JP5399983B2 - 繊維成形体の製造方法及び熱膨張性カプセル配合体 - Google Patents

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本発明は、繊維成形体の製造方法及び熱膨張性カプセル配合体に関する。更に詳しくは、植物性繊維、熱膨張性カプセルが膨張してなる膨張カプセル及びそれらを結着している熱可塑性樹脂を含有し、軽量であり、且つ十分な剛性を有する繊維成形体を効率よく製造することができる繊維成形体の製造方法、及びこのような繊維成形体の製造に有用な熱膨張性カプセル配合体に関する。
従来、自動車のドアトリム等の車両用部材に用いられる繊維基材として、天然繊維及び熱可塑性樹脂繊維を用いてなり、これらの配合比率が、厚さ方向に変化している繊維基材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、天然繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合物を交絡させ、圧縮成形してなる繊維基材も知られている。この繊維基材は、例えば、エアレイ装置により、搬送コンベア上に各々の繊維を供給し、交絡及び加熱圧縮等の工程を経て製造されている。
特開2002−105824号公報
近年、環境問題に配慮し、燃費の向上等のため、車両用部材等に対する軽量化の要望が高まっている。この軽量化のためには、例えば、繊維基材の目付を小さくする等の方法があるが、目付を小さくすると十分な剛性を有する部材とすることができないという問題がある。更に、基材の目付が小さい場合、例えば、目付が1500g/m以下の部材では、深絞り成形が困難になることがある。
本発明は、前記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、植物性繊維、熱可塑性樹脂繊維、及び熱膨張性カプセル配合体(以下、「配合体」と略記することもある。)を用いてなり、植物性繊維、膨張カプセル及びそれらを結着している熱可塑性樹脂を含有し、軽量であり、且つ十分な剛性を有する繊維成形体を効率よく製造することができる繊維成形体の製造方法、及びこのような繊維成形体の製造に有用な熱膨張性カプセル配合体に関する。
車両用部材等の製造時に、原料繊維に熱膨張性カプセルを配合し、この熱膨張性カプセルが膨張してなる膨張カプセルを含有する部材とすれば、軽量化することができると考えられる。しかし、例えば、エアレイ法により、熱膨張性カプセルを繊維と均一に分散させ、堆積させることはできず、均質な部材とすることはできない。そこで、熱膨張性カプセルを予め熱可塑性樹脂に配合し、糸状の配合体とし、これを植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維とともに堆積させてウェブを形成し、ニードリングして繊維マットとし、これを加熱圧縮成形することにより、軽量であり、且つ十分な剛性を有する均質な部材(繊維成形体)を製造し得ることが見出された。
本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
本発明は以下のとおりである。
1.植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有するウェブを形成し、その後、該ウェブをニードリングして繊維マットを形成し、次いで、該繊維マットを加熱圧縮成形して成形体とする繊維成形体の製造方法であって、
前記ウェブの形成時に、前記植物性繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維とともに、熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルが配合された熱膨張性カプセル配合体を供給して該ウェブを形成しており、
前記熱膨張性カプセル配合体はフィルム状であり、
前記ウェブをエアレイ法により形成していることを特徴とする繊維成形体の製造方法。
2.前記熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、前記熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度と同じであるか、又はそれより高い温度である前記1.に記載の繊維成形体の製造方法。
3.前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリプロピレン繊維であり、
前記熱膨脹性カプセルに内包される低沸点液体は、イソオクタンを含む前記2.に記載の繊維成形体の製造方法。
.前記熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が捲縮糸である前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
5.前記熱可塑性樹脂繊維と前記熱膨張性カプセル配合体との合計を100質量%とした場合に、該熱膨張性カプセル配合体は20〜80質量%である前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
6.前記熱可塑性樹脂と前記熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、該熱膨張性カプセルは1〜65質量%である前記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
7.植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維とともに、熱膨張性カプセル配合体を供給して、前記植物性繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維を含有するウェブをエアレイ法により形成し、その後、該ウェブをニードリングして繊維マットを形成し、次いで、該繊維マットを加熱圧縮成形して成形体とする繊維成形体の製造方法において用いられる熱膨脹性カプセル配合体であって、
熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルが配合されてなり、フィルム状であることを特徴とする熱膨張性カプセル配合体。
8.前記熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、前記熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度と同じであるか、又はそれより高い温度である前記7.に記載の熱膨張性カプセル配合体。
9.前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリプロピレン繊維であり、
前記熱膨脹性カプセルに内包される低沸点液体は、イソオクタンを含む前記8.に記載の熱膨張性カプセル配合体。
10.厚さ方向の寸法が20〜500μmである前記7.又は.に記載の熱膨張性カプセル配合体。
11.前記熱可塑性樹脂と前記熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、該熱膨張性カプセルは1〜65質量%である前記7.乃至10.のうちのいずれか1項に記載の熱膨張性カプセル配合体。
12.前記熱膨張性カプセルの平均径が5〜100μmである前記7.乃至11.のうちのいずれか1項に記載の熱膨張性カプセル配合体。
13.前記熱膨張性カプセルには低沸点液体が内包され、該熱膨張性カプセルを100質量%とした場合に、該低沸点液体は5〜60質量%である前記7.乃至12.のうちのいずれか1項に記載の熱膨張性カプセル配合体。
