以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1(a)は、本発明に係るヒンジキャップ20が示された側面図であり、図1(b)はその平面図である。図2には、この図1(b)のII−II線に沿った、このキャップ20の断面が示されている。このヒンジキャップ20は、胴体22と、蓋24と、ヒンジ26とを備えている。胴体22は、円筒状である。この胴体22の上部には、注ぎ口31が設けられている。前述の高粘度液体はこの注ぎ口31を通過しうる。この胴体22の内周面には、雌ねじ32が設けられている。この雌ねじは、ボトルの口の雄ネジに対応している。このキャップ20は、ボトルにねじ込まれる。
蓋24は、円板状である。この蓋24は、本体28と、フランジ30とを備えている。本体28は、その上部が閉塞された円筒状を呈している。図2に示されているように、この本体28には、その下面から突出する円筒29が設けられている。このキャップ20では、この本体28は胴体22の上部に嵌め合わされる。この本体28が胴体22に嵌め合わされたとき、この円筒29は、胴体22の注ぎ口31に挿入される。これにより、胴体22の注ぎ口31が塞がれる。
上記フランジ30は、蓋24の本体28の上側において、この本体28から半径方向外向きに延在している。このフランジ30は、本体28から突出している。このフランジ30の外周は、円形状を呈している。このフランジ30の上面は平坦である。
ヒンジ26は、胴体22と蓋24とを連結している。このキャップ20では、蓋24のフランジ30に指をかけてこの蓋24を持ち上げると、この蓋24がこのヒンジ26を軸として胴体22に対して回動する。図2にこの様子が示されている。図中で、両矢印Aは、この蓋24の回動方向を示している。このキャップ20では、このヒンジ26により、蓋24と胴体22とは回動自在に連結されている。
このヒンジキャップ20の蓋24では、本体28とフランジ30は、嵌合結合により一体化されている。図3には、フランジ30を蓋24の本体28に嵌合する前の状態が示されている。ここでは、フランジ30が嵌合される前の蓋24を備えたキャップ20は、「フランジなしキャップ34」と称される。図3において、矢印Xで示されているのは、ヒンジキャップ20の上下方向である。
図4は、本体28に嵌合される前のフランジ30を下側から見た平面図である。図3及び4に示されるように、フランジ30は、その下面に凹部36を備えている。この凹部36は、円筒形である。図4において、矢印Yで示されるのが、この円筒の周方向である。符号Oは、この円筒の中心を表す。中心Oから円筒の内周面に向かう方向は、半径方向と称される。
この凹部36の内周面には、4つの第一突起部38が設けられている。各々の第一突起部38は、周方向に延在している。これらの突起部の上下方向の位置は揃っている。両矢印R1は、中心Oから第一突起部38の半径方向内側端までの距離を表す。両矢印RFは、中心Oから円筒の内周面までの半径方向距離を表す。図3において、矢印L1は、凹部36の底面48から第一突起部38の上端までの上下方向の距離である。また、この凹部36の内周面には、上下方向に延在する溝40が設けられている。この溝40は、凹部36の底面48から表面まで延びている。
図5はフランジなしキャップ34を上側から見た平面図である。図3及び5に示されるように、本体28はその上面に凸部42を備えている。この凸部42は、円筒形である。図4と同様に、図5において矢印Yで示されるのが、この円筒の周方向である。符号Oは、この円筒の中心を表す。中心Oから円筒の外周面に向かう方向が、半径方向である。
この凸部42の外周面には、4つの第二突起部44が設けられている。各々の第二突起部44は、周方向に延在している。これらの突起部の上下方向の位置は揃っている。両矢印R2は、中心Oから第二突起部44の半径方向外側端までの距離を表す。両矢印RBは、中心Oから円筒の外周面までの半径方向距離を表す。図3において、矢印L2は、凸部42の先端50から第二突起部44の下端までの上下方向の距離である。また、この凸部42の外周面には、上下方向に延在する第三突起部46が設けられている。この第三突起部46は、凸部42の先端50から根本まで延びている。
ここで、上述の距離RBは、距離RFより小さい。換言すれば、凸部42の外径は、凹部36の内径よりも小さい。また、距離R2は距離R1よりも大きい。第三突起部46は、ちょうどこの溝40に嵌め込まれる大きさに作られている。さらに、第三突起部46の位置と溝40の位置が合うように凸部42と凹部36が重ねられたとき、凹部36の第一突起部38と凸部42の第二突起部44は、キャップ20の上方から見て、重なる位置に設けられている。また、距離L1とL2は、同じ値とされている。
