JP4984672B2 - 繊維成形体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、天然繊維と熱可塑性樹脂とを含む繊維成形体およびその製造方法に関する。
繊維成形体として、天然繊維と熱可塑性樹脂とを含むものが知られている。熱可塑性樹脂は天然繊維同士を固着するバインダとしてはたらく。この種の繊維成形体は、一般に、天然繊維と熱可塑性樹脂とを混合・積層して得た積層体を、加熱・加圧し成形することで得られる。
この種の繊維成形体は、表面の凹凸が大きく、意匠性に劣る。天然繊維は成形時に熱溶融しないため、繊維成形体の表面に残存するのに対し、熱可塑性樹脂は成形時に熱溶融するため、天然繊維同士の間隙を流動して繊維成形体の内部に移動することによる。このため、繊維成形体の表面には、表皮材層を形成するのが一般的である。繊維成形体の表面に発泡層や表皮材層を形成する方法としては、一般に、真空成形法が用いられる。真空成形法は、繊維成形体とは別体であり表皮材層となるシート材を真空引きして、繊維成形体の表面に張り付ける技術である。しかし、繊維成形体の表面に凹凸がある場合には、表皮材層の表面に、繊維成形体由来の凹凸形状が顕れ、表皮材層の意匠性が悪化する。
積層体の表面側に熱可塑性樹脂が多い層(樹脂層)を形成するとともに、積層体の内部側に天然繊維が多い層(繊維層)を形成すれば、表面の凹凸が緩和された繊維成形体が得られると考えられる(例えば、特許文献1参照)。繊維成形体の表面に配される天然繊維の量が少なくなり、繊維成形体の表面に残存する熱可塑性樹脂の量が多くなるためである。
ところで、上述したように熱可塑性樹脂は天然繊維同士を固着するバインダとしてはたらく。したがって、繊維成形体の強度を充分に高めるためには、熱可塑性樹脂を天然繊維同士の隙間にむらなく配する必要がある。熱可塑性樹脂を天然繊維同士の隙間にむらなく配するためには、成形時に熱溶融した熱可塑性樹脂を、繊維層に充分に行き渡らせることが有効だと考えられる。このため、熱可塑性樹脂としては、流動性の高いものを用いるのが良いと考えられる。しかし、流動性の高い熱可塑性樹脂は樹脂層から繊維層に移動し易いため、繊維成形体の表面には、依然として凹凸が生じていた。
特開2004−357863号公報
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、表面が滑らかな繊維成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の繊維成形体は、天然繊維と熱可塑性樹脂とを含む繊維成形体であって、熱可塑性樹脂は、高流動熱可塑性樹脂と、高流動熱可塑性樹脂よりも流動性が低い低流動熱可塑性樹脂と、を含み、高流動熱可塑性樹脂は、天然繊維同士の隙間で天然繊維同士を固着し、低流動熱可塑性樹脂は、繊維成形体のなかで、少なくとも一方の表面に多く含まれ、繊維成形体の一方の表面をコートすることを特徴とする。
本発明の繊維成形体は、下記の(1)〜(2)の何れかを備えることが好ましい。以下の構成(1)〜(2)の複数を備えることが好ましい。
(1)上記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分未満であり、上記高流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分以上である。
(2)上記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは5g/10分以下である。