本発明の繊維成形体の製造方法によれば、植物性繊維間、熱膨張性カプセルが膨張してなる膨張カプセル間、及び植物性繊維と膨張カプセルとの間、が熱可塑性樹脂繊維が溶融してなる熱可塑性樹脂により結着され、植物性繊維及び膨張カプセルが熱可塑性樹脂により固定されてなる繊維成形体を容易に、且つ効率よく製造することができる。また、熱膨張性カプセルが配合された熱膨張性カプセル配合体を用いた乾式法であるため、熱膨張性カプセルがウェブの空隙から漏出することがなく、繊維成形体を容易に、且つ効率よく製造することができる。更に、繊維成形体には、その全体に膨張カプセルが均一に分散し、含有されているため、膨張カプセルが含有されていない、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを用いてなる繊維成形体と比べて、軽量であり、且つ十分な剛性を有する。また、本発明の方法により製造された繊維成形体は、ガラス繊維等の無機系強化材を配合しなくても、十分に高い剛性を有する。
また、ウェブがエアレイ法により形成されるため、熱膨張性カプセル配合体をウェブ内に容易に、且つ均一に分散させ、含有させることができる。
更に、熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が捲縮糸である場合は、熱可塑性樹脂繊維と熱膨張性カプセル配合体とを十分に絡合させることができ、熱膨張性カプセル配合体の脱落を十分に抑えることができる。
更に、熱可塑性樹脂繊維と熱膨張性カプセル配合体との合計を100質量%とした場合に、熱膨張性カプセル配合体が20〜80質量%である場合は、十分に軽量な繊維成形体とすることができ、植物性繊維間、膨張カプセル間、及び植物性繊維と膨張カプセルとの間、を強固に結着させることもでき、十分な剛性を有する繊維成形体とすることができる。
また、熱可塑性樹脂と熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、熱膨張性カプセルが1〜65質量%である場合は、この熱膨張性カプセルの膨張により、十分に軽量であり、且つ優れた剛性を有する繊維成形体とすることができる。
尚、本発明の繊維成形体の製造方法では、低目付の繊維マットであっても、この繊維マットを深絞り成形して、目付が1500g/m以下であり、軽量であって、且つ十分な剛性を有する繊維成形体を製造することができる。
本発明の熱膨張性カプセル配合体は、熱可塑性樹脂と容易に混合し、含有させることができ、成形時に膨張させることで、各種の樹脂成形体等の軽量化に有用である。
更に、厚さ方向の寸法が20〜500μmである場合は、熱可塑性樹脂への配合が容易であり、シート状等であることが多い樹脂成形体などの製造に用いたときに、優れた外観等を有し、且つ均質な樹脂成形体等とすることができる。
更に、熱可塑性樹脂と熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、熱膨張性カプセルが1〜65質量%である場合は、熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルを容易に配合し、含有させることができ、配合体を効率よく作製することができる。
また、熱膨張性カプセルの平均径が5〜100μmである場合、及び熱膨張性カプセルには低沸点液体が内包され、熱膨張性カプセルを100質量%としたときに、低沸点液体が5〜60質量%である場合は、十分に軽量化され、且つ十分な剛性を有する樹脂成形体等とすることができる。
実施例1で繊維マットの作製に用いた装置の模式的な説明図である。 (a)は熱膨張性カプセル配合体の作製に用いた超細幅スリッティング装置の模式的な説明図である。また、(b)は細幅に裁断する装置が備える刃付き上部ロール及び溝付き下部ロールを正面からみた模式図である。 ウェブの断面の模式的な説明図である。 本発明の方法により製造された繊維成形体の断面の模式的な説明図である。
以下、本発明を図を参照しながら詳しく説明する。
[1]繊維成形体の製造
本発明の繊維成形体の製造方法では、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有するウェブを形成し、その後、ウェブをニードリングして繊維マットを形成し、次いで、繊維マットを加熱圧縮成形して成形体とする繊維成形体の製造方法であって、ウェブの形成時に、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維とともに、熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルが配合された熱膨張性カプセル配合体を供給してウェブを形成する。
前記「植物性繊維」は、植物に由来する繊維である。この植物性繊維としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、針葉樹(杉、檜等)、広葉樹及び綿花などの各種の植物が有する繊維が挙げられる。この植物性繊維は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有し、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献することができるケナフが有する繊維が好ましい。また、植物のうちの用いる部位は特に限定されず、非木質部、木質部、葉部、茎部及び根部等の植物を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよいし、2箇所以上の異なる部位を併用してもよい。
ケナフは木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。このケナフとしては、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等、並びに通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が挙げられる。植物性繊維としてケナフが有する繊維を用いる場合、強靱な繊維を有する靭皮と称される外層部分を用いることができる。また、植物性繊維としては、ジュート麻も好ましく、このジュート麻としては、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)等のシナノキ科の植物などが挙げられる。
植物性繊維の繊維長は、通常、10mm以上である。繊維長が10mm以上であれば、より高い機械的特性(曲げ強さ及び曲げ弾性率等を意味する。以下同様である。)を有する繊維成形体とすることができる。この繊維長は、10〜150mm、特に20〜100mm、更に30〜80mmであることが好ましい。繊維長は、JIS L1015における直接法と同様にして植物性繊維を伸張させずに真っ直ぐに延ばし、置尺上で測定した値である。また、植物性繊維の繊維径は、通常、1mm以下である。繊維径が1mm以下であれば、特に高い曲げ強さを有する繊維成形体とすることができる。この繊維径は、0.01〜1mm、特に0.05〜0.7mm、更に0.07〜0.5mmであることが好ましい。繊維径は、繊維長を測定した植物性繊維について、繊維の長さ方向の中央部における径を光学顕微鏡を用いて測定した値である。
尚、植物性繊維の形状は特に限定されず、直線状、曲線状及び螺旋状等のいずれであってもよい。
更に、植物性繊維の平均繊維長及び平均繊維径も特に限定されないが、平均繊維長は100mm以下(通常、10mm以上)であることが好ましい。平均繊維長が100mm以下の植物性繊維を用いることにより、この植物性繊維と、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体とを含有する均質なウェブを容易に形成することができる。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠する直接法により、単繊維を無作為に1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに延ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。また、植物性繊維の平均繊維径は1000μm以下(通常、10μm以上)であることが好ましい。この平均繊維径は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央部における繊維径を光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
