JP5694003B2 - 繊維複合体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、繊維複合体の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、補強繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有し、機械的物性に優れた繊維複合体の製造方法に関する。
従来、自動車のドアトリム等の車両用部材に用いられる繊維基材として、天然繊維及び熱可塑性樹脂繊維を用いてなり、これらの配合比率が、厚さ方向に変化している繊維基材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合物を交絡させ、圧縮成形してなる繊維基材も知られている。この繊維基材は、例えば、エアレイ装置により、搬送コンベア上に各々の繊維を供給し、交絡及び加熱圧縮等の工程を経て製造されている。
近年、環境問題を考慮し、燃費の向上等のため、車両用部材等に対する軽量化の要望が高まっている。そのためには、例えば、繊維基材の目付を小さくする等の方法があるが、十分な剛性が得られないといった問題がある。また、基材の目付が小さい場合(例えば、1500g/m以下の部材)、成形時の繊維の流動により疎密になり、特に折曲を有する深絞り成形が困難になることがある。
そのため、本出願人は、補強繊維同士の間に熱膨張性カプセルが膨張してなる熱可塑性樹脂が分散されており、軽量性及び剛性に優れた繊維基材である繊維複合体の効率的な製造方法を既に出願している(特許文献2)。
特開2002−105824号公報 特開2009−179896号公報
しかしながら、従来の方法により得られる繊維複合体の機械的特性は未だ十分とはいえず、より優れた機械的特性を備えており、且つ軽量な繊維複合体が望まれているのが現状である。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、補強繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維複合体の製造方法であって、
前記補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とが含まれたマットの表裏いずれか一面に、熱可塑性樹脂からなる殻壁を有する熱膨張性カプセルを供給する供給工程と、
前記マットの一面を押圧することにより、該マットの一面に供給された前記熱膨張性カプセルを該マットの他面側へ向かって分散させる分散工程と、
前記マットを構成する前記熱可塑性樹脂繊維を溶融する溶融工程と、
前記マット内に分散された前記熱膨張性カプセルを加熱して膨張させる膨張工程と、を備えており、
前記補強繊維は、植物性繊維及び無機繊維のうちの少なくとも一方であり、
前記熱膨張性カプセルとしては、一粒当たりの平均質量が異なる熱膨張性カプセルを複数種用いており、一粒当たりの平均質量が最も大きい熱膨張性カプセルと、一粒当たりの平均質量が最も小さい熱膨張性カプセルとの一粒当たりの平均質量の差が、絶対値で、1.0×10 −8 〜1.0×10 −6 gであり、
一粒当たりの平均質量が異なる熱膨張性カプセルの複数種間では、一粒当たりの平均粒径が異なっており、複数種の熱膨張性カプセルの配合比は、一粒当たりの平均粒径が小さい熱膨張性カプセルの種類ほど大きいことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載において、前記供給工程における前記熱膨張性カプセルの供給では、複数種類の熱膨張性カプセルを混合して熱膨張性カプセル混合体としたものを供給することを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載において、前記熱膨脹性カプセルの一粒当たりの平均密度は、0.5〜1.5g/cm であることを要旨とする。
本発明の繊維複合体の製造方法によれば、熱可塑性樹脂繊維に由来する熱可塑性樹脂によって補強繊維同士が結着されることに加えて、補強繊維間において、熱膨張性カプセルが偏在せず、良好に分散された熱膨張性カプセルの殻壁に由来する熱可塑性樹脂によっても補強繊維同士が結着され、優れた機械的特性を備えており、且つ軽量な繊維複合体が得られる。
また、一粒当たりの平均質量が最も大きい熱膨張性カプセルと、一粒当たりの平均質量が最も小さい熱膨張性カプセルとの一粒当たりの平均質量の差が、特定の範囲であるため、熱膨張性カプセルをより均一に分散させることができ、得られる繊維複合体の機械的物性をより向上させることができる。
更に、一粒当たりの平均質量が異なる熱膨張性カプセルの複数種間において、一粒当たりの平均粒径も異なるため、熱膨張性カプセルをより均一に分散させることができ、得られる繊維複合体の機械的物性をより向上させることができる。
また、複数種の熱膨張性カプセルの配合比が、一粒当たりの平均粒径が小さい熱膨張性カプセルの種類ほど大きいため、熱膨張性カプセルをより均一に分散させることができ、得られる繊維複合体の機械的物性をより向上させることができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
実施例1で用いたマット製造装置を模式的に示す説明図である。 実施例1で用いた熱膨張性カプセル供給分散装置を模式的に示す説明図である。 本発明の工程の流れの一例を模式的に説明する説明図である。 本発明の工程の流れの他例を模式的に説明する説明図である。 本発明の工程の流れの更に他例を模式的に説明する説明図である。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
[1]繊維複合体の製造方法
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の繊維複合体の製造方法は、補強繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維複合体の製造方法であって、
補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とが含まれたマットの表裏いずれか一面に、熱可塑性樹脂からなる殻壁を有する熱膨張性カプセルを供給する供給工程と、
マットの一面を押圧することにより、マットの一面に供給された熱膨張性カプセルをマットの他面側へ向かって分散させる分散工程と、
マットを構成する熱可塑性樹脂繊維を溶融する溶融工程と、
マット内に分散された熱膨張性カプセルを加熱して膨張させる膨張工程と、を備える。
即ち、本方法は、図3〜5に示すように「供給工程」と、「分散工程」と、「溶融工程」と、「膨張工程」と、を備えてなり、その他、例えば、「成形工程」を備えることができる。尚、後に詳述するが、これらの工程のうちの供給工程及び分散工程はこの順に行う。溶融工程及び膨張工程は分散工程の後に行う。更に、溶融工程と膨張工程とは同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