上記課題を解決する本発明の繊維成形体の製造方法は、天然繊維と熱可塑性樹脂とを含む繊維成形体を製造する方法であって、天然繊維と熱可塑性樹脂とを混合して積層し、積層体を得る積層工程と、積層体を交絡処理して交絡体を得る交絡工程と、交絡体を所定形状に切断し、繊維マット体を得るマット体形成工程と、繊維マット体を加熱加圧して繊維成形体を形成する成形工程と、を備え、熱可塑性樹脂として、高流動熱可塑性樹脂からなり繊維状をなす高流動熱可塑性樹脂繊維と、高流動熱可塑性樹脂よりも流動性が低い低流動熱可塑性樹脂からなり繊維状をなすとともに該天然繊維および高流動熱可塑性樹脂繊維よりも質量が小さい低流動熱可塑性樹脂繊維と、を含むものを用い、積層工程において、天然繊維と高流動熱可塑性樹脂繊維と低流動熱可塑性樹脂繊維とを含む混合材料を飛散させて、高流動熱可塑性樹脂繊維を下側に低流動熱可塑性樹脂繊維を上側に積層することを特徴とする。
本発明の繊維成形体の製造方法は、下記の(3)〜(5)の何れかを備えることが好ましい。下記の構成(3)〜(5)の複数を備えることが望ましい。
(3)上記低流動熱可塑性樹脂繊維は、上記高流動熱可塑性樹脂繊維よりも繊維径が小さい。
(4)上記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分未満であり、上記高流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分以上である。
(5)(4)の場合、上記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは5g/10分以下である。
本発明の繊維成形体は、熱可塑性樹脂として、高流動熱可塑性樹脂と、低流動熱可塑性樹脂とを含む。以下、高流動熱可塑性樹脂を高流動樹脂と略し、低流動熱可塑性樹脂を低流動樹脂と略す。また、高流動熱可塑性樹脂繊維を高流動繊維と略し、低流動熱可塑性樹脂繊維を低流動繊維と略する。
低流動樹脂は、繊維成形体のなかで、少なくとも一方の表面に多く含まれる。高流動樹脂は、流動性が高く天然繊維同士の隙間にむらなく行き渡るため、天然繊維同士を強固に固着する。低流動樹脂は、流動性が低く天然繊維同士の隙間に移動し難いため、繊維成形体の表面に多く残存する。このため、繊維成形体の表面は滑らかになる。換言すると、本発明の繊維成形体の強度は高流動樹脂によって確保され、意匠性は低流動樹脂によって確保される。
上記(1)を備える本発明の繊維成形体は、低流動樹脂の流動性が低い。したがって、成形時に熱溶融した低流動樹脂は、天然繊維同士の隙間に入り込み難い。また、高流動樹脂の流動性が高い。したがって、成形時に熱溶融した高流動樹脂は天然繊維同士の隙間にむらなく行き渡る。よって、上記(1)を備える本発明の繊維成形体は、強度がより高くなり、表面がより滑らかになる。なお、本発明でいうメルトフローレートとは、JIS K 7210によるメルトフローレートを指す。メルトフローレートが大きいほど流動性が高くなり、メルトフローレートが小さいほど流動性が低くなる。
上記(2)を備える本発明の繊維成形体は、低流動樹脂の流動性が非常に低いため、表面がさらに滑らかになる。
本発明の繊維成形体の製造方法は、上述した本発明の繊維成形体を製造し得る繊維成形体の製造方法である。本発明の繊維成形体の製造方法では、高流動樹脂からなる高流動繊維と、低流動樹脂からなる低流動繊維と、を含む熱可塑性樹脂を用いる。また、低流動繊維として天然繊維および高流動繊維よりも質量が小さいものを用いることで、積層工程において、天然繊維および高流動繊維を下側に、低流動繊維を上側に、容易に積層し得る。質量が小さい低流動繊維は、質量が大きい天然繊維および高流動繊維に比べて落下速度が遅い。このため、天然繊維と高流動繊維と低流動繊維とを含む混合材料を飛散させると、低流動繊維は天然繊維および高流動繊維よりも上側に積層されることによる。
上記(3)を備える本発明の繊維成形体の製造方法は、低流動繊維の繊維径を高流動繊維の繊維径よりも小さくすることで、低流動繊維の質量を高流動繊維の質量よりも小さくできる。
上記(4)を備える本発明の繊維成形体の製造方法は、上記(1)と同様に、強度がより高く、表面がより滑らかな繊維成形体を得ることができる。
