本願発明は、ブーム式作業車の旋回台後部に所定個数の分割ウエイトを組付けて構成されるカウンタウエイトの重量を検出するためのものであって、特に旋回台後部に組付けられた最終組付け分割ウエイトにハーネスを接続して該最終組付け分割ウエイトが何番目に組付けられたものかを判別することで現状のカウンタウエイトの総重量を演算により検出し得るようにしたカウンタウエイト重量検出用のハーネス配線構造に関するものである。
ブーム式作業車(移動式クレーン、高所作業車、油圧ショベル等)では、ブームに加わる荷重のバランサーとして旋回台後部にカウンタウエイトを装着することがあるが、このカウンタウエイトは、作業内容(ブームに加わる荷重の大きさ)に見合う所定個数の分割ウエイトを旋回台後部に組付けて構成される。
尚、カウンタウエイトの総重量は、いわゆるAML制御(転倒防止制御)を行う際の基礎データとなるもので、旋回台後部に組付けている現状のカウンタウエイトの総重量は正確に把握しておく必要がある。
そして、従来の一般的なカウンタウエイト重量検出手段として、ロードセルを用いて直接ウエイト重量を計測するようにしたものや、積み重ねた分割ウエイトをそれぞれリミットスイッチで検出するようにしたもの、等が知られている。
ところが、ロードセルで直接カウンタウエイト重量を計測するものでは、ウエイトと旋回台側の支持装置との摩擦力の影響が大きいために正確に重量検出が難しいという問題がある。他方、各分割ウエイトをリミットスイッチで検出するものでは、作業中の振動によって安定した検出が行えないことがあるという問題がある。
ところで、図1〜図4には、本件出願人が採用している大型のブーム式作業車(移動式クレーン)におけるカウンタウエイト装置と該カウンタウエイトの重量検出装置を示している。
尚、図1に示す移動式クレーンは、車両1のフレーム11上に旋回ベアリング12を介して旋回台2を旋回自在に搭載しているとともに、旋回台2に伸縮ブーム13を起伏自在に取付けている。そして、旋回台2の後部(以下、単に旋回台後部という)21には、カウンタウエイト装置が着脱自在に装備される。
図1〜図4に示す公知のカウンタウエイト装置では、旋回台後部21に最大で11個の分割ウエイト31〜41を図2の(A)〜(F)の順序で順次組付け得るようになっている。
即ち、このカウンタウエイト装置の組付け方法は、まず図2(A)に示すように旋回台後部21の後面に第1分割ウエイト31を組付け、次に図2(B)に示すように第1分割ウエイト31の後部に第2分割ウエイト32と第3分割ウエイト33とを組付け、次に図2(C)に示すように第1分割ウエイト31及び第3分割ウエイト33の各上部に跨がって第4分割ウエイト34と第5分割ウエイト35を順次組付け、次に図2(D)に示すように第1分割ウエイト31〜第3分割ウエイト33の左右各側部の下半部にそれぞれ第6分割ウエイト36と第7分割ウエイト37を組付け、次に図2(E)に示すように第1分割ウエイト31〜第3分割ウエイト33の左右各側部の上半部にそれぞれ第8分割ウエイト38と第9分割ウエイト39を組付け、最後に第5分割ウエイト35と第8分割ウエイト38と第9分割ウエイト39の各上部に跨がって第10分割ウエイト40と第11分割ウエイト41とを組付ければ、合計11個の分割ウエイトからなるカウンタウエイト3を完成できる。
第1分割ウエイト31は、旋回台後部21の後面に伸縮シリンダを有した保持装置22で着脱自在に装着される一方、第2分割ウエイト32〜第11分割ウエイト41はそれぞれ先に組付けた既設の分割ウエイトに対して順次ピン結合によって組付けられる。尚、第1分割ウエイト31の装着用の保持装置22は、本願の内容とはさほど関係がないので詳細な説明は省略する。
上記の分割ウエイト組付け方法では、図2(B)に示す第2分割ウエイト32と第3分割ウエイト33、図2(C)に示す第4分割ウエイト34と第5分割ウエイト35、図2(D)に示す第6分割ウエイト36と第7分割ウエイト37、図2(E)に示す第8分割ウエイト38と第9分割ウエイト39、図2(F)に示す第10分割ウエイト40と第11分割ウエイト41、とがそれぞれ一体として同時に扱われる。