上記「供給工程」は、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とが含まれたマットの表裏いずれか一面に、熱可塑性樹脂からなる殻壁を有する熱膨張性カプセルを供給する工程である。
上記「マット」は、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とをマット状(不織布状)に混綿した成形体であり、通常、不織布を製造する乾式の各種混綿法を用いて得られる。混綿法としては、エアレイ法及びカード法等が挙げられるが、エアレイ法が好ましい。エアレイ法は補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを空気流によってコンベア面上等に分散、投射して補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とが相互に分散された堆積物を得る方法である。尚、上記マットには、上記堆積物、上記堆積物を2層又は3層以上積層し、交絡(ニードリング)した積層交絡物、及びこれらを圧縮してなる圧縮物等が含まれる。
本方法ではマットを湿式法(抄紙法等)で形成してもよく、乾式法で形成してもよいが、湿式法を用いた場合には高度な乾燥工程を要することになるため乾式法が好ましい。特に補強繊維として植物性繊維を用いる場合には、植物性繊維が吸水性を有するためにとりわけ乾式法が好ましい。
マットの目付及び厚さ等は特に限定されず、補強繊維の種類及び配合割合により種々のものとすることができる。例えば、補強繊維が植物性繊維である場合には、目付は400〜3000g/mが好ましく、600〜2000g/mがより好ましい。一方、補強繊維がガラス繊維である場合には、目付は300〜1000g/mが好ましく、350〜500g/mがより好ましい。
また、マットの厚さは10mm以上(通常50mm以下、更には10〜30mm、特に15〜25mm)とすることができる。
上記「補強繊維」は、得られる繊維複合体において補強材として機能する繊維材料である。この補強繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有することで、繊維複合体全体の強度を確保できる。この補強繊維の材質は特に限定されず、植物性繊維及び無機繊維が含まれる。
上記「植物性繊維」は、植物に由来する繊維である。植物から取りだした繊維及び植物から取りだした繊維を各種処理に供した繊維等が含まれる。
この植物性繊維としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花等の各種植物体から得られた植物性繊維が挙げられる。この植物性繊維は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかではケナフ(即ち、植物性繊維としてはケナフ繊維)が好ましい。ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できるからである。
また、上記植物性繊維として用いる植物体の部位は、特に限定されず、木質部、非木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよく2ヶ所以上の異なる部位を併用してもよい。
上記ケナフは、木質茎を有し、アオイ科に分類される植物である。このケナフには、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。
また、上記ジュートは、ジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
上記植物性繊維は単用してもよく併用してもよい。
上記「無機繊維」としては、ガラス繊維(グラスウール等)及びカーボン繊維等が挙げられる。これらの無機繊維は単用してもよく併用してもよい。
更に、植物性繊維及び無機繊維は、いずれか一方のみを単用してもよく、植物性繊維と無機繊維とを併用してもよい。これらのうちでは補強効果に優れること及び取扱い性が良いことから植物性繊維が好ましく、無機繊維のなかではガラス繊維が好ましい。更に、これらのうちでも環境的観点から植物性繊維のうちのケナフ繊維が特に好ましい。
補強繊維の形状及び大きさは特に限定されないが、その繊維長は10mm以上であることが好ましい。これにより得られる繊維複合体に高い強度(曲げ強さ及び曲げ弾性率等、以下同様)を付与できる。この繊維長は10〜150mmがより好ましく、20〜100mmが更に好ましく、30〜80mmが特に好ましい。
また、その繊維径は1mm以下が好ましく、0.01〜1mmがより好ましく、0.02〜0.7mmが更に好ましく、0.03〜0.5mmが特に好ましい。この繊維径が上記範囲にあると、特に高い強度を有する繊維複合体を得ることができる。補強繊維として、上記の繊維長及び繊維径を外れるものを含んでもよいが、その繊維の含有量は、補強繊維の全体に対して0.5〜10質量%(特に0.5〜3質量%)であることが好ましい。これにより得られる繊維複合体の強度を高く維持できる。
尚、上記繊維長は平均繊維長を意味し(以下同様)、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。更に、上記繊維径は平均繊維径を意味し(以下同様)、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央における繊維径を、光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
上記「熱可塑性樹脂繊維」は、上記マットに熱可塑性樹脂繊維として含有され、溶融工程において溶融されて、補強繊維同士を結着させることができる成分である。
熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂及びABS樹脂等が挙げられる。このうち、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。アクリル樹脂はメタクリレート及び/又はアクリレート等を用いて得られた樹脂である。これらの熱可塑性樹脂は、補強繊維(特に補強繊維の表面)に対する親和性を高めるために変性された樹脂であってもよい。また、上記熱可塑性樹脂は単用してもよく併用してもよい。
上記変性された樹脂としては、例えば、補強繊維(補強繊維を構成する材料)に対する親和性を高めたポリオレフィンが挙げられる。より具体的には、補強繊維が植物性繊維である場合には、カルボキシル基又はその誘導体(無水物基等)を有する化合物により酸変性されたポリオレフィンを用いることが好ましい。更には、未変性のポリオレフィンと無水マレイン酸変性ポリオレフィンとを併用することがより好ましく、未変性のポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを併用することが特に好ましい。