上記(5)を備える本発明の繊維成形体の製造方法は、上記(2)と同様に、表面がさらに滑らかな繊維成形体を得ることができる。
本発明の繊維成形体は、天然繊維と熱可塑性樹脂とを含む。天然繊維としては、植物由来の繊維や、動物由来の繊維、鉱物由来の繊維など、種々のものを使用できる。植物由来の繊維としては、ケナフ繊維、麻繊維、亜麻繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、ヘンプ繊維、油ヤシ繊維、ココヤシ繊維、竹繊維などが挙げられる。特にケナフ繊維は有用なセルロース成分が多く、繊維強度が高いため、好ましく用いられる。また、ケナフは一年草で成長が早く、原料コストを低減できるとともに、二酸化炭素吸収能力も高いために環境に負担を与え難い利点もある。
熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。なお、本発明の繊維成形体は、天然繊維、高流動樹脂、および低流動樹脂以外の他の成分を含んでも良い。他の成分としては、例えば離型剤等が挙げられる。
高流動樹脂と低流動樹脂との配合比(質量比)は、繊維成形体の形状等に応じて適宜設定し得るが、繊維成形体全体を100質量%としたときに、天然繊維:熱可塑性樹脂が30:70〜70:30であるのが好ましい。天然繊維を強固に固着するためには、高流動樹脂が熱可塑性樹脂全体の20質量%以上含まれるのがよい。また、繊維成形体の表面に充分量の低流動樹脂を残存させるためには、低流動樹脂が熱可塑性樹脂全体の10質量%以上含まれるのがよい。
低流動樹脂は、繊維成形体の一方の表面のみに多く含まれていても良いし、両方の表面に多く含まれていても良い。ここでいう低流動樹脂の多寡とは、繊維成形体の内部と比べた多寡を指す。
低流動樹脂としては、高流動樹脂よりも流動性が低いものを使用できる。低流動樹脂としては、高流動樹脂に対する相溶性に優れたものを選択するのが良く、高流動樹脂と同種の熱可塑性樹脂を用いても良い。また、メルトフローレート測定条件を同条件とした場合に同結果が得られるのであれば、異種の熱可塑性樹脂を用いても良い。低流動樹脂として、高流動樹脂よりもメルトフローレートが小さいものを用いれば、同種の熱可塑性樹脂を用いることができ、かつ、低流動樹脂の流動性が高流動樹脂の流動性よりも低くなる。低流動樹脂のメルトフローレートは10g/10分未満であるのが好ましく、5g/10分以下であるのがより好ましい。高流動樹脂のメルトフローレートは10g/10分以上であるのが好ましい。
なお、本発明の繊維成形体は、表面に表皮材層や発泡材層等を形成しても良い。また、2以上の繊維成形体を張り合わせて一体化しても良い。例えば、低流動樹脂が一方の表面にのみ多く含まれる本発明の繊維成形体を、高流動樹脂を多く含む側の表面同士を張り合わせて一体化すれば、低流動樹脂が2表面に多く含まれる繊維成形複合体を得ることができる。この繊維成形複合体は、低流動樹脂が2表面に多く含まれるため、2表面が滑らかになる。
本発明の繊維成形体の製造方法は、積層工程と、交絡工程と、マット体形成工程と、成形工程と、を備える。積層工程は、天然繊維と熱可塑性樹脂とを混合して積層する工程である。以下、天然繊維と熱可塑性樹脂(またはそれに加えて他の成分)とからなる繊維成形体の材料を成形材料と呼ぶ。積層工程において、成形材料を混合する装置としては、混綿装置や開繊装置などの既知の装置を用いればよい。また、混合された成形材料を積層する装置としては、成形材料を飛散させ得る装置を用いればよく、空気圧で成形材料を飛散させる装置(所謂エアレイ装置)が好ましく用いられる。
本発明の繊維成形体の製造方法では、熱可塑性樹脂として、高流動繊維と、低流動繊維とを用いている。高流動繊維および低流動繊維の繊維長や繊維径は、成形材料を混合する装置や、混合された成形材料を積層する装置、成形材料の種類、製造すべき繊維成形体の形状等に応じて適宜設定すればよい。
