JP5696956B2 - 非ハロゲン難燃樹脂組成物を用いた電線およびケーブル - Google Patents

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本発明は難燃性、耐熱老化性、安全性に優れ、ケーブル絶縁材料として有用な非ハロゲン難燃樹脂組成物を用いた電線およびケーブルに関するものである。
従来から鉄道車両などの配線に用いられる絶縁電線の絶縁被覆材として、一般に難燃性に優れた塩化ビニル樹脂が広く使用されてきた。
しかし、塩化ビニル樹脂は難燃性を有する半面、分子中にハロゲン元素を含むため、車両の火災時や焼却廃棄時に有毒なハロゲン系ガスを大気中に放出するという問題がある。
このような背景から、近年、ベース樹脂にポリオレフィン系樹脂を用い、難燃剤として金属水酸化物を添加した、非ハロゲン難燃樹脂組成物が開発されてきた。
耐熱老化性を得る方法として、上記の非ハロゲン難燃樹脂組成物へのフェノール系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤の配合(特許文献1など)が提案されている。
特許第4255368号公報
しかしながら、近年、欧米を中心にその適用が拡大されているEN規格電線には、非常に厳しい難燃性規格である垂直燃焼試験(VFT=Vertical Flame Test)に加え、120〜125℃で20,000h以上の長期耐熱老化性、燃焼時に発生するシアン化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、二酸化硫黄などの人体に有毒なガスの低減も要求される。
従って、本発明の目的は、難燃性、耐熱老化性、安全性に優れ、ケーブル絶縁材料として有用な非ハロゲン難燃樹脂組成物を用いた電線及びケーブルを提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、導体に絶縁層を被覆した電線において、前記絶縁層がポリオレフィン系樹脂100質量部と、金属水酸化物100〜250質量部と、融点が200℃以上で平均粒径10μm以下の酸化防止剤単独もしくは他の酸化防止剤を含む酸化防止剤2質量部以上5質量部以下とからなり、これらを配合した混合物を架橋してなり、毒性指数(ITC)が3.0以下である非ハロゲン難燃樹脂組成物からなり、前記融点が200℃以上で平均粒径10μm以下の酸化防止剤が、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸で、前記他の酸化防止剤がペンタエリスリチル−テトラキス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、テトラキス(メチレンドテシルチオプロピオネート)メタンの中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする電線である。
請求項2の発明は、上記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、α−オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元系共重合ゴムの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の電線である。
請求項3の発明は、上記金属水酸化物が、水酸化マグネシウムあるいは水酸化アルミニウムである請求項1又は2に記載の電線である。
請求項の発明は、180〜140℃保管品の破断伸びが50%以上である最長時間からアレニウスプロットにより120℃で20,000時間保管後の破断伸びが50%以上であることが予測される請求項1〜3のいずれかに記載の電線である。
請求項の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の電線を用いて形成したことを特徴とするケーブルである。
本発明によれば、難燃性、耐熱老化性、安全性に優れ、ケーブル絶縁材料として有用な非ハロゲン性難燃樹脂組成物を用いた電線およびケーブルを提供することが可能である。また、機械特性、耐油性、耐酸・アルカリ性を保持しつつ、非常に厳しい難燃性規格である垂直燃焼試験(VFT=Vertical Flame Test)をクリアし、120〜125℃で20,000h以上の長期耐熱老化性を持ち、燃焼時のシアン化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、二酸化硫黄などの有毒ガスの発生を低く抑えており安全性にも優れる電線及びケーブルを提供することができる。
本発明が適用される電線の断面図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
先ず本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物を用いた電線の例を図1により説明する。
図1は、錫めっき銅導体1に絶縁体内層2を被覆した上に絶縁体外層3を押出し被覆したワイヤ(電線)10を示し、絶縁体外層3を本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物により作製する。