また、この無水マレイン酸変性ポリプロピレンとしては、低分子量タイプが好ましい。具体的には、例えば、重量平均分子量(GPC法による)が25000〜45000であることが好ましい。また、酸価(JIS K0070による)は20〜60であることが好ましい。本方法では、特に重量平均分子量25000〜45000且つ酸価20〜60である無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましく、この無水マレイン酸変性ポリプロピレンを未変性のポリプロピレンと併用することがとりわけ好ましい。この併用においては変性ポリプロピレンと未変性ポリプロピレンとの合計を100質量%とした場合に、変性ポリプロピレンは1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%がより好ましい。この範囲ではとりわけ高い機械的特性を得ることができる。
これらの熱可塑性樹脂のなかでは、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂が好ましい。 上記ポリオレフィンのなかでは、ポリプロピレンが好ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、生分解性を有するポリエステル樹脂(以下、単に「生分解性樹脂」ともいう)が好ましい。この生分解性樹脂は、以下に例示される。
(1)乳酸、リンゴ酸、グルコース酸、3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体;これらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体等のヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル。
(2)ポリカプロラクトン、上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種と、カプロラクトンとの共重合体等のカプロラクトン系脂肪族ポリエステル。
(3)ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル。
これらのうち、ポリ乳酸、乳酸と、乳酸以外の他の上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及び、上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種と、カプロラクトンとの共重合体が好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。これらの生分解性樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、上記乳酸は、L−乳酸及びD−乳酸を含むものとし、これらの乳酸は単独で用いてもよく、併用してもよい。
熱可塑性樹脂繊維の形状及び大きさは特に限定されないが、その繊維長は10mm以上であることが好ましい。これにより得られる繊維複合体に高い強度(曲げ強さ及び曲げ弾性率等、以下同様)を付与できる。この繊維長は10〜150mmがより好ましく、20〜100mmが更に好ましく、30〜80mmが特に好ましい。
また、その繊維径は0.001〜1.5mmが好ましく、0.005〜0.7mmがより好ましく、0.008〜0.5mmが更に好ましく、0.01〜0.3mmが特に好ましい。この繊維径が上記範囲にあると、熱可塑性樹脂繊維を切断させず、補強繊維と分散性よく交絡できる。なかでも補強繊維が植物性繊維である場合に特に適する。
マットを構成する補強繊維と熱可塑性樹脂繊維との割合は特に限定されないが、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100体積%とした場合に、補強繊維は10〜95体積%(好ましくは20〜90体積%、より好ましくは30〜80体積%)とすることが好ましい。この範囲では本方法による優れた軽量性と高強度性とを両立させやすいからである。
特に補強繊維が植物性繊維である場合にあっては、植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計量を100質量%とした場合に、植物性繊維は10〜95質量%とすることが好ましく、20〜90質量%とすることがより好ましく、30〜80質量%とすることが特に好ましい。
尚、マットには、補強繊維及び熱可塑性樹脂繊維以外にも、又は、熱可塑性樹脂繊維内に添加剤(酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防かび剤、着色剤等)が含まれてもよい。
上記「熱膨張性カプセル」は、熱可塑性樹脂からなる殻壁(カプセル)を有し、加熱により体積が膨張するものである。熱膨張性カプセルは、通常、殻壁内に収容された発泡剤(膨張成分)を有する。そして、熱膨張性カプセルが加熱されると発泡剤が所定の温度で膨張し始め、更に、殻壁が軟化されることにより、熱膨張性カプセル全体の体積が増加する仕組みを有する。
この熱膨張性カプセルの形状は特に限定されないが、通常、略球形である。尚、この熱膨張性カプセルは膨張した後、破泡して殻壁は不定形化してもよく、破泡することなく殻壁がカプセル形状を維持してもよい。更に、発泡剤を用いる場合、その発泡剤は、殻壁の外部に放出されてもよく、膨張後の殻壁内に一部又は全部が残存されてもよい。
本発明における供給工程においては、上記熱膨張性カプセルとして、一粒当たりの平均質量が異なる熱膨張性カプセルが複数種用いられる。従って、マット中において熱膨張性カプセルが偏在することなく、均一に分散させることができる。
尚、この工程に用いられる平均質量の異なる熱膨張性カプセルの種類は、2種以上である限り特に限定されず、マットの厚みに応じて適宜調整することができる。具体的には、2〜7種類であることが好ましく、2〜4種であることが好ましい。
この工程に用いられる熱膨張性カプセルの平均質量は、4.0×10−9〜4.0×10−7gであることが好ましく、より好ましくは1.5×10−8〜2.8×10−7g、更に好ましくは3.5×10−8〜1.2×10−7gである。
更に、一粒当たりの平均質量が最も大きい熱膨張性カプセルと、一粒当たりの平均質量が最も小さい熱膨張性カプセルとの一粒当たりの平均質量の差が、絶対値で、1.0×10−8〜1.0×10−6gであり、より好ましくは2.3×10−8〜3.9×10−7g、更に好ましくは5.0×10−8〜1.7×10−7g、特に好ましくは8.4×10−8〜1.5×10−7gである。この差が1.0×10−8〜1.0×10−6gである場合には、熱膨張性カプセルをマットに良好に分散させることができる。