フランジ30を本体28に嵌合するためには、第三突起部46と溝40との位置を合わせて、本体28の凸部42をフランジ30の凹部36に押し当てる。距離RFが距離RBより大きいため、凸部42は途中まで凹部36に入り込む。距離R2が距離R1より大きいため、第一突起部38が第二突起部44に当接する。ここでさらに凸部42が押しつけられると、凸部42が半径方向の内側に変形する。換言すれば凸部42が、距離R2が小さくなる方向に変形する。これにより、凸部42がさらに凹部36に押し込まれる。第二突起部44が第一突起部38を超えて押し込まれると、この凸部42の変形が復元する。この復元により、距離R2がもとの値に戻る。これにより、凸部42は凹部36からは抜けることはない。第一突起部38と第二突起部44とは噛み合わされる。距離L1とL2が同じであるので、ちょうどこのとき、凸部42の先端が凹部36の底面48に当接する。この凸部42は凹部36に対して上下方向にスライドしない。また、第三突起部46が溝40に嵌め込まれているため、凸部42は凹部36に対して周方向に回転もしない。これにより、フランジ30が本体28に嵌合される。フランジ30と本体28は一体化される。
第一突起部38及び第二突起部44の数は、それぞれ4つに限らない。第一突起部38及び第二突起部44が、それぞれ周方向に沿ったリング状に構成されていてもよい。第三突起部46と溝40の数もそれぞれ1つとは限らない。これらの形状や数は、本体28及びフランジ30の大きさや形状により適宜変更される。また、本体28が凸部42を備えなくてもよい。本体28がそのままフランジ30に嵌め込まれてもよい。この場合、本体28の外周面に第二突起部44及び第三突起部46が設けられる。この本体28がフランジ30の凹部36にちょうど嵌め込まれるように、本体28の中心Oから外周面までの距離がRBとされる。
このキャップ20は、樹脂組成物から形成される。この樹脂組成物は、基材樹脂を含む。この基材樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂が例示される。汎用性及び加工性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートがより好ましい。なお、これらの再生材料が用いられてもよい。
このキャップ20の樹脂組成物は、薬品を含むことができる。この薬品としては、酸化防止剤、着色剤、加工助剤等が例示される。キャップ20の仕様等が考慮され、最適な薬品が最適な量で樹脂組成物に配合される。
以下では、本発明に係るヒンジキャップ20の製造方法が示される。
このキャップ20では、「フランジなしキャップ34」とフランジ30とがそれぞれ別々に製造される。フランジなしキャップ34を製造するためのモールドと、フランジ30を製造するためのモールドとが用意される。
フランジなしキャップ34は、樹脂組成物をフランジなしキャップ34のモールド(図示されず)内で加熱及び加圧することにより形成される。このモールドには、キャビティが設けられている。このキャビティの形状は、フランジなしキャップ34の形状と同等である。フランジなしキャップ34のキャビティに樹脂組成物が投入される。投入の時、このモールドは加熱されている。樹脂組成物は、キャビティ内で加熱及び加圧される。加熱及び加圧により、樹脂組成物が流動する。フランジなしキャップ34のモールドのキャビティ面に、樹脂組成物が押し付けられる。モールドが冷却される。これにより、樹脂組成物が固化し、フランジなしキャップ34が得られる。冷却後、フランジなしキャップ34が、モールドから取り出される。
フランジ30の製造方法も、上記と同じである。フランジ30は、樹脂組成物をフランジ30のモールド(図示されず)内で加熱及び加圧することにより形成される。このモールドには、キャビティが設けられている。このキャビティの形状は、フランジ30の形状と同等である。フランジ30のキャビティに樹脂組成物が投入される。投入の時、これらのモールドは加熱されている。樹脂組成物は、キャビティ内で加熱及び加圧される。加熱及び加圧により、樹脂組成物が流動する。フランジ30のモールドのキャビティ面に、樹脂組成物が押し付けられる。モールドが冷却される。これにより、樹脂組成物が固化し、フランジ30が得られる。冷却後、フランジ30が、モールドから取り出される。
