以下に図面を参照しながら本発明の実施の一形態を説明する。図1には、本実施の形態に係る建物の一例とする住宅10の要部の間取り図が示されている。なお、住宅としては、公知の一般的構成を適用することができる。
この住宅10には、玄関12が設けられ、玄関12の玄関扉14を開いて人が出入りされる。住宅10には、玄関12内の玄関ホール16から見た正面にキッチン18が設けられ、また、玄関ホール16から見て右手に脱衣室を兼ねた洗面室20が設けられ、さらに、洗面室20及び玄関ホール16に隣接して浴室22が設けられている。なお、ここでは、玄関12として説明するが、玄関12に限らず、例えば、キッチン18が近いことから、勝手口などとして用いられる出入り口であっても良く、この場合には、当然に玄関が別に設けられる。
住宅10には、この玄関ホール16から見て左手にダイニングルームを兼ねたリビングルーム24が設けられ、リビングルーム24に隣接して和室26が設けられている。住宅10では、キッチン18とリビングルーム22とが一つの空間として繋がっていることにより、住宅10内で大きな容積の空間が形成されている。
また、住宅10には、玄関ホール16から見てキッチン18の先に、家事スペースに用いられると共に、洗濯物の乾燥(室内干し)などの多用途に用いられる多用途室が設けられている。さらに、住宅10には、この多用途室と洗面室20との間で、キッチン18を挟んでリビングルーム24と反対側に、収納室30が設けられている。ここで、本実施の形態に適用した住宅10では、多用途室が乾燥室として用いられる第1室とされ、以下では、乾燥室28として説明する。
この住宅10には、洗面室20、浴室22、リビングルーム24、乾燥室28に小窓32が設けられ、和室26及び乾燥室28の和室26側に引違窓34が設けられ、小窓32及び引違窓34により明り取りがなされると共に、それぞれを開くことにより通気が可能となっている。
キッチン18には、リビングルーム24側に、流し台、調理台及びコンロ台が設けられるフロアキャビネット36が設置され、収納室30側の壁面にはトールキャビネット38が配置されており、フロアキャビネット36とトールキャビネット38との間を通れるようになっている。また、キッチン18と乾燥室28との間には、屋内扉とされる引戸40が設けられ、乾燥室28と収納室30との間には、折戸42が設けられ、洗面室20と収納室30との間及び洗面室20のリビングルーム24側には、引戸44、46がそれぞれ屋内扉として設けられている。
乾燥室28は、引戸40と折戸42とが閉じられることより屋内側に対して閉塞された空間となる。また、住宅10では、引戸40を開くことにより、リビングルーム24からキッチン18を経て乾燥室28までの空間が繋がり、折戸42を開くことにより乾燥室28と収納室30とが繋がり、また、引戸44、46を開くことにより乾燥室28からリビングルーム24までが繋がる。
ここで、本実施の形態では、住宅10のリビングルーム24を第2室として、リビングルーム24からキッチン18を経て乾燥室28に至る動線と、リビングルーム24から洗面室20及び収納室30を経て乾燥室28(乾燥室28から収納室30及び洗面室20を経てリビングルーム24)に至る動線とが形成され、この動線に沿って空気の流動が可能となっている。
収納室30は、折戸42及び引戸44を閉めることにより閉塞された空間となる。また、収納室30は、中央部が通路となっており、この通路を挟んだ両側の壁面に、ハンガーを吊り下げることができる複数本のハンガーパイプ48が設けられている。これにより、住宅10では、収納室30が、衣類などを吊るして整理、収納、保管可能とする所謂ウォーキングクローゼットとされている。なお、収納室30内は、ハンガーパイプ48の上方又は下方に棚や引出しなどが設けられた任意の構成を適用することができる。
このウォーキングクローゼットとして用いられる収納室30に隣接する乾燥室28には、洗濯機50が設置される。また、住宅10は、この乾燥室28が、例えば、略南西の角隅部とされており、一方の面が略南側に面するように建てられている。