この工程に用いられる熱膨張性カプセルの一粒当たりの平均粒径は、5〜100μmの範囲のものであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、更に好ましくは30〜70μmである。
上記平均粒径は、粒度分布測定法(原理;レーザー回折・散乱法)により得られた粒度分布におけるD50の値である。尚、この平均粒径は、SYMPATEC社製、型式「HEROS&RODOS」を用いて測定することができる。
この工程に用いられる熱膨張性カプセルの一粒当たりの平均密度は、0.5〜1.5g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.2g/cm、更に好ましくは1.0〜1.1g/cmである。
尚、上記密度は、同体積の2室の一方に熱膨張性カプセルを入れ、それぞれを同時に一定圧まで加圧し、そのときの差から体積を求める圧力比較法により測定することができる。
また、本発明においては、上述の一粒当たりの平均質量が異なる熱膨張性カプセルの複数種間においては、上述の一粒当たりの平均粒径が異なっている。具体的には、一粒当たりの平均質量が大きな熱膨張性カプセルほど、一粒当たりの平均粒径が大きいことが好ましい。この場合、一粒当たりの平均粒径によって熱膨張性カプセルの分散の程度を容易に制御することができる。
特に、各カプセルの平均密度が同程度[例えば、平均密度の比(各種カプセルのうち平均密度が最小のもの:各種カプセルのうち平均密度が最大のもの)が1:(1〜1.3)以内、特に1:(1〜1.2)]である場合には、一粒当たりの平均粒径により平均質量を容易に制御できるようになり、熱膨張性カプセルの分散の程度を容易に制御することができる。
更に、上述のように一粒当たりの平均質量が大きな熱膨張性カプセルほど、一粒当たりの平均粒径が大きい場合、複数種の熱膨張性カプセルの配合比は、一粒当たりの平均粒径が小さな熱膨張性カプセルほど大きくする。この場合、熱膨張性カプセルの分散を良好に均一化することができる。
また、上記熱膨張性カプセルの殻壁を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、上記熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂と同じであってもよく異なっていてもよい。即ち、上記熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂として前述した各種樹脂を用いることができる。その他にも、不飽和ニトリル化合物に由来する構成単位を有する共重合体及び単独重合体(以下、単に「アクリロニトリル系樹脂」ともいう)を用いることができる。この不飽和ニトリル化合物としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。アクリロニトリル系樹脂を構成する不飽和ニトリル化合物に由来する構成単位以外の他の構成単位は、どのような化合物に由来してもよいが、例えば、不飽和酸(アクリル酸等)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、脂肪族ビニル化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン及び架橋性単量体等が挙げられる。これらの単量体は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。具体的な共重合体としては、例えば、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体等が挙げられる。
上記発泡剤は、加熱により体積膨張する成分である。この発泡剤としては、低沸点(−50〜150℃程度)の炭化水素類が挙げられる。具体的には、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらの発泡剤のなかでは、脂肪族炭化水素が好ましく、炭素数が4〜10である脂肪族炭化水素が特に好ましい。尚、発泡剤量は限定されないものの、例えば、熱膨張性カプセル全体に対して5〜60質量%(好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜30質量%)とすることができる。
この熱膨張性カプセルの膨張倍率(膨張後平均粒径/膨張前平均粒径)は特に限定されないが、例えば、1.2〜5倍とすることができる。
また、上記熱膨張性カプセルの膨張開始温度は特に限定されず、殻壁を構成する熱可塑性樹脂の種類により選択できる。また、熱膨張性カプセルの膨張開始温度と、マットの熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。この膨張開始温度の高低は、例えば、本方法の工程順により選択することができる。即ち、(1)熱可塑性樹脂繊維を溶融する溶融工程を先に行い、熱膨張性カプセルを膨張する膨張工程を後に行う場合には、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度を、熱膨張性カプセルの膨張開始温度よりも低くすることが好ましい。一方、(2)熱可塑性樹脂繊維を溶融する溶融工程と、熱膨張性カプセルを膨張する膨張工程と、を同時に行う場合には、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度と熱膨張性カプセルの膨張開始温度とを同じにすることができる。
例えば、上記(1)の場合、即ち、溶融工程と膨張工程とをこの順で行う場合には、熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、熱可塑性樹脂繊維の軟化温度に対して0〜+60℃(より好ましくは+10〜+40℃)の範囲とすることが好ましい。より具体的には、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のプロピレン系重合体である場合、その軟化温度は140〜170℃である。この場合、熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、上記温度差を有した上で110〜230℃が好ましく、140〜210℃がより好ましい。更に、最大膨張温度は170〜235℃が好ましく、190〜210℃がより好ましい。
一方、上記(2)の場合、即ち、溶融工程と膨張工程と同時に行う場合には、熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、熱可塑性樹脂繊維の軟化温度に対して−30〜+60℃(より好ましくは−10〜+40℃)の範囲とすることが好ましい。