本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部と、金属水酸化物100〜250質量部と、融点が200℃以上で平均粒径10μm以下の酸化防止剤単独もしくは他の酸化防止剤を含む酸化防止剤2質量部以上5質量部以下とからなり、これらを配合した混合物を架橋してなるものである。
本発明に用いる酸化防止剤は、融点が200℃以上で平均粒径10μm以下のものを用い、これを単独、もしくは他の酸化防止剤と併用し、合計で2質量部以上5質量部以下をポリオレフィン系樹脂100質量部、金属水酸化物100〜250質量部とともに混合して用いる。
ここで、融点が200℃以上の酸化防止剤を用いるのは、高温における耐熱老化性を向上させるためであり、その平均粒径を10μm以下とするのは樹脂内での分散性を向上させることで、樹脂の耐熱性向上をより効果的にするためである。
酸化防止剤の働きは、ポリマ酸化劣化時に発生するラジカルの捕捉(フェノール系酸化防止剤)やパーオキサイドの分解(イオウ系酸化防止剤)であるが、分散をよくすることでポリマの各部で起こる酸化劣化を近傍でより効率よく防止することができる。
酸化防止剤の添加量は、ある一定量以上の添加でポリマの酸化劣化を抑制するのに十分な量に達する一方、過剰な添加では期待される耐熱老化性が得られないばかりか、逆に高温下ではプロオキシダント(酸化促進剤)として働き、かえって劣化を加速する傾向のあることが知られている。また、酸化防止剤そのものが有機化合物であり、イオウを分子構造に含むものもあるため、燃焼時に一酸化炭素、窒素酸化物、二酸化硫黄を発生させ、燃焼ガスの毒性を向上させる。
よって、添加する酸化防止剤の量を必要最小限とするために、本発明者らは酸化防止剤の粒径と添加量を検討し、融点が200℃以上の酸化防止剤については平均粒径10μm以下とし、酸化防止剤の全体量としては、2質量部以上5質量部以下がポリオレフィン系樹脂100質量部、金属水酸化物100〜250質量部に対して最適であることを見出した。
ここで、融点が200℃以上の酸化防止剤のみ平均粒径を規定しているのは、低融点の酸化防止剤がポリオレフィン系樹脂との混練時に溶融するのに対し、融点が200℃以上の酸化防止剤は溶融しないため、混練後もポリオレフィン系樹脂のマトリックスに、添加前とほぼ同等の粒径で残存するためである。
低融点のみの酸化防止剤の添加の場合、混練によるポリオレフィン系樹脂への分散は容易であるが、耐熱性に乏しいため、高温下においてそれ自身が熱劣化や樹脂外への揮発を起こすことで、酸化防止剤としての効果が大きく損なわれる。
よって、十分な長期耐熱老化性を得るためには融点が200℃以上の酸化防止剤を含まなければならず、効果を発揮するためには、その添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部、金属水酸化物100〜250質量部に対して2質量部以上が必要となる。ただし、燃焼時の毒性が増加するため、その添加量は5質量部以下としなければならない。
本発明において、金属水酸化物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜250質量部であり、添加量が100質量部より少ないと十分な難燃性が得られず、250質量部より多いと機械特性が著しく低下する。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、α−オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元系共重合ゴムの中から選ばれる少なくとも1種である。
本発明においてα−オレフィン(共)重合体とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンの単独もしくは相互共重合体、または、エチレンとそれらα−オレフィンとの共重合体、あるいは、それらの混合物である。
α−オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体は、酸により変性してもよく、不飽和カルボン酸やその誘導体などを用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸やフマル酸などが挙げられ、また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどがある。好ましくは、マレイン酸、無水マレイン酸である。これらは1種または2種以上併用しても良い。
本発明における金属水酸化物は、難燃剤として用いるものであり、難燃効果や耐熱性に優れ、経済性も有利なことから、好ましくは、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムである。これらは粒子表面をシランカップリング剤や脂肪酸などで表面処理されたものを用いても良い。
本発明における酸化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば融点が200℃以上で平均粒径10μm以下の酸化防止剤としては、フェノール系の1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸を用いることができる。またその他の酸化防止剤としては、例えばフェノール系のペンタエリスリチル−テトラキス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、フェノールとイオウ混合系のチオジエチレンビス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、イオウ系のテトラキス(メチレンドテシルチオプロピオネート)メタンなどを用いることができる。