ウェブ形成に用いる植物性繊維として、前記の寸法を外れる繊維が含有されていてもよいが、この好ましい寸法外の繊維の含有量は、植物性繊維全体を100質量%とした場合に、10質量%以下であることが好ましい。これにより、繊維成形体の曲げ強さ等を十分に高く保持することができる。更に、要求性能によっては、植物性繊維に、カーボン繊維、ガラス繊維等を配合し、併用することもでき、これにより、繊維成形体の曲げ強さ等をより向上させることができる。
前記「熱可塑性樹脂繊維」は特に限定されず、各種の熱可塑性樹脂を用いてなる繊維を使用することができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂は、植物性繊維の表面に対する親和性を高めるため、変性された樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂は、紡糸することができれば2種以上を併用してもよいが、1種のみ用いられることが多い。
熱可塑性樹脂繊維としては、ポリオレフィン樹脂繊維及びポリエステル樹脂繊維が好ましく、ポリオレフィン樹脂繊維がより好ましい。
ポリオレフィン樹脂繊維を構成するポリオレフィン樹脂は、未変性のポリオレフィン樹脂であってもよく、変性されたポリオレフィン樹脂であってもよい。未変性のポリオレフィン樹脂である場合、プロピレン単独重合体、エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体等のプロピレン系重合体が好ましい。この共重合体としては、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等が挙げられる。プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体がより好ましい。更に、変性されたポリオレフィン樹脂である場合、例えば、カルボン酸又は酸無水物を用いて酸変性された変性ポリオレフィン樹脂等を用いることができる。
尚、未変性樹脂と変性樹脂とを併用することもできる。
また、ポリエステル樹脂繊維を構成するポリエステル樹脂としては、下記の生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂(以下、単に「生分解性樹脂」ということもある。)が好ましい。
(1)ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル樹脂(乳酸、リンゴ酸、グルコース酸、3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体、及び2種以上の酸を用いた共重合体等)
(2)カプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂(ポリカプロラクトン、上記のヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体等)
(3)二塩基酸ポリエステル樹脂(ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等)
ポリエステル樹脂としては、(a)ポリ乳酸、(b)乳酸と乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、(c)ポリカプロラクトン、及び(d)ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体、が好ましく、ポリ乳酸がより好ましい。これらの生分解性樹脂は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 尚、乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸等が挙げられ、これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、通常、10mm以上である。繊維長が10mm以上であれば、熱可塑性樹脂繊維間が十分に絡合し、且つ植物性繊維及び熱膨張性カプセル配合体の絡合も容易であり、より高い曲げ強さ等を有する繊維成形体とすることができる。この繊維長は、10〜150mm、特に20〜100mm、更に30〜80mmであることが好ましい。この繊維長は植物性繊維の場合と同様にして測定することができる。また、繊維径は、通常、1〜1500μmである。繊維径が1〜1500μmであれば、ウェブ形成時に、熱可塑性樹脂繊維が切断することなく、熱可塑性樹脂繊維、植物性繊維及び熱膨張性カプセル配合体が均一に混合され、含有されるウェブとすることができる。この繊維径は、5〜700μm、特に8〜500μm、更に10〜300μmであることが好ましい。この繊維径も植物性繊維の場合と同様にして測定することができる。
更に、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維長及び平均繊維径も特に限定されないが、平均繊維長は100mm以下(通常、10mm以上)であることが好ましい。平均繊維長が100mm以下の熱可塑性樹脂繊維を用いることにより、この熱可塑性樹脂繊維と、植物性繊維及び熱膨張性カプセル配合体とを含有する均質なウェブを容易に形成することができる。平均繊維長は植物性繊維の場合と同様にして測定することができる。また、平均繊維径は100μm以下(通常、1μm以上)であることが好ましい。この平均繊維径も植物性繊維の場合と同様にして測定することができる。
熱可塑性樹脂繊維の形状は特に限定されず、直線状、曲線状及び螺旋状等のいずれであってもよいが、ウェブ形成時に、直線状である配合体を植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維と十分に絡合させるためには、熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部は捲縮糸であることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維のうちの捲縮糸の割合は特に限定されず、熱可塑性樹脂繊維と配合体との割合等にもよるが、熱可塑性樹脂繊維全体を100質量%とした場合に、10質量%以上、特に30質量%以上であることが好ましい(全量が捲縮糸であってもよい。)。また、捲縮数は100〜100000個/インチ、特に1000〜10000個/インチであることが好ましい。
尚、ウェブ形成に用いる熱可塑性樹脂繊維として、前記の寸法を外れる繊維が含有されていてもよいが、この好ましい寸法外の繊維の含有量は、熱可塑性樹脂繊維全体を100質量%とした場合に、10質量%以下、特に5質量%以下であることが好ましい。これにより、繊維成形体の曲げ強さ等を十分に高く保持することができる。更に、熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂のみを用いてなる繊維でもよいが、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防かび剤及び着色剤等の各種の添加剤が配合された熱可塑性樹脂を用いてなる繊維がより好ましい。