本発明においては、熱膨張性カプセルを用いることで軽量化と高強度化とを同時に極めて効果的に達することができる。その理由は定かではないが以下のように考えることができる。即ち、分散工程においてマットの補強繊維同士で形成された間隙に均一に分散して配置された熱膨張性カプセルは、膨張工程で加熱されて内包された発泡剤が膨張すると共に、殻壁が軟化されて上記間隙内で押し広げられる。そして、殻壁は間隙を構成している補強繊維に押し付けられ、加熱温度が上昇されて殻壁を構成する熱可塑性樹脂が溶融することで補強繊維同士を間隙の内側から広範囲に結着する。即ち、熱可塑性樹脂繊維が溶融されると補強繊維との交絡点で結着されるのに対して、熱膨張性カプセルは複数の補強繊維同士を殻壁により面状に一気に結着できる。従って、少量の熱可塑性樹脂を効率よく補強繊維の結着に利用でき、補強繊維の結着に寄与される熱可塑性樹脂量を減少させつつ、補強繊維同士の結着量が増加されて高強度化されるものと考えられる。
上記供給工程では、各熱膨張性カプセルは、マットの表裏いずれか一面に供給される。この供給方法は、マット表面に対して熱膨張性カプセルを供給できればよく、どのような方法を用いてもよい。例えば、(1)静電塗布法を用いて、熱膨張性カプセルとマットの供給面とを各々異なる極性に帯電させることで、熱膨張性カプセルをマットの供給面に対して供給してもよく、(2)マットの供給面を下方に配置し、熱膨張性カプセルを上方から落下させて供給してもよく、(3)気流に熱膨張性カプセルを乗せてマットの供給面に付着させることで供給してもよく、(4)更にその他の方法で供給してもよい。また、これらの(1)〜(4)の方法は併用してもよい。
これらの方法のなかでは、上記(1)又は(2)が好ましく、更には、供給ロスを減らすことができるために上記(1)が特に好ましい。また、特にマットの補強繊維として植物性繊維を用いる場合にはとりわけ上記(1)の方法が好ましい。植物性繊維は無機繊維と異なり、平均10%程度の水分率を有することから、より容易に帯電させることができ、熱膨張性カプセルをより確実に付着させることができるからである。
上記(1)の供給方法では、静電塗布する前の熱膨張性カプセルは、陽極及び陰極のいずれに帯電させてもよいが、陽極に帯電させた場合、マットは対極である陰極に帯電させる。なかでも、直流電圧により帯電させた熱膨張性カプセルを、接地したマットの供給面に対して吐出し、静電引力により付着させることが好ましい。
また、静電塗布を行う場合に用いる静電塗布装置の形態は特に限定されないが、例えば、(1)熱膨張性カプセルを帯電させるための帯電手段と、帯電された熱膨張性カプセルをマットに対して吐出するための吐出手段と、を備えた装置を用いることができる。また、(2)帯電されていない熱膨張性カプセルを吐出するための吐出手段と、吐出された熱膨張性カプセルに、上記吐出手段の外部に設けられて熱膨張性カプセルを帯電させる帯電手段とを備えた装置を用いることができる。これらの装置はいずれを用いてもよく、一方のみを用いてもよく併用してもよい。また、上記帯電手段としては、コロナ帯電装置、摩擦帯電装置等が挙げられる。これらについても単用しても併用してもよい。
更に、各熱膨張性カプセルの塗布に際して、その吐出量、上記マットへのエア流量、塗布時間等は、適宜、調整される。なかでも、静電塗布を行う際のエア流量は、1〜10m/時間とすることが好ましく、3〜6m/時間とすることがより好ましい。エア流量が上記範囲にあると、上記熱膨張性カプセルを、ロスを低減させつつマットに効率よく保持させることができ、最終的に得られる繊維複合体が軽量性に優れるとともに、剛性にも優れる。
上記(2)の方法としては、いわゆるシンター機を用いる供給方法が挙げられる。即ち、シンター機とは、表面にローレット加工等による凹凸加工が施されたローラの上方から熱膨張性カプセルを落下させると、熱膨張性カプセルはローラ表面の上記凹部に捉えられ、ローラが回転して当該凹部が下方に向くことで落下される仕組みを有する機械である。このシンター機では凹部の大きさと密度により供給量を調整することができる。
この供給工程における各熱膨張性カプセルの供給量は特に限定されず、目的により適宜の量とすればよいが、通常、マット全体を100質量%とした場合に、各熱膨張性カプセルを合計で1〜15質量%供給することが好ましい。ここでいう供給量とは実際にマットに保持された量であり、供給後に飛散したり、マットを透過して下方に落下したり、回収された熱膨張性カプセルは含まれていない。この供給量は3〜12質量%とすることがより好ましく、更に好ましくは5〜10質量%である。
更に、熱膨張性カプセルの供給を行うマットの上記一面は、マットの厚み方向を上下に配置した場合に、通常、上面である。即ち、各熱膨張性カプセルはマットの上面に供給することが好ましい。これにより熱膨張性カプセルの供給方法に関わらず供給し易くなり、更に供給された後に熱膨張性カプセルが飛散することを抑制でき、結果として熱膨張性カプセルのロスを抑えることができる。
尚、上記熱膨張性カプセルの供給は、複数種類の熱膨張性カプセルを混合して熱膨張性カプセル混合体としたものを供給してもよいし、熱膨張性カプセルの種類毎に分けて供給してもよい。
上記「分散工程」は、マットの一面を押圧することにより、マットの一面に供給された熱膨張性カプセルをマットの他面側へ向かって分散させる工程である。例えば、マットの厚み方向を上下に配置し、マットの上面に熱膨張性カプセルを供給した場合には、マットの下面側に向かって熱膨張性カプセルをマット内に分散させる工程である。
上記「押圧」は、マットの上記一面を押さえつけることである。マットを一面から押圧することで、マットの一面に供給された熱膨張性カプセルがマット内に押し込まれる。
この押圧を行う方法(押圧方法)は特に限定されず、上記効果を得ることができればよい。例えば、押圧手段としてローラを用いて押圧してもよく、平板状の錘を一面に載置して押圧してもよく、その他の方法で押圧してもよいが、これらのなかではローラを用いることが好ましい。ローラは、製造ラインの流れのなかで用いることができ、製造工程上、特に好ましい。
上記ローラを用いる形態として、具体的には、例えば、固定台に固定されたマットの一面を可動式のローラで押圧する形態や、マットをコンベアで移動させながら、コンベアの移動方向へマットが進むように回転されたローラでマットの一面を押圧して行う形態等を挙げることができる。
ローラによる押圧の条件は特に限定されないが、ローラ直下におけるマット厚が、マット全体の厚さの5〜80%(より好ましくは10〜70%、更に好ましくは20〜50%)となるように押圧を行うことが好ましい。上記範囲では、熱膨張性カプセルをマット内に押し込む効果がとりわけ高い。
