JP5691784B2 - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、複数のセラミックグリーンシートが積層されてなる多層セラミック基板およびその製造方法に関するものである。
従来、複数のセラミックグリーンシートを積層してなる多層セラミック基板が知られている。例えば、特許文献1には、セラミックグリーンシートにパンチ等で孔を開け、導電性ペーストを充填した後、積層後に貫通孔を開けることで、積層方向の上下面の電極を電気的に接続する端面電極を形成することが記載されている。
特開2005−93846号公報
しかし、多層セラミック基板にパンチ等で貫通孔を開けると、断面にかかる応力によって貫通孔に近接する部分の電極が変形して断線し、スルーホールと電極の電気的導通を確保することができない場合がある。また、誘電体のグリーンシートに比べ、磁性体のグリーンシートは1枚あたりの硬さが硬く、積層後にパンチ等で貫通孔を開けることが難しいという問題があった。
そこで、この発明は、電極の断線を防ぐ貫通孔を備えた多層セラミック基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の多層セラミック基板は、複数のセラミックグリーンシートが積層されてなる多層セラミック基板であって、以下のようにして製造される。
(1)各々のセラミックグリーンシートの厚み方向に電気的に導通するように設けられた導電性部材を配置する工程
(2)各々のセラミックグリーンシートの前記導電性部材を含む位置において、前記厚み方向に貫通孔を形成する工程
(3)貫通孔が前記厚み方向に合致するように、複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程
(4)積層体を焼成する工程
このように、積層前に各セラミックグリーンシートに貫通孔を開け、積層後はパンチ等の加工を行わない態様とすることで、電極の変形を抑え、断線を防止することができる。特に、本発明は、セラミックグリーンシートが磁性体材料(フェライト)のように非常に硬い材質である場合に好適である。
なお、貫通孔を形成する工程の前に、前記貫通孔を形成する部分の周縁部に電極パターンを形成する工程を行うことが好ましい。この場合、セラミックグリーンシート境界面において、周縁部に形成された電極パターンにより導通可能な面積が大きくなるため、電気的接続の信頼性が向上する。また、各セラミックグリーンシートや導電性部材は、熱収縮率が異なるため、積層体を焼成すると、この熱収縮率の違い等により各セラミックグリーンシートに割れが生じる場合があるが、境界面に電極パターンが存在することで、生じた割れがさらに広がることを防止することもできる。
この発明によれば、電極の断線を防ぐ貫通孔を形成することができる。
多層セラミック基板の上面図である。 多層セラミック基板の断面図である。 多層セラミック基板の製造工程を示す図である。 応用例に係る多層セラミック基板の上面図である。 応用例に係る多層セラミック基板の断面図である。 応用例に係る多層セラミック基板の製造工程を示す図である。
図1は、本発明の実施形態に係る多層セラミック基板の上面図であり、図2は、多層セラミック基板の断面図である。多層セラミック基板は、複数のセラミックグリーンシートが積層された積層体からなる。図2の断面図は、紙面上側を多層セラミック基板の上面側とし、紙面下側を多層セラミック基板の下面側とする。
図1および図2に示す多層セラミック基板は、ブレイク前のマザー積層体を示すものである。マザー積層体は、出荷先で図中の破線で示す所定寸法のチップにブレイクされる。図中の破線には、ダイシング加工により上面および下面に溝が形成される。
なお、図1および図2においては、説明のために隣接する2つのチップについてブレイク前のマザー積層体を示すが、実際にはさらに多数のチップが並んでいる。
図1に示すように、積層体を構成する一部のセラミックグリーンシート上には、回路電極22が形成されている。図1の例における回路電極22は、積層体の最上面のセラミックグリーンシート上に形成されているが、内層に配置されるセラミックグリーンシート上に形成する場合もある。
最上面に形成された回路電極22の一部は、ICやコンデンサ等の電子部品が実装されるための実装用電極となる。回路電極22に様々な半導体素子や受動素子を搭載することにより、多層セラミック基板は、電子部品モジュールとなる。回路電極22を、内層のセラミックグリーンシート上に形成するに配置する場合には、実装用電極だけを最上面のセラミックグリーンシート上に形成し、この実装用電極の直下にビアホールを設け、最上面の実装用電極と内層のセラミックグリーンシート上に形成した回路電極22を電気的に接続する。
また、図2(A)の断面図(A−A断面図)に示すように、積層体の最下面には、端子電極21が形成されている。この端子電極21は、多層セラミック基板が電子部品モジュールとして出荷された後、電子機器の製品製造工程において、電子部品モジュールが実装される、実装基板側のランド電極等と接続されるための実装用電極となる。端子電極21についても、直上にビアホールを設け、内層のセラミックグリーンシート上に形成した配線に電気的に接続する態様とすることが可能である。
これらの端子電極21と回路電極22は、端面電極41を介して電気的に接続される。端面電極41は、各チップの端面に設けられたスルーホール51の側壁の一部に設けられた矩形状のビアホールとなっている。
端面電極41は、以下に示すようにして形成される。図3は、多層セラミック基板の製造工程を示す図である。まず、図3(A)に示すように、多層セラミック基板は、セラミックグリーンシート毎にパンチ等で貫通孔が開けられる。
次に、図3(B)に示すように、開けられた貫通孔にAg等が含まれる合金(導電性ペースト)が充填される。この充填された導電性ペーストが後に端面電極41となる。
ここで、図3(C)に示すように、回路パターン(端子電極21や回路電極22等の配線)が形成される。なお、回路パターンの形成は、このタイミングではなく、積層前の状態であれば、どの工程中に行ってもよい。また、最上面あるいは最下面については、積層後も露出した状態となるため、最上面および最下面に回路パターンの形成を行う場合は、積層後に行うことも可能である。
次に、図3(D)に示すように、先に開けた矩形状のパンチ孔とは異なる方向(直交する方向)にパンチ等でさらに矩形状の孔を開ける。この矩形状の孔がスルーホール51となる。
