JP5694879B2 - 変速機の軸受支持構造 - Google Patents
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Description
そして、軸受規制部材の固定手段が、支持壁以外の、歯車の外周面が臨む変速機ケースの内面に配置されるので、固定手段と歯車の側面との干渉が回避できるため、回転軸の軸長の増大を防止でき、内燃機関に組み込まれた変速機においては内燃機関の回転軸方向の大型化を防止できる。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係るバランサ付き内燃機関を自動二輪車等の小型車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。
また、図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
本実施形態に係る内燃機関1は、そのクランク軸2を、搭載される車両である図示しない自動二輪車の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて自動二輪車に搭載された、水冷直列2気筒の4ストロークサイクル内燃機関である。
一方、下側クランクケース10Bの下にはオイルパン14が取り付けられる。
直列2気筒の内燃機関1であるので、クランク軸2は3つのジャーナル部20を有し、上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bの上下それぞれ3つのジャーナル壁15A、15Bによりクランク軸2は回転自在に支持される。
上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bの各3つのジャーナル壁15A、15Bのそれぞれにおいて、クランク軸2を挟持する3つのクランク軸支持孔2H(図3参照)を挟む前後に、それぞれスタッドボルト17(図1参照)が下方から真っ直ぐ上方へ、下側クランクケース10Bを貫通して上側クランクケース10Aの長尺の雌ねじ孔18(図3参照)に螺入して緊締している。
なお、上側クランクケース10Aと下側クランクケース10Bは、上記のスタッドボルト17だけでなく、所要箇所において複数のボルトで締結される。
なお、吸気ポート33の上流側開口33aにはスロットルボディ37が連結されて、その上流に図示しない吸気管を介してエアクリーナが連結される。
排気ポート35の下流側開口35aには、図示しない排気管を介してマフラが連結される。
そのために、各カム軸38、39には、図2に示されるように、右端部にそれぞれカムスプロケット40、40が嵌着され、クランク軸2の右端部近傍に嵌着される駆動スプロケット23と、カムスプロケット40、40との間にカムチェーン41が掛け渡され、クランク軸2の半分の回転速度で回転駆動される。
シリンダブロック11とシリンダヘッド12の右端部には、カムチェーン41を配設するためのカムチェーン室11b、12bが形成されている。
交流発電機45に左方から、発電機カバー46Lが被せられ、左端側ジャーナル壁15AL、15BLに取り付けられる。交流発電機45の発電コイルを備えたインナステータ45bが、発電機カバー46Lの内側に支持されてアウタロータ45a内に配置される。
変速機5は、常時噛合い式のギヤ変速機であり、クランク軸2の後方で斜め上方位置に(図1参照)変速機5のメイン軸50が、上側クランクケース10Aにおいて、一対の壁部をなし、変速機5の支持壁となる左端側ジャーナル壁15ALと右端側ジャーナル壁15ARに、左軸受51L、右軸受51Rを介して回転自在に軸支される。
本実施形態において、左軸受51Lはニードルベアリング、右軸受51Rはボールベアリングである。
本実施形態において、左軸受53Lはボールベアリング、右軸受53Rはニードルベアリングである。
メイン軸50にスプライン嵌合してシフタとなる一体に形成された変速ギヤm3、m4、およびカウンタ軸52にスプライン嵌合してシフタとなる変速ギヤc5と変速ギヤc6の、変速操作機構による軸方向移動によってギヤ切換えがなされて、変速が行われる。
摩擦クラッチ60の出力側であるクラッチインナ60bは、メイン軸50にスプライン嵌合しており、よってクランク軸2の回転が1次減速機構24、61および摩擦クラッチ60を介してメイン軸50に伝達される。
カウンタ軸52は、出力軸でもあり、クランクケース10を左方に貫通して外部に突出させた左端部に出力スプロケット62が嵌着され、図示しない後輪の被動スプロケットとの間に伝動チェーン63が掛け渡され2次減速機構が構成され、2次減速機構を介して動力が後輪に伝達される。
図1の図示切断面において図示奥側に図示しないオイルポンプが、図示手前側に図示しないウォータポンプが、設けられている。
ウォータポンプは、図示しない各冷却水管路、ラジエータ、サーモスタット等の所定の機器を介して、シリンダブロック11、シリンダヘッド12内の水冷ジャケット29に冷却水を循環させて、内燃機関1の冷却を行う。