図6(a)は、モールドから取り出された直後にあるフランジなしキャップ34の状態が示された断面図である。図6(b)は、モールドから取り出された直後にあるフランジ30の状態が示された断面図である。図示されているように、このフランジなしキャップ34は蓋の開いた状態で成形される。フランジなしキャップ34の成形に用いられるモールドのキャビティは、6(a)に示された形態で構成されている。フランジ30の成形に用いられるモールドのキャビティは、図6(b)に示された形態で構成されている。
各々のモールドから取り出されたフランジなしキャップ34とフランジ30は、前述の方法で嵌合される。これにより、ヒンジキャップ20が得られる。
以下、本発明の作用効果が説明される。
図6(a)に示されるように、このフランジなしキャップ34は、本体28から突出するフランジ30を備えないため、従来のヒンジキャップのように、フランジ30とヒンジ26の上下方向の重なりが生じることはない。換言すれば、このフランジなしキャップ34では、アンダーカットが形成されない。図6(b)に示されるように、このフランジ30もアンダーカットが形成されない。このフランジなしキャップ34及びフランジ30は、モールドからの取り出し性に優れている。しかも取り出されたフランジなしキャップ34とフランジ30は、嵌合により容易に一体化される。このヒンジキャップ20は、生産性に優れる。
このヒンジキャップ20では、フランジなしキャップ34とフランジ30を各々のモールドから取り出す際における、過大な変形が防止される。このヒンジキャップ20では、高品質なキャップが安定生産されうる。
このヒンジキャップ20では、モールドからの取り出し性を考慮して、このモールドを複雑な構成とする必要がない。このヒンジキャップ20は、生産コストの低減に寄与しうる。少ない部品点数でモールドを構成することができるので、モールドのメンテナンスも容易である。
このヒンジキャップ20では、アンダーカットは形成されないので、フランジ30に切欠きを設ける必要がない。このヒンジキャップ20は、容器の外観を損ねない。このヒンジキャップ20を用いれば、美観に優れた容器を得ることができる。しかも、このヒンジキャップ20は切欠きがないので、これを備えた容器が他のものに引っかかることはない。このヒンジキャップ20は、容器の取り扱いの容易性を損ねない。
容器のデザインに対する多様な要求から、キャップの蓋は、様々な形状を呈する。また、蓋の上面には、装飾のため及び製造者や製品を示すために、様々な模様や文字が刻印される。本発明に係るヒンジキャップ20では、フランジ30用のモールドを変更するだけで、これらの形状、模様及び文字を備えた蓋24を作成しうる。一方、キャップ20の胴体22は、ボトルの口径の大きさにより、ほぼ決まった形状を呈する。このため、フランジなしキャップ34のモールドは、様々な製品で共通に使用することができる。このヒンジキャップ20では、このキャップ20が搭載される製品毎に、フランジなしキャップ34のモールドを作成する必要はない。これにより、安価に様々な製品に対応したヒンジキャップ20が作成しうる。本発明に係るヒンジキャップ20は、容器を製品展開する際のコスト削減に貢献する。
図7に示されているのは、このキャップ20の使用状態である。このキャップ20は、販売当初からシャンプー等の容器に備えられる。あるいは、シャンプー等の残量が少なくなった時点で、ディスペンサーや通常のキャップが、このヒンジキャップ20に付け替えられる。図7に示されるように、容器52はこのキャップ20のフランジ30を下側にして床面に載置されている。
このキャップ20では、フランジ30の外径が胴体22の外径よりも幅広いために、この容器52は、逆立てられた場合の静置安定性に優れる。このキャップ20によれば、容器52が逆立てられた状態が安定に保持されるので、この容器52のボトル54の底に溜まった液体はその自重で垂下しこのキャップ20の部分に溜まっていく。このため、使用者がこのキャップ20の蓋24を外すと直ぐに、液体が注ぎ口から排出される。使用者は、液体の排出に煩わしさを憶えることはない。このキャップ20は、液体の使い切りに寄与しうる。