尚、図3は、図1のIII−III矢視拡大図であって、図2(F)を背面側から見たものである。従って、図2(F)と図3とでは左右が逆に表示されている。又、図3において四角囲い内の数字は、各分割ウエイト31〜41における組付け順番を示すものである(第2分割ウエイト32と第3分割ウエイト33は、第1分割ウエイト31に隠れて見えないので、四角囲い数字を付していない)。
そして、第1分割ウエイト31〜第11分割ウエイト41の各分割ウエイト(合計11個)は、予めそれぞれの個別重量が判っており、作業内容(ブームに加わる荷重)に応じて必要重量となる所定個数の分割ウエイトを図2の(A)〜(F)のいずれかの状態に組付けて使用する。尚、本件出願人の実施品における図2(A)〜(F)の各状態のカウンタウエイト総重量は、(A)が26t(トン)、(B)が57t、(C)が94t、(D)が127t、(E)が164t、(F)が195tであるが、これらの重量は特に限定されるものではないことは勿論である。
図2の(A)〜(F)に示す各組付け状態における、それぞれ最終組付け分割ウエイトとなる6個の分割ウエイト(第1分割ウエイト31,第3分割ウエイト33,第5分割ウエイト35,第7分割ウエイト37、第9分割ウエイト39、及び第11分割ウエイト41)には、それぞれ旋回台前方側に向く面の上部寄り位置にコネクタ接続部42〜47(図3、図4参照)を設けている。この各コネクタ接続部42〜47には、旋回台後部21の上面21aに設けた元側コネクタ接続部51(図3参照)から延出された元ハーネス5の端部のコネクタ5a(図4参照)が選択的に接続される。尚、第2分割ウエイト32、第4分割ウエイト34、第6分割ウエイト36、第8分割ウエイト38、第10分割ウエイト40は、それぞれ直後順番の分割ウエイトと一体(同時)に扱われるので、それらの分割ウエイト(32,34,36,38,40の5個)にはコネクタ接続部は設けていない。
分割ウエイト側の各コネクタ接続部42〜47は、図4に示すように、それらのコネクタ接続部が設けられた分割ウエイトが何番目に組付けられる分割ウエイトであるかを識別できる機能を有している。即ち、最終組付け分割ウエイトが例えば図2(A)に示す第1分割ウエイト31である場合は、元ハーネス5のコネクタ5aが第1分割ウエイト31のコネクタ接続部42に接続されるが、そのとき両コネクタ5a,42の1番端子同士と2番端子同士とが電気的に接続して、コントローラ7の判別装置8により接続対象が第1分割ウエイト31であると判断し、又、最終組付け分割ウエイトが例えば図2(F)に示す第11分割ウエイト41である場合は、元ハーネス5のコネクタ5aが第11分割ウエイト41のコネクタ接続部47に接続されるが、そのとき両コネクタ5a,47の1番端子同士と7番端子同士とが電気的に接続して、コントローラ7の判別装置8により接続対象が第11分割ウエイト41であると判断する。
そして、判別装置8により最終組付け分割ウエイトが何番目のものであるかを判別すると、該判別装置8からの判別信号がコントローラ7の演算装置9(図4参照)に送られて、該演算装置9が当該順番までの各分割ウエイトの個別重量を合算することで、旋回台後部21に組付けられているカウンタウエイト3の総重量を算出するようになっている。そして、演算装置9で算出したカウンタウエイト3の総重量は、表示装置(ディスプレイ)10に表示されて、当該カウンタウエイト総重量が所望のものであるかどうかを検認できるようになっている。
尚、図4に示すように、最終組付け分割ウエイトが何番目のものであるかを電気的接続で判別し得るようにしたものとして、本件出願人は特開2008−1444号公報(特許文献1)のものを既に提案している。
ところで、上記(図3及び図4)したカウンタウエイトの重量検出装置では、最終組付け分割ウエイトに対する電気的接続によって、旋回台後部21に何番目までの分割ウエイトが組付けられているかを判別できるようになっており、その判別した最終組付け分割ウエイトまでの各分割ウエイトの個別重量を合算することで実際に組付けられているカウンタウエイトの総重量を正確に算出できるという利点があるが、上記公知のカウンタウエイトの重量検出装置では、図2(D)及び図5に示す分割ウエイトの組付け状態において次のように結線される。