乾燥室28の南側の壁部52には、屋外側との間に開口部が形成され、この開口部に屋外扉として引違戸54が設けられている。乾燥室28は、この引違戸54を開けることにより、屋外へ向けて大きく開放され、乾燥室28から屋外への出入りが可能となる。また、引違戸54はガラス戸とされており、これにより、乾燥室28内が良好な日差しが入り込むようにされている。
一般に、洗濯物を屋外に干す場合、物干し場は、日当たりの良い住宅10の南側とされることが多く、乾燥室28を南側に設けて引違戸54を設けていることにより、洗濯から物干しまでの作業が効率良く行える。また、住宅10は、乾燥室28に隣接して収納室30が設けられていることにより、洗濯物の取り込みから収納までの作業の効率化が図られる。
なお、本実施の形態では、乾燥室28に引違戸54を設けているが、例えば、物干し場が2階のベランダなどにある場合には、屋外への出入りが不要であるので、引違戸などの戸に代えて引違窓などの窓を設けるなど、採光及び通風が可能であれば任意の構成を適用することができる。
住宅10では、この乾燥室28に、物干しスペース56が設けられている。この物干しスペース56は、引違戸54の内方側とされ、引違戸54のガラスを透過して日差しが差し込むようになっている。また、物干しスペース56には、例えば、物干しパイプ58が取り付けられ、この物干しパイプ58に、洗濯物を吊るしたハンガー60などが掛けられる。
これにより、引違戸54を開けているときは勿論、引違戸54を閉めているときにも物干しパイプ58に吊り下げた洗濯物を効率よく乾かすことができ、例えば、留守にするときに天候が不安なために屋外に洗濯物を干すことができない場合などでも、乾燥室28で所謂室内干しをすることができる。なお、物干しパイプ58としては、洗濯物を掛けて干すことができれば、任意の構成を適用することができる。また、物干しパイプ58は、取り外し可能として、不要なときには外して片付けておくことができるものであっても良い。
この乾燥室28には、換気手段を形成する換気扇62が設置されている。この換気扇62は、例えば、物干しスペース56の天井に形成した開口(吸気口)に換気ファンが取り付けられ、換気ファンと外壁に形成した排気孔64とがダクト66で連通された所謂天井換気扇とすることができる。
これにより、換気扇62が作動することにより、乾燥室28内の排気が可能となる。このとき、換気扇62は、物干しスペース56に干した洗濯物から発せられた水分を含んだ空気を屋外に排出して、洗濯物の乾燥を促進させることができる。なお、換気手段としては、少なくとも乾燥室28内の空気を排出可能とする換気機能を含むものであれば良く、天井換気扇に限らず、壁付け型などの任意の構成の換気扇を適用することができる。また、換気手段としては、換気機能のみならず吸気機能を備えて給排気を行うものであってもよく、さらに、ヒータ等によって加熱した温風を吹き出す構成であってもよく、除湿機能を合わせ持つ構成であっても良い。
ところで、住宅10には、乾燥室18を用いた通気乾燥システム70が形成されている。図2には、通気乾燥システム70の概略構成が示されている。この通気乾燥システム70は、CPU、ROM、RAM等がバスにより接続されたマイクロコンピュータ及び、各種の入出力インターフェイス、駆動回路等を備えた一般的構成のコントローラ72が設けられ、このコントローラ72により作動が制御される。
通気乾燥システム70は、各種の入力用のスイッチ及び動作状態を表示するディスプレイ等を備えた操作パネル74を備え、この操作パネル74が、コントローラ72に接続されている。この操作パネル74は、例えば、キッチン18の壁面などの任意の位置に取り付けられる。
また、コントローラ72には、前記した換気扇62の換気ファンを駆動するファンモータ76が接続されている。これにより、通気乾燥システム70では、例えば、操作パネル74の図示しないスイッチ操作より換気扇62のオン/オフが可能であると共に、操作パネル74のスイッチ操作にかかわらず、コントローラ72による換気扇62の作動制御が可能となっている。