図7において、両矢印線WAは、蓋24の最大幅を表している。両矢印線WBは、胴体22の最大幅を表している。この胴体22の最大幅WBに対するこの蓋24の最大幅WAの比(WA/WB)は、1.01以上3.00以下である。この比(WA/WB)が1.01以上に設定されることにより、容器52が逆立てられた場合の静置安定性にこのヒンジキャップ20が寄与しうる。この観点から、この比(WA/WB)は1.05以上がより好ましく、1.10以上が特に好ましい。この比(WA/WB)が3.00以下に設定されることにより、容器52が逆立てられて静置された時の占有面積を小さくすることができる。この観点から、この比(WA/WB)は、2.90以下がより好ましく、2.80以下が特に好ましい。
図8に示されているのは、本発明の第二の実施形態に係る高粘度液体用容器のヒンジキャップ60である。このキャップ60は、胴体62と、蓋64と、ヒンジ66とを備えている。蓋64は、本体68と、フランジ70とを備えている。このキャップ60では、蓋64の本体68とフランジ70を嵌合する方法以外は、図1のキャップ20と同等の構成とされている。
このヒンジキャップ60の蓋64では、本体68とフランジ70は、嵌合結合により一体化されている。図8には、フランジ70を蓋64の本体68に嵌合する前の状態が示されている。ここでは、フランジ70が嵌合される前の蓋64を備えたキャップ60は、「フランジなしキャップ72」と称される。
図8に示されるように、フランジ70は、その下面に凸部74を備えている。この凸部74は、円筒形である。この凸部74の外周面には、4つの第一突起部76が設けられている。各々の第一突起部76は、周方向に延在している。これらの突起部の上下方向の位置は揃っている。図では示されないが、R1は、円筒の中心Oから第一突起部76の半径方向外側端までの距離を表す。図には示されないが、RFは、中心Oから円筒の外周面までの半径方向距離を表す。また、矢印L1は、凸部74の先端78から第一突起部76の上端までの上下方向の距離である。また、この凸部74の外周面には、上下方向に延在する第三突起部80が設けられている。この第三突起部80は、凸部74の先端78から根本まで延びている。
図8に示されるように、本体68はその上面に凹部82を備えている。この凹部82は、円筒形である。この凹部82の内周面には、4つの第二突起部84が設けられている。各々の第二突起部84は、周方向に延在している。これらの突起部の上下方向の位置は揃っている。図では示されないが、R2は、円筒の中心Oから第二突起部84の半径方向内側端までの距離を表す。図では示されないが、RBは、中心Oから円筒の内周面までの半径方向距離を表す。図8において、矢印L2は、凹部82の底面88から第二突起部84の下端までの上下方向の距離である。また、この凹部82の外周面には、上下方向に延在する溝86が設けられている。この溝86は、凹部82の底面88から表面まで延びている。
ここで、上述の距離RFは、距離RBより小さい。換言すれば、凸部74の外径は、凹部82の内径より小さい。また、距離R1は距離R2よりも大きい。第三突起部80は、ちょうどこの溝86に嵌め込まれる大きさに作られている。さらに、第三突起部80の位置と溝86の位置が合うように凸部74と凹部82が重ねられたとき、凸部74の第一突起部76と凹部82の第二突起部84は、キャップ60の上方から見て、重なる位置に設けられている。また、距離L1とL2は、同じ値とされている。
フランジ70を本体68に嵌合するためには、第三突起部80と溝86との位置を合わせて、フランジ70の凸部74を本体68の凹部82に押し当てる。距離RBが距離RFより大きいため、凸部74は途中まで凹部82に入り込む。距離R1が距離R2より大きいため、第一突起部76が第二突起部84に当接する。ここでさらに凸部74が押しつけられると、凸部74が半径方向の内側に変形する。換言すれば凸部74が、距離R1が小さくなる方向に変形する。これにより、凸部74がさらに凹部82に押し込まれる。第一突起部76が第二突起部84を超えて押し込まれると、この凸部74の変形が復元する。この復元により、距離R1がもとの値に戻る。これにより、凸部74は凹部82からは抜けることはない。第一突起部76と第二突起部84とは噛み合わされる。距離L1とL2が同じであるので、ちょうどこのとき、凸部74の先端78が凹部82の底面88に当接する。この凸部74は凹部82に対して上下方向にスライドしない。また、第三突起部80が溝86に嵌め込まれているため、凸部74は凹部82に対して周方向に回転もしない。これにより、フランジ70が本体68に嵌合される。フランジ70と本体68は一体化される。
第一突起部76及び第二突起部84の数は、それぞれ4つに限らない。これらが、周方向に回っていてもよい。第三突起部80と溝86の数もそれぞれ1つとは限らない。これらの形状や数は、本体68及びフランジ70の大きさや形状により適宜変更される。
