JP5695589B2 - X線強度補正方法およびx線回折装置 - Google Patents

X線強度補正方法およびx線回折装置 Download PDF

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Description

本発明は、バックグラウンドを均一化することで回折X線を強度補正するX線強度補正方法およびX線回折装置に関する。
従来、広い範囲に出射したX線を集光できるクマコフレンズが知られている。クマコフレンズはポリキャピラリを集積したハニカム構造を有し、ガラス管を束ねて繰り返し引き延ばして作られ、微細で平行な孔が無数に開いている。このような微細な孔にX線が入射した場合、小さい角度で入ってきたX線は壁で全反射し通過するが、それ以外は壁に吸収される。これを利用してX線の軌道をキャピラリに沿って曲げることにより、レンズを構成することができる。
また、上記のようなガラスポリキャピラリの一部を切り出し、所望の曲率で湾曲させて、球面状に加工すれば、所定の中心に対して径方向に平行な微細な穴が無数に開いたコリメータとしても利用できる。このようなコリメータは、ラスタ素子と呼ばれ、これを用いた回折X線測定方法が知られている。図18は、一般的なラスタ素子の構成を示す斜視図である。
例えば、特許文献1記載のX線回折測定用の検出ユニットは、検出器の前に設置されたコリメートシステムを備えている。そして、コリメートシステムは湾曲したポリキャピラリのハニカム構造を有し、検出器の検出面に対してその位置を調整できる機構を有している。このコリメートシステムの位置調整機構は、X線の選択的通過を調整するためのものである(第7欄45−61行参照)。
米国特許第7149279号明細書
しかしながら、上記のような検出ユニットを用いて、回折X線を検出しようとした場合に、ラスタ素子の配置の調整が不十分であると、検出位置によってはラスタ素子のキャピラリで吸収される入射X線の割合が高くなり、その位置で検出されるX線の強度が小さくなる。その結果、回折X線を検出したときには、バックグラウンドの強度が不均一になり、回折線から必要な情報が得られない場合が生じうる。
図19は、ラスタ素子の有り無しのそれぞれの場合における検出方法によるバックグラウンドの強度を示すグラフである。図19に示すように、ラスタ素子無しで検出器を固定したままデータを取得した場合には、均一なバックグラウンドのデータを検出できている。一方、ラスタ素子を通過したバックグラウンドの強度を測定した場合には、低角度側に比べて高角度側の位置では強度が小さくなっている。
また、従来の装置でもラスタ素子の配置の調整は可能であるが、素子の焦点位置と試料中心が一致するように調整しようとしても、ラスタ素子は湾曲しているため、焦点位置が分かりづらく調整が難しい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、容易にラスタ素子を調整し、測定時のバックグラウンドを均一化することができるX線強度補正方法およびX線回折装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のX線強度補正方法は、バックグラウンドを均一化することで回折X線を強度補正するX線強度補正方法であって、試料中心に設置した補正用試料にX線を集光し、前記集光されたX線により励起された蛍光X線を、ポリキャピラリで形成され固有の焦点を有するラスタ素子に入射させ、前記ラスタ素子を通過した蛍光X線を検出するステップと、前記検出された蛍光X線が検出位置によらず均一となるように、前記ラスタ素子の配置を調整するステップとを含むことを特徴としている。
このように、本発明のX線強度補正方法では、調整時に蛍光X線を用いるため、試料中心から球面均一に照射されたX線をラスタ素子に入射させることができる。このとき、ラスタ素子の焦点が試料中心に一致していれば検出されたX線の強度が検出位置によらず均一になることを利用してラスタ素子の位置調整をすることができる。これにより、容易にラスタ素子を最適位置に調整し、測定時のバックグラウンドを均一化することができる。