即ち、図2(D)及び図5に示す分割ウエイトの組付け状態は、旋回台後部21に第1分割ウエイト31から第7分割ウエイト37までの7個の分割ウエイトを組付けたものであるが、この組付け状態では、図5において左側部の下部側にある第7分割ウエイト37が最終組付け分割ウエイトとなる。そして、図5の組付け状態では、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45に旋回台後部21の上面21a側から元ハーネス5のコネクタ5aを接続させるが、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45は、旋回台後部21の上面21aからかなり遠くに離れており(旋回台後部21上から第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45に手が届かない)、しかも第7分割ウエイト37の側面(旋回台前方側に向く面)の上端寄り位置において凹入状態で設けられている。
そして、旋回台後部21の上面21aの基準側コネクタ接続部51と第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45とを元ハーネス5で接続するには、次のようにして行う。
まず、図5に示すように、旋回台後部21の上面21aに上がっている作業員M1が元ハーネス5の基端部(コネクタ)を旋回台後部21側のコネクタ接続部51に接続させた後、該元ハーネス5の先端側のコネクタ5aを第7分割ウエイト37の上面37a側に導いておく。尚、分割ウエイトの組付け作業時には、旋回台後部21上での作業が多々あり(組付ける分割ウエイトに対するピン結合作業や吊りロープの外し作業等)、この場合の元ハーネス5の配設準備も旋回台後部21上に上がっている作業員M1が行うことができる。
そして、旋回台後部21上に上がっている1人の作業員M1で元ハーネス5の接続作業も行う場合は、該作業員M1が旋回台後部21上から降りて第7分割ウエイト37上に上がり直し(符号M2の作業員の状態)、該第7分割ウエイト37上から元ハーネス5のコネクタ5a(予め第7分割ウエイト37上に導いている)を第7分割ウエイト37側のコネクタ接続部45に接続させる。尚、旋回台後部21上での作業と第7分割ウエイト37上での作業を別人(M1とM2)が行う場合は、2人の作業員が必要となる。
ところが、上記のように旋回台後部21側から延出させた元ハーネス5のコネクタ5aを直接第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45に接続させる場合には、次のような問題があった。
第1に、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45に対して旋回台後部21上に上がっている作業員M1(図5)の手が届かないので、1人の作業員M1でハーネス接続作業を行うには、図5に示すように当該作業員M1が旋回台後部21上でハーネス配置準備を行った後に、該旋回台後部21から降りて第7分割ウエイト37上に上がり直す必要があるので、該作業員の移動が面倒であった。特に、旋回台後部21の上面21a及び第7分割ウエイト37の上面37aは、いずれも地面からかなりの高さ(例えば2.5〜3m程度)があって、その昇り降り動作にかなりの労力を必要としていた。
第2に、第7分割ウエイト37側のコネクタ接続部45は、ウエイト側面(旋回台前方側に向く面)の上端寄り位置において凹入状態で設けられているので、第7分割ウエイト37上に立った姿勢では該コネクタ接続部45が見えない。そして、該コネクタ接続部45に元ハーネス5のコネクタ5aを接続させるには、図5及び図6に示すように作業員M2が第7分割ウエイト37上で屈み込んでその側縁から身を乗り出した姿勢で、手を下方に延ばして行う必要がある。従って、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45に対して旋回台側の元ハーネス5のコネクタ5aを接続するのに、高所における不自然な姿勢(屈み込み且つ身を乗り出した姿勢)で行う作業となるので、その接続作業がしにくいとともに、危険な作業となる。
