JP2013222518A - 鉄道車両用電線・ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性及び耐油性に優れるとともに、優れた耐燃料性及び低温特性を兼ね備えた鉄道車両用電線・ケーブルを提供する。
【解決手段】鉄道車両用電線・ケーブルの絶縁層・シースを、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有するノンハロゲン架橋樹脂組成物から構成し、かつベースポリマのVA量を、54質量%〜60質量%となるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両用電線・ケーブルに関し、さらに詳しくは、難燃性及び耐油性に優れるとともに、優れた耐燃料性及び低温特性を兼ね備えた鉄道車両用電線・ケーブルに関する。
鉄道車両用電線・ケーブル、クレーン等に使用される移動用電線・ケーブルを構成する被覆材料としては、耐油・耐燃料性、低温特性、難燃性、柔軟性、コスト等の面でバランスの取れた、例えば、クロロプレンゴム混和物、クロロスルフォン化ポリエチレン混和物、塩素化ポリエチレン混和物、フッ素ゴム混和物等のハロゲン系ゴム混和物が使用されている。しかし、このようなハロゲンを大量に含む物質は、燃焼時に有毒、有害なガスを多量に発生し、焼却条件によっては猛毒のダイオキシンを発生させる。このことから、火災時の安全性や環境負荷低減の観点から、ハロゲン物質を含まないノンハロゲン材料を被覆材料に使用した電線・ケーブルが普及してきている。
一方、鉄道車両網が発達している欧州では、EN規格(欧州規格)と呼ばれる地域統一規格の採用が広がっている。かかる規格では、鉄道車両用に使用される電線・ケーブルは、その不具合により大事故につながる危険性があることから、高い難燃性や耐油性を備えたハロゲンフリー材料を使用することが求められている。
かつて、本発明者等は、この要求に応えるべく、導体を被覆し、エチレンエチルアクリレート共重合体を含む絶縁体を有する内層と、内層を被覆し、エチレン酢酸ビニル共重合体とノンハロゲン難燃剤とを含み、架橋された外層とを備えた絶縁電線を提案した(特許文献1参照)。かかるハロゲンフリー絶縁電線は、所望の難燃性、絶縁性、耐油性及び機械的強度に優れた特性を備えるものであるが、改善の余地がないわけではない。
特開2010−097881号公報
つまり、近年では、難燃性、耐油性といった特性に加えて、耐燃料性及び低温特性に優れた電線・ケーブルが求められている。
鉄道車両用ケーブルのうち、とりわけ動力用ケーブルとして使用するには、EN50264−3−1に規定された試験に合格しなければならず、かかる試験項目には、難燃性や耐油性の他に耐燃料性や低温特性があり、殊に、耐燃料性と低温特性の点について未だ十分な検討がなされているとはいえず、これら要求される特性を兼ね備えた電線・ケーブルを得ることができていないのが現状である。
高い難燃性を付与する手法としては、ポリマの側鎖に、燃焼時に不燃ガスを発生させる構造を持たせることや、金属水酸化物や窒素化合物等のハロゲンフリー難燃剤を添加すること等を挙げることができる。しかしながら、ポリマの側鎖に、不燃ガスを発生させる構造を持たせることは、ポリマの極性を高めることに繋がり、低温特性を悪化させ、また、ハロゲンフリー難燃剤を添加する場合は、大量に添加する必要があり、耐燃料性及び低温特性を大きく低下させてしまう問題がある。
また、耐油・耐燃料性を向上させるためには、ポリマの極性を高めるか、又はポリマの結晶度を高めることで改善することができるが、ポリマの結晶度を高めた材料は柔軟性に劣り、電線・ケーブルの用途には適さないものであり、極性の高いポリマは柔軟性には優れるものの、低温特性に劣る欠点がある。
本発明の目的は、難燃性及び耐油性に優れるとともに、優れた耐燃料性及び低温特性を兼ね備えた鉄道車両用電線・ケーブルを提供することにある。
本発明者等は、上述の目的を達成するため、EVAのVA量と、VA量の異なる2種以上のEVAの混合とに着目して、種々検討した結果、本発明を完成した。
[1]導体と、前記導体上に形成されたノンハロゲン架橋樹脂組成物からなる絶縁層とを有する鉄道車両用電線であって、前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物は、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)、及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、前記ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有し、かつ前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記ベースポリマのVA量は、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%である鉄道車両用電線。
(ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・(1)
[2]前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの1種単独又は2種以上の混合物であり、かつオルガノシラン及び/又は脂肪酸で表面処理されている前記[1]に記載の鉄道車両用電線。
[3]束ねられた複数本の電線と、前記束ねられた複数本の電線の外周に形成されたノンハロゲン架橋樹脂組成物からなるシースとを有する鉄道車両用ケーブルであって、前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物は、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、前記ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有し、かつ前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記ベースポリマのVA量は、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%である鉄道車両用ケーブル。
(ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・(1)
[4]前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの1種単独又は2種以上の混合物であり、かつオルガノシラン及び/又は脂肪酸で表面処理されている前記[3]に記載の鉄道車両用ケーブル。
本発明によれば、難燃性及び耐油性に優れるとともに、優れた耐燃料性及び低温特性を兼ね備えた鉄道車両用電線・ケーブルを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る鉄道車両用電線を模式的に示す断面図である。
[実施の形態の要約]
本実施の形態の鉄道車両用電線は、導体と、導体上に形成されたノンハロゲン架橋樹脂組成物からなる絶縁層とを有する鉄道車両用電線において、ノンハロゲン架橋樹脂組成物として、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)、及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有するものを用い、かつノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成するベースポリマのVA量を、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%となるようにしたものである。
(ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
また、本実施の形態の鉄道車両用ケーブルは、束ねられた複数本の電線と、束ねられた複数本の電線の外周に形成されたノンハロゲン架橋樹脂組成物からなるシースとを有する鉄道車両用ケーブルにおいて、ノンハロゲン架橋樹脂組成物として、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有するものを用い、かつノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成するベースポリマのVA量を、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%となるようにしたものである。
(ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・・・・・・(1)
以下、本発明の実施の形態に係る鉄道車両用電線・ケーブルを、それぞれ具体的に説明する。
I.鉄道車両用電線
本発明の実施の形態に係る鉄道車両用電線は、図1に示すように、導体(例えば、錫めっき銅導体1)と、導体上に形成された絶縁層(例えば、絶縁体内層2及び絶縁体外層3)とを有する鉄道車両用電線であって、この絶縁体外層3として、ノンハロゲン架橋樹脂組成物を使用したものである。このノンハロゲン架橋樹脂組成物は、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)、及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有し、かつノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成するベースポリマのVA量は、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%である。
(ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・・・・・・(1)
なお、第1のEVA及び第2のEVAの、それぞれ単独のVA量とは、JIS K 7192に規定されたVA含有量を意味する。以下、各構成要素について説明する。
1.絶縁層(絶縁体外層)
本実施の形態に用いられる絶縁層(絶縁体外層3)は、下記のノンハロゲン架橋樹脂組成物から構成される。
(ノンハロゲン架橋樹脂組成物)
絶縁体外層3を構成するノンハロゲン架橋樹脂組成物は、第1のEVA及び第2のEVAを主成分とするベースポリマと、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有する。
(1)ベースポリマ
ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成するベースポリマは、所定のVA量をそれぞれ有する2種類のEVA(第1のEVA及び第2のEVA)を主成分として含有する。本実施の形態のベースポリマにおいて、第1のEVA及び第2のEVAの2種類のEVAを混合して使用するのは、耐油・耐燃料性と低温特性とを両立させるためである。
本発明における耐油性とは、ASTM No.2油に対する耐性を意味し、耐燃料性は、ASTM No.3油に対する耐性を意味する。これらは、いずれも鉱物油であり、極性が低いため、極性の低いポリマを膨潤させる。膨潤を防ぐためには、極性の高いポリマを使用することがよい。特に、EN50264に規定されるような高い耐燃料性を満足させるためには、EVAのVA量は60%以上であることが好ましい。
しかしながら、ポリマの極性が高まると、分子運動がその電子の偏りにより拘束されやすく、そのためガラス転移点が高くなり、低温で割れやすくなる。EVAの場合、VA量が50%を超えると、その現象が顕著に現れることが知られている。