そして、図3(E)に示すように、各セラミックグリーンシートが積層され、仮圧着される。これにより焼成前のマザー積層体(生の積層体)が形成される。上述のブレイク用の溝は、この焼成前のマザー積層体の状態において形成される。ブレイク用の溝が設けられた後、マザー積層体は、焼成される。これにより、焼成されたマザー積層体(ブレイク前の多層セラミック基板)が得られる。
なお、焼成後のマザー積層体の電極表面には、めっきが施される。めっき処理は、マザー積層体をめっき液に浸漬させ、揺動させることによって行われる。
最後に、図3(F)に示すように、焼成後のマザー積層体をブレイクすることで、スルーホール51の側壁の一部に端面電極41が形成される。
なお、端面電極41やスルーホール51の形状は、矩形状に限らず、半円状等、他の形状であってもよい。
このように、本実施形態の多層セラミック基板は、積層前の各セラミックグリーンシートにおいて端面電極41およびスルーホール51を形成し、積層後にパンチ等による加工を行わない態様としたことで、各セラミックグリーンシートが磁性体(フェライト)のように非常に硬い材質であったとしても、薄いシート状の状態で加工を行うため、加工時に割れが生じるおそれを低減することができる。また、端面電極41や端面電極41につながる回路電極22がパンチ等により変形するおそれを低減することができる。そのため、端面電極41と回路電極22が断線することなく、接続信頼性が向上する。
次に、図4は、応用例に係る多層セラミック基板の上面図であり、図5は、応用例に係る多層セラミック基板の断面図である。図6は、応用例に係る多層セラミック基板の製造工程を示す図である。なお、図1、図2、および図3と共通する構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
応用例に係る多層セラミック基板は、各セラミックグリーンシート上のスルーホール51の周縁部に電極パターン61が形成されている。電極パターン61は、図6(D)に示すように、スルーホール51となる貫通孔を開ける前に、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷することにより形成される。すなわち、最初に開けられた矩形状の貫通孔(端面電極41となる部分)に直交する方向に、スルーホール51と同様の平面形状(矩形状)の電極パターン61を印刷し、端面電極41の上面に蓋をするように形成される。この電極パターン61の印刷面積は、スルーホール51の面積よりも若干大きい面積となっている。そのため、図6(E)に示すように、スルーホール51を開けると、このスルーホール51の周縁に電極パターン61が残されることになる。したがって、図5(A)および(B)に示すように、各セラミックグリーンシートの境界面において、電極パターン61が端面電極41と接するように積層される。なお、この例では、スルーホール51の面積よりも若干大きい面積の矩形をべた塗りするように電極パターン61を印刷する態様を示しているが、スルーホール51が形成された後に、このスルーホール51の周縁部に電極パターン61が残る態様であれば、矩形状の印刷パターンに限るものではない。例えば、矩形の中の部分には導電性部材を印刷せず、リング状の電極パターン61を印刷する態様も可能である。
この応用例に係る多層セラミック基板は、セラミックグリーンシート境界面において、端面電極41の周縁部に形成された電極パターン61により、導通可能な面積が大きくなるため、電気的接続の信頼性が向上することになる。また、各セラミックグリーンシートや導電性部材(端子電極21、回路電極22、および端面電極41)は、熱収縮率が異なるため、マザー積層体を焼成すると、この熱収縮率の違い等により各セラミックグリーンシートに割れが生じる場合がある。応用例に係る多層セラミック基板は、各セラミックグリーンシートの境界面に電極パターン61が存在することで、仮に、割れが生じたとしても、生じた割れがさらに広がることを防止することができる。
なお、図6の例では、回路パターン(端子電極21や回路電極22等の配線)を形成した後に、電極パターン61を形成する工程を行っているが、回路パターンと電極パターン61は、同じ工程で形成することが可能である。
なお、本実施形態に示した多層セラミック基板は、ブレイク後に基板端面となる位置に貫通孔形成され、導電性部材が貫通孔の側壁に露出することで端面電極41となる態様を示したが、通常のビアホールを形成する場合においても、本発明の製造方法を適用することが可能である。また、図1の上面図では、端面電極41が多層セラミック基板の左右に1対形成された例が図示されているが、端面電極41は多層セラミック基板の上下に形成されてもよく、2対以上形成されても構わない。
21…端子電極
22…回路電極
41…端面電極
51…スルーホール
61…電極パターン

Claims (3)

  1. 複数のセラミックグリーンシートが積層されてなる多層セラミック基板の製造方法であって、
    各々のセラミックグリーンシートの厚み方向に電気的に導通するように導電性部材を形成する工程と、
    各々のセラミックグリーンシートの前記導電性部材が形成された部分を含む位置において、前記厚み方向に貫通孔を形成する工程と、
    前記貫通孔が前記厚み方向に合致するように、複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体を焼成する工程と、
    を備え
    前記貫通孔を形成する工程の前に、前記貫通孔を形成する部分の周縁部に電極パターンを形成する工程を備え、
    前記電極パターンは、各々のセラミックグリーンシート上の、前記貫通孔を形成する部分、および前記周縁部に形成され、
    前記貫通孔は、各々のセラミックグリーンシート上の、前記電極パターンが配置された部分の内部を貫通することにより形成されることを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。
  2. 前記セラミックグリーンシートは磁性体材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  3. 前記貫通孔は、前記積層体がブレイクされた後に、端面となる位置に形成され、
    前記導電性部材は、前記積層体がブレイクされた後に、前記貫通孔から露出した端面電極となることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
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