本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物は、EN50305の7.3項で規定されている、長期耐熱老化性の評価において、180〜140℃保管品の破断伸びが50%以上である最長時間からアレニウスプロットにより120℃で20,000時間保管後の破断伸びが50%以上であることが予測され、且つEN50305の9.2項で規定されている、燃焼時に発生する有毒ガスの毒性指数(ITC=The toxicity index)が3.0以下であることを特徴とする。
また、本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物を被覆した電線およびケーブルは、上記非ハロゲン難燃樹脂組成物を導体の外周に被覆されたものであり、放射線、過酸化物、シラン系架橋剤などにより架橋されていることが好ましい。
また、本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物には、必要に応じて架橋剤、架橋助剤、滑剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、カーボンブラック、着色剤等の添加剤を加えることが可能である。
本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物を被覆した電線およびケーブルの具体的な用途としては、鉄道車両用電線、例えばEN50264−3−1で規定される動力系ワイヤの絶縁体外層、EN50264−3−2で規定される動力系ケーブルのシース、EN50306−3,4で規定される制御系ケーブルのシースなどに用いることができる。
以下に本発明の実施例を比較例と併せて説明する。
図1で説明した、錫めっき銅導体1に絶縁体内層2を被覆した上に絶縁体外層3を押出し被覆したワイヤ10と、絶縁体外層3としての非ハロゲン難燃樹脂組成物を、以下のように作製した。
0.75mm2の錫めっき銅導体の撚り線に絶縁体内層(直鎖状低密度ポリエチレン60質量部、マレイン酸変性α−オレフィン(共)重合体30質量部、エチレン−エチルアクリレート共重合体10質量部、焼成クレー100質量部、酸化防止剤2質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート1質量部、滑剤0.5質量部の樹脂組成物)0.8mmと、絶縁体外層1.2mmとを押出被覆し、電子線を8Mrad照射して架橋した。絶縁体の樹脂組成物はそれぞれ被覆前に予めワンダーニーダにより180℃で混練したものをペレット化して用いた。絶縁体外層の樹脂組成は表1の通りとした。
表1の複合酸化防止剤は、(株)ADEKA製のAO−18で、フェノール系の1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸と、イオウ系のテトラキス(メチレンドテシルチオプロピオネート)メタンとの混合物からなり、融点が200℃以上で、平均粒径が4μmである。
フェノール系酸化防止剤(1)は、チバスペシャルケミカルズ製のイルガノックス1010(ペンタエリスリチル−テトラキス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート])で、融点が110〜125℃である。
フェノール系酸化防止剤(2)は、(株)ADEKA製のAO−20(1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸)で、融点が222℃、平均粒径38μmである。
フェノール系酸化防止剤(3)と(4)は、フェノール系酸化防止剤(2)であるAO−20をジェットミルで粉砕し、平均粒径をそれぞれ分級により10μmおよび20μmに調整したものを用いたものである。平均粒径はマイクロトラック法により測定した。
樹脂組成物およびワイヤの評価は以下に示す方法により判定した。
耐熱老化性、毒性、機械特性の評価は、表1に示す絶縁体外層向けの混練樹脂組成物から成形した厚さ1mmのシートの8Mrad電子線照射品、難燃性は絶縁体内層を含んだワイヤ(8Mrad電子線照射品)で評価を実施した。
耐熱老化性はEN50305の7.3項、毒性はEN50305の9.2項、機械特性はEN60811−1−1の9.1項、難燃性はEN60332−1−2に準拠して評価した。
耐熱老化性は、厚さ1mmのシートをダンベル形状に打ち抜き、170℃、160℃、150℃の老化槽内で老化試験を行い、順次取出したダンベルの引張試験を行い、破断伸び50%以上を維持する最長時間(寿命)を求めた。評価の結果、得られた寿命をアレニウスプロットし、その回帰直線から寿命が20,000hとなる温度(温度指数)を算出し、温度指数が120以上のものを合格とした。引張試験の条件は速度200mm/minとした。
毒性は、厚さ1mmのシートを5mm角にカットし、23℃・相対湿度50%の室内で48時間保管後、800℃の炉内で20分間分解させた。シアン化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、二酸化硫黄の発生量とそれぞれに規定された毒性の重み付けから、毒性指数(ITC)を算出し、ITCが3.0以下のものを合格とした。