さらに、低流動繊維としては、高流動繊維よりも質量が小さいものを用いる。例えば、低流動繊維として、高流動繊維よりも繊維径が小さなものを用いれば、低流動繊維の質量を、高流動繊維の質量よりも小さくし易い。なお、本発明における低流動繊維の質量を高流動繊維の質量よりも小さくする方法としては、これに限らず種々の方法を用いることができる。例えば、低流動繊維の繊維長を高流動繊維の繊維長よりも小さくしても良い。低流動樹脂として高流動樹脂と異種でありかつ高流動樹脂よりも比重の小さな熱可塑性樹脂を用いても良い。
交絡工程は、積層工程で得られた積層体を交絡処理し交絡体を得る工程である。この工程によって、積層体に含まれる天然繊維や高流動繊維、低流動繊維が絡み合う。交絡工程において積層体を交絡処理するための装置としては、ニードルパンチ式の装置やウォータージェット式の装置等、既知の交絡装置を使用できる。
マット体形成工程は、交絡体を所定形状に切断し繊維マット体を得る工程である。本発明の繊維成形体の製造方法では、積層工程において成形材料を飛散させて積層するために、積層工程および交絡工程を経て得られた交絡体は、寸法精度に劣る。マット体形成工程で交絡体を所定形状に切断することで、寸法精度に優れた繊維マット体を得ることができる。
成形工程は、繊維マット体を加熱加圧して繊維成形体を形成する工程である。この成形工程によって、低流動繊維および高流動繊維が熱溶融する。高流動樹脂は流動性が高い。このため、高流動繊維は、熱溶融すると天然繊維同士の隙間に入り込む。低流動樹脂は流動性が低い。このため、低流動樹脂は、熱溶融しても天然繊維同士の隙間に入り込み難い。加熱加圧した繊維マット体を冷却すると、低流動樹脂および高流動樹脂が固化して繊維成形体が得られる。得られた繊維成形体は、内部に高流動樹脂を多く含み、表面に低流動樹脂を多く含む。高流動樹脂は天然繊維同士の隙間に入り込むのに対して、低流動樹脂は天然繊維同士の隙間に入り込み難く繊維成形体の表面に多く残存するためである。この成形工程によって、高流動樹脂が天然繊維同士を固着し、低流動樹脂が表面をコートした繊維成形体が得られる。
なお、本発明の繊維成形体の製造方法においては、天然繊維同士を固着するバインダとして熱可塑性樹脂を用いているため、成形工程を予備成形工程と本成形工程との2段階にわけることもできる。すなわち、繊維マット体を一旦予備成形した後に本成形すれば、積層工程から予備成形工程までの工程と、本成形工程とをそれぞれ別の場所で行うこともでき、製造ラインを自由に設計できる利点がある。
なお、本発明の繊維成形体の製造方法では、2表面に低流動樹脂を多く含む繊維成形体を製造することもできる。例えば、天然繊維と、高流動繊維と、天然繊維および高流動繊維よりも質量が小さい第1の低流動繊維と、天然繊維および高流動繊維よりも質量が大きい第2の低流動繊維と、を積層工程に供すれば、2表面に低流動繊維を含む積層体が得られる。この積層体を交絡工程、マット体形成工程、成形工程に供すれば、2表面に低流動樹脂を多く含み、内部に天然繊維および高流動樹脂を多く含む繊維成形体が得られる。
以下、本発明の繊維成形体およびその製造方法を図面を基に説明する。
(実施例1)
実施例1の繊維成形体は、上記(1)〜(2)を備える。また、実施例1の繊維成形体の製造方法は、上記(3)〜(5)を備える。実施例1の繊維成形体の製造方法における積層工程を説明する説明図を図1に示す。積層工程で得られた積層体を模式的に表す断面図を図2に示す。
実施例1の繊維成形体の製造方法では、天然繊維として繊維長70mmのケナフ繊維を用いた。高流動繊維としては、メルトフローレート(MFR)が10g/10分のポリプロピレン(PP)からなり、繊維径が6.6dtex(繊維10、000mあたりの重量が6.6g)、繊維長が51mmのものを用いた。低流動繊維としては、MFRが2g/10分のPPからなり、繊維径が1.1dtex、繊維長が51mmのものを用いた。低流動繊維の質量は、天然繊維の質量および高流動繊維の質量よりも小さい。