(2)また、本発明のX線強度補正方法は、前記検出された蛍光X線により得られる2次元像内の強度の最小値が、前記2次元像内の強度の最大値の1/2以上となるまで、前記ラスタ素子の配置を調整することを特徴としている。これにより、ラスタ素子の配置を十分に調整し、測定時のバックグラウンドを均一化することができる。なお、各位置の強度が平均強度の±20%以内となることがさらに好ましい。
(3)また、本発明のX線強度補正方法は、前記ラスタ素子を通過した蛍光X線像の強度分布に応じて、並進および煽り方向に前記ラスタ素子を移動させることで、前記ラスタ素子の配置を調整することを特徴としている。これにより、強度分布のパターンに応じて、どの方向の並進あるいは煽りの移動が必要かが分かり、効率的にラスタ素子の配置を調整することができる。
(4)また、本発明のX線強度補正方法は、前記ラスタ素子の配置調整後、測定用試料により回折させたX線を前記ラスタ素子に入射させ、前記X線の回折角度に対する前記ラスタ素子の位置を変えつつ、前記ラスタ素子を通過した回折X線を検出するステップをさらに含むことを特徴としている。これにより、回折角度ごとに生じるハニカム格子による影響を分散し、ハニカム格子に起因する強度ムラを均一化することができる。
(5)また、本発明のX線強度補正方法は、前記回折X線の検出のためのTDIスキャンに同期させて前記ラスタ素子を移動させ、前記ラスタ素子を通過した回折X線を検出することを特徴としている。これにより、TDIスキャンを行ない、ハニカム格子に起因する強度ムラを均一化することができる。
(6)また、本発明のX線強度補正方法は、前記測定用試料の周りに温度調節用の機構を設け、In−situで回折X線を検出することを特徴としている。これにより、たとえばドームのような温度調整用の機構からの散乱線をラスタ素子により遮断し、試料からの回折X線のみを検出することができる。
(7)また、本発明のX線強度補正方法は、前記測定用試料の表面にX線を微小角で入射させて、微小角で出射した回折X線を検出することを特徴としている。これにより、いわゆる微小角入射X線回折測定において、X線回折像の広がりによって生じる分解能の低下を防止することができる。
(8)また、本発明のX線回折装置は、試料にX線を照射し、回折X線を検出するX線回折装置であって、ポリキャピラリで形成され、固有の焦点を有するラスタ素子と、前記ラスタ素子を通過したX線を検出する検出器と、前記ラスタ素子の焦点を試料中心に一致させるように前記ラスタ素子の配置を調整可能にする調整機構と、を備え、前記ラスタ素子を前記検出器とともに揺動させてX線を検出可能にすることを特徴としている。これにより、容易にラスタ素子を最適位置に調整し、TDIスキャンで強度ムラの影響を分散できる。その結果、測定時のバックグラウンドを均一化することができる。
本発明によれば、容易にラスタ素子を最適位置に調整し、測定時のバックグラウンドを均一化することができる。
本発明に係るX線回折装置の構成を模式的に示す斜視図である。 本発明に係るX線回折装置の構成を模式的に示す側面図である。 ラスタ素子の調整前の蛍光X線モニタ結果を示す図である。 ラスタ素子の調整後の蛍光X線モニタ結果を示す図である。 切り出し線L1、L2で強度を2θ方向のピクセルに対してプロットした結果を示す図である。 ラスタ素子の調整前および調整後のそれぞれのバックグラウンドの強度を示すグラフである。 温度調節用の機構を用いた測定を行なう場合の構成を示す側面図である(実施例)。 ラスタ素子無しで温度調節用の機構を用いて得た回折像である(比較例)。 ラスタ素子を設けて温度調節用の機構を用いて得た回折像である(実施例)。 ラスタ素子無しで温度調節用の機構を用いて得たX線強度プロファイルである(比較例)。 ラスタ素子を設けて温度調節用の機構を用いて得たX線強度プロファイルである(実施例)。 ラスタ素子および検出器を固定して得た回折像である(比較例)。 ラスタ素子および検出器を揺動して得た回折像である(実施例)。 ラスタ素子無しで微小角入射X線回折測定をする構成を示す平面図である(比較例)。 ラスタ素子を設けて微小角入射X線回折測定をする構成を示す平面図である(実施例)。 ラスタ素子無しで微小角入射X線回折測定をしたときの回折像である(比較例)。 ラスタ素子を設けて微小角入射X線回折測定をしたときの回折像である(実施例)。 一般的なラスタ素子の構成を示す斜視図である。 ラスタ素子の有り無しのそれぞれの場合における検出方法によるバックグラウンドの強度を示すグラフである。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