前記「熱膨張性カプセル配合体」は、熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルが分散され、含有されてなる。熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルを含有させる方法は特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱膨張性カプセル、及び必要に応じて各種の添加剤等を、ニーダー及び押出成形機等を用いて、熱可塑性樹脂の融点を超え、且つ熱膨張性カプセルの膨張開始温度未満の温度範囲で加熱し、混合することにより含有させることができる。熱可塑性樹脂は特に限定されず、前記の熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂等の各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。
上記の熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましく、ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。このように、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂、及び熱膨張性カプセルが分散され、含有される熱可塑性樹脂は、いずれもポリオレフィン樹脂であることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂であることがより好ましい。また、この熱可塑性樹脂には、耐熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、安定剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、抗ブロッキング剤、着色剤等の各種の添加剤が配合されていてもよい。
熱膨張性カプセル配合体の形状は、フィルム状であり、径に対して十分に長い長尺体であることが好ましい。径(d、径方向の最大寸法)と長さ(l)との比は特に限定されないが、d/lは0.001〜0.1、特に0.005〜0.05であることが好ましい。また、配合体の寸法は、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維の各々の繊維長及び繊維径と大差のないことが好ましく、径及び長さの範囲は、前記の植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維の各々の繊維長及び繊維径の数値範囲内であることがより好ましい。
熱膨張性カプセル配合体の作製方法も特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱膨張性カプセル、及び必要に応じて各種の添加剤等を、必要に応じて、ドライブレンド等により予備混合し、その後、押出成形機によりフィルムに成形し、次いで、このフィルムを所定幅に裁断し、所定長さにカットして作製することができる。この方法によれば、フィルムの成形厚さ、裁断幅及びカット長により、配合体の寸法を容易に調整することができ、且つ横断面の形状が扁平形状の配合体を効率よく作製することができるため好ましい。
上記のような作製方法では、配合体に、繊維成形体を十分に軽量化させるための所要量の熱膨張性カプセルを容易に含有させることができる。熱膨張性カプセルは、熱可塑性樹脂と熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、1〜65質量%であることが好ましく、5〜50質量%、特に7〜30質量%、更に10〜25質量%であることがより好ましい。熱膨張性カプセルの含有量が1〜65質量%、特に7〜30質量%であれば、十分に軽量化され、且つ十分な剛性を有する繊維成形体とすることができる。
また、上記のような作製方法では、熱膨張性カプセル配合体の寸法は、縦、即ち、フィルムの厚さ方向が、20〜500μm、特に50〜300μm、更に100〜200μm、横、即ち、裁断されたフィルムの幅方向が、200〜1200μm、特に200〜1000μm、長さ、即ち、裁断されたフィルムのカット長が、20〜100mm、特に30〜80mmであることが好ましい。配合体の寸法が、縦20〜500μm、横200〜1200μm、長さ20〜100mmであれば、エアレイ法により、前記の寸法の植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維と容易に、且つ均一に混合させ、堆積させてウェブを形成させることができ、均質な繊維成形体とすることができる。
更に、フィルムを所定幅に裁断し、且つ所定長さにカットする方法は特に限定されず、各種のスリッティング装置を用いることができる。例えば、所定速度で回動する搬送コンベア22上に、熱膨張性カプセルを含有するフィルム21を載せて搬送し、超細幅スリッティングユニット23が有する刃付き上部ロール24と、溝付き下部ロール25との間を挿通させ、刃付き上部ロール24の周面に周方向に立設された刃28と、溝付き下部ロール25の表面部分に周方向に穿設された溝29とによりスリッティングし、その後、所定幅に裁断された紐状のフィルムを、所定の時間間隔で上下するカッター26によりカットし、所定幅であり、且つ所定長さの長尺のフィルム片、即ち、熱膨張性カプセル配合体27を作製することができる(図2参照)。
尚、植物性繊維、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体の各々の寸法を前記のとおりとし、且つ熱可塑性樹脂繊維の質量に対する植物性繊維及び熱膨張性カプセル配合体の各々の質量を調整することにより、熱可塑性樹脂繊維が切断することなく、熱可塑性樹脂繊維、植物性繊維及び熱膨張性カプセル配合体が全体に均一に分散し、含有されるウェブを形成することができる。
前記「熱膨張性カプセル」は、加熱により軟化する外殻と、この外殻に内包された低沸点液体等とを有し、加熱されて体積膨張を生じる材料である。熱膨張性カプセルは、軽量化され、且つ十分な剛性を有する繊維成形体を製造することができる限り、特に限定されない。
熱膨張性カプセルの外殻は、各種の単量体を重合させてなる熱可塑性樹脂により構成される。この単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体[(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。]、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリルアミド系単量体、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド等のマレイミド系単量体、及びエチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフイン系単量体などが挙げられる。
熱膨張性カプセルに内包される低沸点液体は外殻の軟化点以下でガス化する物質であり、例えば、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、n−ブタン、iso−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロオクタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル等の炭素数1〜12の炭化水素が挙げられる。これらのうちでは、脂肪族炭化水素が好ましい。
低沸点液体としては、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素を用いることもできる。また、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン等のテトラアルキルシランを用いることもできる。更に、加熱により熱分解して気体が生成する化合物を用いることもでき、このような化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。