(1.積層工程)
先ず、天然繊維と高流動繊維と低流動繊維とを、天然繊維:高流動繊維:低流動繊維=50:30:20の質量比となるように配合して成形材料得た。この成形材料を、図1に示す積層装置に供給した。この積層装置は、開繊手段1と、エアレイ手段2とを備える。
開繊手段1は、第1のコンベア部10と、フィードローラ部11と、シリンダ部12と、複数のストリッパ部13と、複数のウォーカ部14とを持つ。
第1のコンベア部10は成形材料流れ最上流側に配されている。シリンダ部12は第1のコンベア部10の成形材料流れ下流側に配され、図1中時計回りに回転する。フィードローラ部11は第1のコンベア部10とシリンダ部12との間隙に配され、第1のコンベア部10上を流れる成形材料をシリンダ部12に移動させる。ストリッパ部13はシリンダ部12に対面しシリンダ部12と僅かに離間している。ストリッパ部13は図1中時計回りに回転する。ウォーカ部14は、ストリッパ部13の成形材料流れ下流側に配されている。ウォーカ部14もまた、シリンダ部12に対面しシリンダ部12と僅かに離間している。ウォーカ部14は図1中反時計回りに回転する。シリンダ部12、ストリッパ部13およびウォーカ部14には、外周方向に突起する複数の針体が設けられている。
エアレイ手段2は、ブロア部20と、第2のコンベア部21とリフレクションチューブ23を持つ。ブロア部20はシリンダ部12の成形材料流れ下流側に配され、シリンダ部12に向けて空気を吹き付ける。第2のコンベア部21はブロア部20の成形材料流れ下流側に配されている。リフレクションチューブ23は、ブロア部20の成形材料流れ下流側であり、かつ第2のコンベア部21の成形材料流れ上流側に配されている。
図1に示すように、第1のコンベア部10に供給された成形材料3は、フィードローラ部11を介してシリンダ部12に供給される。シリンダ部12に供給された成形材料3は、シリンダ部12の回転に伴って図1中時計回りに移動する。シリンダ部12とウォーカ部14との間隙に移動した成形材料3は、ウォーカ部14によって開繊され、一定の向きに整えられるとともに、次のウォーカ部14に移動する。ウォーカ部14に移動した成形材料3は、ストリッパ部13によってウォーカ部14から奪われ、再度シリンダ部12に戻される。シリンダ部12に戻された成形材料3は、ブロア部20から吹き付けられた空気によって飛散する。飛散した成形材料3は、リフレクションチューブ23によって配向方向をコントロールされつつ、第2のコンベア部21上に落下する。なお、第2のコンベア部21には、飛散した成形材料3を確実に第2のコンベア部21上に落下させるための吸引部22が設けられている。
ところで、天然繊維5および高流動繊維6の質量は低流動繊維7の質量よりも大きい。したがって、天然繊維5および高流動繊維6の落下速度は速く、低流動繊維7の落下速度は遅い。したがって、第2のコンベア部21上に落下した成形材料3において、低流動繊維7は、天然繊維5および高流動繊維6の上層に積層される。なお、実施例1の繊維成形体の製造方法において、天然繊維5の質量は高流動繊維6の質量と同程度である。したがって、天然繊維5は高流動繊維6とともに低流動繊維7の下層に積層される。すなわち、積層工程で得られた積層体8は、下層80に天然繊維5と高流動繊維6とを多く含み、上層81に低流動樹脂7を多く含む(図2)。
(2.交絡工程)
積層工程で得た積層体をニードルパンチ装置により交絡処理した。この交絡処理によって、天然繊維、高流動繊維および低流動繊維が絡み合いつつ圧縮された交絡体を得た。
(3.マット体形成工程)
交絡工程で得た交絡体を裁断機で裁断し、繊維マット体を得た。この繊維マット体の目付(単位面積あたりの重量)は1.58kg/mであり、肉厚は15mmであった。
(4−1.予備成形工程)