機械特性は、厚さ1mmのシートをダンベル形状に打ち抜き、速度200mm/minの引張試験を実施し、引張強さ10MPa以上、破断伸び125%以上を合格とした。
難燃性は、600mm長のワイヤを垂直にセットし、45°の角度でバーナーの炎を60秒間当て、燃焼(炭化)部が上支持部から50mm以上の部位でストップした場合を合格とし、3本すべてが合格のものを全数合格(○)とした。
本発明の樹脂組成物を用いて製造した実施例と、同様にして作製した比較例を表1に示す。
Figure 0005696956
表1に示すように、本発明における実施例1〜9においては、いずれも耐熱老化性、毒性、機械特性、難燃性に優れている。
一方、実施例1に対して金属水酸化物の添加量が規定量(100質量部)を下回る比較例1においては難燃性が足りず、毒性も不十分であり、また、実施例2に対して規定量(250質量部)を上回る比較例2では機械特性が不足している。
実施例1、2と比較例1、2から、金属水酸化物の添加量は100〜250質量部がよい。
酸化防止剤として複合酸化防止剤を用いた比較例3は、実施例7に対して、酸化防止剤の添加量が規定量(2質量部)を下回り耐熱老化性が足りず、また、実施例8に対して、規定量(5質量部)を上回る比較例4では毒性が不十分である。
実施例7、8と比較例3、4から融点200℃以上の酸化防止剤を含む酸化防止剤の添加量は、2質量部以上5質量部以下がよい。また実施例5〜8より、複合酸化防止剤の添加量が多くなると毒性指数が高くなり、比較例4の6質量部では、毒性指数が高くなるため、複合酸化防止剤と他のフェノール系酸化防止剤(1)を併用するのがよく、複合酸化防止剤は、全体の酸化防止剤が規定した範囲内であれば、0.5質量部でも耐熱老化性は合格するため、0.5質量部以上含まれていればよい。
比較例5、6は、融点が200℃以上のフェノール系酸化防止剤(2)とイオウ系酸化防止剤を併用したものであるが、フェノール系酸化防止剤(2)の平均粒径が38μmであり、フェノール系とイオウ系の酸化防止剤を、共に1.5質量部配合した比較例5は、耐熱老化性が悪く、共に2.0質量部添加した比較例6は毒性が不十分となる。これは酸化防止剤の粒径が大きいと樹脂への分散が不十分となり、フェノール系酸化防止剤(2)による酸化防止機能が十分に発揮されないため、その添加量が少ないと毒性は満足するものの酸化防止機能が十分に発揮されず、添加量が多くなると酸化防止機能は発揮できるものの毒性を満足しないものとなるからである。
比較例7は、平均粒径20μmのフェノール系酸化防止剤(4)とイオウ系酸化防止剤を併用したものであるが、平均粒径10μmのフェノール系酸化防止剤(3)とイオウ系酸化防止剤を併用した実施例9と比べて、毒性に対しては優位であるが耐熱老化性を満足しない。また、他のフェノール系酸化防止剤(1)とイオウ系酸化防止剤を併用した比較例8も耐熱老化性が不十分である。
よって、融点200℃以上のフェノール系酸化防止剤の平均粒径は10μm以下を用いるのがよい。
以上説明してきたように、本発明の非ハロゲン難燃樹脂組成物を被覆した電線は優れた耐熱老化性、毒性、機械特性、難燃性を有しており、その工業的な有用性は極めて高いと考えられる。
1 錫めっき銅導体
2 絶縁体内層
3 絶縁体外層
10 電線

Claims (5)

  1. 導体に絶縁層を被覆した電線において、
    前記絶縁層がポリオレフィン系樹脂100質量部と、金属水酸化物100〜250質量部と、融点が200℃以上で平均粒径10μm以下の酸化防止剤単独もしくは他の酸化防止剤を含む酸化防止剤2質量部以上5質量部以下とからなり、これらを配合した混合物を架橋してなり、毒性指数(ITC)が3.0以下である非ハロゲン難燃樹脂組成物からなり、
    前記融点が200℃以上で平均粒径10μm以下の酸化防止剤が、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸で、前記他の酸化防止剤がペンタエリスリチル−テトラキス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、テトラキス(メチレンドテシルチオプロピオネート)メタンの中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする電線。
  2. 上記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、α−オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元系共重合ゴムの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の電線。
  3. 上記金属水酸化物が、水酸化マグネシウムあるいは水酸化アルミニウムである請求項1又は2に記載の電線。
  4. 180〜140℃保管品の破断伸びが50%以上である最長時間からアレニウスプロットにより120℃で20,000時間保管後の破断伸びが50%以上であることが予測される請求項1〜3のいずれかに記載の電線。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電線を用いて形成したことを特徴とするケーブル。
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