熱膨張性カプセルにおける低沸点液体等の割合は、軽量化され、且つ十分な剛性を有する繊維成形体とするためには、熱膨張性カプセルを100質量%とした場合に、5〜60質量%であることが好ましく、7〜50質量%、特に10〜40質量%、更に15〜30質量%であることがより好ましい。
熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、外殻の材質と内包される低沸点液体の種類によるものであり、特に限定されないが、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度と同じであるか、又はそれより高い温度であることが好ましい。これにより、加熱圧縮成形時に、溶融した熱可塑性樹脂繊維により植物性繊維間が十分に結着され、同時に又はその後、熱膨張性カプセルが膨張し、膨張カプセル間、及び植物性繊維と膨張カプセルとの間も、溶融した熱可塑性樹脂繊維により結着され、軽量化されるとともに、植物性繊維及び膨張カプセルが、熱可塑性樹脂繊維が溶融してなる熱可塑性樹脂により一体化され、十分な剛性を有する繊維成形体を製造することができる。熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、例えば、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂がポリプロピレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体等のプロピレン系重合体である場合、110℃〜250℃、特に140℃〜230℃であることが好ましい。
また、熱膨張性カプセルは、通常、球形であり、その平均径は特に限定されないが、5〜100μmであることが好ましく、10〜80μm、特に15〜70μm、更に20〜60μmであることがより好ましい。平均径が5〜100μmであれば、十分に軽量化されるとともに、十分な剛性を有する繊維成形体とすることができる。
前記「ウェブ」、所定の割合で混合された植物性繊維、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体からなる混合物を、乾式法の混綿装置に供することで形成することができる。この乾式法としては、エアレイ法が挙げられる。乾式法とする理由は、植物性繊維が吸水性を有するため、湿式法とした場合、高度に乾燥するための工程を必要とするためである。このエアレイ法は、解きほぐされた混合物を、空気流によって、例えば、搬送コンベア上に供給し、分散させ、堆積させて、搬送コンベア上に、ウェブを形成する方法であり、各々の繊維及び配合体が均一に分散されたウェブとするのに適した形成方法である。
ウェブ形成に用いられる植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維との割合は特に限定されない。植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、植物性繊維は10〜95質量%、特に20〜90質量%、更に30〜80質量%であることが好ましい。植物性繊維が10〜95質量%であれば、繊維成形体を補強するという植物性繊維の作用効果が十分に発現される。また、ウェブの目付は特に限定されないが、200〜1500g/m、特に300〜1000g/mであることが好ましい。また、ウェブの厚さも特に限定されないが、100〜500mm、特に150〜400mmであることが好ましい。
ウェブ形成に用いられる熱可塑性樹脂繊維と熱膨張性カプセル配合体との割合も特に限定されない。熱可塑性樹脂繊維と配合体との合計を100質量%とした場合、配合体は10〜90質量%、特に20〜80質量%、更に30〜70質量%であることが好ましい。熱膨張性カプセル配合体が特に20〜80質量%であれば、繊維成形体を軽量化するという配合体の作用効果が十分に発現され、且つ膨張、軽量化にともなう機械的特性の低下も抑えられ、十分な剛性を有する繊維成形体とすることができる。
前記「繊維マット」は、ウェブに含有される植物性繊維、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体を、ニードルパンチ法により交絡させて形成される。ウェブには、ニードリング前に、必要に応じて加圧処理等を施してもよい。また、熱膨張性カプセル配合体は、特に前記の熱膨張性カプセルを含有するフィルムを裁断し、カットする方法で作製された場合、各々の繊維とは形状等が異なっているが、この配合体を植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維と効率よく交絡させるための条件は以下のとおりである。
針密度は、針の種類及びその形状によって選択される。針深度(ニードリング時のベッドプレート表面から更に突き刺した針の先端までの距離)が1〜8mmの場合、針密度(ニードリング時にウェブの単位面積当たりに打ち込まれる針本数)は、1〜1000本/cm、特に10〜100本/cmであることが好ましい。針密度が特に10〜100本/cmであれば、各々の繊維及び配合体を十分に絡合させることができる。また、針密度が過小であると、各々の繊維及び配合体を十分に絡合させることができない場合があり、一方、針密度が過大であると、緻密な繊維マットになるものの、各々の繊維及び配合体の多くが切断してしまうことがあり好ましくない。
尚、ニードリングは、ウェブの片面側のみからでもよく、両面側からでもよいが、両面側から実施することが好ましい。
ニードリングにより形成される繊維マットの概略断面を図3に示す。図3の繊維マット13は、後記の実施例のように、2層のウェブが積層されてなる積層ウェブとした場合、第1ウェブ7と第2ウェブ8との境界が判別し難くなるほど、双方の繊維が絡み合っており、熱膨張性カプセル配合体27が内部全体に均一に分散しており、この繊維マット13を用いて均質な繊維成形体を製造することができる。
前記「加熱圧縮成形」により、繊維マットが加熱圧縮され、その後、加圧冷却されて所定形状の繊維成形体に成形される。
この加熱圧縮成形では、(1)繊維マットを、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体の形成に用いられた熱可塑性樹脂が溶融し、且つ配合体に含有される熱膨張性カプセルの膨張開始温度を超える温度範囲で加熱圧縮し、その後、加圧冷却して予備成形体を形成し、次いで、この予備成形体を熱膨張性カプセルの膨張開始温度を超える温度範囲で加熱圧縮し、その後、加圧冷却して所定厚さの成形体とする、(2)繊維マットを、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体の形成に用いられた熱可塑性樹脂が溶融し、且つ配合体に含有される熱膨張性カプセルの膨張開始温度未満の温度範囲で加熱圧縮し、その後、加圧冷却して予備成形体を形成し、次いで、この予備成形体を熱膨張性カプセルの膨張開始温度を超える温度範囲で加熱圧縮し、その後、圧を解放して熱膨張性カプセルを膨張させ、次いで、加圧冷却して所定厚さの成形体とする、(3)繊維マットを、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体の形成に用いられた熱可塑性樹脂が溶融し、且つ配合体に含有される熱膨張性カプセルの膨張開始温度を超える温度範囲で加熱圧縮し、その後、圧を解放して熱膨張性カプセルを膨張させ、次いで、加圧冷却して所定厚さの成形体とする、等の各種の方法により繊維成形体を製造することができる。
上記(1)の方法では、熱膨張性カプセルの膨張、それによる予備成形体の膨張は、加熱圧縮時の圧力及び時間により調整することができる。また、上記(1)及び(2)の方法では、予備成形体は、連続的に次工程に供することもでき、そのまま保管しておき、繊維成形体が必要となった時点で、次工程に供することもできる。一方、上記(3)の方法では、一工程で繊維成形体を効率よく製造することができる。