マット体形成工程で得た繊維マット体を、熱板プレス機にて235℃に加熱しつつ10kg/cmで40秒間加圧した。加熱・加圧された繊維マット体を、常温の圧締機で冷却・固化して、予備成形体(所謂プレボード)を得た。予備成形体の目付は1.5kg/mであり、肉厚は2.5mmであった。
(4−2.本成形工程)
予備成形工程で得た予備成形体を300℃の遠赤炉で60秒間加熱して成形型に投入した。この成形型で予備成形体をプレス成形した。このときの成形圧は12kg/cmであった。プレス成形後の予備成形品を冷却・固化して実施例1の繊維成形体を得た。実施例1の繊維成形体は、一方の表面に低流動樹脂を多く含み、内部および他方の表面に天然繊維と高流動繊維とを多く含んでいた。
(5.後加工工程)
実施例1の繊維成形体に表皮材層を形成して、実施例1の繊維成形複合体を得た。表皮材層としては、熱可塑性エラストマ(TPO)からなるソリッド層とポリプロピレン発泡体からなる発泡層とを備える表皮材で、肉厚1.45mmのものを用いた。表皮材層と繊維成形体とは真空成形により一体化した。
(実施例2)
実施例2の繊維成形体は、上記(1)〜(2)を備える。また、実施例2の繊維成形体の製造方法は、上記(3)〜(5)を備える。実施例2の繊維成形体の製造方法は、天然繊維と高流動繊維と低流動繊維との配合比以外は実施例1と同じである。
実施例2の繊維成形体の製造方法において、天然繊維と高流動繊維と低流動繊維との配合比(質量比)は、天然繊維:高流動繊維:低流動繊維=50:40:10であった。
(実施例3)
実施例3の繊維成形体は、上記(1)〜(2)を備える。また、実施例3の繊維成形体の製造方法は、上記(3)〜(5)を備える。実施例3の繊維成形体の製造方法は、天然繊維と高流動繊維と低流動繊維との配合比以外は実施例1と同じである。
実施例3の繊維成形体の製造方法において、天然繊維と高流動繊維と低流動繊維との配合比(質量比)は、天然繊維:高流動繊維:低流動繊維=50:20:30であった。
(実施例4)
実施例4の繊維成形体は、上記(1)〜(2)を備える。また、実施例4の繊維成形体の製造方法は、上記(3)〜(5)を備える。実施例4の繊維成形体の製造方法は、高流動繊維として、MFRが20g/10分のものを用いたこと以外は実施例1と同じである。
(実施例5)
実施例5の繊維成形体は、上記(1)〜(2)を備える。また、実施例5の繊維成形体の製造方法は、上記(3)〜(5)を備える。実施例5の繊維成形体の製造方法は、高流動繊維として、繊維径が11dtexのものを用いたこと以外は実施例1と同じである。
(実施例6)
実施例6の繊維成形体は、上記(1)〜(2)を備える。また、実施例6の繊維成形体の製造方法は、上記(3)〜(5)を備える。実施例6の繊維成形体の製造方法は、低流動繊維として、繊維径が3.3dtexのものを用いたこと以外は実施例1と同じである。
(比較例)
比較例の繊維成形体は、低流動樹脂を含まないものである。天然繊維および高流動樹脂としては、実施例1と同じものを用いた。比較例の繊維成形体において、天然繊維と高流動繊維との配合比(質量比)は、天然繊維:高流動繊維=50:50であった。
比較例の繊維成形体の製造方法は、低流動繊維を配合しなかったこと、および天然繊維と高流動繊維との配合比以外は、実施例1と同じである。
(意匠性評価試験)
実施例1〜6および比較例の繊維成形体の表面粗さ(十点平均粗さ)と、実施例1〜6および比較例の繊維成形複合体の意匠性とを評価した。繊維成形体の表面粗さは、表皮材層を形成する前の繊維成形体を、表面粗さ計測器(東京精密製 サーフコム570)にて測定した。また、繊維成形複合体の意匠性は、表皮材層を形成した繊維成形複合体の外観を目視にて確認した。各繊維成形体の表面粗さおよび各繊維成形複合体の意匠性を表1に示す。
Figure 0004984672