耐油・耐燃料性及び低温特性の両方を満足させるために、1種類のEVAをベースポリマとするのではなく、低温に強いVA量40〜50質量%の第1のEVAと、耐油・耐燃料に優れるVA量60質量%以上の第2のEVAを混合、分散させて、上述のベースポリマのVA量が、上記式(1)で、54質量%〜60質量%となるようにすることで、両方の特性を満足させることができることを見出し、さらに、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物を添加することで、鉄道車両用電線・ケーブルに使用できるレベルの高い難燃性を有したハロゲンフリー組成物を得ることができることを見出したものである。
第1のEVAのVA量が40質量%未満であると、耐油・耐燃料性、難燃性が劣り、50質量%を超えると、低温特性に劣る。また、第2のEVAのVA量が60質量%未満であると、耐油・耐燃料性、難燃性に劣る。第2のEVAのVA量の上限値については特に制限はないが、入手可能性という点から、現時点では、上市されているEVAのVA量を考慮すると、90質量%以下であることが好ましい。
第1のEVAとしては、例えば、VA量41〜46質量%(三井デュポンポリケミカル社製、商品名:エバフレックスEV45LX:VA量46質量%等)が好ましく、第2のEVAとしては、例えば、VA量80質量%以上(LANXESS社製、商品名:レバプレン800:VA量80質量%等)であることが好ましい。また、第1のEVAをメルトフローレイト(MFR)(JIS K 7210 190℃,2.16kg荷重)2.5以下のEVAと、60以上のEVAワックス(三井デュポンポリケミカル社製、商品名:エバフレックスEV45X:VA量46質量%、MFR:100)を混合させることで、加工性が向上し、特に押出成型後の外観がよくなる。
なお、本発明は、酢酸ビニル(VA量)40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)と、VA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)とを主成分とするベースポリマを要件とするものであるが、本発明の効果を奏する限りにおいて、この2種のEVAに、さらに、上述のVA量のEVA以外の第3のポリマー(例えば、他のポリオレフィン樹脂)を含有させてもよい。特に、無水マレイン酸で変性したポリオレフィンを含有させることで、フィラーとポリマー間の密着性が上がり、低温特性をさらに改善することができる。
第1のEVAと第2のEVAとの混合割合は、ベースポリマ全体のVA量が、上記式(1)で計算して、54〜60質量%となるようにする。54質量%未満であると、所望の耐油性・耐燃料性、難燃性が得られず、60質量%を超えると、十分な低温特性が得られない。
(2)金属水酸化物
ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する金属水酸化物は、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部含有される。80質量部未満であると、高い難燃性を得ることができず、200質量部を超えると、破断伸び、引張強さ等の機械特性が著しく悪くなる。
また、本実施の形態に用いられる金属水酸化物は、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの1種単独又は2種以上の混合物であり、かつオルガノシラン及び/又は脂肪酸で表面処理されているものであることが好ましい。すなわち、高い難燃性を得るために、金属水酸化物は、その脱水温度とポリマとの分解温度が近い水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムが好適で、オルガノシラン及び/又は脂肪酸で表面処理されているものを使用することで、ポリマ−粒子間の密着が強化され、さらに耐油性・耐燃料性、低温特性を改善することができる。特に、オルガノシランカップリング剤表面処理水酸化アルミニウムを使用することが、耐油性・耐燃料性の点から好ましい。
(3)架橋方法
本実施の形態に用いられるノンハロゲン架橋樹脂組成物は、過酸化物の添加、電子線照射、シラングラフト水架橋等の常法に従い、架橋させることができるが、機械特性の点から、過酸化物の添加による架橋が好ましい。
(4)他の成分
なお、本実施の形態に用いられるノンハロゲン架橋樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、シランカップリング剤、難燃剤・難燃助剤(例えばヒドロキシ錫酸塩、ホウ酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム・赤リン・リン酸エステル等のリン系難燃剤、ポリシロキサン等のシリコーン系難燃剤、メラミンシアヌレート、シアヌル酸誘導体等の窒素系難燃剤、ホウ酸亜鉛等のホウ酸化合物、モリブデン化合物等)、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、カーボンブラック、相溶化剤、安定剤、金属キレート剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を添加することができる。
(5)鉄道車両用電線・ケーブルへの適性
このようなノンハロゲン架橋樹脂組成物を、電線・ケーブルの被覆材料、特に、絶縁電線の絶縁体外層、シース材料等に用いることで、特に、厳しいとされる鉄道車両用電線・ケーブルの規格(EN50264)を満足することができるノンハロゲン電線・ケーブルを実現することができる。
2.絶縁層(絶縁体内層)