更に、ローラを用いる場合、利用するローラの数及び大きさは特に限定されない。例えば、ローラは1つのみを用いてもよく、2つ以上を用いてもよい。更に、2つ以上を用いる場合には各々同じ大きさのローラを用いてもよく、異なる大きさのローラを併用してもよい。更に、ローラは、少なくとも直径1cm以上(通常、20cm以下)のものを用いることが好ましい。ローラの直径が1cm以上であれば、熱膨張性カプセルをマット内に押し込む作用が特に効果的に得られるからである。
上記「溶融工程」は、マットを構成する上記熱可塑性樹脂繊維を溶融する工程である。また、上記「膨張工程」は、マット内に分散された熱膨張性カプセルを加熱して膨張させる工程である。
これら2つの工程は、順不同で行うことができる。即ち、(1)溶融工程を先に行い、次いで、膨張行程を後に行ってもよく、(2)溶融工程と膨張工程とを同時に行ってもよく、(3)膨張工程を先に行い、次いで、溶融工程を後に行ってもよい。これらのなかでは、上記(1)又は(2)が好ましい。
更に、上記(1)の場合であって、且つ、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化点が、熱膨張性カプセルの膨張開始温度よりも低い場合には、溶融工程は、加圧して熱膨張性カプセルの膨張を抑制しつつ、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化点以上且つ熱膨張性カプセルの膨張開始温度を超えない温度に加熱して行うことで、熱膨張性カプセルを膨張させずにマット内に残存させながら、補強繊維が熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂により結着されてなる成形体(マット及びボード等)を得ることができる。即ち、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂により結着された補強繊維の間隙に熱膨張性カプセルが分散して含有された成形体(以下、「膨張前成形体」という)を得ることができる。この膨張前成形体は、膨張させた状態の膨張後成形体に比べると体積が小さいために、輸送コスト及び保存コスト等を低減できる。更に、この膨張前成形体を、その後、膨張工程に供した場合は、上記(2)の場合に比べるとより厚さ及び密度等をコントロールし易い。
この溶融工程では、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂を溶融することができればよく、通常、少なくとも加熱を行う。更に、溶融工程では、加熱と併せて加圧を行うこともできる。加圧を行うことで、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂と補強繊維との結着性をより向上させると共に、得られる繊維複合体の厚さを自在に制御することができる。また、上記(1)のように溶融工程を先に行い、次いで、膨張行程を後に行う場合には、熱膨張性カプセルの膨張をより確実に抑止できる。加熱の際の加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の種類により適宜の温度(少なくとも熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化点以上)とすることができる。更に、加圧を行う際には、加熱及び加圧のいずれを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。また、加圧を行う際の加圧圧力は、例えば、1〜10MPaとすることができ、1〜5MPaが好ましい。
上記膨張工程では、熱膨張性カプセルを膨張させることができればよく、加熱条件等は特に限定されない。
また、膨張工程では、得られる繊維複合体の成形を同時に行うことができる。即ち、厚さ及び形状を制御することができる。例えば、膨張前成形体を膨張工程において十分に膨張させた上で、膨張後成形体を加圧圧縮して所望の厚さの繊維複合体を得ることもできる(即ち、成形工程を備える)が、膨張工程において、熱膨張性カプセルを膨張させる際に所望厚さのクリアランスを維持できる金型を用いて膨らみを適度に拘束しつつ、熱可塑性樹脂の温度を低下させることで、所望の厚さの繊維複合体を得ることができる。更に、金型に所望の凹凸形状を付与することで、凹凸形状を有する繊維複合体を得ることもできる。
以下、図3〜5を用いて、本方法における溶融工程、膨張工程及び成形工程の工程順を説明する。
図3は、溶融工程、膨張工程及び成形工程を、全て別装置を用いて別工程として行った場合を模式的に示している。即ち、溶融工程では、溶融手段61として熱間プレス機を用いて、熱膨張性カプセルが分散含有されたマット15を加圧しながら、熱膨張性カプセルを膨張させることなく、熱可塑性樹脂繊維を溶融する。従って、この溶融工程の後には、膨張されていない熱膨張性カプセルが分散含有されながら、補強繊維は、熱可塑性樹脂繊維に由来する熱可塑性樹脂により結着されてなる繊維複合体(膨張前繊維複合体16)が得られる。その後、膨張手段62としてオーブン等の各種炉を用いて、熱膨張性カプセルを膨張させることで、補強繊維が、熱可塑性樹脂繊維に由来する熱可塑性樹脂と、熱膨張性カプセルを構成していた殻壁に由来する熱可塑性樹脂と、の両方により結着された膨張後繊維複合体17が得られる。次いで、膨張後繊維複合体17を構成する熱可塑性樹脂の可塑性が失われない温度で、成形手段63として冷間プレス機を用いて成形を行うことで、繊維複合体(膨張後繊維複合体17)からなる成形体が得られることとなる。尚、膨張工程の後に除熱されて可塑性が失われた場合には、再度加熱を行って賦形を行うこともできる。
図4は、溶融工程、膨張工程及び成形工程のうちの、溶融工程と膨張工程とを同じ装置を用いて同じ工程(連続的な工程)で行った場合を模式的に示している。即ち、溶融工程では、溶融手段61として熱間プレス機を用いて、熱膨張性カプセルが分散含有されたマット15を加圧しながら、熱膨張性カプセルを膨張させることなく、熱可塑性樹脂繊維を溶融し、膨張前繊維複合体16を得る。その後、膨張手段62として溶融工程61で用いた熱間プレス機をそのまま用い、金型間に所望のクリアランスが形成されるようにコアバック動作をとって熱膨張性カプセルを膨張させることで、補強繊維が、熱可塑性樹脂繊維に由来する熱可塑性樹脂と、熱膨張性カプセルを構成していた殻壁に由来する熱可塑性樹脂と、の両方により結着された膨張後繊維複合体17が得られる。次いで、膨張後繊維複合体17を構成する熱可塑性樹脂の可塑性が失われない温度で、成形手段63として冷間プレス機を用いて成形を行うことで、繊維複合体(膨張後繊維複合体17)からなる成形体が得られることとなる。尚、膨張工程の後に除熱されて可塑性が失われた場合には、再度加熱を行って賦形を行うこともできる。
