は基材に導入する工程を含んでいてもよい。第二のガスは二酸化硫黄であってよい。第二のガスは、二酸化炭素を導入する工程について上述したあらゆる方法により導入することができる。あらゆる特定の理論に制限を受けることなく、第二のガスは二酸化炭素と同様のメカニズムを介してフリーアミン基と反応し得る。
本方法はまた、ラジカルによりラジカル重合性化合物を重合する工程を含む。ある実施の形態では、重合する工程は、−78℃〜35℃の温度において重合する工程として更に規定される。別の実施の形態では、重合工程は、20〜30℃の温度において重合する工程として更に規定される。また別の実施の形態では、重合する工程は、約室温において重合する工程として更に規定される。あるいは、本方法は、熱及び/又は放射線を組成物及び/又はラジカル重合性化合物に与えて、ラジカル重合性化合物を重合する工程を含んでいてよい。ラジカル重合性化合物を重合する工程は、重合/架橋反応して硬化したコーティング組成物(例えばフィルム)を自動車用部品上に形成する工程として更に規定されてよい。
ラジカルを用いて重合する工程は、フリーラジカル重合により重合する工程として更に規定することができる。フリーラジカル重合のメカニズムはこの技術分野でよく知られており、通常3段階:開始、生長及び停止を含む。開始及び生長段階を図4に示す。典型的には、また上述したように、ホモリティッック置換反応が三重項酸素と有機ボラン開始剤との間で起こり、これにより酸素及び/又はラジカル重合性化合物と反応しラジカルを生成するアルキルラジカル(R・)が生じる。図4に示すように、アルキルラジカル(R・)は通常、ラジカル重合性化合物及びあらゆる第二、第三又は追加的なラジカル重合性化合物の更なるホモリティック反応を介してポリマー鎖を伸長させる。最後の段階には、2つのラジカル種が互いに反応し1つの分子を形成するカップリングが含まれ得る。あるいは、鎖の不均化が起こり、2つのラジカルが会合してプロトンを交換する。
ある実施の形態では、コーティング組成物中に酸素が存在すると、重合を阻害する反応性の小さいラジカル種が形成することによりラジカルの形成が阻害され得ると考えられるため、本方法はまた、組成物に導入される酸素の量を制限する工程を含む。同様に、本方法はまた、基材に(即ち基材の表面に)導入される酸素の量を制限し、酸素表面阻害を最小限にする工程を含む。酸素は、基材及び/又は組成物に、有機ボラン開始剤に対して1:1〜5:1のモル比で導入されてよい。別の実施の形態では、酸素は、二酸化炭素100質量部に対して0.5〜5質量部の量で組成物中に及び/又は基材に存在している。
また別の実施の形態では、本発明は更に、第一の組成物を基材(例えば自動車用部品)に電着する工程を含む。電着する方法及び基材を電着するのに使用される組成物はその技術分野でよく知られている。そのため、本発明における電着工程は、その技術分野で知られているあらゆる技術を用いて達成することができる。同様に、基材に電着するのに使用される第一の組成物は、従来技術で知られており電着に好適なあらゆるものであってよく、次のものに限定されないが、エポキシド、アミン、イソシアネート及び/又はこれらの組合せを含んでいて良い。更なる実施の形態では、コーティング組成物を基材に塗布する工程は、自動車用部品上の第一の組成物にコーティング組成物を施す工程として更に規定される。この実施の形態では、第一の組成物は、上記電着工程を介して基材に施される。
また別の実施の形態では、本方法は、基材上の組成物をドローダウンする(延ばす)工程、基材を加熱する工程、基材に放射線を放射する工程、基材を乾燥する工程、及び/又は硬化した組成物を含む自動車用部品を自動車のシャーシに組み込む工程のうち1つ以上を含む。あるいは、ラジカルによりラジカル重合性化合物を重合する工程は、コーティング組成物の外部加熱を行わずに行われてよい。
別の実施の形態では、本方法はまた、本方法で使用した二酸化炭素の少なくとも一部を回収する工程を含む。二酸化炭素の少なくとも一部は、カルバミン双性イオンの熱的可逆反応を介して回収することができる。従って、回収する工程は、カルバミン双性イオンを加熱して、本方法で使用する二酸化炭素の少なくとも一部を再生する工程として更に規定することができる。
下記のように、本発明の方法を用いて一連のコーティング組成物(組成物1−8)を調製し、基材に施した。特に組成物1−8のうち何れも光開始剤を含んでいない。
組成物1の調製:
ラジカル重合性化合物として10.0gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.48gのトリエチルボランシステアミン(TEB−CA)を混合することにより組成物1を調製した。LaromerUA9061はBASF Corporationから市販されている脂肪族ウレタンアクリレートである。
組成物2の調製:
ラジカル重合性化合物として10.04gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.99gのトリ−n−ブチルボランシステアミン(TnBB−CA)を混合することにより組成物2を調製した。
組成物3の調製:
ラジカル重合性化合物として10.03gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.53gのトリ−sec−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)を混合することにより組成物3を調製した。
組成物4の調製:
ラジカル重合性化合物として9.94gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.58gのトリエチルボランジアミノプロパン(TEB−DAP)を混合することにより組成物4を調製した。
組成物5の調製:
ラジカル重合性化合物として9.97gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.54gのトリ−n−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)を混合することにより組成物5を調製した。
組成物6の調製:
ラジカル重合性化合物として10.06gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.58gのトリ−n−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)を混合することにより組成物6を調製した。このTnBB−DAPは6%モル過剰のDAPを含んでいる。
組成物7の調製:
ラジカル重合性化合物として10.06gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.57gのトリ−n−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)を混合することにより組成物7を調製した。このTnBB−DAPは12%モル過剰のDAPを含んでいる。
組成物8の調製:
ラジカル重合性化合物として10.15gのLaromerUA9061と、有機ボラン−アミン錯体として0.50gのトリ−n−ブチルボランジアミノプロパン(TnBB−DAP)を混合することにより組成物8を調製した。TnBB−DAPは、モル過剰のTnBBとモル不足のDAPが存在するように、TnBB1モル毎に0.75モルのDAPを含んでいる。
組成物の基材への施し:
調製後、各組成物を個別に基材(すなわち、施された電着層を有する金属パネル)に塗布し、基材を被覆した。塗布した後、各組成物を#4又は#8バールで延ばした。次に、被覆された基材を二酸化炭素雰囲気(二酸化炭素が組成物中に存在するフリーのアミン基に対して大モル過剰量で存在する)中に置いた。二酸化炭素雰囲気中で一回、組成物を15〜60分間硬化させた。15〜60分後、組成物を、視覚的評価によって観察可能な硬化が生じたかどうかについて決定する評価を行った。この評価の結果において、各組成物1−8は観察可能な硬化が見られたことが示されている。
比較例の調製及び硬化:
更に、本発明の方法の比較例として、組成物1−8のサンプルを二酸化炭素の非存在下でも基材に施した。より具体的には、二酸化炭素を組成物に存在するフリーのアミン基に対してモル比1:1未満(〜350体積ppm)で含む大気中にこれらの基材を置いた。空気中に置いてから、これらの組成物を数日間硬化させた。数日後、組成物を、視覚的評価により確認可能な硬化が生じたか否かを決定する評価を行った。この評価の結果では、大気中に置いたときは、本発明により必要とされる二酸化炭素の欠如により組成物1〜8のいずれも確認可能な硬化が見られなかったことが示された。
従って、上記データは、本発明の方法がラジカル重合性化合物を効率的に重合させ、基材上にコーティング組成物を観察可能に硬化させることができることを示している。また、組成物1−8は非毒性で且つ有害な空気汚染物質として分類されない二酸化炭素を用いて硬化しているので、本方法を環境に優しいものとし、大規模な製造装置において最小限の排出及び汚染で本方法を利用することができるものにしている。更に、二酸化炭素は安価であり、温室効果ガス及び環境汚染を低減するために設計されたリサイクル過程から容易に利用可能である。更に、二酸化炭素の使用は、硬化の酸素表面阻害を最小限とし、これにより本方法の効率性を向上させている。また、二酸化炭素の使用により、硬化速度の制御が改善し、硬化時間が短くなる1成分(1K)系の使用が可能となる。
本発明は説明のための手法で記載されており、使用されている用語は限定的よりむしろ記述の言葉の本質にあることが意図されているものと理解されたい。本発明の多くの変更及び変化が上記記述を考慮して可能であり、本発明は具体的に記述したものとは別の方法で実用的であってよい。

Claims (18)

  1. A.有機ボラン−アミン錯体及びラジカル重合性化合物を基材上に導入し、コーティング組成物を調製する工程;
    B.前記コーティング組成物に存在するフリーのアミン基に対する二酸化炭素のモル比が少なくとも1:1において前記コーティング組成物に二酸化炭素を導入する工程;
    C.前記二酸化炭素と前記フリーのアミン基を反応させて、その場でカルバミン双性イオンを生成させ、有機ボラン−アミン錯体を解離することによりラジカルを形成する工程;及び
    D.前記ラジカルにより前記ラジカル重合性化合物を重合する工程;
    を含むコーティング組成物の形成方法。
  2. 工程Aにおいて、更にアミンを前記基材上に導入する請求項1に記載の方法。