以下、本発明の作用効果が説明される。
このキャップ60では、フランジなしキャップ72とフランジ70とがそれぞれ別々に製造される。フランジなしキャップ72を製造するためのモールドと、フランジ70を製造するためのモールドとが用意される。このフランジなしキャップ72は、本体68から突出するフランジ70を備えないため、アンダーカットが形成されない。このフランジ70もアンダーカットが形成されない。このフランジなしキャップ72及びフランジ70は、モールドからの取り出し性に優れている。しかも取り出されたフランジなしキャップ72とフランジ70は、嵌合により容易に一体化される。このヒンジキャップ60は、生産性に優れる。
このヒンジキャップ60では、フランジなしキャップ72とフランジ70を各々のモールドから取り出す際における、過大な変形が防止される。このヒンジキャップ60では、高品質なキャップが安定生産されうる。
このヒンジキャップ60では、モールドからの取り出し性を考慮して、このモールドを複雑な構成とする必要がない。このヒンジキャップ60は、生産コストの低減に寄与しうる。少ない部品点数でモールドを構成することができるので、モールドのメンテナンスも容易である。
このヒンジキャップ60では、アンダーカットは形成されないので、フランジ70に切欠きを設ける必要がない。このヒンジキャップ60は、容器の外観を損ねない。このヒンジキャップ60を用いれば、美観に優れた容器を得ることができる。しかも、このヒンジキャップ60は切欠きがないので、これを備えた容器が他のものに引っかかることはない。このヒンジキャップ60は、容器の取り扱いの容易性を損ねない。
容器のデザインに対する多様な要求から、キャップの蓋は、様々な形状を呈する。また、蓋の上面には、装飾のため及び製造者や製品を示すために、様々な模様や文字が刻印される。本発明に係るヒンジキャップ60では、フランジ70用のモールドを変更するだけで、これらの形状、模様及び文字を備えた蓋64を作成しうる。一方で、キャップ60の胴体62は、ボトルの口径の大きさにより、ほぼ決まった形状を呈する。このため、フランジなしキャップ72のモールドは、様々な製品で共通に使用することができる。このヒンジキャップ60では、このキャップ60が搭載される製品毎に、フランジなしキャップ72のモールドを作成する必要はない。これにより、安価に様々な製品に対応したヒンジキャップ60が作成しうる。本発明に係るヒンジキャップ60は、容器を製品展開する際のコスト削減に貢献する。
このキャップ60では、フランジ70の外径が胴体62の外径よりも幅広いために、このキャップ60を備えた容器は、逆立てられた場合の静置安定性に優れる。このキャップ60によれば、容器が逆立てられた状態が安定に保持されるので、この容器のボトルの底に溜まった液体はその自重で垂下しこのキャップ60の部分に溜まっていく。このため、使用者がこのキャップ60の蓋64を外すと直ぐに、液体が注ぎ口から排出される。使用者は、液体の排出に煩わしさを憶えることはない。このキャップ60は、液体の使い切りに寄与しうる。
図9に示されているのは、本発明の第三の実施形態に係る高粘度液体用容器のヒンジキャップ90である。このキャップ90は、胴体92と、蓋94と、ヒンジ96とを備えている。蓋94は、本体98と、フランジ100とを備えている。このキャップ90では、蓋94の本体98とフランジ100を嵌合する方法以外は、図1のキャップ20と同等の構成とされている。
このヒンジキャップ90の蓋94では、本体98とフランジ100は、嵌合結合により一体化されている。図9には、フランジ100を蓋94の本体98に嵌合する前の状態が示されている。ここでは、フランジ100が嵌合される前の蓋94を備えたキャップ90は、「フランジなしキャップ102」と称される。
図9に示されるように、フランジ100は、その下面に凹部104を備えている。この凹部104は、円筒形である。この凹部104の内周面には、雌ネジ106が螺刻されている。図9に示されるように、本体98はその上面に凸部108を備えている。この凸部108は、円筒形である。この凸部108の外周面には、雄ネジ110が螺刻されている。この凸部108と凹部104は、対応する大きさで作られている。この凸部108を凹部104にねじ込むことで、フランジ100が本体98に螺合される。フランジ100と本体98は一体化される。