(X線強度補正方法の原理)
図1、図2は、それぞれX線回折装置5の構成を模式的に示す斜視図および側面図である。図に示すように、X線回折装置5は、ラスタ素子10、検出器20、アーム30および調整機構(図示せず)を備えており、試料で回折されたX線をラスタ素子10に入射させ、ラスタ素子10を通過した回折X線Rを検出する。本発明のX線強度補正方法では、補正用試料を試料中心Sに設置して、その試料中心SにX線を照射して蛍光X線を発生させる。そして、生じた蛍光X線をラスタ素子10に入射させて、通過したX線の像を検出し、その像をもとに、ラスタ素子10を調整して、ラスタ素子10の焦点(曲率の中心)を試料中心Sに合わせる。このようにラスタ素子10を調整したX線回折装置5に測定用試料を設置し、入射X線Iを測定用試料に当て、回折X線Rはラスタ素子10を通過させる。その結果、検出された回折X線Rのバックグラウンドの強度には、角度による偏りが生じ難い。
上記のように、本発明のX線強度補正方法では、蛍光X線を用いるため、試料中心Sから球面均一に発生した蛍光X線をラスタ素子10に入射させることができる。このとき、ラスタ素子10の焦点が試料中心Sに一致していれば検出されたX線の強度が検出位置によらず均一になることを利用してラスタ素子10の位置調整をすることができる。これにより、容易にラスタ素子10を最適位置に調整し、測定時に検出されるX線強度のバックグラウンドを均一化している。
ラスタ素子10は、ポリキャピラリを平面的に集積することにより形成されている。ラスタ素子10は、厚さ1.5mm程度のポリキャピラリの集合体である。ハニカム格子は多数のポリキャピラリで形成されており、固有の焦点を向くようにラスタ素子全体が球面状に加工されている。また、ハニカム格子自体は多数のポリキャピラリで構成されており、ポリキャピラリの孔の軸が焦点に向く(径方向)ように設計されている。ラスタ素子10は、装置の受光側に設置されている。
なお、ポリキャピラリは、それ自体が鉛ガラスで形成されているか、その内壁が鉛や他の重元素でコーティングされた材質で形成されており、内壁の材質の全反射臨界角よりも大きな角度で入射したX線は吸収される。したがって、ラスタ素子10は、内壁に当たらずキャピラリを通る成分と内壁で全反射された成分以外のX線を通さない。したがって、試料中心にラスタ素子10の焦点位置が合っていないと検出位置によりバックグラウンド強度が異なったり、全体の強度が低下したりする。
ラスタ素子10は、検出器20に対して固定され、検出器20とともに試料中心Sを中心とした揺動操作が可能であることが好ましい。たとえば、図2に示すように、検出器20が固定されたアーム30にラスタ素子10も固定し、このアーム30を動かすことで、ラスタ素子10および検出器20の試料中心Sを中心とした揺動操作が可能となる。アームによる揺動方向Cは、試料中心Sを中心とする円弧方向である。なお、検出器20は固定し、ラスタ素子10のみを揺動させることができる構成であってもよい。
調整機構は、ラスタ素子10の配置を調整可能にしている。調整機構は、たとえば2種類のつまみおよびその動きをラスタ素子10に伝える伝達機構で構成される。2種類のつまみには、並進移動(X,Y,Z)を制御するものと煽り移動(χ1,χ2)を制御するものとがある。この調整機構を用いて、ゴニオセンタS(試料中心)にラスタ素子10の焦点が一致するように事前に設置位置を調整する。このときゴニオセンタSからラスタ素子10までの距離が、ラスタ素子10の曲率半径と一致している。
検出器20は、2次元検出器であり、ラスタ素子10を通過したX線を検出する。2次元検出器は、検出器自体が位置分解能を持っているため、検出器の前には位置分解能を持たせるための細いスリットは設定せずオープンディテクタとして使用する。このように検出器20が、オープンディテクタであるために、試料からの回折成分のみならず、そのまわりからの散乱線も検出していまい、結果的には異なる情報も得てしまう。そこで、ラスタ素子10を設け、検出器20がラスタ素子10を通過した回折X線を検出することで、ゴニオセンタS(試料中心)から生じた回折線のみ検出することが可能になっている。このような検出は、ラスタ素子10の焦点の位置の調整により効果的に行なえる。