表1に示すように、比較例の繊維成形複合体の十点平均粗さ(RZJIS、JIS B 0601によるRz)は200μmであり、意匠性に劣る。これに対して、実施例1〜6の繊維成形複合体の十点平均粗さは何れも150μm以下であり、意匠性に優れていた。この結果から、本発明の繊維成形体の表面は、滑らかであることがわかる。
また、実施例1の繊維成形複合体の十点平均粗さは、実施例6の繊維成形複合体の十点平均粗さに比べて小さい。この結果から、低流動繊維の繊維径が3dtex未満にすると、繊維成形体の表面がより滑らかになることがわかる。
さらに、実施例1の繊維成形複合体および実施例3の繊維成形複合体の十点平均粗さは、実施例2の繊維成形複合体の十点平均粗さに比べて小さい。この結果から、高流動繊維と低流動繊維の質量比を、高流動繊維:低流動繊維=30:20〜20:30の範囲にすると、繊維成形体の表面がより滑らかになることがわかる。
実施例1の繊維成形体の製造方法における積層工程を説明する説明図である。 実施例1の繊維成形体の製造方法における積層工程で得られた積層体を模式的に表す断面図である。
符号の説明
1:開繊手段、2:エアレイ手段、5:天然繊維、6:高流動繊維、7:低流動繊維

Claims (7)

  1. 天然繊維と熱可塑性樹脂とを含む繊維成形体であって、
    該熱可塑性樹脂は、高流動熱可塑性樹脂と、該高流動熱可塑性樹脂よりも流動性が低い低流動熱可塑性樹脂と、を含み、
    該高流動熱可塑性樹脂は、該天然繊維同士の隙間で該天然繊維同士を固着し、
    該低流動熱可塑性樹脂は、該繊維成形体のなかで、少なくとも一方の表面に多く含まれ、該繊維成形体の一方の表面をコートすることを特徴とする繊維成形体。
  2. 前記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分未満であり、前記高流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分以上である請求項1に記載の繊維成形体。
  3. 前記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは5g/10分以下である請求項2に記載の繊維成形体。
  4. 天然繊維と熱可塑性樹脂とを含む繊維成形体を製造する方法であって、
    該天然繊維と該熱可塑性樹脂とを混合して積層し、積層体を得る積層工程と、
    該積層体を交絡処理して交絡体を得る交絡工程と、
    該交絡体を所定形状に切断し、繊維マット体を得るマット体形成工程と、
    該繊維マット体を加熱加圧して繊維成形体を形成する成形工程と、を備え、
    該熱可塑性樹脂として、高流動熱可塑性樹脂からなり繊維状をなす高流動熱可塑性樹脂繊維と、該高流動熱可塑性樹脂よりも流動性が低い低流動熱可塑性樹脂からなり繊維状をなすとともに該天然繊維および該高流動熱可塑性樹脂繊維よりも質量が小さい低流動熱可塑性樹脂繊維と、を含むものを用い、
    該積層工程において、該天然繊維と該高流動熱可塑性樹脂繊維と該低流動熱可塑性樹脂繊維とを含む混合材料を飛散させて、該高流動熱可塑性樹脂繊維を下側に低流動熱可塑性樹脂繊維を上側に積層することを特徴とする繊維成形体の製造方法。
  5. 前記低流動熱可塑性樹脂繊維は、前記高流動熱可塑性樹脂繊維よりも繊維径が小さい請求項4に記載の繊維成形体の製造方法。
  6. 前記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分未満であり、前記高流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは10g/10分以上である請求項4に記載の繊維成形体の製造方法
  7. 前記低流動熱可塑性樹脂のメルトフローレートは5g/10分以下である請求項6に記載の繊維成形体の製造方法
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