本実施の形態に用いられる絶縁層(絶縁体内層2)を構成する材料としては、特に、制限はなく、一般的に、ノンハロゲン電線・ケーブルに用いられる樹脂組成物を使用することができる。また、ノンハロゲン材料であれば、エンジニアプラスチック等を使用することもできる。特に、電気特性を重視するのであれば、エチレンα−オレフィンコポリマ、HDPE、LDPE、LLDPE、VLDPE、EPDM、EVA、EEA、EMA等のポリオレフィンをベースポリマとして使用し、タルクやクレーといった無機充填剤を混合したものが好ましく、難燃性を重視するのであれば、上述のポリオレフィンに金属水酸化物等のノンハロゲン難燃剤を混合したものが好ましい。なお、絶縁体内層2を使用しないで、絶縁体外層3だけで絶縁層を形成してもよい。
3.導体
本実施の形態に用いられる導体を構成する材料としては、特に制限はなく、従来から多用されている銅、銅合金、金属メッキ銅、アルミニウム、鋼等を用いることができる。例えば、図1に示す錫めっき銅導体1を好適例として挙げることができる。また、この導体は、単一の中実のストランドから構成されてもよく、また、複数の金属素線を撚り合わせた撚り線であってもよい。さらに、この導体の太さも特に制限はない。
II.鉄道車両用ケーブル
本発明の実施の形態に係る鉄道車両用ケーブルは、束ねられた複数本の電線と、この電線の外周に形成されたノンハロゲン架橋樹脂組成物からなるシースとを有する鉄道車両用ケーブルであって、このノンハロゲン架橋樹脂組成物は、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有し、かつノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成するベースポリマのVA量は、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%である。
(ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・(1)
また、鉄道車両用電線の場合と同様に、本実施の形態に用いられる金属水酸化物も、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの1種単独又は2種以上の混合物であり、かつオルガノシラン及び/又は脂肪酸で表面処理されているものであることが好ましい。
以下に、本発明の鉄道車両用電線・ケーブルを、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって、いかなる制限を受けるものではない。
(実施例1)
図1に示す構成を有する鉄道車両用電線を以下のように作製した。
絶縁体内層は、表1に示すように、エチレン−αオレフィンコポリマ(三井化学社製、商品名:タフマA1070)100質量部、キノリン系酸化防止剤(精工化学社製、商品名:ノンフレックスRD)2質量部、クレー(土屋カオリン社製、商品名:トランスリンク37)40質量部、ステアリン酸亜鉛1質量部、及びジアルキルパーオキサイド(日油社製、パーブチルP)2質量部を配合して形成した。
絶縁体外層は、表2に示すように、第1のEVAとして、VA量:46質量%、MFR:2.5のEVA(三井デュポンポリケミカル社製、商品名:EV45LX)60質量部、及びVA量:46質量%、MFR:100のEVA(三井デュポンポリケミカル社製、商品名:EV45X)10質量部、第2のEVAとして、VA量:80質量%、ML(1+4)100℃:28のEVA(LANXESS社製、商品名:レバプレン800)30質量部、金属水酸化物として、水酸化アルミニウム(日軽金社製、商品名:BF013STV)80質量部、ビニルトリスメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM1003)3質量部、ヒドロキシすず酸亜鉛(水澤化学社製、商品名:アルカネックスZHS)10質量部、キノリン系酸化防止剤(精工化学社製、商品名:ノンフレックスRD)1.5質量部、カーボンブラック(旭カーボン社製、商品名:サーマルカーボン)5質量部、ステアリン酸亜鉛1質量部、及びジアルキルパーオキサイド(日油社製、パーブチルP)3質量部を配合して形成した。
この場合、ベースポリマのVA量は、56.2質量%であった。
上述の配合について、ジアルキルパーオキサイド以外を、75L加圧ニーダーによって混練し、絶縁体内層材料はペレット状に、絶縁体外層材料は帯状に形成した。その後、ペレット状の絶縁体内層材料には、所定量(2質量部)のジアルキルパーオキサイドをミキサーにて含浸させ、絶縁体外層材料には25L加圧ニーダーで所定量(3質量部)のジアルキルパーオキサイドを混練した。
混練した絶縁内層材料と絶縁体外層材料とを、断面積240mmの錫めっき銅導体の上に内層押出温度80℃、外層押出温度70℃で押出被覆し、飽和水蒸気圧1.8MPaの飽和水蒸気で連続架橋し、絶縁体内層厚さ0.7mm、絶縁体外層厚さ2.0mm、外径25.7mの、図1に示す絶縁電線(鉄道車両用電線)とした。
Figure 2013222518
Figure 2013222518
(実施例2〜8)
実施例1において、絶縁体内層及び絶縁体外層の配合組成を、表1及び表2に示すものに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1〜6)
実施例1において、絶縁体内層及び絶縁体外層の配合組成を、表1及び表3に示すものに変えたこと以外は、実施例1と同様にした。
Figure 2013222518
[評価方法]
評価方法は、EN50264 3−1に準拠して試験を実施し、その結果を評価した。規格を全て満足したものを合格とした。以下、各試験について説明する。
(初期引張試験)
絶縁体外層材料のみを絶縁電線から剥ぎ、JIS K 6251に記載されているダンベル6号で打ち抜き、打ち抜いた試験サンプルを引張試験機で200mm/minの速度で引っ張り、引張強さ及び破断伸びを測定した。引張強さ10MPa以上、破断伸び150%以上を合格とした。
(耐油性試験)