  3. 工程Dにおいて、外部加熱を行わずに前記ラジカル重合性化合物を重合する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程Dにおいて、20〜30℃の温度において前記ラジカル重合性化合物を重合する請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記基材が更に自動車用部品として定義され、前記重合する工程が、更に自動車用部品上のコーティング組成物を硬化する重合工程として規定され、適宜、当該方法は更に自動車用部品に第一の組成物を電着する工程を含み、前記コーティング組成物を前記自動車用部品上の前記第一の組成物に施す請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記有機ボラン−アミン錯体のアミンに対する前記フリーのアミン基のモル比が0.5:1〜1:1である請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記反応させる工程が、更にカルバミン双性イオンを有機ボラン−アミン錯体の結合アミンと反応させることにより、有機ボラン−アミン錯体を有機ボラン開始剤及びアミンとカルバミン双性イオンとの反応生成物に解離させる工程として規定される請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記コーティング組成物が更に水を含み、前記反応させる工程は、更にプロトンがカルバミン双性イオンから水に移動して、有機ボラン−アミン錯体の解離を引き起こす、有機ボラン−アミン錯体の結合アミンをプロトン化する酸性種を形成する工程として規定される請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. 前記反応させる工程は、更にプロトンがカルバミン双性イオンの窒素原子からカルバミン双性イオンの酸素原子に移動することにより、有機ボラン−アミン錯体の解離を引き起こす、有機ボラン−アミン錯体の結合アミンをプロトン化する不安定なカルバミン酸型化合物を形成する工程として規定される請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  10. 前記コーティング組成物に導入される酸素分子の量を制限する工程を更に含む請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
  11. 有機ボラン−アミン錯体及びラジカル重合性化合物を導入する工程が、更に有機ボラン−アミン錯体及びラジカル重合性化合物を基材上に噴霧する工程として規定される請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
  12. 二酸化炭素を導入する工程が、更にスプレーガンのノズルから二酸化炭素を噴霧する工程として規定される請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
  13. 工程Aの後で工程Cの前に、第二のガスを前記コーティング組成物に導入する工程を更に含み、該第二のガスが二酸化硫黄である請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. 前記有機ボラン−アミン錯体が下記式:
    Figure 0005587408
    (但し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のそれぞれは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールアルキル基、アルキレン基、これらのハロゲン化同族体、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つは適宜窒素又は硫黄含有官能基である。)
    を有する請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
  15. 前記ラジカル重合性化合物が、不飽和アクリル酸及びメタクリル酸エステル樹脂、官能性アクリル酸及びメタクリル酸エステルモノマー並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
  16. 前記ラジカル重合性化合物が前記コーティング組成物100質量部に対して50〜80質量部の量で存在し、前記有機ボラン−アミン錯体が前記コーティング組成物100質量部に対して2〜5質量部の量で存在する請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
  17. 有機ボラン−アミン錯体及びラジカル重合性化合物を導入する工程を、二酸化炭素を導入する工程の前に又は同時に行う請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
  18. 前記二酸化炭素を導入する工程が、更にガスシンク内で二酸化炭素の雰囲気に前記コーティング組成物を暴露する工程として規定される請求項1〜17の何れか1項に記載の方法。
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