そこで、本願は、旋回台後部に組付ける分割ウエイトとして、図5に示す分割ウエイトの組付け状態、即ち旋回台後部21の後面に対応する位置で旋回台後部21の上面21aより高位置に積み上げた上部分割ウエイト(第5分割ウエイト)35と、最終組付け分割ウエイトとなる旋回台後部の左側部下方に配置した側部分割ウエイト(第7分割ウエイト)37とを使用した組付け状態において、最終組付け分割ウエイト(第7分割ウエイト37)のコネクタ接続部45と、旋回台後部21側の元側コネクタ接続部51(元ハーネス5が接続される)とを、側部分割ウエイト37上から容易に且つ安全な姿勢で接続し得るようにすることを目的としたものである。
本願発明は、旋回台後部に組付ける複数個の分割ウエイトが、少なくとも旋回台後部の後面に対応する位置で旋回台後部の上面より高位置に組付ける上部分割ウエイトと旋回台後部の左右側部で旋回台後部の上面より低位置に組付ける左右の側部分割ウエイトを有し、且つ側部分割ウエイトが上部分割ウエイトより後順番で組付けられる一方、旋回台側から延出させた元ハーネスの先端にあるコネクタを最終番目に組付けられた分割ウエイトに設けたコネクタ接続部に接続することによって旋回台後部に組付けられた各分割ウエイトの合計重量を検出し得るようにしたブーム式作業車におけるカウンタウエイト重量検出用のハーネス配線構造を対象としている。尚、上記上部分割ウエイトとは、図3及び図5の公知例の第5分割ウエイトに相当し、上記側部分割ウエイトとは、同図における第7分割ウエイトに相当するものである。
又、本願発明のカウンタウエイト重量検出用のハーネス配線構造も、旋回台後部に組付けられた所定個数の分割ウエイトのうちの最終組付け分割ウエイトが何番目のものであるかを電気的接続によって検出するものであり、その最終組付け分割ウエイトが何番目であるかを認知することで、演算装置により組付けられた全分割ウエイトの合計重量を算出し得るようにしたものである。
そして、本願発明のハーネス配線構造では、上記した公知例(図3〜図6)のカウンタウエイト重量検出装置の問題点を改善するための手段として、次の構成を有している。
第1に、上記上部分割ウエイトにおける旋回台前方側に向く面と上記側部分割ウエイトにおける旋回台前方側に向く面には、それぞれハーネス端部のコネクタを接続し得るコネクタ接続部を設けている。
第2に、上記上部分割ウエイトのコネクタ接続部と上記側部分割ウエイトのコネクタ接続部とを接続するための中継ハーネスを使用しているが、この中継ハーネスは、その長さを2分割した第1分割ハーネスと第2分割ハーネスとを有している。
第3に、上記上部分割ウエイトのコネクタ接続部には、上記元ハーネスの先端にあるコネクタを接続する第1接続口と上記第1分割ハーネスの一端にあるコネクタを接続する第2接続口とを電気的接続状態で設けている。
第4に、最終組付け分割ウエイトとなる上記側部分割ウエイトのコネクタ接続部には、上記第2分割ハーネスの一端にあるコネクタを接続する接続口を設けている。
そして、本願発明のハーネス配線構造では、上記上部分割ウエイトが旋回台後部に組付けられた状態において、旋回台側から延出させた上記元ハーネスのコネクタを上部分割ウエイトのコネクタ接続部にある上記第1接続口に接続可能としている一方、上記第1分割ハーネスの一端にあるコネクタを上記上部分割ウエイトのコネクタ接続部にある上記第2接続口に接続可能とし、最終組付け分割ウエイトとなる上記側部分割ウエイトが旋回台後部に組付けられる前の状態において、上記第2分割ハーネスの一端にあるコネクタを上記側部分割ウエイトのコネクタ接続部にある上記接続口に接続可能とし、上記側部分割ウエイトを最終組付け分割ウエイトとする全分割ウエイトを旋回台後部に組付けた状態において、上記側部分割ウエイト上に上がって上記第1分割ハーネス及び上記第2分割ハーネスのそれぞれ他端にある各コネクタ同士を接続し得るように構成している。
ところで、上部分割ウエイトを旋回台後部に組付ける際には、該上部分割ウエイトの組付け作業のための作業員が旋回台後部上に上がっており、又、旋回台後部に組付けた上部分割ウエイトのコネクタ接続部は旋回台後部上に立った作業員が対面でき且つ容易に手が届く位置にあるので、旋回台側から延出させた元ハーネスのコネクタ及び第1分割ハーネスのコネクタをそれぞれ上部分割ウエイトのコネクタ接続部(第1接続口と第2接続口)に接続する作業は、それぞれ容易に且つ安定姿勢で行える。