バランサ軸70は、クランク軸2の後方の一対の壁部をなす左端側ジャーナル壁15ALと右端側ジャーナル壁15ARに、左軸受71L、右軸受71Rを介して回転自在に軸支される。
本実施形態において、左軸受71Lと右軸受71Rは、ともにボールベアリングである。
また、側面視で、バランサ軸70は、クランク軸2とメイン軸50との間で、それらを結ぶ線より上方に配設されている。
したがって、それぞれの右軸受71R、51Rは、右側の壁部である右端側ジャーナル壁15ARに右側から嵌入固定されてはいるが、内燃機関1の運転の振動等による万一の脱落を防止する必要があり、右端側ジャーナル壁15ARの右面に右軸受規制部材80が取り付けられている。
したがって、軸方向成分を含む負荷変動、振動を受けて、左軸受51Lが変速機5の内側に抜けて来ることを防止するために、左軸受51Lのクランクケース10内側向きの軸方向端面に当接する左軸受規制部材90を備えている。
本実施形態のメイン軸50には、左軸受51L側から順に変速ギヤ群50gの変速ギヤm2、m6、m4、m3、m5、m1が設けられており、1速に対応する変速ギヤm1から6速に対応する変速ギヤm6へとその外径が大きくなっている。
そのため、変速ギヤm2は、隣り合う変速ギヤm6よりも外径が小さく、変速ギヤm2の外周面が臨むクランクケース10の内面10bとの間隔は相対的に大きくなり、本実施形態においては、左軸受規制部材90を取り付けるスペースとしている。
一方、他端側90bは、変速ギヤm2の外周面が臨むクランクケース10の上壁10cの内面10bに設けられた取り付けボス部10dに当接するように折れ曲がり、ギヤ半径方向の締結ボルト93(本発明の「固定手段」、「締結部材」)が取り付けボス部10dの雌ネジ孔10eに螺合して、締結されている。
取り付けた状態で下端側に位置する左軸受規制部材90の一端側90aは、左軸受51Lのニードル転動部51Lb(図4参照)への干渉を避けつつ、外輪51Laの段部91における軸方向端面92への当接を確実にするために、段部91の周面に合わせた凹状弧縁95を有しており、凹状弧縁95が、左軸受51Lの外輪51Laの外周端の段部91に嵌るように当接し、左軸受51L中心側へ移動することなく、段部91の軸方向端面92の押さえを確実にしている。
左軸受規制部材90の水平方向に折れ曲げられた他端側90bには、締結ボルト93を挿通させる締結ボルト孔96が設けられている。
またさらに、締結ボルト93の頭部93aは、図5に示されるように、メイン軸50の軸方向視で、相対的に大径の変速ギヤm6と重なるように配置されているので、変速ギヤm2により接近して位置するものとなり、クランクケース10のより小型化が図られている。
そして、左端側ジャーナル壁15ALに締結ボルト93の取り付け用の雌ネジ孔を設けないので、左軸受51Lを支持する左端側ジャーナル壁15ALの剛性を減じることがない。
左軸受規制部材190は、取り付けた状態で下端側に位置する一端側190aが逆さY字状に形成され、幅広の凹状弧縁195が設けられた点が異なり、他は同じである。凹状弧縁195は、左軸受51Lの外輪51Laの外周端の段部91の周面に嵌るように当接しており、左軸受51L中心側へ移動することなく、段部91の軸方向端面92の押さえを確実にしている。
左軸受規制部材190の水平方向に折れ曲げられた他端側190bには、締結ボルト93を挿通させる締結ボルト孔196が設けられている。
変形例としての左軸受規制部材190によれば、逆さY字状に形成された一端側190aの幅広の凹状弧縁195により、段部91の軸方向端面92の押さえが、より確実となる。
回転センサ85は、締結ボルト93の頭部93aに臨むメイン軸50の変速ギヤm2ではなく、変速ギヤm5(本発明の「他の歯車」)の歯面m5tに向けて配設されている。そのため、回転センサ85と締結ボルト93との干渉が防止される。
図3に示されるように、メイン軸50の変速ギヤm5は空転歯車であり、メイン軸50と連動していない。メイン軸50の変速ギヤm5は、出力軸であるカウンタ軸52の空転不可・軸方向摺動可能な変速ギヤc5に常時噛み合っているので、カウンタ軸52と連動している。カウンタ軸52は、更に、カウンタ軸52に設けられた出力スプロケット62と伝動チェーン63を介して図示しない自動二輪車の後輪に連動している。自動二輪車の後輪の回転速度は、ほぼ自動二輪車の対地速度に比例している。したがって、回転センサ85の検出したメイン軸50の変速ギヤm5の回転速度を基にして、自動二輪車の速度を算出することが可能である。
したがって、締結ボルト93と回転センサ85とは、前記回転軸の軸方向視で重ならないように、メイン軸50の周方向にずらして配置されており、締結ボルト93が螺合する雌ネジ孔10eと回転センサ85のセンサ取付け孔86との位置が重ならないので、クランクケース10の剛性の低下が抑制されている。