なお、本体98が凸部108を備えなくてもよい。本体98がそのままフランジ100に嵌め込まれてもよい。この場合、本体98の外周面に雄ネジ110が螺刻される。
以下、本発明の作用効果が説明される。
このキャップ90では、フランジなしキャップ102とフランジ100とがそれぞれ別々に製造される。フランジなしキャップ102を製造するためのモールドと、フランジ100を製造するためのモールドとが用意される。このフランジなしキャップ102は、本体98から突出するフランジ100を備えないため、アンダーカットが形成されない。このフランジ100もアンダーカットが形成されない。このフランジなしキャップ102及びフランジ100は、モールドからの取り出し性に優れている。しかも取り出されたフランジなしキャップ102とフランジ100は、嵌合により容易に一体化される。このヒンジキャップ90は、生産性に優れる。
このヒンジキャップ90では、フランジなしキャップ102とフランジ100を各々のモールドから取り出す際における、過大な変形が防止される。このヒンジキャップ90では、高品質なキャップ90が安定生産されうる。
このヒンジキャップ90では、モールドからの取り出し性を考慮して、このモールドを複雑な構成とする必要がない。このヒンジキャップ90は、生産コストの低減に寄与しうる。少ない部品点数でモールドを構成することができるので、モールドのメンテナンスも容易である。
このヒンジキャップ90では、アンダーカットは形成されないので、フランジ100に切欠きを設ける必要がない。このヒンジキャップ90は、容器の外観を損ねない。このヒンジキャップ90を用いれば、美観に優れた容器を得ることができる。しかも、このヒンジキャップ90は切欠きがないので、これを備えた容器が他のものに引っかかることはない。このヒンジキャップ90は、容器の取り扱いの容易性を損ねない。
容器のデザインに対する多様な要求から、キャップの蓋は、様々な形状を呈する。また、蓋の上面には、装飾のため及び製造者や製品を示すために、様々な模様や文字が刻印される。本発明に係るヒンジキャップ90では、フランジ100用のモールドを変更するだけで、これらの形状、模様及び文字を備えた蓋94を作成しうる。一方で、キャップ90の胴体92は、ボトルの口径の大きさにより、ほぼ決まった形状を呈する。このため、フランジなしキャップ102のモールドは、様々な製品で共通に使用することができる。このヒンジキャップ90では、このキャップ90が搭載される製品毎に、フランジなしキャップ102のモールドを作成する必要はない。これにより、安価に様々な製品に対応したヒンジキャップ90が作成しうる。本発明に係るヒンジキャップ90は、容器を製品展開する際のコスト削減に貢献する。
このキャップ90では、フランジ100の外径が胴体92の外径よりも幅広いために、このキャップ90を備えた容器は、逆立てられた場合の静置安定性に優れる。このキャップ90によれば、容器が逆立てられた状態が安定に保持されるので、この容器のボトルの底に溜まった液体はその自重で垂下しこのキャップ90の部分に溜まっていく。このため、使用者がこのキャップ90の蓋94を外すと直ぐに、液体が注ぎ口から排出される。使用者は、液体の排出に煩わしさを憶えることはない。このキャップ90は、液体の使い切りに寄与しうる。
図10に示されているのは、本発明の第四の実施形態に係る高粘度液体用容器のヒンジキャップ120である。キャップ120は、胴体122と、蓋124と、ヒンジ126とを備えている。蓋124は、本体128と、フランジ130とを備えている。このキャップ120では、蓋124の本体128とフランジ130を嵌合する方法以外は、図1のキャップ20と同等の構成とされている。
このヒンジキャップ120の蓋124では、本体128とフランジ130は、嵌合結合により一体化されている。図10には、フランジ130を蓋124の本体128に嵌合する前の状態が示されている。ここでは、フランジ130が嵌合される前の蓋124を備えたキャップ120は、「フランジなしキャップ132」と称される。
図10に示されるように、フランジ130は、その下面に凸部134を備えている。この凸部134は、円筒形である。この凸部134の外周面には、雄ネジ138が螺刻されている。図10に示されるように、本体128はその上面に凹部136を備えている。この凹部136は、円筒形である。この凹部136の内周面には、雌ネジ140が螺刻されている。この凸部134と凹部136は、対応する大きさで作られている。この凸部134を凹部136にねじ込むことで、フランジ130が本体128に螺合される。フランジ130と本体128は一体化される。