図5は、溶融工程、膨張工程及び成形工程のうち、膨張工程と成形工程とを同じ装置を用いて同じ工程(連続的に行う工程)で行った場合を模式的に示している。即ち、溶融工程では、溶融手段61として熱間プレス機を用いて、熱膨張性カプセルが分散含有されたマット15を加圧しながら、熱膨張性カプセルを膨張させることなく、熱可塑性樹脂繊維を溶融し、膨張前繊維複合体16を得る。その後、必要に応じて適度な可塑性が得られる程度(熱膨張性カプセルは膨張させず)に加熱した上記膨張前繊維複合体16を、膨張手段62である成形金型を備えた熱間プレス機に投入し、成形金型間に所望のクリアランスを維持しつつ加熱して熱膨張性カプセルを膨張させる(即ち、膨張後繊維複合体17が形成される)。引き続いてプレスを行うことで繊維複合体(膨張後繊維複合体17)からなる成形体を得ることができる。
尚、図3〜5では、いずれも溶融工程では、熱膨張性カプセルを膨張させないように加圧して熱可塑性樹脂繊維の溶融を行ったものとしているが、この加圧を行わないことにより、熱可塑性樹脂繊維の溶融と同時に、熱膨張性カプセルの膨張を行うこともできる。
本方法では、上記供給工程、分散工程、溶融工程及び膨張工程以外にも他の工程を備えることができる。他の工程としては、熱膨張性カプセルを吸引回収する吸引回収工程を挙げることができる。吸引回収工程を備える場合、吸引回収工程は、(1)供給工程と同時に行ってもよく、(2)分散工程と同時に行ってもよく、(3)供給工程と分散工程との間に行ってもよく、(4)分散工程の後に行ってもよい。即ち、吸引回収工程は、上記(1)〜(4)の間を通して行ってもよく、必要な工程においてのみ行ってもよい。吸引工程を備える場合は、熱膨張性カプセルのロスを更に効果的に抑制して、熱膨張性カプセルを有効に活用することができる。
本発明の製造方法により得られる繊維複合体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この繊維複合体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]繊維複合体の製造(実施例1)
実施例1の繊維複合体を以下のようにして製造した(図1、2参照)。
(1)マットの製造
補強繊維として植物性繊維(ケナフ繊維)を用いたマットを、図1に示すマット製造装置を用いて製造した。このマット製造装置では、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維の混合繊維を2機のエアレイ装置(第1エアレイ装置及び第2エアレイ装置)を用いて2つのウェブ(第1ウェブ及び第2ウェブ)を調製し、これらのウェブを積層した後、ニードルパンチを行って2層のウェブ同士を交絡させて1層のマットを製造する装置である。更に、図1に示すように、このマット製造装置の後端には、得られたマットを切断する装置、及び熱膨張性カプセルを供給し、これをマット内に分散させる熱膨張性カプセル供給分散装置が連結されている(図2参照)。
具体的には、補強繊維として、植物性繊維(ケナフ繊維、平均径0.09mm、平均繊維長70mm)を用い、熱可塑性樹脂繊維として、ポリプロピレン繊維(日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックSA01」、平均径0.02mm、平均繊維長51mm)を用い、これらを質量比40:60で混合し、得られた混合物(ケナフ繊維・ポリプロピレン繊維混合物)1、4を第1貯蔵部(図示せず)及び第2貯蔵部(図示せず)に収容した。次いで、収容された混合物1、4を、第1貯蔵部及び第2貯蔵部に接続された第1繊維供給部2及び第2繊維供給部5から、第1エアレイ装置3及び第2エアレイ装置6に一定の供給量で連続的に供給し、その後、3.2m/秒の速度で回動する搬送コンベア10上に堆積させ、各々の厚さが約75mmの第1ウェブ7(下層側ウェブ)と第2ウェブ8(上層側ウェブ)とが積層されてなる厚さ約150mmの積層ウェブ9を形成した。
次いで、第1交絡手段(ニードルパンチ加工装置)11を用いて、搬送される積層ウェブ9の上方から、即ち、第2ウェブ8の側(上面側)から、針密度70本/cm、針深度10mmの条件でニードリングした。そして、同条件にて、第2交絡手段(ニードルパンチ加工装置)12を用いて、積層ウェブ9の下方から、即ち、第1ウェブ7の側(底面側)から同条件でニードリングし、厚さ約8mm、目付1000g/mの繊維マットを作製した。その後、カッター13により繊維マットを裁断し、交絡物14(1300×800×8mm)を得た。
(2)供給工程
上記(1)で得られた交絡物14は、マット製造装置に連結された熱膨張性カプセル供給装置22へ引き続いて搬送される(図2参照)。
この熱膨張性カプセル供給装置22では、交絡物14の一面に対して熱膨張性カプセルが供給される。
本実施例では、熱膨張性カプセル供給装置22として静電塗布装置が用いられており、直流高電圧により帯電された熱膨張性カプセルをスプレー(吐出)して、静電引力により交絡物14の一面に供給・付着させることができる。
具体的には、交絡物14の一面に下記(a)〜(c)の3種の熱膨張性カプセルを混合した熱膨張性カプセル混合体23を、静電塗装装置{(ランズバーグ・ゲマ社製、品名「オプティフレックス1S(撹拌式)ハンドガンユニット」}を用いて静電塗布した。
塗布条件は、ガンヘッド先端部から交絡物14までの距離を約30cmとし、塗布ガン印可電圧を−100kV、電流値を22μA、エア流量を4.0m/時間、吐出量を40%、リンスエアーを0.1m/時間、搬送コンベア21の搬送速度3m/分とした。
(a)松本油脂製薬株式会社製、品名「熱膨張性カプセルA」、平均質量3.5×10−8g、平均粒径40μm、膨張開始温度215℃、最大膨張温度220℃
(b)松本油脂製薬株式会社製、品名「熱膨張性カプセルB」、平均質量6.9×10−8g、平均粒径50μm、膨張開始温度215℃、最大膨張温度220℃
(c)松本油脂製薬株式会社製、品名「熱膨張性カプセルC」、平均質量1.2×10−7g、平均粒径60μm、膨張開始温度215℃、最大膨張温度225℃
尚、熱膨張性カプセル混合体23における各カプセルの混合割合(質量比)[(a):(b):(c)]は4:2:1であり、この熱膨張性カプセル混合体23の塗布量は、交絡物14に対して7質量%である。
(3)分散工程
上記(2)で熱膨張性カプセル混合体23が供給された交絡物(熱膨張性カプセル分散マット15)は、固定台24に固定され、押圧手段25を用いた分散工程に供される。
具体的には、この分散工程では、交絡物14を固定台24に固定した後、クロムメッキを施したφ50の可動式のローラ(押圧手段)25を用いて、マット厚みが50%圧縮される圧力(0.4MPa)にて、速度6m/minで25回往復させることにより、交絡物中にカプセル混合体が分散された熱膨張性カプセル分散マット15を得た。
尚、この分散工程により、マット表面に白く付着されていた熱膨張性カプセルが内部に分散されてマット表面から白さがなくなったことが確認された。また、質量測定により、マット内に、マット全体質量100質量部に対して7質量部の熱膨張性カプセルが含有されたことが確認された。