一方、図1に示されるように、住宅10には、乾燥室28内に屋内湿度検出手段とされる屋内湿度センサ78が設けられている。屋内湿度センサ78は、例えば、乾燥室28の天井から吊り下げられるか、物干しパイプ58に取り付けられて、物干しパイプ58に掛けられた洗濯物の近傍の湿度を検出する。
また、住宅10には、屋外の湿度を検出する屋外湿度センサ80が設けられている。この屋外湿度センサ80は、例えば、外壁面の軒下などで、雨の当たることがない場所に取り付けられる。
図2に示されるように、屋内湿度センサ78及び屋外湿度センサ80は、コントローラ72に接続されている。これにより、コントローラ72は、屋外の湿度Hoの検出が可能となっていると共に、乾燥室28内の湿度Hiの検出が可能となっている。
ここで、乾燥室28内に洗濯物が干されているときには、コントローラ72が洗濯物の近傍で湿度Hiを検出することにより、洗濯物が未乾燥か否かの判定が可能となっている。すなわち、洗濯物が乾燥するときには、洗濯物の周囲の空気の湿度が高くなっており、例えば、湿度が65%以上であれば乾燥途中であり、未乾燥状態であると判定することができる。
なお、本実施の形態では、屋内湿度センサ78を、洗濯物の近傍で湿度を検出するようにしているが、これに限らず、洗濯物の有無にかかわらず乾燥室28内の湿度を検出する構成であっても良い。また、洗濯物が未乾燥状態であるか否かの判断は、実質的に乾燥が進行しないと判断される湿度であれば、上記湿度に限るものではない。
一方、住宅10では、キッチン18と乾燥室28との間の引戸40を開くか、折戸42と共に引戸44、46を開くことにより、乾燥室28と、乾燥室28よりも広い空間であるリビングルーム24とが繋がり、リビングルーム24と乾燥室28との間で空気の流動(通気)が可能となる。さらに、乾燥室28の引違戸54を開けることにより、乾燥室28のみならず、リビングルーム24の換気及び通気が可能となる。
ここから、通気乾燥システム70が設けられる住宅10では、引戸40又は、折戸42と引戸44と引戸46の少なくとも一方が電動式とされている。なお、本実施の形態では、一例として引戸40、44、46のそれぞれと折戸42とを電動式として説明する。
コントローラ72には、引戸40を開閉するモータ82、折戸42を開閉するモータ84及び、引戸44、46を開閉するモータ86、88が接続されている。住宅10では、電動式とされた引戸40、44、46及び折戸42のそれぞれについて、通常は、人が開け閉めすることができ、また、コントローラ72が、モータ82〜88を駆動することによっても開け閉めが可能となっている。なお、このような引戸40、44、46及び折戸42の開閉機構は、公知の構成を適用でき、ここでは詳細な説明を省略する。
また、図1に示されるように、住宅10には、引違戸54の屋外側にシャッタ90が設けられている。図3に示されるように、住宅10には、壁部52の屋外側に、引違戸54を挟んでガイドレール92が対で取り付けられている。また、壁部52には、引違戸54の上方にシャッタボックス94が取り付けられている。
シャッタボックス94内には、シャッタパネル96が巻き取られて収容されており、シャッタモータ98(図2参照)が動作されることにより、シャッタパネル96がガイドレール92に沿って下降されることにより、シャッタパネル96が引違戸54の全面を覆う。また、シャッタ90は、シャッタパネル96が下降されている状態でシャッタモータ98が作動されることにより、シャッタパネル96がシャッタボックス94内に巻き上げられ、引違戸54の全面を開放する。
また、シャッタ90のシャッタパネル96は、帯板状の多数のスラット100により形成されている。スラット100のそれぞれは、長手方向が水平方向とされて上下方向に沿って配列されている。スラット100は、長手方向の両端部がガイドレール92内で連結されて一体で上下移動可能とされ、かつ、水平方向が軸方向とされた回動が可能となっている。