上記(1)〜(3)のいずれの方法においても、加熱圧縮することにより、熱膨張性カプセルの膨張を抑えながら、熱可塑性樹脂繊維、及び配合体の形成に用いられた熱可塑性樹脂を溶融させるため、繊維成形体を所定厚さに容易に調整することができる。即ち、繊維マットを圧縮しながら加熱することで、熱膨張性カプセルの膨張をできるだけ抑え、植物性繊維の表面への溶融樹脂の濡れを向上させ、植物性繊維間を十分に結着させることができ、所定厚さの繊維成形体とすることができる。また、熱膨張性カプセルが膨張することにより製造される繊維成形体の形状安定性を向上させることもできる。
熱膨張性カプセルの膨張開始温度を超える温度範囲で加熱することにより、熱膨張性カプセルが膨張するが、このときの加熱条件は、外殻の材質及び低沸点液体の種類により設定することができる。この際、繊維マットを圧縮しながら、熱膨張性カプセルの膨張を抑えながら加熱した場合は、圧を解放し、そのままの加熱温度で、又は更に昇温させることにより、熱膨張性カプセルを膨張させることができ、所定厚さの繊維成形体を製造することができる。例えば、固定型と可動型とを備える金型を用いて、繊維マットと金型内面とを密着させた状態で、又は繊維マットが圧縮された状態で加熱し、その後、コアバックさせ、冷却状態、加熱状態、又は必要に応じて更に加熱することにより、熱膨張性カプセルを膨張させ、所定厚さの繊維成形体を製造することができる。また、熱膨張性カプセルの膨張倍率は、外殻の材質、内包される低沸点液体の種類、加熱条件等にもよるが、通常、体積倍率で20〜100倍程度である。
以下、本発明の繊維成形体の製造に用いる繊維マットの作製方法を、装置の一例である図1を用いて説明する。
尚、図1の装置は、植物性繊維、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体を含有する第1及び第2ウェブを形成するために配設された第1及び第2エアレイ装置を備える。これは、所定厚さのウェブを1層のウェブとして形成するときと比べて、2層のウェブを一体化する方法であれば、より均質なウェブを、より容易に形成することができるためである。
先ず、所定割合で混合された植物性繊維、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体の混合物1、4を、貯蔵手段より供給し、必要に応じて振動させる等により、混合物を解きほぐしつつ、第1繊維供給部2及び第2繊維供給部5に供給する。その後、各々の混合物1、4を、それぞれ第1エアレイ装置3及び第2エアレイ装置6から、搬送コンベア10上に供給し、第1ウェブ7(下層側ウェブ)及び第2ウェブ8(上層側ウェブ)を形成し、且つこれらを積層させて積層ウェブ9を形成する。
次いで、搬送コンベア10上を搬送される積層ウェブ9を、必要に応じて加圧手段等により処理し、その後、積層ウェブ9の上方から、第1交絡手段(ニードリング装置)11により交絡させ、更に下方から、第2交絡手段(ニードリング装置)12により交絡させ、繊維マット13を作製する。
その後、繊維マット13は、必要に応じて加圧及び裁断等の処理に供される。次いで、ギャップ調整、温度調整等が可能な平板金型等(図示せず)を用いて加熱し、熱可塑性樹脂繊維及び熱膨張性カプセル配合体の形成に用いられた熱可塑性樹脂を溶融させ、溶融と同時、又は溶融の後、熱膨張性カプセルを膨張させて、植物性繊維31間、膨張カプセル41間及び植物性繊維31と膨張カプセル41との間を、溶融した熱可塑性樹脂51により結着させ、その後、加圧冷却させ、所定の形状、厚さ及び目付を有し、軽量であり、且つ十分な剛性を有する繊維成形体100(図4参照)を製造することができる。
尚、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂と、熱膨張性カプセル配合体の形成に用いられた熱可塑性樹脂と、が同質の樹脂であれば、溶融した各々の熱可塑性樹脂が均一に混ざり合い、植物性繊維間、膨張カプセル間及び植物性繊維と膨張カプセルの間を、より強固に結着させることができ、より優れた剛性等を有する繊維成形体とすることができるため好ましい。
また、上記のようにして製造された繊維成形体100には、植物性繊維31と、膨張カプセル41と、これらを結着している熱可塑性樹脂51とを有し(図4参照)、膨張カプセル及び熱可塑性樹脂の各々の割合は、植物性繊維を100質量部とした場合に、それぞれ5〜40質量部及び20〜200質量部、特に10〜30質量部及び50〜150質量部、更に10〜20質量部及び60〜140質量部であることが好ましい。膨張カプセル及び熱可塑性樹脂が、各々5〜40質量部及び20〜200質量部、特に10〜20質量部及び60〜140質量部であれば、軽量であり、且つ十分な剛性を有し、目付が1500g/m以下であっても深絞り成形可能な繊維成形体とすることができる。
本発明の方法により製造された繊維成形体は、厚さが同一である場合、植物性繊維間を熱可塑性樹脂により結着させ、又は接着剤等により接合させ、一体化させてなり、膨張カプセルを含有しない集積体と比べて、10〜200%軽量化させることができる(軽量化率は下記の式により算出される。)。また、目付が同一である場合、上記の集積体と比べて、最大曲げ荷重及び曲げ弾性率を指標として評価される剛性が著しく高い。更に、目付が700〜1500g/mの範囲で、最大曲げ荷重が1.2〜2倍程度高く、曲げ弾性率が1.1〜1.6倍程度高い繊維成形体とすることができる。
尚、後記の用途においては、目付750〜1000g/mの繊維成形体を用いることが好ましい。
軽量化率(%)=[(集積体の重量−繊維成形体の重量)/集積体の重量]×100](但し、集積体及び繊維成形体の各々の体積は同一である。)
本発明の方法により製造された繊維成形体の用途は特に限定されず、例えば、車両関連分野、船舶関連分野、航空機関連分野及び建築関連分野等の広範な用途において用いることができる。また、この繊維成形体は、特に、上記分野における内装材、外装材、構造材等として好適である。
車両関連分野では、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等の部材が挙げられる。また、船舶関連分野及び航空機関連分野では、パッケージトレー、アームレストの芯材、シート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル等の部材が挙げられる。更に、建築関連分野では、机、椅子、棚、箪笥等の家具の表装材及び構造材、並びにドア表装材、ドア構造材等の住宅用部材などが挙げられる。
その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等として用いることもできる。
[2]熱膨張性カプセル配合体
本発明の熱膨張性カプセル配合体は、熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルが配合されてなる。
前記「熱可塑性樹脂」は特に限定されず、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂などを用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は2種以上を併用してもよいが、1種のみ用いられることが多い。この熱可塑性樹脂は、熱膨張性カプセル配合体の用途等によって適宜選択して用いることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂には、耐熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、安定剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、抗ブロッキング剤、着色剤等の各種の添加剤が配合されていてもよい。
前記「熱膨張性カプセル」は、加熱により軟化する外殻と、この外殻に内包された低沸点液体等とを有し、加熱されて体積膨張を生じる材料である。この外殻の材質及び低沸点液体の種類等については、前記[1]における熱膨張性カプセルの外殻及び低沸点液体に係る記載をそのまま適用することができる。