検出器20は、TDI(Time Delay Integration)スキャン可能な検出器であることが好ましく、検出器20の揺動を伴う場合には、TDIスキャン用の構成が必要になる。たとえば、図2に示すように検出器20がアーム30に固定され、同じくアーム30に固定されたラスタ素子10とともに検出器20を揺動することで、TDIスキャンが可能になる。ラスタ素子10を検出器20のTDIスキャンに同期して搖動させることで、ハニカム格子の検出像への影響を低減し強度ムラを均一にすることができる。
なお、図2に示す例では、ラスタ素子10および検出器20がアーム30に固定されているが、必ずしもアーム30による揺動が必要となるわけではない。検出器20を試料中心Sに対して固定し、ラスタ素子10を揺動させて撮影してもよいし、ラスタ素子10を固定して検出器20を揺動して撮影してもよい。
(第1の実施例)
上記のX線回折装置5を用いて行なうことができるX線強度補正方法を説明する。まず、補正用試料をゴニオセンタS(試料中心)に設置する。補正用試料には、蛍光X線を生じる試料として、Cuターゲットを用いた通常の回折装置では、たとえばFe粉末が挙げられる。このように鉄系の物質が、補正用試料には好ましい。次に、試料中心SにX線を集光し、集光されたX線により励起された蛍光X線を、固有の焦点を有するラスタ素子10に入射させ、ラスタ素子10を通過した蛍光X線を検出する。調整時はゴニオセンタで点集光するX線ビームを使用し、X線により励起された蛍光X線強度を検出器20でモニタする。
そして、検出された蛍光X線が検出位置によらず均一となるように、ラスタ素子の配置を調整する。すなわち、ラスタ素子10全体を蛍光X線が均一に通り抜けるようにモニタしながらラスタ素子10の位置(主に並進X,Y,Z,煽りχ1、χ2)を移動して最適位置の調整を行なう。均一となったことは、モニタした2次元像内の強度の最小値が強度の最大値の1/2以上になったことで判断する。これにより、ラスタ素子の配置を十分に調整し、測定時のバックグラウンドを均一化することができる。なお、各位置の強度が平均強度の±20%以内となることがさらに好ましい。
なお、ラスタ素子10の配置の調整は、上記の通り、ラスタ素子10を通過した蛍光X線像の強度分布に応じて、並進方向および煽り方向にラスタ素子10を移動させることで行なう。具体的には、蛍光X線の2次元像を見て例えば2次元像内の中心部の強度が相対的に大きければ、2次元像内の中心部の強度を小さくし周辺部の強度を大きくして、強度が全体的に均一になるように並進軸Xを移動するなどの方法で行なう。これにより、強度分布のパターンに応じて、どの方向の並進あるいは煽りの移動が必要かが分かり、効率的にラスタ素子の配置を調整することができる。このようにして、バックグラウンドを均一化することで検出される回折X線を強度補正できる。なお、ラスタ素子10の配置の調整は、蛍光X線の2次元像を検出しつつ行なってもよく、2次元像の検出と2次元像に基づいた配置調整とを交互に繰り返して行なってもよい。
(実験1)
上記のようなX線強度の補正方法を行ない、バックグラウンドの強度を補正した。ラスタ素子10には、厚み1.5mm程度のものを使用した。補正用試料として、Fe粉末を用い、測定用試料としてAl粉末を用いた。検出器20には、TDIスキャン可能なものを用い、ラスタ素子10の配置調整時には、アーム30を固定して蛍光X線を検出し、回折X線検出時には、ラスタ素子10と検出器20とをアーム30により揺動させて、TDIスキャンした。
図3、図4は、それぞれラスタ素子10の調整前、調整後の蛍光X線モニタ結果を示す図である。また、図5は、図3および図4に示す切り出し線L1、L2で強度を水平方向のピクセルに対してプロットした結果を示す図である。図3、図4に示すような蛍光X線のモニタ結果を参照して、図5に示すように全体の強度が基準内に収まって均一になるようにラスタ素子10の調整を繰り返すことで、ラスタ素子10の配置を十分に調整し、その焦点位置をゴニオセンタに合致させることができる。上記の基準としては、たとえば検出された蛍光X線により得られる2次元像内の強度の最小値が、2次元像内の強度の最大値の1/2以上となることを採用できる。図5に示す調整前のプロットでは、最大値が約49000cpsであるのに対して最小値が約16000cpsであり、最大値の1/2より最小値の方が小さい。調整後のプロットでは、最大値が約42000cpsであるのに対して最小値が約29000cpsであり、最小値が最大値の1/2以上である。