以下、本発明の作用効果が説明される。
このキャップ120では、フランジなしキャップ132とフランジ130とがそれぞれ別々に製造される。フランジなしキャップ132を製造するためのモールドと、フランジ130を製造するためのモールドとが用意される。このフランジなしキャップ132は、本体128から突出するフランジ130を備えないため、アンダーカットが形成されない。このフランジ130もアンダーカットが形成されない。このフランジなしキャップ132及びフランジ130は、モールドからの取り出し性に優れている。しかも取り出されたフランジなしキャップ132とフランジ130は、嵌合により容易に一体化される。このヒンジキャップ120は、生産性に優れる。
このヒンジキャップ120では、フランジなしキャップ132とフランジ130を各々のモールドから取り出す際における、過大な変形が防止される。このヒンジキャップ120では、高品質なキャップ120が安定生産されうる。
このヒンジキャップ120では、モールドからの取り出し性を考慮して、このモールドを複雑な構成とする必要がない。このヒンジキャップ120は、生産コストの低減に寄与しうる。少ない部品点数でモールドを構成することができるので、モールドのメンテナンスも容易である。
このヒンジキャップ120では、アンダーカットは形成されないので、フランジ130に切欠きを設ける必要がない。このヒンジキャップ120は、容器の外観を損ねない。このヒンジキャップ120を用いれば、美観に優れた容器を得ることができる。しかも、このヒンジキャップ120は切欠きがないので、これを備えた容器が他のものに引っかかることはない。このヒンジキャップ120は、容器の取り扱いの容易性を損ねない。
容器のデザインに対する多様な要求から、キャップの蓋は、様々な形状を呈する。また、蓋の上面には、装飾のため及び製造者や製品を示すために、様々な模様や文字が刻印される。本発明に係るヒンジキャップ120では、フランジ130用のモールドを変更するだけで、これらの形状、模様及び文字を備えた蓋124を作成しうる。一方で、キャップ120の胴体122は、ボトルの口径の大きさにより、ほぼ決まった形状を呈する。このため、フランジなしキャップ132のモールドは、様々な製品で共通に使用することができる。このヒンジキャップ120では、このキャップ120が搭載される製品毎に、フランジなしキャップ132のモールドを作成する必要はない。これにより、安価に様々な製品に対応したヒンジキャップ120が作成しうる。本発明に係るヒンジキャップ120は、容器を製品展開する際のコスト削減に貢献する。
このキャップ120では、フランジ130の外径が胴体122の外径よりも幅広いために、このキャップ120を備えた容器は、逆立てられた場合の静置安定性に優れる。このキャップ120によれば、容器が逆立てられた状態が安定に保持されるので、この容器のボトルの底に溜まった液体はその自重で垂下しこのキャップ120の部分に溜まっていく。このため、使用者がこのキャップ120の蓋124を外すと直ぐに、液体が注ぎ口から排出される。使用者は、液体の排出に煩わしさを憶えることはない。このキャップ120は、液体の使い切りに寄与しうる。
蓋の本体とフランジを嵌合する方法は、図3、図8、図9及び図10に挙げたものに限られない。例えば、図1のヒンジキャップにおいて、第一突起部と第二突起部のうち、一方の形状が、「突起」ではなく「溝」とされてもよい。この場合は、一方の「突起」がもう一方の「溝」に嵌め込まれることで、これらが噛み合わされる。これにより、本体とフランジが嵌合される。
図11に示されているのは、本発明の第五の実施形態に係る高粘度液体用容器のヒンジキャップ150である。図11(a)はこのヒンジキャップ150の平面図であり、図11(b)は、図11(a)のB−B線に沿った断面図である。このヒンジキャップ150は、胴体152と、蓋154と、ヒンジ156とを備えている。蓋154は、本体158と、フランジ160とを備えている。このキャップ150では、フランジ160の形状以外は、図1のキャップ20と同等の構成とされている。
このキャップ150では、フランジ160は、本体158の上側において、この本体158から半径方向外向きに延在している。このフランジ160は、本体158から突出している。このフランジ160を下にしてこのキャップ150が平滑な面に載置されたとき、このフランジ160の上面がこの面に当接する。