初期引張試験同様、絶縁電線から絶縁体外層材料のみを絶縁電線から剥ぎ、ダンベル6号で打ち抜き、打ち抜いた試験サンプルを100℃のASTM No.2油に72時間浸漬させた。浸漬後の試験サンプルを引張試験機で200mm/minの速度で引っ張り、引張強さ及び破断伸びを測定した。初期引張試験の結果から引張強さ残率70〜130%、破断伸び残率60〜140%の範囲に収まるものを合格とした。
(耐燃料性試験)
初期引張試験同様、絶縁電線から絶縁体外層材料のみを絶縁電線から剥ぎ、ダンベル6号で打ち抜き、打ち抜いた試験サンプルを100℃のASTM No.3油に168時間浸漬させた。浸漬後の試験サンプルを引張試験機で200mm/minの速度で引っ張り、引張強さ及び破断伸びを測定した。初期引張試験の結果から引張強さ残率70〜130%、破断伸び残率60〜140%の範囲に収まるものを合格とした。
(低温特性)
初期引張試験同様、絶縁電線から絶縁体外層材料のみを絶縁電線から剥ぎ、ダンベル6号で打ち抜き、打ち抜いた試験サンプルを−40℃の恒温槽内で10分間放置後、引張試験機で30mm/minの速度で引っ張り、破断伸びを測定した。破断伸び絶対値が30%以上のものを合格とした。
(難燃性試験)
EN50264−3−1に記載されている方法で垂直トレイ燃焼試験を実施し、炭化距離が250cm以下を合格とした。
実施例1〜8及び比較例1〜6の試験結果を、表4、5に示す。
Figure 2013222518
Figure 2013222518
表4に示されるように、実施例1〜5は、全ての特性を満足し、耐油・耐燃料性、低温特性、難燃性に優れていることが分かる。
一方、比較例1は、低温特性を改善させる第1のEVA(VA量40〜50質量%)が混合されていないため、低温特性に劣る。比較例2は、金属水酸化物の添加量が少ないため、難燃性が不十分である。比較例3は、金属水酸化物の添加が多すぎるため、初期特性、耐燃料性、低温特性を満足することができない。比較例4は、EVAが混合されているものの、一方のEVAのVA量が第1のEVAの下限値である40質量%よりも低いため、耐油・耐燃料性、難燃性が不合格となり、比較例5は、いずれもVA量が50質量%よりも高い(60質量%以上の)EVAの混合物がベースポリマとなるため、低温で割れてしまった。逆に、比較例6は、いずれもVA量が60質量%よりも低いEVAの混合物がベースポリマとなるため、耐油・耐燃料性、難燃性が不合格となった。
本実施例においては、鉄道車両用電線について説明したが、電線を複数本束ねたものの上に、本実施例の鉄道車両用電線の絶縁体外層材料と同様の材料(ノンハロゲン架橋樹脂組成物)によってシース材料を形成して、鉄道車両用ケーブルとすることができる。
1 錫めっき銅導体
2 絶縁体内層
3 絶縁体外層

Claims (4)

  1. 導体と、前記導体上に形成されたノンハロゲン架橋樹脂組成物からなる絶縁層とを有する鉄道車両用電線であって、
    前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物は、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)、及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、前記ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有し、かつ
    前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記ベースポリマのVA量は、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%である鉄道車両用電線。
    (ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・(1)
  2. 前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの1種単独又は2種以上の混合物であり、かつオルガノシラン及び/又は脂肪酸で表面処理されている請求項1に記載の鉄道車両用電線。
  3. 束ねられた複数本の電線と、前記束ねられた複数本の電線の外周に形成されたノンハロゲン架橋樹脂組成物からなるシースとを有する鉄道車両用ケーブルであって、
    前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物は、酢酸ビニル(VA)量40〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第1のEVA)及びVA量60質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(第2のEVA)を主成分とするベースポリマと、前記ベースポリマ100質量部に対して、80〜200質量部の金属水酸化物とを含有し、かつ
    前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記ベースポリマのVA量は、下記式(1)で計算して、54質量%〜60質量%である鉄道車両用ケーブル。
    (ベースポリマのVA量)=(第1のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第1のEVAの割合)+(第2のEVAのVA量)×(ベースポリマ全体に占める第2のEVAの割合)・・・・・・・・・・(1)
  4. 前記ノンハロゲン架橋樹脂組成物を構成する前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムの1種単独又は2種以上の混合物であり、かつオルガノシラン及び/又は脂肪酸で表面処理されている請求項3に記載の鉄道車両用ケーブル。
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