また、図6は、ラスタ素子10の調整前および調整後のそれぞれの蛍光X線の強度を示すグラフである。図6に示すように、ラスタ素子調整前の検出強度は、低角度側に比べ高角度側で小さくなっており、うねったような形状を呈している。これに対し、ラスタ素子調整後の検出強度は、低角度側と高角度側とが同等であり、フラットな形状となっている。このように、上記のラスタ素子10の調整により容易にバックグラウンドを均一化することができる。
ただし、ラスタ素子10自体が多数のハニカム格子を形成しているため、上記の調整を行ってもハニカム格子の境界ではX線が通り抜けず、強度が不均一となる。図6に示す調整後の曲線の強度変動は広範囲で見るとフラットだが、狭い範囲では細かい振動が検出されている。これはハニカム格子の内部と境界では強度の強弱があるためである。このような場合には、さらに回折X線について強度補正を行ない、細かい強度ムラの強度を均一化できる。
(第2の実施例)
上記方法の実施例として、試料の周りに温度調節用の機構を設け、In−situで回折X線を検出する場合を、比較例と対比しつつ説明する。図7は、温度調節用の機構を用いた測定を行なう場合の構成を示す側面図である。図7に示すX線回折装置6は、温度保持用の機構として、高温アタッチメント(Anton Peer社製)としてのドーム40を有している。その場合はドーム40内の試料下部のヒータにて試料の温度を高温に維持することができ、In−situでの測定が可能になる。このとき、検出器20としては2次元検出器を用いることができるが、1次元検出器を用いてもよい。このとき、1次元または2次元検出器はオープンディテクタであるため、試料以外の散乱線が検出される。
そこで、この実施例においては、試料のみの回折線を検出するために、ラスタ素子10を受光側に設置したX線回折装置6の構成を採用する。これにより、ドーム40による回折線や散乱線Rをラスタ素子10により遮断することができる。しかし、ラスタ素子10や検出器20を固定したままデータを取得すると、ラスタ素子10のハニカム格子に起因する強度ムラが生じる。強度ムラの問題を解決するために、検出器とラスタを同時に揺動させること(TDIスキャン)で、強度を均一化する。
(実験2−1)
試料にはAl粉末を用いた。試料を高温アタッチメントのドームのアタッチメントで覆い、ラスタ素子10を設置した場合と設置しない場合とで、回折X線を検出した。図8は、ラスタ素子10無しで得た回折像(比較例)、図9は、ラスタ素子10を設けて得た回折像(実施例)である。また、図10は、ラスタ素子10無しで得たX線強度プロファイル(比較例)、図11は、ラスタ素子10を設けて得たX線強度プロファイル(実施例)である。図10、図11は、それぞれ図8、図9の2次元像から1次元データ変換したプロファイルである。
図8に示すように、ラスタ素子10を設置しない場合は、高温アタッチメントのドームの材質のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)による回折線P2が多数検出されるが、ラスタ素子10を設置するとPEEKの回折線P2が除去され、試料のAl粉末の回折線P1のみ検出されている。このように、ラスタ素子10を設置した場合には、ドーム40からの回折線P2を完全に除去できた。
(実験2−2)
また、ラスタ素子10および検出器20をアーム30に固定したX線回折装置6を用いて、アーム30を固定した場合とアーム30を揺動させた場合のそれぞれで回折像を検出した。図12は、ラスタ素子10および検出器20を固定して得た回折像、図13は、ラスタ素子10および検出器20を揺動して得た回折像である。図12に示すように、固定の場合はラスタ素子10のハニカム格子による強度ムラが観察できるが、図13に示すように、揺動することで強度ムラが均一化されていることが分かった。
(第3の実施例)
別の実施例として、試料の表面にX線を微小角で入射させて、微小角で出射した回折X線を検出する場合を、比較例と対比しつつ説明する。図14は、ラスタ素子10無しで微小角入射X線回折測定を行なう場合の構成を示す平面図(比較例)であり、図15は、ラスタ素子10を設けて微小角入射X線回折測定を行なう場合の構成を示す平面図(実施例)である。