図11(a)に示されるとおり、このフランジ160の外周は、略六角形状を呈している。このキャップ150は、握られやすい。キャップ150が濡れていても、このキャップ150を把持する手が滑ることなく、このキャップ150がボトルに容易に取り付けられうる。
このヒンジキャップ150の蓋154では、本体158とフランジ160は、嵌合結合により一体化されている。本体158とフランジ160を嵌合する方法は、図1に示されたヒンジキャップ20と同じである。ここでは、フランジ160が嵌合される前の蓋154を備えたキャップ150は、「フランジなしキャップ」と称される。
以下、本発明の作用効果が説明される。
このキャップ150では、フランジなしキャップとフランジ160とがそれぞれ別々に製造される。フランジなしキャップを製造するためのモールドと、フランジ160を製造するためのモールドとが用意される。このフランジなしキャップは、本体158から突出するフランジ160を備えないため、アンダーカットが形成されない。このフランジ160もアンダーカットが形成されない。このフランジなしキャップ及びフランジ160は、モールドからの取り出し性に優れている。しかも取り出されたフランジなしキャップとフランジ160は、嵌合により容易に一体化される。このヒンジキャップ150は、生産性に優れる。
このヒンジキャップ150では、フランジなしキャップとフランジ160を各々のモールドから取り出す際における、過大な変形が防止される。このヒンジキャップ150では、高品質なキャップ150が安定生産されうる。
このヒンジキャップ150では、モールドからの取り出し性を考慮して、このモールドを複雑な構成とする必要がない。このヒンジキャップ150は、生産コストの低減に寄与しうる。少ない部品点数でモールドを構成することができるので、モールドのメンテナンスも容易である。
このヒンジキャップ150では、アンダーカットは形成されないので、フランジ160に切欠きを設ける必要がない。このヒンジキャップ150は、容器の外観を損ねない。このヒンジキャップ150を用いれば、美観に優れた容器を得ることができる。しかも、このヒンジキャップ150は切欠きがないので、これを備えた容器が他のものに引っかかることはない。このヒンジキャップ150は、容器の取り扱いの容易性を損ねない。
容器のデザインに対する多様な要求から、キャップの蓋は、様々な形状を呈する。また、蓋の上面には、装飾のため及び製造者や製品を示すために、様々な模様や文字が刻印される。本発明に係るヒンジキャップ150では、フランジ160用のモールドを変更するだけで、これらの形状、模様及び文字を備えた蓋154を作成しうる。一方で、キャップ150の本体158は、ボトルの口径の大きさにより、ほぼ決まった形状を呈する。このため、フランジなしキャップのモールドは、様々な製品で共通に使用することができる。このヒンジキャップ150では、このキャップ150が搭載される製品毎に、フランジなしキャップのモールドを作成する必要はない。これにより、安価に様々な製品に対応したヒンジキャップ150が作成しうる。本発明に係るヒンジキャップ150は、容器を製品展開する際のコスト削減に貢献する。
このキャップ150では、フランジ160の外径が胴体152の外径よりも幅広いために、このキャップ150を備えた容器は、逆立てられた場合の静置安定性に優れる。このキャップ150によれば、容器が逆立てられた状態が安定に保持されるので、この容器のボトルの底に溜まった液体はその自重で垂下しこのキャップ150の部分に溜まっていく。このため、使用者がこのキャップ150の蓋154を外すと直ぐに、液体が注ぎ口から排出される。使用者は、液体の排出に煩わしさを憶えることはない。このキャップ150は、液体の使い切りに寄与しうる。
図11(b)において、両矢印線WCは蓋154の最大幅を表している。このキャップ150では、その最大幅WCは2つの頂点が結ばれる直線において最大となる長さで示される。両矢印線WDは、胴体152の最大幅を表している。この胴体152の最大幅WDに対するこの蓋154の最大幅WCの比(WC/WD)は、1.01以上3.00以下である。この比(WC/WD)が1.01以上に設定されることにより、このキャップ150が容器が逆立てられた場合の静置安定性に寄与しうる。この観点から、この比(WC/WD)は1.05以上がより好ましく、1.10以上が特に好ましい。この比(WC/WD)が3.00以下に設定されることにより、容器が逆立てられて静置された時の占有面積を小さくすることができる。この観点から、この比(WC/WD)は、2.90以下がより好ましく、2.80以下が特に好ましい。