熱膨張性カプセル配合体の形状は、フィルム状であり、径に対して長さ方向の寸法が大きい長尺体であってもよい。更に、熱可塑性樹脂繊維等の繊維状物に配合するときは、長尺体であることが好ましく、その場合、径は繊維状物の径と大差のないことが好ましく、径(d、径方向の最大寸法)と長さ(l)との比は特に限定されないが、d/lは0.001〜0.1、特に0.005〜0.05であることが好ましい。更に、配合体の寸法は、熱可塑性樹脂に容易に分散させ、含有させることができればよいが、配合体を用いてなる樹脂成形体等はシート等の平板状であることも多く、配合体の最大寸法は、熱可塑性樹脂に配合し易く、且つ優れた外観等を有し、均質な樹脂成形体等とするためには、過大でないことが好ましい。例えば、横断面が扁平形状である配合体では、厚さ方向の寸法は20〜500μm、特に50〜300μmであることが好ましく、且つ幅方向の寸法が200〜1200μm、特に200〜1000μmであることがより好ましい。
熱膨張性カプセル配合体の作製方法も特に限定されず、例えば、前記[1]に記載のようにしてフィルムを成形し、このフィルムを前記[1]に記載のようにして所定幅に裁断し、所定長さにカットして作製することができる。この方法によれば、フィルムの成形厚さ、裁断幅及びカット長により、配合体の寸法を容易に調整することができ、且つ横断面の形状が扁平形状の配合体を効率よく作製することができる。この作製方法では、配合体に、樹脂成形体等を十分に軽量化させるための所要量の熱膨張性カプセルを容易に含有させることができ、熱可塑性樹脂と熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、熱膨張性カプセルの配合量は、1〜65質量%とすることができ、5〜50質量%、特に7〜30質量%、更に10〜25質量%であることが好ましい。
更に、熱膨張性カプセルは、通常、球形であり、その平均径は特に限定されないが、5〜100μmであることが好ましく、10〜80μm、特に15〜70μm、更に20〜60μmであることがより好ましい。平均径が5〜100μmであれば、十分に軽量化されるとともに、十分な剛性を有する樹脂成形体等とすることができる。また、熱膨張性カプセルにおける低沸点液体等の割合は、軽量化され、且つ十分な剛性を有する樹脂成形体等とするためには、熱膨張性カプセルを100質量%とした場合に、5〜60質量%であることが好ましく、7〜50質量%、特に10〜40質量%、更に15〜30質量%であることがより好ましい。
本発明の熱膨張性カプセル配合体は、本発明の繊維成形体の製造方法において用いられるものであり、前記の各種の車両関連分野、船舶関連分野、航空機関連分野及び建築関連分野等における内装材、外装材、構造材等の軽量化において有用である。
以下、図1〜4を参照しながら実施例により本発明を具体的に説明する。
以下の実施例で用いた製造例1の熱膨張性カプセルの物性は、以下の方法により測定した。
〔平均径と粒度分布の測定〕
測定装置として、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製、型式「HEROS&RODOS」)を使用した。乾式分散ユニットの分散圧は5.0bar、真空度は5.0mbarで、乾式測定法により測定し、D50値を平均径とした。
〔熱膨張性カプセルの含水率の測定〕
測定装置として、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製、型式「MKA−510N」)を用いて測定した。
〔熱膨張性カプセルに内包された低沸点液体の質量割合(内包率)の測定〕
熱膨張性カプセル1.0gを直径80mm、深さ15mmのステンレス鋼製蒸発皿に入れ、その質量(W)を測定した。その後、30ミリリットルのジメチルホルムアミドを加えて均一に分散させ、室温で24時間放置した。次いで、130℃で2時間減圧乾燥させ、乾燥後の質量(W)を測定し、下記の式により低沸点液体の内包率を算出した。
内包率(質量%)=(W−W)(g)/1.0(g)×100−(含水率)
尚、括弧内の含水率は上記の方法により測定される値である。
〔膨張開始温度(Ts)及び最大膨張温度(Tmax)の測定〕
測定装置として、動的粘弾性測定装置(TA instruments社製、型式「DMA Q800」)を使用した。熱膨張性カプセル0.5mgを、直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに入れ、熱膨張性カプセル層の上部にアルミ蓋(直径5.6mm、厚さ0.1mm)を載せて試料を準備した。その後、上方から加圧子により試料に0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/分の速度で昇温させて加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定した。正方向への変位開始温度を膨張開始温度(Ts)とし、最大変位量を示したときの温度を最大膨張温度(Tmax)とした。
製造例1
イオン交換水600gに、塩化ナトリウム150g、シリカ有効成分20質量%のコロイダルシリカ40g、ポリビニルピロリドン0.5g及びエチレンジアミン四酢酸・4Na塩0.5gを加えた後、得られた混合物のpHを2.8〜3.2に調整し、水性分散媒を調製した。これとは別に、アクリロニトリル120g、メタクリロニトリル30g、メタクリル酸115g、1,9−ノナンジオールジアクリレート1.0g、イソオクタン90g及び有効成分50質量%のジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート含有液8gを混合して油性混合物を調製した。その後、水性分散媒と油性混合物とを混合し、得られた混合液をホモミキサー(プライミクス社製、型式「TKホモミキサー」)により分散させ、懸濁液を調製した。次いで、この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移し、窒素置換してから、反応初期圧を0.5MPaに設定し、80rpmで攪拌しつつ、反応温度60℃で20時間重合させた。その後、得られた重合液を濾過し、乾燥して、熱膨張性カプセルを得た。この熱膨張性カプセルの物性を前記の方法により測定した結果、平均径40μm、内包率24質量%、膨張開始温度(Ts)200℃、最大膨張温度(Tmax)210℃であった。
実施例1
85質量%のポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、商品名「プライムポリプロ H−700」、密度0.9g/ミリリットル、MFR8g/10分)と15質量%の製造例1で得られた熱膨張性カプセルとをドライブレンドし、その後、リップ幅0.4mmのT−ダイが取り付けられたラボプラストミル(東洋精機社製、型式「ME−25」、2軸押出成形機)を用いて、シリンダーのC1、C2、C3の温度、及びT−ダイの温度を全て180℃に設定し、スクリュー回転数を25rpm(滞留時間は12分になる。)に設定して、シリンダー内にポリプロピレン樹脂と熱膨張性カプセルとの混合物を充填し、押出成形し、厚さ150μmの熱膨張性カプセルを含有するポリプロピレン樹脂フィルムを成形した。次いで、細幅に裁断する装置によりフィルムを裁断し、カットして、厚さ150μm、幅800μm、長さ50mmの熱膨張性カプセル配合体を作製した。
その後、30質量%の上記配合体、50質量%のケナフ繊維(繊維長;約70mm)、及び20質量%のポリプロピレン繊維(日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックSA01」、繊維長;約51mm)を混合し、混合物を第1貯蔵部(図示せず)及び第2貯蔵部(図示せず)に収容した。次いで、混合物1、4を、第1貯蔵部及び第2貯蔵部に接続された第1繊維供給部2及び第2繊維供給部5から、第1エアレイ装置3及び第2エアレイ装置6に一定の供給量で連続的に供給し、その後、3.2m/秒の速度で回動する搬送コンベア10上に堆積させ、各々の厚さが約7.5mmの第1ウェブ7(下層側ウェブ)と第2ウェブ8(上層側ウェブ)とが積層されてなる厚さ約15mmの積層ウェブ9を形成した。