すなわち、変速ギヤ群50gを支持するメイン軸50と、メイン軸50および変速ギヤ群50gを収容するクランクケース(変速機ケース)10と、クランクケース10の左端側ジャーナル壁15ALに設けられたメイン軸左支持孔50HLにクランクケース10の内側から嵌められて、メイン軸50を回転自在に支持する左軸受51Lとを備えた変速機5の軸受支持構造において、左軸受51Lの、クランクケース10内側向きの軸方向端面92に、一端側90a,190aが当接して左軸受51Lを抜け止めし、他端側90b,190bが、左端側ジャーナル壁15AL以外の、変速ギヤ群50gの外周面が臨むクランクケース10の上壁10cの内面10bに、締結ボルト93によって固定された左軸受規制部材90,190を備えている。
そして、左軸受規制部材90,190の締結ボルト93が、左端側ジャーナル壁15AL以外の、変速ギヤ群50gの外周面が臨むクランクケース10の上壁10cの内面10bに配置されるので、締結ボルト93と変速ギヤ群50gの側面との干渉が回避できるため、メイン軸50の軸長の増大を防止でき、内燃機関1に組み込まれた変速機5においては内燃機関1のメイン軸50方向の大型化を防止できる。
例えば、本発明の変速機の軸受支持構造を備える内燃機関は、上記実施形態の水冷直列2気筒の4ストロークサイクル内燃機関に限定されず、車両搭載の場合は自動二輪車に限定されず、また、車両搭載用内燃機関に限定されない。
また、本発明の変速機ケースは、請求項1の構成を備える多様な変速機ケースでよく、また、歯車を支持する回転軸の軸受に対する「軸受規制部材」を備え、変速機を組み込んだ変速機ケースであれば、実施形態の構造に限定されない。
各請求項における「支持壁」は実施形態の左端側ジャーナル壁に限定されず、「軸受」、「回転軸」はメイン軸に限定されず、各請求項の要旨に合致する他のものの場合においても、本発明は有効に適用される。
Claims (6)
- 歯車(50g)を支持する回転軸(50)と、
前記回転軸(50)および前記歯車(50g)を収容する変速機ケース(10)と、
前記変速機ケース(10)の支持壁(15AL)に設けられた支持孔(50HL)に変速機ケース(10)の内側から嵌められて、前記回転軸(50)を回転自在に支持する軸受(51L)とを備えた変速機(5)の軸受支持構造において、
前記軸受(51L)の、前記変速機ケース(10)内側向きの軸方向端面(92)に、一端側(90a,190a)が当接して前記軸受(51L)を抜け止めし、他端側(90b,190b)が、前記支持壁(15AL)以外の前記歯車(50g)の外周面が臨む前記変速機ケース(10)の内、前記回転軸(50)の直上の前記変速機ケース(10)の上壁(10c)の内面(10b)に、固定手段(93)によって固定された軸受規制部材(90,190)を備え、
前記固定手段(93)は頭部(93a)を有する締結部材(93)であり、
前記回転軸(50)には、前記軸受(51L)に隣り合って外径が異なる複数の前記歯車(50g)が並んで支持され、複数の前記歯車(50g)のうちで相対的に小径の一小径歯車(m2)の外周面に臨み、該一小径歯車(m2)の歯車幅寸法内に位置するように前記頭部(93a)が取り付けられたことを特徴とする変速機の軸受支持構造。 - 前記頭部(93a)は、前記回転軸(50)の軸方向視で、複数の前記歯車(50g)のうちで相対的に大径の一大径歯車(m6)と重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項1記載の変速機の軸受支持構造。
- 前記軸受規制部材(90,190)と前記締結部材(93)の頭部(93a)との間に、同頭部(93a)と係合して前記締結部材(93)の回転を規制する緩み止め部材(94)が挟まれて、前記軸受規制部材(90,190)が固定されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の変速機の軸受支持構造。
- 前記回転軸(50)の複数の前記歯車(50g)のうち、前記締結部材(93)の頭部(93a)に臨む歯車(m2)と異なる他の歯車(m5)の歯面(m5t)に向けて、前記変速機ケース(10)の上壁(10c)に回転センサ(85)が取り付けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の変速機の軸受支持構造。
- 前記締結部材(93)と前記回転センサ(85)とはそれぞれ、前記回転軸(50)に、軸方向においてその両端寄りに互いに離れて配置されたことを特徴とする請求項4記載の変速機の軸受支持構造。
- 前記締結部材(93)と前記回転センサ(85)とは、前記回転軸(50)の軸方向視で重ならないように、前記回転軸(50)の周方向にずらして配置され、前記回転センサ(85)が前記変速機ケース(10)の上壁(10c)のセンサ取付け孔(86)に挿入されて固定されたことを特徴とする請求項4または請求項5記載の変速機の軸受支持構造。
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