又、最終組付け分割ウエイトとなる側部分割ウエイトのコネクタ接続部(接続口)には、該側部分割ウエイトの組付け前に第2分割ハーネスの一端にあるコネクタを接続させておくが、この接続作業は適宜の時点で(例えば吊上げる前の地上で)行うことができる。
他方、最終組付け分割ウエイトとなる側部分割ウエイトを組付ける際には、該側部分割ウエイトの組付けのため(又は吊りロープ取外しのため)の作業員が側部分割ウエイト上に上がっているので、先に一端側のコネクタを接続している第1分割ハーネスと第2分割ハーネスの各端部のコネクタ同士を接続するのに、側部分割ウエイト上に上がっている作業員が安定姿勢で(立ったままで)行える。
又、本願発明のハーネス配線構造では、側部分割ウエイトの接続口を中継ハーネスにより上部分割ウエイトの接続口を介して旋回台側の元ハーネスに接続させているので、最終順番の側部分割ウエイトを認知するのに、上部分割ウエイトを装着しない状態では認知不能となり、誤配線を防止し得る。
本願発明のカウンタウエイト重量検出用のハーネス配線構造では、次のような作用効果がある。
即ち、本願発明のハーネス配線構造では、旋回台後部に上部分割ウエイトを組付けた後、側部分割ウエイトが最終組付け分割ウエイトとなる状態で所定個数の分割ウエイトを組付け、その上部分割ウエイトのコネクタ接続部と最終組付け分割ウエイトとなる側部分割ウエイトのコネクタ接続部とを中継ハーネスで接続するのに、該中継ハーネスを予め2分割し、その第1分割ハーネスの一端(コネクタ)を上部分割ウエイトの第2接続口に接続させておく一方、第2分割ハーネスの一端(コネクタ)を側部分割ウエイトの接続口に接続させておくが、分割ハーネスの状態でそれらの一端(コネクタ)をそれぞれの接続口に接続させることは容易である。又、上部分割ウエイトを旋回台後部に組付けた状態で、旋回台側から延出された元ハーネスの先端(コネクタ)を上部分割ウエイトの第1接続口に接続させるが、この接続作業は旋回台上から容易に行える。
そして、最終組付け分割ウエイトとなる側部分割ウエイトを組付けた状態で、上部分割ウエイト側に接続させている第1分割ハーネスの他端(コネクタ)と側部分割ウエイト側に接続させている第2分割ハーネスの他端(コネクタ)とを接続させるのに、該両分割ハーネスの各コネクタがそれぞれハーネス自由部分の範囲で移動できるので、該両コネクタを側部分割ウエイト上において作業員が立ったままの安定姿勢で且つ作業員の面前で行うことができる。
従って、本願発明のハーネス配線構造では、ハーネス接続のための作業が容易に行えるとともに、高所における接続作業であっても、安全性が向上するという効果がある。
又、側部分割ウエイトの接続口を中継ハーネスにより上部分割ウエイトの接続口を介して旋回台側の元ハーネスに接続させているので、最終順番の側部分割ウエイトを認知するのに、上部分割ウエイトを装着しない状態では認知不能となり、従ってカウンタウエイト重量の誤検出(ウエイト数の検出誤差)が生じないという効果もある。
カウンタウエイトを装備したブーム式作業車の側面図である。
図1のブーム式作業車に装備しているカウンタウエイトの組付け順序を示す説明図である。
図1のIII−III矢視図で公知のカウンタウエイト重量検出装置の説明図である。
図3(公知)のカウンタウエイト重量検出装置における重量検出方法の説明図である。
図3(公知)のカウンタウエイト重量検出装置の問題点の説明図である。
図5のVI矢視図である。
本願実施例のカウンタウエイト重量検出用のハーネス配線構造を採用したカウンタウエイトの組付け状態図(図1のIII−III矢視相当図)である。
図7のハーネス配線構造を採用したカウンタウエイト重量検出装置の説明図である。
図7のハーネス配線構造の使用方法説明図である。
図9からの状態変化図である。
図10のXI矢視図である。
図10におけるハーネス接続状態の説明図である。
以下、図7〜図12(図1及び図2を併用)を参照して本願実施例のカウンタウエイト重量検出用のハーネス配線構造を説明する。