また、シャッタ90には、スラット100のそれぞれを回動するスラットモータ102(図2参照)が設けられており、このスラットモータ102が作動されることにより、スラット100が回動される。
スラット100は、幅方向が上下方向とされることにより、隣接するスラット100との間の隙間が埋められ、これによりシャッタパネル96が閉状態(スラット100の閉状態)となるが、幅方向が水平方向となるように回動されることにより、スラット100の間に所定幅の開口が形成されて格子状となり、空気の通過が可能となる(以下、スラット100の開状態とする)、所謂ブラインド機能を備えている。また、シャッタ90は、スラット100の間隔が所定の狭い間隔で設けられており、スラット100の開状態であっても人は勿論、鳥などの小動物の侵入が不可能となる、所謂防犯シャッタ機能を合わせ持っている。
なお、このシャッタ90としては、例えば、スラット100の回転軸となる図示しないシャフトを金属等により強固に形成し、帯状の本体を光透過性の樹脂などで形成され、これにより、スラット100の閉状態であっても乾燥室28への採光が可能となる。
図2に示されるように、コントローラ70には、シャッタ90のシャッタモータ98及びスラットモータ102が接続されており、コントローラ72は、シャッタ90の作動の制御を行う。すなわち、操作パネル74の図示しないスイッチ操作によりシャッタパネル96の昇降及びスラット100の開閉が可能となっている。また、シャッタ90は、コントローラ72によりスラット100の回動が制御される。
これにより、通気乾燥システム70では、引違戸54が開かれていると、シャッタ90のスラット100の開閉により乾燥室28内の換気及びリビングルーム24等の通気が可能となっている。
ここで、通気乾燥システム70では、コントローラ72が、湿度Hi、Ho及び予め設定された基準湿度Hcに基づいて、換気扇62の作動、引戸40、44、46並びに折戸42の開閉、及びシャッタ90のスラット100の開閉操作を行う。
以下に、本実施の形態の作用として、通気乾燥システム70の動作を説明する。通気乾燥システム70では、乾燥室28内に洗濯物を干したときの洗濯物の乾燥を優先する乾燥優先モードと、乾燥室28及びリビングルーム24の通気を優先する通気優先モードが設定されており、操作パネル74のスイッチ操作によりいずれかのモードが選択される。
また、通気乾燥システム70では、乾燥室28内の基準湿度Hcが設定されている。
人が快適と感じる湿度(快適湿度。湿度は、相対湿度RH、以下、単に湿度とする。)は、年齢(幼児か老人か)、体調、気温によっても異なるが、一般に湿度40%以上で、かつ、湿度65%〜70%以下とされている。また、洗濯物を乾燥する場合、洗濯物近傍の湿度が65%を超えていると、洗濯物の乾燥が進まない。
ここから、通気乾燥システム70では、一例として快適湿度を基準湿度Hcとし、この基準湿度Hcのデフォルト値を50%(Hc=50%)に設定しており、このデフォルト値は、洗濯物の乾燥途中における洗濯物の近傍の湿度より低くしている。
また、快適湿度には個人差があり、ここから、通気乾燥システム70では、操作パネル74のスイッチ操作により居住者が、基準湿度Hcを任意に設定することができる。このときには、乾燥途中の洗濯物近傍の湿度より低い湿度であり、かつ、人が快適と感じる範囲の湿度であれば良い。
通気乾燥システム70は、例えば、乾燥室28の引違戸54を開け、シャッタ90を降ろした状態で、留守中に作動されるように操作される。このとき、シャッタ90を降ろしていることにより、引違戸54を開けていても、確実な防犯が可能となる。
図4には、このときの処理の概略を示している。このフローチャートは、通気乾燥システム70の運転開始が指示されると、予め設定した時間間隔で実行され、最初のステップ200で、動作モードが乾燥優先モードとされているか否かを確認する。すなわち、通気乾燥システム70の動作モードが、乾燥優先モードに設定されているか通気優先モードとされているかを確認する。