(4)溶融工程
上記(3)で得られた熱膨張性カプセル分散マット15をテフロンシート(厚さ;0.3mm)に挟み、加熱プレス装置の平板金型内で溶融工程に供した。この加熱プレスは、型温度210℃、プレス圧力1MPa、加熱時間60秒の条件にて行った。尚、この際、被加熱プレス物の内部温度は210℃まで上昇させた。
その後、冷却プレスにより、2MPaの圧力で25℃になるまで60秒間冷却して、板厚2.3mm、目付1000g/mの膨張前繊維複合体16を得た。即ち、この膨張前繊維複合体内部では、熱可塑性樹脂繊維は溶融されて補強繊維同士を結着した状態にあるものの、加圧により熱膨張性カプセル混合体23は膨張されていない状態にある。
(5)膨張工程及び成形工程
上記(4)で得られた膨張前繊維複合体16を、235℃に設定されたオーブンで加熱し(加熱時間;120秒)、オーブン内で熱膨張性カプセルを膨張させた。その後、冷却プレスにより、2MPaの圧力で25℃になるまで60秒間冷却して、板厚4mm、目付1000g/mの繊維複合体17を得た。
[2]比較品の製造
(2−1)比較例1
熱膨張性カプセル混合体の代わりに、上記(a)の熱膨張性カプセルを1種のみ用いたこと以外は、上記[1]と同様の条件にて、板厚4mm、目付1000g/mである比較例1の繊維複合体を得た。
尚、熱膨張性カプセル(a)の塗布量は、交絡物14に対して7質量%である。
(2−2)比較例2
熱膨張性カプセル混合体の代わりに、上記(b)の熱膨張性カプセルを1種のみ用いたこと以外は、上記[1]と同様の条件にて、板厚4mm、目付1000g/mである比較例2の繊維複合体を得た。
尚、熱膨張性カプセル(b)の塗布量は、交絡物14に対して7質量%である。
(2−3)比較例3
熱膨張性カプセル混合体の代わりに、上記(c)の熱膨張性カプセルを1種のみ用いたこと以外は、上記[1]と同様の条件にて、板厚4mm、目付1000g/mである比較例3の繊維複合体を得た。
尚、熱膨張性カプセル(c)の塗布量は、交絡物14に対して7質量%である。
[3]実施例1及び比較例1〜3の繊維複合体における熱膨張性カプセルの分散具合
繊維複合体を板厚方向に切断し、電子顕微鏡で得られた断面を観察することにより、熱膨張性カプセルの分散具合を評価した。その結果を下記に示す。
「分散具合」
実施例1;熱膨張性カプセルが各層に平均して分散していた。
比較例1;熱膨張性カプセルが上層に偏在していた。
比較例2;熱膨張性カプセルが中間層に偏在していた。
比較例3;熱膨張性カプセルが下層に偏在していた。
[4]実施例1及び比較例1〜3の繊維複合体の機械的特性
JIS K7171に準じて、最大曲げ荷重を測定した。この測定に際しては、含水率約10%の状態における試験片(長さ150mm、幅50mm及び厚さ4mm)を用いた。そして、試験片を支点間距離(L)100mmとした2つの支点(曲率半径5.0mm)で支持しながら、支点間中心に配置した作用点(曲率半径3.2mm)から速度50mm/分にて荷重の負荷を行って特性の測定を行った。その結果を下記に示す。
「最大曲げ荷重」
実施例1;52N
比較例1;33N
比較例2;47N
比較例3;38N
上記の結果によれば、熱膨張性カプセルを1種のみ用いた比較例1〜3の繊維複合体では、熱膨張性カプセルが均一に分散しておらず、上層、中間層及び下層のいずれかに熱膨張性カプセルが偏在していた。そして、最大曲げ荷重が33〜47Nであり、機械的特性が不十分であった。
これに対して、3種の熱膨張性カプセルからなる熱膨張性カプセル混合体を用いた実施例1の繊維複合体では、各層に熱膨張性カプセルが均一に分散しており、最大曲げ荷重が52Nであり、機械的特性に優れていることが確認できた。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
本発明の繊維複合体の製造方法は、自動車等の車両関連分野、船舶関連分野、航空機関連分野、建築関連分野等において広く利用される。本発明の繊維複合体の製造方法により得られた繊維複合体は、上記分野における内装材、外装材、構造材等として好適である。このうち上記車両関連分野のなかでも、自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
1;混合物、2;第1繊維供給部、3;第1エアレイ装置、4;混合物、5;第2繊維供給部、6;第2エアレイ装置、7;第1ウェブ、8;第2ウェブ、9;積層ウェブ、10;搬送コンベア、11;第1交絡手段(第1ニードリング装置)、12;第2交絡手段(第2ニードリング装置)、13;カッター、14;交絡物、15;熱膨張性カプセル分散マット、16;膨張前繊維複合体、17;繊維複合体(膨張後繊維複合体)、21;搬送コンベア、22;粉体塗布手段(熱膨張性カプセル供給装置)、23;熱膨張性カプセル混合体、24;固定台、25;押圧手段(ローラ)、61;溶融手段、62;膨張手段、63;成形手段。

Claims (3)

  1. 補強繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維複合体の製造方法であって、
    前記補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とが含まれたマットの表裏いずれか一面に、熱可塑性樹脂からなる殻壁を有する熱膨張性カプセルを供給する供給工程と、
    前記マットの一面を押圧することにより、該マットの一面に供給された前記熱膨張性カプセルを該マットの他面側へ向かって分散させる分散工程と、
    前記マットを構成する前記熱可塑性樹脂繊維を溶融する溶融工程と、
    前記マット内に分散された前記熱膨張性カプセルを加熱して膨張させる膨張工程と、を備えており、
    前記補強繊維は、植物性繊維及び無機繊維のうちの少なくとも一方であり、
    前記熱膨張性カプセルとしては、一粒当たりの平均質量が異なる熱膨張性カプセルを複数種用いており、一粒当たりの平均質量が最も大きい熱膨張性カプセルと、一粒当たりの平均質量が最も小さい熱膨張性カプセルとの一粒当たりの平均質量の差が、絶対値で、1.0×10 −8 〜1.0×10 −6 gであり、
    一粒当たりの平均質量が異なる熱膨張性カプセルの複数種間では、一粒当たりの平均粒径が異なっており、複数種の熱膨張性カプセルの配合比は、一粒当たりの平均粒径が小さい熱膨張性カプセルの種類ほど大きいことを特徴とする繊維複合体の製造方法。
  2. 前記供給工程における前記熱膨張性カプセルの供給では、複数種類の熱膨張性カプセルを混合して熱膨張性カプセル混合体としたものを供給する請求項1に記載の繊維複合体の製造方法。
  3. 前記熱膨脹性カプセルの一粒当たりの平均密度は、0.5〜1.5g/cm である請求項1又は2に記載の繊維複合体の製造方法。
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