図7に示すカウンタウエイト3の組付け図は、図1のブーム式作業車のIII−III矢視相当図であるが、本願の実施例でもブーム式作業車として図1に示す移動式クレーンを採用している。尚、図1に示す移動式クレーンの説明は、上記「背景技術」の項で説明したものを援用する(ここでは重複説明となるので移動式クレーンの説明を省略する)。
図1の移動式クレーンにも、旋回台後部21にカウンタウエイト装置が着脱自在に装備されるが、本願の実施例においてもカウンタウエイト装置として、図2の(A)〜(F)に示すように最大で11個の分割ウエイト31〜41を順次組付け得るようになっている。尚、図2の(A)〜(F)に示す各分割ウエイト31〜41の組付け順序についても、上記「背景技術」の項で説明したものを援用する。
又、この実施例でも、第1分割ウエイト31〜第11分割ウエイト41の各分割ウエイト(合計11個)は、予めそれぞれの個別重量が判っており、作業内容(ブームに加わる荷重)に応じて必要重量となる所定個数の分割ウエイトを図2の(A)〜(F)のいずれかの状態に組付けて使用する。
図2の(A)〜(F)に示す各組付け状態における、それぞれ最終組付け分割ウエイトとなる6個の分割ウエイト(第1分割ウエイト31、第3分割ウエイト33、第5分割ウエイト35、第7分割ウエイト37、第9分割ウエイト39、及び第11分割ウエイト41)には、図7に示すようにそれぞれコネクタ接続部42〜47を設けている。この各コネクタ接続部42〜47は、それぞれ旋回台前方側に向く面の上部寄り位置において凹入状態で設けられている。尚、第2分割ウエイト32、第4分割ウエイト34、第6分割ウエイト36、第8分割ウエイト38、第10分割ウエイト40は、それぞれ直後順番の分割ウエイトと一体(同時)に扱われるので、それらの分割ウエイト(32,34,36,38,40の5個)にはコネクタ接続部は設けていない。
そして、この実施例のカウンタウエイト装置では、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45を除く5つのコネクタ接続部42、43、44、46、47に対して旋回台後部21の上面21aに設けた元側コネクタ接続部51(図7参照)から延出された元ハーネス5の端部のコネクタ5a(図8参照)が選択的に接続される。尚、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45には、後述する第2分割ハーネス62のコネクタ62aが接続される。
分割ウエイト側の各コネクタ接続部42〜47は、図8に示すように、それらのコネクタ接続部が設けられた分割ウエイトが何番目に組付けられる分割ウエイトであるかを識別できる機能を有している。即ち、最終組付け分割ウエイトが例えば図2(A)に示す第1分割ウエイト31である場合は、元ハーネス5のコネクタ5a(図8参照)が第1分割ウエイト31のコネクタ接続部42に接続されるが、そのとき両コネクタ5a,42の1番端子同士と2番端子同士とが電気的に接続して、コントローラ7の判別装置8により接続対象が第1分割ウエイト31であると判断し、又、最終組付け分割ウエイトが例えば図2(F)に示す第11分割ウエイト41である場合は、元ハーネス5のコネクタ5aが第11分割ウエイト41のコネクタ接続部47(図8参照)に接続されるが、そのとき両コネクタ5a,47の1番端子同士と7番端子同士とが電気的に接続して、コントローラ7の判別装置8により接続対象が第11分割ウエイト41であると判断する。
そして、判別装置8により最終組付け分割ウエイトが何番目のものであるかを判別すると、該判別装置8からの判別信号がコントローラ7の演算装置9(図8参照)に送られて、該演算装置9が当該順番までの各分割ウエイトの個別重量を合算することで、旋回台後部21に組付けられているカウンタウエイト3の総重量を算出するようになっている。そして、演算装置9で算出したカウンタウエイト3の総重量は、表示装置(ディスプレイ)10に表示されて、当該カウンタウエイト総重量が所望のものであるかどうかを検認できるようになっている。