ここで、乾燥室28に洗濯物を干して外出する場合には、乾燥優先モードに設定されていることになり、ステップ200で肯定判定されてステップ202へ移行する。洗濯物の乾燥途中では、湿度Hiが基準湿度Hcより高くなっており、ここから、ステップ202では、換気扇62を作動させて乾燥室28内の換気(排気)を行う。また、ステップ204では、モータ82,84を作動させて、引戸40及び折戸42を閉じる。なお、引戸40及び折戸42が開いているか否かを確認し、開いている場合に閉じるようにしても良い。
この後、ステップ206では、屋内湿度センサ78により検出される乾燥室28内の湿度Hiを読み込むと共に、屋外湿度センサ80により検出される屋外の湿度Hoを読み込む。次のステップ208では、屋外の湿度Hoが、屋内(乾燥室28内)の湿度Hiより低いか否かを確認する。ここで、乾燥優先モードにおいては、洗濯物の乾燥を行うため、屋内湿度センサ78により検出される湿度Hiは、基準湿度Hcより高くなっている。
これにより、屋外の湿度Hoが屋内の湿度Hiより低いと(Ho<Hi)、ステップ208で肯定判定してステップ210へ移行する。このステップ210では、スラットモータ102を作動させて、シャッタ90のスラット100を開く。これにより、図5(A)に示されるように、シャッタ90のスラット100の間から、湿度の低い屋外の空気が乾燥室28内に導入され、洗濯物の乾燥が促進される。また、引戸40及び折戸42が閉じられていることにより、比較的湿度の高い乾燥室28内の空気が、リビングルーム24や収納室に30へ流れ出てしまうのが防止される。
一方、屋内湿度センサ78は、洗濯物の近傍で湿度Hiを検出しており、この状態であっても、屋外の湿度Hoが、湿度Hiより高くなっている(Ho>Hi)と、ステップ208で否定判定してステップ212へ移行する。
このステップ212では、シャッタ90のスラット100を閉じる(スラット100が開いている場合、スラットモータ102を作動させてスラット100を閉じる)。これにより、引違戸54が開いていても、屋外の高湿度の空気が乾燥室28内に入るのがシャッタ90によって防止され、図5(B)に示されるように、乾燥室28内の空気が換気扇62により排出される。
洗濯物を乾燥する場合、洗濯物の周囲の湿度が例えば65%を越えると乾き難くなり、屋外の高湿度の空気が乾燥室28内に入り込むと、洗濯物の乾燥が遅れる。このときに、シャッタ90のスラット100を閉じることにより、洗濯物の乾燥に遅れが生じたり、生乾きのままとなってしまうのを防止できる。
このように、通気乾燥システム70では、乾燥室28内で洗濯物の乾燥が行われる場合、引戸40及び折戸42を閉じて、乾燥室28内の空気が住宅10内の他の部屋へ流れるのを防止し、換気扇62により乾燥室28内の空気を排出する。
通気乾燥システム70では、好天時や、比較的湿度が低い冬場などでは、乾燥室28内の湿度Hiの湿度より低く、快適湿度に近い屋外の空気が乾燥室28内に入るようにシャッタ90のスラット100を開け、換気扇62の排気効率を向上させ、洗濯物の乾燥を促進させることができる。
また、通気乾燥システム70では、梅雨時などで、屋外の湿度Hoが高くなっているときに、シャッタ90のスラット100が閉じられるため、梅雨時に、洗濯物の室内干しをしても、洗濯物の乾燥が遅れてしまうのを防止することができる。
図4のフローチャートのステップ214では、洗濯物の乾燥が終了したか否かを確認する。この洗濯物の乾燥が終了したか否かの確認は、湿度Hiが予め設定した湿度(例えば、基準湿度Hc)まで下がったか否かで判断してもよく、また、予め設定した時間が経過し、かつ、湿度Hiが洗濯物の乾燥途中であると判断される湿度(例えば、65%以下で設定した湿度)より下がったか否かなどの任意の方法で判断することができる。