微小角入射の例では、検出器20として2次元検出器が用いられる。図14に示すようにラスタ素子を持たないX線回折装置7で微小角入射X線回折測定のように2次元検出器で微小角入射するX線を検出する場合には、通常、試料位置でのX線の広がり41が原因で、取得される回折成分の2次元像の広がり42が生じ、分解能が悪くなる。すなわち、微小角入射の影響で2次元像が横長になる。これに対し、図15に示すラスタ素子10を設置したX線回折装置8では、ラスタ素子10を通過した回折X線43を検出することで、回折像の広がり42を防止でき、分解能を改善できる。
しかし、この場合も、ラスタ素子10や検出器20を固定したままデータを取得すると、ラスタ素子10のハニカム格子に起因する強度ムラが生じる。この強度ムラの問題を解決するために、本実施例では、検出器とラスタを同時に揺動させるか(TDIスキャン)、もしくはラスタのみを揺動させ、強度を均一化する。
(実験3)
まず、ラスタ素子10無しで、2次元検出器を利用して微小角入射X線回折を測定した。図16は、ラスタ素子無しで微小角入射X線回折測定をしたときの回折像(比較例)である。図中の数値は、格子面の指数を示している。微小角入射X線回折測定は、X線の試料への入射角度が1deg以下と非常に小さいため、試料上でのX線照射幅が広がる。その状態で2次元検出器にて微小角入射X線回折を測定した場合、照射幅の広がりの効果がそのまま検出器に反映され、X線回折像は照射幅に比例し広がった像となっている。
これに対し2次元検出器の直前にラスタ素子を導入して測定した。図17は、ラスタ素子を設けて微小角入射X線回折測定をしたときの回折像(実施例)である。図中の数値は、格子面の指数を示している。ゴニオセンタ付近の回折線のみしか素子を通過できないという特徴があるため、ラスタ素子無しの状態と比較するとスポット上に観測され、結果的に微小角入射X線回折測定の分解能が向上することが分かった。
5〜8 X線回折装置
10 ラスタ素子
20 検出器
30 アーム
40 ドーム
43 線
C 揺動方向
P1、P2 回折線
入射X線
回折X線
ゴニオセンタ(試料中心)

Claims (7)

  1. バックグラウンドを均一化することで回折X線を強度補正するX線強度補正方法であって、
    試料中心に設置した補正用試料にX線を集光し、前記集光されたX線により励起された蛍光X線を、ポリキャピラリで形成され固有の焦点を有するラスタ素子に入射させ、前記ラスタ素子を通過した蛍光X線を検出するステップと、
    前記検出された蛍光X線が検出位置によらず均一となるように、前記ラスタ素子の配置を調整するステップとを含むことを特徴とするX線強度補正方法。
  2. 前記検出された蛍光X線により得られる2次元像内の強度の最小値が、前記2次元像内の強度の最大値の1/2以上となるまで、前記ラスタ素子の配置を調整することを特徴とする請求項1記載のX線強度補正方法。
  3. 前記ラスタ素子を通過した蛍光X線像の強度分布に応じて、並進および煽り方向に前記ラスタ素子を移動させることで、前記ラスタ素子の配置を調整することを特徴とする請求項1または請求項2記載のX線強度補正方法。
  4. 前記ラスタ素子の配置調整後、測定用試料により回折させたX線を前記ラスタ素子に入射させ、前記X線の回折角度に対する前記ラスタ素子の位置を変えつつ、前記ラスタ素子を通過した回折X線を検出するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のX線強度補正方法。
  5. 前記回折X線の検出のためのTDIスキャンに同期させて前記ラスタ素子を移動させ、前記ラスタ素子を通過した回折X線を検出することを特徴とする請求項4記載のX線強度補正方法。
  6. 前記測定用試料の周りに温度調節用の機構を設け、In−situで回折X線を検出することを特徴とする請求項4または請求項5記載のX線強度補正方法。
  7. 前記測定用試料の表面にX線を微小角で入射させて、微小角で出射した回折X線を検出することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載のX線強度補正方法。
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