ところで、本願実施例で採用しているハーネス配線構造(詳細は後述する)は、図2(D)及び図9に示すように合計7個の分割ウエイト31〜37を組付けた状態で機能するものであるが、図2(D)及び図9に示す分割ウエイトの組付け状態では、第5分割ウエイト35が旋回台後部21の後面に対応する位置で該旋回台後部21の上面21aより高位置に組付けられており、第7分割ウエイト37が図9の状態において第5分割ウエイト35の左側部下方で旋回台後部21の上面21aより低位置に組付けられている。尚、本願実施例において、第5分割ウエイト35が特許請求の範囲中の上部分割ウエイトとなるものであり、第7分割ウエイト37が特許請求の範囲中の側部分割ウエイトとなるものである。
そして、図9の分割ウエイト組付け状態では、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45が旋回台後部21の上面21aからかなり遠くに離れており(旋回台後部21上から第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45に手が届かない)、しかも該コネクタ接続部45が第7分割ウエイト37の側面(旋回台前方側に向く面)の上端寄り位置において凹入状態で設けられている。従って、図9の分割ウエイト組付け状態では、「発明が解決しようとする課題」の項に記載した各種の問題点を有することになる。
そこで、本願実施例のハーネス配線構造は、上記の課題を解決するためのものであって、上記のように第5分割ウエイト35と第7分割ウエイト37にそれぞれコネクタ接続部44,45を有している構成のほかに、図7〜図9に示す各構成を有している。
まず、第5分割ウエイト(上部分割ウエイト)35のコネクタ接続部44と第7分割ウエイト(側部分割ウエイト)37のコネクタ接続部45とを接続するための中継ハーネス6を使用している。この中継ハーネス6は、その長さを2分割した第1分割ハーネス61と第2分割ハーネス62とを有している。第1分割ハーネス61は、第4分割ウエイト34の側面(旋回台前方側に向く面)に設けたハーネス収納部63に収納されており、第2分割ハーネス62は、第7分割ウエイト37の側面(旋回台前方側に向く面)に設けたハーネス収納部64に収納されている。尚、このように、各分割ハーネス61,62をそれぞれハーネス収納部63,64に収納させておくと、当該分割ウエイト34,37をクレーンで吊り降ろす際に、各分割ハーネス61,62が他の部材に干渉しない(引っ掛からない)。
又、第5分割ウエイト35のコネクタ接続部44には、元ハーネス5の先端にあるコネクタ5a(図8参照)を接続する第1接続口44aと第1分割ハーネス61の一端にあるコネクタ61aを接続する第2接続口44bを電気的接続状態で設けている。即ち、第1接続口44aと第2接続口44bとは、図8に示すように1番端子同士と5番端子同士がそれぞれ接続されている。
さらに、最終組付け分割ウエイトとなる第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45には、第2分割ハーネス62の一端にあるコネクタ62aを接続する接続口45aを設けている。
そして、この実施例のハーネス配線構造では、図2(C)に示すように第5分割ウエイト35が旋回台後部21の上方位置に組付けられた時点で(図9に示すように旋回台後部21上に作業員Mが居る)、旋回台後部21上の作業員M1が旋回台後部21の上面21a(元側コネクタ接続部51)から延出させた元ハーネス5のコネクタ5a(図8)を第5分割ウエイト35のコネクタ接続部44にある第1接続口44aに接続させる一方、第4分割ウエイト34の側面のハーネス収納部63に収納している第1分割ハーネス61の一端にあるコネクタ61aを第5分割ウエイト35のコネクタ接続部44にある第2接続口44bに接続させる。このときの各接続作業は、旋回台後部21上の作業員M1が接続位置に正対した姿勢で行える。従ってそれらの接続作業が簡単且つ安全に行える。尚、第1分割ハーネス61の他端側のコネクタ61bは、図10に示すように第7分割ウエイト37が組付けられる側の側部寄り位置に仮保持(例えばクリップ止め)させておくとよい。
他方、最終組付け分割ウエイトとなる第7分割ウエイト37を組付ける前に、第2分割ハーネス62の一端にあるコネクタ61aを該第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45の接続口45aに接続させておく。この場合の接続作業も、第7分割ウエイト37の組付け前に行うので、簡単且つ安全である。尚、第2分割ハーネス62の他端側のコネクタ62bも、図10に示すように第7分割ウエイト37の上端寄り位置に仮保持(例えばクリップ止め)させておくとよい。