ここで、乾燥が終了すると、ステップ214で肯定判定して通気優先モードへ移行する。なお、ここでは、洗濯物が乾燥したと判断された場合、通気優先モードへ移行するようにしているが、これに限らず、換気扇62の運転を終了し、シャッタ90のスラット100を閉じるようにしても良い。この場合、乾燥優先モードでの運転を、タイマーによって予め設定した時間だけ行うようにしても良い。
一方、乾燥室28内で洗濯物の乾燥をしていない場合、通気優先モードが選択され、ステップ200で否定判定されてステップ216へ移行する。このステップ216では、屋内の湿度Hi及び屋外の湿度Hoを読み込み、次のステップ218では、湿度Hiが屋外の湿度Hoより高いか否かを確認する。
ここで、湿度Hiが湿度Hoより低い場合には、ステップ218で否定判定してステップ220へ移行し、シャッタ90のスラット100を閉じて、乾燥室28内の湿度が高くなるのを防止する。
これに対して、乾燥室28内の湿度Hiが屋外の湿度Hoより高い場合には、ステップ218で肯定判定してステップ222移行する。このステップ222では、スラットモータ102を作動させてシャッタ90のスラット100を開き、乾燥室28内に通気して湿度Hiの低下を図る。
また、ステップ224では、湿度Hiが基準湿度Hcに達しているか、基準湿度Hcより低くなっているか否かを確認する。このときに、湿度Hiが基準湿度Hcを超えている(Hi>Hc)と、ステップ224で否定判定してステップ226へ移行し、引戸40及び折戸42を閉じた状態に維持する。これにより、図6(A)に示されるように、基準湿度Hcより高い湿度の空気がリビングルーム24や収納室30に流れるのが防止される。また、図4のステップ228では、換気扇62を作動させて、乾燥室28内の空気を排出して、湿度Hiの低下を図る。このときに、シャッタ90のスラット100が開かれていれば、乾燥室28内に外気が流れ込み、シャッタ90のスラット100が閉じられていれば、外気の導入が抑えられる。なお、このステップ228を省略して、換気扇62を停止状態としても良い。
また、湿度Hiが基準湿度Hcに達しているか又は、基準湿度Hcより低くなっているとき(Hi≦Hc)には、ステップ224で肯定判定してステップ230へ移行する。このステップ230では、屋内扉を開く。すなわち、モータ82を駆動して引戸40を開くか、モータ84〜88を作動させて、折戸42及び引戸44、46を開く。また、ステップ232では、換気扇62を停止状態とする。
これにより、図6(B)に示されるように、引戸40を開いた場合、及び折戸42と引戸44、46を開いた場合、乾燥室28とリビングルーム24との間での通気が可能となり、このときに、外気の湿度Hoが低く、シャッタ90のスラット100が開かれていれば、リビングルーム24へ通気がなされる。また、折戸42と引戸44、46を開くことにより、収納室30内も通気される。
なお、ここでは、引戸40と共に折戸42、引戸44、46を開くようにしているが、何れか一方のみを開くようにしても良い。例えば、何れを開くかを予め設定しておいてもよく、また、乾燥優先モードから通気優先モードに移行した場合に、乾燥室28内に洗濯物があることから折戸42、引戸44、46を開き、乾燥優先モードを経ずに通気優先モードが実施された場合に、引戸40を開くようにしても良い。
また、屋外の湿度Hoが湿度Hiより高く、シャッタ90のスラット100が閉じられている場合には、換気扇62を運転しても良い。これにより、乾燥室28の空気が屋外に排出されることから、リビングルーム24と乾燥室28との間で通過がなされ好ましい。
一方、図4のステップ234では、通気乾燥システム70の運転を終了するか否かを確認する。例えば、帰宅した居住者が運転スイッチをオフすることにより、運転終了と判断される。また、予めタイマー等により運転時間や、運転停止時刻が設定されている場合、設定された運転時間が経過するか、設定された運転停止時刻に達することにより運転終了と判断される。