次いで、搬送される積層ウェブ9の上方から、即ち、第2ウェブ8の側(上面側)から、針密度70本/cm、針深度10mm及びパンチング速度1〜2回/秒の条件でニードリングした。その後、同条件で、積層ウェブ9の下方から、即ち、第1ウェブ7の側(底面側)から同条件でニードリングし、厚さ約14mm、目付1000g/mの繊維マット13(図3参照)を作製した。
次いで、裁断機(図示せず)により繊維マット13を所定の形状及び寸法に裁断し、この裁断マットを厚さ1.2mmのステンレス鋼板により挟持し、235℃に調温された加熱プレスにより、圧力1.2×10kPaで25秒間加熱圧縮し(裁断マットの厚さ方向の中心部の温度は210℃であった。)、その後、25℃に調温された冷却プレスにより、圧力50kPaで60秒間加圧冷却し、厚さ2.3mm、目付1.0kg/mの予備成形体を作製した。次いで、この予備成形体を、235℃に調温されたオーブン内に収容し、120秒間加熱した後、取り出し、直ちに25℃に調温された冷却プレスにより、圧力50kPaで60秒間加圧冷却し(60秒間冷却後の繊維ボードの温度は25℃であった。)、厚さ5mm、目付1.0kg/mの繊維成形体(図4参照)を製造した。
上記のようにして製造した繊維成形体の機械的特性を評価するため、JIS K7171に準じて、最大曲げ荷重及び曲げ弾性率を測定した。この測定には、含水率約10質量%の試験片(長さ150mm、幅50mm、厚さ5mm)を用いた。そして、試験片を支点間距離(L)100mmの2個の支点(曲率半径5.0mm)で支持し、支点間の中心に配置した作用点(曲率半径3.2mm)から速度50mm/分の条件で荷重を負荷させ、最大曲げ荷重及び曲げ弾性率を測定した。その結果、最大曲げ荷重は60N、曲げ弾性率は800MPaであり、十分な剛性を有する繊維成形体であることが裏付けられた。
尚、本発明では、上記の具体的な実施例の記載に限られず、目的、用途等に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、繊維ボードを作製し、このボードを用いて繊維成形体を製造するという2段階の製造方法ではなく、熱可塑性樹脂繊維等の溶融と熱膨張性カプセルの膨張とを一工程で実施し、その後、加圧冷却して繊維成形体を製造することもできる。
本発明の繊維成形体の製造方法及び熱膨張性カプセル配合体は、車両関連分野、船舶関連分野、航空機関連分野、建築関連分野等の広範な技術分野において利用することができる。
100;繊維成形体、1、4;混合物、2;第1繊維供給部、3;第1エアレイ装置、5;第2繊維供給部、6;第2エアレイ装置、7;第1ウェブ、8;第2ウェブ、9;積層ウェブ、10;搬送コンベア、11;第1交絡手段(第1ニードリング装置)、12;第2交絡手段(第2ニードリング装置)、13;繊維マット、20;超細幅スリッティング装置、21;熱膨張性カプセル含有フィルム、22;搬送コンベア、23;超細幅スリッティングユニット、24;刃付き上部ロール、25;溝付き下部ロール、26;カッター、27;熱膨張性カプセル配合体、28;刃、29;溝、31;植物性繊維、32;熱可塑性樹脂繊維、41;膨張カプセル、51;熱可塑性樹脂。

Claims (13)

  1. 植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有するウェブを形成し、その後、該ウェブをニードリングして繊維マットを形成し、次いで、該繊維マットを加熱圧縮成形して成形体とする繊維成形体の製造方法であって、
    前記ウェブの形成時に、前記植物性繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維とともに、熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルが配合された熱膨張性カプセル配合体を供給して該ウェブを形成しており、
    前記熱膨張性カプセル配合体はフィルム状であり、
    前記ウェブをエアレイ法により形成していることを特徴とする繊維成形体の製造方法。
  2. 前記熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、前記熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度と同じであるか、又はそれより高い温度である請求項1に記載の繊維成形体の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリプロピレン繊維であり、
    前記熱膨脹性カプセルに内包される低沸点液体は、イソオクタンを含む請求項2に記載の繊維成形体の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が捲縮糸である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂繊維と前記熱膨張性カプセル配合体との合計を100質量%とした場合に、該熱膨張性カプセル配合体は20〜80質量%である請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂と前記熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、該熱膨張性カプセルは1〜65質量%である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
  7. 植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維とともに、熱膨張性カプセル配合体を供給して、前記植物性繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維を含有するウェブをエアレイ法により形成し、その後、該ウェブをニードリングして繊維マットを形成し、次いで、該繊維マットを加熱圧縮成形して成形体とする繊維成形体の製造方法において用いられる熱膨脹性カプセル配合体であって、
    熱可塑性樹脂に熱膨張性カプセルが配合されてなり、フィルム状であることを特徴とする熱膨張性カプセル配合体。
  8. 前記熱膨張性カプセルの膨張開始温度は、前記熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の軟化温度と同じであるか、又はそれより高い温度である請求項7に記載の熱膨張性カプセル配合体。
  9. 前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリプロピレン繊維であり、
    前記熱膨脹性カプセルに内包される低沸点液体は、イソオクタンを含む請求項8に記載の熱膨張性カプセル配合体。
  10. 厚さ方向の寸法が20〜500μmである請求項7乃至9のうちのいずれか1項に記載の熱膨張性カプセル配合体。
  11. 前記熱可塑性樹脂と前記熱膨張性カプセルとの合計を100質量%とした場合に、該熱膨張性カプセルは1〜65質量%である請求項7乃至10のうちのいずれか1項に記載の熱膨張性カプセル配合体。
  12. 前記熱膨張性カプセルの平均径が5〜100μmである請求項7乃至11のうちのいずれか1項に記載の熱膨張性カプセル配合体。
  13. 前記熱膨張性カプセルには低沸点液体が内包され、該熱膨張性カプセルを100質量%とした場合に、該低沸点液体は5〜60質量%である請求項7乃至12のうちのいずれか1項に記載の熱膨張性カプセル配合体。
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