その後に、第7分割ウエイト37を最終組付け分割ウエイトとする全分割ウエイト(合計7個)を旋回台後部21に組付けるが、第7分割ウエイト37を組付ける際には図9に示すように該第7分割ウエイト37上に組付け(ピン結合)又は吊りロープ取外しのための作業員M2が居る。
そして、最終組付け分割ウエイトとなる第7分割ウエイト37を組付けた後、図10に示すように、第7分割ウエイト37上に居る作業員M2が、第2分割ハーネス62の他端側のコネクタ62bを持って上方に引き上げる一方(符号62′、62b′の状態)、第1分割ハーネス61の他端側のコネクタ61bを外して(符号61b′の状態)、両コネクタ61b′62b′を接続させる。この場合の接続作業は、図11に示すように、両分割ハーネス61,62の各コネクタ61b,62bがそれぞれハーネス自由部分の範囲で移動できるので、該両コネクタ61b,62bを第7分割ウエイト37上において作業員が立ったままの安定姿勢で且つ作業員の面前で接続することができるので、この場合の接続作業も簡単且つ安全に行える。
このように、本願実施例のハーネス配線構造を採用したものでは、ハーネス接続のための全作業が容易に行えるとともに、高所における接続作業であっても、安全性が向上するという効果がある。
図12は、図9〜図11の分割ウエイト組付け状態における各ハーネス(元ハーネス5、第1分割ハーネス61、第2分割ハーネス62)のコネクタをそれぞれ接続した状態の結線図(回路図)であるが、この場合、各コネクタ5a,44a,44b,61a,61b,62b,62a,45aの1番端子同士と5番端子同士がそれぞれ接続されているとともに、元ハーネス5のコネクタ5aが第5分割ウエイト35の第1接続口44aに接続されている。従って、図12の状態では、判別装置8は、1番端子と5番端子を通って電流が流れることにより最終組付け分割ウエイトが第7分割ウエイト37であることを認知する一方、1番端子と4番端子を通って電流が流れることにより第5分割ウエイト35も組付けられていることを認知するようになっている。
又、図12において四角囲いのL1〜L6はそれぞれランプであるが、2番〜7番の端子に電流が流れると当該端子に接続されているランプ(L1〜L6)が点灯するようになっている。そして、図12の状態では、L3のランプとL4のランプとが点灯するが、それによって第7分割ウエイト37が最終組付け分割ウエイトであることを認知できるとともに、第5分割ウエイト35も正常に組付けられていることを認知できる。
尚、第7分割ウエイト37のコネクタ接続部45(接続口45a)及び第2分割ハーネス62のコネクタ62bに対して、元ハーネス5のコネクタ5aが接続できない構造(又は形状)のものを採用しておくと、元ハーネス5のコネクタ5aを第5分割ウエイト35のコネクタ接続部44(第1接続口44a)を介さずに直接第7分割ウエイト37の接続口45aに接続することを禁止でき、誤配線を防止できる。
尚、判別装置8(図8、図12)で何番目までの分割ウエイトが組付けられているのかを認知すると、その判別信号が演算装置9に送られ、該演算装置9で認知個数までの各分割ウエイトの個別重量を加算することで、旋回台後部21に組付けられているカウンタウエイト3の総重量を算出できるようになっている。又、演算装置9で算出されたカウンタウエイト3の総重量は、表示装置(ディスプレイ)10に表示されて、当該カウンタウエイト総重量が所望のものであるかどうかを検認できるようになっている。
1は車両、2は旋回台、3はカウンタウエイト、5は元ハーネス、5aはコネクタ、6は中継ハーネス、7はコントローラ、8は判別装置、9は演算装置、10は表示装置、21は旋回台後部、31〜41はそれぞれ第1分割ウエイト〜第11分割ウエイト、42〜47はコネクタ接続部、44aは第1接続口、44bは第2接続口、45aは接続口、51は元側コネクタ接続部、61は第1分割ハーネス、61a,61bはコネクタ、62は第2分割ハーネス、62a,62bはコネクタである。