このときには、ステップ234で肯定判定されてステップ236へ移行し、終了動作を行う。このとき、換気扇62が運転されていれば、換気扇62の運転を停止し、スラット100が開いていれば、このスラット100を閉じる。
このように、通気乾燥システム70では、湿度Hi、湿度Ho及び基準湿度Hcに基づいて、乾燥室28内の湿度の上昇を抑制し、乾燥室28内の湿度が低いと、乾燥室28とリビングルーム24との間で通気が行われるようにすることにより、留守中であっても、住宅10内の湿度を快適湿度に近づけるか、少なくとも湿度が上昇してしまうのを防止することができる。
したがって、帰宅したときに、リビングルーム24内の湿度が高いことにより不快と感じてしまうのを抑制することができる。
また、洗濯物の乾燥を行った後、通気優先モードへ移行し、運転終了時に折戸42が開いていることにより、乾燥室28と収納室30との間の動線が確保され、折戸42を開ける動作を行うことなく、乾燥した洗濯物(衣類)を収納室30内に運んで収納することができる。
なお、ここでは、引戸40及び折戸42と引戸44、46を開いて、2系統で通気可能となるようにしたが、何れか少なくとも一方の系統のみが開かれる構成であっても良い。例えば、引戸40を開閉するようにした場合、引戸44、46を開閉する構成は不要とすることができる。このとき、折戸42は開閉される構成であることが好ましく、これにより、洗濯物の片付けが容易となると共に、誤って折戸42を開けて外出した場合にも、収納室30内の湿度が高くなってしまうのを防止することができる。
一方、通気乾燥システム70におけるシャッタ90のスラット100の開閉は、季節を考慮して行われることが好ましい。この場合、コントローラ72は、タイマー機能及びカレンダ機能を備え、月日や時刻の判定が可能であれば良い。
ここで、例えば、夏季(例えば、6月から9月までの比較的気温の高い期間)や、冬季(例えば、11月から3月までの比較的気温の低い期間)では、通気優先モードで動作するときに、シャッタ90のスラット100を開くのを禁止する(ステップ222を省略)。
また、夏季の初めや終わりの時期(例えば、6月、9月頃)であれば、比較的温度の低い夜間や、冬季の始まりや終わりの頃(例えば11月、3月頃)であれば比較的温度の高い日中では、シャッタ90のスラット100が開かれるようにしても良い(ステップ222を実行)。
これにより、住宅10内を適切に通気でき、家具や衣類の傷み防止、リビングルーム24に臭いのこもりが生じるのを防止できるなどの通気による効果が得られる。
なお、住宅10では、シャッタ90を設けたが、シャッタ90を設けずに引違戸54を電動式としても良い。このときには、引違戸54の外側に、格子を設置するなどして、引違戸54を開いたときにも確実な防犯がなされるものであれば良い。
さらに、本実施の形態では、通気乾燥システム70が単独で動作するように説明したが、本発明は、これに限らず、住宅10に設けられる他のシステムと連動して動作するものであっても良い。
図7には、その一例とする通気乾燥システム70Aの概略構成が示されている。この通気乾燥システム70Aが設けられる住宅10には、HEMS(Home Energy Management System)110が設置されている。
通気乾燥システム70Aでは、操作パネル74が省略され、コントローラ72Aが、HEMS110の管理装置112に接続されている。この管理装置112には、各種の設定操作が行われると共に動作情報などの各種の情報が表示されるディスプレイを備えた操作表示部114が設けられている。
また、管理装置112は、例えば、系統電源、発電装置、蓄電池等の電力供給系統を制御する機能、住宅10で使用する電力を管理する機能を備えている。この管理装置112は、例えば、深夜電力で蓄電池を充電するように制御したり、昼間は発電装置の発電電力や充電された蓄電池の電力を住宅10内の各種の電気機器へ供給するように制御する発電電力や蓄電電力等の管理、リビングルーム24等の居室に設けられる空調装置の動作管理、給湯システムの動作管理を含めた住宅10のエネルギー管理を行う構成は適用できる。
また、管理装置112は、ネットワーク116を介して情報管理サーバ118に接続されている。管理装置112は、必要に応じて管理内容を、情報管理サーバ118へ送信する。この情報に基づいて情報管理サーバ118から各種の情報が入力されることにより、例えば、住宅10でのエネルギーの消費状況、エネルギーの消費履歴情報、エネルギー消費の抑制を図るための各種の制御情報などが得られる。このようなHEMS110の基本構成は、公知の任意の構成を含むことができる。
ここで、通気乾燥システム70Aでは、各種の設定や運転指示が管理装置112の操作表示部114から入力され、さらに、運転状態が、操作表示部114に表示され、動作状態が管理装置112で管理される。このときに、管理装置112は、通気換気システム70Aの動作履歴を記憶する。この動作履歴には、シャッタ90のスラット100を開いていたか閉じていたかの開閉状態、屋内扉(引戸40、折戸42)の開閉状態、換気扇62を動作したか否かの換気状態を含む。これにより、居住者は、帰宅後に、動作履歴を操作表示部114に表示して確認することができる。
管理装置112は、通気乾燥システム70の動作状態や、動作履歴などを情報管理サーバ118へ送信する。また、管理装置112は、情報管理サーバ118から、例えば、季節毎の動作履歴を取得し、この動作履歴を含めた乾燥優先モード及び通気優先モードでの運転を行う。
すなわち、スラット100の開閉を、屋外の湿度Hoと、この湿度Hoに対して設定している基準とする湿度に基づいて行うときに、春季(例えば、4月、5月)や秋季(例えば、9月の半ばから10月)では、シャッタ90のスラット100が開かれている時間が長ければ、スラット100を閉じる基準とする湿度を高く設定し、梅雨時や夏季、冬季でスラット100の開かれている時間が短いときには、スラット100を閉じる基準とする湿度を低く設定する。
また、通気乾燥システム70Aでは、管理装置112が、情報管理サーバ118から気象情報を取得し、この気象情報に基づいて、シャッタ90のスラット100の開閉を行うようにしてもよく、さらに、スラット100の開閉に合わせて引戸40及び折戸42と引戸44、46の開閉を行うようにしても良い。また、管理装置118は、空調装置の運転状態を含めて、通気乾燥システム70Aの動作制御を行う。
これにより、住宅10に対する天候状態に応じた適切な通気を行うことができる。また、空調装置の動作状態を含めて通気を行うことにより、住宅10内に蓄積された冷気などのエネルギーが、通気により不必要に放出されてしまうのを防止することができる。
なお、以上説明した本実施の形態では、乾燥室28で室内干しを行うものとして、乾燥室28の換気及び乾燥室28を用いた住宅10の通気を行うように説明したが、これに限らず、例えば、浴室を乾燥室に適用し、この浴室を用いた乾燥及び通気を行う構成としても良い。さらに、これらに限らず、住宅内で屋外に面する任意の小室とこの小室に繋がる広い空間を有する居室との間の通気に適用することもできる。また、本実施の形態では、同一のフロアで通気を行うようにしているが、これに限らず、階段室を介して下のフロアと上のフロアとの間を含めて通気を行うようにしても良い。
また、本実施の形態では、建物の一例として住宅10を用い、住宅用換気システムとする通気乾燥システム10として説明したが、本発明が適用される建物としては、住宅10に限らず、任意の構成の建物に適用して建物用換気システムとすることができる。このような本発明が適用される建物としては、任意の構成の住宅であっても良く、また、例えば、コンビニエンスストア、クリーニング店、飲食店などの各種店舗が含まれる建物であってもよく、また、1フロアが複数の空間に仕切られた事務所の建物、工場の建物など、比較的狭い空間(第1室)と比較的広い空間(第2室)とを有する任意の建物に適用することができる。